令和7年11月11日、福岡県有明海漁業振興対策協議会が開催され、有明海の水産業を次世代へ確実に引き継ぐため、福岡県に対して提出予定の9項目の重要要望事項(案)について審議が行われました。
令和6年度のノリ養殖は、高水温の影響に加え、12月中旬以降の植物プランクトン増殖による「色落ち」が長期化しました。その結果、生産枚数は平年の約7割にあたる7億7,000万枚にとどまりましたが、単価が高く推移したため、生産額は約190億円に達しました。
一方、アサリについては、覆砂や稚貝移植などの資源管理対策の成果により、本格的な漁獲再開につながる回復の兆しが見え始めています。
更に、漁業者の減少や高齢化、さらに漁場環境の変化が今後の大きな懸念材料として指摘されました。
協議会では、有明海再生の継続を最重要課題と位置づけるとともに、高水温対策としてのノリ養殖技術開発を第2位に繰り上げ、さらにノリ輸入枠(IQ枠)の堅持を強く要望。
そのほか、漁港泥土処理、アサリ・カキ養殖の推進、燃油免税の恒久化、河川ごみ対策、新規漁業者支援など、全9項目にわたり、持続可能な漁業経営の実現を福岡県に求めました。
また、会議ではノリのカモによる食害被害が深刻化している現状も共有され、今後の要望書に新たな課題として盛り込む方向で検討が進められています。

今年度のノリ採苗(種付け)は11月4日に開始され、これは過去最も遅いスタートとなりました。11月10日現在、水温は19.3℃で平年並みに低下していますが、7月以降は栄養塩(DIN)の不足状態が続いています。プランクトン沈殿量は平年並みに推移しているものの、今後の栄養塩動向は予断を許さない状況です。
有明漁連の堤会長からは「現時点でノリの色調は良好だが、引き続き注意が必要」との意見が述べられ、研究所は海況の詳細な把握ときめ細やかな技術指導を継続して行う方針を示しました。


