平成27年6月議会一般質問「景気回復の地域格差と地域の人材多様性確保について」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、景気回復の地域格差と地域の人材多様性確保について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。二期目を迎えました小川知事に対する一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。常日ごろから御指導をいただいております先輩諸氏、同僚議員の皆様の御配慮に感謝申し上げて、始めさせていただきます。
 四年前、私が初めて一般質問の舞台に立たせていただいた際、小川知事より、県内の格差を何としてでも解消し、地域の特色を生かしてバランスある発展を目指す旨、力強いお言葉をいただきました。あれから四年の時が流れ、国政においては政権与党がかわり、経済政策も緩やかなインフレを目指すよう方針転換が行われ、それに伴い為替相場、株価初めとする経済環境が激変した中、今回は景気回復の地域格差と地域の人材多様性確保について質問をさせていただきます。
 まず、景気回復の地域格差についてです。経団連が六月十九日に発表した二〇一五年春闘の月例賃金引き上げに関する最終集計では、大手企業の賃上げ額は八千二百三十五円となり、十七年ぶりに八千円を超え、賃上げ率は二年連続して二%を上回りました。直近の景気動向指数は前月比一・九ポイント上昇し一一一・一となり、内閣府は基調判断を引き続き改善を示していると発表。また、民間企業の設備投資増により二〇一五年一─三月期のGDP二次速報値は前期比年率三・九%増で、一次速報値から大幅改善をしております。このように、多くの景気指標は経済状況の改善を示し、消費税率アップによる足踏みがあったものの、アベノミクスと呼ばれる経済政策は着実に実績を残していると言えます。
 しかしながら、私の地元のみやま市初め市井の声に耳を傾けると、そこまで景気のよい話が聞こえてこないのも現実です。知事も同様に、六月議会の説明要旨や我が会派の代表質問に対する答弁など、アベノミクスの効果による県内経済の見通しについて事あるごとに、県経済は持ち直してきている、その回復を確固たるものにするとした上で、県内各地でそれを実感できるようにすると発言をされています。
 そこで知事に質問です。知事が景気回復を県内各地で実感できるようにするというのは、裏を返せば県内でもまだ景気回復を実感できない地域があるという意味だと理解します。景気回復に関する県内地域格差について知事の所見をお聞かせください。
 当初、景気回復は、東京を初めとする大都市圏が起爆剤となり、徐々に地方へ波及していき、最終的に県下隅々で実感することができるものと思っておりました。つまり、都市部と地方には景気回復の時間のずれ、すなわちタイムラグが存在するため、このタイムラグの期間を乗り切れば、まず都市部に訪れた景気回復の波が地方に押し寄せるのではと考えておりました。しかし、景気指標と言われる業況判断DIや有効求人倍率、完全失業率など主要な数値を過去二十年ほどさかのぼって調べてみると、東京、福岡、全国平均は全てほぼ同じタイミングで上昇したり下降したり回復をしております。つまり、リーマンショックがあれば同時に全て下降し、政権交代すれば同時に上昇し、消費税が上がれば同時に下降しており、そこにタイムラグは存在しません。存在するのはタイムラグではなく、地域による上昇または下降する振れ幅の違いでした。つまり、東京は回復するときは大きく上昇する、福岡は小さく上昇する、下がるときには同時に下がり始めてほぼ同じタイミングで底を打つ。今のところ福岡県内各地の詳細なデータは存在しませんが、県内でも都市部と地方で同様の傾向があることは想像にかたくありません。
 そこで知事に質問です。景気回復を県内各地で実感できるようにするとは、すなわち景気回復の振れ幅が小さい地方においてこれを押し上げることにほかならず、景気回復のピークを迎える前にこれに対する具体的かつ効果的な施策を速やかに打っていくことこそが景気回復の地域格差是正につながると認識しますが、知事の御所見を披瀝ください。
 さて、景気回復の振れ幅は、地域によって格差が存在するということについて質問しましたが、その際、大きな問題となるのが賃金格差です。アベノミクスの第二の矢と呼ばれた財政出動などをきっかけに、人手不足の声が聞かれるのが土木職です。この求人賃金の東京と福岡の差額を、アベノミクス前後という観点で政権交代前の二〇一二年十二月と二〇一五年直近を比較します。そうすると、最高賃金における東京と福岡の差は二〇一二年十二月に五・六万円だったものが、直近では七・七万円に広がり、最低賃金においても二・三万円から四万円に広がっています。もちろん、福岡でも賃金は上がっているものの、上げ幅が小さいため東京との差がむしろ広がる結果になっており、これは福岡県内においても同様の傾向、すなわち景気回復に伴い都市部と地方の賃金格差は広がっていると考えられます。そうすると、四年前の私の一般質問でも同様の指摘をしておりますが、給与がよく、人材の流動性もあり、景況感もいい都市部に新規学卒者を含む求職者は流れることになり、これは地方創生議論の肝である人口の一極集中をさらに加速させる懸念すらあります。また同様に、福岡県内各地には、地域の特色に根差した技術力を武器として活躍するローカルな物づくり企業が多数存在します。例えば、筑豊地域では、炭鉱産業の二次産業として技術を磨いた鉄工会社などが、自動車産業を初めとする新しい分野へ続々と乗り込んでいます。また私が住む有明海周辺では、ノリ養殖の最盛期に、不眠不休で行われるノリの生産、加工を支える技術を持ち、二十四時間対応の保守体制を整えた機械メーカーが複数存在します。これら地域密着の物づくり企業が今、口をそろえて技術者の確保が大変難しいと言っております。景気回復や賃金の地域格差が原因で地方から技術人材が流出し、前述したような地域に根差した物づくり企業が存亡の危機に立たされるのは、雇用問題はもちろん、地域が人材の多様性を失い、そこに生まれ育つ青少年にとって身近な目標となる社会人の種類が減ることは、地域の柔軟性や活力を失うことにつながります。
 そこで知事に質問です。四年前も指摘しておりましたが、給与格差が景気が回復傾向のために引き続き拡大する中、地方では人材、特に技術系の人材確保が難しくなっております。雇用面について、地域における人材多様性の重要性と、その確保のためにどのような対策が必要か、知事の所見をお聞かせください。
 最後に、中小企業振興条例について質問します。知事は、地域経済を支える中小企業を総合的に支援するために、中小企業振興条例制定に向け準備を進めているとおっしゃっております。我が党の代表質問において、これまで九十二社の経営者に対し本庁職員が直接ヒアリングを実施したり、現在千二百社を対象にアンケート調査中とのお答えをいただきました。そこで私は、ひそかに危惧していることがあります。経済産業省出身の知事だけに、物づくり系企業に偏ったヒアリングやアンケートにならないだろうかと。例えば、先ほどからお話ししているように、景気回復の幅が小さい地方において、公共事業は景況感に大変大きなウエートを占めます。その点で、公共事業を担う企業の意見や地域ごとの特徴もしっかり反映させるなど、都市部だけでなく、地方の景気回復に対しても実効性のある条例を目指していただきたいが、知事の御所見を御披露ください。
 以上、四年前の初質問で取り上げた県内地域格差を主眼に置いて質問をいたしました。知事の選挙のスローガンどおり、四年前よりさらに前進した答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)

◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、景気回復の地域格差と、それに対する対策でございます。福岡県の経済は、生産、消費が堅調に推移をいたしておりまして、雇用情勢も有効求人倍率が過去最高の水準でこのところ推移するなど、全体としては着実に持ち直しをしてきております。これを企業ごとに見てみますと、輸出が好調な自動車、産業用ロボット、また外国人の観光客の増加により売り上げが伸びておりますホテル、百貨店などを中心に、業績が回復しているという声が聞かれます。その一方で、食料品加工、サービスなど内需型の中小企業を中心に原材料の高騰、あるいは人件費の増加が収益を圧迫している、そういった声も聞かれるところでございます。業種や規模にかかわりなく、この今持ち直してきております景気回復を県内に広げていくためには、企業の生産や設備投資が活発化をいたしまして売り上げ、収益が増大し、それが雇用の拡大、賃金の上昇につながっていき、そのことがさらなる個人消費の拡大と生産拡大を引き起こす、そういった経済の好循環を実現していくことが必要であると考えております。
 こうした考え方のもとで、二月の補正予算と、それから二十七年度の当初予算によりまして、民間設備投資を刺激するグリーンアジア国際戦略総合特区の推進、物づくり中小企業が行います新製品の開発に対する助成、地域の消費を喚起をいたしますプレミアムつき地域商品券の発行、またよかもん、名産品です、それから、よかとこ、旅行事業でございますが、これらの販売、そして雇用条件や労働環境の改善を後押しをいたします正規雇用促進企業支援センターの開設、賃金改善を図る中小企業への人材派遣、そういったことに取り組んでまいります。また、幅広い産業分野で生産誘発効果が見込まれております公共事業につきましては、補助事業費の減少というものを県の単独事業費で補うとともに、防災、減災の観点から、地域ごとにめり張りをつけてこれを執行することといたしております。そして、今後県経済の動向を見きわめつつ、必要に応じ事業量を確保していきたいと考えております。こうした取り組みを機動的に進めることによりまして、持ち直しをしてきております我が福岡県の経済、その回復を確固たるものにし、県内各地の企業、県民の皆様に景気回復を実感していただけるよう全力を挙げてまいります。
 次に、地域の中小企業の人材確保についてお尋ねがございました。中小企業が求める技術者などが地域から御指摘のような都市圏に流出をし、その企業経営に支障を来すようなことになれば、各地域の特性を生かした形で物づくり企業というのは立地いたしております、その多様性が失われかねません。中小企業が必要な人材を確保していくことは重要な課題であると、このように認識をいたしております。そのため県では、年代別の就職支援センターのホームページ、また合同の会社説明会などによりまして地元中小企業を御紹介をしていくとともに、企業の人事採用担当者を対象といたしまして採用力の向上セミナー、そういったことも実施をいたしまして、中小企業の人材確保、両面から支援に努めているところでございます。今年度は、地元中小企業の魅力をより詳しく紹介をする冊子を作成をいたしまして、県内外の大学等へ配布する予定でございます。また、正規雇用促進企業支援センターを設置いたしまして、労務管理経験がある専門アドバイザーが企業を訪問いたしまして、人材の採用やその定着の支援を図ることといたしております。今後、こうした新たな取り組みも含めまして、中小企業が必要とする技術者など多様な人材の確保をできるだけ支援をしてまいります。
 次に、中小企業振興条例の制定についてお尋ねがございました。この条例の策定に当たって、幅広く中小企業の課題やニーズを把握をしているところでございます。これは、その対象は物づくり企業に限ったものだけではありません。県内七十一カ所の商工会議所、商工会の経営指導員は、御承知のとおり日ごろから地域のサービス業、小売業、建設業などの企業を訪問いたしております。こうした産業の情報も活用してまいりたいと思っております。加えて、現在千二百社に対するアンケート調査を行っており、その内訳を申し上げますと、県内企業の産業構造、これを反映させた形で数を決めております。サービス業が四割、小売が二割、建設、製造、卸、それぞれ一割となるように対象を決めて調査を行っているところでございます。また、これまでのところ九十二社の経営者の方にヒアリングを行っておりますけれども、これまで行った九十二社についてその内訳を申し上げますと、製造業が最も多く五十三社、サービス業が十六社、小売が七社、建設が四社、卸が三社、その他が九社となっております。(発言する者がある)それで、最後まで聞いてください。引き続き、できるだけ、今、これまでのところ九十二社と申し上げた。これから引き続き、できるだけ幅広く経営者の声を聞いていきたいと、このように考えております。今後も、県内各地域の中小企業の課題やニーズの把握に努め、条例に反映させていきたいと、このように考えております。

平成27年2月議会一般質問「中山間地における果樹産地の新規就農者対策」「空き家予備軍対策」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、中山間地における果樹産地の新規就農者対策
     一、空き家予備軍対策
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◯議長(加地 邦雄君) 板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問

◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。
 私は、平成二十三年に初めての当選をさせていただいて以来、藏内会長初め自民党県議団の御指導を仰ぎながら、一般質問十二回、予算及び決算特別委員会にて二十一回質問の場に立たせていただきました。初めての一般質問では、県内地域格差是正について質問を行い、地域それぞれの特性を生かし、一極集中ではなくバランスよく発展することが福岡県の最大の強みになることを知事と確認をさせていただきました。一期四年、締めくくりとなる三十四回目の質問となりますが、この思いは変わっておりません。地域特有の資産をどう活用していくかという視点で、本日は、中山間地における果樹産地の新規就農者対策と空き家予備軍対策の二つについて質問をいたします。
 まず、中山間地における果樹産地の新規就農者対策についてです。みやま市を初め農山村地域では、人口減少対策や定住化対策など地方創生の取り組みが急務であります。その一丁目一番地が地域特有の資産である肥沃な農地を持続させる、つまり主要産業である農業の維持発展を図ることだと私は信じております。昨年の九月議会でも触れましたが、高齢化による農業者の減少が続く中で、継ぐ意思と誇りを持った新規就農者をどう確保するのかが一つの鍵を握ります。県南地域は、みやま、八女、朝倉、うきはなど、ミカン、柿、ブドウ、スモモなど、県内有数の果樹生産が盛んな地域であります。しかしながら、これらの産地は中山間地域でもあり、後継者不足が深刻です。加えて、果樹は苗を植えて収入を得るまでに数年を要するため、栽培を始めたその年に収入が得られる野菜などと比べ、農外からの新規参入が取り組むには厳しい部門であるとの声が多く聞かれます。最近、農業全般では新規就農者がふえてきているような話もありますが、果樹産地においては、果樹や中山間地特有の課題が重くのしかかっております。新たな就農者が低迷すれば、地域特有の資産である果樹産地を維持できるのか心配です。新規就農の育成については、県もさまざまな施策に取り組んでいるのは承知していますが、果樹には特有の課題が存在し、一律の施策ではうまくいかない側面があります。
 そこで知事に質問です。野菜や米麦と比較し、果樹における新たな就農者、農外からなのか、後継者なのかも含め、現状はどのようになっているのかをお示しください。
 また、中山間地の振興、果樹産地の維持という視点を踏まえ、新規就農者の確保をどのように行っていくのか、知事の所見をお聞かせください。
 ところで、知事は、地方創生の取り組みについても、常々、強みを生かすこと、仕組みをつくることが大事と言っておられます。私もその理念には賛同いたします。みやま市の柑橘部会では、十年ほど前から、園地登録制度を設け、糖度の高いえりすぐりのものとレギュラー品を別ブランドとして区別して販売し、ブランドごとに代金を精算する方式を導入しております。本当に品質のよいものは高く売るという園地登録制度の導入により、販売価格も上昇し、親が自信を持って後継者に帰ってこいと言えるようになった、あるいは友達が就農するのを見てUターンもふえてきているとの明るい話も聞きます。
 先ほど触れたように果樹産地特有の課題も山積している中で、みやま市の柑橘部会のリーダーが強い意志を持って進めてきた産地育成の手法は、県内でも一歩進んでいるとの評価をいただいております。このような取り組みこそ、これまでの長きにわたり産地が培ってきた品質の高いものをつくる技術力や、農家が一致団結をする組織力を生かしたものであり、まさしく、知事が申される産地の強みが生きた取り組みだと考えます。ぜひ、この取り組みをさらに磨き上げて、今後の果樹産地育成に応用することを要望いたします。
 中山間地が今後とも果樹産地として振興し続けるためには、産地関係者はもちろん、行政も一丸となり、後継者から見ても魅力のある収益性の高い経営基盤を構築することが産地振興の鍵であります。
 そこで知事に質問です。新規就農者の確保とも密接に関係する果樹産地における収益性向上のための取り組みをどのように進めようとされているのか、お示しをください。
 続きまして、空き家予備軍対策について質問いたします。私が説明するまでもなく、空き家問題は各地で顕在化しております。十二月議会の自民党代表質問においても大きなテーマとして知事の姿勢をただし、その際、知事は、市町村、民間事業者に呼びかけて官民一体となり空き家対策を総合的に推進するための協議会を設立すると答弁しました。
 そこで知事にお尋ねします。スピード感を持って対応すべき空き家対策ですが、現在、協議会設立はどのような状況でしょうか、お示しください。
 空き家問題は、空き家が増加することで地域の活力が低下するなど多くの問題を抱えており、まずは空き家の利活用を促進することが重要です。さらに、空き家の利活用をする際に、清掃、リフォーム、リノベーションを行ったり、賃貸契約や不動産売買、引っ越し作業が発生したり、地域において大きな経済効果が見込めます。まさに、地域の眠れる資産です。
 そこで知事に質問します。空き家の有効活用は地域振興のみならず、経済活性化にはかり知れない可能性を秘めています。廃屋になったり、手の施しようがないほど老朽化する前の空き家の利活用を図るべきでありますが、実態がわからなければ対策の打ちようがありません。まずは利活用が可能で、利活用をすべき空き家の実態把握は行われているのでしょうか。また、空き家は増加傾向の上、その状態も刻々と変化いたします。継続的に空き家の状態を詳細に把握すべきと考えますが、知事の見解をお示しください。
 今回、空き家の詳細な状況把握を要請するのは理由があります。地元の方と、最近ここら辺も空き家がふえてきたねという話をしていたところ、いやいや、実は本当の空き家は少ないんだよと言われたのが、質問趣旨を空き家予備軍対策としたきっかけです。一口に空き家と言っても、皆さんが頭の中に浮かべるものは十人十色ではないでしょうか。賃貸や売却のために空き家状態になっているものや、別荘などの用途で日常的に使用されていないものは別として、その他の空き家と統計上呼ばれるものは次の三つに分かれると考えます。一つ目は、老朽化した空き家、廃屋です。テレビなどで最近よく報道される、倒壊の危険云々とか、更地にすると税金がかかるから壊さないという議論に上がるのがこれです。二つ目は、住む人、利用する人が死亡したりしていなくなった状態の空き家。私なんかは空き家と言えばこれを想像していましたが、これはいざ利活用しようとしても、相続人や関係者が遠方にいたりして行政として利活用を働きかけることに大変困難が伴います。そして三つ目は、これは東京を初めとする都市圏一極集中とも関連いたしますが、子供が独立したり、地元を離れた御家庭で、親御さんが御高齢となって入院や老健施設に入所したために長期不在となっている空き家です。はたから見ると、住む人、利用する人がいないから、賃貸や売却したらどうかと思える物件ですけれども、地元を離れたお子さんが月に一度はお見舞いのために帰省して宿泊するから手放せないとか、所有者は死亡したけれど仏壇があって親族がお盆とか正月に集まるから手放せないとか、もろもろの事情により中途半端な状態で、廃屋状態に一歩一歩近づいている、そんな統計上は空き家と一くくりにされるものを私は空き家予備軍と定義しました。
 そこで知事に質問です。所有者の長期不在で日常的に使用されない空き家予備軍は、所有者や関係者が明確で、事前に積極的な利活用の検討を促すことが可能です。また利活用をためらう理由も把握できれば、例えばお見舞いのための一時的な滞在をどうするかとか、仏壇の取り扱いの対応など、行政としてさらなる対策が可能となります。これら空き家予備軍は一刻一刻と廃屋への道をたどっています。空き家対策の中でも、このような空き家予備軍をきちんと把握し、重点的に利活用を促進することが効率的で効果的と考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 知事はお気づきでしょうか、議会棟と行政棟の間に美しい紅白の梅の花が咲いているのを。紅白幕を連想させる梅の花。知事初め私ども議員も、四月に紅白幕に囲まれて大輪の花を咲かせるために必死で奮闘しているところであります。しかしながら、花はお水をやらなければ枯れてしまいます。ぜひ、栄養分たっぷりの知事答弁というお水をお願いして、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、果樹の新規就農者の現状とその確保についてでございます。平成二十一年度から二十五年度までの五年間、新規就農者は八百十八人いらっしゃいます。そのうち、果樹が百人、米麦とほぼ同数でございますけれども、野菜の四百八十六人に比べますと五分の一程度となってございます。また、果樹の新規就農者のうち、農家の後継者の割合が八四%、野菜の六九%に比べて高く、農外、非農家からの参入が少ない傾向にございます。このように果樹におきましては、野菜に比べて新規就農者や非農家、いわゆる農外者の参入が少ないのは、議員も御指摘がありましたけれども、成木になるまで年数がかかること、また農地の借り入れが長期に及ぶことから、なかなか園地を確保し栽培を始めることが難しい、そういったことがあると考えております。このため、新たに果樹で就農を希望される方々に対しては、相談窓口を設けている市町村と私どもの普及指導センターが連携をいたしまして、収穫が可能で貸し付けを希望される果樹園の紹介というものを進めているところでございます。さらに、果樹は、特に剪定技術がその収量に大きく影響いたしますことから、普及指導センターにおきまして、個別に現地を巡回させていただき、きめ細かな技術指導を実施しているところであります。こうした取り組みによりまして、新規就農者の方を一人でも多く確保し、果樹産地の維持発展につながるよう努めてまいります。
 次に、果樹産地における収益性を高める取り組みについてお尋ねがございました。収益性の高い果樹農業を実現していくためには、付加価値を高め、ブランド化を進めていく取り組みが重要であると考えております。このため県におきましては、まず県独自の品種を開発する、二番目に、品質を高め、安定生産をするための技術指導、あるいは機械、施設の整備を進める、三番目は、消費者の認知度を高め、販売量ないしは販売ルートをふやすための販売促進活動、この三段階あると思っておりますが、それらに取り組んできているところでございます。第一に、県独自の品種でございますけれども、全国的に有名になっておりますあまおう、これに続く品種といたしまして、イチジクのとよみつひめ、種なし甘柿の秋王、ミカンの早味かん、キウイフルーツの甘うぃというものを開発したところであります。第二に、これらの品種の品質を高め、安定生産を図っていくため、ミカンでは、糖度を高めるシートマルチ栽培、あるいは柿の秋王では、より安定して実がつく棚栽培の導入などを支援しているところであります。第三に、認知度を高めるため、私自身、関係団体の皆さんと一緒になりまして、とよみつひめやミカンの北原早生、トップセールスを行うとともに、量販店での試食販売、そういった取り組みも進めているところでございます。また、議員御指摘になりましたが、みやま市のミカン産地におきましては、普及指導センターと連携をいたしまして、糖度の高いミカンを生産し、これを他と区別をして販売する独自の取り組みを始められております。県でもこの取り組みを広め、一緒になって広めたところ、博多マイルドというブランド名で販売されるまでに至っているところでございます。なお、北原早生につきましても、この産地で品種登録されたものでございまして、糖度が高く色づきがよいと、市場からも高く評価されているところであります。県といたしましては、こうした産地みずからの取り組みを大変心強く思っております。今後とも、こうした産地と一体となりましてブランド化を進め、果樹産地の収益性の向上に努めてまいります。
 次に、空き家対策のための協議会設置についてお尋ねがございました。空き家問題は、防災、衛生、景観など地域住民の生活環境にさまざまな悪影響を与えておりまして、今後も空き家の増加が懸念されるところから、取り組みの充実強化が必要であると、このように考えております。そのため、前回お答え申し上げましたが、市町村や宅地建物取引業団体、建築設計者団体など民間事業者に対しまして参加を要請しているところでございまして、三月下旬までにこの協議会を設置したいと考えております。
 次に、空き家の実態把握についてお尋ねがございました。現在、空き家の実態調査でございますけれども、県内三十五の市町で実施されております。生活環境に悪影響を及ぼす観点から調査を行っている市町が多うございまして、利活用の観点から行っている市町は、三十五の中で十五の市町になっております。また、継続的に空き家の実態調査を行っております市町は、三十五市町のうち七市町にとどまっているところであります。このため、全ての市町村におきまして、空き家全戸を対象とし、老朽空き家や利活用可能な空き家を含めた調査が必要であり、またそれは継続して調査が行われていかなければならない、このように考えております。
 空き家の詳細な実態把握についてでございますけれども、先ほどの継続的な実態の調査に当たりましては、今後、これをもとに空き家対策、空き家の実態に応じた適切な対応を進めていくため、空き家の老朽度などの外観調査にとどまらず、空き家となった要因、所有者及びその利活用の意向などを詳細に把握していくことが必要であると考えております。このため、市町村において、こうした調査の実施とデータベースの整備が進み、それらをもとに効果的な、効率的な空き家対策が実施されていきますよう、今後設置予定の協議会の場で、しっかり市町村と検討させていただきたいと思います。
 次に、空き家発生の抑制についてお尋ねがございました。放置された空き家は老朽化をし、周辺地域へさまざまな悪影響を及ぼすことから、空き家になる前に利活用や適正管理について対策を講じていくことが重要であると、このように思っております。このため県では、中古住宅の利活用が促進されるよう、宅建事業者や県内金融機関とも連携をいたしまして、安心して中古住宅の取引を行える建物検査制度、私ども、これは住まいの健康診断と呼んでおりますが、その普及促進に努めているところでございます。今後、市町村と協力をいたしまして、先ほど来申し上げました実態調査で把握できた利活用可能な空き家の所有者等に対しまして、住まいの健康診断の利用を強く働きかけてまいります。また、当面利用する予定のない、手放したくないといった意向を持っておられる所有者等に対しましても、市町村や民間事業者と連携をいたしまして、定期借家方式に関する情報提供、適正管理の必要性についての啓発を行ってまいります。さらに、県民の皆様が空き家問題を広く認識し、事前にそれぞれ必要な対策を講ずることができるよう啓発活動や情報提供に努めまして、あわせて市町村の相談体制の充実を図るため、相談対応マニュアルの策定などを行って進めてまいります。これらの取り組みを設置予定の協議会において実施をいたしまして、空き家対策をしっかり進めさせていただきます。

平成26年12月議会一般質問「アスリート育成とスポーツ振興における県の取り組みについて」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、アスリート育成とスポーツ振興における県の取り組みについて
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。本日は、アスリート育成とスポーツ振興における県の取り組みについて質問します。
 福岡県議会を初めとし九州各県議会、政財界の有志で構成される九州の自立を考える会は、去る十月、九州の成長戦略に係る政策提言を行いました。その中には、人々が心身ともに健康で、将来に希望を持ち、心豊かに、安心して暮らせる社会の実現のために、スポーツの振興が大きな柱として含まれています。私自身、二月議会一般質問において、スポーツによる広域地域振興を提言しており、このたび九州自立の会の政策提言においてもスポーツ振興が掲げられたことは、大変心強い限りです。この政策提言は、九州各県が協調し、一丸となって取り組まなければならないこともあり、今すぐ実現するには難しいものもあると思います。しかし、全国に先駆けてタレント発掘事業を始めるなど九州のスポーツをリードしてきた本県がモデルケースとなって率先して取り組めば、九州全体の取り組みが加速することにつながると考えております。
          〔加地議長退席 岩元副議長着席〕
 そこで知事に質問です。今回の九州自立の会のスポーツ振興に関する政策提言について、まずは福岡県としてできることからやってみてはどうかと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 次に、トップを目指す姿の美しさと勝ち負けのおもしろさによって見る者に感動と夢を与える、すなわちチャンピオンスポーツの推進に向けたアスリートの育成について伺います。極限まで鍛えられたトップアスリートが競技する姿は、私たちに大きな力と夢、そして感動を与えてくれます。特に、そのアスリートが本県出身ともなれば、県民を元気づけ、スポーツへの関心を高めることにもつながっていくものと思います。これまでも本県からは、多くのオリンピック選手、メダリストが生まれておりますが、私は県民の一人として、二〇二〇年に我が国で開催される東京オリンピックにも、ぜひ多くの本県出身アスリートが出場し、活躍していただきたいと願っております。
 本県では、二〇〇四年度から、アスリートの発掘、育成を目的とした福岡県タレント発掘事業を実施し、本事業で見出されたアスリートが、ことし九月、韓国で開催されたアジア大会に出場するなど、過去、二十一人の日本代表選手を輩出する成果を上げています。このような取り組みの中で育ち、二〇二〇年の東京オリンピックの出場を夢見るアスリートをその舞台に立たせていくためには、互いに競い合うライバルの存在も不可欠であると思います。
 そこで質問です。九州では、本県以外からもすぐれたアスリートが輩出されております。こうしたアスリートが交流する機会をつくっていくなど、九州各県が協力し、九州全体で育成強化に取り組んでいくことも効果的ではないかと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 また、県では本年度より、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを見据え、アーチェリーを重点種目に設定し、二〇二〇ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトをスタートさせました。しかしながら、アーチェリー競技は一般的になじみが薄く、経験者も少ないと思われます。競技の強化とあわせ、本プロジェクトを通じ地域のスポーツを盛り上げ、スポーツで地域を活性化していくためには、県内各地で気軽にアーチェリーを体験できるような働きかけをしたり、大会を開催したりするなど、競技自体の普及、浸透も必要と考えます。競技人口が拡大することにより、相対的に県アーチェリー競技のレベルは向上し、メダルへの道が見えてくるのではないでしょうか。
 そこで質問です。アーチェリー競技の強化に取り組む福岡県は、その普及や競技人口拡大のための取り組みを今後どのように進められるのか、知事の御所見をお尋ねします。
 一方で、アーチェリーの競技場が整備されているのは福岡都市圏、北九州方面に集中しており、我々県南や筑豊に住む者にとっては、そもそもアーチェリー競技自体が物理的に大変遠い存在です。今回の二〇二〇ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトは、各地でセレクションを行い、すぐれた競技適性を持つ人材は強化拠点クラブに招聘しオリンピックに向けて育成を行うそうです。恐らくその中には、ほかのスポーツの道を断って、アーチェリーに青春をかける選手も出てくるでしょう。しかし、県内各地で身近にアーチェリーに触れることができる施設や設備がないと、二〇二〇年東京オリンピックが終われば県民のアーチェリー熱は冷め、アーチェリーブームは一過性に終わるのではないでしょうか。県内各地から選抜され、育成された選手が東京オリンピックを終えてまた故郷に帰り、優秀なコーチとなり地元で後進の育成に活躍できるような土壌までつくってこそ、アーチェリーが県民競技となり、次のオリンピックや世界大会に向けて県民の夢や物語がつながっていくと考えます。
 そういう前提を踏まえて知事に質問です。アーチェリーをオリンピックでメダルをとるためだけの一過性の競技として扱うことに私は反対です。一部の地域のためのものではなく、アーチェリーを県民競技として育てることが大事と考えます。そのためには、アーチェリー競技の物理的な環境整備、つまり競技設備を県下の例えば県営公園などに整備し、手軽に競技に触れられる状況をつくっておくことが必要と考えます。この点について知事の考えをお聞きします。
 先月、スポーツの総合祭典として筑後広域公園において行われた第一回市町村対抗「福岡駅伝」は、地元商工会議所のまかない飯グランプリやオリンピックデーラン、健康二十一世紀福岡県大会などさまざまなイベントが同時に開催され、それぞれのイベントの相乗効果もあって、五万人を超える人が公園を訪れたと伺っております。スポーツを地域活性化に結びつける大変すばらしい取り組みであったと評価しております。
 そこで知事に質問です。私は、本年二月議会の一般質問において、スポーツを活用した地域振興について質問させていただきました。特に、筑後地域は、地域に根づいた伝統的に盛んな競技が存在することに加え、スポーツ施設の整備も進んでいることから、広域連携プロジェクトの一環として、スポーツを活用した地域振興を目指すべきではないかと提案させていただき、知事からも前向きに検討したいとの答弁をいただいたところです。これについて、その後の検討状況をお尋ねします。
 冒頭でも触れましたが、九州の自立を考える会の政策提言では、県内にさまざまな国際スポーツ大会の誘致を行うことについて、誘致にハードルが高い、集客効果が非常に高い著名な大会ではなく、まずは注目度の低い大会でも継続的な開催により地域活性化への寄与が期待できて、そこから競技、大会の幅を広げ、さらなる国際大会やキャンプ地の誘致へと好循環につながる可能性を説いています。
 そこで知事に質問です。国際スポーツ大会やキャンプ地の誘致が子供に夢を与え、地域振興の一端を担うことは論をまちません。筑後広域公園は現在、スポーツゾーンの整備が進められていますが、スポーツゾーンというネーミングが看板倒れにならないよう、県南地域のスポーツに対する関心を高め、子供に夢を与え、地域振興を図っていくことができるよう、国際スポーツ大会やキャンプ地などを誘致できるような視点を忘れずに整備をすべきと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
 以上、知事の全てのスポーツ関係者への愛情ある答弁を期待して、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯副議長(岩元 一儀君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず、九州の成長戦略に係る政策提言のスポーツ振興に関する御提言についてでございます。提言にありますように、スポーツには、心身の健康や青少年の健全育成、地域の活性化などさまざまな効用や意義があると認識をいたしております。県におきましても、こうしたスポーツの多様な価値を踏まえまして、ことし三月、県のスポーツ推進計画を策定したところでございます。この計画に基づきまして、本年度から、ラグビーワールドカップ二〇一九の試合会場及びキャンプ地の誘致、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会が開かれる東京大会にかかわるキャンプ地の誘致に取り組んでいるところであります。また、先月にはスポーツの総合祭典としまして、議員、御報告いただきましたけれども、オリンピック選手との交流イベント、あるいは健康二十一世紀福岡県大会、それからまかない飯グランプリ、そういったさまざまなイベントと同時開催で第一回目となる市町村対抗「福岡駅伝」、全市町村参加してやらせていただいたところでございます。今回のスポーツ振興にかかわる提言の内容につきましては、その内容を十分に検討させていただきまして、短期、中期、長期という時間軸、そして主体、その役割分担というのも念頭に置きながら、福岡県としてできるものから取り組んでいきたいと、このように考えております。
 九州全体でのトップアスリートの育成、強化についてお尋ねがございました。九州各県からは、さきのロンドンオリンピックに合計四十二名の選手が出場するなど、優秀なアスリートが多数輩出をされております。各県が連携することにより、さらに多くのアスリートが輩出されるものと考えております。このため、福岡県から九州各県に呼びかけを行いまして、国が二〇二〇年に向けた強化策の一環として実施をいたします事業を活用して、今年度から、各県の行政担当者や学識者、企業関係者等から成ります九州ブロックコンソーシアムというものを設置をいたしまして、各県と協力したアスリートの育成、強化に取り組むことといたしております。先月下旬には、九州各県の担当者や国の関係者を集めた準備会議というものを福岡市内で開催をさせていただきました。今後、各県における取り組みに加えまして、この組織を中心といたしまして、九州各県から選抜した選手と指導者を一堂に集め、日本代表コーチ等を招聘して合同合宿を実施するなど、二〇二〇年を見据えたアスリートの育成に取り組んでまいります。
 アーチェリー競技の強化と普及についてでございます。県では本年度から、アーチェリーの世界最強国であります韓国出身の専任コーチを招聘した選手強化事業をスタートさせました。本事業におきましては、このコーチを活用いたしまして、主に高校生を対象とした強化に加えまして、総合型地域スポーツクラブなど県内数カ所におきまして、アーチェリー体験教室や大会などを開催することといたしております。こうしたことによりまして、競技への興味や関心を高めていくとともに、競技人口の拡大にも取り組んでまいります。また、強化や普及を図っていくためには指導者の確保が不可欠でございます。指導者養成研修会も開催をさせていただきます。こうした取り組みによりまして、今後もアーチェリー競技の強化と普及にしっかり取り組んでまいります。
 次に、県営公園のアーチェリー場としての活用についてでございます。現在、県内には、福岡、北九州地区を中心に、公園施設や学校施設を含め六つのアーチェリー場がございます。このアーチェリー競技の強化や普及を図っていくためには、県民の身近な場所に指導者がいて、そして練習ができる環境が必要ではないかと、このように思います。アーチェリーの体験や練習をするためには、指導者の確保に加えまして、一定のスペースや周辺の安全性を確保するためのフェンス等による区画というものが必要になってまいります。このため、私どもの有する県営公園などを活用することも一つの方法ではないかと考えられます。実際の活用に当たりましては、これらの公園や施設が今申し上げましたような条件にかなうかどうか、またそれぞれの公園施設の設置目的や現在の利用状況、そしてより広くは、アーチェリーの競技人口、その地域的な偏在なども総合的に勘案をいたしまして検討を進めていきたいと考えております。
 次に、筑後地域におけるスポーツを活用した地域振興の検討状況についてでございます。今年度、県と筑後地域十二市町で構成いたしております筑後田園都市推進評議会に、スポーツを活用した地域振興策についての研究会というものを設置をいたしました。この研究会では、スポーツを見る、そしてするための旅行、またその周辺地域の観光によりまして交流人口の増大を図り、地域の振興につなげていくための方策を研究しているところでございます。具体的なその検討状況でございますけれども、まずは筑後地域の各市町で現在単独に実施をされておりますランニングやウオーキング大会を効果的に連携を進めていくために、共通のパンフレットの作成や複数大会参加者を顕彰する仕組み、そういったものについて検討を進めているところであります。筑後地域においては、スポーツ関連施設整備が進んでおりますことから、それらの施設も活用しながら、今後とも、スポーツによる地域振興の取り組みについて検討を進めてまいります。
 次に、国際スポーツ大会の開催等を視点に持った筑後広域公園のスポーツゾーンの整備についてでございます。筑後広域公園のスポーツゾーンは、健康維持、増進のためのさまざまな健康づくりの実践の場を提供すること、そしてその実践を通じた地域の競技力の向上を図っていくこと、それらを目的として整備を進めているところであります。国際スポーツ大会の開催やキャンプ地としての利用というものは、スポーツの裾野の拡大、国際交流の推進、また地域経済への波及効果というものが期待されます。さらには、この福岡の名前というのを世界にアピールする機会にもなると、このように考えているところであります。一方で、こうした国際スポーツ大会のための施設整備やキャンプ地の誘致には、競技スペース、観客席、ロッカールーム、役員等の施設が必要となることが考えられまして、多くの建設費、維持管理費を要することになります。また、大会後、どのように地元の地域で利活用が進められるか、そういった課題もございます。そのため、筑後広域スポーツゾーンの整備につきましては、地域経済の振興も期待できることから、国際大会の開催、そのレベルを含めまして念頭に置きながら、日常的に地域の住民が利活用でき、地域の競技力の向上が図れるよう、一方で、今申し上げましたような諸課題などにつきましても総合的に勘案した上で、他の事例についても十分調査し、検討を進めていきたいと考えます。

◯副議長(岩元 一儀君) 板橋聡君。

◯十一番(板橋 聡君)登壇 知事に一点再質問をさせていただきます。
 県営公園への国際大会誘致については、御回答ですけれども、施設整備した場合に、大会後、どのように地元の地域で利活用をできるのかということが課題であるとおっしゃいました。一方で、その前にちょっと私、質問をいたしました。アーチェリー競技設備の県下への整備について、これは若干味気ない回答だなというふうに思いました。実際、県の公認のアーチェリー設備というのは福岡都市圏と北九州で六カ所しかないんですね。筑豊、筑後は全くないと。二〇二〇年ターゲットエイジ育成・強化プロジェクトで若い優秀なスポーツエリートを選抜して、アーチェリーでオリンピックを目指すと、これはすばらしいことだと思うんですけれども、彼らがオリンピックを終えた後のケアがちょっと考えられてないのかなというふうに感じました。今、全国でというか、全世界で、スポーツエリート、スポーツ強化チームを育てる現場において、競争の激化、そして早期化によるドロップアウト組の増加や、バーンアウト、これはつまり、燃え尽き症候群ですね、こういったものが選手の抑鬱状態や一種のノイローゼ状態など心の障害を来す例も報告されておりまして、重大な問題として指摘をされております。スポーツエリートを県として育成するということは、人の一生を左右する問題だと私は捉えております。県として、そういう人を最後まで面倒見ろとか、そういったことを言っているわけではございません。しかしながら、アーチェリーに県とともに青春をかけた若者が、その貴重な経験を生かし、地域で長らく活躍してもらうために、少なくとも、アーチェリーを一部地域ではなく、県内広くあまねく県民競技として育てる覚悟が必要ではないかというふうに思います。
 知事、その覚悟はございますか。それだけ教えてください。

◯副議長(岩元 一儀君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 国際大会への出場のために、その一生あるいは若い時間の貴重な時間を割いて全力を尽くしていく若者あるいは競技者、その方々の競技後の人生、これは大きな重い課題であろうと思っております。これは各国共通の課題であるわけであります。そのことも含めて、私どもは今回、トップアスリートの養成作業に入っております。したがいまして、今回の我々の事業の中でも、大会出場後のその選手の方々のそれからの人生のことも思いをいたしながら、育成事業というものを考えていきたいと思っております。

平成25年決算特別委員会総括質疑「少子化時代のスポーツ環境について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。三時近くなってまいりました。しっかり質問させていただきます。
 私の中学校のころは、中学校に上がると全員部活動に参加するというのが当然でございました。当たり前だろうなと思っていたら、実は、そのころ筑後地区では全員部活という運動が行われていまして、これを通じて、勉学以外の生徒指導を進めようとか、そういう意図があったとのことでした。今、中学校の運動会なんかに行くと、私の母校でも、昔七クラスあったのに、今は四クラスしかないとか、かなり生徒数が減ってきて、そういった部活動なんかの運営も大変ではないかなということで、きょうは少子化時代の子供のスポーツ環境についてというテーマで質問をさせていただきます。
 少子化に伴う生徒数の減少や生徒の価値観の多様化によって、中学校の部活動への参加生徒が少なくなっているのではないかという懸念がございます。また、特に小規模校においては、部活動数、要するに部の数、これ自体が少なく、生徒のニーズに対応できていないのではないかということが想像できます。実際私の知り合いでも、中学校に入ると四つか五つぐらいしか選択肢がないんだよと。だから、自分がやりたい部活がないから、しようがないから部活やめるとか、あるいは意に沿わない部活動に入って幽霊部員になってしまうとか、そういうことをよく耳にします。
 そこで、中学校における運動部活動の加入率及び一校当たりの運動部活動数の推移、平成二十六年度の学校規模別部活動数、一部当たりの部員数の推移について、資料をお願いしたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については、提出できますか。日高体育スポーツ健康課長。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に資料の説明をお願いいたします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 それでは説明させていただきます。
 本資料は、本県の中学校体育連盟が調査いたしました中学校の運動部活動の状況をグラフ化したものでございます。
 1)といたしまして、昭和六十年度から平成二十六年度までの中学校一校当たりに設置されている部活動数の推移を棒グラフで、中学生の運動部活動への加入率の推移を折れ線グラフであらわしております。設置数につきましては、おおむね十五から十六部、また加入率につきましては、おおむね六〇%台で推移しておりまして、いずれもほぼ横ばいの状態となっております。
 次に、2)としてあらわしておりますのは、平成二十六年におけます学校規模別の部活動の平均設置数でございます。生徒数三百人以下では一一・三部、三百一人から六百人までの学校においては一八・九部、六百一人以上の学校におきましては二三・一部となっております。
 最後に、3)としてあらわしておりますものは、昭和六十年度から平成二十六年度までの各運動部活動一部当たりの平均部員数の推移でございます。昭和六十年度は一部当たり二十六・四人の部員数があったものが、徐々に減少いたしまして、平成二十六年度においては十三・七人となっており、昭和六十年度当時と比較いたしますと約半分の状況となっております。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 予想に反して、部活動の加入数とか、一校当たりの部の数というのはそんなに変わっていないんですね。御説明のとおり、変化しておるのは、少子化に伴って一部当たりの部員の数がどんどんどんどん減っておるということでございます。つまり部員数が少ないという部においては十分に活動できない、これは十三・七人ということになっていますけれども、これじゃ野球の紅白戦もできんわけですね。そういう意味で、活動がちゃんとできなかったり、例えば試合も、ちゃんと人数がそろわずに試合に出られないとか、そういったことが起きているのではないかと思いますけれども、こういったことに関してはどのように対応をされているのでしょうか。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 部員が少ない部への対応でございますけれども、本県の中学校体育連盟におきましては、部員数の不足する学校に対応するために、サッカーであるとかバスケットボールであるとかいった個人戦を行えない団体競技につきましては、原則として同一市町村内の二校による合同チームでの大会参加を認めております。なお、平成二十五年度におきます合同チームの出場数は、総合体育大会と言われます夏の大会で二十一チーム、秋から冬にかけて行われます新人大会で二十九チームとなっております。また、試合には単独で出場する学校におきましても、練習に際しては複数校で合同で練習を行うとか、こういった工夫を行っていると聞いております。

◯板橋 聡委員 そういう対応はされているそうですけれども、実際、運動部の活動の指導の多くというのは、学校の先生が監督とか、そういう形で行っていらっしゃいます。専門的に指導できる教員にはもちろん限界があると思いますし、生徒数が減っていますから、各学校の教員の数は間違いなく、これも減っておるわけです、比例して。ところが、部活の数が変わらないということは、その分何かに負荷がかかっておると、指導者が足りないということに間違いなく反映されているのであろうというふうに想像します。
 そのために、地域の指導者を活用するなどの方策が必要と考えますけれども、中学校における運動部活動の充実について、どのようにその点、指導者の部分では取り組んでいらっしゃるか、説明をお願いします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 近年、運動部活動におきましては、教員の数の減少などに伴いまして、従来多くの学校で設置されておりました陸上競技であるとか、バレーボールといった部が減少しております。また一方で、生徒のニーズに応じて、新体操とか、硬式テニスといった新たな種目が入ってきている状況がございまして、多様化してきております。こういうことは教員の負担を増している、一つ要因になっているのではないかと考えております。
 このような状況を踏まえまして、運動部活動の適切な運営を図るために、本年三月、福岡県運動部活動運営の指針を策定いたしまして、その中で各学校に対しまして、外部との連携を図ることを指導しておるところでございます。
 また、本年度から運動部活動推進事業といたしまして、学校を指定して、地域の外部指導者を活用した指導体制の実践研究を行っております。あわせまして、教員、それから外部指導者を対象にいたしました両者が連携した指導体制の構築に関する研修会も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 指導体制はそうやって頑張っていらっしゃいますけれども、肝心の生徒が少なければ、やはり先ほど言いましたとおり、紅白戦もままならないということになります。そういう意味では、今、同一市内で二つ、三つの中学校が一緒になって練習をしておったりするということであれば、逆に子供のスポーツ環境を充実させるという観点で、学校だけでスポーツ部活動を抱え込まずに、地域のスポーツクラブが受け皿になったほうが、これはいいんじゃないかというふうに考えます。
 県では、地域住民が主体となって、誰でも、いつでも、どこでも活動できる総合型地域スポーツクラブというものの設立が進んでおるというふうに聞きます。平成七年に全国でも初となる総合型地域スポーツクラブが福岡県内で設立されて、今、県内では四十七市町村七十五クラブが設立されておると、そしてさらに二市六クラブが設立の予定であるというふうに聞いております。
 子供のスポーツ環境を充実させるには、この総合型スポーツクラブと部活動、要するに学校と学校外の地域のクラブを連携させるということも一つの方策だと考えますが、このような事例はございますか。

◯松尾統章委員長 清水県民文化スポーツ課長。

◯清水県民文化スポーツ課長 県内では、この総合型スポーツクラブと部活動が連携して活動している事例はまだ少ない状況でございますけれども、その中でも、部活動の生徒が総合型クラブの練習に参加し、専門的な指導を受けている例がございます。また、総合型クラブの指導者が部活動の実技指導を行ったり、専門のトレーナーを派遣いたしまして、テーピングやマッサージなどのけがの予防、トレーニングの指導などを行ったりする例がございます。

◯板橋 聡委員 なかなか事例がないという状況だというお話ですけれども、総合型クラブと部活動の連携が進まない理由というのは一体どこにあるのか、また、どのように連携を進めればいいのか、お考えをお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 その理由の一つとしまして、総合型クラブの理念やクラブと学校が連携することのメリットなどの情報が学校職員に十分に行き渡っていないということが考えられるというふうに思っております。県では、これまで県体育協会や市町村と協力をいたしまして、教員向けパンフレットの作成など周知に努めてきたところでございますけれども、今後はさらに総合型クラブと連携をいたしまして、学校関係者に対する説明会を開催するなど、総合型クラブに対する理解促進を図ってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 これは、私が六月の一般質問で質問させていただいた放課後児童クラブと学校の連携と、物すごく似ているんですよね。学校は学校で一生懸命生徒指導をするあまり、放課後児童クラブとうまいぐあいに連携がとれていない。直接に親御さんとの関係も深くて、子供の状態、親御さんの状態、いろんな情報が集まる放課後児童クラブと学校の連携がいま一つとれてないがために、そういった有用な情報を生活指導なんかにうまく使えてないのはもったいないじゃないかという質問をさせていただいて、それは連携を深めていきましょうという話になりました。
 部活動も同じように、スポーツを学校が抱えよう抱えようとして、どうしても外に出したがらない、そこで総合型スポーツクラブとの連携もはかどらないんじゃないかと。
 例えば、小学校、公民館の運動会なんかだと、小学生向けの総合型スポーツクラブのクラブ紹介がばっとあるわけですね。小学生はバスケット部がある、バレー部がある、じゃあ入ろうかななんていうふうに思うわけですけれども、これが中学校の運動会でそんなことをやっているのは見たことがありません。そういう意味では、もっと中学校の中でも総合型クラブと合同練習するなど連携を図ることが子供のスポーツ活動の充実につながるというふうに思いますけれども、このような課題に対して、今後どのように取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 先ほど委員から御指摘がございましたように、部活動は学校の教育活動の一環であるということから、教員の中には学校で責任を持って指導しなければならないという意識が強いということがございます。また、組織として総合型クラブなどの外部との連携図る体制が学校側にはまだ十分整っていない状況もございます。今後は、部活動の練習の場として活用することも想定しながら、各種の研修会などさまざま機会を捉えまして、各学校がそれぞれの地域の総合型クラブの活動状況を正しく理解できるように努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 一方で、総合型クラブには中学生の参加がなかなか少ないと。小学校までは結構多くの子供たちが参加しているんですけれども、中学校の加入は、百人を超えるクラブもありますけれども、平均すると加入者全体のわずか五・九%程度なんですね。全国調査でも六・六%ぐらいということで、非常に中学生の参加が少ないのですが、この理由は何だというふうにお考えですか。

◯清水県民文化スポーツ課長 中学生は一般的に、県大会とか全国大会に出場したいといった競技志向が強い傾向がございます。本来、総合型スポーツクラブはこうした競技志向を持つ方々のニーズに対応できることを目指しておりますけれども、現状では指導者等の確保等の問題からなかなか対応が難しい状況でございます。それが理由の一つだというふうに考えております。

◯板橋 聡委員 私も、体育会というか、運動部に入っていたことがありますけれども、地区大会に出たい、県大会に出たい、あわよくば全国大会、これがやっぱりモチベーションになって、厳しい指導、練習にも頑張れた。そして、大会に出られた、あるいは負けたとしてもその達成感というのが非常に、運動部をやるいい理由になっておったと思います。
 そういう意味では、総合型クラブでも参加できるような大会、目標となるような大会、こういったものがあれば、今の総合型クラブに対する魅力の低さというのが解決するのではないかと思いますし、このことは総合型クラブの会員数確保にもつながって、活性化にもつながっていくと思いますけれども、この件についてどうお考えになられますか。

◯清水県民文化スポーツ課長 総合型クラブにおきまして競技志向に対応した活動を行うことは、県民のスポーツ活動の推進、ひいてはクラブの活性化を図る上で重要であるというふうに認識しております。このため、各クラブに対しまして、競技志向への対応など多様な運営が行えるよう、専門のノウハウを有するアドバイザーを派遣するなどして支援を行っている状況でございます。
 総合型クラブの大会につきましては、現状としましては、クラブによって種目が異なっているというような状況から、特定の種目で大会を行うことは難しいと考えております。今後、クラブの活動状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 なかなか難しい部分ではありますけれども、これはぜひ学校とうまいぐあいに協力をしながらやっていくと。今、市の中で二つ、三つの中学校が一緒に大会にも出ておるということであるならば、そういう形で総合型クラブに変化していくことも可能だと思いますので、ぜひこれは連携をとっていただきたいというふうに思っております。
 総合型クラブは、放課後の中学生の居場所としての役割を持つものでもあると思います。自分のやりたい種目が学校の部活動にない場合の活動の場であったり、あるいは学校になじめない生徒が異なる年齢の人々とスポーツを楽しめる場であると考えます。例えば、いじめの問題なんかにも非常に有効だと思います。私がやっぱりいじめが一番かわいそうだなと思うのは、学校しか自分の世界がなくて、その中で行き場がなくなると本当に落ち込んでしまって、いじめも深刻になってしまうと。そこで、例えば学校外の総合型クラブなんかで知り合った、同じスポーツの目標を持つ仲間たちと一緒にいることで閉塞感を解消できるとか、あるいは、小学校の高学年から中学校三年まで一緒にスポーツをやることで、中一ギャップなどの問題の解決策の一つとなるのではないかと思います。
 こういった総合型クラブと学校が連携することは、学校が抱える教育問題を解決する上でも意義があると考えますけれども、教育長の認識を問います。その上で、中学校と総合型クラブの連携について、今後どのように取り組まれていくのか、教育長にお考えをお聞きしたいと思います。

◯松尾統章委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 総合型スポーツクラブは、子供たちが生涯にわたりましてスポーツを楽しむ、そのことによって、健康を維持する習慣を身につけるという効果があると考えます。また、学校で指導できない競技種目を行ったりするという面で、学校と総合型クラブというのはお互いに補完し合う関係になり得るのではないかというふうに思っております。委員御指摘のように、総合型スポーツクラブでは異年齢集団の中でスポーツを行うわけでありますので、その交流を通して人間的な成長も期待できるという面もございます。したがいまして、学校と総合型クラブが連携を進めるという点につきましては、我々が抱えておるさまざまな教育課題の解決につながる可能性を持っていると考えておるところでございます。
 現状を見ます限りにおいては、まずは総合型クラブの充実が先決であろうとは考えておりますけれども、県教育委員会といたしましても、県下の総合型クラブの状況把握にまずは努めまして、学校にその情報を提供するなどいたしまして、連携が進むように働きかけてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 大曲部長、今、教育長から学校側の歩み寄りをお約束いただきました。続いては、今度は受け入れる地域の総合型スポーツクラブの魅力が向上しないと、せっかくのこの歩み寄り、連携もうまくいかないというふうに思います。
 最後に大曲部長に、今後、地域と一緒になった子供のスポーツ環境の充実にどのように取り組むのか、所感をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 大曲新社会推進部長。

◯大曲新社会推進部長 この総合型クラブでございますけれども、委員御指摘のように、地域において子供たちのスポーツの機会、この充実を図っていくためには大変有効な方策であると考えております。そして、委員おっしゃいましたように、別の学校に通う子供たち、そういった子供たちが学校の枠を越えて参加ができる形態を有しているこの総合型クラブでございますので、新たな交流を生み出す機会にもなるというふうに考えております。
 県では福岡県スポーツ推進計画、これをことしの三月に策定いたしました。この中には、子供のスポーツ機会の充実を施策の柱の一つに掲げております。その中では、学校と地域、家庭、関係機関や団体等が連携して、子供がスポーツに親しむ、そういった環境を充実させていくための方策を示しているところでございます。この計画に基づきまして、学校と地域、そして地域のスポーツクラブの情報交換の機会を設けるということで合同の会議をまず開催し、これらの連携を一層推進してまいりたいというふうに思っております。
 また、教育長もおっしゃいましたが、学校とまず連携をするということで、中学生に対しまして、総合型クラブと地域のスポーツクラブへの参加を働きかける、そしてクラブに対しましても、やはり魅力のあるものとするために、学校の部活動にない、そういった種目の実施ができるように働きかけを行ってまいります。
 こういったことによりまして、子供たちが県内各地域におきまして、自分に合ったマイスポーツ、これを見つけて、これを継続して、そして実践していく、そういったことが子供たちの夢、そして希望につながっていくと思います。また、こういったことを通じて体力の向上、そして心身の健康といったものにつながっていくとも考えておりますので、こういったことを通じて今後もしっかり取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋です。きょう最後の質問になるかと思いますけれども、代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について質問させていただきます。
 八月二十三日、代々木ゼミナール小倉校──以下小倉校と呼びますけれども、これが閉鎖されるとの報道がございました。この件に関して質問いたします。
 小倉校は当初、各種学校を経て、現在専修学校という立場になっておりますけれども、私立の専修学校や各種学校の設立はどちらが認可するのでしょうか。

◯松尾統章委員長 安永私学振興課長。

◯安永私学振興課長 私立の専修学校や各種学校の設立に係る認可でございますが、学校教育法により都道府県知事が行うこととなっております。

◯板橋 聡委員 予備校は必ず各種学校や専修学校でないと経営できないというわけではないと思いますけれども、私塾という形で成り立っている学校もたくさんございます。専修学校や各種学校になるメリットは何でしょうか、教えてください。

◯安永私学振興課長 メリットでございますが、専修学校や各種学校の設置の認可を受けました学校法人につきましては、まず校地や校舎に係る登録免許税、それに不動産取得税、それから固定資産税等が非課税となります。これがまず一点でございます。また、生徒の学割定期券の適用がございます。さらには、認可を受けたことによる社会的信用の付与等が考えられるところでございます。

◯板橋 聡委員 小倉校については、各種学校としての設立のときにすんなり認可されなかったと聞いております。
 ここで委員長にお願いします。代々木ゼミナール小倉校認可の経緯について、資料要求をさせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯安永私学振興課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に説明をお願いいたします。

◯安永私学振興課長 資料の説明をいたします。この資料は、代々木ゼミナール小倉校の設置認可に至る経過を記したものでございます。
 まず、六十二年の七月三十一日でございますが、学校法人高宮学園から県に対しまして、各種学校として大学受験予備校を配置したいということで、各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置認可の申請があったところでございます。この申請に対しまして審査しました結果、翌年の昭和六十三年三月三十一日、県は不認可の決定を行い、高宮学園に通知したところでございます。理由としましては、既存の県内の大学受験教育を行う専修学校、各種学校の状況や、今後の入学予定者の推当からして適当でないという理由でございました。
 これに対し、五月二十七日に高宮学園のほうで、この県の不認可処分を取り消すようにということで取り消し訴訟が提訴されたところでございます。翌平成元年の三月二十二日に福岡地方裁判所のほうから、不認可処分は取り消せという判決が出されたところでございます。県の敗訴でございました。この判決を不服としまして四月に県は控訴したところでございます。この後、十一月二十一日に控訴審でございます福岡高等裁判所による和解勧告が出され、これを両者受け、同年十二月に高宮学園は当初よりも定員を減員した形で設置認可を再申請し、同月の二十五日に県は各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置を認可したところでございます。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 県は、高宮学園から最初に申請が行われたとき不認可を決定したということで、先ほど軽く触れられましたけれども、もう少し詳しく、どのような理由で県はこの申請を不認可としたか。その判断に立った理由を教えてください。

◯安永私学振興課長 不認可とした理由でございます。
 まず、先ほど述べましたが、既存の県内にあります専修学校、それから各種学校の形をとっている大学受験予備校の状況、それから今後の入学予定者数を勘案すると、これ以上の新設は必要ないだろうと考えたのが一点でございます。また、二点目としましては、過度の競争が行われているような状況におきまして、これ以上の新設を行った場合、競争の一層の激化を招き、県下の大手受験予備校の健全な発展を脅かすとともに、教育内容に悪影響を及ぼし、ひいては受験生への期待に応えられない結果を招くおそれがあるのではないかと考えたこと、これが二点目ございます。また、三点目といたしましては、この申請者であります高宮学園でございますが、既に県内に大学受験予備校を設置しておりました。既設校はこの新設予定地域から通学圏内にあると認められること、以上を理由として不認可としたものでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、過当な競争による県内のそういった予備校事情の混乱を避け、生徒たちを保護するという行政指導だったのかなと理解をします。その県の不認可決定に対して裁判が起こされたわけですけれども、その第一審の判決内容を教えてください。

◯安永私学振興課長 福岡地裁による第一審判決の内容でございます。
 まず一点は、各種学校の設置認可を受けるための要件というのは、原則として省令であります各種学校規程に定められた基準を満たすものであることをもって足りるというのが一点目でございました。また、知事の裁量権は、今申しました各種学校規程の定める要件を満たすか否かの判断をする際におきまして、各種学校に学ぶ生徒の教育を受ける権利を実質的に保障するとの観点に基づくものに限られる、それ以外の事情を考慮することは許されないという内容でございました。
 そういう前提を踏まえまして県が不認可とした理由というのは、当該各種学校規程に根拠を持っておらず、適正配置を理由とする不認可は他事考慮として違法であるという判決内容でございました。

◯板橋 聡委員 今の説明をお聞きしますと、裁判所の判断は、基準を満たしていれば現場がどのような混乱状態になっても、そういうことが想定できたとしても、県は設立認可をしなくてはならないということですか。

◯安永私学振興課長 県の裁量幅が小さく、基準を満たしておれば認可せざるを得ないものであります。

◯板橋 聡委員 県の裁量権が小さいとはいえ、県が当初懸念していたことが今回現実のものとなったわけです。裁判を起こしてまで進出して、地元の中小同業者に影響を与え、年度中途の閉鎖報道で受験生に不安を与えたのではないかと思います。
 実は私も浪人経験がございまして、浪人生にとって正念場である夏から九月の時期にこんな発表をされて、しかも学校にいる教職員の方というのは、自分たちは今度解雇されるかもしれないという可能性におびえていらっしゃると。受験生に動揺するなというのが無理な話で、自分の立場に置きかえたらぞっとします。無責任きわまりないのではないかと思います。
 先ほど、各種学校や専修学校に認可された学校法人は、固定資産税が非課税になるとの説明がございました。ちなみにこの小倉校は小倉北区の馬借という場所にあって、同校の建物構造とか近隣の路線単価からすれば、課税された場合の固定資産税は建物、土地を合わせて年間三千万円は下らないだろうと言われております。このようなメリット、税的な恩恵等、あるいはブランドネームの向上等のメリットを受けて、私塾であればともかく、各種学校なり専修学校であれば、これは社会的存在であると思われます。社会的存在であるということは、当然のことながら相応の社会的責任を負うべきであると思うんですけれども、各種学校などの設立の認可を与えた県として、このことについてどう考えますか。

◯安永私学振興課長 少子化に伴う受験人口の減少や現役志向の高まりに伴う浪人生の減少といったことを理由として、今回、小倉校が撤退されると。今回の撤退という結果になったことはまことに残念であると考えております。
 小倉校につきましては、平成二十六年度いっぱいは現在の校舎での授業と在校生の指導を継続するということでございますので、在校生の不安、動揺を抑えて合格達成に向けて熱心に指導すること、それと、この学校の教職員の今後の身の振り方についても親身に対応するように指導しているところございます。また、この指導は今後とも継続してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 この指導に対して、どういう反応が相手方から返ってきているか教えていただけますか。

◯安永私学振興課長 それこそ現在いる受験生についてはしっかり熱心に指導してまいりたいと、教職員については早期退職の制度を導入したりとか、近隣校へ振りかえだとか、そういうところは丁寧に説明して対応していきたいと回答をいただいております。

◯板橋 聡委員 学校側の説明としてはそう答えざるを得ないところでしょうけれども、まさにそこに生身の受験生がいて、一年間の浪人生活でこれから後の人生が決まるのではないかというときにこんなことを起こしたということ、それを考えると非常に難しい。県がどれぐらい強制力を持っているかというのは別として、やはりこれはしっかり引き続き指導していただかなければ困ると思います。
 そして、今回のような案件というか事案は、恐らく再び起こり得るでしょう。予備校問題ではなくて、これから生徒数も減ってくる中で、いろいろなほかの「これはもうかりそうだ」とか、「ここにビジネスチャンスがあるな」というときに、こういう事案が再び起こり得るんではないことが容易に推測されるのではないかと思います。今回のような事態が再発しないように、重要な社会的存在である専修学校などの設立に認可を与える県として、今後どのように対応していくのか、お教えください。

◯安永私学振興課長 認可を受け、設立されました学校につきましては、法令に基づき適正に指導助言を行ってまいります。また、設置申請があった場合には、私立学校の適正な運営に向け、厳正かつ適正に審査を行うとともに、必要な行政指導を行ってまいります。行政指導につきましては、相手方のその協力が前提で、強制力がないといった制限はございますが、粘り強く対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 やはり強制力がないというのが一番ネックかなと思うんですけれども、それは県がこういった私企業とどう向かい合っていくかというところにかかわってくるんではないかと思うんですね。ところが昨今、中央の大手企業が地方に進出してくるとなると、自治体はもろ手を挙げて大歓迎する風潮があるんですよ。しかしながら、今回のように裁判まで起こして強引に進出し、もうかるときはしっかりもうけて、しかしながらうまくいかなくなったら社会的責任を放棄して撤退すると。関係者や地元に混乱を生じさせるような事案が再発してはならないと私は思います。
 私自身、一昨年、県と私企業の関係をテーマに執行部とは徹底した議論をさせていただきました。雄県福岡県は、私立学校においても、設立、また、その後の運営について、今回のような轍を踏まないよう、しっかりと指導、審査などに当たってもらわなければならないと考えますが、このことについて私学学事振興局長の決意をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 伊藤私学学事振興局長。

◯伊藤私学学事振興局長 私立学校法は、その目的を、私立学校の特性に鑑み、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって私立学校の健全な発達を図ることと定めております。この法律、その私立学校の自主性を重んじるというところに非常に重点が置かれた法律でございます。このようなことから、私立学校所轄庁の権限というのが国公立の学校に比べて限定をされております。今まで私立学校に対してなかなか踏み込んだ指導ができなかったという事情がございます。
 ただ、ことしの四月に私立学校法が改正をされまして、学校法人が法令に違反した場合だけではなくて、その運営が著しく適正を欠く場合につきましても必要な措置を命じることができるようになっております。それから学校法人に対しまして、業務、財産の状況について報告を求め、また、学校法人の事務所等に立入検査できるようにもなっております。今後は、認可申請時の厳正な審査はもとより、認可後におきましても私立学校法の改正の趣旨を十分に踏まえて適切な指導に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 法律改正に伴い随分権限的なものも大きくなったと思いますので、しっかり今回のようなことがないよう、今後とも指導を行っていただきたいんですが、実際この許認可の張本人は知事でございます。ぜひ小川知事の見解を問いたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯松尾統章委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月七日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「伝統産業の維持振興について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡でございます。日をまたいで連続で質問させていただくということで、緊張感を途切れさせず、服装も同じで頑張りたいと思っております。
 福岡県内には、長い歴史を持ち、希少価値の高い産品をつくるさまざまな伝統産業が存在します。私は平成二十五年二月議会において、その維持の必要性と、観光、教育、農林水産など多角的な視点での振興、活用について質問をさせていただきました。それから一年半以上がたち、また、どのような状況になっているか、さまざまな問題点が見えてまいりましたので、ここで再度質問をさせていただきます。
 まず、現在、国や県が指定をした伝統的な産品はどのようなものがあるか、御説明をください。

◯松尾統章委員長 武濤観光・物産振興課長。

◯武濤観光・物産振興課長 現在、国が指定をしております経済産業大臣指定伝統的工芸品として、博多織、博多人形、久留米絣、上野焼、小石原焼、八女福島仏壇、八女提灯の七品目がございます。また、県が指定する福岡県知事指定特産民工芸品には、博多独楽、木うそ、孫次凧、英彦山がらがら、大川総桐タンス、大川組子、掛川、きじ車、八女手漉和紙など、合計三十品目がございます。

◯板橋 聡委員 大変多くの指定を受けた伝統的な産品があることはよくわかりました。しかしながら、県内には指定されたもの以外にも、非常に長い歴史と伝統を持った貴重な産品あるいはその作り手がいらっしゃいます。先ほど申しましたとおり、二十五年二月議会において、これら産品をつくる伝統産業を維持することの必要性を問い、知事から「指定制度の周知徹底と新たな指定品目の掘り起こし、貴重性の高い伝統的な産品の実情把握に努める」との知事答弁を得ておりますけれども、その後どのように進捗をしているか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 平成二十五年度に、福岡県知事指定特産民工芸品指定制度の周知徹底を図るとともに、指定要件を満たす地場産品の掘り起こしや、それに準じます産品の有無について、市町村、商工会議所、商工会に対して調査を実施いたしました。その結果、八市町村にある十四品目の情報提供を受けまして、それら品目の伝統性、希少性などについて聞き取り調査を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 このような調査結果を踏まえて、どんどん進めていきたいと思いますけれども、実際にこういう制度があるというのを知らない作り手さんも多いと思います。さらに、アンケートだとかこういったものを資料提出してくれというお願いをいっぱいされる中で、なかなか本業が大変で、そういったところまで手が回らないという方もいらっしゃると思います。そういうことも含めて、どのように今後進めていくか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 周知につきましては、さらに周知徹底、皆さんにお知らせをしてまいりたいと思います。
 また、こういった調査を通じまして、県内にまだ指定されていない伝統や希少性を持つすばらしい産品があることがわかりました。現在、県知事指定に必要な伝統的な技法あるいは原材料などの要件を満たす産品について、指定に向けた検討を行っております。また、指定要件に必要な資料が現在不足している産品につきましては、作り手や関係者に対しまして、伝統性や希少性が証明できる文献あるいは証言などが得られないかなど、指定に向けたアドバイスを行っているところであります。
 また、事業戦略やマーケティングのアドバイスを行う県の人材育成事業がありますけれども、こういったものの受講の勧奨、県の物産紹介パンフレットやホームページへの掲載、アクロスの二階に匠ギャラリーがございますが、そういったところや、県庁十一階の展示室を活用しましたPR、販売促進などを通じまして、伝統的な産品の販路開拓や売り上げ拡大を一層図ってまいります。

◯板橋 聡委員 このような伝統産業は一度途絶えてしまうと、もう一度復活させるというのは物すごく難しいです。ぜひ商業的な部分で事業が盛り上がっていくように、商工部としても引き続きこういった援助をしていただきたいと思っております。
 続きまして、伝統工芸品の振興におきまして、観光の視点から振興していくことも非常に重要だと考えます。これら産品の作り手は地域に点在しております。より広くその存在を知ってもらい、売り上げ拡大につなげるためには、観光客の誘致と誘客も有用だと考えております。
 例えばみやま市には、全国的にも珍しい伝統的製法でつくられる天然しょうのう、あるいは、もうほとんど中国に作り手が移ってしまい、日本の中では唯一と言える線香花火、こういったものが伝統産業としてございます。全国でも珍しいこれらの生産者は、商品包装のデザイン改良を行ってメディアに取り上げられたことで注目されて、観光客が訪れるようになりました。例えば線香花火に至っては、地元の和ろうそくとセットで販売して、きれいなキリの箱に入れて、四十本何と一万円で販売をされて、それが品薄になったりするぐらいの人気を得ているということでございます。その線香花火の製造所は、この春、線香花火作成を体験できる施設、暗室を整備して、観光客の受け入れを始めております。
 商工部は今年度、組織を改編して、観光・物産振興課というものを新設しております。ぜひ物産と観光をセットにして、観光振興の面からもより積極的に取り組むべきだと思いますが、御意見をお聞かせください。

◯武濤観光・物産振興課長 御指摘のとおり、近年、学習や体験型の観光に対します人気が高まっておりまして、伝統的な産品の生産現場は、それ自体が大変有力な観光資源となります。県では、県内の魅力的な物産と観光を組み合わせた体験型・着地型観光ルートをつくるなど、物産と観光を一体的に推進しております。例えば、筑後田園都市推進協議会が実施します観光体験ツアーへの線香花火づくり体験などを取り入れまして、また、国内外での旅行博やウエブサイトでの和紙づくり、人形絵つけなど、体験型観光資源のPR、情報発信を行っております。

◯板橋 聡委員 県としてもルートづくりに具体的に取り組み始めていることはよくわかりました。
 しかしながら、このような伝統産業をやっております事業所は、規模が非常に小さい、弱小なんですね。それでも、この伝統産業の意義をぜひ多くの方に広めていきたいという情熱、熱意だけで、一生懸命受け入れ体制をとって、観光客が来られたらいろいろなガイド役を自分で買って、頑張っていらっしゃるというところがほとんどでございます。そういう意味でも、観光資源としてのPRも行いながら、本業の事業性を継続させて、さらに売り上げを図るという意味では、余り事業者さんに負担がかかるというのがあっては、逆に本末転倒になってしまうと思います。ですから、そういう意味では、実情に合った、きめ細やかな支援が必要だと思いますけれども、それに関してどのような支援が考えられるか、お答えください。

◯武濤観光・物産振興課長 私どもも、伝統的な産品の作り手の方々にいろいろお話をお聞きしております。その中で、皆さん、自分たちがつくられます産品を多くの方々に知ってほしいとの思いから、仕事の合間に観光客の受け入れをしておられるとお聞きしております。ただ、確かに御指摘のとおり、現場の方々の負担を考えますと、観光客の誘致を進める場合には、現地の案内や産品を説明する資料など、受け入れ体制をきちんと整備していくことが必要であります。
 このため、県が今後、産地の紹介パネルやパンフレットなど、いろいろな観光展や物産展などで産地と協力してつくっておりますけれども、こういったものを今後つくるに当たりましては、地域のそういった実情にも応じまして、単に展示会とかだけで活用するだけではなくて、後に現場でも個別に使えますように、その盛り込む情報、デザインであるとかをしっかり工夫してまいりたいと考えております。
 また、個別の産品の希少性、価値を伝えるボランティアガイド、あるいはずっと添乗していかれるガイド、そういったガイドを育成しまして、観光客を受け入れられるように支援してまいります。さらに、地域が行う観光資源の磨き上げや、環境整備などを支援する県の事業として、「地域の魅力を磨く観光地づくりモデル事業」等がございますけれども、そういった事業の活用を、地元市町村や観光協会等に対しまして、しっかり働きかけてまいります。

◯板橋 聡委員 やはり、こういったところは県の知恵が必要だと思います。市町村でどれだけやろうとしても、事業者でやろうとしても、人もいなければ知恵もなかなか少ないと。ここはやはり県でしっかりと支えていくことが大事だと思いますし、そのためには必要なお金も投入していただかなければいけないと。この両方をしっかりやっていただきたいと思います。
 知事は、この質問を最初させていただいたときは、中小企業振興課のほうで一元的な、伝統工芸の対応をワンストップの窓口にするということで言われておりましたけれども、今年度から観光・物産振興課という形で、まさに名前と事業が一体となるような組織ができたと私は思っております。ぜひ、これが福岡県の物産・観光の振興の目玉になるようなおもしろい取り組みを今後やっていっていただきたいと思いますけれども、そこに向けて、ぜひ部長の決意を聞かせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 今村商工部長。

◯今村商工部長 先ほど委員から御指摘いただきましたとおり、こういう地域で受け継がれてきた伝統的な産品といいますのは、やはり一度途絶えてしまうと、その復活は非常に困難であると認識しております。そういうことで、今現在、指定の品目にまだなっていないところも、広く制度の周知を図って、ぜひとも指定の拡大に向けて検討していきたいと思っております。
 伝統工芸品につきましては、従来からいろいろな、我々、販路拡大の取り組み等々を行っておりますけれども、やはり、それだけでは限界がございますので、そういう点では観光と一体となった振興を進めていきたいと思っております。県の観光のパンフレットにもどんどん載せていきたいと思っていますし、いろいろな施設を活用した展示もやっていきたいと思っています。何より、やはり地域の観光ルートなどに組み込んでいくことによって、より一層、地域の取り組みが盛り上がり、また実際、なりわいとされてある事業者の皆さんの、少しなりとも収益の拡大につながっていくような取り組みを行っていくことが大事だと考えております。そういった取り組みを進めまして、本県に今残っております、本当に貴重な伝統的な産品の振興をしっかり進めていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 これは商工部だけではなく、社会科見学で教育庁のほうとかかわったり、あるいは原材料で農林水産部とかかわったり、いろいろな部署とかかわりがございます。ぜひ、その司令塔としての役割を果たして、ますます伝統産業の振興、維持に努めていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「鳥獣害対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。本日最後の質問になりますので、よろしくおつき合いのほど、お願いいたします。
 まず、執行部に、鳥獣被害に関する被害額推移、捕獲数の推移、対策費の実施状況に関する資料を要求したいと思いますので、お取り計らいのほど、お願いいたします。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。今村畜産課長。

◯今村畜産課長 直ちに提出します。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、まず簡潔に資料の説明をお願いします。

◯今村畜産課長 資料を説明させていただきます。
 資料の一は、農林水産物の被害額の推移です。被害額は、平成二十二年度までは増加していましたが、その後、減少傾向に転じ、平成二十五年度は十二億四千万円余となり、前年度と比べ約一億九千万円の減となりました。
 二は、鳥獣捕獲数の推移です。鹿、猿で増加傾向にあります。二十五年度については、イノシシが約二万三千頭、鹿が六千五百頭捕獲されました。
 三は、有害鳥獣被害対策費の推移です。平成二十四年度から大幅に拡充されております。
 四は、平成二十五年度の鳥獣対策実施状況です。侵入防止柵の整備、捕獲機材の導入の支援などを行ってまいりました。

◯板橋 聡委員 この資料を見る限り、有害鳥獣被害対策予算は過去五年、大幅に増額され、その一方で被害額は減少傾向にあり、捕獲数はふえておると。
 私自身、平成二十三年六月議会、議員になって初めての一般質問がこの鳥獣被害対策でした。その当時の担当課長からしっかりした回答をいただきまして、こういった結果が出ておるということで、地元で胸を張って報告したところ、各地で、「それは県議、現実ばわかっとらっしゃれんばい。むしろ悪うなりよる」と言われてしまったわけでございます。
 それを踏まえて今回、質問をさせていただきます。
 まず、カラス等の鳥類の被害対策について、平成二十三年六月議会で質問したところ、当時はまだ有効な対策というのがなく、知事も他の取り組み事例を参考にして有効な方法を探求したいという回答でございました。
 そこで、三年が経過し、現在、県としてカラスなど鳥類の被害対策としてどう取り組んでいるのか、その情報をまたどういうふうに伝えているのか、お示しください。

◯今村畜産課長 防鳥ネットや爆音器による追い払い、銃による捕獲などを推進してきた結果、県全体としては鳥類の被害額は減少してきていますが、今なお被害が多数発生しております。
 このような中、うきは市は、県の支援により、カラスを効果的に捕獲できる大型の箱わなを設置しました。この情報を県内の市町村などに提供することにより、県内地区において同様の大型の箱わなを導入しました。また、国が、鳥類の被害防除に高い効果を有する釣り糸を空中に張り、外周部を防鳥ネットで囲む方法を開発しました。これらの情報を県は市町村に提供するとともに、ホームページに掲示しております。さらに、今年度はカラス被害防除の専門家による現地研修会を県内二地区で開催する予定です。

◯板橋 聡委員 鳥類関係の被害がふえておるという話も聞きますので、これは継続して、ぜひ拡充をしていただきたいと思います。
 続きまして、鳥獣捕獲のために狩猟者が地域において活動してもらう必要があると思います。ところが、狩猟者は非常に高齢化して、そして減少傾向にあると聞いております。鳥獣被害に対する最終防衛組織とも言える捕獲を行う担い手の確保をどのようにされているかということを教えてください。

◯今村畜産課長 県では、狩猟免許試験について、平成二十三年度までは狩猟期に入る前の夏場に二回開催していましたが、農林業者が受験しやすいように、平成二十四年度から農閑期の一月に、また、さらに今年度から九月を加え、現在、年四回にふやして実施しております。また、県のホームページやイベントなどで、狩猟の社会的役割や魅力について広く県民にアピールし、積極的に狩猟の啓発を行っているところでございます。
 また、銃猟免許取得にかかわる経費助成を平成二十五年度から行い、銃猟免許取得者の確保を図っております。この結果、銃猟者の年間合格者は平成二十三年度の二十九名から二十五年度の八十一名に増加しました。

◯板橋 聡委員 結果としては非常にふえておるようですけれども、恐らくこれは地域に偏りがあるのではないかと思います。みやま市、八女市などは非常に広大な面積の中、こういった地域ごとの変化、狩猟人数の変化というのにも今後ぜひ注意を払って、対策を打っていただきたいと思っております。
 続きまして、実際に被害に遭った住民が最初に相談するのは市町村の窓口となると思いますけれども、市町村における鳥獣被害対策の取り組み状況はどうなっていますでしょうか。

◯今村畜産課長 市町村は、現場における鳥獣の生息状況や農業被害の把握、地域での捕獲の支援などを担っております。具体的には、鳥獣被害が発生している市町村では、被害防止計画を策定し、猟友会やJAなど関係機関と連携しながら、侵入防止柵や箱わなの設置、捕獲などを実施していただいております。
 また、鳥獣の捕獲や集落における指導助言を行う鳥獣被害対策実施隊が各市町村に組織されています。この実施隊員は、法に基づき、市町村長が市町村職員や民間の方から任命し、鳥獣被害対策における重要な役割を担っていただいております。国も県も、市町村へのこの実施隊の設置を働きかけていますが、全国市町村の平均設置割合が約六割に対し、本県では被害防止計画を策定している市町村の九五%に当たる五十四市町村で設置するなど、積極的に実施隊を設置していただいております。

◯板橋 聡委員 そうなんですよ。すばらしくいいんですよ、福岡県は。ところが、我々が現場でいろいろな有権者の話を聞く、あるいは山合いに住んでいらっしゃる方のお話を聞くと、非常にそこら辺が困っている、なかなか市町村が対応してくれないという話を聞きます。現実問題として、市町村の鳥獣被害対策は、実際、市町村職員の人員配置が満足に行われていなかったり、担当になられた方の知識・経験が不足していたりして、被害を受けた住民に対する対応が不十分ではないかという感じが否めません。
 そういった中、やはり県の適切な関与や指導が必要と考えますけれども、現在、県としてはどのようにして市町村を支援しているのか、教えてください。

◯今村畜産課長 県は、市町村が行う被害防止計画の作成や防除処理設備の整備、また、捕獲従事者の育成を支援しているところでございます。特に県の出先機関であります農林事務所が、平成二十四年度から保健福祉環境事務所が所管していました鳥獣捕獲も加え、一元的に市町村の取り組みを支援しているところです。また、農林事務所ごとに鳥獣被害対策広域協議会を設置し、市町村を超えた広域的な連携も支援しているところです。

◯板橋 聡委員 三年前に質問して以降、県内、県庁のいろいろな部署に散らばっていた鳥獣被害対策の部署が一元化されて、今、畜産課のほうに集められたと。これはすばらしい改善だと思いますし、また、広域協議会というものをつくっていただいて、鳥獣被害に対する情報交換をされておるということではございます。ところが、まだなかなかその実感がいま一つ現場では湧いていないと。
 先ほど鳥獣被害対策広域協議会の話が出ましたけれども、これは私、県と市町村、地域をつなぐ重要な鳥獣被害に対する対策組織だと考えておりますけれども、これは一体どのような体制で、内容としてはどのような協議がされているか、教えてください。

◯今村畜産課長 鳥獣被害防止対策協議会には、農林事務所ごとの広域協議会と、おおむね市町村域の地域協議会がございます。まず、広域協議会では、市町村をまたがる捕獲計画の策定や市町村職員の技能向上を図るための侵入防止柵の設置方法などの現地研修会を開催しております。また、市町村の地域協議会には、市町村や地元JA、猟友会などがメンバーとなり、実際に被害防止に向けた侵入防止や捕獲計画の策定と実行の評価について協議していただいております。

◯板橋 聡委員 回答いただけばいただくほどだんだんわからなくなるんですけど、このように予算もばっちりついておる、体制もよく整備されておる、そして捕獲される鳥獣の数も伸びている。ところが、この中で、いろいろな中山間地をお持ちの議員の先生もいらっしゃると思いますけど、地元で声を聞くと、体感的に被害が減少しているというのは全く聞こえてこないんですね。むしろ被害が昔よりひどくなっているのではないかという悲鳴が聞こえてくるような状況なんです。
 これは、もし一人からというお話でしたら、何か極端な事例とか、何かトラブルがあっているのかなと考えられますけれども、実際私の地元でも複数人、複数の地域から同時にいろいろな声が聞こえてくるんですね。だから、これは国、県の体制があって、市町村の体制がある、この中でどこかで何かがちゃんと機能していないのではないか、何かがおかしいのではないかと推察しておるんですけれども、県としてこのような状況をどうやって解消するのか、どうやって克服するのか、お考えをお示しください。

◯今村畜産課長 今、委員御指摘のありました集落のレベルアップというようなことでございますが、国及び県の施策が十分に市町村や集落に届くよう、各レベルの協議会において情報提供を行うとともに、集落や地域によって取り組みが滞っているところに対しましては、重点的に指導してまいりたいと考えております。また、各種研修会を開催し、市町村職員や鳥獣被害対策実施隊の技術向上を図り、集落において的確に助言指導ができる人材の育成に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 最後に部長にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、国、県レベルでは予算、体制はしっかりと整えて、対応している。このような事業というのはなかなか少ないと思います。しかしながら、住民の皆様にその効果がよく感じられていないとするならば、それは非常にもったいない、残念なことだと思います。
 先ほど課長から、県から市町村への指導体制の強化や、集落ごとの事情に柔軟に対応できる指導者育成をするということに言及がございました。まさにこれは、事件は会議室で起こっているのではない、現場で起こっているのだという、僕の年齢がわかるようなことをちょっと言ってしまいますけれども、これが機能して、住民の皆さんが体感できるレベルで鳥獣被害を減らすために、部長、これから何を変えて、どういうふうにやっていくのか、ぜひ決意のほどをお聞かせください。

◯松尾統章委員長 小寺農林水産部長。

◯小寺農林水産部長 有害鳥獣駆除につきましては、市町村の方が実際の現場で今、一生懸命やっていただいているところでありまして、先ほどから市町村の支援、活動については課長のほうが説明しましたけど、中でも全国平均を上回る割合で鳥獣被害対策実施隊を設置しているということで、市町村のほうにおかれましては積極的な対策をとっていただいているところでございます。この流れが途切れないように、今後もしっかり市町村のほうには支援をしてまいりたいと思っております。
 ただ、今、委員から御指摘がありましたように、地域によっていろいろ異なった課題が、人員の問題とか知識、そういう問題があるということでございます。今回の御質問を踏まえまして、地域の課題、そういうニーズ、これをよく聞いて、さらにきめ細やかな対応ができないか、そういうものを今後もやっていきたいと思っております。
 有害鳥獣対策につきましては、いろいろな機関が一緒になってやっていくことが重要でございますので、今後とも市町村、猟友会、関係団体、そういうものと一緒になって総合的に鳥獣対策を進めていくことで被害の軽減に努めてまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 相手がけもの──動物の話でございますので、なかなか思うとおりにはいかないとは思いますけれども、私も井上委員と一緒に、四年後ぐらいにはまたこれをレビューさせていただきたいと思いますので、ぜひいい結果が出るように、今後とも引き続き努力をしていただきたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「オリンピック等のキャンプ地誘致について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催され、二〇二〇年に日本で二度目となる夏季オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。九月議会で、吉村議員、伊豆議員の一般質問において、小川知事はこの二つのスポーツの祭典において、その盛り上がりを福岡で活力にすべく、キャンプ地誘致に対して強い意気込みを御披瀝いただきました。本日は、もう少し具体的な話を伺いたいと思います。
 本県でキャンプ地誘致を行う意義は何か、これをちょっと、まずは部長からお答えいただければと思います。

◯松尾統章委員長 大曲新社会推進部長。

◯大曲新社会推進部長 この意義でございますけれども、まず、本県でキャンプが行われることは、県民の方が世界のトップアスリートのプレーを直接見ることにつながり、また、交流するということでもありますので、スポーツに対する関心が非常に高まる機会になると考えております。そして、見る、交流するということで、特に子供たちにとっては、スポーツへの夢、そして目標を持つことにもつながってくると思います。
 また、キャンプが行われることで、国内外からの観光客が大変多く訪れることが期待されます。その方たちに福岡のよさを知ってもらうことによりまして、大会後のリピーターとして観光客の確保にもつながっていくなど、地域の活性化といった効果も期待できるのではないかと考えます。

◯板橋 聡委員 一つ大事な視点が欠けているのかなと。キャンプ地誘致によって、スポーツをしない人も、福岡県にいながら、主体的にオリンピックに参加できること、これが大事な意義の一つかなと思いますが、この思いは共有していただけますでしょうか。

◯大曲新社会推進部長 委員がおっしゃられましたように、スポーツをしない人も、そういったことで非常に、一緒にスポーツを楽しむということで関心が高まってくると、それはもちろんでございます。

◯板橋 聡委員 現在、県内では、ラグビーワールドカップには十七、オリンピック・パラリンピックには二十六自治体が、キャンプ地誘致の意向を示していると聞きますが、その中にはスポーツ施設は保有しますが、それ以外のソフトやハード面での対応、例えば宿泊施設や通訳スタッフの確保、ボランティアが集まりにくいなど、キャンプ全体の受け入れに困難を抱えている自治体もあると考えますけれども、県の御認識はいかがでしょうか。

◯松尾統章委員長 清水県民文化スポーツ課長。

◯清水県民文化スポーツ課長 誘致を希望する自治体の中には、委員の御指摘のとおり、スポーツ施設を有するものの、宿泊施設が十分でなかったり、通訳等ボランティアの確保をすることが難しいという自治体があることは認識をしております。

◯板橋 聡委員 そのような自治体では、せっかくすばらしいスポーツ施設を持って、住民の機運が盛り上がっていたとしても、キャンプ地誘致が失敗したとなると、元も子もないと思います。
 私の地元みやま市も、どんなトップレベルのチームがやってきても胸を張って受け入れられるプール設備が、平成二十六年にでき上がります。しかしながら、宿泊施設が十分でなく、「外国人ってテレビでしか見たことなかばい」と。このような自治体に対して、県はどのように支援をしていただけるのでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 このような自治体におきましては、近隣の自治体と共同することによりまして、宿泊施設等、施設面の課題を解決することが可能ではないかと考えております。
 また、このように広域でキャンプ誘致を図ることは、キャンプ終了後も広域連携、地域全体の活性化につながることが期待できると考えております。
 通訳等ボランティアスタッフにつきましては、県といたしましても、その確保に努める必要があると考えておりまして、今後地域のボランティアの育成を含めまして、留学生サポートセンターや大学等と連携をするなど、具体的な取り組みについて考えていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 自治体によっては、地域内にある県所有のスポーツ施設を活用してキャンプ地誘致を行おうとするところもあると考えますけれども、このような場合、県はどのような立場で自治体との間にかかわるのでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 今月実施することが決定をいたしましたスウェーデンのオリンピック委員会のキャンプにつきましては、福岡市内にあります県有施設、県立のスポーツ施設も利用することとなっております。県といたしましても、福岡市とともに主体となって、視察や施設利用に当たっての折衝を行っておりまして、最終的には福岡市と連名で協定書の調印を行ったところであります。
 各自治体が、他の県有のスポーツ施設を利用する場合におきましても、この場合と同様に、県としては、主体的にかかわっていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ足並みをそろえて、リードするぐらいの気持ちでかかわっていっていただきたいと思っております。
 オリンピックのキャンプは、スウェーデンのように、選手団全体が福岡市一カ所で行う場合もあれば、単一種目でキャンプを行う場合もあると聞いております。規模の大きくない市町村がキャンプ地誘致を目指す場合、単一種目のキャンプを誘致することも有効と考えますが、その場合、日本水泳連盟とか日本テニス協会のような当該種目の中央競技団体の人的ネットワークを活用して、海外の競技団体へのアプローチが必要だと思われます。しかし、そのようなパイプを持っている自治体はほとんどございません。県内にはスポーツ強豪校と呼ばれる高校や大学など、国内外の競技団体と強いつながりを持つところもございます。こうした関係者と連携、協力して、誘致に取り組むことが必要ではないかと考えますけれども、御所見をお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 県内には柳川高校のテニス部や東福岡高校のラグビー部、さらには福岡大学等、海外とのネットワークを持つ高校や大学等が存在をしております。このような関係者の協力を得ることは、キャンプ地誘致を成功させるために大変重要なことだと考えております。
 今後、こうした学校関係者を初め、県体育協会、県競技団体にオブザーバーとして連絡会議に参加をしていただき、海外の競技団体の情報提供を含めたアドバイスや、関係者の有するネットワークの活用など、協力を求めていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ連絡会議は、行政主体の内輪の集まりになるのではなくて、外部の知恵だとか人的ネットワークを活用していただくことを期待しております。
 県は、これまでキャンプ地誘致を目指す自治体の連絡協議会を七月に立ち上げ、今後は情報提供やアドバイザーの派遣、または各自治体の保有施設など基礎資料を作成して、海外プロモーションをするということでございましたけれども、一番大事なのは、東京オリンピックを福岡県もキャンプ地誘致という役割で支えて、成功させようという県民の機運の醸成と考えます。この件について県はどのようにお考えでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 キャンプ地誘致に向けましては、委員御指摘のとおり、受け入れ地域の盛り上がり、機運の醸成が重要であると考えております。このため県では、来月十六日に開催いたします市町村対抗福岡駅伝をメーンとしますスポーツの総合祭典の中で、日本オリンピック委員会と協力をいたしまして、県民の皆様がオリンピックを身近に感じていただけるよう、元オリンピック選手六名と一緒にスポーツを楽しむイベントを予定しております。また、二月にはオリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップの試合会場誘致及びキャンプ地誘致に向けた機運を盛り上げるためのシンポジウムなどを開催する予定にしております。
 今後も、こうした取り組みを通しまして、機運の醸成を図り、通訳等ボランティアスタッフの確保を含め、キャンプ地誘致に向けて、さまざまな取り組みを行っていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 個々の事業はそれでいいと思います。ただ、県民全体が「福岡県はキャンプ地誘致で東京オリンピックを支えていく」という思いを共有して盛り上がれるような一大キャンペーンを行うべきじゃないかと、私は考えます。数年前から、東京に出張に行きますと、「二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを日本で」「今日本にはこの夢の力が必要だ」「この感動を次は日本で」というポスター、広告、のぼり、テレビCMなどを、地下鉄だとか公共施設だとか至るところで目にしました。私は、その雰囲気にのまれて、いやが応でも気持ちが高ぶって、それがやはり二〇一三年九月七日のブエノスアイレスでの興奮、感動につながったんじゃないかと思っております。あの感動、あの昂揚感を東京だけでなく、ぜひ福岡県でもと、私は思いますけれども、そのためには、キャンプ地誘致の県として行う一大キャンペーン、こういったものが必要だと感じますが、御所見をお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、キャンプ地の基準を示すガイドラインを本年中に公開する予定にしております。その後、国内各地でキャンプ地活動が本格化すると考えております。
 委員御指摘の県を挙げた誘致活動の機運の醸成につきましては、今後その内容について検討していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、今、六年前ですから、まだあまり熱というのは盛り上がっていませんけれども、そういうところにちゃんと火をつけていると、一年前、二年前にどかーんと盛り上がると思いますので、ぜひそういった仕掛けをして、県民みんなが一体になれるようなキャンペーンを、小川知事をリーダーとしてやっていただきたいと思っております。
 ちなみに、大曲部長はスポーツは自分でされるほうですか、それとも見て楽しむほうですか。どんなスポーツがお好きですか。

◯大曲新社会推進部長 私自身のことで恐縮でございますけれども、スポーツはするのも見るのも大好きですが、まず、するのは大好きです。ちなみに、済みません、私ごとですが、テニスはずっとしておるんですけれども、武道にも取り組みをしております。

◯板橋 聡委員 そういう理解のある部長で、ますますオリンピックキャンプ地誘致も進むのではないかと思っておりますが、スポーツは自分でする、そして見て応援する、楽しむ、そして裏方として支えるというさまざまな形で、いろいろな年代の方、男女問わず、ハンディキャップあるなし問わず、かかわることが可能だと思います。福岡県もキャンプ地誘致成功により県民がもっとオリンピックに主体的に参加できるよう、最後に部長の意気込みをお聞かせください。

◯大曲新社会推進部長 先ほど意義については申し述べましたので、今回、決意ということでお話をさせていただきます。
 委員も、東京に行くと、オリンピック・パラリンピックの熱が非常に熱いということをお話しされました。やはり、オリンピック・パラリンピックの成功に向けては、東京だけではなく日本全国でやるという意気込みが大切ではないかと思います。また、そういった中で、県内の自治体でキャンプ地を誘致していくことは、本県のスポーツの振興、また、地域活性化を図る上でも大変効果があるものだと思っております。
 このため、課長も先ほど申し上げましたが、誘致を希望する自治体への情報提供、また、アドバイザーの派遣、こういった支援を行いまして、関係機関としっかりとスクラムを組んで、あらゆる機会を通じまして海外に対するプロモーションを実施し、キャンプの誘致に取り組んでまいります。また、県内におきましても、二〇二〇年に向けて、機運をしっかりと醸成させていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひお願いいたします。終わります。(拍手)

平成26年9月議会一般質問「人口減少社会への対応について」

録画中継にて知事答弁を含めて視聴する事が可能です。
板橋聡の議会質問録画中継
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質問要旨 一、人口減少社会への対応について
     1.県における「まち・ひと・しごと創生」
    2.農村地域振興
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、ごきげんよう。自民党県議団の板橋聡です。本日は、人口減社会への対応について質問いたします。
 本年五月に発表された日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略、いわゆる消滅自治体リストは、今まで真っ正面からの議論にならなかった人口減少、東京一極集中の問題に警鐘を鳴らし、大きな波紋を呼びました。それに端を発し、七月二十五日に政府は、まち・ひと・しごと創生本部設立準備室を立ち上げ、九月の内閣改造では地方創生担当相を設置、第一回のまち・ひと・しごと創生本部会合が開催され、本日開会の通常国会にて関連法案を提出するなど矢継ぎ早に対策が打たれています。九月十二日に開催された、まち・ひと・しごと創生本部の第一回会合にて決定された基本方針では、地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服するために、従来の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行していくとあり、政府の不退転の決意を感じます。今後は、地方から上がってくる施策について国が支援していくこととなりますが、石破地方創生担当大臣は九月十三日に行われた講演で、うちの町をよくするために、と地方から案を言ってくれれば人も出すし、お金も支援するが、やる気も知恵もないところはごめんなさいだ、と述べ、地方自治体の自発的な取り組みが支援の前提であることを明言しました。
 そこで質問です。本県では個性ある地域づくりのために筑後田園都市構想、京築アメニティ構想などの施策が存在しますが、国が、従来の延長線上にない次元の異なる大胆な政策を推進しようとする中、福岡県におけるまち・ひと・しごと創生の施策が既存施策の焼き直しになってはならないと考えます。知事のリーダーシップにより、福岡県が国のどぎもを抜くような、そして職員のみならず県民を奮い立たせるような、従来とは次元の異なる、斬新で目玉となる政策を打つことこそが、新たなステージに入った人口減少対策の一丁目一番地と考えますが、知事御自身の言葉で思いと決意をお聞かせください。
 日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略では、合計特殊出生率が一・一三と全国平均より際立って低い東京が地方の若者を吸い上げ、国全体の少子化を加速させていることを指摘し、少子化をストップさせ地方を元気にするための総合的な戦略が提言されております。福岡県の人口動態は、福岡市を中心とする福岡都市圏が県内のみならず九州全域から若者を吸い上げ、さながら日本の縮図です。ちなみに、過去五年間の福岡県全体の特殊出生率一・四三に対し、福岡市中央区の特殊出生率は何と〇・八七、博多区は一・一五でございます。現時点では九州一の活況を呈す福岡都市圏ですが、それに甘んじて地方から若者が大都市へ流出する人の流れを変えなければ、日本創成会議が指摘するように、人口減少に歯どめをかけられず、県全体の活力が失われるわけです。
 そこで質問です。人口減少対策については、地方からの人口流入による福岡都市圏の活力だけに頼るのではなく、北九州、筑豊、筑後それぞれの地域の人口を維持し県下全域の活力が失われないよう、細やかな施策を打ち、その効果を測定するために、地域ごとの数値目標を設定すべきと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 さて、これまで人口減少対策や定住人口の維持拡大について質問がありますと、知事は毎回、魅力ある雇用の場をつくっていくことが何よりも重要と答弁されております。肥沃な筑後平野に広がる、私の地元みやま市を含む県南地域は農村地帯で、農業こそが各地域が持つ特性や資源を生かす主要産業であり、雇用のベースだと考えます。その後継者が農業を継ぐ意思と誇りを持って就農し、地域を支えるようになるべきと考えます。しかしながら、福岡県では、活力ある高収益型園芸産地育成事業など特徴的な園芸農業支援を行っていますが、品目によっては担い手不足が深刻な状況です。
 ここで知事に質問です。担い手不足の問題は、売り上げが十分確保されていないからです。園芸農業において、売り上げが大きい魅力ある経営を行う生産者を育成しなければならないと考えますが、知事の認識を御披瀝ください。
 また、あまおうやとよみつひめなど、独自品種によりブランド化しやすく他品種よりも販売価格を高目に設定できる品目もありますが、ナス、アスパラガスなどの野菜は差別化が難しいです。これらの品目の販売価格を高め収入をふやす取り組みをどのように行うのか、知事の所見をお聞かせください。
 認定農業者の親御さんから、息子に農家の後を継がせきらん、継がせたくないという言葉をよく耳にします。詳しく話を伺うと、実家を離れて就職した息子さんに、会社をやめてまで実家の家業である農業を継がせることにちゅうちょする、その最大の理由は売り上げ、収入でした。サラリーマンとして家族を養い月に二十万円以上の給与を得ていたとしても、一度会社をやめて農業の世界に踏み込んだら、ずぶの素人。園芸農家として一人前になるには十年は必要とも言われます。息子が帰ってきたからといっても、ある程度の技術習得ができるまでは、作付面積を二倍にして息子たちのために売り上げ増を図ることもままなりません。つまり、子供が会社をやめて後継者として親元で農業をする場合、人員は倍になっても、技術習得に時間がかかり、すぐに規模を拡大することもできず、結果として一人当たりの所得が半減してしまうということです。これはまさに農家という経営体における事業承継の課題と捉えます。
 そこで質問です。経営リスクを負う新規就農者の経営が安定するまでの支援策として青年就農給付金がありますが、青年就農給付金は農業とは縁のない方が新規に就農される場合を想定して制度設計されております。親元で就農する農業後継者には使いにくい補助事業です。地方の人口が減少する中、農村地域の活力を失わないよう、県として親元で就農する農業後継者に対ししっかりした支援を行うべきと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 以上、知事の真摯な答弁を期待して、一般質問を終わります。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 県における、まち・ひと・しごと創生についてでございます。本県では、人口減少社会に対応するため、まず少子化につきましては、出会い、結婚、出産、子育て、就職支援といった人それぞれのライフステージに合わせた、きめ細かな施策を総合的に推進をしてきているところであります。また、社会増減について、各地域の定住人口、なかんずく若者の定住を維持、拡大をしていくためには、先ほど議員も御指摘ありましたが、地域に魅力ある雇用の場をつくることが何よりも重要であります。このため、各地域が持っております特性や地域の資源を最大限活用して、製造業の競争力の強化、企業誘致、観光の振興、それから農林水産業の経営力の強化など、産業振興を図ってまいりました。今般、国において、まち・ひと・しごと創生本部が設置をされました。今後、国の総合戦略が年内にも決定をされ、地方における取り組みに対し支援が行われる見込みでございます。これらを受けまして、本県としましては、これまで実施をしてきた取り組みを評価、検証しながら、さらにこれを充実させていきたい、また市町村初め広く関係者から御意見も伺いながら、県民のニーズに対応した新しい施策の企画、立案に努めてまいりたいと思っております。また、施策を具体化する際には、できる限り国の施策も活用してまいります。このようにして人口減少社会における諸問題、諸課題に全力で取り組んでまいります。
 次に、地域に配慮した人口減少対策についてお尋ねがございました。本県におきましても、福岡都市圏を中心に人口が増加をしております一方で、県内の多くの地域において人口減少というものが続いております。各地域の人口減少に歯どめをかけ、活力を維持するためには、それぞれの地域、その課題は異なりますことから、画一的な対応ではなく、地域の実情に即した施策を効果的に実施することが不可欠であると考えております。このため本県におきましては、今後とも、人口減少社会に対応できるよう、県民意識調査などの各種調査の結果、また市町村や関係団体の御意見などを踏まえて、各地域の特性、その地域資源を生かした、きめ細かな施策に取り組んでまいります。
 なお、地域ごとの人口に関する数値目標の設定につきましては、国が今後策定をいたします総合戦略の状況を十分踏まえた上で対応を検討してまいります。
 次に、園芸農業における魅力ある経営についてお尋ねがございました。本県農業の主力でございます園芸農業につきましても、高齢化の進展による産地規模の縮小が懸念をされているところであります。このため県では、雇用型経営の導入による規模の拡大を進めてきているところであります。具体的には、雇用型経営を志向する農家に対しまして、年間雇用を図るための品目の組み合わせ、規模拡大に伴うハウス施設や省力機械等の導入、それらの支援を行っているところであります。このような取り組みを進めた結果、雇用型経営体の数は、平成二十二年の千百八十三経営体から二百六増加をいたしまして、現在、千三百八十九経営体となってございます。また、県内の主要品目でありますイチゴやナス、これにおきましても経営規模が大きく、雇用を導入している農家では、その売り上げも増加し、こうした農家には後継者の方も育っているところであります。県としましては、このように雇用型経営は後継者の確保にもつながる魅力のある経営に資することから、さらにこれを進めていくことが必要であると考えております。
 販売価格を高める取り組みについてお尋ねがございました。ナスやアスパラガスといった日常的に消費をされます野菜は、品種による優位性が発揮しにくいことから、まず品質管理を徹底する、それから実需者のニーズに対応した販売面での取り組みというものが重要になっております。このため、ナスの産地におきましては、量販店のニーズに対応し、段ボール箱のばら出荷でありましたものを、二本から四本入りの小袋包装、これを導入することをやりました。そういった商品アイテムの多様化を進めた結果、販売価格が上昇しております。また、消費者への認知度向上を図っていくために、ナスの産地を持つ他県と共同いたしまして首都圏で消費拡大のイベント、また量販店における試食販売を行っているところであります。さらに、外食産業と連携をいたしまして、ナスやアスパラガスを初めとした県産の農林水産物を使った料理を提供していただく福岡フェアというものを開催をし、福岡県農林水産物の認知度の向上とあわせ、その販路の拡大にも取り組んでいるところであります。今後とも、こうしたPR、販売促進活動に取り組んでいきまして、販売価格の向上に努めてまいります。
 次に、農業後継者に対する支援でございます。農業後継者は新規就農者の約七割を占め、農村地域の担い手となる重要な人材であります。国では、親元で就農する農業後継者でありましても、就農時は経営が不安定なことから、その間の所得を確保するために、平成二十四年度から、一定の条件のもとに青年就農給付金を交付しております。また、本年度からは、親の農地だけで営農する場合にも、その給付金が交付されることになっております。県におきましても、農業大学校での養成や普及指導センターにおける就農講座の開催、個別現地巡回などを通じまして、農業後継者に対する技術面それから経営指導面、きめ細かく支援を実施しているところであります。さらに、初期投資を軽減するため、水田や園芸農業に必要な機械、施設の導入経費に対しまして、県単独の事業でその助成を行っているところであります。これからも、こうした国の制度や県の制度、取り組みを最大限活用しながら農業後継者の支援に努めてまいります。

◯議長(加地 邦雄君) 板橋聡君。

◯十一番(板橋 聡君)登壇 福岡県版まち・ひと・しごとに対する思いと決意について、私がちょっと聞き方が悪かったのか、答えていただいていないかなと思える部分がございましたので、質問の意図の説明を含めて再質問をいたします。
 一九八〇年代、日本のサッカーがプロ化をしようと、そういった機運が盛り上がっておりました。その後、バブルが崩壊して、そして慎重論が出てきたと。ある会議の中で、そのプロ化に対して抵抗する方々が、そんなことをやっても、もうちょっと景気が回復してやったらどうだと、時期尚早じゃないか、あるいは、まだプロスポーツなんて日本には野球しかない、そんな前例がないことをやって失敗したら誰が責任とるんだというネガティブな発言をされたと。そこにすっと立ち上がったのが川淵三郎、後の日本サッカー協会の会長でございます。その方は、時期尚早と言う人間は百年たっても時期尚早と言うんだ、前例がないと言う人間は二百年たっても前例がないと言うんだと。時期尚早というのは、やる気がないということの裏返し、前例がないということは、私はアイデアがありませんということの裏返し、恥ずかしくて言えないからそういう言葉を使うんだと。仕事は、できないことにチャレンジして、できるようにすることが仕事なんだと。この名演説により、日本のサッカーはプロ化の機運が再度高まり、御存じのとおり、一九九二年にJリーグが発足いたしました。ある評論家は、二十一世紀のリーダーシップの一つは、やけどするような熱い情熱、パッションが必要であるというふうに、この川淵三郎の言葉を言われております。評価されております。非常に格好いい話だなと、私は大好きなエピソードではございますが、こんなことが自分の身の回りで起きないような、そんな遠い話かなと思っておりました。しかしながら、そうではございませんでした。
 平成二十五年十二月議会、一般質問の答弁に立った樋口県警本部長の悲壮とも言える暴力団排除に対する決意表明。議場は、降壇する樋口本部長に対して、自然発生的に満場の拍手が起こりました。我々は、県警トップの退路を断った断固たる意志、これにある種、感銘を受け、本部長がそこまで言うなら議会は全力で応援するぞと、気持ちが、そういう気持ちが拍手にかわったのではというふうに思っております。そして、一番にその言葉が心に響き、意気に感じたのは県警職員だと想像します。九カ月後、工藤會ナンバーワン、ツーの逮捕につながったのは、樋口本部長のリーダーシップにより一致団結した福岡県警の実績であることは疑いのないところだと思います。
 出生率改善の五年のおくれは、将来の安定人口を三百万人減少させると言われております。もはや一刻の猶予も許されない福岡県の人口減少対策は、施策だけで解決するものではありません。県政トップの知事が退路を断ち、リスクをとって決断をし、職員一人一人が一丸となり立ち向かう意志を共有し、県民もその熱に突き動かされ、オール福岡で人口減少に立ち向かわせる、そんな熱いリーダーシップが必要と私は考えますが、その件について、知事の思いと決意をお聞かせください。
 以上、再質問です。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 現在最重要の、また喫緊の課題であります人口減少社会、その到来に向けての対応でございますが、私自身、やけどするようなと言うかどうかわかりませんが、それに負けないぐらいの熱意でもって取り組んでいきたいということをお伝えをしたいと思います。そのために、私をトップとする本部もつくって、あらゆる角度から今までの取り組みを評価、検証し、それを充実をしていく、それから新しい施策、その必要性、またその内容について、いろんな方の意見も聞きながら、それを立案をしていきたいと、このように考えております。いずれにしましても、時間が余り残されていない課題であります。これは日本全体の問題でもあります。それぞれの地域がうまくいかなければ日本全体が沈むと、そういう強い意志でもって、この福岡県人口減少社会、諸課題に対応していきたいと思います。

平成26年6月議会一般質問「自治体の消滅可能性を遮る具体的施策について」

録画中継にて知事答弁を含めて視聴する事が可能です。
板橋聡の議会質問録画中継
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質問要旨 「自治体の消滅可能性を遮る具体的施策について」
      1.未婚化晩婚化対策
      2.子育て支援(学童保育等)
      3.外国人労働者 (高度人材他)
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◯議長(加地 邦雄君) ただいまから本日の会議を開きます。
 日程に従い、一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問

◯十一番(板橋 聡君)登壇 おはようございます。六月議会一般質問のトップバッターを務めさせていただきます自民党県議団の板橋聡でございます。
 五月八日に発表された日本創成会議による人口減少の予測が波紋を呼んでいます。我がみやま市も消滅可能性のある自治体に含まれておりました。それぞれの地域が持続的に活力を発揮するには、県下全域で少子化に歯どめをかけることが必須で、国政においても安倍政権は、これまでの延長線上にない少子化対策を検討することを骨太の方針に盛り込むとの報道がありました。少子化対策は国任せではいけません。県、市町村が重層的に対策を講じる必要があります。ひいてはそれが定住化支援や地域の魅力向上、活性化につながり、県民幸福度を上げると私は考えております。我が会派の代表質問に対し、県の力を維持するには一定規模の人口が維持されることが必要との認識を、知事からは披露いただきました。少子化対策を煮詰めれば、合計特殊出生率、以下出生率と略しますが、これを向上させることです。二人目、三人目を産みたいと希望すれば、母体生理学的にも、経済的、社会的にもそれがかなうような環境づくりに課題があると考え、本日は未婚化、晩婚化対策、子育て支援、外国人労働者受け入れの三つの各論について質問をさせていただきます。
 もとより結婚や出産は極めて個人的な問題であり、デリケートで扱いづらい一面がありますが、一定規模の人口を維持し国、県、地域が活力を持ち続けることは、個人の幸せにつながると信じております。日本が直面している深刻な人口減少から目をそらさず、火中のクリを拾うつもりで、まずは未婚化、晩婚化対策について質問いたします。
 厚生労働省の統計によりますと、福岡県の平均初婚年齢は男女ともにじりじりと上昇しており、昨年度男性が三十・五歳、女性が二十九・二歳。また我が県が五年ごとに行う子育てなどに関する県民意識調査によると、希望する結婚年齢の項目で、二十代のうちに結婚したいというふうに答えた方は十年前は五三%だったんですね。五年前三六%、そして昨年は二二・五%とどんどん減っています。一方で、三十五歳以上での結婚を希望する方の合計は十年前が一一・六%だったのが五年前は二三・三%、昨年三三・二%と増加の一途です。つまり、何も手を打たなければ今後も晩婚化はさらに進むと予想されます。しかしながら、その意識調査にある理想の子供の数という設問では、二人と答えた方が四五・一%、三人以上と答えた方が四四・八%と合わせて九割近くもいらっしゃいます。日本生殖医学会では、妊娠、分娩に最適な年齢、すなわち生殖年齢は遅くとも三十五歳までとしています。それを超えると急激に自然妊娠の可能性が低下するだけではなく、流産や染色体異常などのリスクも高まるそうです。冒頭申しましたとおり、結婚の時期や子供を何人持ちたいというのは個人の自由です。しかしながら、二人以上の子供を持ちたいと望む方が九割いる中、晩婚化により母体生理学的にその願いを諦めなくて済むような対策を打たなければなりません。
 私が社会人になりたてのころはまだ、愛すべきおせっかいな会社の上司や、近所のおっちゃん、おばちゃんがいて、まだ結婚せんのか、そういう相手はおるとね、おらんなら誰か探してやらんばとか、結婚したらしたで子供はまだか、もう一人頑張らんとなどなど、なかなか親とは照れくさくて話せないようなことをずばずば突っ込まれ、自分の人生設計を見直す機会をいただいたものでした。しかしながら、会社で部下にそんなことを言えばセクハラ、パワハラとなり、コミュニティーの中のおせっかいおっちゃん、おばちゃんは絶滅危惧種となってしまった今、若者たちに家庭づくりや家族計画に関する自分の体験を伝え、将来について一緒に考えるのは親、家族しかいないという現実を受けとめなければなりません。
 ここで知事に質問です。未婚化、晩婚化の流れを変えるためには、若い人たちに家庭づくり、家族計画について前向きに考えてもらえるような家庭環境が重要ではありませんか。そのための啓蒙、啓発について知事の認識をお聞かせください。
 また、マクロ的見地から、生殖年齢の間に希望する子供の数が産める可能性を少しでも高めるには、平均初婚年齢を引き下げるための施策が必要と考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 また教育長にお伺いします。家庭教育の役割として、結婚、家庭、子供を持つことの意義を親が子供に伝えることについて教育現場の視点から所見を御披露ください。
 また、核家族化やコミュニティーの希薄化が進み、日ごろの生活の中で乳幼児やその母親と触れ合う機会が減っています。現在一部中学、高校で行われている児童生徒が乳幼児と直接触れ合い、母親の経験談を聞く体験学習は、家庭、家族の重要性に気づくことにつながりますし、情操教育の面からも効果があると思いますが、教育長の見解をお聞かせください。
 さて、一人でも多くの方が理想の子供の数をかなえるために、次に必要となるのが子育て支援です。その中で本日は放課後児童クラブ、いわゆる学童保育について問いたいと思います。共働き家庭やひとり親の家庭の子供を、放課後に学校内の施設やコミュニティーセンターなどで預かる放課後児童クラブは、女性の就労増加とともに年々需要が高まっております。そんな中、平成二十七年度実施予定の子ども・子育て支援新制度への移行で、大きな転換期を迎えています。今までは国が主導していた放課後児童クラブの設備や運営に関する基準を、市町村が条例で規定することとなりました。
 そこで知事に質問です。子ども・子育て新制度において放課後児童クラブの運営基準などが市町村に移管されることにより、各自治体において特徴ある運営がなされ、子育て世代の定住化支援策につながることを期待しますが、一方で規模の小さい自治体などでは人員体制やノウハウに不安があります。条例制定など円滑に実施されるよう、適切な県の関与や指導が必要と考えますが、知事の御認識はいかがでしょうか。
 現在、県内に五百十七ある放課後児童クラブにはさまざまな形態の運営主体があります。指定管理者として民間委託しているところも多いのですが、運営委員会や保護者会など地域住民の力を活用した運営主体も百六十五カ所、約三割あります。運営主体となれば指導員を雇用し、子供のけがや事故、あるいは指導員の労災などに対応する必要があり、責任の所在という意味で保護者会や運営委員会を構成する地域の区長さんやPTA役員経験者など一個人が背負うには荷が重過ぎて、今後引き受け手がいなくなる可能性もあります。じゃあ指定管理者で企業に委託すりゃいいだろうという御意見もあるかもしれませんが、地域のきずなづくり、魅力づくりや活性化の視点でも地域の子供を地域で育てる姿勢は可能な限り尊重したいと私は考えます。
 そこで知事に質問です。放課後児童クラブの運営主体によっては、市町村から委託される形式ではなく、地域のニーズに応じる形で地元の有志が運営主体となり、市町村に対して運営費の補助金申請を行う形式があります。その場合、児童の事故や指導員の雇用、労災など責任の所在を厳しく問われると個人のボランティアで構成される運営主体には負荷が高過ぎ、放課後児童クラブ自体の今後の存亡にかかわると思いますが、知事の御認識をお聞かせください。
 過去、放課後児童クラブの指導員には教員や保育士などと違い資格制度がなかったため、クラブごとの指導員の質がばらばらでありました。平成二十五年二月議会、我が会派の江藤議員の一般質問などにより、福岡県の指導員に対する研修は充実してきたと聞いています。しかし、新たな地域子ども・子育て支援事業に基づき、再度大きく研修内容などが変わるとの報道があります。
 そこで知事に質問です。指導員の資質向上について、福岡県ではどのような努力が、過去なされてきたのでしょうか。また、今後、指導員には知事が行う研修を修了することが義務づけられるなど、県が指導員の資質向上についてさらに重要な役割を占めることになります。通り一遍の研修ではなく、定期的に資質を向上させるような形式をとったり、受講しやすくするためできるだけ多くの地域で開催したり、午前、午後に時間帯を分割して行うなど、福岡県独自の施策による放課後児童クラブの魅力向上を期待しておりますが、知事の見解をお聞かせください。
 さて、私は三人子供がおり、二人は小学校、一人は幼稚園に通っております。子供が通う小学校の話では、放課後児童クラブの利用児童が生徒数の過半数を超えるという活況ぶりだそうです。先ほど質問した指導員の資質向上を図ることで、さらなる充実した保育が可能になるのはすばらしいことと思います。しかし、その一方で、放課後に保護者が面倒を見ることが可能であるため、放課後児童クラブを利用できない児童にとっては、学年を超えた群れ遊びをしたり、工夫に富んだ季節折々の体験活動をしたり、共同生活のルールを学んだりする機会に恵まれません。居場所のない子供たちのためにつくられた放課後児童クラブが充実すればするほど、居場所があると定義された児童たちにとって不利益になるという妙な現象が起こるわけです。
 そこで知事に質問です。福岡県は全ての児童が参加可能なアンビシャス広場を推進しておりますが、まだまだ設置数も少なく、特に地方都市ではボランティアが集まりづらく開所日数をふやすこともままなりません。子育てしやすい幸福度日本一の福岡県を目指すには、家庭環境などを超えて全ての児童に対する放課後の居場所づくりが急務と思われます。知事の御所見を披露ください。
 また教育長に質問です。学校と家庭の間に、放課後児童クラブのような新たな子供の居場所の存在が一般的になってきています。放課後児童クラブでは子供が学校とは違う一面を見せたり、保護者が日々の送り迎えで指導員と顔を合わせるなど、学校では得にくい情報が入ってきます。学校は、放課後児童クラブのような新たな子供の居場所としっかり連携をとり、日々の指導に生かすべきだと考えますが、教育長の所見をお聞かせください。
 最後の項目として、外国人労働者の受け入れについて知事に質問します。少子化による労働力人口減少に対応するため、外国人労働者の受け入れを肯定する一部意見があります。しかしながら、まずは出生率を日本国内で自律的に回復させることが重要だと考えます。政府が近々策定する骨太の方針では、国家戦略特区での外国人受け入れを許容するという報道もなされています。しかしながら、他国の状況を見るにつけ、特区だからといって安易に受け入れ範囲を拡大することは、我が国の産業や治安、雇用状況に悪影響を及ぼしかねず、懸念を示す声を多く耳にします。知事の所見を御披露ください。
 また、一方で外国人労働者でも高度人材については、出生率が自律的に回復するまでのつなぎとして、国際化や生産性向上のために活用を検討する余地はあると思いますが、そのためには引く手あまたの高度人材が福岡県で働くことを選択するようにしなければ意味がありません。もう一歩踏み込めば、外国人、日本人かかわりなく、高度人材が福岡県で働くことに魅力を感じるための環境整備が必要と思われますが、知事の所見を御披露ください。
 以上、知事と教育長のこぴっとした答弁を期待し、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず未婚化、晩婚化の流れを変えるための家庭の役割についてでございます。未婚化、晩婚化の流れを変えていくためには若い人たちが結婚したい、家庭を持ちたいとそう思ってもらえるような機運というものを社会全体で高めていくことが重要でございます。とりわけ若い人に最も身近な存在であり、御本人に一番影響を与える家族の役割というのは大きなものがあると考えております。このため、本県では毎年十一月を、ふくおか・みんなで家族月間と定めまして、県民の皆様お一人お一人が結婚や家族、子育てに関心を持っていただけるようキャンペーンを実施しているところであります。さらに、本年度は結婚、妊娠、出産、育児につきまして切れ目のない支援を行う機運を醸成していくために、ふくおか「みんなで笑顔」フォーラムというものを開催することといたしております。こうした取り組みを含めまして、さまざまな機会を捉えて家族ぐるみで結婚の幸せ、家庭づくりの大切さというものをお考えいただけるよう努めてまいります。
 初婚年齢の引き下げについてでございます。本県が平成二十五年度に実施をいたしました県民意識調査、先ほど議員も引かれましたが、これによりますと、三十歳未満の若者が結婚の意思があるにもかかわらず独身でいる理由というのは、適当な相手にめぐり会わない、結婚の必要性を感じない、経済上の問題、仕事に打ち込みたいといったものが多くなっております。また、こうしたことは五年前、十年前の同じ調査におきましても同様の傾向が見られるところであります。こうしたことから、若者が結婚の希望をかなえていくためには出会いの場の創出、家庭と仕事の両立支援、経済的自立の支援というものが必要であると考えております。このため本県では、独身男女に出会いの場を提供いたします出会い・結婚応援事業、それから子育て応援宣言企業登録制度や延長保育など多様な保育サービスを充実していくなどワーク・ライフ・バランス、これを進めていくこと、それから三番目は若者しごとサポートセンター、三十代チャレンジ応援センター、若者サポートステーションによります求職者それぞれの置かれた状況やニーズに応じたきめ細かな就職の御支援、これらを実施してきているところでございます。
 さらに、今年度は新たに、結婚のすばらしさや仕事と家庭を両立する生活を具体的にイメージをしてもらって、若者の結婚意欲を高めていこうということで、結婚サポートセミナーというものを実施いたします。また高校生、大学生等を対象にいたしまして、妊娠、出産に関する正しい知識の普及啓発に取り組んでいくこと、学生さんを対象に正しい知識の普及啓発に取り組んでまいることといたしております。このような取り組みによりまして、晩婚化の流れに歯どめをかけるべく、これからも若者の結婚の後押しに努めてまいります。
 次に、放課後児童クラブの基準条例についてでございます。市町村は来年度実施予定の子ども・子育て支援新制度に向けまして、本年度中に放課後児童クラブの設備及び運営の基準に関する条例を定めることとされております。条例の制定に当たりましては、指導員の資格要件や人数に関する規定につきましては国の基準に従うこととされております。また一方で、施設設備、開所日数、時間等につきましては、地域それぞれの実情を踏まえながら国の基準を参酌することとされているところであります。県といたしましては、市町村の策定する基準条例がそれぞれの地域のニーズに即したものとなりますよう、またそれぞれの市町村において新制度への円滑な移行が図ることができますよう、情報提供や助言に努めてまいります。
 次に、放課後児童クラブの運営課題についてお尋ねがございました。保護者や地域の世話役などで構成をされます運営委員会によって運営される放課後児童クラブ、これは任意団体であるがゆえの問題もありますが、地域の子供を地域で育て、きずなを強めていくという観点から、子供の健やかな育ちにとって有意義な方式であると考えております。先ほどもお答えいたしましたように、新制度では市町村が放課後児童クラブの運営等の基準に関する条例を制定することとされております。条例には、御指摘のありましたように非常災害対策、事故発生時の対応、それから運営上の重要事項に関する規定の整備等について定めることとなってございまして、その条例に基づき市町村がクラブの運営者に対し指導監督を行うことになります。県といたしましては、これまでも市町村を通じて放課後児童クラブの運営について指導を行ってきたところでございますけれども、今後ともクラブが安定的に運営され、児童が、また父兄が安心、安全に過ごすことができるよう、市町村に対して運営費の補助や情報提供や助言などしっかり支援をしてまいります。
 放課後児童指導員の研修の充実についてでございます。県では、県内四地区で実施をしております指導員研修につきまして、平成二十五年度から、それまで一日でありました研修期間を三日間に拡充したところでございます。これによりまして、障害のある児童への対応、異年齢集団のまとめ方、地域との連携など直面するさまざまな課題にきめ細かく対応できるよう指導員の資質向上を図ってきているところであります。新制度では、放課後児童クラブに一定の資格を有し、かつ私ども県知事が行う研修を修了した者を配置することが義務づけられることになります。県としましては、これまでの私どもの取り組みの成果、そして秋ごろをめどに国から示されます研修内容等を踏まえながら必要な研修を実施し、放課後児童クラブの質の向上を図ってまいります。
 次に、全ての児童に対する放課後の居場所づくりについてお尋ねがございました。豊かな心と志を持つたくましい人材を育成していくためには、全てのお子さんたちが異なる年齢間での遊び、地域での行事といった多様な体験を通じ学び、成長する場というものが大切でございます。このため、本県では、全ての子供たちが気軽に立ち寄り、多様な活動を行う居場所といたしまして、アンビシャス広場を県内二百五十カ所に設置をしております。さらに、共働き家庭等の児童にとって放課後の生活や遊び場となります放課後児童クラブというものが今千二十五カ所ございます。そのほか児童館、公民館におきまして地域独自にお子さんたちにさまざまな体験をさせる活動が行われているところであります。一方、国におきましては、放課後の居場所のさらなる充実を図るため、アンビシャス広場と似たような事業でございます放課後子ども教室の拡充や放課後児童クラブとの一体的運用、また学校の余裕教室の一層の活用促進といった、全てのお子さんたちを対象にした総合的な放課後対策というものが検討されているところでございます。こうした国の動き、あるいは地域の実情を踏まえながら、これまでのアンビシャス広場の活用を含めて児童の放課後の居場所の充実に向けて検討をしてまいります。
 次に、外国人労働者の受け入れについてでございます。就労を目的とする外国人の受け入れにつきましては、我が国の経済社会の活性化に資する観点から専門的、技術的分野の外国人についてこの受け入れを認める、その一方で、単純労働者につきましてはこれを認めない、その方針がとられているところであります。現在、政府におきましては、議員も御指摘ありましたが、特区の手法も含め、外国人労働者の受け入れ範囲の拡大について議論がなされております。外国人労働者の受け入れにつきましては、我が国の産業、治安、雇用環境、いわゆる労働市場への影響ですね、広く国民生活に影響を及ぼすことから、国民的なコンセンサスを踏まえつつ、慎重に検討がされるべき課題だというふうに考えております。県といたしましては、まずは先ほど申し上げました未婚化、晩婚化の流れを変えていくための取り組みでありますとか、子育て環境の整備といった少子対策を進めていくほか、一人一人の状況に応じたきめ細かな就職支援を行うことで若者、女性、高齢者、障害者など多様な人材の就業の促進をまず図っていきたいと、このように考えております。
 次に、高度人材を福岡県に呼び込むような魅力ある福岡県づくりについてでございます。国の内外から高度な人材を呼び込んでいくためには、魅力ある雇用の場をつくっていくことが何よりも必要不可欠であります。こうした観点から、福岡県では自動車、水素エネルギー、次世代有機ELといった先端成長産業の育成、また技術力、生産性の向上による製造業の競争力の強化、企業の誘致、観光の振興、農林水産業の経営力の強化など産業振興に取り組んできているところであります。その結果、例えばトヨタ自動車九州におきましては、宮若市で車両の開発の一部が開始され、また再来年の初頭には開発棟が完成をいたします。また、ことしの三月でございますが、ダイハツ工業久留米開発センターが開設されるなど、生産だけではなくて設計、開発機能の集積も着実に進展をしてきているところであります。企業誘致を図っていく上でも福岡空港や北九州空港による充実した国内外への航空路線、北九州港、博多港の両国際拠点港湾、新幹線、高速道路といった高速交通網など、利便性の高い交通ネットワークの構築といった強みがございます。さらに生活環境の面におきましても充実した教育や医療、豊かな自然、新鮮な農水産物や多彩な食文化など、日常生活を送っていく上でも安全で快適な環境もそろっているところであります。本県が有しておりますこうしたすぐれたビジネス環境と生活環境につきまして、国の内外に向け、しっかり情報発信をしてまいります。あわせて、魅力あふれる福岡県の実現に向けまして、各地域が持っております特性や資源を生かしてそれぞれの地域が発展していくよう、引き続き産業振興による魅力ある雇用の創出、安全、快適な生活環境づくりに取り組んでまいります。

◯議長(加地 邦雄君) 城戸教育長。
*教育長答弁

◯教育長(城戸 秀明君)登壇 まず、未婚化、晩婚化の流れを変えるための家庭教育の役割についてであります。少子化防止の観点からは、保護者が子供に家庭の大切さなどを語り、将来自分の家庭を築くという意識を持たせることが必要であると考えます。今後、福岡県PTA連合会等と連携し、保護者を対象とした研修会の中で未婚化、晩婚化が引き起こす社会問題とともに、家庭を築き子供を育てる喜びについて日常生活の中で自分の子供に意識して伝えていく重要性を啓発してまいります。
 次に、学校における乳幼児と触れ合う体験活動についてであります。本県においては、児童生徒と保育所、幼稚園の幼児との相互交流を行う学校が多数見られ、乳児、母親と触れ合う活動を行っているところもございます。こうした取り組みは、児童生徒が家庭、家族の重要性に気づくとともに、親への感謝を実感するなど心の教育の面で効果が期待できるものであります。このため、市町村教育委員会や学校に対し子育て支援センターや育児サークル等の子育て関係機関などとの連携を図るなどして、各学校で乳幼児と触れ合う体験活動がより充実するよう指導してまいります。
 次に、小学校と放課後の子供の居場所との連携についてでありますが、児童の健やかな成長のため、小学校と学童保育などがそれぞれの役割を十分に果たす上でも両者の連携が不可欠であります。現在、県内においては教員と学童保育指導員等が、児童の生活の様子や指導、支援の状況について情報交換等を行い、それぞれの指導、支援に役立てております。しかし、一部には十分な連携がとれていない状況も見られます。今後、全ての児童を対象とした放課後の居場所づくりに向けた動きがあることを踏まえますと、より一層連携を深める必要があることから、管理職員研修等の中で、各学校に対し学童保育などとの連携の必要性を働きかけてまいります。

平成26年2月議会一般質問「スポーツによる広域地域振興について」

3月14日から福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます

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質問要旨「スポーツによる広域地域振興について」
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(質問当日は東日本大震災から丁度3年、議場にて1分間の黙祷後の登壇でした)
◯議長(松尾 統章君) 黙祷を終わります。御着席ください。
 日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問

◯十一番(板橋 聡君)登壇 私は、東日本大震災の一カ月後に初当選し、県政の場に送り出させていただきました。活力ある福岡県であることが日本全体の復興につながると信じ、ともに頑張りましょう。
 おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。本日は、スポーツによる広域地域振興について質問させていただきます。
 ソチ・オリンピックで金メダル最有力との呼び声が高かった女子スキージャンプの高梨沙羅選手、彼女は北海道上川郡上川町出身です。人口わずか四千人にもかかわらず、この町には二十メートル級、四十メートル級のジャンプ台があり、長野オリンピックスキージャンプ金メダリストの原田雅彦さんはこの町の出身。そして高梨選手のお父さん、お兄さんもスキージャンプの選手でした。八歳のときから上川町でジャンプになれ親しみ、世界の頂点を目指した高梨選手を応援するため、町を挙げてのパブリックビューイングには三百人以上の老若男女が声援を送りました。残念ながら女子ジャンプ初代金メダリストにはなれませんでしたが、その翌日、上川ジャンプ少年団の選手たちはいつもどおり練習にいそしみ、テレビ取材で向けられたマイクに、沙羅ちゃんみたいになりたい、オリンピックに出たいと、屈託なく答えていました。スキージャンプとともに歩む上川町、スポーツは地域に活力を与える全員参加型の文化だと実感した次第です。
 今から十年ほど前、スポーツジャーナリストの二宮清純氏がこのような主張をされていました。元来スポーツは地域の文化だが、日本のスポーツは学校と企業を中心に運営されてきた。スポーツにおける大政奉還をして、もう一度スポーツを地域に取り戻すべきだと。文部科学省においても総合型地域スポーツクラブの設置が推進される中、二〇一一年にスポーツ基本法が制定され、スポーツが地域の一体感や活力を醸成し、地域社会の再生に寄与すると定義されました。
 そこで知事に質問です。福岡県におけるスポーツがもたらす地域活性化の効果について、知事はどのように認識しているか御所見を披露ください。
 スポーツは、選手、コーチ、またそれをサポートする人々がいて、競技、トレーニングを行う施設が存在し、かつ選手同士が集い、競い合う大会の開催が物語を生み出し、普及をしていきます。人、場所、物語が伝統を織りなす。これは地域に根づくお祭りの要素と似ており、スポーツもお祭り同様に地域特性があります。県下全域で画一的な施策を行ってもなかなかうまくいきません。
 そこで知事に質問です。京築地域の神楽のように、地域のお祭り的な伝統、文化のような捉え方で、スポーツと地域の結びつきを活用し、地域振興を目指すべきと考えますが、現在県においてスポーツを所管している教育庁、県民文化スポーツ課だけでは自治体との連携や地域振興の観点が足りないと感じます。スポーツの特性を生かし、広域地域振興を市町村と連携して取り組むべきと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 筑後地域は八女市、みやま市の剣道、ソフトボール、大川市のサッカー、柳川市の相撲など、地域に根づいた伝統的に盛んな競技が多数存在しています。また、みやま市、筑後市にまたがり体育館、テニスコート、野球場、サッカーを同時に四面開催できる多目的グラウンド、完成を控えた公認五十メートルプールを擁する県営筑後広域公園があります。そして、そのエリアに福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地がやってきます。しかしながら、現在企画・地域振興部が推進する広域連携プロジェクトには、スポーツを柱とした事業がありません。
 そこで知事に質問です。全国的にも東京オリンピック開催に向けてスポーツの力に対する注目度が上がっている中、筑後地域は福岡県の県有施設である筑後広域公園が存在し、福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地が移転してきて、公認五十メートルプールも完成します。まさに天の時、地の利が整いつつある筑後地域で、知事のリーダーシップにより人の和、地域の和をつくりませんか。ぜひ、広域連携プロジェクトの一環として、スポーツを柱とした広域地域振興を筑後の地で目指したらいかがでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。
 先述のとおり、福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地が筑後市にやってきます。筑後市のみならず近隣自治体でも、アベノミクスによる景気の活況や東京オリンピック誘致を上回るほどの明るい話題となっています。ソフトバンクホークスファーム本拠地は、筑後市を含む三十三自治体による誘致合戦となりましたが、筑後市は第一次選考を突破した段階で、ソフトバンクホークスファーム本拠地を筑後市に、というキャッチフレーズを改め、ソフトバンクホークスファーム本拠地を筑後に、としました。それに呼応し、矢部川流域の七自治体で構成されます筑後七国を初めとする県南の市町村が協同して、広域で誘致活動を行いました。昨年秋十月六日に行われた筑後広域公園での県南地域住民一同による感動的な一万人決起集会は記憶に新しいところです。
 そこで知事に質問です。移転先の選考において、このような広域の取り組みや筑後広域公園の存在が高く評価されたと聞いております。惜しくも誘致することができなかった三十二自治体の皆様にとっても、筑後、頑張ってるじゃないか、筑後に決まってよかったやんかと評価していただけるよう、地元ももちろん頑張りますが、県としても大いに関与して、筑後地域の振興を目指すべきと思いますが、知事の御所見を披露願います。
 また、そのためには県とソフトバンクホークスでよく話をし、その上で県と地元自治体とソフトバンクホークスの三者で話し合う場も必要と思いますが、いかがでしょうか。また、これは庁内横断の事業となります。県庁内でも所管部署があってしかるべきと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
 さて、本県にはソフトバンクホークス以外にも、Jリーグのアビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州、bjリーグのライジング福岡、大相撲十一月場所などプロスポーツの拠点が存在しておりましたが、それらは福岡市を中心とした政令都市だけの存在でした。今回、筑後地域にとっては待望のプロスポーツ本拠地が進出することとなり、プロスポーツの拠点が県下各地に広がり始めました。Jリーグには百年構想があり、地域におけるサッカーを核としたスポーツ文化の確立を目指す中、ホームタウンと協力し、スポーツを地域活性化、経済活性化に寄与するべく活動しておられます。また、プロ野球においても、当時の横浜ベイスターズはファーム球団を一軍とは違う湘南シーレックスと命名し、ファーム本拠地において地域密着の球団運営をされていました。
 そこで知事に質問です。現在のソフトバンクホークスファーム本拠地である雁ノ巣では、地域活性化の観点でどのような事業があり、その効果、メリット、デメリットを含め、まず県として把握すべきではないでしょうか。その上で、プロ野球球団はソフトバンクホークス以外に十一あります。他のファーム本拠地やJリーグチームのホームタウンの行政がどのようにプロスポーツチームを地域活性化に活用しているか、筑後市を初めとする地元自治体をリードして先行事例を研究すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 一方で心配な部分もあります。「財界九州」という雑誌の三月号の記事で、ソフトバンクホークスファーム本拠地誘致で沸く筑後の課題として、用地の問題とアクセス道路の問題が指摘してありました。民間と住民がこれだけ盛り上がっているのに行政が水を差すようなことがないよう足並みをそろえて対応することを強く要望し、知事に質問いたします。
 ファーム本拠地誘致による相乗効果で、地域外からの自家用車を利用した来訪者が増加することが予想されます。ふなれな地で渋滞のストレスを感じたり、ましてや事故などを起こすようなことがあってはなりません。スポーツによる広域地域振興を下支えするインフラ整備についてどのようにお考えか、知事の所見をお聞かせください。
 知事は年頭から、景気、雇用対策に全力を尽くすとおっしゃっておられます、そうですね知事。筑後地域にはまだまだアベノミクスの恩恵が感じられないと評価される方も多いようですが、景気は気からと言われます。アベノミクスはようわからんばってん、オガノミクスもよかやっかと言っていただけるような、地域に光を与え、地域住民が前向きに一歩踏み出したくなるような答弁を期待して、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、スポーツがもたらす地域活性化の効果についてでございます。スポーツは、体力の向上や心身の健康増進はもとより、人と人、また地域と地域との交流を促し、地域の一体感や、また活力を醸成するものであると、このように考えております。また、先日、北九州ではマラソンを行いましたが、そういった地域の特色のあるスポーツイベントというのは誘客効果がある、また観光資源としても活用できる、そういったことから地域活性化に寄与するものであるというふうに思っております。こうしたことから、今議会に御提案をさせていただいております福岡県スポーツ推進計画の中でも、スポーツの活力を生かした地域の魅力の創造というものを柱の一つに掲げさせていただいております。今後とも、それぞれの地域の特色を生かしたスポーツを振興することによりまして、地域の活性化を推進していきたいと考えています。
 スポーツと地域との結びつきを生かした地域振興についてお尋ねがございました。県内では、見渡しますと、世界最高峰の大会となりました飯塚市の国際車いすテニス大会、九州最大のボート競技大会でございます遠賀町の九州朝日レガッタ、高校ラグビーの国際大会でございます宗像市のサニックスワールドラグビーユース交流大会、それから真木和泉守にちなんだ久留米市の紫灘旗全国高校遠的弓道大会など、それぞれの地域におきまして、それぞれの自然環境や競技施設というものを活用したスポーツイベント、大会が実施されているところでございます。このような地域に根差したスポーツの活用というのは、地域住民のきずなを強める、また郷土愛を醸成していくことにもつながるものであると考えております。今後とも、市町村と連携いたしまして、スポーツを地域資源として活用した地域の振興に取り組んでまいります。
 筑後地域の振興についてでございます。スポーツイベントの誘致やスポーツを見る、それからする、そのための旅行と周辺地域の観光というものをあわせたスポーツツーリズムといった取り組みは、地域の振興を図る上で有効なものであると考えております。県では、筑後広域公園の多目的運動場、体育館、テニスコートなどに加えまして、現在プールの整備を進めているところでございます。議員御指摘のとおりであります。県立の久留米スポーツセンターの改築も行うこととしております。また、八女市ではグリーンフィールド八女におきまして天然芝サッカー場が整備されております。このように、筑後地域ではスポーツのための施設整備が進んできております。また、福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地の移転先が筑後市に決定され、地元におきましては、先ほどお話がありましたように、スポーツを活用した地域振興に関して大きな期待が高まってきていると、このように承知しております。今後、筑後地域の市町村とも協議を行いまして、スポーツを活用した広域的な取り組みについて検討を進めていきたいと思っております。
 福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地移転への対応でございます。ファーム本拠地の移転予定地は、九州新幹線、鹿児島本線の筑後船小屋駅、また九州自動車道の八女インターチェンジやみやま柳川インターチェンジ、有明海沿岸道路からも近く、九州一円からのお客様が期待できる絶好の場所にあると思っております。また、隣接する筑後広域公園には、先ほど申し上げました各種スポーツ施設のほか、昨年四月には芸術文化交流拠点といたしまして九州芸文館が開館をしたところでございます。今回のファーム本拠地の立地というのは、これらの施設とあわせて集客の相乗効果を生むものとして期待をしているところであります。今後、県としても関係部局しっかり連携いたしまして、地元を含め関係者の皆さんと一体となって知恵を出し合いながら、筑後地域でのスポーツツーリズムの推進などファーム本拠地を核とした広域的な地域振興に取り組んでまいります。
 ファーム移転に伴う協議の場でございますけれども、今回のファーム移転を地域の活性化につなげていくためには、県、地元自治体、ソフトバンクホークス、関係者の連携が不可欠でございます。今後、県、筑後市、みやま市など関係自治体やソフトバンクホークスとの間で協議の場を設けまして、しっかり地域振興につなげていきたいと考えております。
 県の担当部署でございますけれども、移転に伴う道路などの関連インフラの整備のみならず観光、スポーツの振興など全庁的にわたる業務となりますことから、県政の総合調整と広域地域振興とを担っております企画・地域振興部を担当といたしまして、その中で広域地域振興課を担当課とさせていただきます。
 次に、プロスポーツ活用方法の先進事例の研究についてお尋ねがございました。議員御指摘のとおりでございまして、地元市町あるいは関係者の皆さんと一緒になって、プロスポーツを活用してきたいろんな地域のいろんな先進事例も研究して、より効果的な私どもの取り組みが進められるよう努力していきます。
 次に、ソフトバンクホークスファームの新本拠地周辺の道路整備についてでございます。ファーム新本拠地が完成をし、試合やイベントが開催されるときには、多くのお客様が車を使って訪れ、周辺道路が混雑することが予想されます。このため、新たに発生する交通量が周辺の道路にどういう影響を与えるか把握する必要があると考えております。そのため、まず筑後市、みやま市などの関係自治体や球団から、球場や駐車場の規模等につきまして情報をいただきまして、それらの情報をもとにJR筑後船小屋駅周辺道路また九州自動車道、有明海沿岸道路から球場へのアクセス道路、それらを中心にいたしまして、道路や交差点の容量と想定される交通量というものを比較いたしまして、容量不足の箇所を抽出するなど周辺道路の整備についての課題点を整理していきます。

平成25年12月議会一般質問「地方の時代にふさわしい、地域活性化の為の無形民俗文化財活用について」

福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます。
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質問要旨「地方の時代にふさわしい、地域活性化の為の無形民俗文化財活用について」
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。十二月定例議会の一般質問トップバッターとして、本日は地方の時代にふさわしい地域活性化のための無形民俗文化財活用について質問をさせていただきます。
 昨年、北部九州豪雨による沖端川決壊で浸水被害に遭ったみやま市本郷地区において、十一月三日に、福岡県が指定する無形民俗文化財である、どんきゃんきゃんというお祭りが開催されました。昨年は災害直後だったので神事のみの開催でしたが、ことしは夜遅くまで多くの家庭でお客様を迎え、水害で痛手を負った地域住民同士のきずなを再確認し、心の支えとなるいつものお祭りの風景が戻ってまいりました。古来から祭りや神事に代表される無形民俗文化は、地域のアイデンティティーの核でもあり、天災などにより地域の人々の心が折れそうなときでも地域住民のきずなを深めるとともに、自尊感情を高め愛郷心を育むことにつながります。県が指定している無形民俗文化財に限っても、北部九州豪雨の被災地である八女市には先週行われた田代風流、同じく柳川市には十月に開催された三柱神社秋季大祭の目玉であるどろつくどんなどがあり、各地において災害を乗り越える地域おこし、まちづくりに一役買ったのではないでしょうか。
 一方で、困った問題も発生しています。どんきゃんきゃんでは、しゃぐま、獅子頭と言うんですけれども、これをいただいた少年たちがかねやおはやしに合わせて舞いながら太鼓を打ち鳴らすのですが、本郷地区では少子化の影響から小中学生の数が激減し、神幸行列を維持するのにも四苦八苦されています。田代風流は本来、地域住民の男性のみが参加するお祭りだったのですが、最近は人手不足で女子生徒が参加したり、市外に移り住んだ方々に声をかけて祭りのときだけ帰って参加してもらっているそうです。柳川のどろつくどんは、最盛期には市内二十以上の町内会が山車を所有していましたが、現在はわずか四町のみとなりました。衰退が懸念される中、平成九年に飛龍どろつくどんの会という民間団体が立ち上がり、町内会と一体となって伝統の維持、継承に腐心されている現状です。全国的に名の知れた、本県観光の目玉とも言える博多祇園山笠あるいは小倉祇園太鼓などとは違い、小さな集落で受け継がれてきた祭りや芸能に代表される無形民俗文化財は、伝統を継承するための人材も少なく、携わっている少数の方によって細々と引き継がれているものも少なくありません。また、生活様式や意識の変化により地域社会に対する個人のかかわり方にも大きな変化が起こっており、お祭りや伝統芸能のお世話にかかわると時間もとられる、道具だ何だと金もかかるということで、あえて避けようとする人が少なからずいるのも、残念ながら現実でございます。
 そこで知事に質問です。小川知事は県民幸福度日本一を初めとする数々の施策の中で地域おこし、まちづくりというキーワードを盛り込まれています。県民幸福度向上の観点で、地域おこし、まちづくりを県の施策の中でどのように位置づけ、進めていらっしゃいますでしょうか。また、地域コミュニティーの活性化に対して伝統芸能や民俗行事など無形民俗文化財は大きな役割を果たすと思いますが、地域おこし、まちづくりに無形民俗文化財を活用することについて知事はどのような認識を持っているか御披瀝願います。
 文化財保護のあり方については、平成二十二年三月に福岡県文化財保護基本指針が県教育委員会により策定されています。この中で地域の活性化に向けた活用として、「文化財保護行政としては、まちづくり担当部局との連携により、都市計画法や景観法等の既存制度も活用しながら、文化財と一体となって価値をなす環境を整備し、文化的な空間を創出していくなど、文化財保護の理念に沿った地域おこしやまちづくりを行っていくことが重要」と明記され、地域おこし、まちづくりにおける文化財の活用が盛り込まれています。
 そんな中、県指定無形民俗文化財及び無形文化財は合計七十六件ございますが、これらの維持、保存に対し、県単独の県費補助額の過去五年の実績は、平成二十年分から順に、七十二万円、四十万円、四十九万円、百十四万円、百四十四万円です。一件当たりにして、何と年平均わずか一万一千円。もちろん地域の無形民俗文化財の保存、活用は基本的に市町村が行うべきと理解しますが、財政もノウハウも市町村あるいは住民だけではとても賄い切れません。県からの支援は必要であります。県として価値を認めたからこそ県指定になっている無形民俗文化財に対して、この予算額ではとても県が策定した文化財保護基本指針を達成できるとは到底思えません。
 そこで知事に質問です。この補助事業は、県指定無形民俗文化財の維持、保存以外に、基本指針に記してあります地域活性化に向けた活用が含まれているのか、予算案の提出者である知事の見解をお聞かせください。
 どんきゃんきゃんが行われる廣田八幡宮には御成敗式目の一節が掲げてあります。「神は人の敬いにより威を増し、人は神の徳により運を添う」。まさにそのとおりで、無形民俗文化財であるお祭りや伝統芸能の保護、継承は地域住民の積極的な参加があって初めて可能であり、またお祭りや伝統芸能が継承され発展することは地域の活性化につながっていく。つまり、無形民俗文化財保護と地域活性化は表裏一体の関係であります。
 そこで教育長に質問です。大変失礼な言い方になりますが、教育委員会にはまちづくりに関する組織もノウハウも予算も持ち合わせていないと理解しておりますが、この県文化財保護基本指針を達成するために今後どのような体制を構築すべきでしょうか。また、いつごろ、どのように達成するのか、プランやロードマップをお持ちでしょうか。
 また知事に質問です。県として地域振興、まちづくりの観点から、まずは県指定無形民俗文化財に対する支援が組織体制、予算面の双方で必要だと考えますが、教育委員会を含めた福岡県行政全体のトップとして、県民幸福度日本一を目指す小川知事の御所見を御披瀝願います。
 以上、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)

◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず、県民幸福度向上の観点からの地域振興、まちづくりの進め方についてでございます。県民幸福度の向上のためには、まずもってそれぞれの地域が元気になることが重要であります。このため総合計画におきましては、時代の潮流や福岡県の強みといったものを踏まえまして、それぞれの地域が特色を生かし、地域の経済を活性化させ元気になる、そういう視点から具体的な施策を展開することといたしております。今後も、地域が持っております特性、資源、強みを最大限発揮をしていただき、その魅力を高められるよう、市町村、地域の皆さんとともに連携を図りながら、具体的な地域振興策、まちづくりに取り組んでまいります。
 次に、無形民俗文化財が地域活性化に果たす役割についてお尋ねがございました。各地域に古くから伝わります神楽や舞など無形民俗文化財は、その地域の歴史、文化を知る上で大変重要なものであります。また、地域の皆さんが力を合わせて代々守り伝えてきたものでございます。貴重な観光資源になるとともに、地域コミュニティーづくりやにぎわいづくりといった地域の活性化にも寄与するものであるというふうに認識をいたしております。
 無形民俗文化財に対する助成制度についてお尋ねがございました。御指摘のありました県教育委員会が所管をしております県指定文化財保護事業というものは、県指定になってございます無形民俗文化財の衣装、道具、それから舞台等の維持、保存というものを目的にしたものでございまして、直接的には地域おこしやまちづくりというものを想定した助成制度ではございません。
 地域の活性化の観点から、無形民俗文化財の活用促進についての考え方、お尋ねがございました。文化財を積極的に地域づくりに活用していきますことは、県として取り組むべき指針となってございます。先ほど述べられた指針にそう記されているわけでございまして、このため知事部局では、京築地域で京築神楽を活用した文化の力蓄積プロジェクトにおきまして、神楽公演などを通じた地域の魅力発信やにぎわいづくりに県、市町村一体となって取り組んでいるところでございます。また、個性ある地域づくり推進事業というのがございまして、これによりましてうきは市の文化財保護活用基本計画の策定事業を助成するなど、市町村が行っておられます文化財を活用した地域振興事業を支援をしてきているところでございます。今後、教育委員会及び知事部局連携しながら、市町村に対しまして無形民俗文化財が地域活性化のための有効な地域資源であること、これを周知をし、その活用がさらに推進されるよう助言も行っていきたいと思います。またあわせて、すぐれた取り組みについて支援をしてまいります。さらに、国や民間団体が行う助成事業につきましても、市町村に対して広くその内容について情報提供を行い、その活用について働きかけをしてまいります。

◯議長(松尾 統章君) 杉光教育長。
*教育長答弁

◯教育長(杉光 誠君)登壇 地域活性化に向けた文化財の活用、推進体制についてでございます。県教育委員会といたしましては、県指定となっております無形民俗文化財について、道具や衣装の修理等に係る助成を行うとともに、国、民間団体の事業を活用し、地元自治体と十分協議をしながら文化財の保護に努めているところでございます。今後は、地域の文化財は地域で守るという基本理念のもと、無形民俗文化財が地域活性化に活用されますよう、関係部局と無形民俗文化財についての情報共有を図るとともに、地元自治体がつくるまちづくりの組織ができた際には、これに積極的に参画し、指導、助言を行うなど一層の支援に努めてまいりたいと考えております。

◯議長(松尾 統章君) 板橋聡君。

◯十一番(板橋 聡君)登壇 知事に二点再質問をさせていただきたいと思います。
 知事の最後の答弁で、無形民俗文化財の活用促進について、すぐれた取り組みに対して支援を行うとのことですけれども、支援は非常にいいことなんですが、すぐれた取り組みというのがひっかかってしようがありません。御説明さしあげたとおり、無形民俗文化財は博物館などで維持、保存されている有形文化財と違い、長きにわたり地域の人々が自発的に保護、継承、活用されているもので、その取り組みに県として優劣をつけるのは、ちょっと私としては違和感を感じます。
 その中で、すぐれた取り組み、支援を行うと言われたすぐれた取り組みとは、何をもって判断をされるかというのを教えていただけますでしょうか。また、組織体制、無形民俗文化財の活用に関する地域づくり、まちおこしに対する活用に対して、組織体制に関する問いについては教育長が答弁をされておりますが、過去の質問にて、農作物の鳥獣被害とか伝統産業保護、水害対策について、県庁内で窓口が各所に散らばっていることによる対策の難しさを指摘して、知事にはいろいろと対応いただいております。しかしながら、それらは全て知事部局の中での連携でした。今回は、教育庁が主体的に保護して、それを予算提出権とあと条例制定権を握る知事部局が活用すると、こういう指揮命令系統が全く違う部局間をまたがる連携をお願いしているわけです。今までの部署間連携とは違うハードルが存在すると思っております。
 同様の事例として、世界遺産登録推進室が挙げられると思います。これは組織をつくって、事業予算を与えて、教育庁から知事部局に人を出して、連携体制を整えて、世界遺産登録という部局間をまたがる目的に邁進されております。今回の質問に当たり、教育委員会及び知事部局の幾つかの担当部署の皆様に、何度もヒアリングをさせていただきました。すると、どうぞどうぞ、いえどうぞどうぞおたくが、いやいやそちらでどうぞどうぞと、テレビで見たような光景が、お互い遠慮し合っていらっしゃる様子を見るにつけ、非常に溝が深いなと心配をしております。やはりここは、知事が声を上げて、具体的なミッション、そういったものを知事部局側に与えるなどしなければ、文化財保護基本指針の実現はおぼつかないと思いますが、知事は県トップとしてどのように部局間の連携をとり、効果を上げるのか、もう少しかみ砕いて説明をいただけますでしょうか。
 以上、お願いをいたします。(拍手)

◯議長(松尾 統章君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず、支援の対象として、すぐれた取り組みということでお答えを申し上げましたが、私が申し上げたかったことは、地域の資源の有効活用ということで地域の活性化、それにつながる、そういう視点から、すぐれた取り組みと申し上げたつもりでございます。
 第二点に、先ほどもお答えいたしましたように、保護の基本指針というのがありまして、そこの中には活性化にも活用していこうということがうたわれておるわけであります。それを具体化していくために、教育委員会と、それから知事部局がそれぞれ維持、保存という観点からと、そしてそれを地域活性化あるいは地域のアイデンティティー、それの確立、そういったこと、いわゆる教育委員会がやっていない部分のところ、そういう役割、それが両方相連携しながら、この無形民俗文化財、それが保存、継承、そして活用がされると、そういうことを、先ほど御答弁いたしましたとおり、教育委員会と知事部局が連携をしながら支援をしていきたいと思っているわけであります。

平成25年9月議会一般質問「ワンモア福岡の取り組みについて」

福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます。
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質問要旨
「ワンモア福岡の取り組みについて」
 1.観光協会との取り組み強化
 2.歴史観光政策
 3.MICE戦略都市等との連携
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。けさもNHKで「あまちゃん」を見て、爽やかな気分で質問の場に立っております。知事はごらんになっていらっしゃいますでしょうか。このドラマは東北の地方都市のまちおこしがモチーフとなっており、海女漁やローカル鉄道など地域観光資源を活用して、地元観光協会を初めとする住民たちがまちおこしに奮闘する姿に共感を覚えた方もこの議場の中にたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そこで本日は、知事が就任以降、観光政策として強調される福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食、いわゆるワンモア福岡、福岡プラスワン戦略の取り組みについて質問をいたします。
 まず、観光協会との取り組み強化についてです。過去の答弁で、観光振興について知事はたびたび市町村の観光協会との連携強化について言及されています。市町村に属する観光協会は、福岡県内に三十二団体存在します。地域のさまざまな職種の会員で構成され、会員の皆さんは地域の観光資源、歴史、景勝地に造詣が深く、そして何より地域に対する誇りや愛情を抱き、観光を通じた地域振興を願っていらっしゃいます。つまり、観光協会は地域観光に関する人、情報、情熱が詰まっているのですが、一方で、刻々と変化し多様化する観光を取り巻く状況に対し何をどうしたらいいかさっぱりわからない、地元の観光協会の総会に出ても、かんかんがくがくというよりは、けんけんごうごうな議論で、会員の皆様のせっかくの情熱が空回りしていることに危惧を抱きました。本年度より、魅力ある観光地づくり事業として県が主導で、女性モニターツアーや、それと連動したワークショップが一部地域で開催されておりますが、何より屋台骨である県内市町村の観光協会に対して、もっと広くあまねく働きかけ、どうやったらうまくいくのか情報を提供し、モチベーションを高める仕掛けが観光地福岡県としての魅力向上に必須だと考えます。
 そこで質問です。観光協会にかかわっている県の部署としては、商工部国際経済観光課と企画・地域振興部広域地域振興課の二つがあります。また、県が補助金を出している団体として、観光連盟と観光推進協議会があり、それぞれ県内十九の市町村観光協会が加入しています。県と観光協会の連携以前に、これら県側の組織の連携がどうなっているか疑問です。これらの役割分担やすみ分け、部署間の連携について知事はどう考えていらっしゃいますか、お答えください。
 また、県内三十二ある観光協会のうち十九団体しか観光連盟、観光推進協議会に加入していないという現状をどうお考えですか、お答えください。
 もとより、観光地はそれぞれ互いに競争相手で、情報交換をしたり、交流をするのがなかなか難しいという側面があります。それゆえ、市町村観光協会がよきライバルとして切磋琢磨すると同時に互いに情報交換して、県全体の観光振興につながる場を県がつくるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、そのためには県や九州観光推進機構のような広域の団体が市町村観光協会の取り組みを評価するコンペティションを創設し、成功事例を周知する機会があれば、市町村観光協会のモチベーションを高め、おのずと活動の活性化が図れると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 続きまして、歴史観光政策についてです。出張で福岡を訪れる関東、関西在住の友人が私に電話をして聞くんです。翌日帰りの飛行機まで時間があるんだけど、昼間にどこかおもしろいところあるかと。男女、年齢を問わず、グルメを初めとする夜のエンターテインメント、これは私がアドバイスしなくても、みずからいろいろと情報を集めて勝手にエンジョイしているようですが、昼の福岡観光については積極的な関心が高くないと実感する次第です。
 福岡は地政学上、古来より大陸との外交、時には国防のかなめであり、金印、卑弥呼、大野城・水城、平家伝説、大宰府、元寇、近代化を支えた産業などなど歴史、文化の題材が豊富です。また、来年の大河ドラマの主人公である黒田官兵衛のほかにも、福岡藩初代城主長政、立花の義を貫き、豊臣秀吉、徳川家康から西国無双とたたえられた立花宗茂は、次に福岡ゆかりの大河ドラマ主人公となるべき武士中の武士ですし、幕末の尊王攘夷派の精神的支柱だった真木和泉守は、歴史の歯車が一つ違っていたら、別の形で明治維新の立て役者になっていたかもしれません。ほかにも、高橋紹運、後藤又兵衛、菅原道真などなど興味深い物語を持った福岡ゆかりの多くの偉人がおり、京都、奈良、鎌倉などと遜色ない素材を福岡県は抱えていると自負しております。しかしながら、福岡の歴史、文化、偉人という素材は、それぞれの魅力を持ち一つ一つは点として輝いていても、歴史観光地としていま一つ認知されていないのは、点を線から面にする仕掛けが足りないからと感じております。
 そこで知事に質問です。知事は過去に、観光ふくおかの魅力創造事業ということで、地域の素材をつないでストーリー性のある体験型観光モデルコースを設定すると答弁されていますが、ぜひ歴史観光の面でも、県内各地に点在する一つ一つの歴史観光資源を紡ぎ、大きな物語にして回遊性、リピーター性を高める取り組みを、県がリーダーシップをとって市町村の観光協会と連携して行うべきではないでしょうか。知事の所見をお聞かせください。
 また、教育長に質問です。歴史観光を盛り上げる条件として、受け入れる住民側にも語り部としての知見が必要となります。そのためには、福岡に住んでいる私たちが幼少のころから地域の歴史について触れ、親しむ機会を多く持つべきと思います。これは同時に郷土愛や自己肯定感を育むことにも有用だと思いますが、どのような取り組みを小中学校で行うべきか、御所見をお聞かせください。
 続きまして、MICE戦略都市などとの提携についてです。MICEとはミーティング(会議、研修、セミナー)、インセンティブツアー(報奨、招待旅行)、コンベンション(大会、学会、国際会議)、エキシビション(展示会)の頭文字をとった造語です。本年六月二十八日に福岡市を含めた五都市が、観光庁が選定するグローバルMICE戦略都市に決定しました。これにより国際的なMICE誘致競争を勝ち抜くべく、国から集中的な支援が行われます。
 そこで質問です。会議場や宿泊施設、空港からのアクセスが充実した福岡市が世界トップレベルのMICE都市となるよう福岡県としても支援すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、MICEの特徴として、一般観光客より参加者の消費額が多いことが挙げられます。県としても福岡市のMICEの傾向、分野、規模、参加者の国籍、年齢、性別、職業、家族同伴かどうか、滞在日数は、などのデータを分析し、福岡市に集まったMICE参加者が、福岡市以外の地域にも足を延ばし、まさに知事がおっしゃる福岡プラスワン、福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食していただけるように、MICEに特化した具体的で戦略的な取り組みが必要と考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 最後に、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。全世界のアスリートや観光客がオリンピック・パラリンピックのために東京に集結するわけです。世界中から東京を訪れた人々に対して、福岡で、もう一泊ではなく、東京から福岡に、もう一泊していただく準備、取り組みをしなければ、オリンピック特需に対する国内の観光客誘致競争を勝ち抜けないと考えます。まだ七年先だと漫然と指をくわえていてはいけません。早急にタスクフォースなりプロジェクトチームなりを立ち上げ、二〇二〇年の東京の盛り上がりを福岡の活力に結びつけると同時に、次世代観光政策の礎を築く七年間にすべきと考えますが、知事の御所見を披露願います。
 以上、県民がじぇじぇじぇ、と感嘆するような熱い答弁を期待して、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 観光振興における県庁の中での広域地域振興課と国際経済観光課の連携強化でございますが、県では、広域地域振興課におきましては、各地域の観光素材を発掘し、これを磨き、また国際経済観光課では、これらの新たな観光資源と温泉、食といった県内さまざまな観光資源とをつなぎ合わせて新しい観光商品としてこれを売っていくと、そういうことによりまして県の観光振興を図っているところでございます。こうした基本的な役割、両課にあるわけでございますが、こうした役割分担を県内の市町村観光協会の方々にも十分お伝えをしていき、あわせて両課の連携をより一層強化をいたしまして、本県の観光の推進体制というものを強化していきたいと考えております。
 次に、市町村観光協会の県観光連盟への入会についてでございます。県の観光連盟は、民間の観光関連事業者が参画をいたしております本県の観光振興施策の中核的実施機関でございます。具体的には、県内の観光情報を旅行会社等へつないでいく営業活動でありますとか、市町村観光協会やボランティアにかかわる人材の育成、それから観光情報の発信等をこの連盟は行っているところでございます。近年の観光市場というのは体験型の個人旅行というのが主流になってございます。また、外国からのお客様もふえております。このような中で、県全体を結ぶストーリー性がある観光ルートをつくっていく、また多言語での情報発信というのが求められているわけでございますが、それを個々の市町村単位での取り組みは限界があると思っております。このため、県観光連盟を軸にいたしまして、県内各地の観光協会の力を結集していく必要があると考えております。そのために、より多くの観光協会が県観光連盟に参画をし、連携を強化していくことが望ましいと、このように考えております。
 市町村観光協会に対する取り組み強化でございます。県ではこれまで、市町村、県の観光連盟、また県内の観光協会とともに産業観光の推進、ボランティアガイドの育成、プロモーション活動などに取り組んでまいりました。また、市町村観光協会が提案をされました地域の観光振興策の中から先進的なものを選定させていただいて、これを支援をする観光地づくりモデル事業というものに取り組んでいるところでございますが、この事業は、地域間の競争を促し、互いに切磋琢磨をいたしまして創意工夫を生み出す源泉になる、そういう工夫を生み出すことにつながっていくものだというふうに考えております。今後は、これらの取り組みに加えまして、県内外の成功事例を紹介する機会というものをつくっていきたいと思っております。そういうことを通じまして、市町村観光協会のさらなる育成強化を図ってまいります。
 歴史や文化などの素材を生かした観光振興についてお尋ねがございました。一人でも多くの方に福岡県を訪れていただくためには、私どもの地域に眠っております歴史や文化などを掘り起こして、人々の心に訴えかけるようなストーリーをつくり、本県ならではの魅力ある観光資源として磨き上げていくことが大事だと思っております。県では現在、来年のNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」をテーマにいたしまして、NHK、官兵衛ゆかりの地の市町、企業、団体と連携をいたしまして、「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会というものを設立しているところでございますが、そこの協議会を通じまして、ゆかりの史跡、史料の発掘、これらをつないだ観光コースの旅行会社への提案、統一的なロゴ、キャラクターを活用した土産品の商品開発、さらには全県的なPR活動を行っているところでございます。県内にはこのほか、炭鉱関連の歴史や文化、菅原道真、立花宗茂などの歴史的な人物、さらには世界文化遺産登録としてユネスコに推薦されることになりました明治日本の産業革命遺産など数多くの観光資源がございます。県といたしましては、県内の市町村や観光協会と協力をいたしまして、こうした歴史、文化に関する観光資源の発掘をさらに進めまして、それらをストーリーでつないで、点から線そして面へとつないでいくことによりまして、議員御指摘の回遊性のある、またリピーターをつくれる新たな観光振興策に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、MICEを活用した観光振興でございます。MICEは、議員が言われましたように、会議、報奨旅行、大会、展示会、それぞれの英語の頭文字をとったものでございますが、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称でございます。福岡市は国際会議件数国内第二位、東京に次いで第二位でございます。外国人を含めて九万人近くの参加者が訪れております。また、ことしの六月に福岡市は観光庁からグローバルMICE戦略都市に選定をされまして、国からの集中的な支援を受けることとなりました。今後一層の集客が期待されているところでございます。
 県では、これまでも福岡市内のMICE開催に際しまして、主催者の方々に対し観光パンフの提供や旅行会社への県内周遊プランの提案を行うなど、市と連携した取り組みを進めてまいりました。今後は、こうした取り組みに加えまして、県が現在開発中でございますスマートフォン向けの観光情報を福岡市のWiFiに乗せられるようにして、WiFiを通じて私どもが開発しますスマートフォン向けの観光情報を訪れられた方々に提供するということを年内に開始をしたいと思っております。このような形で市との連携を一層強化してまいります。
 このたび、二〇二〇年の夏季のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになりました。オリンピック開催時には、御指摘ありましたように、選手や競技関係者だけではなく、大変多くの観戦者という方がこの日本を訪れられると思います。県としましても、九州観光推進機構と連携いたしまして、九州が一丸となって誘客を行っていくことが、この機会は大事だと思っております。今後、東京にはない九州の自然、温泉、食などを生かした観光ルートを開発するとともに、今、特区で、留学生を活用した特区ガイドというものを来年春からスタートさせますが、そういった特区ガイドでありますとか地元のボランティアガイドの養成を今からやっていきまして、受け入れ態勢のほうも十分整備をして、オリンピックの機会を活用して本県への、また九州への外国人観光客の誘客拡大に努めてまいります。

◯副議長(長 裕海君) 杉光教育長。
*教育長答弁

◯教育長(杉光 誠君)登壇 小中学校における郷土の歴史や伝統文化、偉人に関する教育についてでございますが、児童生徒が郷土の歴史を学ぶことは、郷土に誇りを持ち、ふるさとを愛する心を育み、我が国の伝統や文化の理解を深める上で重要であると考えております。このため、各小中学校におきましては、市町村が独自に作成をしました郷土資料などをもとに、郷土の伝統文化や偉人などを取り上げた学習をしております。また、児童生徒がその成果を観光客用のリーフレットの作成であるとか、観光客の案内などに生かしている学校もございます。また、地域から県へと視野を広げていくことも必要であり、県教育委員会では、県内の文化財や地域行事、郷土芸能、偉人等を掲載した「ふくおか郷土資料」を作成いたしまして、自分の地域と他地域との歴史的つながりを学習できるようにしております。こういうことで各学校における積極的な活用を促進してまいります。さらに本年度から、発達段階に応じた郷土の歴史や伝統文化等への理解を深めるカリキュラムや指導方法の調査研究を始めたところでございます。今後は、その成果を各小中学校に普及させまして、児童生徒の郷土の歴史についての理解や伝統文化を尊重する心を育む教育を充実させてまいります。

平成25年度予算特別委員会 知事保留質問「水害を解消する防災減災対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 水害を解消する防災減災対策について、知事に質問いたします。
 まず、災害に強いため池整備事業、いわゆるクリーク防災事業についてお伺いします。昨年七月の九州北部豪雨災害後、九月議会における私の一般質問でも、知事はクリーク防災事業について貯留、排水といったポケットとしての防災機能を強化し、生活の安全を確保するためにも必要と評価されており、被災地の住民としては大変心強く思った次第です。
 一方で、平成二十五年度のクリーク防災事業の県単独予算では、約二十三億円から約十二億円と大きく減額されております。平成二十五年度は緊急経済対策もあり、国の予算がふえたが、これがいつまでも続くわけではないと私は思っております。それゆえ、防災減災に資する事業は国頼みではなく、県も独自に予算あるいは計画を立て、確保し、推進していく必要があると考えますが、知事の所見をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 小川知事。

◯小川知事 防災減災対策予算の確保でございますが、ため池整備などの防災減災対策を計画的に実施していきますことは、委員御指摘のとおり農業生産の安定につながるのみならず、農村の防災機能を強化するためにも重要なことでございます。これらの予算は、国の予算に大きく依存しておりますけれども、平成二十二年度、国の予算が大幅に削減されたことから、必要な防災対策を進めるため、三カ年の県単独事業を創設いたしまして、計画的な整備に努めてきているところでございます。最終三年目になりますが、まずはこうした県の予算と、国の平成二十五年度の予算、これらに基づきまして、必要な事業を着実に前進させることが大事であると考えております。
 それから先、今後とも計画的にこれらを整備していくためには、まず国の予算がしっかり措置されることが不可欠であると私も考えておりまして、国に対しては、引き続き、必要な予算の確保の働きかけをしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひよろしくお願いします。
 そもそもクリーク防災事業は平成十一年から開始されたと聞いております。その当時から比べて、頻発するゲリラ豪雨など、気象条件も大きく変わってきております。また、福岡県は施設園芸導入を施策として推進しておりまして、水田がハウスにとってかわってきております。水田ならば、少々浸水しても被害は起こりませんし、それ自体にポケットとしての防災機能がございます。しかしながら、ハウス作物の場合は、少々の浸水でも甚大な被害になります。その点でも湛水被害の原因調査を徹底して行うべきと考えますけれども、知事の所見をお尋ねします。

◯小川知事 湛水被害の原因究明についてでございます。本県の筑後川下流域などは湛水被害の常襲地域であったために、地域ごとに降水量から計画排水量を算定いたしまして、それに基づく規模の排水量あるいは排水ポンプの整備を進めてまいりました。しかしながら、委員御指摘のとおり、近年想定を超えるような局地的な集中豪雨が多発しておりまして、海岸や河川に近い農地におきまして、農産園芸、施設園芸や、大豆などの転作作物に湛水被害が発生しているところでございます。このため、近年の気象データの収集、分析、そして土地の開発によります排水量の変化などを調査いたしまして、整備した排水施設の能力の妥当性を検証していくなど、その地域の実態に即した原因究明にこれから努めてまいります。

◯板橋 聡委員 ぜひ徹底した原因究明を行っていただきたいと思いますが、原因を究明するに当たり、一つ私としては心配なことがございます。水害というのは、河川管理、湛水防除、高潮対策など、さまざまな対策が必要です。しかしながら、これらは管理する法律も違えば所管する部署も農林水産部、県土整備部に点在しております。災害訓練など、ソフト対策を統括する窓口として防災危機管理局が新たに創設されましたけれども、水害におけるハード面の防災減災を統括する窓口を設けるべきではないかと考えますけれども、知事の所見をお聞かせください。

◯小川知事 水害にかかわる防災減災対策のいわゆるハード面での窓口の一本化だと思いますが、県としましては、災害時の対応はもとより、防災減災を進めるためには関係各部局、被害の発生原因と対応策、そして具体的な対応を連携して行っていくことが必要であると考えております。このため、河川や農地など、それぞれの所管部が連携をとりながらこれまで対策を講じてきたところではございますが、今回、非常な被害、災害に見舞われたわけでございます。今回の教訓も生かしながら、私も先月でございますけれども、朝倉地域に参りました際、関係部局の所長に集まってもらって、農林事務所と県土整備事務所に対し、横の連携をよくして県として一体となって現場で対応していくように改めて指示をしたところでございます。現在、農林事務所と県土整備事務所との間で公共事業を円滑に進めていくための連絡調整会議というものを農林事務所ごとに設置させていただいております。今後は、全県的にそれらの情報を収集し、連絡調整に必要な体制を強化していくために、農林水産部の農山漁村振興課にこの会議をしっかり統括させまして、県土整備部とも連携を密にしていきたいと思っております。
 また、現在各地に置かれております連絡調整会議につきましても、新たに防災減災対策が必要な地域の情報でありますとか、対策の内容について認識を共有していく、それを強化する、そういったことを通じて、事務所単位でも的確に対応していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 知事に三回も私の地元にも御視察いただきました。七月十四日の大水害で沖端川が決壊しまして、町の半分が水につかってしまいました本郷地区にも三回来ていただきました。そちらに、中原巌区長という方がいらっしゃいました。御自身が被災していたにもかかわらず、地元の取りまとめ役として水害直後から現地対策本部で陣頭指揮をとられ、私のもとに被災住民から多種多様な要望が届いて右往左往しておりますと、「県はちゃんとやってくれとると信じとるけん、地元はこっちでしっかりまとめるけん、任せとかんね」と非常に心強いお言葉をいただき、励ましていただきました。こういう方がいるから地方自治は成り立っているんだなと感動した次第です。その後、難航していた決壊箇所の復旧の用地交渉では、地元の協力体制を築いていただき、何とか年度内に復旧工事を発注できるようにこぎつけていただきました。そして、それを見届けるように中原区長は三日前にお亡くなりになりました。これから復旧する安全、安心な沖端川を中原区長に見せることができなかったことが本当に残念です。
 今回、連絡調整会議の機能拡充をお約束いただきましたが、知事、県を信じ、地域を支えるこういう方々の信頼に応え、県民の安全、安心、安定をさらに高める努力を今後も継続していただきたいと要望して、質問を終わります。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「体罰のない環境における指導体制について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。本日最後の質問です。皆さん、頑張りましょう。
 川端委員に続いて、体罰関連の質問です。私は、教育課程や学級活動、ホームルーム活動、学校行事などのいわゆる正課活動を前提に、体罰のない環境における指導体制について質問いたします。
 昨年末の大阪市立桜宮高校生の自殺から発生した体罰論争、体罰を受けた生徒あるいは体罰を与える教師、これらの視点から語られていることが多いのですが、私は、本当に守られるべきものは何なのかという視点が決定的に欠けていると思います。一部の問題行動を起こす生徒により、学級崩壊を初めとする秩序が保たれていない学校があると聞きます。今回の体罰問題により、教師は指導方法に戸惑う一方で、問題生徒は教師を軽んじ、中には挑発する者もおり、さらに環境は悪化しているとの報道もあります。そんな環境の中、体罰是非の論争に明け暮れるのではなく、本当に守られるべきは、学校に真面目に通い、学力と人間性の向上を目指す大多数の生徒たちではないでしょうか。
 そこで質問です。県教育委員会は、一部の問題行動を起こす生徒の指導に多くのエネルギーを費やすことが重要なのか、それとも、問題行動を起こす生徒により学校の秩序が崩壊し、教育を受ける権利を阻害される子供を守らなければならないのか、どちらを優先されるべきと考えますか。杉光教育長の簡潔、明快な回答を求めます。
    〔正副委員長交代〕

◯原口剣生委員長 杉光教育長。

◯杉光教育長 先ほど委員がおっしゃったように、問題行動を繰り返す児童生徒の立ち直りや自立に向けた指導は必要ではございますが、一部の児童生徒の問題行動によりまして、他の児童生徒の授業を受ける権利が妨げられるということは、あってはならないと考えております。

◯板橋 聡委員 もう一点。生徒たちは一人一人に個性はありますけれども、指導者である教師を頂点として、さまざまな個性が結びつき、調和を保った状態こそ、秩序が維持された学校と私は認識しておりますが、杉光教育長、この認識を共有していただけますでしょうか。

◯杉光教育長 そういうことに関しては、委員がおっしゃるとおりで、私も同感でございます。

◯板橋 聡委員 教育長の回答を大前提に、質問を進めさせていただきます。
 体罰論争以降、学校教育法を私は確認しましたけれども、学校の秩序を保つために体罰を振るうことは、これは学校教育法のどこをどう読んでも不可能だということを認識しました。私立学校なら、繰り返しの指導で改善の見込みのない生徒は退学ということになります。公立学校はそれはできません。昔はパチンとやっていましたけれども、それもできません。その結果、教師は問題生徒の指導に追われ、私立と公立の教育格差が生まれかねない。公立学校の先生はどうやって一部の問題行動を繰り返す生徒を指導すればよいのでしょうか。
 ここで資料要求に従い、問題行動に対する指導基準の提出をお願いいたします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求のありました資料について提出できますか。家宇治義務教育課長。

◯家宇治教育庁義務教育課長 直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 正副委員長に確認をさせてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 それでは、資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、資料に基づいて、問題行動を起こす生徒の指導方法について説明をお願いいたします。

◯家宇治教育庁義務教育課長 お手元の資料は、問題行動への対応における指導基準の例でございます。県による明確な基準を出しているわけではございませんが、おおむねこのような基準、もっと細部にわたる基準を持っている学校もございますが、ここに示しております基準に基づきながら問題行動の状況に応じて指導の基準を明確化して、全教職員の共通理解のもと、一貫した指導を行っているという状況でございます。
 具体的には、問題行動のレベルによって、レベル一、学級担任・学年教師による指導。レベル二が、学年主任あるいは生徒指導主事による指導でございます。レベル三が、校長等管理職による訓戒等を段階を追って行うということでございまして、このような指導によってもなお改善が見られない児童生徒の中で、他の児童生徒の教育に妨げがあるという場合には、学級から取り出して別室で指導するという対応を行っておるところでございます。さらに市町村教育委員会において、学校が継続的に指導してもなお改善が見られず問題行動を繰り返す場合は、その保護者に対して出席停止の措置をとる等の対応を行っております。

◯板橋 聡委員 つまり、問題行動には、この資料のように対応を行い、それでも改善しない場合は取り出し指導、それでもだめなら市町村教育委員会の判断を仰いで出席停止になるという認識ですけれども、つまり、学校現場の判断で行える最後の指導方法というのは、取り出し指導という理解でよろしいでしょうか。

◯家宇治教育庁義務教育課長 他の生徒に被害が及ばないということを考えますならば、それが最後の手段だと考えております。

◯板橋 聡委員 ここで一つ心配なことは、取り出し指導とか出席停止の措置を行う場合、その問題を起こした生徒に対して補習授業を行わなければならないと聞いていますが、これは本当でしょうか。

◯家宇治教育庁義務教育課長 問題行動を繰り返す児童生徒につきましても、やはり学習権を保障するということは重要なことでございますので、通常の学級と同じような形で授業を行うことになるということでございます。

◯板橋 聡委員 教育権は大事だと思います。それは私も認めますが、学校が週六日制のころは、土曜日の午後、先生同士で指導力向上のために勉強会をしたり、あるいは授業の準備をしたり、本来あるべき教師の資質向上を図っていたそうです。しかし、週五日制の今はそれもできにくい。その上、昨今は、いじめ、自殺、体罰と、何か事件があればアンケートが降ってくる。モンスターペアレンツとまでは言いませんが、少子化の影響で親御さんの要求も反比例的に高まっております。発達障害児や食物アレルギーなど、個々の子供の状況に応じた対応、本当に現場の先生方はぎりぎりの状況で職務を行っています。その中で、学校秩序を守るために取り出し指導を行うと、さらに自分の首を絞めるような補習授業が課せられる。そんな現状では学校の秩序維持、あと教師の資質向上、この二つを両立させるために、取り出し指導に対して人的な支援が不可欠と考えますが、教育委員会としての見解をお尋ねします。

◯家宇治教育庁義務教育課長 学校におきましては、問題行動を繰り返す児童生徒の対応といたしまして、関係教員の負担が重くならないという形で、また関係職員が孤立することがないということで、生徒指導担当教員を中心に、学年主任や学級担任などでチームを組みまして、組織的に対応するようにしておるところでございます。取り出し指導や出席停止を行った場合におきましても、学習の支援や生活指導などを行う必要がございまして、生徒指導の充実のために配置しております教員が中心に対応を行うこととしております。状況に応じまして、学校の職員が分担して指導に当たるなどの取り組みを行っているという状況でございます。
 県教育委員会といたしましては、取り出し指導に十分に対応できない場合には、指導主事あるいは教育事務所に配置しておりますスクールカウンセラー、これらの活用等、市町村教育委員会や学校をバックアップできるような措置を行うように検討しているところでございます。

◯板橋 聡委員 現在取り組まれていることはよく理解しました。しかし、体罰はだめだということが法律上も社会的にも明確になった以上、問題行動を繰り返す生徒に対する指導体制なりシステムを新たに構築しない限り、つまり、既存の体制で人と時間のやりくりをしている限りは、現場の教師あるいは学校への負担はふえる一方なんです。ぜひ、ここは現場任せにせずに、県教育委員会として責任を持って、体罰によらない新しい指導体制の整備を行うべきと考えますが、教育委員会の考えをお聞かせください。

◯家宇治教育庁義務教育課長 体罰によらない指導体制の確立につきましては、問題行動を繰り返す児童生徒への対応についての指導システムを確立するということだろうと考えております。そこで、まずは各学校での対応状況の把握を行うことが必要と考えておりまして、問題行動を繰り返す児童生徒の措置に関する学校の対応状況を把握しまして、対応上の課題を明確にしたいと思っているところでございます。その課題をもとに、市町村教育委員会に対する報告、あるいは問題行動を繰り返す児童生徒に対する指導のマニュアル、あるいは取り出し指導や出席停止措置に関します市町村教育委員会、あるいは県の学校への支援等について検討を行って、早急に各学校に示したいと考えているところでございます。

◯板橋 聡委員 これは喫緊の課題でございますので、ぜひ早急にお願いいたします。
 最後に、某中学校において、悪ふざけをしたある生徒に厳しい叱責が行われました。叱責した教師と叱責を受けた生徒・保護者の間には確かな信頼関係がありまして、それを教育の一環として何の問題もなく受けとめていたんですけれども、それをたまたま目にした第三者が、体罰が行われていると学校サイドに通報して、結局その教師は処分されたという事案を聞きました。
 以前は大らかな時代は、先ほど当会派の大島議員から聞いたんですけれども、「ずっと先生が頭を殴りよると痛かやろう」ということで、大島議員のお父さんは学校の先生に竹刀を渡していたそうなんですが、それぐらいの大らかな時代があったんですが、今はもう全くそういうのを聞かない、あるいは第三者からそういったことを言われてしまうということになります。外部から指摘された、だから処分する、こういう事なかれ主義では、教師が愛情と責任感を持って生徒を我が子のように指導するよりも、問題生徒を受け持たない、あるいは問題生徒を見て見ぬふりをする、そのほうが得だと、こんな流した汗が報われない教育現場をつくってはならないと思います。
 冒頭の教育長の答弁で、県教育委員会は生徒の教育を受ける権利を守ることが最優先であるとの思いを共有させていただきました。そのためには、現場の努力をきちんと把握して、場合によっては県教育委員会が矢面に立って、現場をしっかり守ることも必要です。それこそが、教師、学校、市町村教育委員会、そして県教育委員会が一体となって、流した汗が報われる教育体制をつくることだと思いますが、最後に杉光教育長の決意を簡潔にお聞かせください。

◯杉光教育長 体罰によらない厳しい指導は、当該児童生徒にその非を自覚させ、成長を促す上でも必要であると考えております。先ほど事例として紹介がありました、第三者から体罰と見て通報されるといった事案につきましては、当該児童生徒や担任から事情を聴取して、事実関係を正確に把握した上で判断してまいる考えでございます。県教育委員会としましては、教育委員会と学校、さらには教員が一体となって、学校や教員一人一人が自信と責任を持って、毅然とした指導が粘り強く行えますよう、しっかりとした体制整備に努めてまいる所存でございます。

◯板橋 聡委員 答弁はいいです。あとは実行あるのみ。いつやるの。今でしょう。この精神でしっかりお願いします。
 以上、終わります。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「入札参加資格申請について」「迅速な復旧復興に資する組織体制について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 県土整備部、建築都市関連で大きく二つ質問させていただきます。
 まず、入札参加資格申請について質問いたします。
 質問に先立ち、資料要求に基づき平成二十六年度入札参加資格者名簿に関する資料の提出をお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料について提出できますか。乗松建築指導課長。

◯乗松建築指導課長 直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 正副委員長に資料の確認をお願いします。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 それでは、資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、資料に基づいて平成二十五年度の入札参加資格名簿の登録申請に関する手続のスケジュールを御説明ください。

◯乗松建築指導課長 平成二十五年度の入札参加資格申請につきましては、平成二十四年十月決算から平成二十五年九月決算までの建設業者が対象となります。申請の受け付け時期でございますが、平成二十五年四月から平成二十六年一月までの間となります。例えば平成二十四年十月決算の建設業者は、平成二十五年四月の申請となり、平成二十五年九月決算の建設業者は平成二十六年一月の申請となるというように、決算期ごとに順次申請の受け付けを行ってまいります。この申請に基づき作成した名簿を平成二十六年度名簿として、平成二十六年五月から一年間使用してまいります。

◯板橋 聡委員 つまり平成二十四年の十月決算から順番に平成二十五年度の四月から申請を受け付けるということになると思うんですけれども、審査のタイミングというのはどうなるのでしょうか。

◯乗松建築指導課長 先ほども申し上げました平成二十四年十月決算のものについては、申請を平成二十五年四月に受け付けるものでございます。この申請受け付けの際に審査をしていくということでございます。

◯板橋 聡委員 では、申請とほぼ同時に審査が行われるという認識ですが、ここで一つ御指摘させていただきたいのが、本年の一月七日に競争入札参加資格審査について地域貢献活動の評価項目が、二項目から二十二項目に大幅にふえました。先日も新社会推進部の答弁の中でローソンなど県と包括協定を結ぶ会社は社員の自治会加入を促すことになりましたけれども、民間が積極的に地域貢献を推進するのは価値があると私は思っております。
 一方で、一月に発表され四月から順次始まる審査において、これは新たに地域貢献活動評価項目に対応するための準備期間が、例えば二十四年十月、十一月決算期のところは四月、五月とそういったタイミングで審査が行われます。準備する期間が、一番最後は平成二十五年の九月に決算がある方は二十六年の一月に審査されるわけですね。そういう意味では非常に不公平が発すると思うんですね。そういう意味では、特に初年度ではございますので、これは救済措置なり何なり対応する予定があるのかないのかというのをお聞かせください。

◯乗松建築指導課長 地域貢献活動の評価についてでございます。
 この評価につきましては、当該建設業者の決算期間に行った地域貢献活動が評価の対象になってくるものでございます。このため、委員御指摘のとおり、今回の項目追加によりまして新たに地域貢献活動の取り組みを始めようとする建設業者さんにあっては、例えば決算期が本年九月の建設業者さんは十分な期間がある。一方、既に決算期が終わっている建設業者については対応できないということになります。このことを踏まえまして、初年度につきましては公平性を確保するため、これから行われる地域貢献活動についても建設業者の決算期にかかわらず評価できますよう、地域貢献活動に係る追加申請を平成二十六年一月まで受け付けてまいることといたします。

◯板橋 聡委員 一社でも多くの方がこういった追加措置というか救済措置を使って、地域貢献活動に協力していただくことを非常に期待しておりますので、ぜひ頑張ってください。
 続きまして、迅速な復旧復興に資する組織体制について質問させていただきます。
 まず、資料要求に基づき県土整備部組織体制整備の状況に関する資料提出をお願いいたします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料について提出できますか。石川県土整備総務課長。

◯石川県土整備総務課長 直ちに提出できます。

◯原口剣生委員長 正副委員長に確認をさせてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 それでは、資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、まず資料に基づき、昨年七月十四日の九州北部豪雨災害以降、被害の大きかった南筑後、八女、久留米、朝倉の四県土整備事務所において、どのような組織体制を整えたのか御説明をお願いします。

◯石川県土整備総務課長 お手元の配付資料は、体制整備を行いました四県土整備事務所の組織体制の推移と土木職員の採用増の時期及び規模についての資料でございます。豪雨災害に係る復旧事業を着実に推進するため、昨年十二月一日付で四県土整備事務所に災害対応専任組織の設置と人員増を行い、災害復旧に係る体制を強化したところです。資料の縦欄中央になりますが、八女県土整備事務所に災害事業センター、南筑後県土整備事務所柳川支所に災害事業室、久留米県土整備事務所に災害事業係を設置し、朝倉県土整備事務所には人員増を行いました。
 本年四月以降につきましては、資料一番右の欄の数字のとおり組織の人員を増員し、体制の強化を図りたいと考えております。
 また、表の下段ですが、災害復旧事業の執行に当たる土木職員の不足を補うため、昨年十二月には任期つき職員を二十五名採用し、他県や他所属からの応援職員等とともに四県土整備事務所に配置しました。また、四月には土木職員を四十三名採用し、組織体制の増員に対応するほか、応援職員等の帰還に伴う補充や緊急経済対策に対応することとしております。
 以上です。

◯板橋 聡委員 新組織体制を構築するに当たり、県土整備部全体として人をふやしたと。これによって、政権交代によって新たな財政出動による緊急経済対策に対しても、十分にこれは対応できると。それは豪雨災害復旧・復興のための人員確保もあわせて十分に対応できるという認識でよろしいでしょうか。

◯石川県土整備総務課長 この採用増によりまして、災害対応とあわせて、今般の緊急経済対策についてもしっかりと対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 私は一点気になる部分がございまして御説明をお願いしたいのですけれども、任期つき採用、あと、新規採用ということで新たに増員された方々の年齢構成とか、その方の持っていらっしゃるバックボーンとか一般的な経歴を教えていただけますでしょうか。

◯石川県土整備総務課長 任期つき職員は、災害対応など一時的な行政需要に柔軟に対応するために、専門的な知識や経験を有する者を任期を定めて採用するものでございます。十二月に採用しました任期つき職員につきましては、災害復旧事業を実施するため、行政や民間の工事経験者を即戦力として任用したものであり、採用された者は三十代から六十代までと幅広く、いずれも実務経験が豊富な職員であります。一方で新規採用職員は、今後の退職者の見込みや行政需要を踏まえ、長期的な視点で採用するものであり、行政や民間の工事経験者がいるものの大半が大学の新卒者で、比較的キャリアが浅い職員となっております。

◯板橋 聡委員 任期つき職員というのは災害復旧のため採用されておりますので被災事務所に配置されるのでしょうけれども、経験の浅い新規採用職員の配置というのはどのようにお考えなんでしょうか。

◯石川県土整備総務課長 新規採用職員につきましては、人材育成上まずは出先事務所に配置いたしまして、現場での設計積算や地元対応などの経験を積ませることとしております。事務所ごとの配置につきましては、被災事務所も含め、事務所の事業の内容などを勘案の上配置する方針としており、県土整備事務所におおむね三名から四名程度が配置されるものと考えております。

◯板橋 聡委員 やはりスムーズな事業遂行のために、現場の技術系職員一人一人にはそれぞれ経験とか、あるいはそれに基づいたスキルが要求されると思います。通常、現場で一人前になると言われるのは二年ぐらい勤務経験が必要じゃないかということをよく耳にいたしますけれども、その意味で新規採用、あるいは任期つき採用であっても新しく採用される方というのは、それなりにトレーニング期間というのが必要だと思われます。組織としてはトレーニングするのは当たり前のことなんですけれども、一方で昨年の豪雨災害からの復旧とか、あるいは緊急経済対策というのは時間的な制約がございます。できるだけ速やかに効率よく事業を進めていかなければならないという、相反する命題が存在しております。
 その点で人員配置や教育訓練に関してどのような配慮をしているかというのを、人員配置は先ほど聞きましたけれども、教育訓練に関してどのような配慮をされているかというのをお答えください。

◯石川県土整備総務課長 トレーニング体制でございますけれども、新たに採用されます土木職員に対するトレーニングにつきましては、四月に実施する一般的な新規採用職員研修のほか、土木技術職員としての基礎知識を習得させるための研修を実施することにより、業務遂行に必要な知識や心構えを習得させることとしております。
 それと、四月の第一週に工事の設計積算のための研修を実施するなど、技術職員がすぐに必要となる作業の習得について努めてまいりたいと思っております。このほか、先輩職員を指導担当職員として指名いたしまして配置しマンツーマンで指導するなど、さまざまな取り組みを組み合わせ、効果的なトレーニング体制をとるよう努力してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 今聞いた限り、これは通常そうなんだろうなという気がいたしました。やはり緊急経済対策と豪雨からの復旧復興、これも出水期までに進めていかなければいかんということで、例年にはないようなそれを意識した特別な取り組みがあったら、ぜひそこを教えていただきたいんですけれども。

◯石川県土整備総務課長 委員おっしゃるように早期のトレーニングが必要と考えておりまして、例年五月に実施しております土木技術研修の一部を、本年は特に四月の第一週に前倒しして実施することとして、早期の研修により職員の業務への対応が可能となるよう配慮いたしております。
 また、具体的な内容としましては、県土整備事務所における事業執行の流れなどの基礎的な知識のほか、図面の見方や積算システムの操作などについて演習を交えて習得させるほか、若手職員との意見交換会を行い、災害や現場における課題点などを直接話し合う場を設けております。

◯板橋 聡委員 一生懸命頑張ってあるなというのはよくわかります。これは現場でいろいろやられること、とにかく現場に行って現場を見て、あるいは用地の交渉とかいろいろコミュニケーションスキルの問題もあったりして、研修だけではなくて現場対応力というのも磨かないと事業は思うように進んでいかないと思うんですけれども、こちらに関してはどうお考えですか。

◯石川県土整備総務課長 委員御指摘のとおり、現場では用地交渉や現場管理、あるいは関係機関との協議、地元対応など対外的な業務、いわゆる現場の業務が多くございます。したがいまして、現場の業務を取得するため先輩職員を指導担当職員として指名して配置しまして、マンツーマンで指導することとしており、また、地元説明会などの対外的な業務には可能な限り同席させるなど、新規採用職員が現場対応力を適切に身につけられるよう努力してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 アベノミクスの一本目の矢といわれます財政出動による景気対策が本格的に始動される中、ぜひ福岡県としてもそれをしっかりと取り込んで、県の景気を浮揚させることが喫緊の課題だと思っております。ぜひそのような体制をつくるように努力していただきたいんですけれども、私が一番心配しておるのは、何でこんなことを聞くかといいますと、そのような体制づくりを県ができなかった場合、本来必要のない無駄な作業といったものが発生して、それは大体どっちに負担がかかるかといったら、建設業者側に負担がかかってくるんですね。具体的に言いますと、余計な工期を負担しなければならないような状況になってきます。ただでさえ資材が高騰している中、せっかく予算がふえたのに思ったほど経済効果が上がらないという、こういった上滑りを防ぐためにも、新規採用者はもちろん、既存の職員も含め、しっかりとしたスキルを身につけて研さんを同時に進めていただくと。そして万全の体制づくりをして、福岡県もほかの全国同じように足並みをそろえて、景気回復に邁進をしていただきたいという思いでございます。
 最後に、それに対して、県土整備部が中心になると思いますので県土整備部長の決意をお願いいたします。

◯原口剣生委員長 村山県土整備部長。

◯村山県土整備部長 ただいま御指摘がありましたとおり、経済対策、また災害復旧、今、一生懸命頑張っているところでございまして、先ほど課長から御答弁申し上げたとおり、そのために臨時職員、また新規採用の職員を大幅に増員しまして体制の強化に努めているところではございます。ただ、現場の工事ということになりますので、委員御指摘のとおり、そういった現場に対応できる技術を持った職員を研修において育成していくとか、例えば現場の工事とより密接に発注者側と受注者側が連携をとりながら実施していくということが非常に大切だと思っております。こういったことを県土整備部の公共事業担当の職員がしっかりと受けとめて、経済対策なり災害復旧に努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「園芸施設へのチップボイラーの推進・農地の湛水被害を解消する防災減災対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。本日最後の質問になります。執行部の皆様、簡潔明瞭なお答えをお願いいたします。
 大きく二点について質問いたします。
 まず、園芸施設へのチップボイラーの推進について質問します。県はこれまでも重油の高騰に対応し、省エネルギー化施設などの導入を進めてきましたが、どのような対策を行ってきましたでしょうか。

◯原口剣生委員長 岡本園芸振興課長。

◯岡本園芸振興課長 重油使用量を減らし、コストを削減するため、平成十九年度に高収益型園芸事業に省エネルギー化推進メニューを創設しました。具体的には、ハウス内の保温性を高める内張りカーテンや温度むらをなくす循環扇など、施設整備を支援してきたところでございます。

◯板橋 聡委員 農家の方はいろいろな省エネ対策に取り組んで、できることはやりつくしたぐらいの認識だと思いますけれども、今年度予算の主要事項に上げられています園芸施設ハイブリッド暖房システム(福岡方式)モデル事業費について、簡単に御説明ください。

◯岡本園芸振興課長 木質チップボイラーと既存の重油ボイラーを併用した暖房システムであります。恒常的な加温部分は木質チップボイラーを、急激に温度が低下したときの加温は既存の重油ボイラーを用いるシステムでございます。なお、チップボイラーは複数のハウスで共同で導入し、各ハウスに温湯を供給するセントラル方式をとることといたしておるところでございます。

◯板橋 聡委員 この事業により現地で実施する具体的な内容もあわせてお願いします。

◯岡本園芸振興課長 現地実証につきましては、一ヘクタール程度の複数のハウスがまとまった団地で実証し、各ハウスに合った温度管理方法やコスト削減効果を実証する計画です。また、未利用になっている間伐材などを低コストで供給するための効率的な収集方法や乾燥方法等も実証します。システムを初年度に導入し、現地実証は三カ年間実施するところでございます。

◯板橋 聡委員 この実験に対して、施設設置に五千万円も要するということですけど、採算が合うのかちょっと疑問でございます。事業実施に当たって、どの程度のコスト削減を見込んでいるかお答えください。

◯岡本園芸振興課長 実際の導入に当たりましては、導入費を抑えるため、ボイラーの規模や各ハウスでの熱交換器の配置などを検証することが必要だと思っています。現段階でのコスト削減の見込みでございますが、トマトなど管理温度が十二度程度になる作物で、重油価格が一リットル当たり九十円、チップ価格が一キログラム当たり十円の場合、十アール当たり燃料費は重油暖房の二分の一に当たる約四十五万円程度が削減の見込みでございます。また、暖房機の償却費も含めた十アール当たりのコスト削減の見込みは、三十万円程度と見込んでいるところでございます。

◯板橋 聡委員 効果はかなり期待できるのかなと思います。昨年の衆議院解散直後から、金融政策の見直しの期待によって円安傾向が続いております。ことし一月の平均原油価格は九十二・九円、近いうちに百円を超えるとか百二十円まで行くとかという予想もございます。園芸農家は本当にコストに耐えられない、限界に来ている状況でございますので、実証実験に三年と先ほど申されましたけれども、一年目に結果を出すぐらいの意気込みでやっていただく。そして、結果を出したらスムーズにこれを普及させるためにもいろいろな段取りというのも必要になってくると思いますので、そういうものをあらかじめ支援する体制を整えるぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 ぜひ谷部長の見解をお聞かせ願います。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 重油が高どまりしている状況の中で、やはり農家経営が安定するためには、重油の量を削減していくということが喫緊の課題でございます。そういった意味では一年でも早く現場に普及していくというのは、私も同じ気持ちでございます。しかしながら、先ほど委員の御質問がございましたように、そんな多額の投資をしてペイするのかということでございます。これは私どもペイすると思っているわけでございますけれども、実証効果がきちんと証明されていない段階で農家に普及するというのは、農家経営に対するリスクが大きいと考えております。また、技術的に解決しなければいけない問題も残っております。そういったリスクを解決した上で農家に普及を図っていくというのが、私どもとしては先にやることではないかと思っているところでございます。

◯板橋 聡委員 そういったリスクの部分もしっかり検証しなければなりませんけれども、その段取りというか、オーケーだというゴーサインが出たらば、なるべく速やかに普及できるように、ぜひその答弁ぐらいのスピードでやっていただきたいと思います。
 続きまして、湛水被害を解消する防災、減災対策について質問させていただきます。通告に基づき、国・県の農業関連公共予算の推移、農林水産部当初予算前年比、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算推移の提出を、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。関農村森林整備課長。

◯関農村森林整備課長 直ちに提出させていただきます。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では最初に、簡潔に説明をお願いいたします。

◯関農村森林整備課長 資料について御説明いたします。一枚目の国・県の農業関連公共予算の推移についてでございます。これは平成二十年度から平成二十五年度までの国及び県の農業農村整備予算の推移をあらわしたものでございます。グラフの実線が国の予算で、目盛りは左側でございますが、平成二十二年度に前年の五千七百七十二億円から、対前年比約三七%の二千百二十九億円に激減いたしまして、交付金と合わせても対前年比で約半分の二千九百九十九億円になっております。その後、若干の増減はございましたが、今回、平成二十五年度の数字であらわしておりますのは、平成二十四年度の経済補正対策と平成二十五年度当初予算を合わせた十五カ月予算でございまして、交付金と合わせて五千九百二億円となっております。削減前の平成二十一年度の水準を上回る大幅な増額となっております。
 一方、県の予算は、グラフの一点鎖線であらわしております。国の予算の減額に伴いまして、平成二十二年度は対前年比七七%の百二十億円余に減額し、その後、平成二十四年度まではほぼ同水準で推移しております。今回、国の予算増額に伴いまして、平成二十四年度補正と平成二十五年度当初を合わせた十四カ月予算で百六十九億円余の予算をお願いしているところでございます。
 それから、二枚目の上の表は、農林水産部の平成二十五年度当初予算でございます。平成二十五年度の当初予算は区分のAと書いているところで、総額が六百七億六千五百万円余、対前年比一〇三・四%でございます。平成二十四年度の経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、表の右のほうの区分A足すCという欄になり、七百十九億六千九百万円余で対前年比一二二・四%となっております。
 このうち農業農村整備事業費は、公共事業費のうち網かけをした「農地関係」と記載した欄でございます。平成二十五年度の当初予算は、国庫補助百十二億六千九百万円余と県単公共十七億三千三百万円余を合計いたしました百三十億二百万円余、対前年比一〇四・三%でございます。これも経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、国庫補助が対前年比一五八・三%の百五十一億八千九百万円余と大きく伸びておりまして、県単予算と合わせた農業農村整備事業費全体では、対前年比一三五・八%の百六十九億二千三百万円余としております。
 同じページの下の表が、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算額の推移でございます。農業農村整備関係の県単公共事業費全体は十七億三千三百万円余、対前年比は六〇・四%となっております。これは、防災事業費関係がここ二年ほど県単事業を用意していただきまして、それを国庫補助の減額の補填に充てておりましたけれども、今回、国の予算が大幅に増額いたしましたので、これを国庫補助事業費のほうにシフトいたしましたために、県単公共事業費の中の災害に強いため池等整備事業費を対前年比五一・三%の十一億九千六百万円余としたことにより、県単事業費全体が少し少なくなっているということでございます。
 説明は以上でございます。

◯板橋 聡委員 丁寧な御説明ありがとうございます。
 過去三年、非常に国庫補助事業が減っていて、県内のいろいろな経済的な影響を最低限にするために、県単事業などで平成二十三年、二十四年補っていたという大前提があり、政権交代によって国庫補助事業が増額したことで県単独事業、とりわけ二枚目の下段の県単公共事業費というのは二十三年、二十四年にがっとふえて、これが福岡県のいろいろな経済対策とみなされていたわけですが、二十五年になって減らされていたということでございます。この事業は特に防災、減災に資する事業ですので、やはりこれは国頼みではなく、県独自に推進していく必要があると思うんですけれども、見解をお聞かせください。

◯関農村森林整備課長 防災、減災事業の推進についてでございます。
 災害に強い安全、安心な農業農村をつくるため、防災、減災にかかわる事業を計画どおりに実施できるよう、必要な予算を確保することとしております。平成二十二年度に国の予算が大幅に削減されましたことから、国の予算に左右されずに、必要な防災対策を計画的に進めるため、県単独事業である災害に強いため池等整備事業を創設していただき、平成二十三年度から三カ年計画で予算を確保して、着実に実施しておるところでございます。
 今回、先ほど御説明いたしましたように、平成二十四年度補正及び平成二十五年度当初予算を合わせて、国の農業農村整備事業費が対前年比約二倍と大幅に増額され、さらに農山漁村地域整備交付金と合わせて平成二十一年度並みの予算が確保されたところでございます。県もこれを最大限活用いたしまして国庫補助事業を大幅に増額したところから、県単事業を減額したものでございます。
 災害に強いため池等整備事業費だけを見ますと、対前年比五一・三%でありますけれども、先ほど説明いたしましたとおり、農業農村整備事業費全体では対前年比一三六%、そのうち防災事業全体では、対前年比一三一%の予算を確保しておりまして、ため池やクリーク整備の計画的な推進には十分対応できると考えております。

◯板橋 聡委員 県の農業・農村振興基本計画において、集中豪雨などで被災しやすい地域は排水対策を計画的に実施することとしております。本年度に各農林事務所で湛水被害の調査を実施していると聞きますけど、調査内容とその結果を教えてください。

◯原口剣生委員長 安河内農山漁村振興課長。

◯安河内農山漁村振興課長 本年度、各農林事務所において市町村に聞き取りを行っております。農業振興地域の農用地を対象とした湛水常襲地域の箇所やその範囲を調査いたしております。その結果、県全体では二十九市町、百四十カ所、約四千ヘクタール程度の湛水常襲地域がございました。

◯板橋 聡委員 湛水常襲地域が確認できたのはいいと思うんですけれども、例えば、県土整備部では今回の水害を受けて、河川計画の見直し等含め、徹底した原因究明を行って、それにあわせて復旧計画や今後の対策を立て、住民説明などを行っております。そもそも県は施設園芸を強力に推進しており、先ほどの月形委員の質問の資料にもありましたとおり、ここ二十年で園芸作物の産出割合は四七%から五七%と大幅に伸びているわけで、水田がどんどんハウスにかわっていっているような状況です。湛水防除という意味では非常に大きな役割をする水田が変化する環境の中で、適切な湛水防除を行うためには、農林水産部で徹底した原因究明を行う、そして対策を立てて事業を進める、これがなければ、内水面被害に対して住民の安全、安心は図れないと思うのですけれども、見解をお聞かせください。

◯安河内農山漁村振興課長 今回、調査しました主な湛水の原因は、海岸や河川に近い水田地帯に湛水常襲地域が多く、排水先でございます河川の増水などが排水不良と考えられるところでございます。しかしながら、施設園芸の導入等も進んでいることもございまして、地域によっては状況が異なりますので、さらに原因を明らかにしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 水が原因となる災害、いわゆる水害はさまざまな要因があります。河川の治水や湛水防除、高潮対策などなどです。しかし、それぞれは管理する法律も違えば部署も違います。県土整備部、農林水産部、水産局、ざっと挙げただけで三つの部局が絡んでおります。これらを一本化した窓口が存在しておりません。防災危機管理局がひょっとしたらこういう窓口かなと思って確認したんですけれども、防災危機管理局は県民に対する災害訓練などソフト対策が目的とのことです。つまり、水害におけるハード面の防災、減災を統括する窓口は存在しないというわけでございます。
 これでは真の水害対策は進みませんし、市町村や団体はこれをどう管理して、把握してやっていくのかわからず、大変困っている。河川の問題なのか、湛水の問題なのか、どっちが原因かわからないところが非常に多いということです。ですから、水害対策に関して、ぜひ一本化した窓口が必要だと思うのですけれども、谷部長の見解をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 御指摘のように、河川管理につきましては県土整備部、農地については農林水産部がそれぞれ所管しておるわけでございまして、昨年のような災害が起こった場合は、お互い連携しながら工事等の進捗管理も行っているところでございます。しかしながら、災害時はもとより、先ほどからの御指摘でございます湛水被害の常襲地の解消につきましては、やはり日ごろから私どもはその原因をお互いが共有しながら解決していくことは必要でございますし、それぞれやっていかなければならないと思っているところでございます。今後とも、そういった観点で被害防除に向けました情報の共有、あるいは被害対策の共通実施といったものにつきまして、県土整備部ともしっかり連携してやっていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 連携するのは当然かなと思っております。何が原因で、どうしていけばいいのかというところで、法律あるいは部署の垣根を越えて、しっかりと総合的な対策をとっていただきたいということでございますが、そこまで部長に今求めるのは非常に酷かなと思います。この件は複数の部署にまたがりますし、常日ごろ豪雨災害からの復旧、復興、あるいは県民の安定、安心、安全を掲げてある知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。

◯原口剣生委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「子育て支援・県と企業の包括協定について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。私ごとではありますが、私は子育て真っ最中で、本日は長男、長女の幼稚園の卒園式でございます。議員というのは因果な仕事で、私はここにこうしているわけでございますけれども、かくなる上は、県民のためにしっかりと仕事をいたしますので、執行部の皆さん、心して御答弁ください。
 まずは、子育て支援についてお尋ねをします。
 県が推進する子育て応援の店というものがあります。私の地元のある美容院も子育て応援の店に加盟しております。そこは、店舗の二階にキッズコーナーを設け、地元の子育てサークルと連携したりして保育士を配置し、充実した託児サービスを行っています。子育てで忙しい女性も安心して来店し、ゆっくりとサービスを受けて心身ともにリフレッシュすることができて、大変好評です。また、我が家も親子で何度もお世話になりました。
 子育て応援の店はいろいろな形態があると聞いておりますが、このような特徴ある事例をもっと他社に参考にしてもらったり、努力、工夫をしている店へのインセンティブとして積極的に県民に対し広報したらいかがでしょうか。

◯原口剣生委員長 大田子育て支援課長。

◯大田子育て支援課長 子育て応援の店では、ミルクのお湯の提供や託児サービスなどの「やさしいサービス」や、キッズスペースの設置などの「便利な設備」、商品の割引などの「おトクなサービス」など、それぞれの店舗が取り組むことができるサービスの提供を通じて子育て家庭を応援していただいております。これらの取り組みは、子育て応援の店のホームページで紹介をしており、また、県の広報番組や子育て情報誌などを活用した広報にも取り組んでおります。今後、子育て応援の店の登録や利用のさらなる拡大を図るため、特徴的な取り組みなどについて、子育て応援の店のホームページを初め、県のさまざまな広報媒体を活用して紹介をしてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 県の施策を見ていますと、就労を軸とした女性の社会参加支援が充実しているように感じます。しかしながら、育児などのために家庭に入ることを選択した女性にもさまざまな形での社会参加があります。例えばPTAや自治会の会合に出席したり、公民館活動のお手伝いをしたり、勉強会や講演会に参加することも立派な社会参加です。その際、未就学児がいると、専業主婦であるがゆえに、逆に託児の問題が発生します。未就学児を子育て中の就労していない女性を支援する制度にはどのようなものがあるかをお教えください。

◯大田子育て支援課長 働いている、働いていないにかかわらず、子育て家庭を支援していくことは重要な課題であると認識をいたしております。子供を一時的に預かる事業といたしましては、保育所や子育て支援センターなどで子供を一時的に預かる一時預かり事業がありまして、今年度、四十八の市や町で実施されております。また、子育てのサポートを受けたい人とサポートをしたい人が会員となって相互に託児などを行うファミリー・サポート・センター事業につきましては、二十八の市や町でサービスが提供されているところでございます。

◯板橋 聡委員 一時預かりやファミリー・サポート・センターは、都市部では実施箇所も多く利用しやすいでしょうが、みやま市や八女市のような田舎には余りないですよね。子育てしやすい社会づくりのために、文化行事やセミナーなど、子育て家庭が参加する行事の場に託児コーナーを設置することが必要ではないかと思います。最初から全ての講習会、講演会でとは言いませんけれども、ここはまず県が率先して実施してみてはいかがでしょうか。県主催の講演会などでの託児コーナーの設置状況はどうなっていますか。また、今後の方策をお答えください。

◯大田子育て支援課長 今年度は、福岡県子育て応援宣言企業四千社突破!大会、あるいは青少年アンビシャス運動シンポジウムなど、県主催の九つのイベントなどにおいて託児コーナーが設置されております。今後とも、子育て家庭からたくさんの参加者が見込まれる県主催のイベントなどについては、担当部局に対して託児サービスの実施について働きかけてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 また、逆の視点で、民間を含め各種団体が子育て世代の母親向けに勉強会、イベントを行おうとしても、託児の問題が横たわって開催に大変苦労されているのです。例えばPTAの勉強会のような地域の会合における託児コーナーの設置促進について、県として何とか取り組みができないのでしょうか。

◯大田子育て支援課長 先ほどお答えいたしました福岡県子育て応援宣言企業四千社突破!大会など県のイベントでの託児の取り組み事例について、まずは市町村に対して積極的に紹介をしてまいりたいと考えております。
 また、県では、高齢者がその豊かな経験や知識を生かして地域の子育て支援の現場で活躍していただく仕組みとして、今年度、ふくおか子育てマイスター制度を創設し、現在二百七十七名を認定しているところでございます。イベントなどにおける託児サービスの提供に当たっては、ぜひマイスターを活用していただくよう市町村を含め関係団体などに働きかけるとともに、マイスターが地域で活動しやすい仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 就労、未就労にかかわらず、全県的に子育てしやすい社会をつくることは地方の少子化問題の解決策にもなると思いますので、市町村への働きかけ、そしてマイスター制度、これは新しくできた制度ですけれども、この仕組みづくりも含め、これからしっかり子育て支援課には頑張っていただきたい。
 高橋部長、部としてもしっかりサポートしていかないといけないと思いますので、決意をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 高橋福祉労働部長。

◯高橋福祉労働部長 仕事と子育ての両立支援、あるいは地域において子育て支援を一体的にやっていくということは、委員が御指摘のように、少子高齢化が進展する我が国におきまして、市町村はもとより県といたしましても、そういうことを進めていくことが大変重要な課題であると認識しております。そういった点を十分に踏まえまして、これまでも子育て応援の店ですとか子育て応援宣言企業の拡大をやってまいりましたし、さまざまなイベントにおいて託児サービスの導入を働きかけてまいりました。それから、今年度から実施しておりますマイスター養成、ぜひいろいろな市町村だけではなく民間企業にも、このマイスターさんを活用していただく、そういうことをこれからも積極的に進めながら、子育てを支援できるような地域社会をつくってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 次に、ローソンとの包括協定についてお伺いいたします。
 先日、ローソンと福岡県が包括協定を締結したとのプレスリリースがありました。私は、昨年六月議会及び決算特別委員会にて県と企業の包括協定についてさまざまな角度から問題点を指摘いたしました。にもかかわらずこれでは、二元代表制の一翼を担う議会を軽視しているように感じます。ローソンとの協定締結の経緯を御説明ください。

◯原口剣生委員長 重松社会活動推進課長。

◯重松社会活動推進課長 経緯でございます。昨年六月にローソンから包括協定の提案を受けましたが、議会でちょうど議論の最中でありましたことから凍結をしておりました。その後、十一月下旬に庁内での協議を始めまして、三月十三日に協定の調印に至ったところでございます。

◯板橋 聡委員 十一月下旬に庁内協議を開始されたということですから、私が六月議会及び決算特別委員会で問題点を指摘した後の協定締結と理解いたしますけれども、どう反映されたのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 今回の提携の協議に当たりましては、コンビニの特徴でもあります地域に密着した数多くの店舗があること、二十四時間の営業をされていること、若者の来店者が多いこと、こういった特徴を県として最大限に活用できるような提案を行いまして、県民サービスの向上あるいは本県の特性を生かしました地域の振興に資するような協議を進めてきたところでございます。

◯板橋 聡委員 イオンのときと余り変わらないことを言われているように聞こえるんです。ずばり、イオンのときのような、個別の電子マネーカード会員に加入させて、その売り上げに限る寄附などという、県の私企業に対する公平性、公正性を損なうような内容は入っているのでしょうか、いないのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 そのような寄附はございません。

◯板橋 聡委員 少なくともその点は改善が見られることがわかりました。
 一方で、ローソンは三大コンビニチェーンの一つです。小川知事は、活力ある経済と雇用創出のためには中小企業の活性化が必要とおっしゃっています。県内企業の九割を占めるのは中小企業です。にもかかわらず、県が包括協定を締結するのはイオン、ローソンという地元商店街を圧迫している大企業ばかりです。中小企業に対しての配慮はないのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 コンビニチェーンの基本的な業態はフランチャイズでございます。県内のローソンの店舗の大半は、それぞれが地域に密着して活動しておられる小売店の経営者さんでございます。今回の協定はコンビニチェーンの運営会社でありますローソンと締結をするものですけれども、協定に基づく具体的な取り組みにつきましては、地域での社会貢献に資するよう、主に各店舗が取り組んでいかれるものであると認識しております。

◯板橋 聡委員 ちょっとピントがずれているような気がするんです。地域に根差した地場の企業に対してどういう配慮があるのかということをお答えください。

◯重松社会活動推進課長 県内の中小企業の皆さんが社会貢献活動に取り組みやすくなるように、企業向けに社会貢献の活動事例を紹介いたしましたメールマガジンを開始したいと思っております。また、業種、事業所の規模の大小にかかわらず、企業が社会貢献に取り組めるようにという思いから、現在、NPOと企業との協働のさまざまな取り組み事例を県内外から情報を収集しているところでございます。社会貢献活動に関心を持っていただいています企業さんに対しまして、こういった情報を積極的に提供してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 私はメールマガジンが余り好きではないんです。なぜかといえば、これは一方的な情報の垂れ流しのような気がするからです。それだけで中小企業にも配慮していますとはとても言えないのではないかと思います。もっと県として地域に出ていって中小企業と膝を突き合わせて情報交換を行うとか、そういった汗のかき方もあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。

◯重松社会活動推進課長 中小企業家同友会におきまして新しく研修会を開催しようと思っております。この同友会の中に、平成二十三年、NPO交流・ソーシャルビジネス特別委員会という部会が設置されまして、ここで社会貢献等についてさまざまな勉強を行われるとお聞きいたしておりますので、そこに出かけていこうと思っておりますのが一つです。
 それから、県内各地に出向きまして、社会貢献活動に対する地場企業の皆さん方の理解を深める取り組みを行い、企業による社会貢献活動の裾野を広げていきたいと思っております。まずは、福岡県商店街振興組合連合会の協力を得まして、県内各地で社会貢献活動の意義や方法について御説明申し上げようと思っております。

◯板橋 聡委員 中小企業に対する情報提供の働きかけ、取り組みを頑張っていこうという気持ちはよくわかりました。ただ、これは抜本的な中小企業に対する対応にはなかなかできないのかなと。これはぜひ継続して努力をして、中小企業の方に福岡県は頑張っているなと思っていただけるようにしていただきたいと思います。
 ところで、視点を変えまして、福岡県はよく支店経済都市と呼ばれておりまして、大企業の支社、支店が多数存在しております。私自身も、議員になる前は某企業の九州支社で転勤族として勤務しておりました。そのときに漠然と感じたのは、大手企業に勤務していると、会社に対する帰属意識は物すごく強いのですけれども、居住地に対する帰属意識は薄い場合が多いということです。事実、私の周りの社員、特に転勤した方は、地元自治会や公民館の活動に興味が余りなかったんです。地域振興より会社の業績なのです。当たり前といえば当たり前ですけれども、それでは行政としては寂しい部分もございます。
 地方自治の最小単位は地域の行政区です。その中において、昨今の住民の自治会離れは、議会などでも議題になっておりましたけれども、大きな行政課題だと認識しております。例えば、ローソン社員の自治会加入を促すことを協定に盛り込んだらいかがでしょう。

◯重松社会活動推進課長 この協定は、県とローソンが互いの業務について連携をするものでありますので、社員個人の取り組みにつきましては協定に盛り込むことは考えておりません。

◯板橋 聡委員 ただ、包括協定を結ぶときに、全庁的にローソンと取り組むときに何ができるかをヒアリングされたということも聞いております。直接的には自治会の加入とかに関してはそちらの部署の所轄ではないかもしれませんけれども、こういった提案はほかの部署から出てこなかったのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 庁内からそのような提案はございませんでした。

◯板橋 聡委員 今回の包括協定について、最初に重松課長が地域の振興に資するように協議してきたと言われております。もっと積極的に取り組むべきだと思うのですけれども、長谷川部長、いかがでしょう。

◯原口剣生委員長 長谷川新社会推進部長。

◯長谷川新社会推進部長 御指摘のとおり、町内会といった地域のコミュニティーにつきましては、防犯あるいは防災を初め、地域が抱える課題に対応していくためには大変重要な存在であると認識しているところでございます。私たちも、先ほどローソンの社員に対する御指摘がございましたけれども、こうした皆さんにも、こういう思いを持っていただいて、地域コミュニティーの活動に積極的に参加していただきたいという思いはございます。こうしたことから、ローソンに対しましても投げかけを行っていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 ローソンに限らず、これから新たに包括協定を大企業と結ばれるかもしれませんけれども、そのときや、あるいは協定の更新の際に同様の投げかけを行っていただけませんでしょうか。

◯長谷川新社会推進部長 機会を捉えまして同様の投げかけを行いたいと思います。

◯板橋 聡委員 一歩踏み込んだ回答をいただきました。もちろん、企業に対して強制できるものではないということは私もわかっております。ただ、このような働きかけにより、大企業の社員の方も自治会活動を通じて地域に根づいた中小企業の方と同じ目線で地域活性化への意識を持ってもらえるとするならば、これは真に地域の活性化に資する包括協定になると思います。我々議会としても、ぜひ応援したいと思います。
 逆に言うと、そんなことも理解せずに包括協定による地域の活性化とか言う企業はおためごかしです。だから、新規の包括協定なり既存協定の延長の際は、先ほどの答弁にもありましたとおり、ここをしっかり見きわめて、今後とも新社会推進部は真に地域の活性化に資する共助社会づくりを目指していただきたいと思います。
 最後に、長谷川部長の決意をお聞かせください。

◯長谷川新社会推進部長 少子高齢化の中で、あるいは人口が減少していく将来像を考えますと、地域におきまして、行政だけではなくて、いろいろな主体が共助社会づくりを推進していただくということが極めて重要であると私は思っております。そういう意味では、最終的な目的である地域振興のために、地場の中小企業等にも十分に意を用いながら、幅広い企業や団体が行政やNPO、ボランティアなどと連携してまちづくりを進めていく、こういうことにしっかり取り組んでまいりたいと思います。今後とも、社会貢献活動に幅広い企業や団体の参画を求めまして、さまざまな取り組みを着実にやっていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「実態に即した自殺対策」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 本日は、実態に即した自殺対策をテーマに質問いたします。
 昨年十二月二十三日、大阪市立桜宮高校バスケットボール部の男子生徒が、顧問から受けた体罰とは到底表現できないような暴行の果てに自殺しました。一月八日に市教育委員会が自殺と体罰の存在を公表すると、この問題は体罰問題を軸にセンセーショナルに報道されました。その後、橋下徹大阪市長が出した桜宮高校体育学科の入試中止方針をめぐり、マスメディアやネットなどを巻き込んでの国民的大論争が巻き起こりました。一月十八日には、「私が死ねば在校生は救われるのでしょうか」という自殺をほのめかす電話が市教委に入ったと報道があり、そして、二月十五日、同じく大阪府大東市の小学校五年生が自分の小学校の統廃合に反対して飛び込み自殺、現場には「どうか一つの小さな命と引きかえに統廃合を中止してください」と書いてあったそうです。
 私は、平成二十三年七月の予算特別委員会において指摘しました世界保健機構(WHO)が公表しています自殺予防メディア関係者のための手引にあるガイドライン、具体的には、自殺の報道を過剰に繰り返し報道しない、自殺をセンセーショナルを扱わない、問題解決法の一つであるかのように扱わないというものが全く守られていない結果、こういう悲劇の連鎖を引き起こしたのではないかと思えて仕方がありません。そこで質問です。
 自殺に関する過剰報道が他の自殺を誘発するという問題について、私の予算特別委員会での指摘以降、どのように検討して対応されたかお答えください。

◯原口剣生委員長 飯田こころの健康づくり推進室長。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 自殺の報道に関してでございますけれども、二十三年七月の委員からの御質問後の対応でございますが、平成二十四年二月の自殺対策推進協議会、これは関係団体、あるいは県の関係機関等が一緒になって自殺対策を総合的に推進していくための体制でございますけれども、この協議会におきまして、自殺の報道のあり方に対する取り組みについてマスコミの委員等からも意見をいただきまして、その際の議論を踏まえまして、平成二十四年三月に先ほどお話がございました手引を県政記者クラブ、それから、県警記者クラブに提供をいたしまして適切な報道のあり方について周知を改めて図ったところでございます。また、同様の手引については県のホームページにも登載をいたしました。加えまして、マスメディアに対する適切な報道について、国に対して県としても要望をしたところでございます。

◯板橋 聡委員 引き続き、ぜひマスメディアや国に対して強力に働きかけをお願いいたします。
 また、一方で、こういうセンセーショナルな自殺、有名人の自殺を含め、そのような報道があった場合に、生徒を保護する観点からも、テレビなんかは全国ネットで放映されていますので、福岡県だけの働きかけではなかなかうまくいかないところがあると思います。そういった観点から、適切な処置がとられるよう学校側、つまり教育庁なんかと連携が必要だと思いますけれども、所見をお聞かせください。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 先ほどお話をいたしました自殺対策推進協議会には、教育庁の担当部局も参画をしております。その場を通じまして連携をしながら対応をしているところでございます。
 教育庁におきましては、学校における自殺対策といたしまして、国が作成いたしました自殺防止マニュアルを活用した研修の実施や教育相談体制の充実を図っているところでございます。また、知事部局といたしましても、来年度、平成二十五年度には教育庁と連携をいたしまして教職員等を対象としたゲートキーパー養成研修等を実施することを検討しているところでございます。

◯板橋 聡委員 ぜひタイムリーな対応が必要だと思いますので、それも引き続きどういう体制がとれるかというのを検討していただければと思います。
 自殺対策の難しさは、亡くなってしまった方から直接話を聞くことができないという点にあると思います。ここで通告しておりました資料「自殺実態白書二〇一三」を要求させていただきたいと思います。委員長、お取り計らいのほどをお願いいたします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。飯田こころの健康づくり推進室長。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 正副委員長に資料を確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 それでは、資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 資料に関して簡潔な説明をお願いいたします。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 ただいま提出いたしました資料は、自殺対策活動の促進を目的に全国で活動しておりますNPO法人自殺対策支援センターライフリンクというところが、自殺の実態解明を目的に、自殺者五百二十三人とその遺族五百二十三人を対象として調査をして「自殺実態白書二〇一三」として取りまとめをしたものの抜粋でございます。
 まず、一枚目でございます。資料プロジェクトチームが認定した自殺の危機要因でございます。これは調査によって明らかになった自殺の要因についての資料でございます。これによりますと、自殺の危機要因となり得るものが六十九あるとされております。囲みの中にその具体的な要因を七つの区分に分類をしております。括弧の中の数字は自殺に至った要因として抱えられた件数で、健康問題が最も多く、続いて経済・生活問題、家庭問題となっております。
 続きまして、二枚目の資料でございます。自殺の危機経路の事例でございますけれども、これは自殺要因から自殺に至る経過の事例を説明したものでございまして、非雇用者、自営者、学生などの属性によって自殺に至るまでの経路にある一定の規則性があると分析されています。囲みの中に事例として掲げられておりますが、属性によってさまざまな経路をたどっているものの、いずれの場合にも鬱病が大きな要因としてかかわっております。
 三枚目は、その経路をやや具体的に示したものでございまして、例として自営業、それから、みずから起業の危機要因の連鎖図でございます。そこに記載しておりますように、さまざまな要因が重なって最終的に自殺に至ったというのを要因ごとの連鎖という形で分析しておりますけれども、自営業者の特徴といたしましては、自殺に至る年月が他の属性の方々よりも二年と短いということでございます。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 この白書は五百二十三人の自死遺族に対して平均二時間半、最長八時間もの聞き取り調査を行い、四百八十八項目の調査分析を行ったということでございまして、私も非常に示唆に富んでおると思っております。まず、自殺を誘発する危機要因を洗い出して、その危機要因が属性、職業等々によって一定の規則性があると分析をされております。
 ところで、福岡県は、自殺防止の取り組みとして、早期発見、早期治療のために、体制強化として地域における見守り体制、つまりゲートキーパーの要請を一丁目一番地に上げておられますけれども、ゲートキーパーというのはなかなか耳なれない言葉でございます。どのようなものか、具体的な役割とあわせて教えてください。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 ゲートキーパーと申しますのは、日本語で申しますと門番でございまして、地域における周囲の気づきを高める取り組み、悩みを抱えている人に気づき、必要な支援につなげるという人材でございます。自殺というのは、いろいろな悩みを抱えた上で追い込まれた末の死ということでございますので、悩みを抱えた人に少しでも多くの方々が気づくということが自殺を防止する上で非常に重要なことではないかという認識のもとで、そういった悩みを抱えた方々の周囲の方々に気づきを促すためのゲートキーパーとしての役割を担っていただくということで、人材養成の研修等を実施しているところでございます。

◯板橋 聡委員 具体的にはどのような方を対象に養成されているんでしょうか。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 これまでの取り組みといたしまして、昨年度までに三千四百八十五人の方々を対象とした研修を行いました。そこに参加していただいた方々といたしまして、民生委員、それから市町村の職員等、あと、福祉の関係の方々を対象として実施をしてきたところでございます。

◯板橋 聡委員 これは、そういった特殊な職業の方以外に一般の方の啓蒙も含めて広く養成したいということでよろしいでしょうか。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 先ほど申しましたけれども、なるべく一人の多くの方々が周囲の異変に気づくということは、国の自殺総合対策大綱にも書いておりますので、そういった形で進めていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 努力されているのはよくわかりました。
 先ほど、室長のお言葉の中で、ゲートキーパーの役割でまず多くの方が気づいてあげることが必要だということが上げられておりました。つまり自殺のサインを見逃さず、話を聞いて的確に専門家を紹介し、見守るということなんだろうと思いますけれども、気づかないことにはどうしようもないんですよね。ところが、先ほどの自殺実態白書の中にも書いてございましたが、自死遺族全体の五八%の方は自殺のサインがあったと思うと回答されておられるんですけれども、このうち何と八三%の方は、当時、つまり自殺される前にそれがサインだとは気づかなかったとおっしゃっておられます。亡くなられた後になって思い返せば、あの深いため息がひょっとしたらそのサインだったのかなとか、振り返ればあれかと気づけるのですけれども、それでは亡くなってしまって遅いということだと思います。
 ここで、先ほどお配りした資料の二枚目にあります自殺の危機経路の事例をごらんください。
 括弧囲みの中なんですけれども、自殺に至るまでの危機要因というのがいろいろな職種別に書いてございますが、特徴的な文字が浮かび上がってきます。私はちょっと注目したのは、やはり多重債務、自営業や失業者、あるいは無職のところで出てまいります。あと、家族との死別です。これは、10)番のところだけ出ておりますけれども、一枚目の資料を見てみますと、家庭問題の中でも家族との死別、自殺であったりだとか、その他足した数というのはなかなかの数になるのかなと思っております。
 そこで考えられますのは、多重債務者は債務整理のために弁護士とかあるいは司法書士にわらをもすがる思いで相談に伺うわけです。あと、家族と死別された方、私も昨年祖母を亡くし、葬儀社の方に大変お世話になったんですけれども、本当に葬儀社の方に親身に相談をいただいたり、いろいろな銀行口座の件はこうしなさい、この手続はこうしなさいということで的確な指示を与えていただいて本当に頼もしく見えます。そういう自殺の危機要因を抱える、あるいは抱えている可能性のある、しかも物すごい岐路に立っていらっしゃる可能性がある方とかかわる職種の方、つまり先ほど言いました弁護士の方だとか、司法書士の方だとか、葬儀社のそういった窓口の方だとか、こういった方がゲートキーパーとしての訓練を受けたり、また、医療とか福祉とか心理学、こういった分野の方と、これは危ないな、これは精神的にやばいんじゃなかろうかというときに、的確な連携がとれるように体制が築ければ、漠然とゲートキーパーをふやそうという事業展開よりさらに効果を上げることができるのではないかと思いますけれども、所見をお聞かせください。

◯飯田こころの健康づくり推進室長 今、御指摘がございましたように自殺対策、特に一般的なものからリスクの高い方々への重点的なシフトという形で進めております。具体的には、中高年対策としてのメンタルヘルスの講習会であるとか、今、お話がございましたような多重債務相談会での保健師派遣による相談会の実施、それから、先ほど、資料の説明の中でも申しましたけれども、自殺と関係が深いと考えられている鬱病対策といたしまして、かかりつけ医と精神科医との連携対策の構築、それから、もう一つのハイリスク対策として、自殺未遂者の方が再度企図するという可能性が非常に高いというデータがございますので、そういった未遂者に対するケアといったものを推進してきているところでございます。
 御指摘のようなゲートキーパーの養成に関しましても、やはりリスクの高い方々にかかわる方々を一人でも多くゲートキーパーとして養成していくことが必要であると考えておりまして、今年度からはハローワークの職員、それからケースワーカー、ホームヘルパー職員などに対象を拡大をして実施をしてきたところでございます。平成二十五年度におきましても、先ほど述べました教職員、あるいは薬剤師などに対象を拡大をして実施していきたいと考えております。関係機関の協力を得ながら進めてまいりたいと考えております。
 悩みを抱えて追い込まれた自殺のリスクの高い人の周辺にいる人を幅広くゲートキーパーとして養成をしていくことが非常に効果的であると考えておりますので、その際、どのような団体と連携をしていくのかというのは、関係機関との意見も聞きながら考えたいと考えています。

◯板橋 聡委員 ぜひ、いろいろな可能性を探って、効果が最大に上がるような事業運営をしていただきたいなと思います。
 先ほども述べましたけれども、亡くなってしまった人の胸のうちを知ることはできません。ですから、きょうのやりとりで新たに踏み出される一歩が果たして正しいのかどうかというのは誰もわからないと思います。そういう意味では、執行部はもとより私ども議会側も自殺対策については常に謙虚な姿勢で向き合い、効果を確かめながら最善の策を探し続ける努力を忘れてはならないと思いますけれども、ぜひここは山下部長の決意を最後にお聞かせください。

◯原口剣生委員長 山下保健医療介護部長。

◯山下保健医療介護部長 自殺を減らしていくということは、私ども保険医療介護部の仕事の第一番目にあるのではないかと私自身は思っております。これまでいろいろな対策に取り組んでまいりましたけれども、御指摘がございましたように、最近では県民一般を対象とした対策ということから、いわゆるハイリスク者を中心とした対策に変えて取り組んでいるという状況でございます。今後ともハイリスク者を中心としてより効果的な対策となるように、先ほど話がございました白書、あるいはよその県の先進的な取り組みなどを含め、専門家の意見なども参考にしながら対策に知恵を絞ってまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年2月議会一般質問「伝統産業のレッドデータ」

3月15日頃から公式動画にて質問内容と知事答弁が動画で確認出来ます。
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 先ほどの黙祷により、震災復興への思いを皆様とともに新たにさせていただきました。皆さん、ともに頑張りましょう。自民党県議団の板橋聡でございます。
 福岡県では、絶滅の危機にある野生生物をリストアップし、保護や保全に結びつけることを目的としたレッドデータブックを作成しておりますが、今回は、伝統産業のレッドデータというテーマで質問いたします。
 みやま市には木ろうと天然しょうのうという伝統産業が存在します。ハゼの木の実から生産される木ろうは、ろうそくや医薬品、化粧品の原料として幅広く使われ、徳川吉宗が一七一六年に行った享保の改革でハゼの木の栽培が奨励されると、柳川藩、久留米藩、福岡藩を初めとする国内多くの地域にて競って栽培されました。幕末の久留米藩を例に挙げますと、久留米絣の生産高九万両に対し木ろうは三十六万両、輸出高は種油に次ぐ二位と、ハゼの木が生む木ろうは財政を支える重要な産物でした。一方、クスの木から生産される天然しょうのうですが、日本では一七〇〇年ごろから生産が始まり防虫剤として有名でしたが、海外では薬品や香料として重宝されました。江戸末期には木ろうと並んで薩摩藩、土佐藩を初めとする多くの藩の財政を支え、貿易で巨額の富を生み、日本専売公社の報告には、この資金によって維新の大業をなし遂げられたと評されています。その後しょうのうは、土佐が開発した土佐式と呼ばれる製法で飛躍的に生産が伸び、しょうのうを材料とするセルロイドの発明により世界市場で日本のしょうのうが引っ張りだことなり、この貿易取引がもたらした富によって賄った軍艦が、日露戦争においてバルチック艦隊を打ち破るのです。かようにアジアの端っこの閉ざされた小国だった日本が国際社会に名乗りを上げ、開化期を迎え、そして西欧列強の植民地支配に一矢を報いることを財政面で支えたのが木ろうと天然しょうのうなのです。しかし、そんな隆盛を誇った木ろう、しょうのうは、石油由来の化学製品によってその地位を追われ、今では木ろうの生産工場は国内わずか四カ所。天然しょうのうに至っては、土佐式製法を継承している工場は何と世界でただ一カ所となってしまいました。それぞれの工場が福岡県みやま市に辛うじて現存しているわけです。
 ここで視点を変えましょう。地球温暖化など環境の変化や、外来種の移入により地域の生態系のバランスが壊れ、絶滅の危機が危ぶまれる動植物が増加しています。これを守る努力が必要なのは持続可能な社会を構築するためにもはや常識であります。私は、日本の歴史の転換点にかかわり、地域の暮らしや文化を担った伝統産業が、時代の変化、イノベーション、経済のグローバリズムで移入してきたどうもうな外来産品、外来企業などにより先細り、まさに絶滅の危機に瀕している様子を見るにつけ、動植物の生態系の破壊を目の当たりにしているような思いであります。
 ここで知事に質問です。このような希少価値の高い伝統産業は、一度途絶えてしまったら復活することは非常に困難です。歴史や伝統に根差し、郷土愛をはぐくみ、地域に活力を与えてきた、つまり知事が繰り返しおっしゃる、福岡に生まれてよかったという意識を醸成する観点からも、希少価値の高い伝統産業は維持、振興されるべきと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 また、みやま市に限らず他地域にも同様の希少価値の高い伝統産業が多数存在すると思いますが、県として市町村と協力の上、まさに伝統産業のレッドリストをつくらなければ、そもそも保護すべき対象も把握できないと思いますが、知事の所見をお尋ねします。
 保護、保護と言うと、よほど魅力がないのかという誤解を生みそうですが、私は今回の一般質問に当たり、さまざまな部署とお話をさせていただきました。そこでわかったのは、予想外に多くの部署が伝統産業にかかわっているということです。例えば木ろうについて、農林水産部では、木ろうの原料であるハゼ栽培に対し中山間地支援や農家所得向上の視点から、今年度より助成事業を行っています。商工部では、産業観光の一つとして木ろうメーカーである荒木製蝋がエントリーされています。それ以外にもハゼの紅葉が地域観光資源になったり、現在全生産高の九〇%が輸出される木ろうが県産品輸出振興の対象となる可能性もあります。企画・地域振興部では、まちおこしの視点からちくご元気計画においてみやま市の木ろうを取り上げています。またこの木ろう工場は、現在地元小学校が社会科見学で訪れており、教育の視点からの活用や文化財指定などの対応から教育庁のかかわりも期待されます。
 これだけ多くの部署が少しずつかかわっている、あるいは今後関与する可能性を認識しているということは、やはり伝統産業の持つポテンシャルは、いわゆる商業的成功にとどまらず、県民幸福度日本一の施策にさまざまな側面で可能性を秘めていると言えます。一方、これらの部署は全く連携がとれておりません。当初、伝統産業の総合的な振興について各部署に相談したところ、見事にどの部署も、ここまでは私どもがやっておりますが、これこれは他の部署でやっておりましてと見事にたらい回しを食らったわけです。小川知事におかれましては、このような縦割り行政に関する弊害是正について理解を示し、改善の努力をされていると私はひそかに評価しています。就任後わずか二年の中で、農林水産部、環境部、保健医療介護部にまたがっていた鳥獣被害対策を畜産課に一本化されたり、中小企業の海外進出をワンストップで支援するアジアビジネスセンターを、これは県が運営すべきかどうかについては議論の余地があると思いますが、設立されたりしました。特筆すべきは、新社会推進部において今年度始まる性犯罪被害者に対するワンストップ支援推進事業です。これは性犯罪被害者が相談窓口、医療、司法、警察などの各機関で繰り返し説明させられることによる被害者負担を軽減させることが目的の一つです。まさに、たらい回しを防ぐ県民視点の事業であります。
 そこで知事に質問です。伝統産業の担い手、その維持、振興を目指す市町村は、知恵、経験、人、金が不足しています。やはりここは県においてノウハウを蓄積し、総合的な対策を打つことが重要です。そのためにも、まずは全体を俯瞰して情報の交通整理ができるワンストップの窓口をつくるべきと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 以上、知事のリーダーシップあふれる答弁を期待して、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)

◯議長(松本 國寛君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 木ろうなどの伝統的な産品についてでございますが、御指摘のありました木ろう、天然しょうのうなどの産品は、長い年月にわたりまして人の手を通じて技術、技法が後世に受け継がれ、地域の歴史、風土を今に伝えるものでありますけれども、一方で、生活様式の変化、あるいは安価な輸入産品の増加によりまして需要が減少している状況にございます。しかしながら、近年こうしたものは天然の素材を用いた環境に優しい製品といたしまして、再評価をされ出しております。このため、木ろうを化粧品の原料として海外に輸出をしたり、しょうのう製造時に発生いたしますクスノキ油をアロマオイルとして発売するなど、新しい販路拡大、製品の開発につなげていく取り組みというものが、これからますます重要になるというふうに考えております。
 これらの伝統的な産品の実情把握についてお尋ねがございました。本県では、五十年以上の歴史を有する伝統的な技術や技法により生産されました産品を対象にいたしまして、申請に基づいてこれらを特産民・工芸品として指定する制度というものを設けております。八女手漉和紙でありますとか、うきは市の棕櫚箒など、現在三十品目を指定させていただいておりまして、その振興を図るため、県庁あるいはアクロス福岡での展示、PRに努め、県のホームページでも広く情報提供しているところでございます。今後は、この指定制度の周知徹底というものを図りまして、新たな指定品目の掘り起こしを市町村と協力して積極的に行っていきたいと考えております。木ろうや天然しょうのうなど希少性の高い伝統的な産品につきましても、その実情を把握するよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、木ろうなど伝統的な産品の支援窓口の一元化についてでございます。今申し上げました産品につきましては、例えば木ろうの場合、和ろうそくの製作体験に人が集まるということで産業観光、あるいは地域活性化の資源となりまして、ハゼや木ろうを使った六次産業化の素材ともなります。県では、このように、先生もお触れになりましたけれども、それぞれの部署がそれぞれの政策目的に応じて支援を行っているところでございます。これからは、先ほども申し上げました特産民・工芸品の振興を担当いたしております商工部中小企業振興課をワンストップの窓口といたしまして、各部署との連携を図りながら、またそこにノウハウを蓄積しながら、伝統的な産品の支援に努めてまいります。