平成25年決算特別委員会質問「代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋です。きょう最後の質問になるかと思いますけれども、代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について質問させていただきます。
 八月二十三日、代々木ゼミナール小倉校──以下小倉校と呼びますけれども、これが閉鎖されるとの報道がございました。この件に関して質問いたします。
 小倉校は当初、各種学校を経て、現在専修学校という立場になっておりますけれども、私立の専修学校や各種学校の設立はどちらが認可するのでしょうか。

◯松尾統章委員長 安永私学振興課長。

◯安永私学振興課長 私立の専修学校や各種学校の設立に係る認可でございますが、学校教育法により都道府県知事が行うこととなっております。

◯板橋 聡委員 予備校は必ず各種学校や専修学校でないと経営できないというわけではないと思いますけれども、私塾という形で成り立っている学校もたくさんございます。専修学校や各種学校になるメリットは何でしょうか、教えてください。

◯安永私学振興課長 メリットでございますが、専修学校や各種学校の設置の認可を受けました学校法人につきましては、まず校地や校舎に係る登録免許税、それに不動産取得税、それから固定資産税等が非課税となります。これがまず一点でございます。また、生徒の学割定期券の適用がございます。さらには、認可を受けたことによる社会的信用の付与等が考えられるところでございます。

◯板橋 聡委員 小倉校については、各種学校としての設立のときにすんなり認可されなかったと聞いております。
 ここで委員長にお願いします。代々木ゼミナール小倉校認可の経緯について、資料要求をさせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯安永私学振興課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に説明をお願いいたします。

◯安永私学振興課長 資料の説明をいたします。この資料は、代々木ゼミナール小倉校の設置認可に至る経過を記したものでございます。
 まず、六十二年の七月三十一日でございますが、学校法人高宮学園から県に対しまして、各種学校として大学受験予備校を配置したいということで、各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置認可の申請があったところでございます。この申請に対しまして審査しました結果、翌年の昭和六十三年三月三十一日、県は不認可の決定を行い、高宮学園に通知したところでございます。理由としましては、既存の県内の大学受験教育を行う専修学校、各種学校の状況や、今後の入学予定者の推当からして適当でないという理由でございました。
 これに対し、五月二十七日に高宮学園のほうで、この県の不認可処分を取り消すようにということで取り消し訴訟が提訴されたところでございます。翌平成元年の三月二十二日に福岡地方裁判所のほうから、不認可処分は取り消せという判決が出されたところでございます。県の敗訴でございました。この判決を不服としまして四月に県は控訴したところでございます。この後、十一月二十一日に控訴審でございます福岡高等裁判所による和解勧告が出され、これを両者受け、同年十二月に高宮学園は当初よりも定員を減員した形で設置認可を再申請し、同月の二十五日に県は各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置を認可したところでございます。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 県は、高宮学園から最初に申請が行われたとき不認可を決定したということで、先ほど軽く触れられましたけれども、もう少し詳しく、どのような理由で県はこの申請を不認可としたか。その判断に立った理由を教えてください。

◯安永私学振興課長 不認可とした理由でございます。
 まず、先ほど述べましたが、既存の県内にあります専修学校、それから各種学校の形をとっている大学受験予備校の状況、それから今後の入学予定者数を勘案すると、これ以上の新設は必要ないだろうと考えたのが一点でございます。また、二点目としましては、過度の競争が行われているような状況におきまして、これ以上の新設を行った場合、競争の一層の激化を招き、県下の大手受験予備校の健全な発展を脅かすとともに、教育内容に悪影響を及ぼし、ひいては受験生への期待に応えられない結果を招くおそれがあるのではないかと考えたこと、これが二点目ございます。また、三点目といたしましては、この申請者であります高宮学園でございますが、既に県内に大学受験予備校を設置しておりました。既設校はこの新設予定地域から通学圏内にあると認められること、以上を理由として不認可としたものでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、過当な競争による県内のそういった予備校事情の混乱を避け、生徒たちを保護するという行政指導だったのかなと理解をします。その県の不認可決定に対して裁判が起こされたわけですけれども、その第一審の判決内容を教えてください。

◯安永私学振興課長 福岡地裁による第一審判決の内容でございます。
 まず一点は、各種学校の設置認可を受けるための要件というのは、原則として省令であります各種学校規程に定められた基準を満たすものであることをもって足りるというのが一点目でございました。また、知事の裁量権は、今申しました各種学校規程の定める要件を満たすか否かの判断をする際におきまして、各種学校に学ぶ生徒の教育を受ける権利を実質的に保障するとの観点に基づくものに限られる、それ以外の事情を考慮することは許されないという内容でございました。
 そういう前提を踏まえまして県が不認可とした理由というのは、当該各種学校規程に根拠を持っておらず、適正配置を理由とする不認可は他事考慮として違法であるという判決内容でございました。

◯板橋 聡委員 今の説明をお聞きしますと、裁判所の判断は、基準を満たしていれば現場がどのような混乱状態になっても、そういうことが想定できたとしても、県は設立認可をしなくてはならないということですか。

◯安永私学振興課長 県の裁量幅が小さく、基準を満たしておれば認可せざるを得ないものであります。

◯板橋 聡委員 県の裁量権が小さいとはいえ、県が当初懸念していたことが今回現実のものとなったわけです。裁判を起こしてまで進出して、地元の中小同業者に影響を与え、年度中途の閉鎖報道で受験生に不安を与えたのではないかと思います。
 実は私も浪人経験がございまして、浪人生にとって正念場である夏から九月の時期にこんな発表をされて、しかも学校にいる教職員の方というのは、自分たちは今度解雇されるかもしれないという可能性におびえていらっしゃると。受験生に動揺するなというのが無理な話で、自分の立場に置きかえたらぞっとします。無責任きわまりないのではないかと思います。
 先ほど、各種学校や専修学校に認可された学校法人は、固定資産税が非課税になるとの説明がございました。ちなみにこの小倉校は小倉北区の馬借という場所にあって、同校の建物構造とか近隣の路線単価からすれば、課税された場合の固定資産税は建物、土地を合わせて年間三千万円は下らないだろうと言われております。このようなメリット、税的な恩恵等、あるいはブランドネームの向上等のメリットを受けて、私塾であればともかく、各種学校なり専修学校であれば、これは社会的存在であると思われます。社会的存在であるということは、当然のことながら相応の社会的責任を負うべきであると思うんですけれども、各種学校などの設立の認可を与えた県として、このことについてどう考えますか。

◯安永私学振興課長 少子化に伴う受験人口の減少や現役志向の高まりに伴う浪人生の減少といったことを理由として、今回、小倉校が撤退されると。今回の撤退という結果になったことはまことに残念であると考えております。
 小倉校につきましては、平成二十六年度いっぱいは現在の校舎での授業と在校生の指導を継続するということでございますので、在校生の不安、動揺を抑えて合格達成に向けて熱心に指導すること、それと、この学校の教職員の今後の身の振り方についても親身に対応するように指導しているところございます。また、この指導は今後とも継続してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 この指導に対して、どういう反応が相手方から返ってきているか教えていただけますか。

◯安永私学振興課長 それこそ現在いる受験生についてはしっかり熱心に指導してまいりたいと、教職員については早期退職の制度を導入したりとか、近隣校へ振りかえだとか、そういうところは丁寧に説明して対応していきたいと回答をいただいております。

◯板橋 聡委員 学校側の説明としてはそう答えざるを得ないところでしょうけれども、まさにそこに生身の受験生がいて、一年間の浪人生活でこれから後の人生が決まるのではないかというときにこんなことを起こしたということ、それを考えると非常に難しい。県がどれぐらい強制力を持っているかというのは別として、やはりこれはしっかり引き続き指導していただかなければ困ると思います。
 そして、今回のような案件というか事案は、恐らく再び起こり得るでしょう。予備校問題ではなくて、これから生徒数も減ってくる中で、いろいろなほかの「これはもうかりそうだ」とか、「ここにビジネスチャンスがあるな」というときに、こういう事案が再び起こり得るんではないことが容易に推測されるのではないかと思います。今回のような事態が再発しないように、重要な社会的存在である専修学校などの設立に認可を与える県として、今後どのように対応していくのか、お教えください。

◯安永私学振興課長 認可を受け、設立されました学校につきましては、法令に基づき適正に指導助言を行ってまいります。また、設置申請があった場合には、私立学校の適正な運営に向け、厳正かつ適正に審査を行うとともに、必要な行政指導を行ってまいります。行政指導につきましては、相手方のその協力が前提で、強制力がないといった制限はございますが、粘り強く対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 やはり強制力がないというのが一番ネックかなと思うんですけれども、それは県がこういった私企業とどう向かい合っていくかというところにかかわってくるんではないかと思うんですね。ところが昨今、中央の大手企業が地方に進出してくるとなると、自治体はもろ手を挙げて大歓迎する風潮があるんですよ。しかしながら、今回のように裁判まで起こして強引に進出し、もうかるときはしっかりもうけて、しかしながらうまくいかなくなったら社会的責任を放棄して撤退すると。関係者や地元に混乱を生じさせるような事案が再発してはならないと私は思います。
 私自身、一昨年、県と私企業の関係をテーマに執行部とは徹底した議論をさせていただきました。雄県福岡県は、私立学校においても、設立、また、その後の運営について、今回のような轍を踏まないよう、しっかりと指導、審査などに当たってもらわなければならないと考えますが、このことについて私学学事振興局長の決意をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 伊藤私学学事振興局長。

◯伊藤私学学事振興局長 私立学校法は、その目的を、私立学校の特性に鑑み、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって私立学校の健全な発達を図ることと定めております。この法律、その私立学校の自主性を重んじるというところに非常に重点が置かれた法律でございます。このようなことから、私立学校所轄庁の権限というのが国公立の学校に比べて限定をされております。今まで私立学校に対してなかなか踏み込んだ指導ができなかったという事情がございます。
 ただ、ことしの四月に私立学校法が改正をされまして、学校法人が法令に違反した場合だけではなくて、その運営が著しく適正を欠く場合につきましても必要な措置を命じることができるようになっております。それから学校法人に対しまして、業務、財産の状況について報告を求め、また、学校法人の事務所等に立入検査できるようにもなっております。今後は、認可申請時の厳正な審査はもとより、認可後におきましても私立学校法の改正の趣旨を十分に踏まえて適切な指導に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 法律改正に伴い随分権限的なものも大きくなったと思いますので、しっかり今回のようなことがないよう、今後とも指導を行っていただきたいんですが、実際この許認可の張本人は知事でございます。ぜひ小川知事の見解を問いたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯松尾統章委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月七日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)