平成25年決算特別委員会総括質疑「少子化時代のスポーツ環境について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。三時近くなってまいりました。しっかり質問させていただきます。
 私の中学校のころは、中学校に上がると全員部活動に参加するというのが当然でございました。当たり前だろうなと思っていたら、実は、そのころ筑後地区では全員部活という運動が行われていまして、これを通じて、勉学以外の生徒指導を進めようとか、そういう意図があったとのことでした。今、中学校の運動会なんかに行くと、私の母校でも、昔七クラスあったのに、今は四クラスしかないとか、かなり生徒数が減ってきて、そういった部活動なんかの運営も大変ではないかなということで、きょうは少子化時代の子供のスポーツ環境についてというテーマで質問をさせていただきます。
 少子化に伴う生徒数の減少や生徒の価値観の多様化によって、中学校の部活動への参加生徒が少なくなっているのではないかという懸念がございます。また、特に小規模校においては、部活動数、要するに部の数、これ自体が少なく、生徒のニーズに対応できていないのではないかということが想像できます。実際私の知り合いでも、中学校に入ると四つか五つぐらいしか選択肢がないんだよと。だから、自分がやりたい部活がないから、しようがないから部活やめるとか、あるいは意に沿わない部活動に入って幽霊部員になってしまうとか、そういうことをよく耳にします。
 そこで、中学校における運動部活動の加入率及び一校当たりの運動部活動数の推移、平成二十六年度の学校規模別部活動数、一部当たりの部員数の推移について、資料をお願いしたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については、提出できますか。日高体育スポーツ健康課長。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に資料の説明をお願いいたします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 それでは説明させていただきます。
 本資料は、本県の中学校体育連盟が調査いたしました中学校の運動部活動の状況をグラフ化したものでございます。
 1)といたしまして、昭和六十年度から平成二十六年度までの中学校一校当たりに設置されている部活動数の推移を棒グラフで、中学生の運動部活動への加入率の推移を折れ線グラフであらわしております。設置数につきましては、おおむね十五から十六部、また加入率につきましては、おおむね六〇%台で推移しておりまして、いずれもほぼ横ばいの状態となっております。
 次に、2)としてあらわしておりますのは、平成二十六年におけます学校規模別の部活動の平均設置数でございます。生徒数三百人以下では一一・三部、三百一人から六百人までの学校においては一八・九部、六百一人以上の学校におきましては二三・一部となっております。
 最後に、3)としてあらわしておりますものは、昭和六十年度から平成二十六年度までの各運動部活動一部当たりの平均部員数の推移でございます。昭和六十年度は一部当たり二十六・四人の部員数があったものが、徐々に減少いたしまして、平成二十六年度においては十三・七人となっており、昭和六十年度当時と比較いたしますと約半分の状況となっております。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 予想に反して、部活動の加入数とか、一校当たりの部の数というのはそんなに変わっていないんですね。御説明のとおり、変化しておるのは、少子化に伴って一部当たりの部員の数がどんどんどんどん減っておるということでございます。つまり部員数が少ないという部においては十分に活動できない、これは十三・七人ということになっていますけれども、これじゃ野球の紅白戦もできんわけですね。そういう意味で、活動がちゃんとできなかったり、例えば試合も、ちゃんと人数がそろわずに試合に出られないとか、そういったことが起きているのではないかと思いますけれども、こういったことに関してはどのように対応をされているのでしょうか。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 部員が少ない部への対応でございますけれども、本県の中学校体育連盟におきましては、部員数の不足する学校に対応するために、サッカーであるとかバスケットボールであるとかいった個人戦を行えない団体競技につきましては、原則として同一市町村内の二校による合同チームでの大会参加を認めております。なお、平成二十五年度におきます合同チームの出場数は、総合体育大会と言われます夏の大会で二十一チーム、秋から冬にかけて行われます新人大会で二十九チームとなっております。また、試合には単独で出場する学校におきましても、練習に際しては複数校で合同で練習を行うとか、こういった工夫を行っていると聞いております。

◯板橋 聡委員 そういう対応はされているそうですけれども、実際、運動部の活動の指導の多くというのは、学校の先生が監督とか、そういう形で行っていらっしゃいます。専門的に指導できる教員にはもちろん限界があると思いますし、生徒数が減っていますから、各学校の教員の数は間違いなく、これも減っておるわけです、比例して。ところが、部活の数が変わらないということは、その分何かに負荷がかかっておると、指導者が足りないということに間違いなく反映されているのであろうというふうに想像します。
 そのために、地域の指導者を活用するなどの方策が必要と考えますけれども、中学校における運動部活動の充実について、どのようにその点、指導者の部分では取り組んでいらっしゃるか、説明をお願いします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 近年、運動部活動におきましては、教員の数の減少などに伴いまして、従来多くの学校で設置されておりました陸上競技であるとか、バレーボールといった部が減少しております。また一方で、生徒のニーズに応じて、新体操とか、硬式テニスといった新たな種目が入ってきている状況がございまして、多様化してきております。こういうことは教員の負担を増している、一つ要因になっているのではないかと考えております。
 このような状況を踏まえまして、運動部活動の適切な運営を図るために、本年三月、福岡県運動部活動運営の指針を策定いたしまして、その中で各学校に対しまして、外部との連携を図ることを指導しておるところでございます。
 また、本年度から運動部活動推進事業といたしまして、学校を指定して、地域の外部指導者を活用した指導体制の実践研究を行っております。あわせまして、教員、それから外部指導者を対象にいたしました両者が連携した指導体制の構築に関する研修会も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 指導体制はそうやって頑張っていらっしゃいますけれども、肝心の生徒が少なければ、やはり先ほど言いましたとおり、紅白戦もままならないということになります。そういう意味では、今、同一市内で二つ、三つの中学校が一緒になって練習をしておったりするということであれば、逆に子供のスポーツ環境を充実させるという観点で、学校だけでスポーツ部活動を抱え込まずに、地域のスポーツクラブが受け皿になったほうが、これはいいんじゃないかというふうに考えます。
 県では、地域住民が主体となって、誰でも、いつでも、どこでも活動できる総合型地域スポーツクラブというものの設立が進んでおるというふうに聞きます。平成七年に全国でも初となる総合型地域スポーツクラブが福岡県内で設立されて、今、県内では四十七市町村七十五クラブが設立されておると、そしてさらに二市六クラブが設立の予定であるというふうに聞いております。
 子供のスポーツ環境を充実させるには、この総合型スポーツクラブと部活動、要するに学校と学校外の地域のクラブを連携させるということも一つの方策だと考えますが、このような事例はございますか。

◯松尾統章委員長 清水県民文化スポーツ課長。

◯清水県民文化スポーツ課長 県内では、この総合型スポーツクラブと部活動が連携して活動している事例はまだ少ない状況でございますけれども、その中でも、部活動の生徒が総合型クラブの練習に参加し、専門的な指導を受けている例がございます。また、総合型クラブの指導者が部活動の実技指導を行ったり、専門のトレーナーを派遣いたしまして、テーピングやマッサージなどのけがの予防、トレーニングの指導などを行ったりする例がございます。

◯板橋 聡委員 なかなか事例がないという状況だというお話ですけれども、総合型クラブと部活動の連携が進まない理由というのは一体どこにあるのか、また、どのように連携を進めればいいのか、お考えをお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 その理由の一つとしまして、総合型クラブの理念やクラブと学校が連携することのメリットなどの情報が学校職員に十分に行き渡っていないということが考えられるというふうに思っております。県では、これまで県体育協会や市町村と協力をいたしまして、教員向けパンフレットの作成など周知に努めてきたところでございますけれども、今後はさらに総合型クラブと連携をいたしまして、学校関係者に対する説明会を開催するなど、総合型クラブに対する理解促進を図ってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 これは、私が六月の一般質問で質問させていただいた放課後児童クラブと学校の連携と、物すごく似ているんですよね。学校は学校で一生懸命生徒指導をするあまり、放課後児童クラブとうまいぐあいに連携がとれていない。直接に親御さんとの関係も深くて、子供の状態、親御さんの状態、いろんな情報が集まる放課後児童クラブと学校の連携がいま一つとれてないがために、そういった有用な情報を生活指導なんかにうまく使えてないのはもったいないじゃないかという質問をさせていただいて、それは連携を深めていきましょうという話になりました。
 部活動も同じように、スポーツを学校が抱えよう抱えようとして、どうしても外に出したがらない、そこで総合型スポーツクラブとの連携もはかどらないんじゃないかと。
 例えば、小学校、公民館の運動会なんかだと、小学生向けの総合型スポーツクラブのクラブ紹介がばっとあるわけですね。小学生はバスケット部がある、バレー部がある、じゃあ入ろうかななんていうふうに思うわけですけれども、これが中学校の運動会でそんなことをやっているのは見たことがありません。そういう意味では、もっと中学校の中でも総合型クラブと合同練習するなど連携を図ることが子供のスポーツ活動の充実につながるというふうに思いますけれども、このような課題に対して、今後どのように取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 先ほど委員から御指摘がございましたように、部活動は学校の教育活動の一環であるということから、教員の中には学校で責任を持って指導しなければならないという意識が強いということがございます。また、組織として総合型クラブなどの外部との連携図る体制が学校側にはまだ十分整っていない状況もございます。今後は、部活動の練習の場として活用することも想定しながら、各種の研修会などさまざま機会を捉えまして、各学校がそれぞれの地域の総合型クラブの活動状況を正しく理解できるように努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 一方で、総合型クラブには中学生の参加がなかなか少ないと。小学校までは結構多くの子供たちが参加しているんですけれども、中学校の加入は、百人を超えるクラブもありますけれども、平均すると加入者全体のわずか五・九%程度なんですね。全国調査でも六・六%ぐらいということで、非常に中学生の参加が少ないのですが、この理由は何だというふうにお考えですか。

◯清水県民文化スポーツ課長 中学生は一般的に、県大会とか全国大会に出場したいといった競技志向が強い傾向がございます。本来、総合型スポーツクラブはこうした競技志向を持つ方々のニーズに対応できることを目指しておりますけれども、現状では指導者等の確保等の問題からなかなか対応が難しい状況でございます。それが理由の一つだというふうに考えております。

◯板橋 聡委員 私も、体育会というか、運動部に入っていたことがありますけれども、地区大会に出たい、県大会に出たい、あわよくば全国大会、これがやっぱりモチベーションになって、厳しい指導、練習にも頑張れた。そして、大会に出られた、あるいは負けたとしてもその達成感というのが非常に、運動部をやるいい理由になっておったと思います。
 そういう意味では、総合型クラブでも参加できるような大会、目標となるような大会、こういったものがあれば、今の総合型クラブに対する魅力の低さというのが解決するのではないかと思いますし、このことは総合型クラブの会員数確保にもつながって、活性化にもつながっていくと思いますけれども、この件についてどうお考えになられますか。

◯清水県民文化スポーツ課長 総合型クラブにおきまして競技志向に対応した活動を行うことは、県民のスポーツ活動の推進、ひいてはクラブの活性化を図る上で重要であるというふうに認識しております。このため、各クラブに対しまして、競技志向への対応など多様な運営が行えるよう、専門のノウハウを有するアドバイザーを派遣するなどして支援を行っている状況でございます。
 総合型クラブの大会につきましては、現状としましては、クラブによって種目が異なっているというような状況から、特定の種目で大会を行うことは難しいと考えております。今後、クラブの活動状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 なかなか難しい部分ではありますけれども、これはぜひ学校とうまいぐあいに協力をしながらやっていくと。今、市の中で二つ、三つの中学校が一緒に大会にも出ておるということであるならば、そういう形で総合型クラブに変化していくことも可能だと思いますので、ぜひこれは連携をとっていただきたいというふうに思っております。
 総合型クラブは、放課後の中学生の居場所としての役割を持つものでもあると思います。自分のやりたい種目が学校の部活動にない場合の活動の場であったり、あるいは学校になじめない生徒が異なる年齢の人々とスポーツを楽しめる場であると考えます。例えば、いじめの問題なんかにも非常に有効だと思います。私がやっぱりいじめが一番かわいそうだなと思うのは、学校しか自分の世界がなくて、その中で行き場がなくなると本当に落ち込んでしまって、いじめも深刻になってしまうと。そこで、例えば学校外の総合型クラブなんかで知り合った、同じスポーツの目標を持つ仲間たちと一緒にいることで閉塞感を解消できるとか、あるいは、小学校の高学年から中学校三年まで一緒にスポーツをやることで、中一ギャップなどの問題の解決策の一つとなるのではないかと思います。
 こういった総合型クラブと学校が連携することは、学校が抱える教育問題を解決する上でも意義があると考えますけれども、教育長の認識を問います。その上で、中学校と総合型クラブの連携について、今後どのように取り組まれていくのか、教育長にお考えをお聞きしたいと思います。

◯松尾統章委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 総合型スポーツクラブは、子供たちが生涯にわたりましてスポーツを楽しむ、そのことによって、健康を維持する習慣を身につけるという効果があると考えます。また、学校で指導できない競技種目を行ったりするという面で、学校と総合型クラブというのはお互いに補完し合う関係になり得るのではないかというふうに思っております。委員御指摘のように、総合型スポーツクラブでは異年齢集団の中でスポーツを行うわけでありますので、その交流を通して人間的な成長も期待できるという面もございます。したがいまして、学校と総合型クラブが連携を進めるという点につきましては、我々が抱えておるさまざまな教育課題の解決につながる可能性を持っていると考えておるところでございます。
 現状を見ます限りにおいては、まずは総合型クラブの充実が先決であろうとは考えておりますけれども、県教育委員会といたしましても、県下の総合型クラブの状況把握にまずは努めまして、学校にその情報を提供するなどいたしまして、連携が進むように働きかけてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 大曲部長、今、教育長から学校側の歩み寄りをお約束いただきました。続いては、今度は受け入れる地域の総合型スポーツクラブの魅力が向上しないと、せっかくのこの歩み寄り、連携もうまくいかないというふうに思います。
 最後に大曲部長に、今後、地域と一緒になった子供のスポーツ環境の充実にどのように取り組むのか、所感をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 大曲新社会推進部長。

◯大曲新社会推進部長 この総合型クラブでございますけれども、委員御指摘のように、地域において子供たちのスポーツの機会、この充実を図っていくためには大変有効な方策であると考えております。そして、委員おっしゃいましたように、別の学校に通う子供たち、そういった子供たちが学校の枠を越えて参加ができる形態を有しているこの総合型クラブでございますので、新たな交流を生み出す機会にもなるというふうに考えております。
 県では福岡県スポーツ推進計画、これをことしの三月に策定いたしました。この中には、子供のスポーツ機会の充実を施策の柱の一つに掲げております。その中では、学校と地域、家庭、関係機関や団体等が連携して、子供がスポーツに親しむ、そういった環境を充実させていくための方策を示しているところでございます。この計画に基づきまして、学校と地域、そして地域のスポーツクラブの情報交換の機会を設けるということで合同の会議をまず開催し、これらの連携を一層推進してまいりたいというふうに思っております。
 また、教育長もおっしゃいましたが、学校とまず連携をするということで、中学生に対しまして、総合型クラブと地域のスポーツクラブへの参加を働きかける、そしてクラブに対しましても、やはり魅力のあるものとするために、学校の部活動にない、そういった種目の実施ができるように働きかけを行ってまいります。
 こういったことによりまして、子供たちが県内各地域におきまして、自分に合ったマイスポーツ、これを見つけて、これを継続して、そして実践していく、そういったことが子供たちの夢、そして希望につながっていくと思います。また、こういったことを通じて体力の向上、そして心身の健康といったものにつながっていくとも考えておりますので、こういったことを通じて今後もしっかり取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)