【国際化・多文化共生社会調査特別委員会 管内視察】

福岡県議会議員は通常「常任委員会」と「調査特別委員会」の二つの委員会に所属します。
私が所属する調査特別委員会は「国際化・多文化共生社会調査特別委員会」で、外国人観光客の増加・外国人労働者の受入拡大・外国人材の活用などに関わる多文化共生、県内商工農業産品の国際競争力の強化などを調査いたします。今回はその管内視察で11月27ー28日にかけて県内三カ所を訪問しましたので備忘録代わりに書き留めておきます。

○ 辻利茶舗
1860年に創業された辻利を祖とする、北九州市小倉の「辻利茶舗」を訪問し、日本が誇るお茶文化を背景とした海外事業展開、インバウンド受け入れ環境整備について視察し、ご多忙な中社長である辻史郎様から直々にご説明を頂きました。


辻利茶舗は、日本人が日本茶を消費しなくなり、ペットボトル茶が台頭し、政令指定都市中最も人口減少が顕著な北九州で、地方都市から働き手となる若者がいなくなる状況に大きな危機感を抱き、2010年台湾から始まった世界進出により現在12カ国44店舗を展開されていますが、「スタンスはローカルに ビジョンはグローバルに」というコンセプトを掲げ、北九州発信ならではの茶文化市場の構築を目指していらっしゃいます。


「日本人が地域にコミットしなければ、外から入ってくる人を受け入れられない」「店に魅力が無いと街に人は来ないし、街に賑わいがないと店に人は来ない」という信念の下、地元のイベントや若者育成、地域振興への協力を手弁当で行われています。決して利益にはならないけれど、お茶文化の将来への投資であるとの事でした。


また日本茶の新しい価値を提供するための世界進出ですが、それは営利事業ではなく「文化事業」との側面に重きを置かれています。シアトルのコーヒー文化を世界に発信したスターバックスコーヒーのように、お茶の文化を地方都市北九州から発信する事が面白いとの発想です。そして辻利茶屋のグローバルは単に店舗展開だけでは終わらず、そこに「ハラール」認証を取得したり、LGBTプライドを支援したり、宗教・思想信条・セクシャリティ・人種などに対してもユニバーサルであることを目指していらっしゃいます。

12カ国で事業展開をされるなか、辻利茶舗のコンセプトの根底にあるのは「地域、文化、そこに住む方へのコミット」つまり、現地文化を理解する努力をし部分的に融合させることによるローカライゼーションを行い、その集合体がグローバリゼーションであると看破されています。

最後に、都市の活性化の為には、常にイノベーションが必要で、イノベーションを生むにはダイバーシティーが大切で、そんな環境を実現するには他者に対する寛容性が求められるとも述べられました。


世の中のグローバル化が叫ばれる中「Think Globally、 Act Locally」と良く耳にします。自分自身なんとなく分かっているようなつもりで居たものの、これをリアルに実践されている辻利茶舗の取り組みや思想を伺いそのなんたるかを得心させて頂きました。そしてこれはビジネスだけでなく、地方創生・地域活性化にも大きなヒントになると感じた次第です。

○ 松本工業株式会社
1966年に設立された金属加工の会社でしたが、1975年に日産自動車九州が設立されるタイミングで自動車部品への業容転換を行い、今では自動車メーカーの二次サプライヤーとしてだけでなく、流通・保育・レストラン・給食事業等多角化を達成し年商150億円を誇る企業となりました。

本社は北九州ですが、今回はその生産拠点である豊前工場を視察。ご多忙の中、松本茂樹社長から直々にご説明を賜りました。


豊前工場では約300人の従業員の内、正社員が約150人、技能実習生・派遣・アルバイトが約150人。で、外国人技能実習生が48人、高度化人材と外国人正社員が5名を占めるそうです。

外国人材の活用は2000年から5人の中国人研修生の採用で始まったそうです。リーマンショックで一時期途絶えたものの、累計171名の外国人技能実習生を受け入れているそうです。

外国人技能実習生を受け入れるメリットは(1)安定した雇用の確保、(2)高いモチベーション、(3)帰国後は中国の現地法人にてスライド採用も可能、との事。また、現在は日本人の採用においてプライバシーの問題等から聞いてはならない事が増える中、技能実習生は現地での家族面接などを行う中、家族をはじめ生活環境など多くの事が情報開示される事でお互いのミスマッチを防ぐことが出来るそうです。


今後の課題については、日本語の習得機会がコスト面も含めて確保が難しいこと、行政や地域住民との交流イベントの創出、休日の過ごし方として実習生の母国品を取り扱う物販店やレストラン等のコミュニティの充実などを挙げられました。

日本人にも外国人にも「良い人」「そうでない人」がいて、企業として「人財」となる「実習生」の問題は「移民問題」とは一線を画すと松本社長が仰いました。これには深く頷くばかりです。


社員を労働力ではなく「人財」と捉え、会社の将来の為に「資産&投資価値のある人材育成」を目指されている松本工業株式会社。外国人実習生も「人財」として受け入れられていることの証左が政府より「優良な実習実施者」に認定された事にも現れていると思います。

○ 外国人技能実習機構 福岡事務所
外国人の技能などの習得に関し、技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護を図り、人材育成を通じた開発途上地域などへの技能などの移転による国際協力を推進することを目的として、法務大臣・厚生労働大臣により認可・設立されたのが、外国人技能実習機構です。

平成24年末に全国151,477人、福岡3,689人だった技能実習生は、平成30年末には全国328,360人、福岡11,324人と急増し、福岡県を含む全国13カ所に存在する地方事務所が技能実習計画認定や管理団体の許可・実地検査、技能実習生に対する相談・援助などを行っています。

以上、長文お付き合い頂き有難うございます。今回の視察内容を今後の県政振興にしっかりと活かして参ります!

【みやま市消防団水上第二分団の新格納庫落成式】

水上第二分団の格納庫には過去分団員の待機スペースが無かったため、年末特別警戒の時などは地域の公民館をお借りして対応されていましたが、本日鉄骨造地上2階建て、建築面積68.3㎡、延べ床面積119㎡の新格納庫が落成し、団員待機スペースや水防倉庫を備えた最新の格納庫で活動を開始する事となりました。


震災復興や東京オリンピック特需などで資材が不足し、完成に1年半の年月を要しましたが、これからは自分の城を持ち、横尾分団長を筆頭に分団の皆様がこれから益々ワンチームになって地域の安全安心の為に消防活動に邁進して頂きたいと思います!

【総務企画地域振興委員会管外視察 沖縄県】

私が所属する総務企画地域振興委員会にて、11月18-20日に沖縄県へ管外視察を行いました。備忘録代わりに書き留めておきます。

○ 首里城公園
10月31日未明の火災で焼失した首里城正殿。視察ルートには入っていませんでしたが、現状をこの目で確かめるべく急遽立ち寄ることになりました。

火災後、首里城公園自体も11月5日迄休園していましたが、今は守礼の門周辺の一部を開園している状況。正殿が焼失してしまった為に、歓会門の前から見上げても北殿の焼けた屋根瓦が一部見えるだけでしたが、まだ生々しい火災跡の臭いが漂っていました。火災と消火活動で、正殿に使用されていた漆が首里城近くの池に流れ込み90匹以上の魚が死んでいたそうです。

バスガイドさんは火災後数日間は涙が止まらなかったとおっしゃり、首里城がいかに沖縄の人の心に寄り添っていたか実感した次第。我々も少しでも力になるべく支援金等の協力をすると同時に、国の財政出動などを併せ一日も早い再建を望むばかりです。

首里城火災に対する支援金(那覇市公式サイト)https://www.city.naha.okinawa.jp/safety/sinsai/shurijousienkin.html

○ 沖縄県消防学校
ご存じの通り、沖縄県は第二次世界大戦後27年間にわたり米軍の施政権下にありましたが、昭和47年に日本に復帰しました。そのタイミングで消防制度の本土との一本化が図られ、消防関係条令等を本土並に制定改廃し、沖縄県消防学校が設置されました。そして昭和57年、福岡県消防学校は、沖縄県消防学校の訓練内容等の充実を目指し姉妹校となり、その友好関係は、両校の学生が渡嘉敷島に合宿をして水難訓練を行うなど今でも継続しているそうで、沖縄消防学校安里校長からはご丁重な謝意を頂きました。

沖縄県は消防団の組織率が国内最低で、人員も1700人程度。理由としては、台風など大きな自然災害は発生するが、一過性の災害が多い為、消防団に対する必要性が今一つ浸透していないとの事でした。

しかしながら、1771年(明和8年)に発生した八重山地震の津波では石垣島が水没し1万数千人が亡くなったという記録もあり、また30年以内に震度6以上の地震が発生するとも言われているなか、消防団組織の充実を目指していらっしゃいました。

○ 沖縄銀行
那覇市や浦添市と「地方創生にかかる連携協力に関する協定」を締結している沖縄銀行を訪問。金城専務から直々にご挨拶を賜りました。

沖縄県は日本の都道府県で唯一人口が「自然増加かつ社会増加」している県(福岡、東京等他の人口増加している6都県は自然減少・社会増加)で、入域観光者数も年間約1000万人(6年連続過去最高)と急増しており、バブル状態。ホテルを建設したくても人手不足で計画を断念せねばならないような状況との事。

そんな中、那覇市・浦添市との協定で、地方創生の分野で連携し、人材育成・産業振興、創業・事業支援などの取り組みを行っています。

興味深かったのは、ハワイとほぼ同規模の観光者数がありながら、観光収入は三分の一とまだまだ伸び代がある状態。これについては、外国人観光客で占める割合が高い中国人観光客が長期滞在してくれなかったり、統計的にお金を落とす額が大きい欧州の旅行者が不足している、稼げる県産品がないなどが問題点と分析されていました。

○ 国立研究開発法人 情報通信研究機構 沖縄電磁波技術センター

近年、局地的大雨大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻による突発的・局所的気象災害が大きな社会問題になっていますが、それらの早期検知を目指し開発された「フェーズドアレイ気象レーダー」や、近赤外のレーザー光によりリアルタイムで風向風速の空間分布を計測する「ドップラーライダー」を有する沖縄電磁波技術センター。

将来、実用化すれば線状降水帯などによるゲリラ豪雨による被害を減少させる可能性も有り、今後の進展が期待されます。

○ 与那原大綱曳きまつり運営委員会
平成30年 第23回ふるさとイベント大賞で内閣総理大臣賞を受賞した「与那原大綱曳きまつり」について与那原町観光商工課の皆様にお話しを伺いました。

人口約2万人、面積は沖縄で一番小さい5.18平方㎞の小さな町に今年は7万人の人出で賑わったお祭り。約440年前に神事として始まった大綱曳きが、1983年に当時の町長の肝いりで、地元商工会青年部が中心となり、神事とイベントを融合させて「与那原大綱曳きまつり」として開催。今年で37回を迎えました。当初は、町の中の一部の地域しか参加していなかった神事を、全町民参加型にして、今では那覇・糸満の大綱引きと並んで沖縄3大つなひきとなりました。

一方で、神事としての綱引きの色合いが段々薄れていく事に危機感をお持ちの方もいらっしゃったり、沖縄振興一括交付金による潤沢な資金が今後無くなった場合のイベント(例えば、今年は人気バンド「かりゆし58」のライブ開催が目玉)のありようなど、問題もあるようです。

○ 沖縄県庁
沖縄県企画部・商工部の皆様から経済金融活性化特別地区および情報通信産業振興地域・特別地区で行っている、税制優遇措置を通じた地域経済・産業振興についてお話しを伺いました。

沖縄は第二次世界大戦後、米軍施政権下に27年間置かれ、日本政府の支援が受けられなかった歴史的事情、また本土から遠隔に有り、多数の離島が存在する地理的事情、国内でも希な亜熱帯地域にあるなど自然的事情、米軍施設・区域が集中しているなどの社会的事情などを鑑みて、3次にわたる「沖縄振興開発計画」「沖縄振興計画」による施策が積み重ねられましたが、まだまだ課題が山積され、全国一律の制度・政策では解決できない沖縄特有の課題も顕在しています。

また那覇市を中心とした中南部に人口は集中しており、県北部では高齢化が急速に進み主要産業である農業の後継者が激減している。経済金融活性化特区などの事業はこれらの解決策になるべきところではあるが、まだ具体的な効果に結びつくまで道のりは遠いようでした。

○ (株)ANA Cargo 沖縄統括支店
24時間運用可能な那覇空港を基点に、全日空とANA Cargoが結ぶ日本とアジアの主要都市の航空ネットワークを活用して、国際物流拠点形成に取り組んでいます。

日本(1.3億人)・中国(13億人)・ASEAN(6億人)を合わせて20億人の巨大マーケットの中心に那覇空港は位置しており、飛行時間4時間以内のエリアにそれらの主要空港が存在しています。那覇空港が24時間運用になった事で、深夜に到着した貨物を翌早朝に出荷する事が可能となりアジア域内の急送ニーズに応えることが出来るようになりました。

また、那覇は日本国内22路線の直行便を有しており、日本国内のネットワークとの接続があり、国内・国際を繋ぐ沖縄貨物ハブを形成しています。

沖縄貨物ハブは、県が目指す国際物流ハブを実現し、海外航空会社の路線や高付加価値製造業の誘致の取り組みに向けて重要な役割を果たしています。

以上、長文お付き合い頂き有難うございます。今回の視察内容を今後の県政振興にしっかり活かしていきたいと思います

【高鶴元 先生 作品展】

日本を代表する陶芸家である高鶴元 先生の作品展が岩田屋三越で開催されています。

高鶴先生は2016年3月に九州芸文館で親子展をを開催して頂き、その直前に久山町の仕事場が全焼するという大変な状況にもかかわらず、開会のご挨拶で

「神様からもう一仕事しろとのお言葉を頂きました、高鶴元、今日がゼロからの出発です!」

とぶち上げられ、そのエネルギーに圧倒されたのが昨日の事のようです。そして今、齢81歳にも関わらず、立って接客をされているお姿に頭が下がります。

芸術は全く不調法な私ですが、高鶴先生の放つ「気」を頂くとこちらも元気が沸いてくると同時に、自分も気を放ち、周囲に気を与えられるようになりたいと精進を誓うばかりです。

高鶴元作品展は11月18日まで岩田屋三越9階催事場にて開催されております。

【筑後広域公園を県南のサッカー振興の拠点に!】

 みやまFCフェザントが主催する「きじ車カップ Jr.サッカー大会」が11月3−4日に開催。40チームにより二日間に渡る熱戦が繰り広げられました。


 私は筑後広域公園フィットネスエリア(本郷小学校裏)に建設中の人工芝の多目的グラウンドの報告と御礼をかねて御挨拶してきました。みやまFCフェザントの永江監督や県サッカー協会の方々が中心となり、なんと一万人の署名を集めてくれた事がきっかけで動き出した、人工芝の多目的グラウンド。サッカーやラグビーなどフットボールでの使用がメインで、完成すれば現在稼働中の多目的グラウンドと併せて少年サッカーならば8面が同時使用可能となり、県大会はおろか九州大会レベルでも開催可能!来年のオリンピック前になんとかオープン出来るよう急ピッチで工事が進んでいます。


 公共施設は作って終わりではありません、沢山使って頂き、賑わいを創出し、地域活性化の核にしていく必要があります。


 開会式後、永江監督と新施設を使った新しい大会のアイディアや、大会と連携した地域振興の方策、少子化の中サッカーそのものをどうやって盛り上げていくかなどじっくり意見交換させて頂きました。是非皆さんの力で新しい多目的球場を賑わいのある施設として存分に活用して頂きたいと思います。


 「フェザント」とは「雉子(きじ)」の意味で、伝統的な瀬高町の名産品「雉子車」からつけられたチーム名だそうです。そして「きじ車カップ」の優勝カップはそのまんま「きじ車」!!保護者の手作りだそうです。味わい深いですよね.