【総務企画地域振興委員会管外視察 沖縄県】

私が所属する総務企画地域振興委員会にて、11月18-20日に沖縄県へ管外視察を行いました。備忘録代わりに書き留めておきます。

○ 首里城公園
10月31日未明の火災で焼失した首里城正殿。視察ルートには入っていませんでしたが、現状をこの目で確かめるべく急遽立ち寄ることになりました。

火災後、首里城公園自体も11月5日迄休園していましたが、今は守礼の門周辺の一部を開園している状況。正殿が焼失してしまった為に、歓会門の前から見上げても北殿の焼けた屋根瓦が一部見えるだけでしたが、まだ生々しい火災跡の臭いが漂っていました。火災と消火活動で、正殿に使用されていた漆が首里城近くの池に流れ込み90匹以上の魚が死んでいたそうです。

バスガイドさんは火災後数日間は涙が止まらなかったとおっしゃり、首里城がいかに沖縄の人の心に寄り添っていたか実感した次第。我々も少しでも力になるべく支援金等の協力をすると同時に、国の財政出動などを併せ一日も早い再建を望むばかりです。

首里城火災に対する支援金(那覇市公式サイト)https://www.city.naha.okinawa.jp/safety/sinsai/shurijousienkin.html

○ 沖縄県消防学校
ご存じの通り、沖縄県は第二次世界大戦後27年間にわたり米軍の施政権下にありましたが、昭和47年に日本に復帰しました。そのタイミングで消防制度の本土との一本化が図られ、消防関係条令等を本土並に制定改廃し、沖縄県消防学校が設置されました。そして昭和57年、福岡県消防学校は、沖縄県消防学校の訓練内容等の充実を目指し姉妹校となり、その友好関係は、両校の学生が渡嘉敷島に合宿をして水難訓練を行うなど今でも継続しているそうで、沖縄消防学校安里校長からはご丁重な謝意を頂きました。

沖縄県は消防団の組織率が国内最低で、人員も1700人程度。理由としては、台風など大きな自然災害は発生するが、一過性の災害が多い為、消防団に対する必要性が今一つ浸透していないとの事でした。

しかしながら、1771年(明和8年)に発生した八重山地震の津波では石垣島が水没し1万数千人が亡くなったという記録もあり、また30年以内に震度6以上の地震が発生するとも言われているなか、消防団組織の充実を目指していらっしゃいました。

○ 沖縄銀行
那覇市や浦添市と「地方創生にかかる連携協力に関する協定」を締結している沖縄銀行を訪問。金城専務から直々にご挨拶を賜りました。

沖縄県は日本の都道府県で唯一人口が「自然増加かつ社会増加」している県(福岡、東京等他の人口増加している6都県は自然減少・社会増加)で、入域観光者数も年間約1000万人(6年連続過去最高)と急増しており、バブル状態。ホテルを建設したくても人手不足で計画を断念せねばならないような状況との事。

そんな中、那覇市・浦添市との協定で、地方創生の分野で連携し、人材育成・産業振興、創業・事業支援などの取り組みを行っています。

興味深かったのは、ハワイとほぼ同規模の観光者数がありながら、観光収入は三分の一とまだまだ伸び代がある状態。これについては、外国人観光客で占める割合が高い中国人観光客が長期滞在してくれなかったり、統計的にお金を落とす額が大きい欧州の旅行者が不足している、稼げる県産品がないなどが問題点と分析されていました。

○ 国立研究開発法人 情報通信研究機構 沖縄電磁波技術センター

近年、局地的大雨大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻による突発的・局所的気象災害が大きな社会問題になっていますが、それらの早期検知を目指し開発された「フェーズドアレイ気象レーダー」や、近赤外のレーザー光によりリアルタイムで風向風速の空間分布を計測する「ドップラーライダー」を有する沖縄電磁波技術センター。

将来、実用化すれば線状降水帯などによるゲリラ豪雨による被害を減少させる可能性も有り、今後の進展が期待されます。

○ 与那原大綱曳きまつり運営委員会
平成30年 第23回ふるさとイベント大賞で内閣総理大臣賞を受賞した「与那原大綱曳きまつり」について与那原町観光商工課の皆様にお話しを伺いました。

人口約2万人、面積は沖縄で一番小さい5.18平方㎞の小さな町に今年は7万人の人出で賑わったお祭り。約440年前に神事として始まった大綱曳きが、1983年に当時の町長の肝いりで、地元商工会青年部が中心となり、神事とイベントを融合させて「与那原大綱曳きまつり」として開催。今年で37回を迎えました。当初は、町の中の一部の地域しか参加していなかった神事を、全町民参加型にして、今では那覇・糸満の大綱引きと並んで沖縄3大つなひきとなりました。

一方で、神事としての綱引きの色合いが段々薄れていく事に危機感をお持ちの方もいらっしゃったり、沖縄振興一括交付金による潤沢な資金が今後無くなった場合のイベント(例えば、今年は人気バンド「かりゆし58」のライブ開催が目玉)のありようなど、問題もあるようです。

○ 沖縄県庁
沖縄県企画部・商工部の皆様から経済金融活性化特別地区および情報通信産業振興地域・特別地区で行っている、税制優遇措置を通じた地域経済・産業振興についてお話しを伺いました。

沖縄は第二次世界大戦後、米軍施政権下に27年間置かれ、日本政府の支援が受けられなかった歴史的事情、また本土から遠隔に有り、多数の離島が存在する地理的事情、国内でも希な亜熱帯地域にあるなど自然的事情、米軍施設・区域が集中しているなどの社会的事情などを鑑みて、3次にわたる「沖縄振興開発計画」「沖縄振興計画」による施策が積み重ねられましたが、まだまだ課題が山積され、全国一律の制度・政策では解決できない沖縄特有の課題も顕在しています。

また那覇市を中心とした中南部に人口は集中しており、県北部では高齢化が急速に進み主要産業である農業の後継者が激減している。経済金融活性化特区などの事業はこれらの解決策になるべきところではあるが、まだ具体的な効果に結びつくまで道のりは遠いようでした。

○ (株)ANA Cargo 沖縄統括支店
24時間運用可能な那覇空港を基点に、全日空とANA Cargoが結ぶ日本とアジアの主要都市の航空ネットワークを活用して、国際物流拠点形成に取り組んでいます。

日本(1.3億人)・中国(13億人)・ASEAN(6億人)を合わせて20億人の巨大マーケットの中心に那覇空港は位置しており、飛行時間4時間以内のエリアにそれらの主要空港が存在しています。那覇空港が24時間運用になった事で、深夜に到着した貨物を翌早朝に出荷する事が可能となりアジア域内の急送ニーズに応えることが出来るようになりました。

また、那覇は日本国内22路線の直行便を有しており、日本国内のネットワークとの接続があり、国内・国際を繋ぐ沖縄貨物ハブを形成しています。

沖縄貨物ハブは、県が目指す国際物流ハブを実現し、海外航空会社の路線や高付加価値製造業の誘致の取り組みに向けて重要な役割を果たしています。

以上、長文お付き合い頂き有難うございます。今回の視察内容を今後の県政振興にしっかり活かしていきたいと思います