【目指せ、奇跡のむらづくり〜山川町伍位軒集落】
「限界集落」、高齢化・過疎化が進み、共同生活の維持が難しくなり存続が危ぶまれる集落の事で、昨今では多くの方々に認識されている言葉です。特に中山間地をイメージされる方が多いのでは。
そんな中山間地の典型のような場所に位置する、みやま市山川町の伍位軒(ごいのき)集落。私も議員の仕事をするまではなかなか足を運ぶ機会も少なかった地域ですが、この伍位軒集落が平成27年度の「豊かなむらづくり全国表彰事業」で九州のベスト3に選ばれ、今後天皇杯や内閣総理大臣賞を頂くチャンスとなっております。
豊かなむらづくり全国表彰事業は、農山漁村におけるむらづくりの全国的な展開を助長し、地域ぐるみの連帯感の醸成及びコミュニティ機能の強化を図り、農林漁業及び農山漁村の健全な発展に資することを目的として、昭和54年度から農林水産祭の表彰行事のむらづくり部門として実施されています。
伍位軒は標高180mに位置し、総世帯数わずか29戸、人口110人の集落です。この地域は江戸時代末期よりみかん栽培が始まり、今も29戸の内27戸がみかんの専業農家。過去オイルショックやオレンジ輸入自由化という2回の価格大暴落を品種転換や園地整備による省力化で乗り超えましたが、まだまだ不安定なみかん経営、高齢化、後継者不足などのし掛かる課題山積でした。
しかし「『みかんの里』を守る為に自分達やれることは自分達でやろう!」と一念発起、平成12年より推進体制を整え、中山間地域直接支払制度等を活用し伍位軒独自のむらづくりを推進。
結果、現在の山川みかんのブランド戦略を牽引するまでになった優良品種「北原早生」が誕生、集落の平均所得が向上し、後継者が増加。更に小学生以下の子供の数が年々増加し、青年部や女性農業者をはじめコミュニティーも向上するという、少子化に頭を抱える自治体にとって信じられないようなスパイラルで地域の活性化を実現しています。
この取組みを、この度「豊かなむらづくり全国表彰事業」に「集落みんなで守る『みかんの里』〜子供の声がこだまする郷づくり〜」というテーマで紹介した次第です。
7月16日の現地視察審査を経て、その後各1点が選定される「天皇杯」「内閣総理大臣賞」「日本農林漁業振興会長賞」を目指す事になりました。伍位軒の北原区長ともお話しし、県においてもトップを目指すべく農業普及センターなどを中心に最後までバックアップさせて頂くことをお約束しました。
行政は「地域の特色を活かす」と良く言います。聞こえは良いのですが、それを実現しているところはまだまだ少数です。伍位軒は小さな集落ですが、だからこそ地方創生の大きなヒントが隠れています。