平成26年2月議会一般質問「スポーツによる広域地域振興について」

3月14日から福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます

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質問要旨「スポーツによる広域地域振興について」
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(質問当日は東日本大震災から丁度3年、議場にて1分間の黙祷後の登壇でした)
◯議長(松尾 統章君) 黙祷を終わります。御着席ください。
 日程に従い一般質問を行います。順次発言を許可いたします。板橋聡君。(拍手)
*板橋議員質問

◯十一番(板橋 聡君)登壇 私は、東日本大震災の一カ月後に初当選し、県政の場に送り出させていただきました。活力ある福岡県であることが日本全体の復興につながると信じ、ともに頑張りましょう。
 おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。本日は、スポーツによる広域地域振興について質問させていただきます。
 ソチ・オリンピックで金メダル最有力との呼び声が高かった女子スキージャンプの高梨沙羅選手、彼女は北海道上川郡上川町出身です。人口わずか四千人にもかかわらず、この町には二十メートル級、四十メートル級のジャンプ台があり、長野オリンピックスキージャンプ金メダリストの原田雅彦さんはこの町の出身。そして高梨選手のお父さん、お兄さんもスキージャンプの選手でした。八歳のときから上川町でジャンプになれ親しみ、世界の頂点を目指した高梨選手を応援するため、町を挙げてのパブリックビューイングには三百人以上の老若男女が声援を送りました。残念ながら女子ジャンプ初代金メダリストにはなれませんでしたが、その翌日、上川ジャンプ少年団の選手たちはいつもどおり練習にいそしみ、テレビ取材で向けられたマイクに、沙羅ちゃんみたいになりたい、オリンピックに出たいと、屈託なく答えていました。スキージャンプとともに歩む上川町、スポーツは地域に活力を与える全員参加型の文化だと実感した次第です。
 今から十年ほど前、スポーツジャーナリストの二宮清純氏がこのような主張をされていました。元来スポーツは地域の文化だが、日本のスポーツは学校と企業を中心に運営されてきた。スポーツにおける大政奉還をして、もう一度スポーツを地域に取り戻すべきだと。文部科学省においても総合型地域スポーツクラブの設置が推進される中、二〇一一年にスポーツ基本法が制定され、スポーツが地域の一体感や活力を醸成し、地域社会の再生に寄与すると定義されました。
 そこで知事に質問です。福岡県におけるスポーツがもたらす地域活性化の効果について、知事はどのように認識しているか御所見を披露ください。
 スポーツは、選手、コーチ、またそれをサポートする人々がいて、競技、トレーニングを行う施設が存在し、かつ選手同士が集い、競い合う大会の開催が物語を生み出し、普及をしていきます。人、場所、物語が伝統を織りなす。これは地域に根づくお祭りの要素と似ており、スポーツもお祭り同様に地域特性があります。県下全域で画一的な施策を行ってもなかなかうまくいきません。
 そこで知事に質問です。京築地域の神楽のように、地域のお祭り的な伝統、文化のような捉え方で、スポーツと地域の結びつきを活用し、地域振興を目指すべきと考えますが、現在県においてスポーツを所管している教育庁、県民文化スポーツ課だけでは自治体との連携や地域振興の観点が足りないと感じます。スポーツの特性を生かし、広域地域振興を市町村と連携して取り組むべきと考えますが、知事のお考えはいかがでしょうか。
 筑後地域は八女市、みやま市の剣道、ソフトボール、大川市のサッカー、柳川市の相撲など、地域に根づいた伝統的に盛んな競技が多数存在しています。また、みやま市、筑後市にまたがり体育館、テニスコート、野球場、サッカーを同時に四面開催できる多目的グラウンド、完成を控えた公認五十メートルプールを擁する県営筑後広域公園があります。そして、そのエリアに福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地がやってきます。しかしながら、現在企画・地域振興部が推進する広域連携プロジェクトには、スポーツを柱とした事業がありません。
 そこで知事に質問です。全国的にも東京オリンピック開催に向けてスポーツの力に対する注目度が上がっている中、筑後地域は福岡県の県有施設である筑後広域公園が存在し、福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地が移転してきて、公認五十メートルプールも完成します。まさに天の時、地の利が整いつつある筑後地域で、知事のリーダーシップにより人の和、地域の和をつくりませんか。ぜひ、広域連携プロジェクトの一環として、スポーツを柱とした広域地域振興を筑後の地で目指したらいかがでしょうか。知事の所見をお伺いいたします。
 先述のとおり、福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地が筑後市にやってきます。筑後市のみならず近隣自治体でも、アベノミクスによる景気の活況や東京オリンピック誘致を上回るほどの明るい話題となっています。ソフトバンクホークスファーム本拠地は、筑後市を含む三十三自治体による誘致合戦となりましたが、筑後市は第一次選考を突破した段階で、ソフトバンクホークスファーム本拠地を筑後市に、というキャッチフレーズを改め、ソフトバンクホークスファーム本拠地を筑後に、としました。それに呼応し、矢部川流域の七自治体で構成されます筑後七国を初めとする県南の市町村が協同して、広域で誘致活動を行いました。昨年秋十月六日に行われた筑後広域公園での県南地域住民一同による感動的な一万人決起集会は記憶に新しいところです。
 そこで知事に質問です。移転先の選考において、このような広域の取り組みや筑後広域公園の存在が高く評価されたと聞いております。惜しくも誘致することができなかった三十二自治体の皆様にとっても、筑後、頑張ってるじゃないか、筑後に決まってよかったやんかと評価していただけるよう、地元ももちろん頑張りますが、県としても大いに関与して、筑後地域の振興を目指すべきと思いますが、知事の御所見を披露願います。
 また、そのためには県とソフトバンクホークスでよく話をし、その上で県と地元自治体とソフトバンクホークスの三者で話し合う場も必要と思いますが、いかがでしょうか。また、これは庁内横断の事業となります。県庁内でも所管部署があってしかるべきと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
 さて、本県にはソフトバンクホークス以外にも、Jリーグのアビスパ福岡、ギラヴァンツ北九州、bjリーグのライジング福岡、大相撲十一月場所などプロスポーツの拠点が存在しておりましたが、それらは福岡市を中心とした政令都市だけの存在でした。今回、筑後地域にとっては待望のプロスポーツ本拠地が進出することとなり、プロスポーツの拠点が県下各地に広がり始めました。Jリーグには百年構想があり、地域におけるサッカーを核としたスポーツ文化の確立を目指す中、ホームタウンと協力し、スポーツを地域活性化、経済活性化に寄与するべく活動しておられます。また、プロ野球においても、当時の横浜ベイスターズはファーム球団を一軍とは違う湘南シーレックスと命名し、ファーム本拠地において地域密着の球団運営をされていました。
 そこで知事に質問です。現在のソフトバンクホークスファーム本拠地である雁ノ巣では、地域活性化の観点でどのような事業があり、その効果、メリット、デメリットを含め、まず県として把握すべきではないでしょうか。その上で、プロ野球球団はソフトバンクホークス以外に十一あります。他のファーム本拠地やJリーグチームのホームタウンの行政がどのようにプロスポーツチームを地域活性化に活用しているか、筑後市を初めとする地元自治体をリードして先行事例を研究すべきと思いますが、いかがでしょうか。
 一方で心配な部分もあります。「財界九州」という雑誌の三月号の記事で、ソフトバンクホークスファーム本拠地誘致で沸く筑後の課題として、用地の問題とアクセス道路の問題が指摘してありました。民間と住民がこれだけ盛り上がっているのに行政が水を差すようなことがないよう足並みをそろえて対応することを強く要望し、知事に質問いたします。
 ファーム本拠地誘致による相乗効果で、地域外からの自家用車を利用した来訪者が増加することが予想されます。ふなれな地で渋滞のストレスを感じたり、ましてや事故などを起こすようなことがあってはなりません。スポーツによる広域地域振興を下支えするインフラ整備についてどのようにお考えか、知事の所見をお聞かせください。
 知事は年頭から、景気、雇用対策に全力を尽くすとおっしゃっておられます、そうですね知事。筑後地域にはまだまだアベノミクスの恩恵が感じられないと評価される方も多いようですが、景気は気からと言われます。アベノミクスはようわからんばってん、オガノミクスもよかやっかと言っていただけるような、地域に光を与え、地域住民が前向きに一歩踏み出したくなるような答弁を期待して、私の一般質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(松尾 統章君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、スポーツがもたらす地域活性化の効果についてでございます。スポーツは、体力の向上や心身の健康増進はもとより、人と人、また地域と地域との交流を促し、地域の一体感や、また活力を醸成するものであると、このように考えております。また、先日、北九州ではマラソンを行いましたが、そういった地域の特色のあるスポーツイベントというのは誘客効果がある、また観光資源としても活用できる、そういったことから地域活性化に寄与するものであるというふうに思っております。こうしたことから、今議会に御提案をさせていただいております福岡県スポーツ推進計画の中でも、スポーツの活力を生かした地域の魅力の創造というものを柱の一つに掲げさせていただいております。今後とも、それぞれの地域の特色を生かしたスポーツを振興することによりまして、地域の活性化を推進していきたいと考えています。
 スポーツと地域との結びつきを生かした地域振興についてお尋ねがございました。県内では、見渡しますと、世界最高峰の大会となりました飯塚市の国際車いすテニス大会、九州最大のボート競技大会でございます遠賀町の九州朝日レガッタ、高校ラグビーの国際大会でございます宗像市のサニックスワールドラグビーユース交流大会、それから真木和泉守にちなんだ久留米市の紫灘旗全国高校遠的弓道大会など、それぞれの地域におきまして、それぞれの自然環境や競技施設というものを活用したスポーツイベント、大会が実施されているところでございます。このような地域に根差したスポーツの活用というのは、地域住民のきずなを強める、また郷土愛を醸成していくことにもつながるものであると考えております。今後とも、市町村と連携いたしまして、スポーツを地域資源として活用した地域の振興に取り組んでまいります。
 筑後地域の振興についてでございます。スポーツイベントの誘致やスポーツを見る、それからする、そのための旅行と周辺地域の観光というものをあわせたスポーツツーリズムといった取り組みは、地域の振興を図る上で有効なものであると考えております。県では、筑後広域公園の多目的運動場、体育館、テニスコートなどに加えまして、現在プールの整備を進めているところでございます。議員御指摘のとおりであります。県立の久留米スポーツセンターの改築も行うこととしております。また、八女市ではグリーンフィールド八女におきまして天然芝サッカー場が整備されております。このように、筑後地域ではスポーツのための施設整備が進んできております。また、福岡ソフトバンクホークスのファーム本拠地の移転先が筑後市に決定され、地元におきましては、先ほどお話がありましたように、スポーツを活用した地域振興に関して大きな期待が高まってきていると、このように承知しております。今後、筑後地域の市町村とも協議を行いまして、スポーツを活用した広域的な取り組みについて検討を進めていきたいと思っております。
 福岡ソフトバンクホークスファーム本拠地移転への対応でございます。ファーム本拠地の移転予定地は、九州新幹線、鹿児島本線の筑後船小屋駅、また九州自動車道の八女インターチェンジやみやま柳川インターチェンジ、有明海沿岸道路からも近く、九州一円からのお客様が期待できる絶好の場所にあると思っております。また、隣接する筑後広域公園には、先ほど申し上げました各種スポーツ施設のほか、昨年四月には芸術文化交流拠点といたしまして九州芸文館が開館をしたところでございます。今回のファーム本拠地の立地というのは、これらの施設とあわせて集客の相乗効果を生むものとして期待をしているところであります。今後、県としても関係部局しっかり連携いたしまして、地元を含め関係者の皆さんと一体となって知恵を出し合いながら、筑後地域でのスポーツツーリズムの推進などファーム本拠地を核とした広域的な地域振興に取り組んでまいります。
 ファーム移転に伴う協議の場でございますけれども、今回のファーム移転を地域の活性化につなげていくためには、県、地元自治体、ソフトバンクホークス、関係者の連携が不可欠でございます。今後、県、筑後市、みやま市など関係自治体やソフトバンクホークスとの間で協議の場を設けまして、しっかり地域振興につなげていきたいと考えております。
 県の担当部署でございますけれども、移転に伴う道路などの関連インフラの整備のみならず観光、スポーツの振興など全庁的にわたる業務となりますことから、県政の総合調整と広域地域振興とを担っております企画・地域振興部を担当といたしまして、その中で広域地域振興課を担当課とさせていただきます。
 次に、プロスポーツ活用方法の先進事例の研究についてお尋ねがございました。議員御指摘のとおりでございまして、地元市町あるいは関係者の皆さんと一緒になって、プロスポーツを活用してきたいろんな地域のいろんな先進事例も研究して、より効果的な私どもの取り組みが進められるよう努力していきます。
 次に、ソフトバンクホークスファームの新本拠地周辺の道路整備についてでございます。ファーム新本拠地が完成をし、試合やイベントが開催されるときには、多くのお客様が車を使って訪れ、周辺道路が混雑することが予想されます。このため、新たに発生する交通量が周辺の道路にどういう影響を与えるか把握する必要があると考えております。そのため、まず筑後市、みやま市などの関係自治体や球団から、球場や駐車場の規模等につきまして情報をいただきまして、それらの情報をもとにJR筑後船小屋駅周辺道路また九州自動車道、有明海沿岸道路から球場へのアクセス道路、それらを中心にいたしまして、道路や交差点の容量と想定される交通量というものを比較いたしまして、容量不足の箇所を抽出するなど周辺道路の整備についての課題点を整理していきます。