大阪都構想と関西広域連合視察

私が副委員長を仰せつかっている広域行政推進対策特別委員会にて大阪を視察してきました。
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我が福岡県をはじめとする九州7県は2010年に国の出先機関を丸ごと受け入れる「九州広域行政機構」の創設を国に提言しており、各県議会サイドも「九州の自立を考える会」を設立し足並みを揃え推進しているところです(関連エントリ)。今回は橋下徹大阪維新の会代表で話題の「大阪都構想」と「関西広域連合」を調査するために関西経済連合会、大阪市、大阪府、大阪維新の会、関西広域連合等を訪問してきました。

昨年の大阪W選挙の熱狂冷めやらぬ中の訪問、私も一体大阪都構想とはなんぞや?関西広域連合との関係やその先の道州制への道筋は?等々、期待を膨らませておったのですが正直肩透かしを食らった感じです。

先ず、大阪都構想について。
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関経連や大阪市・府の方々も大阪都構想の詳細については未だ詳細を認識しておられず様子見の状態。またどれだけ大阪市・府側でロードマップやマスタープランを作成しようと法律改正など制度が伴わなければ絵に描いた餅になる非常に不安定な状況である事を認識させられました。いつの間にか堺市が大阪都構想から離脱している事も報道ではあまり触れられていません。ある委員が「堺市の離脱により大阪都構想は有る意味破綻しているとも言えるのでは?」という突っ込んだ質問をされましたが、「堺市も最近政令指定市になったばかりなので当面は参加しないという判断だと思う。ただ将来的には変わってくると思う」というなんとも奥歯にモノが挟まったような回答でした。

また私自身疑問に思っていた、都構想から道州制への道筋。

橋下市長が府知事時代に強調されていた地域主権・道州制とは、現在国や府県が抱え込んでいる権限をなるべく住民サイド(道州及び基礎自治体)に移管、現在の府県の役割において広域的なものは道州へ、住民に近い狭域的なものは基礎自治体へ吸収され、都道府県そのものは消滅するようなイメージを持っています。しかし大阪都という強大な中間自治体を作ってしまうと、大阪都そのものが道州制における余計なレイヤーになってしまう危惧があります。一方で、堺市が「最近政令指定都市になったから、今すぐに大阪都構想には参加したくない」というのと同様な感情が大阪都民に生まれることも想定されます。大阪維新の会に対しその点について質問したところ「維新の会は大阪都構想を実現させる会」「道州制には色々ある、我々は(PHP研究所江口克彦氏が唱える)地域主権型道州制を目指す」「しかし地域主権型道州制は国の法律・憲法改正まで必要」という御回答で、私の疑問を払拭させるには至りませんでした。

なんとも言えないモヤモヤ感。聞くところによると、東京都においては特別自治区と都の対立というのもあるらしいです。それじゃ大阪都になっても大阪市と大阪府のような対立は解消しないのでは?という思いもある。それを財源調整においてコントロールするのならば特別区の独立性は踏みにじられるわけです。一方、大阪都が特別区と既存の基礎自治体の両方を司ることになれば、今まで府と市がそれぞれやっていた異質な業務を都として両方抱え込む訳で、逆に混乱するのではないかという疑問。ここんとこは既に都制度を敷いている東京を調査して検証できればと思います。

非常にネガティブな物言いになってしまいましたが、それでも橋下市長率いる維新の会の勢いというか突破力は本当に魅力的に感じましたし、「明るい展望が開けない」「現状を変えたい」という有権者の閉塞感も思い知らされました。その中で、まずは九州においてそのままお手本に成り得る関西広域連合と情報交換しながら、国の出先機関の受入を目指していく方向性は間違っていないと認識を強めたところです。

今回の視察、今までマスコミで得た情報とは全く違う生の声が聞けて大変参考になりました。やはり現場の声を聞くのは大変重要ですね。ご対応頂いた関係各位に心より御礼申し上げます。