平成29年6月議会一般質問 「立花宗茂と誾千代のNHK大河ドラマ化について」 「ラグビーワールドカップ・東京五輪キャンプ誘致を通じた地域活性化について」

6月20日頃から録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、立花宗茂と誾千代のNHK大河ドラマ化について
一、ラグビーワールドカップ・東京五輪キャンプ誘致を通じた地域活性化について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。本日は、立花宗茂とギン(もんがまえに言)千代のNHK大河ドラマ化についてと、ラグビーワールドカップ、東京五輪キャンプ誘致を通じた地域活性化についての二点について知事に質問いたします。
 まず、立花宗茂とギン千代のNHK大河ドラマ化についてです。先月五月八日、柳川市の金子市長が県庁と県議会を訪問され、柳河藩祖立花宗茂公とその妻ギン千代姫を主人公とした二〇二〇年のNHK大河ドラマ招致に向け、県庁では小川知事、議会では当時の中尾議長と九州の自立を考える会、藏内会長に対し、招致活動への協力を要請されました。招致を目指す二〇二〇年は、関ヶ原の戦いで西軍について柳川を追われた立花宗茂が、苦難の末に柳河藩主に返り咲いて、ちょうど四百年の節目に当たります。また、柳川市内では、一八七二年に焼失し、本丸が国の史跡に指定されている柳川城の再建運動も始まるなど、招致に向けての機運が盛り上がっております。
 まず、立花宗茂とはどんな人物なのか。立花宗茂は、戦国時代の武将で、既に大河ドラマ化された真田幸村や伊達政宗と同じ一五六七年生まれ、一部歴史ファンの中では、花の六七年組とか、六七トリオと呼ばれておるそうです。豆知識ですが、県議会の花の六七年組と呼ばれている板橋聡、香原勝司、大橋克己のちょうど四百歳先輩にも当たります。真田幸村、伊達政宗と比較すると、宗茂の知名度は発展途上ですが、豊臣秀吉から、その忠義、鎮西一、その剛勇、また鎮西一、東の本多忠勝、西の立花宗茂、東西無双と高く評価された、九州を代表する武将です。また、文武両道の名将でもあり、連歌、書道、茶道などにもたけた文化人だったと言われております。関ヶ原の戦いで豊臣秀吉への忠義から西軍につき、柳河藩を追われることになりましたが、立花宗茂の器量をよく知っていた徳川家康の信頼を得て、一六二〇年、柳河藩主に奇跡の復活を果たしました。何と、関ヶ原の戦いに西軍として参戦し、旧領に復帰を果たした大名は立花宗茂ただ一人のみです。
 宗茂の義を貫いた生涯は、多くの歴史ファンに共感されてきましたが、昨今、アニメやゲームなどでたびたび題材にも取り上げられ、若年層の認知度や好感度も高いのが、立花宗茂とギン千代の特徴です。NHKの大河ドラマで舞台となると、その地域は観光誘客、経済活性化に大きな効果がもたらされます。また、故郷の偉人や歴史を改めて見詰め直すことで郷土愛も増すという効果もあります。福岡県としてもこの招致活動を応援し、何としても立花宗茂とギン千代をテーマとするNHK大河ドラマが実現するよう努力すべきと思います。
 そこで知事に質問です。福岡県が舞台となった大河ドラマで記憶に新しいのは、平成二十六年に黒田官兵衛を題材にして放送された「軍師官兵衛」です。ドラマ放映を契機として、県内各地への観光誘客のため、県としてどのような取り組みを行われたのかお答えください。
 さて、「軍師官兵衛」で福岡県が舞台となったと言ってはおりますが、黒田官兵衛は姫路生まれで、ドラマの主たる舞台は兵庫を中心とした関西でした。史実によると、福岡藩入りしたのは関ヶ原の戦い以降であり、ドラマでは最終話でようやく描かれております。
 そこで知事に質問です。「軍師官兵衛」放映により、県内の経済波及効果はどれほどのものでしたか。また「軍師官兵衛」と違い、福岡が主たる舞台となる宗茂、ギン千代なら、どれくらいの効果となるか、知事の所見をお聞かせください。
 私は、平成二十五年九月議会で、県内各地の歴史観光資源を生かした観光振興について一般質問しました。その際知事からは、歴史、文化に関する観光資源の発掘をさらに進め、ストーリーでつなぎ、点から線、そして面へとつないで回遊性のあるリピーターをつくれる新たな観光振興策に取り組むと、力強い答弁をいただきました。
 そこで知事に質問です。あれから四年、どんな実績を上げてきたのかは、今回あえて聞きませんが、柳川市が立花宗茂、ギン千代でNHK大河ドラマ招致に手を挙げる中、福岡県として県民の招致活動の機運を盛り上げ、宗茂とギン千代の知名度アップのために、宗茂、ギン千代を軸とした歴史観光事業を行うことで招致活動の側面支援をしたらいかがでしょうか。
 私が、こうやって熱のこもった質問をする一方で、おまえ、柳川市民でもないとに何でそんなに頑張りようとや、といぶかしむ方もおいででしょう。しかし、私の地元みやま市、そして八女市は旧柳河藩であります。立花一族が治めていた三池藩は大牟田市。ギン千代が七歳で女城主となった立花山城は新宮町に位置し、宗茂が初陣を飾ったのは太宰府市など、県内各地に古戦場やお墓などゆかりの地があり、県内全体が立花宗茂に関係すると言っても過言ではありません。また、黒田官兵衛初め黒田長政、鹿児島の島津義弘、熊本の加藤清正、大分の大友宗麟、佐賀の鍋島勝茂など九州各地の武将とのエピソードも多く、その放映効果は県内にとどまらず広く九州全域に及ぶことが想定され、九州各地とのさまざまな連携が考えられます。
 そこで知事に二点質問です。福岡県内に広くゆかりのある宗茂とギン千代。誘致活動が県全体で盛り上がるよう、県がリーダーシップを発揮し、県内市町村に働きかけ、招致活動を県民運動にするくらいの熱意で当たってほしいと思いますが、知事の御所見を御披露ください。
 また、成功すれば九州全体にその効果が及ぶ招致活動です。九州各県の政、官、民関係者が会員に名を連ねる九州の自立を考える会には九州各県とのネットワークがあり、各県が連携した観光戦略を政策提言もしているとの観点から、招致に当たっては九州の自立を考える会ともしっかり連携をとるべきと考えますが、知事の御所見を披露ください。
 次に、ラグビーワールドカップ、東京五輪キャンプ誘致を通じた地域活性化について質問いたします。二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向け、各国のキャンプ地の選定が本格化しています。本県においても四月以降、ドイツ、メキシコ、カザフスタン、南アフリカ、オセアニア、フィンランドと多くの国が視察に訪れました。我がみやま市も、県営筑後広域公園のプール施設をオセアニアオリンピック委員会が水泳競技の有力なキャンプ地候補として御視察いただきました。そんな中、田川市ではドイツの車椅子フェンシング、行橋市ではメキシコのビーチバレーのキャンプ実施にかかわる確認書に仮調印するなど、誘致活動も着々と新たなステージを迎えており、今後、キャンプ地が正式決定されると相手国との交流などもスタートしていくと思われます。県内各地でキャンプが実施される際の主体は市町村であると承知していますが、例えば、みやま市がオセアニア代表水泳チームと子供たちとの交流事業を行うとして、筑後市や柳川市、あるいは大川市、八女市、大牟田市など近隣の水泳少年、水泳少女が参加できないようでは、数十年に一度あるかないかのビッグイベント、余りにももったいなく感じます。
 そこで知事に質問です。キャンプ実施時の交流事業やトレーニングの見学など、一人でも多くの県民が市町村の垣根を越えて世界のトップアスリートと触れ合う機会を創出することでキャンプ誘致の効果が高まり、県下あまねく実感していただけると考えますが、知事の御意見をお聞かせください。
 また、これを実現するには、キャンプ受け入れ主体は市町村ですが、県が音頭をとって広域圏での交流事業等を働きかけたり、取り組むべきと考えますが、知事の所見を御披露ください。
 キャンプ地誘致に取り組む上で最も重要なことは、キャンプ実施の効果を一過性のものとすることなく、その後のスポーツ振興やスポーツを通した地域の活性化にいかにつなげていくかということです。大曲副知事、私は平成二十五年の決算特別委員会で、当時新社会推進部長だった大曲副知事にキャンプ誘致への意気込みをただしましたね。その後、平成二十六年十二月議会一般質問でスポーツ振興についてただしたところ、知事から、短期、中期、長期という時間軸、主体や役割分担も念頭に置いて、県としてできるものから取り組むとの答弁をいただきました。初めてキャンプ誘致の質問をしてはや四年がたちました。短期的な時間軸の中でキャンプ地誘致の取り組みは一定の成果をおさめつつあると理解しておりますが、そろそろそこから一歩踏み込み、中期、長期の取り組みを始める時期が来ているのではないでしょうか。
 そこで知事に質問です。世界が注目する二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、福岡県においてはスポーツ振興課を中心としてキャンプ誘致の取り組みが進んでいます。しかし、キャンプ誘致自体がゴールではありません。文化交流や人的交流などを大会終了後も継続し、息の長い地域活性化につなげていくためには、スポーツ振興課だけでなく、部局を超えた連携が必要と考えます。大会まであと二年、三年と迫っている中、具体的にどんな準備をし、どこを窓口に、どのように進めていくのか、知事の所見をお答えください。
 また、キャンプ受け入れ主体である市町村において担当窓口が社会教育課であるケースが多いのですが、市町村においても部局横断的な息の長い文化交流や人的交流につなげるために、県としてどのような支援、助言をしていくのか、知事の考えを御披瀝ください。
 以上、知事の夢あふれる答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)

◯副議長(守谷 正人君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、「軍師官兵衛」の放映を契機とした誘客の取り組みでございます。本県では、平成二十六年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、その放映を契機といたしまして、官兵衛ゆかりの地への誘客につなげていくため、県、福岡市、福岡商工会議所、官兵衛ゆかりの市町村、団体から成ります「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会というものを設立をいたしました。この協議会におきましては、福岡黒田武将隊や、ゆるキャラのふくおか官兵衛くんを活用した県内外におけるイベントでのPR活動、県の広報番組や旅行雑誌など各種広報媒体を活用した情報の発信、旅行会社に対します官兵衛ゆかりの地をめぐる旅行商品の造成の促進、ふくおか官兵衛くんを使った官兵衛グッズの販売の支援、そういったさまざまな事業を平成二十五年度、そして二十六年度の二年間にわたり実施をいたしました。また、ドラマの放映終了後も県内外のイベントに、このふくおか官兵衛くんを派遣をいたしまして広報活動を実施しておりますほか、ゆかりの市町村においてもパンフレット等を用いたPR、関連商品の販売など、ドラマ放映による誘客効果を一過性のものにしないためのさまざまな取り組みを行っているところであります。
 次に、その経済波及効果でございますけれども、「軍師官兵衛」放映終了後、先ほど申し上げましたプロジェクト協議会におきましては、放映による経済波及効果というものを調査をいたしました。その結果、観光客増加によります県内への経済波及効果は二百七十二億二千万円、協議会及び自治体の関連事業支出による効果は六億九千万円、合わせて二百七十九億一千万円の効果があったと算出をされております。
 立花宗茂を題材にした大河ドラマが放映をされました場合に、その効果でございますけれども、「軍師官兵衛」の場合、御指摘がありましたように、放送の中で本県が舞台となりましたのはドラマの後半でございました。一方、立花宗茂の場合、その活躍の場の多くが本県内であったこと、また立花道雪を初めとする福岡の戦国武将ともゆかりが深いことから、その脚本の内容にもよると思いますけれども、本県が舞台となる場面が多くなることも予想されます。こうしたことから、地元柳川市では経済波及効果を三百億円と見込んでおられますが、県としても「軍師官兵衛」を上回ることを期待をしているところであります。
 次に、立花宗茂をテーマとした歴史観光についてお尋ねがございました。本県には、宗茂らを祭っております三柱神社、父高橋紹運の居城でありました岩屋城の跡など、宗茂や妻のギン(もんがまえに言)千代、福岡の戦国武将のエピソードが残る史跡が数多くございます。県といたしましては、この立花宗茂の知名度向上と大河ドラマの誘致に向けての機運を盛り上げていくため、柳川市、みやま市を初め宗茂ゆかりの自治体や観光協会と連携をいたしまして、その史跡の魅力や価値というものの掘り起こしというものを行ってまいります。その上で、こうした史跡などの観光資源を県の観光ホームページクロスロードふくおかや県内外のイベントなどにおきまして情報発信をいたしますとともに、テーマ性のある魅力的なルートというものをつくって、それを旅行会社に提案をしていきたいと考えているところであります。
 次に、大河ドラマ誘致活動における県の役割でございます。大河ドラマ誘致に向けて、現在、地元柳川市が中心となりまして、その体制づくりに取り組んでおられるところであります。一方、立花宗茂とその妻ギン千代につきましては、県内にゆかりの地も数多く、関係する市町村も多いことから、大河ドラマとして放映をされますと、県内外からの観光客の増加によるそれぞれの地域への経済効果はもとより、地元の皆さんが自分たちの地域の歴史や文化に関心を持っていただき、ふるさとへの愛着が増していく、そういう効果も期待されるものであります。このため県といたしましても、柳川市と連携をいたしまして、私ども県が持っておりますネットワークを生かして、ゆかりのある市町村や経済団体に対する協力の要請、またNHKへの働きかけといった、県による対応がより効果的と思われる取り組みを進めるなど、積極的に誘致活動にかかわっていきたいと考えております。
 次に、大河ドラマ誘致における九州の自立を考える会との連携でございます。宗茂は、九州各地とも非常にかかわり合いがあり、今回の大河ドラマの誘致が実現をいたしますと、そのゆかりの人物やゆかりのそれぞれの地域における観光振興や地域の活性化に資するものと考えられます。九州の自立的な成長や経済の活性化を目指しておられます九州の自立を考える会のお考えとも合致するものでございまして、誘致に向け連携や御支援、御協力がいただけるのであれば大変心強いと考えております。
 次に、キャンプ実施を通した広域的な交流についてでございます。県内においてキャンプが開催されますことは、県民の皆さんが世界のトップアスリートのプレーを直接見たり、選手の方々と交流したりする、とてもいい機会になります。特に、お子さんたちにとりましては、スポーツへの夢や目標を持つことにつながっていく、かけがえのない経験になるものと考えております。したがいまして、県といたしましては、市町村の垣根を越えて、できるだけ多くの県民の皆さんがその交流事業に参加ができるよう、キャンプを受け入れる市町村と一体となりまして取り組みを進めていきたいと考えております。また、キャンプを受け入れる市町村とその近隣市町村との連携を促進するためのワークショップの開催や、県民の皆様への交流事業についての情報提供にも努めてまいります。
 次に、地域活性化に向けた部局連携についてお尋ねがございました。本県におきましては、現在、全庁組織として立ち上げております対策本部、この中に三つの部会を設置しておりまして、その部会ごとに設定したロードマップに基づき、部局を超えた取り組みを進めているところであります。この部会の一つであります庁内の関係七部二十一課と県警本部から成ります魅力発信・活性化部会、これはまさに両大会の開催やキャンプ地の誘致というものを地域の活性化につなげていくという観点で設置をしております部会でございます。この事務局は観光局が担当しているところでございますが、この部会におきましては、これまで当県の食や伝統文化を活用した観光資源の開発、WiFi利用環境の改善などに取り組んできているところでございます。今後もこの部会を中心に文化体験プログラムや広域観光周遊ルートの開発による誘客の促進、県産品の販路の拡大など、地域の活性化につながっていくいろんな取り組みをスピード感を持って進めていきたいと考えております。また、キャンプ地として決まった市町村におきましても、選手の受け入れだけではなく、観光や文化などさまざまな分野で具体的な交流プランというものを進めていただく必要がございます。そのため県では、市町村に対しまして、先ほど申し上げました対策本部の各部会を活用して、専門性を生かしながら、市町村内の部局を超えた連携体制の構築を促してまいります。

【立花宗茂と誾千代を大河ドラマに!】

本日は柳川市金子市長をはじめとしたキャラバン隊の皆様から、立花宗茂と誾千代をテーマにしたNHK大河ドラマの招致を目指す要望活動をお受けいたしました。

1567年に生まれた戦国武将は伊達政宗、真田幸村そして立花宗茂。華の67組と称されることもあるそうです。関ヶ原の戦で西軍につき唯一旧領回復した大名。そして宗茂の妻誾千代は、放送中の「女城主直虎」がありますが、一級の古文書で城主となったことを確認出来る唯一の女城主。
時代考証についても学術書や研究成果が充実しており、脚本家の方が書きたくなるような人物像とエピソードが満載。信長・秀吉・家康との絡みもあり、アニメやゲームでも取り上げられ中高生からの認知度も高い宗茂と誾千代。プレゼンを聴くと「もうこれしかないだろう!」と思えてくる程ですが、現在誘致活動をしている自治体は20以上有るらしく激戦です。
この日のために誂えた甲冑姿の金子市長の心意気に応えるために、福岡県議会も全力で柳川市の誘致活動を支援する事を中尾議長、藏内自民党県連会長と共にお約束いたしました。
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平成29年予算特別委員会・知事保留質疑「観光協会のDMO化に向けた支援について」「出会い結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。まずは、観光協会のDMO化に向けた支援についてお尋ねします。今回の商工部観光政策課とのやりとりの中で、観光協会のDMO化に向けて支援の道筋を表明していただきました。しかしながら、観光協会が収益を上げるには、腰を据えた継続的な支援が必要と考えますが、知事の決意のほどをお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小川知事。

◯小川知事 県といたしましては、各地域の観光協会がDMOとしての収益を上げ、また地域における観光振興の司令塔としての役割を十分果たしていくことができるよう、県の観光連盟と一体となりまして各地の観光協会のDMO化実現のために継続的な支援に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 観光という視点で未来への質問をしましたけれども、続いて、今そこに横たわってる危機について質問させていただきたいと思います。ただ、その前に、本日の読売新聞に、福岡県は知事の顔写真つきで就職支援事業の全面広告を出されています。まだ来年度の予算も通過していない、事業も確定していない今日、きょう、県の事業について全面広告を出すというのは予算特別委員会をちょっと軽視している感じがしますけれども、予特の審議をどういうふうにお考えですか。

◯小川知事 予算を御提案申し上げ、その内容を説明させていただいて、予算をお認めいただいて、事業を遂行している、それが本来の姿だと思います。今回、全面広告が出ておりますけれども、新規の予算がどこまで入っていたかは、私はちょっと定かに今見ておりません。確認をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、議会での御議論を踏まえて事業をしっかり遂行させていただきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 最高責任者として知事がそこを把握されてないというのはちょっと不思議に思いますけれども、続けます。ふくおか子ども・子育て応援総合プランの予算措置状況について持ち込み資料のお願いをしております。お取り計らいをお願いたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については理事会において確認しております。
 お諮りいたします。板橋委員申し出の資料を配付することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 それでは、ただいまより板橋委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 これは執行部につくっていただいた資料なんですけれども、去年とことしの子ども・子育て応援プランに関する予算の比較と増減でございます。これについて、知事どういうふうに思われますか。

◯小川知事 私自身といたしましては、子ども・子育ての支援は大事な課題だと思っておりまして、一個一個の項目について精査をし、伸ばすべき点は伸ばす、そして全体としての額の確保に努めたつもりでございます。

◯板橋 聡委員 確かに全体として額はふえてるんですけれども、これはほとんど、見ていただければわかりますとおり、子供ができてからの支援なんですね。これはこれで大事だとは思います。しかしながら、少子化という意味では一丁目一番地、小川知事もよく言われております、若者が結婚したい、家庭を持ちたいと思って出会いがあり、結婚するということじゃないかと思っております。この予算では、一丁目一番地に当たる次代の親の育成と結婚応援の推進がばっさり削られておると。これでは、水道の蛇口を閉めてるのに、お水がたまらないと悩んでいるようなもんだと私は思うんですね。
 県はこれまで、若者の出会いの場を提供することを目的に、あかい糸メールとかさまざまな出会いイベントを実施してきています。その成果として、これまで八千六百組のカップルが誕生したと言いますけれども、その先の結婚については、結婚が個人の価値観によるものだからといった理由で、出会い後の成婚に向けた取り組み、その実績については明確な目標もなく、腰が引けているように感じます。本気で少子化問題に向き合うためには、職員はもとより知事自身が出会い後の成婚数について責任を持って取り組んでいくという気概が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯小川知事 確かに御指摘のとおりでございまして、県民意識調査によりますと、結婚する意思を持ちながら若者で結婚されない理由は、適当な相手にめぐり会えないからということが非常に多うございます。このため、成婚数をふやすためには、まず若者たちに出会いの場を提供する、カップリングによる結婚へのきっかけづくりを行うことが最も重要であると考えまして、これまで出会い・結婚応援事業に取り組んでまいりました。
 そのため、まずは出会いの場を提供しよう、また、カップルの成立に主眼を置いた取り組みを進めてきたわけでございますが、今、御指摘ございました、今後はボランティアで若者の結婚を応援していただいております福岡結婚応援サポーターによります、イベント後、出会いの場、これを実施した後のアフターフォロー、そういったことなど、成婚も念頭に入れたフォローアップに力を入れてまいりたいと思っております。また、これに加えまして、来年度は、デートにどう誘えばいいかわからない、会話が続かないといった声も寄せられておりますので、新たにコミュニケーションスキルアップやマナーアップ講座など、交際の発展をサポートするセミナーを開催をいたしまして、カップルとなった方々がより成婚につながっていくよう支援をしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 では、成婚数に関する目標は掲げないということですか。

◯小川知事 結婚というのは個人の価値観に物すごくかかわるところでございます。そのために、成婚数それ自身に関する目標は今掲げておりません。しかしながら、二十七年度に策定をいたしました福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略におきましては、県民の皆さんが理想とするお子さんの数と実際に持つつもりの数の差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制というものを目標に掲げ、施策の展開をさせていただいております。まず、それらの施策、目標の達成に向けて、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

◯板橋 聡委員 人口ビジョン・地方創生総合戦略の二つの目標を先ほど言っていただきました。これは県の少子化対策で行っているさまざまな施策をもって達成を目指す最終の数値目標じゃないか、そして、そのさまざまな施策の中の一端を担うのが出会い・結婚応援事業じゃないかと私は感じております。だとするなら、出会い・結婚応援事業においても、イベントの参加者数とかいう途中経過的な状況に目標を立てるのではなく、成婚数について具体的な数値目標、成果指標を設定すべきじゃないかと思うんです。そうじゃなければ、知事として少子化対策の成果目標に対して腰が引けてるんじゃないかと。実際、このあかい糸めーるというのは、結婚したいなという人が出会いを求めてやるものですから、個人のどうのこうのとは関係ないんじゃないかと思うんですけど、そこら辺に関してはどういうふうに思われますか。

◯小川知事 よく結婚応援宣言、あるいは結婚を応援していただく企業の経営者へのお声かけを私自身もやっておるんですけれども、セクハラとかパワハラと言われることがあるとおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう意味では、個人がどう思われるかということにかかわってくる部分もございますので、行政として成婚数を目標値に設定することにつきましては、私自身は慎重に考えなければならないかなと思っております。一方で、先ほど申し上げました目標。いろいろな施策を糾合した結果、達成されるべき目標でございますが、それを今やらせていただきながら、来年度はフォローアップ、アフターフォローに力を入れてまいりますので、そういった事業の取り組みの進捗状況も踏まえて、どのようなことができるか、成婚を念頭に置いたフォローアップ、その目標についてどういうことができるかを考えていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 でも、結婚応援推進事業の予算が減らされてるんですよね。だから、こんな話になってると。
 続けます。市町村が行う出会い応援事業に対する補助事業について聞きます。地域少子化対策重点交付金は昨年に比べて七千万ぐらい、こんな大きな金額が減少してるわけです。上村子育て支援課長の答弁で、国の採択が厳しくて市町村からの申請が減少したことが原因との説明を受けました。そうであれば、なおのこと県が申請に向けた具体的な助言、指導をすべきじゃないかと思いますけれども、県として、国の予算を取り込んで全力で少子化対策をするという意欲が感じられません。この点についてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 御指摘のとおり、市町村が取り組んでおります地域少子化対策重点交付金でございますけれども、今年度、御提案させていただいています予算は、昨年度、国の採択状況が非常に厳しかったということがありまして、現段階では市町村の要望額を計上させていただけるわけであります。県としましては、この掲げさせていただいております額、この採択に向け、責任を持ってしっかり支援をしていきたいと思っております。
 なお、この交付金でございますけれども、今年度を見ていきますと四回追加募集が行われております。二十九年度は国の予算額が増額されておりますから、追加募集が行われる可能性が高いと考えております。このため、県におきましては、この情報収集に努めながら追加募集に速やかに対応できるように、市町村に対しましてその要望を行うよう、引き続き働きかけを今続けているところでございます。
 今後の採択に向けましては、先進事例についての情報提供、また事業構築への助言を私どもから行わせていただきまして、県としてもしっかりこういった市町村の取り組みを支援し、一つでも多くの交付金の活用が進むよう、懸命に取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 これから頑張るということなんでしょうけど、二十九年度予算を見る限り、がっかりな数字なんですね。市町村は、先ほどの観光DMOの話でも言いましたけど、人も知恵も足りない部分があります。県がしっかり汗をかいて、知恵を出して市町村の支援をすべきだったんじゃないかと指摘をしておきます。
 昨年の予算委員会で、私は、子育てに理解のある子育て応援宣言企業へ働きかけることが結婚応援宣言企業をふやしていくことに有効ではないかと提案して、前部長と前課長に、両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと約束をいただきました。にもかかわらず、そのような取り組みのもと努力しているとは到底思えないような成果、実績になっております。これは一体どういうことでしょうか。

◯小川知事 前部長、前課長が、子育て応援宣言企業と結婚応援宣言企業、この両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと議会でお約束をし、引き継いでいたにもかかわりませず、今、御指摘のあったような結果になりました。非常に遺憾でございますし、申しわけなく思います。私自身は、前から申し上げておりますように、若者の結婚したい、あるいは子供を生み育てたいという御希望をかなえていくことは、県にとって重要な課題だと思っております。引き続き、結婚応援宣言企業の呼びかけ・協力について、子育て応援宣言企業を中心にしっかり働きかけを続けていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 知事の答弁では、昨年、部長がお約束してくれた両課の連携にほとんど触れてないんですね。一つ指摘させていただきますけど、山口新雇用開発課長から聞いた話なのですが、子育て応援宣言企業というのがどこがすごいかと。これは二年に一回更新作業があって、そのたびにきっちりと宣言企業とコンタクトをとる、この仕組みがすばらしいんだと。ということは、昨年一年間で、単純計算すると六千社中の三千社が更新作業を行ってるんですね。その更新作業をしている三千社にはどういうアプローチをしたんだろうかと。三百社ほど訪問はされたと思いますけど、三千社にどうアプローチしたかがすごく気になるんです。これは、新雇用開発課は全く結婚応援宣言企業の開拓の手助けをしていないという理解でよろしいんでしょうか。

◯小川知事 これまでもそれなりの努力はしてきたわけでございます。結果としては出てないという意味では非常に遺憾であります。これからしっかりやりたいと思うわけでございますけれども、子育て応援宣言企業を拡大させてきたという山口新雇用開発課長のところの今までの取り組みとノウハウがございますので、今まで以上にそのノウハウを活用したい、連携を深めたいと。その上で、加えて、県と包括連携協定を結んでおります企業、また、地元企業が多数参加をいただいております就職フェア、説明会をやっておりますが、それに参加をされている企業、また、子育て応援宣言企業で二年間に一回の登録更新時期を迎えている企業、そういった企業に対しまして重点的に結婚応援宣言の働きかけを続けていきたいと思います。また、県や市町村における広報媒体を通じての呼びかけに加えまして、経済団体が持っておられます機関誌、メルマガを活用した情報発信や、それぞれの会合等の機会を使い呼びかけをやらせていただくことによりまして、地域と企業の理解を深めていって、結婚応援宣言企業の拡大に真剣に取り組んでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 微妙に外してあるんですよね。ずばり聞きますよ。六千社が二年に一回更新作業すると、年に一回、三千社ぐらいが更新作業をしに行くのは新雇用開発課ですよね。その三千社に対してアプローチをするというなら、新雇用開発課はしっかりと結婚応援宣言企業をふやすための努力をすると答えていただけるんですね。

◯小川知事 今申し上げましたように、これから重点的に取り組む企業の一つに、登録更新時期を迎えた子育て応援宣言企業ということを申し上げたわけであります。したがいまして、新雇用開発課、彼らが更新時期に一緒になって働きかけをしていくということでございます。

◯板橋 聡委員 しっかりお願いします。
 繰り返しますけれども、出会い・結婚応援事業を含めて、少子化対策については前部長、前課長からしっかりと前向きな答弁をいただいてるにもかかわらず、予算は減っている、新規事業や交付金の獲得の努力も足りてなかった、少子化対策の具体的な数値目標にも、先ほど知事おっしゃいましたけど腰が引けてる。縦割り行政で関連する事業をやってる課の横串連携もとれてなかった。知事、執行部のこの対応を最高責任者としてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 常々、縦割りの弊害を除去したい、少なくしていきたい、連携を強化していきたいと考えておりますけれども、今御指摘のありましたように、今回の事業につきましてはなかなか思うように進展してないところがございました。非常に遺憾に思っております。これから関係課の連携を深め、いろいろな機会を使って呼びかけをし、結婚応援宣言企業の輪を広げていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 知事の遺憾の意はわかりましたけれども、少子化対策は県の将来、地域の活性化のために最も重要な課題です。一年対策がおくれれば十年効果がおくれると言われてるんですね。今回、今の知事のお話でも明らかになりましたけど、執行部の怠慢によって本年一年間おくれてるわけですよ。この出おくれをどう取り戻すか。そのやり方については、人をふやすとか、事業をふやすとか、予算を修正するとか、ことし出おくれた分、来年の予算を倍増させるとか、きっちりリカバリーするために知恵を出し、汗をかくのが執行部の役目だと思っています。
 知事、福岡県の少子化対策の一年間の出おくれをどう取り戻すか、お考えをお聞かせください。

◯小川知事 子ども・子育て支援全体の予算はふやしておりますけれども、事業それ自身においては進捗に差があります。おくれたところはそれを取り戻す。一年のおくれは将来もっと長いおくれになるという御指摘もありました。そこを肝に銘じまして、今、御提案をしております事業に魂を入れていくといいますか、しっかりやっていく。その状況も見ながら、来年度の対策はどう打つかについて、しっかり全庁挙げて、また連携をとりながら知恵を出す、汗をかく、それを基本に、今後の対応を急いでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 今、知事、魂をかけてとおっしゃいましたね。

◯小川知事 魂を入れる。

◯板橋 聡委員 魂を入れて。かけるわけではないですね。わかりました。魂を入れてもいいんですけど、私は、部長と課長から少子化対策頑張ると言われて十二カ月放置されていたんですね。その上、予算も減額された。今回、予特の質問の中で野原議員の質問で明らかになりましたけど、知事は、私が委員長を務めてる総務委員会に答弁に来て、知事の危機管理については万全を期すと私に言っておきながら三カ月放置しているわけですね。二度あることは三度あるのか、それとも三度目の正直なのか。仏の顔は三度までと言いますけども、二度かもしれません。知事が予算特別委員会の答弁を踏まえて、どうこれから少子化対策を頑張っていくのか議会としてしっかりと注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「地域に根付く県立高校づくりについて」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。地域に根づく県立高校づくりについて質問します。
 公共交通機関が充実していないみやま市のような郊外において、基本的に高校生は自転車やバイクで通学をしています。雨が降ったら、小中学生なら傘や雨がっぱでしのぐわけですけれども、高校になると通学区域が広範囲になるため、雨天時などは保護者が生徒を自家用車で県立高校まで一斉に送迎することになります。そのため、周囲の道路で渋滞や違法駐車を引き起こし、近隣住民に迷惑をかけている実態があると耳にしました。県教育委員会として、把握はされていますか。

◯井上忠敏委員長 中島高校教育課長。

◯中島教育庁高校教育課長 学校周辺の道路での渋滞や迷惑駐車でございますけれども、全日制の県立高校に調査をした結果、九十二校中約六割に当たる五十九校で渋滞や迷惑駐車の状況が生じているという回答がございました。

◯板橋 聡委員 最近の保護者の意識からすれば、登下校の安全確保といった観点から、雨天時の自家用車による送迎も時代の流れと感じます。一方、周辺住民にとってみれば、渋滞や迷惑駐車は事故などにつながりかねず、不安の種となっています。施設面で改善を図るなど、何らか対応はできませんか。

◯井上忠敏委員長 平川施設課長。

◯平川教育庁施設課長 自家用車送迎によって生じる問題につきましては、比較的最近になって顕在化した問題であるため、多くの学校では施設上対応ができていないのが現状であります。しかしながら、最近、全面改築等を行った学校では、乗降スペースなどを設けることとした結果、渋滞の緩和につながったところもございます。このようなことから、今後、学校施設の改修の際には、学校の実態も踏まえながら、自家用車送迎にも配慮した施設整備が必要であると考えております。

◯板橋 聡委員 放置すれば学校が迷惑施設になりかねないどころか、不慮の事故などにつながる可能性がある点で、本県の対応には耐震補強工事並みに迅速性が問われると思いますけれども、例えば八年間以内で全ての対応はできますか。

◯平川教育庁施設課長 一斉に整備することはなかなか困難でございますけども、学校の実情を踏まえながら、計画的に迷惑施設となっている実態の解消に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 なぜ八年以内か。先ほど塩川委員の指摘でも、学力向上も目標をつくってから八年たってやっと対策ができ上がったと。生徒、地域の安全安心に資することでございますので、今後とも注視をさせていただきます。
 このような質問に至った理由は、地元に愛される高校でなければ、地域の小中学生があの高校に入りたいと、そのような気持ちにはならないからです。交通網の発達などにより高校選択の幅が広がり、地方の高校は特に生徒募集などで苦労をしている印象を受けます。県立高校が地域と密着した取り組みを充実させ、学校への理解者をふやし、協力を得ながら地方の県立高校ならではの特色ある学校づくりが進めば、おのずとその学校で学びたいという意欲を持った生徒の入学を促進することにつながるはずだと思います。地域との連携において、現在、県立高校でどのようなことが行われ、今後どうしていくつもりかお答えください。

◯中島教育庁高校教育課長 地域との連携でございますけれども、県立高校では教員や生徒たちによる地域の清掃活動、祭りなどへの協力、地域の人材や保護者を活用した授業づくりなど、地域と連携した取り組みが行われております。今後とも、こうした取り組みの充実を図ることが必要であると考えており、地域との連携で成果を上げている取り組み事例の普及や未来を切り拓く人材育成事業などの経費的な支援策を通して、地域と連携した取り組みを一層支援したいと考えております。

◯板橋 聡委員 地域との連携で言えば、何よりも地元の身近な小学校、中学校との連携、そして高校の財産であり応援団とも言うべき地元で活躍する同窓生なども巻き込んだ取り組みを強化すべきと考えます。特に、小中学生が高校生と接したり、活動をともにしたりすることで、自身の高校生活や将来像などをイメージでき、高校生にとっても小中学生との交流の中で自尊感情を高めるような、育めるような活躍の機会を設定できればよいと思うが、課長の見解をお聞かせください。

◯中島教育庁高校教育課長 小中学校への高校からの出前授業、あるいは中高連絡会等による学校間の意見交換等、さらに同窓会と共同での学校行事の実施など、小中学校や同窓会と連携した取り組みを実施し、教育活動の活性化に成果を上げている県立高校は少なくございません。今後、こうしたすぐれた実践について積極的に普及を図りたいと思っております。また、高校生が小中学生の見本となりながらともに活動できるようなスポーツや文化の行事は、双方にとって教育的な意義も大きく、こうした活動に加え、同窓会や地元自治体などと連携した地域行事への積極的な参加についても促進をしてまいりたいと思います。

◯板橋 聡委員 例えば、大川市の中学校では弓道が盛んだそうですが、弓道場がなく、市内の遠方まで練習に通っているそうです。もし市内中心にある県立高校に弓道場があり、弓道場を開放したり、一緒に練習すれば、おのずとその高校への関心や好感度が高まると思います。このような地域と連携したさまざまな活動が人と人とのきずなづくりや地域の魅力づくりにつながり、地方創生の原動力になり得ると考えますが、いかがでしょうか。

◯平川教育庁施設課長 県立学校につきましては、県立学校は地域の中にございます。地域とともに発展していくためには、その地域の特色を生かす取り組みやそのための施設が必要となってまいります。御指摘の大川市につきましては、非常に弓道が盛んということで、しかしながら高校には弓道をする場がないということもございます。今後、老朽化対策も非常に重要な課題ではございますが、学校が元気になるため、地域が元気になるための施設整備についても計画的に進める必要があると考えております。

◯板橋 聡委員 ちゃんと努力はしていただけますか。

◯平川教育庁施設課長 最大限予算獲得に努力してまいります。

◯板橋 聡委員 地方創生に向けた取り組みが国や地方で進められている中、学校が地域の歴史、文化、環境や人材を生かしながら特色ある教育活動を行うことは、学校の魅力向上だけではなく、地域の魅力の向上や人口流出防止にも大いにつながっていくのではないかと考えます。県立高校は地域の財産であり、それぞれ地域の県立高校が発展するか衰退するかは地域の今後にも大きな影響を与えるということ十分認識をいただきたいと思います。
 地方の県立高校が地域に密着した学校づくりを行い、学校の魅力を高め、特に地元の子供が地元の高校に憧れ、進学したくなるような学校づくりに向けた教育長の決意をお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 先ほど御説明いたしましたような未来を切り拓く人材育成事業などを通しまして、各県立学校の地域に密着した教育活動を進めておるわけでございますけれども、県立高校は今後も地域の信頼を受け続ける、あるいは活力を維持し続けるためには、こうした地域の根差した教育活動を継続して支援していく必要があると考えております。
 また、今後におきましては、小中学校や地元で活躍されている同窓生、こういった方々の意見を学校運営に反映させたり、あるいは連携して教育活動を行うなど、地元の子供が地元の高校に進学をしたくなるような学校づくりを推進してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「DMOと観光の終焉について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 本日の観光局の質問の終えんに、私からはDMOと観光の終えんについてというテーマで質問させていただきます。
 執行部の皆さん、熱が入って非常に一生懸命答えられるのはいいんですけれども、ちょっと答弁が長い、わかりにくいところがありますから、なるべく簡潔に、わかりやすい言葉でお願いしたいと思います。
 まず、我が会派の十中大雅議員が、今議会の一般質問においてDMOに関して質問をされました。答弁の内容は、県内市町においては、地域観光振興の中核である観光協会がDMOの役割を担っていくという答えでしたけれども、私も観光協会の現状を知っていますので、全ての観光協会が一足飛びにDMOの役割を果たせるとは思っておりません。
 そこで、地域の観光協会が現在どういう状況にあって、どういう課題があると認識されているのか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 中島観光政策課長。

◯中島観光政策課長 現在、観光協会は四十三市町村の中に三十四設置されております。そのうち二十七、率にしまして八割が職員数三人以下、このような状況で頑張っているところでございます。また、ほとんどの観光協会がプロモーションやイベント中心の事業を実施しておりまして、一年を通じて観光客を呼び込む、そのような取り組みになかなかつながっていかないというのが課題でございます。

◯板橋 聡委員 DMOの役割を担えと言っても、市町村の観光協会には人も足りない、ノウハウもない。だからこそ県がどういう役割を果たすのかが問題です。
 十中議員の一般質問では、県の支援策について、体験型観光資源の開発とか、ほかの先進的な取り組みに対する助成や観光地づくりに関する専門家による助言、指導などを挙げておられましたけれども、どうもいま一つぴんと来ないんですね。助言とか指導をするといっても、どういうふうにするのか。場当たり的にやっていてもなかなか成果が出ないのではないかと思います。もっと具体性のある方針や進め方が必要だと思いますけれども、県の立場における観光協会のDMO化の道筋について、説明をお願いします。

◯中島観光政策課長 県といたしましては、県観光連盟と連携しまして、観光協会の実情に応じた支援をしていきたいと思っております。具体的には、一つには、DMOの重要性を認識してもらうための啓発、そして、もう一つは、県観光連盟によります観光協会の事業計画策定等に対する助言、そして、全国的に有名な観光地づくりの専門家を招きまして観光協会の事業改善の指導を行っていく、あるいは県の助成金を活用して新たな事業展開を支援していく、さらに、官公庁が進めております日本版DMO候補法人、この登録を目指す観光協会への取り組み支援、そして、国の助成金活用に対する助言、このようなことを通じまして、観光協会がDMOとして収益を上げ、また地域に観光消費を生み出す司令塔となれるようにしっかりと支援してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 道筋をお示しいただきましたけれども、DMOのコンセプトもまだまだ浸透していない中、地域観光協会のDMO化には、道筋と同時に道しるべも必要だと思います。明確で具体的な目標を設定して、地域観光協会と県とで共有をして、ベクトルをそろえて進めていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

◯中島観光政策課長 現在、県観光振興に関する基本方針の中で議論を進めているところでございます。今後、専門家を初めいろいろな意見を聞きました上で、DMOに関する目標についても盛り込む方向で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 さらに、一、二年やったからといって、すぐに地域の観光協会でDMO化が達成できるとは私も思っていません。やはり物になるまで継続的な取り組みが必要と考えますけれども、所見をお聞かせください。

◯中島観光政策課長 観光協会のDMO化につきましては、御指摘のとおり、長期的な視点で考える必要があると考えております。各観光協会の事業目標の達成に向けまして、今後の事業の進め方も含めまして、専門家の意見を聞きながら、継続的な支援に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ちょっと視点を変えまして、二〇一七年二月、デンマークのコペンハーゲン市が新しい観光戦略を打ち出しました。その戦略はジ・エンド・オブ・ツーリズム、日本語に訳すと観光の終えんとショッキングなタイトルがつけられて、その内容は、観光地の美しい写真で観光をマーケティングしたり、マスメディアによるPRによって大量の観光客が押し寄せて地域住民に負担になるようではだめですと。観光客を大量に誘客し、大量消費してもらう時代は終わりました。これからは観光客を一時的な住民として捉え、地域のコミュニティーの一員となる、地域も誘客のために背伸びしない観光振興に取り組むという趣旨でした。この観光戦略を、課長、率直にどういうふうに評価されますか。

◯中島観光政策課長 この戦略は、委員の御指摘を受けて初めて知りまして、英語で書かれておりましたので非常に苦労したんですけれども、コペンハーゲンの観光戦略は、地域住民や企業、さらには観光客も一緒に観光をつくり上げていき、住む人の生活の質も向上させていくという、このような考え方でございまして、観光振興に取り組むに当たって非常に重要なテーマを掲げていると考えております。

◯板橋 聡委員 そうですよね。しかしながら、過去の福岡県の観光施策でいうと、よしもと芸人と行くバスツアーなどはエンド・オブ・ツーリズムの中で指摘されている終わりゆく観光の典型例ではないかと。テレビの有名人という飛び道具を使って客寄せしても、一時的には誘客につながっているかもしれませんけれども、持続的なものとはなっていないと感じますけれど、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 このツアーにつきましては、参加者から県内にも魅力的なスポットがあるということを再発見できたというような声がありましたし、県の行いましたアンケートにおきましても、旅行先に福岡県を選んだ理由として、以前来てよかったというような回答がふえてきておりまして、一定の成果があったものと考えております。
 しかしながら、近年の観光客の動向は団体旅行から個人旅行へ、また見物周遊的な観光から体験交流型へと変わってきております。持続的に誘客していくためには、こうした市場ニーズに合った取り組みを進めていく必要がありまして、県の施策も変わっていく必要があるということで、現在、少しずつ見直しを行っているところでございます。
 二十九年度予算では、例えば都市部と農山漁村が近接している強みを生かしたサイクリングやオルレなどのトレッキングと、旅館、農家民泊等を組み合わせた地域の観光協会、商工会など、その分野の専門家とともに協議、検討を進めてまいる考えでおります。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、マスメディアの力に頼って大量誘客しても、一過性で地域は疲弊するだけです。何も残りません。他県でもやっているからとか、テレビで紹介されていたからとか、はやりものに乗っからないで、もっと地域の本質的な魅力を打ち出すべきではないかと思いますけれども、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 県としましては、徹底したマーケティングを行いまして、こうしたデータに裏打ちされた取り組みが必要と考えております。そして、旅行ニーズを捉えた個人に届く情報発信、それから結果の分析、これを次への展開へとつなげていくことが必要だと考えております。このため、個人に届くような県独自の観光情報の発信というものに取り組んでまいる考えでございます。
 また、国内はもとより、海外からのリピーターをふやす必要がありますので、体験したり、交流しながら時間をかけて滞在していただけるような観光資源の開発を地域の皆さんとともに進めたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさにそのようなことをしっかりやってかなければならないんですけれども、先ほど申し上げたコペンハーゲン市の観光戦略は、観光客も住民として、コミュニティーの一員となって、将来的には移り住んでもらおうという大きな話でもあるんですね。これは我が国においても平成二十七年十一月に発表した「日本版DMO」形成・確立に係る手引に、地域住民の自らの地域への誇りと愛着を醸成する住んでよし、訪れてよしの豊かな地域づくりにより、地域住民の地域外への流出を防ぎ、ひいては地域を訪れた観光客の定住の促進につなげていくことも地方創生の実現における観光の重要な役割と、こういうふうに明記してあります。
 本日のDMOに関する質問の最後ですけれども、県としてこのエンド・オブ・ツーリズム的な考え方を生かした福岡県版DMOづくりにじっくりと取り組んでいくべきだと考えますけれども、最後ですから、部長のお考えと決意をあわせてお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から御指摘のありましたエンド・オブ・ツーリズムはコペンハーゲンでございますけれども、ヨーロッパはもともと長期休暇がございますので、日本にそのまま当てはまるかどうかという問題はもちろん若干ありますけれども、体験型観光が今、非常にブームになってきている。その体験といいますのは、その地域にございます歴史や文化、あるいは食や産業、そういった訪問地の日常を体験する、旅行客の方にとっては非日常ですけれども、その地域の方にとっては日常の部分を体験するということでございまして、流行に流されずに観光客のニーズを的確に捉えて持続可能な観光地づくりを進めようとするこういったコペンハーゲンの考え方というのは、県にとっても見習うべき点が大変多いものだと考えてございます。
 県としては、こういった基本的な考え方のもとで、またこういった観光を進めていく上に当たっては、先ほど来、出ております地域の観光協会、こういったとこが、みずから収益を上げ、地域に観光消費を生み出していくための司令塔、つまりDMOとなれるようにしていく必要がございますので、県観光連盟との連携もしっかり強化いたしまして、こういった取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、こういった考え方につきましては、先ほど来御説明申し上げております県の観光振興の基本方針の内容についても、この中で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 突然決意を聞くと、かなりどぎまぎしながらしゃべられていたみたいですけれども、部課長の意気込みは感じるんですよ。しかし、私、一般質問のときの知事の答弁を聞いている限り、部課長を初めとする現場の熱意と何となく温度差を感じるんですね。県全体の観光戦略でございますので、ここはぜひ、先日、福岡アジアコレクションカワイイ大使の女性八人に囲まれて満面の笑みを新聞で披露されておった小川知事に直接聞いていきたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)