平成29年予算特別委員会「出会い・結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 午前中の松下委員の少子化対策についてと質問がかぶってしまいました。重複する部分もあるかと思いますけれども、出会い・結婚応援事業について質問いたします。
 県では、少子化の要因である未婚化、晩婚化に対する取り組みとして、平成十七年度から出会い・結婚応援事業を行っております。私も、議会や委員会の中で再三にわたり、少子化対策の一丁目一番地は、若者が結婚して家族づくりのスタートラインに立つことと指摘をしております。その出会い・結婚応援事業の中でも出会いイベントの成否の鍵を握る「あかい糸めーる」、こちらの利用状況はどうなっていますか。

◯井上忠敏委員長 上村子育て支援課長。

◯上村子育て支援課長 「あかい糸めーる」は平成二十年度から運用を開始しております。初年度のメルマガ会員数は千百二十人でございました。これを市町村にも広報紙等で呼びかけていただきまして、平成二十七年度末で五千五百七十九人となっております。また、利用を促進するため、本年度スマートフォンへの対応及び希望する配信時間、対象年齢等の設定が行えるようにしております。システム改修を行いまして、利便性の向上を図ったところでございます。さらに、県境を越えた出会いを応援するために、福岡県が中心となりまして、二十八年九月から九州、山口各県共同の使用を開始しております。

◯井上忠敏委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔、簡明にお願いします。

◯板橋 聡委員 きょうは質問数が多いですから、利用状況を聞いただけなので。
 メルマガ会員数は二十年から増えていると。しかしながら、携帯をかえたり、メールアドレスを変更して、同一人物が二重に登録している、あるいは今現在使用されていないメールアドレスも含まれていると想像しますけれども、アクティブユーザー数をきちんと把握しておりますか。

◯上村子育て支援課長 この事業は委託をしておりまして、委託されている事務局のほうで把握はしております。

◯板橋 聡委員 では、課長のほうでは把握していないと。事業の正確な分析はできていないと思います。
 一方で、事業効果を高めるための取り組みはどうなっていますか。

◯上村子育て支援課長 先ほど言いましたように、スマートフォンへの対応等、そういうものの改修によりまして利便性を高めたところでございます。

◯板橋 聡委員 利用促進の取り組みを聞いたのではなくて、事業効果のことを問うたんですね。課長、この事業の目的とは一体何なんですか。

◯上村子育て支援課長 出会い応援イベントを広く発信することでございます。

◯板橋 聡委員 違います。出会いを提供し、若者が家族をつくり、スタートラインに立つことが最終目的ではないのでしょうか。事業目的の把握が曖昧で事業効果を高めるのは難しいと思いますけれども、進みます。
 その観点から見れば、カップル成立組数と成婚報告数の割合が著しく低い。婚活イベントで、平成十七年度から累計で八千六百五組。婚活イベントですよ。みんな、結婚するために相手を探したいと、そういうところのイベントで八千六百五組カップルが成立しているのに、成婚報告数は三百七十八組、約四%、これは成婚数を高める努力とかしておるのでしょうか。過去の追跡調査とか、カップルが成立した方たちへ背中を押すような、もう一手間入れるような目的達成のための分析や努力をされておりますか。

◯上村子育て支援課長 委員御指摘のように、今まで八千六百組のカップルは成立しております。それに比べまして、結婚の御報告をいただいたのが三百七十八組でございます。この結婚の報告につきましては、任意で報告をしていただくようにしております。そういうことから、これが全ての数ではないと思っております。
 それから、フォローについては、相談窓口を設置しておりまして、そこでカップリング後の悩みであるとか、そういうことの相談を受けております。

◯板橋 聡委員 これは聞く限り、ここでもちょっと事業の現状分析とか努力が若干足りないのではないかと思います。
 ここで、出会い・結婚応援事業を含む子育て応援社会づくり推進費の資料を要求しておりますので、お取り計らいのほどよろしくお願いします。

◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯上村子育て支援課長 直ちに提出いたします。

◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕

◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 資料の説明を簡潔にお願いします。

◯上村子育て支援課長 この資料は、県の出会い・結婚応援に係る施策の予算事項であります子育て応援社会づくり推進費の、事業ごとの予算を記載したものでございます。予算額欄ですけれども、1)として二十八年度の予算額を記載しております。これには経済対策としまして二十七年度二月補正予算を組んでおりますけども、それを繰り越した分も含んでおります。2)に二十九年度の当初予算の額を記載しております。右のほうに主な増減理由を記載しております。
 以上です。

◯板橋 聡委員 平成二十九年度の子育て応援社会づくり推進費は一億七千七百万円となっており、補正分を含めた平成二十八年度予算と比較し、約八千二百万円の大幅減となっております。出会い・結婚応援事業の減額理由が右側に書いてありまして、出会い・結婚応援宣言大会が終わった、結婚・子育て動画配信事業が終了した、だから予算が減ったというのはわかりますけど、事業が一段落しようが、福岡県の命運を左右する少子化対策という大きな目標がある以上、新たに事業を投入するなど継続的な予算獲得の努力があってしかるべきではないですか。塩川財政課長の査定は厳しいかもしれませんが、頑張らないと。
 また、予算減の最大の要因である地域少子化対策重点推進交付金の落ち込みの理由は何かお答えください。

◯上村子育て支援課長 先ほど委員が申されました交付金の減でございますけども、国の採択条件のほうが非常に厳しくございます。国の審査で不採択となる可能性が非常に高いということで、交付金を活用し事業に取り組むという市町村が減ったためでございます。この減が非常に大きいところでございます。県としましては、国の採択の方針等に沿って、企業、団体、学校など地域における多様な主体の参画、そういうものが求められておりますので、県の企業を取り込んだ事業の内容等について市町村に積極的に情報提供しまして、国の追加採択に向けた申請を引き続き働きかけてまいります。

◯板橋 聡委員 国からの交付金である地域少子化対策重点推進交付金の減少理由について、国の採択条件が厳しいとか、それを理由に、市町村がこの交付金を利用して少子化対策事業に取り組もうとしなかったとか、まるで国と市町村に問題があったかのような話ですけど、こういうときに県はしっかり知恵出して、汗かいて、市町村の申請が採択されるよう努力するのが役割と理解していますよ。農林水産部なんか必死にやっていますよ、これは。本県については、県の役割が特にことしの最初の採択についてはほとんど機能していないように感じますが、どうですか、課長。

◯上村子育て支援課長 委員おっしゃるとおり、相当の減になっております。これは非常に厳しいものですが、追加の採択がございます。この追加の採択に向けて、県としましても最大限努力をしてまいります。

◯板橋 聡委員 しかし、問われるのは結果ですから。地域少子化対策重点推進交付金事業の予算は半減した、これが結果ですね。
 さらに指摘しておきたいのは、平成二十八年度の地域少子化対策重点推進交付金ですけれども、この資料には予算額一億五千七百万と書いてありますが、採択額というのが結局は七千万円ぐらいしかないと、事業採択されていなかったと聞いております。残りの九千万円というのはどこに消えたのですか。

◯上村子育て支援課長 これは補正予算で繰り越しており、減額等できませんので、そのまま残として残っております。

◯板橋 聡委員 そうすると、平成二十八年度のこの予算額で書いていますけど、この数字自体意味をなさない。そんな数字をもとに議論とかできませんね。
 私は、ちょうど一年前の予算特別委員会で、企業をもっと出会い・結婚応援事業に巻き込んで、社会全体として結婚を応援する機運を高めるように要請して、当時の野田子育て支援課長から、まずは子育て応援宣言企業のトップに働きかけて、結婚応援宣言をしていただけるよう取り組んでまいると力強いお言葉をいただきました。今まで出会い応援団体に参加していなかった子育て応援宣言企業の中から、新たに結婚応援宣言をしてくれた企業は何社ですか。

◯上村子育て支援課長 何社かということはちょっと正確には今、手元にありません。

◯板橋 聡委員 本当に知りませんか。

◯上村子育て支援課長 私が現在把握しておるのでは三企業でございます。三企業、三社です。

◯板橋 聡委員 平成二十八年十二月末、子育て応援宣言企業は何社ありますか。

◯上村子育て支援課長 五百五十六でございます。

◯板橋 聡委員 間違っています。子育て応援宣言企業です。

◯上村子育て支援課長 六千三社でございます。

◯板橋 聡委員 微妙に間違っています。六千二社。六千二社のうち、一年間でたった三社、パーセンテージにすると〇・〇五%。昨年、私、予算特別委員会で質問をしたと申しましたけど、そのとき高橋前福祉労働部長は私の問いかけにこうおっしゃられました。幸いなことに、子育て応援宣言企業を所管する新雇用開発課と結婚応援事業を実施する子育て支援課は、いずれも福祉労働部で所管しており、まずは仕事と家庭の両立支援に理解のある子育て宣言企業に働きかける、さらに両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう、福祉労働部長として責任持って対応してまいる、こうおっしゃられました。
 高橋前部長は退職し、野田前課長は昇進し、この場にはいません。あれだけ前向きで力強い答弁にもかかわらず、一年かけて六千二社中三社しか新たに結婚応援に協力してくれなかった。子育て支援課の不作為か、新雇用開発課が非協力的だったのか、福祉労働部長がちゃんと対応しなかったのか、結果責任はこの三者のどこにあるのか。唯一、去年とことし続けてこの答弁の場にいる山口課長、三択で答えてください。

◯井上忠敏委員長 山口新雇用開発課長。

◯山口新雇用開発課長 私、子育て応援宣言を所管しておりますけれども、昨年、予算特別委員会で委員のほうから御指摘いただきまして、私どもで子育て応援宣言に対してメールマガジンを配信しております。その企業に対する結婚応援宣言のお知らせ、それから二月一日に六千社大会を開催させていただきまして、その際にも結婚応援宣言についてのパネルの掲示などをさせていただいたところでございます。

◯板橋 聡委員 答えてください。

◯山口新雇用開発課長 お答えが十分でなくて申しわけございません。先ほど申し上げましたように、福祉労働部として同じ結婚応援宣言、それから子育て応援宣言、同じ部内でやっておりますので、双方で情報交換をしながら、私どもとしましては、先ほどを申し上げたような連携をしているところです。結婚応援宣言大会におきましても、子育て応援宣言の情報提供ということで、双方で連携して行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 答えていませんよね。
 両課長の答弁からわかったことは、事業の正確な現状分析ができていない。事業目的をきちんと把握していない。国や市町村に責任転嫁して、新たな予算獲得や交付金獲得のための県として適切な努力もしていない。さらに、その予算も一体どこまでが子育て応援社会づくり推進に関連しているかわからない数字が載って、そしてとどめに、部長と課長が責任持ってやる、頑張ると答弁したにもかかわらず、一年間ほとんど全く成果を出してない。これは議会に対する背信行為ですよ。執行部がこんな状態で、議会は一体どうやって、何を頼りに予算特別委員会にふさわしい少子化対策の質疑を行えばよいのか、県民の負託に応えればよいのか、部長、謝罪や言いわけは不要ですから、的確にお答えください。

◯井上忠敏委員長 小山福祉労働部長。

◯小山福祉労働部長 昨年の予算特別委員会で、今、委員御指摘があったような発言を前部長がしたことを私もきちんと把握しておりますし、引き継ぎを受けております。そのような中で、結果としてまだ子育て応援宣言企業から十分、結婚応援団体が出てきていないということは、私どもの努力不足であると認識をいたしております。

◯板橋 聡委員 質問に答えていないんです。朝、松下委員の少子化対策の質問でも随分、やりますよと頑張っていましたね。今、言いましたようなこと、もう一回言いましょうか。一年間ほとんど成果出していない、議会に対する背信行為だと。執行部がこんな状態で、議会は一体何を信用して、何を頼りに予算特別委員会で少子化対策の話をすればいいんですか。謝罪とか言いわけは要らないですから、答えてください。

◯小山福祉労働部長 平成二十九年度当初予算に新たに子育て応援、出会い・結婚応援事業に関する予算を計上させていただいております。この予算を御審議いただいて議決をいただいて、二十九年度しっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、ぜひとも御審議を賜りたいと思っております。
     〔発言する者がある〕

◯井上忠敏委員長 理事の方は委員長席のところにお集まり願います。委員各位はそのままお待ち願います。
     〔理事集合〕
     〔理事協議〕

◯井上忠敏委員長 議事の都合により、この際、しばらく休憩します。再開は放送をもってお知らせいたします。
   午 後 三 時 二 十 一 分 休 憩
   午 後 六 時 四 十 分 再 開

◯井上忠敏委員長 ただいまから委員会を再開いたします。
 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いいたします。
 休憩前に引き続き、議事を進めます。

◯小山福祉労働部長 私どもの不適切な答弁によりまして、委員会に多大な御迷惑をおかけいたしましたことをまずもっておわび申し上げます。申しわけございませんでした。
 県の将来にとりまして極めて重要な少子化問題の取り組みといたしまして今年度からスタートさせました結婚応援宣言企業の取り組みに対しましては、一年前のこの予算特別委員会におきまして、委員から、結婚応援宣言企業をふやしていくためには子育て応援宣言企業が力強い応援団になっていただける可能性が強いとの御指摘をいただき、それに対し、前部長、前課長が同様の認識のもと、同事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと、この委員会の場でお約束したにもかかわらず、そういう結果になっていないということは、議会との信頼関係を損なうことであり、心からおわび申し上げます。
 人がかわりましょうと、所管がかわりましょうと、お約束したことにつきましては、今後このようなことがないよう、信頼関係を損なうことのないよう、しっかりと取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 謝罪の文言はよろしいかと思います。
 しかしながら、同じように一年前の予算特別委員会のときに部長から非常に力強いお言葉をいただいて、一年間ほたっておかれたわけです、私は。そういう意味では、小山部長とまだちゃんとした信頼関係が私はございません。ぜひこれは知事に直接質問させていただきたく、知事保留のお取り計らいをお願いします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成29年2月議会「九州オルレを活用した広域地域振興について」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨
一、九州オルレの広域地域振興への活用について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。
 けさは、県下各地で雪がちらつくなど冷え込みましたけれども、熱のこもった質疑で、議場を暖めたいと思いますので、皆さん、よろしくお願いいたします。
 早速、九州オルレを活用した広域地域振興について質問をいたします。オルレは、韓国済州島の言葉で、もともとは家に帰る細い道を意味しますが、そこから社団法人済州オルレがコース認定をしたトレッキングコースの総称として済州オルレの呼び名がつきました。二〇〇七年九月にスタートした済州オルレは、韓国のトレッキング愛好者の間でブームとなり、今では年間約二百万人が済州島を訪れる体験型観光の成功事例となっています。オルレの魅力は、子供から高齢者まで歩くことを楽しめる高低差の少ないトレッキングであり、自分なりのペースでゆっくりと歩きながら、その地域でしか見られない景色、経験できないものを楽しめるところであります。社団法人済州オルレ理事長のソ・ミュンスクさんは、オルレは、物語性のあるスローな旅の魅力を伝え観光のパラダイムを変えました、有名な観光地でなくてもチャンスが生まれますと、その観光資源としてのポテンシャルを語っていらっしゃいます。
 九州では、全国に先駆け、九州観光推進機構、県、地元自治体が連携して九州オルレをスタート、その結果、二〇一二年に第一次コースが認定され、ことし二月の第六次認定で、私の地元みやま市と鹿児島県出水市のコースが追加、全十九コースとなりました。みやま・清水山コースと名づけられたコースは、国指定文化財女山神籠石など古代の魅力と、清水寺三重塔や五百羅漢など歴史文化を楽しむことができ、済州オルレ関係者の皆さんからも絶賛していただいております。
 県内では、世界遺産候補である「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の中にあり、山と海の自然を楽しめる宗像・大島コース、広大な茶畑や岩戸山古墳など筑紫君一族の古墳をめぐる八女コース、高良大社と周辺の竹林や筑紫平野の絶景を楽しむ久留米・高良山コースの三コースが存在していましたが、今回みやま・清水山コースの認定により、本県は九州最多の四コースを抱えるオルレ先進県となりました。今注目を集めているオルレを軸として、観光振興はもとより、広域の地域活性化を県としても目指すべきと考え、以下四点を質問いたします。
 人口約五十五万人の済州島は、オルレによって年間二百万人を韓国本土から呼び込むことに成功しております。九州オルレを福岡県として最大限活用するには、この本場韓国のオルレファンをどれだけ取り込めるかが第一歩となります。
 そこで知事に質問です。現在九州には年間約百四十万人の韓国人観光客が訪れていますが、そのうち九州オルレに訪れた方はどれぐらいいらっしゃいますか。また、どのようにして九州オルレに訪れる韓国からの観光客をふやしていくのか、知事の所見をお聞かせください。
 全国にハイキングやトレッキングコースはあまた存在しますが、オルレに認定されることで露出がふえ、コースのイメージも湧きやすく、初心者でもちょっとやってみようかと気軽に参加できるのがメリットの一つだと考えます。日本は山国であり、数年前には山ガールが流行語大賞にノミネートされるなど、山登りは身近なレジャーです。レジャー白書によると、一年に一回以上登山、トレッキング、ハイキングを行う人は年間八百万人前後で推移をしております。一方で、九州オルレに参加した日本人は、二〇一二年から累計で約八万人と言われておりますが、この数はコース内に取りつけられたセンサーで自動計測をしているらしく、ひょっとすると八女コースあたりはイノシシの往来でセンサーを誤作動させているのではないかと危惧いたしますが、まだまだ伸び代がある市場であることは間違いなく、オルレの魅力を日本国内でもしっかりと伝え、国内観光客の誘客につなげるべきと考えます。
 そこで知事に質問です。面積の七〇%以上を山や丘陵地が占める山国日本において、既存の登山、トレッキング愛好家をオルレに向かわせるような仕掛けをするとか、興味はあっても山登りに触れるきっかけがなかったビギナーを開拓するなど、韓国のみならず日本国内の誘客を加速させることで、九州オルレの価値はより一層向上すると考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 二月十八日にオープンしたみやま・清水山コース、初日には社団法人済州オルレ理事長や韓国のテレビ、新聞等メディアや旅行代理店関係者、そして多くの韓国のオルレファンが訪れ、ボランティアが用意した五百杯のぜんざいはあっという間に完売するほどの盛況だったそうです。しかし、記念式典の御挨拶の中で、九州観光推進機構の高橋専務理事は、オルレはコース認定されてからが本当に大変なんです、コースを美しくメンテナンスし続けるには地元の皆さんの理解と多大な努力が必要になりますとくぎを刺されました。
 そこで知事に質問です。オルレはコース認定されて終わりではなく、認定後にいかにコースの魅力を守り高めていくかが問われています。直接的には地元自治体や観光協会などがかかわるわけですけれども、県としてどのようなサポートができるのか、知事の所見を御披瀝ください。
 今回みやま・清水山コースがオープンされ、筑後地域では久留米、八女とともに、それぞれ特徴のある三コースが楽しめることになりました。本家済州オルレでは、宿泊滞在型で複数のコースを楽しむ、そういうスタイルが定着しており、福岡においてもオルレに訪れて、帰りに筑後広域公園の恋ぼたる温泉館で汗を流して、柳川のウナギを食べるとか、あるいはその逆に、大牟田の世界遺産を観光して、大川のエツに舌鼓を打って、翌日はオルレを楽しむなど、地域の魅力に厚みが増し、周遊ルートの幅が広がるのではと期待が膨らみます。これはまさに、知事が観光戦略として常々語られている、福岡でもう一カ所、もう一食、もう一泊の、いわゆるワンモア福岡の実現であります。
 そこで知事に質問です。三つのオルレコースを擁する県南地域にて、オルレを活用することで周辺観光地も巻き込んだ新しい広域の観光振興を目指しませんか。知事の所見をお伺いいたします。
 以上、知事の真摯で前向きな答弁を期待して質問を終わります。(拍手)

◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、九州オルレを活用した韓国からの誘客でございます。九州オルレの誘客につきましては、本県を初め九州各県、地元市町村、そして九州観光推進機構が連携をいたしまして取り組んでいるところでございます。現在、韓国からの誘客を図っていくため、韓国のマスコミ、それからブロガーなどをオルレコースに招請をいたしまして、現地メディアやSNSで情報発信をするなど、韓国の皆様に対し積極的にPRを行っているところでございます。また、韓国旅行会社との商談会や説明会におきましても、九州オルレを組み込んだ旅行商品の企画というものを働きかけているところでございます。こうした取り組みの結果、九州オルレを訪れられた韓国人の観光客は、平成二十四年、四コーススタートしたわけでございますが、一万七千人でございました。それが平成二十七年度、これは十七コースのときですが、約六万人と、着実に伸びてきておりますけれども、その割合は、九州を訪れられた韓国人の観光客の五%程度でございますことから、一層の増加というものが期待されるところでございます。今後、個人旅行者に九州オルレの魅力を知っていただくために、例えば、オルレ参加者にインスタグラムでオルレ写真を投稿していただくなど、新たなプロモーションにも取り組んでいきたいと考えております。
 また、九州オルレを活用した国内からの誘客でございます。現在九州各県、地元市町村、そして九州観光推進機構におきましては、国内からの誘客も図っていくために、九州オルレフェアやオルレセミナーを開催をするとともに、各コースの魅力やアクセス方法などを紹介いたします小冊子を観光案内所などで配布するなど、積極的に国内向けのPRも行っております。今後は、新たにトレッキングやウオーキングの団体を通じ、九州オルレをPRをしてまいります。また、登山用品店やスポーツ用品店に対しまして、店舗における情報の発信、またオルレイベントへの協力についても働きかけるなど、国内観光客の一層の誘客に努めてまいります。
 次に、認定後のコース整備を含めた魅力の向上のための取り組みについてお尋ねがございました。現在、県におきましては、県の観光連盟とともに、年に数回、県内のコースの整備状況を確認をいたしまして、当該市町村に対しまして標識の設置、コースの草刈り、ごみ拾いを行うことを助言するなど、市町村と連携をいたしまして認定後のコースの整備にも努めているところでございます。加えて、今後コース周辺の飲食店、土産店に対しまして、一般的なメニューの多言語表記の一覧表を御提供し、その多言語表記が進むよう支援をしてまいります。さらに、県、県観光連盟、県内コース所在地の市町村で構成をしております地域連絡会におきまして、各地のすぐれたおもてなしについて、その情報を共有するなど、各コースの魅力の一層の向上に取り組んでまいります。
 次に、九州オルレを活用した筑後地域の広域連携による観光振興についてでございます。韓国では、議員も御指摘になりましたが、済州オルレの複数のコースを、宿泊し数日間かけて楽しむ観光客が多いことから、八女、久留米・高良山、みやま・清水山の三コースを有しております筑後地域におきまして、そうした宿泊滞在型の観光客を取り込んでいくことが期待されます。また、筑後地域には吉井や八女福島の町並みなどの歴史、柳川のウナギや大川のエツなどの食、ホークスベースボールパークなどのスポーツ施設、外国人に大人気でございます観光農園、宮原坑跡を初めとする明治日本の産業革命遺産など、さまざまな観光資源がございます。県といたしましては、筑後地域の各市町村と連携をいたしまして、三つのオルレコースやその周辺の観光資源というものをつないでいき、国内外で開催される旅行博、あるいは旅行会社との商談会におきまして、この宿泊滞在型の観光ルートとして一体的にPRをしてまいります。さらに、県内観光施設の周遊を促すふくおかよかとこパスポート事業の対象に、来年度から新たに、この九州オルレを組み込むことによりまして、一層の誘客につなげていきたいと、このように考えております。

平成28年決算特別委員会 総括質疑「気候変動への対応について」

◯板橋 聡委員 私の地元みやま市を含む県南地域は、肥沃な筑後平野に広がる農業地帯であり、農業こそが地域の強みを生かす基幹産業です。県においても、地域農業の振興を重点的な課題として捉え、園芸の振興や新たな担い手の育成に力を注いでいるところでもあります。農業生産は、自然の恵みにもたらされていることは申すまでもないことですけれども、適地適作という言葉があるように、長い歴史の中で、その地域の気候、風土に合った作物が選定され、創意工夫のある農業が営まれています。
 一方、農業生産は自然との闘いでもあります。平成二十四年七月、九州北部を豪雨が襲い、矢部川や沖端川が決壊し、甚大な被害が発生しました。ことしを振り返っても、年明け早々には記録的な低温と大雪、梅雨明け以降は真夏日や熱帯夜が続き、全国的には大型台風や集中豪雨による被害が相次ぎました。また、局地的な竜巻が発生し、本県においても大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。このような気候変動と農業被害について、近年過去の経験則が当てはまらないような例がふえているだけに、農家の方々の大きな不安材料となっているようです。今回は、この異常とも言える気候変動への対応について質問いたします。
 まず、夏の高温についてであります。私の地元に近い大牟田市の観測地点のデータを見ますと、ことしの八月の平均気温は二十八・九度、観測史上一位、さらに、ことしは三十五度を超える猛暑日が二十三日、三十度以上の真夏日は八十六日と、数字の上からも記録的な暑さであったことがうかがえます。
 そこで、高温が影響する代表的な作物として水稲や果樹を聞き及びますが、具体的にどのような影響があるのかお答えください。

◯井上忠敏委員長 坂井農林水産政策課長。

◯坂井農林水産政策課長 お答えします。
 水稲では、米の中心部が白い、未熟な米の発生、果樹ではブドウの着色不良、温州みかんでは果皮と果肉が離れる浮き皮や日焼け果などが発生いたします。

◯板橋 聡委員 それでは、この高温に対応するために県はどのようなことを行っているのか、まず水稲についてお答えください。

◯坂井農林水産政策課長 県では、元気つくしや実りつくしといった高温に強い品種を開発するとともに、現地への普及を進めております。また、田植え時期をおくらせたり、穂が出る前の追肥料をふやす肥培管理や、穂が出た後に水を切らさない水管理といった栽培管理の指導も行っております。

◯板橋 聡委員 では一方、果樹ではどのような取り組みを行っているのかお答えください。

◯井上忠敏委員長 鐘江園芸振興課長。

◯鐘江園芸振興課長 県では、普及指導センターの指導のもとに、温州みかんの浮き皮の原因となります果皮の肥大を防ぐために生育調整剤を使いまして、その浮き皮を軽減する技術、また、ブドウにおきましては果実の着色をよくするために、幹の表面の樹皮の一部を切り取ることによりまして、果実への養分の移行を促す技術の導入などを進めているところでございます。

◯板橋 聡委員 県が高温にも耐える新たな品種の開発、また、高温による障害を軽減するための栽培技術対策を進めていることはわかりました。
 さらに、先を見越した対応も必要ではないかと思っております。それは、高温というより温暖化への積極的な対応についてであります。県内における気温データを見ますと、一九八〇年代、およそ三十年前と比べ、平均気温は一度を超える上昇となっているようです。平均気温が一度高くなるというのは、地点で申しますと宮崎や鹿児島あたりの気温に当てはまると考えられます。
 冒頭にも申し上げましたように、農業生産には適地適作といった地域に合った作物を選択することが重要と考えます。気象庁が各地域の気象の将来予測をしていますが、これによると、百年後の本県の平均気温は今よりさらに三度近く上昇すると見込んでいます。このように今後とも温暖化が進むとなれば、農業場面においても、これまで南方の温暖な地域で栽培されてきた、例えばマンゴーやドラゴンフルーツといった亜熱帯果樹も将来的には本県の新たな品目として期待できるのではないかと思うところです。これらの作物は、既に宮崎県を初め本県でもわずかに生産されているものの、現時点では輸入品が中心であるようです。しかし、温暖化の進行を逆手にとり、安全・安心で高品質な国産品として販売されれば、消費者の方々にも十分に受け入れられるのではないか、そういった備えを始めてもいいのではないかと考えるところです。
 そこで、これまでこのような亜熱帯果樹について何らかの取り組みがなされているのか、お答えください。

◯鐘江園芸振興課長 亜熱帯果樹は低温に弱く、そして、夏場も風雨を避ける必要がありますため、台風にも耐えるハウスを用いて十分な温度を保った加温栽培が必要となります。例えばマンゴーでは、冬場の管理温度を最低八度、花がつきます二月以降は最低二十度程度を確保する必要ございます。このため、宮崎県を初めとした温暖な地域と比較しまして、本県は暖房経費などのコストがより多くかかりますことから、これまで積極的に推進したことはございません。

◯板橋 聡委員 これまでは確かにそうかもしれません。亜熱帯果樹の栽培では非常に暖房費が問題になるのはよくわかりますけれども、少なくとも試験研究くらいはしておく必要があるのではと考えますが、いかがでしょうか。

◯坂井農林水産政策課長 国は、昨年度策定いたしました気候変動の影響への適応計画において、今後温暖化の進展により、マンゴーやアボカドなどの亜熱帯果樹の施設栽培が可能となる地域が拡大することが予想されることから、これらの果樹の導入実証に取り組むこととしております。
 具体的には、本年度から国が中心となり、千葉県などで、南西諸島での栽培が中心であったパッションフルーツ、ほとんど栽培が行われていなかったアボカドについて、関東以西でもハウス施設の導入により栽培が可能となる技術の開発に取り組んでおります。このように、国において亜熱帯果樹の試験研究が始まったことから、本県でもその情報を収集し、農家が活用できる技術情報の提供に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 もちろん情報の収集は進めてもらわなければならないと考えますけれども、そうした先進的な技術を活用することによって、実際に生産を開始するような意欲ある農家が出てきた場合、ハウス施設の導入に対する支援は受けられるのでしょうか。

◯鐘江園芸振興課長 ハウス施設などの整備を支援いたします高収益型園芸事業は、市町村が地域で重点的に振興する作物と位置づけた品目を対象としておりまして、例えばマンゴーを事業の支援対象とする場合、マンゴーがその地域の振興作物とされている必要ございます。また、事業の採択に当たりましては、生産技術や販売方法、経営の計画が成立するかどうかなどの審査を行うこととなります。

◯板橋 聡委員 なかなか今、こういった亜熱帯果樹の場合は非常に支援が受けにくいという答えだと思いますけれども、例えば、アボカドなんかは高齢の方でも取り組みやすいというお話があるそうです。そして、目新しい果樹、パッションフルーツのようなものは、新たに若者が就農したいという動機づけにもなるのではないか、そういった担い手育成にもつながる可能性が大いにあると思います。このような取り組みは地域の将来を見越して、少々のリスクは承知の上で前向きに進もうとする意欲ある取り組みだと私は評価しております。県としてもしっかりサポートしていただくよう強く要望いたします。
 次に、台風対策についてです。近年最大瞬間風速が五十メートルを超えるような勢力の強い台風が目立ちます。そうした台風に対しても備えあれば憂いなしであります。特にハウス施設については、近年経営を強化するために周年的な生産、つまり台風シーズンにもハウスでの栽培を行うケースがふえているようであり、台風にも耐え得る強度を持ったハウスを導入したいとの現場ニーズが拡大しております。
 そうした動きを背景に、私は本年三月の予算特別委員会で、産地の競争力を強化するため、政府が創設した産地パワーアップ事業の積極的な活用をただしましたが、高収益型園芸事業とあわせて実施することで、多くの農家の意欲ある取り組みに応えていく旨の答弁をいただいたところであります。この事業で生産されるハウスは、風速五十メートルにも耐える強度の高いハウスであり、建設コストもそれに比例するかのように割高になると聞き及んでおります。
 そこで、実際に本年度の産地パワーアップ事業で整備するハウス施設の要望はどうだったのか、また、その要望に対応できているのか伺います。

◯鐘江園芸振興課長 御指摘いただきましたように、近年県内ではコマツナ、それからミズナ、こういった葉物野菜を初め、トマトや菊の産地におきまして、周年的な生産、そして雇用の導入による規模拡大が進められております。本年度の産地パワーアップ事業で整備いたします台風に耐えるハウス施設の要望は、そうした産地から約十七ヘクタールとなりましたが、この全ての要望に対応しているところでございます。

◯板橋 聡委員 台風対策については今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 冒頭指摘しましたとおり、最近の気候は、夏場の高温、冬場の低温を初め、集中豪雨、台風、竜巻などなど極端な現象に遭うことが珍しくなくなってきており、そこに生活する人にとっても農作物、あるいは家畜に、いろんな備えが欠かせなくなってきております。そういった備えの中、本日指摘させていただいたとおり、将来を見越して亜熱帯果樹のような新たな作物を導入していく、そのような新たな取り組みを開始することにより、若者を初め新たな農業に興味を持つ人、就農しようする人も出てくるかもしれません。気候変動のスピードにまさる、迅速かつ柔軟な対応が必要と思うところでもあります。
 最後に、農林水産部長より、近年の気候変動に対応した農業施策について、考えをお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小寺農林水産部長。

◯小寺農林水産部長 気候変動につきましては、委員御指摘のように、たび重なる集中豪雨、それから勢力の強い台風、異常な高温など、農家の方々にとりましては大きな不安材料となっております。県としましては、この不安材料に対して一つ一つ丁寧に対応していくことによって、農家の方が意欲を持って営農が継続できるようにしたいと考えております。
 そのために、先ほどから課長が申し上げてきましたように、温暖化に対応した品種の開発や技術指導、それから、台風にも耐え得るようなハウスの整備、そういうものに取り組んでいるところでございます。
 今後とも、今委員からもお話がありました新たな取り組み、新たな品目を導入しようとするなどの意欲ある農家の方々の声、現場の声、そういうものに耳を傾けまして、引き続ききめ細かな情報提供、技術指導を通じまして、気候変動と現場の動きに対応できるように、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 前のめりぐらいの気持ちで取り組んでいただいて、県の新たな農業の可能性をぜひ発掘していただきたいと思います。
 さて、今気候変動に関してるる質問させていただきましたけれども、気候変動問題に関する環境部のかかわりとは一体何でしょうか。

◯井上忠敏委員長 佐竹環境保全課長。

◯佐竹環境保全課長 今まで委員御指摘がありましたように、本県におきましても、気温の上昇、それから猛暑日の増加、集中豪雨や台風によります被害があらわれておりまして、具体的には高温による農作物の品質低下、それから四年前の九州北部豪雨に見られます大雨による中小河川の増水、氾濫、耕地の流出、埋没、それから、今年五月から九月までの間に二千人を超える熱中症の救急搬送など、地球温暖化が原因と考えられます気候変動の影響が既に顕在化している状況でございます。
 これらに対応するためには、農業の分野では、高温条件下での水稲、果実、これらの品質・栽培技術の開発、自然災害の分野では、土砂災害の防止のための防災施設、それから水害防止の堤防等の整備やハザードマップの見直し、それから健康の分野では、県民、特に熱中症弱者と言われます高齢者、子供に対する熱中症予防の普及啓発など、これらの対策の検討が必要になっている状況であります。このような地球温暖化によります気候変動の影響は、県民生活や経済活動に大きな影響を及ぼすことから、地球温暖化対策は最も重要な環境問題の一つであると考えております。
 このため、地球温暖化対策としまして、温室効果ガスの排出削減であります緩和策、それから気候変動の影響による被害を最小化、あるいは回避するための適応策につきまして、県民、事業者、行政などの各主体が積極的に取り組むための指針となります福岡県地球温暖化対策実行計画を今年度中に策定することとしております。

◯板橋 聡委員 課長、私の質問を聞いていましたか。気候変動問題に関する環境部のかかわりとは一体何ですかという話を聞いたんですよ。えらい長いこと説明されて、二十分しか持ち時間がないのに、今の時間、ちょっと時計消させてください。もう一回。

◯井上忠敏委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡明、的確に行ってください。

◯佐竹環境保全課長 最後申し上げましたように、このように地球温暖化による気候変動の影響といいますのは、県民生活や経済活動に大きな影響を与えるということで、最も重要な環境問題の一つであると考えております。そのために、環境部としまして今回、福岡県地球温暖化対策実行計画を定めまして、その対策を進めていくということでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、環境部が県として気候変動問題に対して主体的に取り組むという理解でいいですか、部長。

◯井上忠敏委員長 野田環境部長。

◯野田環境部長 今御指摘のとおり、環境部が主体となりまして、今、温暖化対策の実行計画をつくっておりますので、各部局の皆さん方には、その会議におきまして、温暖化対策の重要性や必要性を十分認識していただいて、いろいろ検討しておるということでございます。

◯板橋 聡委員 福岡県において気候変動について、今までどういう状況で、今後どういうことが予見されるのかというのを教えてください。

◯佐竹環境保全課長 当初御説明しましたように、本県におきましても気温の上昇、猛暑日の増加、集中豪雨や台風による被害があらわれているということで、本県におきましても気温の上昇によります温暖化の影響があっていると認識しております。

◯板橋 聡委員 そんなこと、ネットでもわかるんですね。グーグル先生に聞いたほうがよっぽど詳しい。県のこの問題に関する主体である、つまり頭脳であり司令塔である環境部がこれで大丈夫なのかと、非常に危惧を覚えるところであります。
 気候変動は、先ほどずっと農林水産部に聞いておりましたけれども、農業はもちろん、さまざまな産業、生活分野に影響をもたらします。県はこれに対してどういう対応をしているんでしょうか。

◯佐竹環境保全課長 これにつきまして、農業分野につきましては、高温条件下での水稲、それから果実の品質、栽培技術の開発、これらに対応しているところでございます。

◯板橋 聡委員 さまざまな分野に影響をもたらすと言ったんですけれども、どういう対応をしていらっしゃるのかを聞いているんです。

◯佐竹環境保全課長 地球温暖化によります気候変動の影響というのは幅広い分野に及ぶということで、県内の温室効果ガスの対策を一元的に推進するということで、現在各部局、それから教育庁、警察本部で構成します地球温暖化対策施策連絡調整会議を設置したところでございます。この会議では、地球温暖化対策であります温室効果ガスの排出削減、それから気候変動の影響への適応、これらについて各部局が推進していました政策を、環境部が中心となりまして、情報を共有して、連携して取り組んでいくというものであります。

◯板橋 聡委員 地球温暖化対策連絡調整会議の座長はどなたですか。

◯佐竹環境保全課長 これは環境部の次長でございます。

◯板橋 聡委員 メンバーはどういう役職の方が参加されているんですか。

◯佐竹環境保全課長 それは、各部局の主管課の課長という形で出席をいただいております。

◯板橋 聡委員 今まで二回ほど会議が行われたそうですけれども、実際その主管課の課長は、全部出席されているんですか。

◯佐竹環境保全課長 課長が出席されたところ、また代理というところもあります。

◯板橋 聡委員 この地球温暖化対策実行計画と地球温暖化対策連絡調整会議との関係を、知事が答弁の中で述べていましたけれども、どういった内容でしたか。

◯佐竹環境保全課長 これにつきましては、地球温暖化に関しますさまざまな情報の共有化を図りまして、それから地球温暖化の観点を踏まえた施策の検討を行うということでございます。

◯板橋 聡委員 そんなに大事な、これから計画を立てなければいけない地球温暖化対策実行計画、これの施策を検討するというところまで知事は述べていらっしゃるんですけれども、先ほどから御説明はわかるとおり、この連絡協議会の実態は、本当に国からの情報を各課に投げて、各課は何やっているのという、情報を集めているという、回覧板を回すような、協議会というよりは連絡網というレベルに感じられます。これでは、この連絡協議会が実効性のある、先ほどから言われています地球温暖化対策実行計画が策定できるのか、甚だ疑問であります。
 縦割り行政の弊害は以前より常々指摘されています。私も当選して最初の一般質問で、鳥獣被害を対策する全庁横断型のプロジェクトとして、県鳥獣被害対策協議会のてこ入れをお願いした次第であります。これが、行政の縦割りの特効薬とばかりに、知事に対していろいろな指摘がされたり、あるいは一般質問やこういった特別委員会での質問があった場合は、多くの協議会、あるいは全庁横断型プロジェクトを立ち上げようということで効能を非常に強調されたりしております。知事はそういった答弁をされておりますけれども、我々が本当に期待しているような機能を、こういった全庁横断型プロジェクト、そういった協議会、こういったものがしているかどうかというのを、今回環境部の皆さんの答弁を聞いて非常に疑問に思った次第でございます。
 ちょっと視点を変えまして、野田部長、環境部の課の数と係の数は幾つありますか。

◯野田環境部長 課は七課だったと思いますけれども、係はちょっと正確には覚えていません。

◯板橋 聡委員 部長ですから課の数だけわかっていればいいという話なんでしょうけれども、では、環境部が参画あるいは関与している全庁横断型の会議体は幾つありますか。

◯野田環境部長 ちょっと正確には覚えませんが、環境関連で申し上げますと、副知事をトップにして各部長がメンバーになっております環境問題全般を扱う福岡県環境対策協議会がございます。それから、再生可能エネルギーの導入という意味で、環境部も関係しております再生可能エネルギーの推進本部会議というものがあります。

◯板橋 聡委員 今お持ちの資料の中に、環境部が関係していないというか、直接関係していないような全庁横断型の会議体というのは書いてないということですか。

◯野田環境部長 全部で幾つあるかは、ちょっと承知しておりません。

◯板橋 聡委員 でも、会議体に入っているということは関係あるということなんですよね。今部長がおっしゃったとおり、環境部としてはこれとこれとこれ、この会議体ありますと。では、そうではない部署の方がその会議体に入っていた場合、その部署の方は関係ないということを言っているような話だと思うんですよ。
 ですから、そういう意味では、ぜひこれは知事に対して、今まで全庁横断型のこういったプロジェクトをいっぱい立ち上げていらっしゃいますけれども、本当に機能して我々が期待しているような効果を上げているかどうかと、よくただしたい。そういうことで知事保留質疑をお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成28年決算特別委員会「中学校の学力向上における定期考査などの役割について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 ことし三月に行われた予算特別委員会で、私は全国学力調査の小学校六年生と中学校三年生の追跡調査の結果、中学校における学力の伸び悩みと、その伸び悩み方も地域間で特徴があることを指摘しました。この流れの中で、本日は中学生の学力向上における定期考査などの役割について質問します。
 さて、中学校における定期考査の目的は何でしょうか。

◯井上忠敏委員長 相原義務教育課長。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の目的は主に二つ、一つは生徒の学習状況、知識、理解や思考力、判断力、表現力等の観点から評価することでございます。もう一つは、評価した生徒の学習状況をもとに、授業での指導のあり方を改善したり、補充学習で重点的に取り扱う学習内容を決定したりする際の資料として活用するなど、学習指導に生かすことでございます。

◯板橋 聡委員 定期考査前の生徒は、授業を理解したかが問われるからこそ一生懸命机に向かいます。私もそうでした。相原課長御自身はいかがでしたか。

◯相原教育庁義務教育課長 私も、定期考査の前は特に一夜漬けといいますか、そのような面もあったかと思いますが、特に定期考査の前に学習に向かう、そのような姿勢で取り組んでおったように記憶しております。

◯板橋 聡委員 特に中学一年生の一学期は、小学校を卒業して初めての中間考査に臨むということで、中学校での学習のリズムが確立される、生徒の学習習慣づくりという意味合いもあります。そのような視点から、定期考査の意義をどう認識されていますか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査までの学習内容を振り返り、理解を深めるとともに、その結果を通して習得状況をみずから確認し、自主学習や補充学習に臨むなど、定期考査を通して主体的な学習課程を経験すること、これが生徒の学習習慣の形成に大きく寄与するものと考えます。

◯板橋 聡委員 ここで、中学校における定期考査の実施状況に関する資料を要求いたします。委員長、お取り計らいのほどお願いします。

◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯相原教育庁義務教育課長 直ちに提出いたします。

◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。

◯相原教育庁義務教育課長 お手元の資料1は中学校における定期考査の実施回数を、資料の2はその違いに応じた全国学力調査の正答率について、各教育事務所の別にまとめたものでございます。

◯板橋 聡委員 私は、定期考査というのは一学期に二回、二学期に二回、三学期に一回、年五回行うのが当たり前と思っていましたが、時代は変わったのでしょうか。実際は定期考査の年間実施回数が四回と五回の学校がおよそ半分ずつあります。典型的な定期考査の時期はどうなっていますか。また、年四回の実施になっている理由は何でしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 まず、二学期制が近年採用されてございます。この二学期制の学校では、各学期の中間と期末で行う考えのもとに、全体で計四回となっています。
 次に三学期制の学校でございますが、二学期の中間と期末、三学期の学年末で行われております一方で、一学期は期末のみで行われる場合と、中間と期末で行われる場合とがございまして、四割の学校で計四回、六割の学校で計五回となっております。この一学期の中間で実施されない理由としては、四月から中間まで、そして中間から期末までの期間がともに短く、学習内容が少ないことが考えられます。

◯板橋 聡委員 定期考査が年四回の学校と年五回の学校とで、学力調査の結果に違いはありますか。

◯相原教育庁義務教育課長 資料の2でございますが、正答率を見ますと、福岡、北九州及び北筑後の各地区では年五回の学校のほうが若干高く、南筑後、筑豊及び京築の各地区では年五回の学校のほうが若干低いという傾向が見られます。県全体としては、両者に有意な差があるとまでは言えないと考えております。

◯板橋 聡委員 実は今回の質問に当たり、私は先入観を裏切られたんですね。年五回やっている学校のほうが確実にいいだろうと。年四回というのは何だと、授業を進めるのがちょっと怠慢じゃないかとか、そのようなことを言おうと思っていたらこういう結果で、やはりデータをしっかり読み解くことは大事だと感じました。
 とはいえ、得るものもありました。塾などの学校外の教育環境が整っております都市近郊の福岡地区、北九州地区、久留米を含む北筑後地区と、余りそういった塾などの学習環境が整っていない南筑後、筑豊、京築のような郊外の地区とで、きれいに真逆の傾向が見られます。また、特に南筑後地区においては、定期考査回数が年四回と年五回では有意な差が発生しているという特徴が見られます。定期考査は年に五回が昔の定番ではありましたけれども、回数や出題の形式の変遷、生徒の学習状況への影響をどういった手段により把握し、今まで認識をされてきたのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の実施状況につきましては、今回お配りしたこの資料が恐らく初めて調査したものでございます。県としてこれまで継続的に調査したものはなく、全国的なデータもございませんことから、詳細な分析はできてございません。

◯板橋 聡委員 学生時代の自分にとって定期考査というのは物すごく重いものでしたけれども、教育委員会側の目線ではきちんとした調査分析が全国レベルでなされていなかったということに、ちょっと驚きました。
 この点については別の視点からも後ほど述べるとして、まずは地域ごとの実情分析を行って、その上で生徒の学習状況の評価や学習習慣、意欲の向上を図るという定期考査の目的が達成されるように、各学校において、学校の都合ではなく生徒の目線から、定期考査やそれにかわる指導、家庭学習のあり方を総合的にデザインするべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査にあわせましての部活動の休養期間や家庭学習の推進期間、あるいは補充学習の機会を設けたり、あるいは日常的にレポートや小テストの活用、家庭学習の指導等を充実したりするなど、学ぶ意欲の向上や学習習慣の形成に資する取り組みを総合的に充実する必要があると認識しております。

◯板橋 聡委員 二〇一五年の国勢調査において、福岡市を除いた県全体の人口は約五万人減となりました。私も議会で何度もお話ししておりますけれども、人口減少社会が避けられない中、これまで以上に個人個人が、基礎的知識ではなく、みずから問題を発見し解決する能力を備えなければ、福岡の地方創生を支えることはできません。
 その意味で、定期考査を生徒の総合的な学習向上と授業の改善につなげるためには、思考力、判断力を問う全国学力調査の中にもある、すぐれた過去問を積極的に授業と定期考査に取り入れるなど、質の高い定期考査に変革していくことが必要ではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査におきまして、思考力、判断力、表現力等を適切に評価していくためには、明確な評価基準を設けて、また記述式を導入したりするなど、質の高い問題を作成するための工夫と努力が不可欠でございます。今後、各中学校において、全国学力調査や県作成の教材集等が授業や考査問題作成に一層積極的に活用されるよう、管理職の研修会を通じて指導を行ってまいります。

◯板橋 聡委員 定期考査以外にも中学校ではさまざまな実力テストがありますが、実施状況はどうなっているでしょうか。
 また、小学校の違いとして、全国学力調査よりも民間のテストを重視する傾向も一部にあると聞きますが、それで果たしてよろしいのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 中学校では、第三学年の全国学力調査のほか、県におきまして第二学年で県学力調査、各学年で年二回、主に活用力を問う診断テストを実施しております。
 また全市町村におきまして、さまざまな教科、学年で、民間の学力検査等が独自に導入され、第一学年、第二学年では年一・五回、第三学年では年三・四回程度実施されております。この民間検査は、市町村の選択によってその趣旨や問題形式、時期等が異なっており、あくまで生徒の学力実態をきめ細かに把握したり、進路指導の参考資料に用いたりする、そういった利点を生かすものと考えます。

◯板橋 聡委員 以前も指摘しましたけれども、これまでの全国学力調査の状況から考えると、特に中学校については市町村教育委員会や学校の目標管理が甘く、県教育委員会が求めている検証・改善サイクル、いわゆるPDCA──プラン(計画)・ドゥ(実行)・チェック(評価)・アクション(改善)、これが機能していないとしか考えられません。県教育委員会としてどのような対策を講じているのか、御披瀝ください。

◯相原教育庁義務教育課長 各中学校に作成をお願いしております学力向上プランにつきましては、今年度から検証・改善サイクルをより意識した様式に改めたところです。また、各教育事務所での研修会、指導主事の学校訪問の実施に当たりまして、今年度、特に学力向上プランの具体的な改善例を事務所に提示したり、目標の適切な設定や全校的な取り組みの具体化などの助言を強化するよう指示したりし、PDCAを重視した取り組みを進めております。

◯板橋 聡委員 中学校の検証・改善、つまりPDCAサイクルを強化する前提として、チェック、つまり評価・分析に不安があります。市町村が時期も業者もばらばらで行う民間検査に依存せず、小六の四月から中三の四月まで、どのような段階でどのように学力が低下しているのか、これは私が三月の予算特別委員会でも質問させていただきましたけれども、小六の四月から中三の三月に向けて、県内ではがくっと中学生の学力が落ちているわけですね。そういう意味で、全国学力調査と同じ観点から継続して学力の推移を把握するシステムを、県の責任においてつくるべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 昨年度から県学力調査を、国と同じ教科で、そして全学年で実施いたしておるところでございますけれども、その県学力調査と全国学力調査の結果から、同じ集団の学力変化を分析したり、県学力調査の結果をもとに翌年の全国学力調査の目標を設定したりする取り組みについて、各市町村中学校に周知を図りたいと思います。また、生徒の入学時からの学力状況を把握していく観点から、今後、県学力調査や診断テストのあり方の見直しを検討したいと考えております。

◯板橋 聡委員 県では平成二十七年度から、県学力調査を小学校五年と中学校二年生で行うようになりました。小五から小六、中二から中三の成績の変遷は、これによってある程度把握できるようになりました。しかし、いわゆる中一ギャップが問題視される中、中一においては学力調査がありません。
 もちろん学力調査を行えば、教育委員会にとっては、目標達成できない場合は、本日の午前中の我が会派の質問のように活を入れられるわけで、大変厳しいのは理解できます。しかし、きちんとした基準を持って具体的な成果を評価・分析できれば、何が効果があって、何が効果がなくて、あるいは成功事例や失敗事例を学び、適切な改善活動を行えるほうが、現場の教師にとっても教育委員会にとっても、暗闇の中で禅問答をしているよりも、精神的にも時間的にもよほど生産性が高く、生徒にとってもよい効果が期待できるのではないでしょうか。
 そのことを踏まえて、地域ごとの学校や生徒の特徴に合った形で、定期考査の改善や学力調査の継続的な実施を初めとする具体的な方法論を伴う施策が展開されることを期待して、改善の兆しが見えない中学校の学力向上に向けての教育長の決意を問います。

◯井上忠敏委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 本県では、小学校に比べまして中学校の学力状況に大きな課題があるわけでございます。この改善を図ることが、県民の教育への信頼を回復させる一つの重要な課題であると考えております。中学校の学力向上につきましては、私自身、各学校の組織的な取り組みが十分に行われていないのではないかと考えておりまして、教員の意識改革の面、それから授業力・指導力の向上の面、学校や生徒を取り巻く環境の面、こういった観点から見直しを進めているところでございます。
 今後は特に成果を出している学校につきまして、定期考査あるいは小テスト等の実施や過去問の活用の工夫、そういった具体的な取り組みを詳細に把握した上で、地域の実情を踏まえた分析と、関係者との意見交換を行いながら、実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 義務教育を主管する相原課長、そして教育現場のトップである城戸教育長から力強い答弁をいただきました。今回の決特の中で、住んでいるだけで健康寿命が延びる足立区というフレーズを私は非常に気に入っているんですけど、住んでいるだけで成績が伸びる、人間力を育てる福岡県にしていただきたい。
 しかしながら、若干不安がございます。私は大河ドラマ真田丸が大好きなんですけれども、昨晩は徳川軍との戦いに備え、軍議を開くシーンでした。真田幸村を初めとする武将たちが議論を重ね、豊臣秀頼公が打って出ると力強く決断するんですね。それを淀殿に報告すると、籠城とあっさりひっくり返されるわけです。学力調査等は予算を伴います。小川知事が豊臣家を滅亡に向かわせる淀殿なのか、雄県福岡県の礎を築いた黒田長政なのか、ぜひ確かめてみたい。知事保留をさせていただきたく、お取り計らいをお願いします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成28年決算特別委員会「市町村合併に伴う商工会のありかたについて」

◯板橋 聡委員 自民党福岡県議団の板橋聡です。
 福岡県には約十四万社の中小企業が存在しており、全雇用の八割を担っております。まさに、本県の地域経済を支えているのは中小企業ということで、安倍政権が掲げます一億総活躍社会あるいは地方創生を推し進めるためには、中小企業が元気になることが不可欠だと私は思っております。
 そして、地域で中小企業を支えているのが商工会です。原則として市町村単位で設置されている商工会は、十年前の平成の大合併を契機に各地で合併が進んで、組織の拡充や経営の効率化が図られておると聞いておりますが、一方で新たな問題も発生しております。
 本日は、その観点から、市町村合併に伴う商工会のあり方について質問をしたいと思います。
 商工会は、商工会法により、地区内の商工業の総合的な改善・発達を主目的に、経営指導あるいは講習会などを実施すると規定をされておりますけれども、県として商工会をどのように評価されているか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 古川中小企業振興課長。

◯古川中小企業振興課長 商工会は、個々の中小企業の活動に対する支援のほか、まちおこし事業など地域活性化を図っていくための取り組みも行っております。
 県といたしましては、商工会は地域の中小企業と地域経済の両者を支える重要な存在であると考えております。

◯板橋 聡委員 課長に答弁いただいたとおり、まさに商工会は中小企業を支える大切な団体です。また、経済を初めとする地域活性化を含め、重要な役割を果たしていると私も思っております。
 その中で、前述のとおり、商工会は市町村単位で設置されておるわけですけれども、平成の大合併が行われたことを契機に、商工会の合併も進んだと聞いております。具体的には、何件の合併が行われたのでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、市町村合併に伴い、商工会の合併も進んでおります。平成十八年からこれまでに十七件の合併が成立いたしまして、平成十七年当時、八十一あった商工会は、平成二十五年度までに五十二商工会となって、現在に至っております。

◯板橋 聡委員 市町村合併の結果、商工会の合併は進んでおるようですけれども、一方で、商工会を持った町と商工会議所があった市が合併した場合は、そのまま商工会と商工会議所が新しい市において、そのまま併存しているケースがあります。
 県は、この状況をどのようにお考えでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 市町村と商工会、商工会議所は、密接に連携して地域の商工業の振興を図る必要がございますので、そのためには、両者の区域が一致することが望ましいと考えております。
 しかし、商工会は商工会法、商工会議所は商工会議所法に基づいて設置をされておりまして、商工会同士あるいは商工会議所同士の合併については、それぞれの法律に規定がございますけれども、商工会と商工会議所の合併に関しては規定がない状況にございます。
 このため、両者が合併しようとする場合、一方が解散する吸収合併以外に道がないという問題に加えまして、両組織の成り立ちや実態的に組織運営等に違いがあるため、県といたしましては、商工会と商工会議所の合併は当事者間の話し合いに委ねることとしております。

◯板橋 聡委員 これは非常に難しい問題で、御答弁のとおり、当事者間の意向を尊重する姿勢というのは理解いたします。しかしながら、人口減とか、あるいは経済環境の変化など、将来的に先送りしているだけで、当事者間で、なかなか話が前に進まなくなる可能性というのもゼロではございません。
 そういう意味では、県の関与が必要になってくる可能性は十分にあると思いますので、これは今後の課題として、しっかりと把握をしていただき、注視を続けていただきたいなと思っております。
 商工会の合併によって、スケールメリットとか、あるいは組織力、財政力の向上が期待をされております。一方で、会員支援力の向上が会員や地域活性化において最も大切な効果と私は考えております。
 商工会が合併したとしても、企業の数は一気に減ったりするわけではございません。財政力の向上を追求する余り、経営指導員を削減するといった無理なコストカットがあっては、本末転倒となります。指導員の数が減ると一人当たりの負担がふえて、結果として商工会のかなめである経営指導に支障が出ることを危惧しておりますけれども、その点、現状はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 合併によりまして、商工会の運営や小規模事業者の支援に支障が生じないよう、商工会の職員の配置につきましては、例えば、通常、小規模事業者数三百以下の場合の定数が一であるところを、合併商工会については二百以下を一にするなどの特例措置を設けて対応いたしました。
 また、このような措置によっても定数が減少する商工会につきましては、職員が退職するまでは過員として配置をしておくことができるようにしまして、商工会の職員数が減らないように配慮したところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、それは退職者が出るまでは人員はしっかり確保できると。一方で、退職しても新規採用ができないということを意味しております。職員数の維持という点では、確かに意味があると思うんですけれども、いずれ皆さん年を重ねて定年退職をすると。そうすると指導員の新陳代謝が起こるわけでして、経営指導員の年齢構成が逆三角形、頭でっかちのような状態になりますと、若い指導員を育成するという面で問題があるなと感じております。
 経営指導員の指導力向上、すなわち会員支援力の向上は、先ほど申しましたとおり、地域活性化の肝であると思っております。県として、こういった指導力、あるいは会員支援力の向上に対してどのような対応が考えられますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、特に規模の小さな商工会におきましては、指導者の年齢構成に隔たりが生じやすいという実態がございます。
 そこで、平成二十二年度から商工会の組織体制の強化と人事異動による職員能力向上を図るため、商工会職員の採用や人事異動、人事配置を福岡県商工会連合会で一括して行うように改善を行っており、現在、毎年十五名程度を採用しております。また、指導員の経験や年齢構成等を考慮いたしまして、商工会間の人事異動も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 これは、教育の問題でも同じだと思いますけれども、今、非常に先生の指導力が落ちてくると、学生あるいは児童の学力に影響が出てくるというのが非常に取り沙汰されております。
 そういった意味では、地域の中小企業というのは、なかなか、そういった経営に関する知識、知見あるいは経験というのが得にくい環境にありますので、やはり、こういった部分で指導力をしっかりと高めていくというのが地域経済の活性化には絶対必要だと思いますので、この点、しっかりやっていただきたいと思っております。
 ちょっと視点を変えまして、次に、商工会が所有する施設について質問をいたします。
 合併した商工会の所有施設については、支所として継続して活用されているところもあれば、施設の統合によって効率化を図るために廃止をするところもあると思いますけれども、県内の状況はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 平成十八年度以降これまでに、四十六の商工会が合併で再編をされました。このうち、現在も支所として維持しているのは、十一商工会、十九支所となっております。
 また、施設の廃止につきましては、合併時期に合わせて廃止したものは三件、合併後、一定期間、支所を維持した後に廃止したものは、ことし九月末をもって支所を廃止しました、みやま市商工会など七件となっております。

◯板橋 聡委員 商工会が、財政力の向上という観点から合併の効果を上げるために支所を廃止しようとしても、過去に国、県の補助金を活用して建設された建物の場合、その用途あるいは売却など制約が非常に多いと聞いております。
 例えば、私の地元みやま市の商工会は、市町村合併と同時に三つの町の商工会が合併して誕生しております。昨今、支所の用途を変更して研修センターにしたいという計画が持ち上がっているのですけれども、建設に補助金を利用していたために、いろいろと制約があって難航しておるという相談を受けております。
 このような合併効果を上げるために商工会館の用途変更といったことをする場合の活用について、県としてもうちょっと柔軟に対応するべきところもあるかと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国、県の補助要綱では、建設費補助の対象となる施設は、商工会の指導施設及び原則として指導施設に接合した研修センター、特産品展示などのための施設に限定をされております。県としましては、現要綱をできるだけ柔軟に解釈することで、商工会館の効率的な運用、活用を図っていただきたいと考えております。
 ただ、商工会館の建設に当たっては国も補助を行っておりますので、要綱の解釈につきましても国との協議が必要となってまいります。例えば、先ほど御指摘のみやま市商工会の場合は、支所廃止後の旧山川町の商工会館を商工会の研修センターとして活用したいという御意向でございますので、県といたしましても、この方向で国と協議を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 環境の変化に対応するため、合併したにもかかわらず、過去の補助金の制約等により前向きな改革が遮られることがないように、みやま市のみならず、福岡県下全てで柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 一方、合併した商工会の多くは、今でも複数の商工会館を保有しております。今後、効率的な商工会運営のために支所を廃止したいとか、そういったケースもふえてくるのではないかと予想をされます。
 抜本的な対応策として、商工会館の処分に際して、例えば、補助金の返還基準とか他の施設への転用の要件について、大幅に見直すことが必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国庫補助を受けて建設した商工会館の処分につきましては、国において要件や手続を定めておりまして、その原則に従って行われる必要がございます。
 事業者数が減少する中、今後、商工会の職員定数も減っていくものと考えられ、小規模事業者への巡回指導などの支援機能を維持、強化するため、支所を廃止して職員を一カ所に統合し、不要となった商工会館の処分を望む商工会も将来的には出てくるものと想定されます。
 このため、こういった地域の実情を踏まえまして、商工会館処分の際の補助金の返納基準あるいは他の施設への転用要件の見直しにつきまして、国に要請してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、福岡県として国に対する要請、力を込めてやっていただければなと思っております。
 地域の中小企業、地域経済を支える商工会の役割、それについて合併に伴い、どういう効果があるかというのを今、いろいろお話をさせていただきました。やはり、商工会の支援機能の維持、強化のためには、経営指導員の資質向上、こういったものが非常に大事でございますし、それを実現するために、施設の運用等々で財政面でも強くなる、あるいはスケールメリットがとれるような運営をしていくことが非常に大事だと考えております。
 県が今後、商工会に対して、その取り組みに対して部長としてどう考えるか、最後、御意見いただけますでしょうか。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から冒頭にお話ございましたように、福岡県の中小企業でございますけれども、県内企業の九九・八%、それから雇用の面でいきますと約八割を担っていただいておりまして、県経済の発展、まさに活力の原動力となっております。こうした地域の活性化を図っていくためには、中小企業の成長、発展が不可欠だと考えております。
 この中小企業の成長、発展を図るため、私どもでは昨年度、中小企業振興条例、それから基本計画を策定して、成長段階に応じてきめ細かく支援をしていくことに取り組んでまいっております。きめ細かく対応していくためには、まさに、中小企業の一番身近な存在でございます商工会の経営指導員の皆さんの質の向上が何よりも大切であると考えております。
 私どもは、そういう意味で、先ほど課長が申し上げましたように、経営指導員の資質向上を図るために、まず、入って間もない若手指導員の研修につきまして、資質を向上させるための新しい取り組みでありますとか、あるいは一定程度、経験を積んだ指導員に対しましても、意欲を高めることにつながるような方策についてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一つ、施設運用などの問題、商工会合併に伴うさまざまな問題につきましては、まず県で対応できることについては速やかに対応するとともに、制度改革といったような国の改革が必要なものにつきましては、地域の実情をしっかり踏まえて、国に改正を求めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさに、部長がおっしゃったとおり、地域の中小企業が元気になって、そして地域経済に活性化をもたらすためには、商工会、こういったところがしっかりと指導していくというのが非常に大事だというのは間違いないと思うんですね。
 きょう、ずっと塩川委員から筑豊のお話なんかも出ておりましたけれども、やはり地方の中小企業までになかなかアベノミクスの恩恵が届いていないことに関しては、やっぱり商工会なんかがちゃんとそれをドライブしていくような役回りが必要なのではないかと思っております。
 県の政策におきましては、毎年、プレミアム商品券の補助とか、あるいは昨年度つくりました中小企業振興条例とか、いろいろと頑張っているところはありますけれども、どうもお話を聞いていると、県知事からのお話は、今まで中小企業への直接的な支援だとかが非常に多かったのかなという気がして、経産省御出身の県知事におかれましては、商工会議所、商工会とは非常に密な関係を持っていらっしゃると聞いておりますけれども、なかなか商工会のてこ入れ自体に関して、私は余り知事からお話を聞いたことがございません。そういった意味では、そういった商工会に対するてこ入れも含め、どのように県として考えていくかを県知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)