平成27年12月議会一般質問「福岡県のブランディングについて」

録画中継にて12月16日頃から知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨
一、福岡県のブランディングについて
  1)県産食材と酒など加工品のコラボレーション
  2)2020・2019に向けた総合戦略策定
  3)観光ブランドにおける邪馬台国に関する取り組み
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。
 本日は、香椎高校の皆さんのほかに、私の地元から南校区まちづくり協議会の皆さんにも傍聴にお越しいただいております。一般質問が福岡県政の全てというわけではありません。今回の傍聴をきっかけに、幅広く福岡県政や我々地方議員のふだんの活動について興味を持っていただくことを期待して、質問に入ります。
 本日は、福岡県のブランディングについて質問いたします。ブランディングとは、顧客の視点から発想し、ブランドに対する共感や信頼など顧客にとっての価値を高めていくマーケティング戦略の一つです。去る九月二日、ホテルニューオータニにて、福岡県が共催する第四回ふくさけ祭りが開催されました。福岡県酒類鑑評会の受賞酒を披露し、あわせて食と酒のコラボとして県産食材を使った料理を提供。約千四百人の参加者が福岡の最高のお酒を、福岡の最高のさかなと一緒に楽しまれました。実はこのイベント、平成二十四年に初めて開催されましたが、当初はお酒だけを提供する形式で、参加者も約二百名程度でした。お酒は米を原料としますが、米を加工し、お酒になると商工部が主管します。そこで、福岡は酒どころというだけでなく最高の食もある、ぜひ、ふくさけ祭りを最高の酒と最高のさかなを味わっていただく集いにしようと、農林水産部に協力を要請。翌年からは入場規制を考えなければならないほどの人気イベントに成長しました。その流れの中、今度は農林水産部が食材を主役にして、大晩さん会福岡のおいしい幸せを開催。第二回となる去る十一月二十四日、県民運動として展開している食育、地産地消の推進を目指し、県産食材をふんだんに使った特別メニューに約八百名のお客様が舌鼓を打ちました。その場には商工部が協力し、県産米で仕込んだ福岡の地酒が花を添えたのは言うまでもないことです。原材料の農林水産物は農林水産部、日本酒などの加工品は商工部、しかしお客様から見れば同じ飲食物。福岡の最高の食と福岡の最高の酒。相乗効果のあるよいプロモーションができたと評価いたします。ほかにも同じような例があります、県農産物のブランドとして最高の認知度を誇るイチゴあまおう。しかし、イチゴの季節は限られており、一年中店頭に並ぶわけではありません。なぜあまおうがトップブランドでいられるか、それはあまおうを加工したアイスクリーム、ケーキ、クッキーなどのスイーツ、リキュールなど派生商品が通年を通して、あまおうのブランディングに貢献していることを忘れてはなりません。
 そこで知事に質問です。農林水産物と加工品、それぞれ所管する部署は違いますが、部署の垣根を越えて相乗効果のあるプロモーションを行うことは福岡の飲食のブランドに対する共感や信頼を高める、すなわちブランディングに大きな効果があります。このような両者のコラボレーションによるPRや販売促進を積極的に進めるべきだと思いますが、知事の所見を御披露ください。
 また、農林水産省が推進する六次産業化、経済産業省が推進する農商工連携。理屈はあれ、消費者にとってその違いは右から見るか左から見るか程度の話です。福岡県工業技術センター内にある生物食品研究所は加工食品の開発を支援しており、原材料と加工品のちょうど真ん中に位置する施設です。農林水産部と商工部が連携し福岡県を食の都としてプロモーションしていくために極めて重要な役割を担っており、その機能や設備をさらに強化する必要があると考えます。生物食品研究所の設立経緯を含めて知事の見解を御披露願います。
 さて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック、二〇一九年、我が県も試合会場となるラグビーワールドカップが開催されます。キャンプ地誘致に始まり、開催時期の観光客誘致を目指し、自治体間の競争は既に始まっています。東京都は新たにブランディング戦略を策定し、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催とその先を見据えた東京ブランドの確立のための取り組みを始めました。大阪府では持続的な地域ブランド力向上による地場産業の活性化の方策について調査を実施し、大阪の地域ブランド戦略のあり方という報告書を策定しました。お隣熊本県では、熊本ブランドを一元的に推進する組織、くまもとブランド推進課が存在します。
 さて一方、我が福岡県では、福岡県広報部長エコトン、福岡観光軍師ふくおか官兵衛くん、福岡のりマスコット、有明のりちゃんなどのキャラクター、あまおう、山川ミカン、北原早生、ラー麦、八女茶などの県産農林水産物のブランド、古くは福岡県の花、梅をあしらった県章や、とびうめのフレーズなど数多くのブランディングのツールがあります。しかしながら、今回の質問に当たり、県が持っているキャラクターやシンボルマーク、ブランドを全部知りたいけれども、どこが所管しているんですかと尋ねましたところ、そんな部署は存在しないということを知りました。そもそも、福岡県を代表するキャラクター、エコトンも、もともとは環境部がつくった一キャラクターです。出世して広報部長に就任されたのはめでたいことですが、そこに福岡県に対する人々の共感や信頼を向上させようとする緻密な戦略を感じられないのが私の正直な思いです。
 そこで知事に質問です。今後、二〇一九年ラグビーワールドカップ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックという世界的な大イベントが立て続けに日本で開催されます。これを契機に、今まで存在しなかった福岡県としてのブランディング戦略を構築し、福岡県に対する共感や信頼などの価値を高めることで、キャンプ地誘致、観光客誘致、さらには定住者の呼び込みや県民の幸福度向上につなげることを目指すべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 最後に、福岡県が推進する観光ブランドについてお尋ねします。去る十月十四日、古代史研究家の古田武彦氏がお亡くなりになりました。古田氏は邪馬台国論争において、九州王朝説の提唱者でありました。邪馬台国論争は江戸時代後期から始まり、新井白石は筑後国山門郡説を、本居宣長は九州熊襲説を唱え、その当時から九州は論争の中心でした。福岡県内でも、我が地元旧山門郡、すなわちみやま市、柳川市を初め朝倉市、久留米市、八女市、太宰府市、糸島市などゆかりの地があまたあり、卑弥呼の火祭り、花の邪馬台国まつりなど地域振興のイベントが開催されております。
 古代史のロマンを語るとき、もう一つ忘れてならないのは磐井の乱です。五二七年、朝鮮半島南部へ出兵しようとした大和政権に背き、九州北部の有力者筑紫磐井は九州の豪族とともに磐井の乱を率いた反乱者として古事記や日本書紀に記されています。しかし、視点を変えて見ると、磐井の乱は日本初の中央集権政府による地方自治への介入とも読み取れます。それから千五百年の時を経て、中央集権型の国家システムが制度疲労を起こす中、地方から国の形を変えようと、福岡県議会を初めとする地方議員、九州内の首長、国会議員、財界有力者が会員となり九州自立の会が設立されたことに因縁めいたものを感じます。
 そこで知事に質問です。現在、福岡県では世界文化遺産登録が期待される宗像・沖ノ島と関連遺産群を中心に、歴史、文化の観光ブランド化が進められていると認識しておりますが、世界遺産登録の暁には、福岡県内津々浦々に沖ノ島効果を波及させるべく、邪馬台国や磐井といった福岡ゆかりの古代史、文化を掘り起こしてはいかがでしょうか。観光振興だけでなく、自分たちのルーツを見直すことは、県民の郷土愛を育むことにも通ずると思います。知事の見解をぜひお聞かせください。
 以上、知事の前向きな答弁を期待して質問を終わります。(拍手)

◯副議長(原竹 岩海君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 県産食材と日本酒などの加工品のコラボレーションについてでございます。県産の農林水産物と加工品を一体的にPR、販売をいたしますことは、消費者の認知度を高め、販売量や販売ルートをふやす上で有効な取り組みであるというふうに考えております。このため県では、議員にも御紹介をいただきましたけれども、県産食材を使った料理と県産のお酒、八女茶を提供する、ふくさけ祭りや大晩さん会を開催をしてきているところであります。これらの参加者からは、県内にはおいしい物、おいしいお酒がいっぱいあるんだということが改めてわかった、そういった感想が寄せられております。また、県産農林水産物とこれらを使った料理、それに加工品を一堂に集めまして、ことしの十月には九州うまいもの大食堂、十一月には農林水産まつりをそれぞれ天神中央公園で開催をしたところであります。さらに、昨年度から、首都圏などを中心に事業展開をされております外食産業と連携をいたしまして、県産の農林水産物を使った料理を提供してもらう福岡フェア、これを開催をしてきているところであります。これらの業者さんからも、農産物や肉類、魚介類、加工品を組み合わせた我々地域の特色あふれる提案というものが求められているところでございます。このため、そういったニーズに沿った提案を一生懸命考え、提案を行い、和食レストランやホテル等におきまして、県産の食材とあわせて日本酒、からしたかな、めんたいこ、しょうゆなど加工品も一緒に一括して取引をされているところであります。今後とも、こうした県産品の一体的なPRと販売促進活動を積極的に進めてまいります。
 次に、生物食品研究所の機能強化についてお尋ねがございました。本県におきましては、食品、バイオ関連の中小企業に対するその技術の高度化、また新製品の開発を支援するために、平成七年四月でございますが、工業技術センター材料開発研究所と化学繊維研究所食品課、これらを統合いたしまして、生物食品研究所を設立をいたしました。この生物食品研究所におきましては、これまで食品、バイオ関連企業を対象にいたしまして、その新製品の開発のための共同研究、技術課題を解決するための個別の指導、食品素材の機能性に関するデータの集積と提供、そして最新の技術に関するセミナーの開催などに取り組んできたところであります。企業との共同研究につきましては、例えば、福岡県の酒造組合と開発をいたしました酵母を使った福岡オリジナルソフト清酒、また農業総合試験場と開発をいたしましたニンジンの臭みを抑えたジュース、これらが商品化されております。
 また近年、健康、安全、安心志向の高まりから、食品分野におきましては機能性食品や高齢者向けの食品の需要が非常に増大いたしております。消費者ニーズは大きく変化をいたしております。これらを踏まえまして、食品企業がこういった動きに対応していくための高付加価値の商品の開発を迅速に行うことができるよう、昨年の十一月、生物食品研究所内にふくおか食品開発支援センターを開設をいたしました。センターでは、商品の開発の企画から加工、評価までを一貫して御支援を申し上げるため、商品企画のアドバイスを行う食品開発プロモーターを配置をいたしますとともに、企業が開発に利用できる加工機器、分析機器をセンター内に整備をしているところであります。開設からおよそ一年がたちましたけれども、福岡県産のブルーベリー等のセミドライフルーツの蜂蜜漬け、ブロッコリーを使用したクッキーなど九つの商品化が実現いたしております。
 これからも市場動向や企業ニーズに応じまして、ふくおか食品開発支援センターの整備充実を図るとともに、県内の食品系の学科を有する大学、県の農林業総合試験場を初め試験研究機関との連携をさらに強化をいたしまして、県産農林水産物を活用した中小企業の食品開発を支援してまいります。
 次に、ブランディング戦略についてお尋ねがございました。ブランディング戦略の意義は、単に地域資源の情報発信にとどまらず、地域が持つ魅力を認識してもらうことによりまして、地域への信頼、共感を高めていくことにある、このように理解をいたしております。そういう意味では、議員のおっしゃったとおりと思っております。福岡県は、個性の異なる三つの海、多様な里山、山地など豊かな自然環境はもとよりといたしまして、八女茶、あまおうなどの競争力のある農林水産物に加え、世界にも発信力のあります豚骨ラーメンなど個性的な食にも恵まれております。また、日本の近代化を支えてきました歴史、高度な物づくりの技術など多様な魅力があります。それらの魅力を知り、見て、感じて、あるいは味わっていただけるように、イチジクのとよみつひめ、ミカンの北原早生、豊前海一粒かきなど農林水産物のブランド化、またよかもん・よかとこキャンペーンなど、我が福岡県が持っております魅力の発信に努めてきたところであります。また、こうした新しい魅力、ブランドをもっともっとふやしていくために、明治日本の産業革命遺産のユネスコ世界遺産への登録、また種がほとんどない柿の秋王など開発をし、そのブランド化にも取り組んできているわけであります。新しくブランド化をしている商品をふやしているわけであります。資産もふやして、観光資源もふやしているわけであります。
 今後、ラグビーのワールドカップ二〇一九、また東京オリンピック・パラリンピック大会が控えておりまして、本県の魅力を内外に発信する絶好の機会となります。このため、引き続き本県が持っております多様な魅力を高めながら、その魅力をいつ、誰に向かって、どのように伝えるか、これを頭に置きまして、関係機関、専門家の意見、他の地域の取り組み状況やその効果というものも踏まえて、今後の我が県のブランド戦略のあり方について検討していきたいと考えております。
 次に、邪馬台国、卑弥呼を生かした観光振興についてお尋ねがございました。福岡県は古来から、アジアとの交流を背景にいたしまして、国内でもいち早く発展をしてまいりました。朝倉市を初め久留米市からみやま市に至る筑後平野一帯は、議員も触れられましたが、邪馬台国北部九州説の有力地の一つとして知られているわけであります。このほかにも、国内最大級の鏡が出土いたしました糸島市の平原遺跡、金印で有名な奴国の中心地と言われる春日市の須玖岡本遺跡、大和朝廷と戦った、さっきの中央集権、中央国家の地方に対する介入とおっしゃいましたけれども、大和朝廷と戦った磐井の墓であります八女市の岩戸山古墳、日本遺産となりました西の都大宰府など、弥生時代以降の国家成立の過程を示す大変貴重な史跡が豊富にございます。さらに、京築地域を初め県内各地に神話を演じる神楽というものが数多く現存いたしております。このようにいろんな史跡、観光資源、枚挙にいとまないところであります。加えて、「神宿る島」宗像・沖ノ島とその関連遺産群が平成二十九年にユネスコの世界遺産に登録されれば、それに向けて最大限今、努力をしているわけでございますが、登録をされれば、世界から大きな注目が集まり、これらの遺産群と、先ほど述べました古代ロマンあふれる県内の歴史、文化、これらをつなぐことによりまして、観光面でも本県の魅力を大いに高めることができると考えております。このため、今後、市町村、観光協会と協力し、古代の歴史や文化にまつわる資源の掘り起こしを行うとともに、歴史、観光マーケティングの専門家の意見も聞きながら、県内各地への誘客、周遊につなげるための方策、取り組みについて検討を進めてまいります。