AKB48選抜総選挙と議会広報

三笠宮寛仁殿下の薨去の報にあたり、心より哀悼の意を表します。


一昨日のNHKのニュースウォッチ9では大々的にAKB48第四回選抜総選挙のニュースが取り上げられていました。メインキャスター・大越健介氏の

「『NHKのニュース番組まで今日はAKBの総選挙で大騒ぎか』と、眉をひそめる向きもあるかも知れませんが・・・」

と、なんとも申し訳なさげな口上で始まったこの特集。メディア評論家、高校時代からAKBの追っかけをやっていた男性、大学のゼミでの討論等を紹介し、曰く、AKB48総選挙と実際の政治の選挙を比較して、AKB48選抜総選挙に熱狂する若者の姿に比べ、如何に今の政治が若者の心を捉えておらず魅力的で無いとの事。
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一夜明けてもAKB選抜総選挙と実際の選挙を比較する論調が多くのメディアで見受けられました、が投票権付きのCDを買い集めることで1人で2700票を投じた男性がいたりする中で、そういうのを熱狂と呼んで実際の選挙と比較するのも如何なものかと。また、AKB48という一アイドルグループのプロモーションイベントを公共放送であるNHKはじめ、マスメディアと呼ばれるテレビ・新聞が結果を嬉々として報じるのにもの凄く違和感を感じます。

一方で、公共媒体の威力というか破壊力はやはり凄いですね。

昨年視察に訪れた石川県の地方紙で「北國新聞」という、福岡県に置き換えれば「西日本新聞」のような新聞があります。中身を読んで感動したのですが、北國新聞には1ページ丸ごと石川県政に関する記事が掲載されている「県政面」があります。それも所謂「政治とカネ」の不祥事やゴシップなど所謂3面記事的ネタでは無く、議会や委員会において争点となっているようなお堅い政治的話題について記事にしてありました。西日本新聞は残念ながら、たとえ議会中であったとしても県政関連情報にそこまで紙面は割いてくれません。私自身正直言って「新聞にとって、国政ならまだしも、県政の場で真面目に議論している内容はニュースと思ってもらえないんだろうな」と疑問も持たず現状を受け入れていましが、やはり新聞で毎日1面を割いて県政を報じて貰えることは確実に県民の県政に対する意識を高めることは間違い有りません。

今週、「ふくおか県議会だより」というA3版8ページの広報誌が朝日・読売・毎日・西日本各新聞の折り込みとして福岡県内のご家庭に配布されました。
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これは昨年の予算委員会にて自民党県議団の加地邦雄先生が二元代表制と言えどあまりに知事と比較して議会側の広報が少ない点を指摘したことをきっかけとし、議会広報の充実を目的に発行に至ったものです。編集員会の座長は同じく自民党県議団の松尾統章先生が務めていらっしゃいます。

日本では「飲み屋で政治の話はタブー」と言われたりしますが、もっと気軽に(でも真面目に)政治や行政について語れる土壌をつくる努力をしなければと思います。互いに向き合って話し合える環境にある人には、時間が掛かる場合があれど、徐々に県政について関心を高めて貰うことは出来るのですが、難しいのはそれをどうやって広めていくか。議員個人の力では物理的・時間的制約が頭の痛いところです。ふくおか県議会だよりが県民の皆さんに県議会の活動を知って頂く一助になればと切に願います。

進化する総合防災訓練

本日は平成24年度福岡県総合防災訓練に参加するため糸島市船越漁港に行ってきました。
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小川県知事を総括訓練本部長として、陸・海・空の自衛隊、県警本部、海上保安本部、消防局、九電、西部ガス等官民併せて120機関、地域住民を含む約1900人が参加。訓練車両等もパトカー・消防車などの車両が137台、航空機11機、船舶5隻という大規模な訓練です。
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東日本大震災直後の昨年も参加していましたが、それから1年を経て訓練内容もちょっとずつ進化しておりより実践的になっているように思いました。
具体的には原子力災害対策、離島からの住民避難訓練、小中学校における緊急地震速報対応訓練、海上・沿岸がれき火災防御訓練などが新しい訓練種目に加わっています。
つい先日福岡県は九州電力と原子力安全協定を結んだばかりですが糸島市から約20キロ離れた所に佐賀県玄界原子力発電所が存在しており、県内で一番原発に近い地域。そのまさに糸島の地で原子力災害対策訓練が初めて行われる事は本当に重い意味があります。その訓練内容は

九州電力玄界原子力発電所において、地震により原子炉が自動停止し、その後、炉心冷却機能を失ったことから、このままの状態が続けば炉心が損傷し、放射性物質が放出される事態に至る恐れがあるとの想定で、住民の広域的な避難訓練などを行う。

訓練自体の見た目は地味ですが、かなり生々しい想定です。上記想定に基づき、糸島の住民の皆さんはバスで別会場の修猷館高校に避難、そこで被ばくに関してスクリーニングをして、必要があれば簡易除染訓練を行いました。

総務部長によると準備期間1年以上、昨年と比べると会場が増えたことも有り参加機関との調整など準備には1.5倍の手間・時間が掛かったそうです。

昨年も書きましたが、自衛隊・警察・消防をはじめ各種機関が災害時に混乱せず指揮命令系統に基づき万全の対応をする為にはこのような総合訓練は非常に重要。来年は筑後地域で開催予定との事です。消防団や一部住民の方には参加要請があるかと思いますが、それ以外の一般見学もOKですので、興味の有る方は是非お越し下さい。

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そして今年も頂きました、炊き出しカレー!炊き出しにご協力頂きました糸島市の皆様、子供からお年寄りまで安心して食べられる優しい味でとっても美味しかったです!ごちそうさまでした!

市長と議会の役割分担

Twitter、Facebookの積極的活用をはじめ、震災がれき受入表明などで全国的に有名な佐賀県武雄市の樋渡啓祐市長。
個人的に市政にかける情熱、歯に衣着せぬ物言い、思い立ったらまず行動に移すスピード感に敬服しております。しかしながら本日のブログにある下記の発言は議会の立場からすると看過するわけにはいきません。

地方議会。あまり知られていないんですが、この議会なるもの。強大な権限があります。それは「議決権」。首長には決定権というのは無いんですね。あるのは、役所の人事を除けば、政策の提案権だけ。決めるのはあくまでも議会。そして、議会の決めたこと(議決事項)を誠実に執行する義務が、首長には課せられています。これを、俗に執行権と言いますが、権利じゃ無く義務のような気がします。

引用元: 武雄市長物語 : 地方議会の工夫

これ二元代表制である地方自治の仕組みを蔑ろにするような発言です。樋渡市長自身、元総務省の官僚ですから地方議会のイロハは十分承知の上で武雄市議会に対する牽制の意味を含む発言と思いますが、今や全国区の著名人として影響力を持った方ですから発言は慎重にして頂きたいと思います。

「二元代表制」とは予算や政策の提案権者である首長(知事・市町村長)と、その提案について議決する議員、それぞれを有権者が直接選挙で選出する制度です(国会については「議院内閣制」で検索して調べてみてください)。

樋渡市長の発言通り、地方議会には「議決権」つまり最終的な決定権があります、が、何を決定する権利かというとそれは首長(市長・知事)から提案された予算・政策についてYesかNoかを住民の代表として審議・議決する権利です。

噛み砕けば、お小遣い500円の使い道を提案するのが樋渡市長、その提案を審議して承認するのが議会です。樋渡市長には「今日のお小遣いの総額は500円。ジュースに120円、週刊少年ジャンプ250円、残り130円でお菓子を買います」と詳細を提案する権利がありますが、議会にはありません。あくまで議会は住民の代表として市長や知事の提案するお小遣いの使い道について審議しそれで良いのか駄目なのかを「議決」する機能しか無いのです(厳密には提案された予算を「修正」する事も可能ですが、首長に拒否権が有り現実的にハードルが高いのでここでは端折って説明しています)。

提案権者である市長が提案した予算や政策について、議決権を持つ住民代表の議会が議決する事によってその提案は意思決定され実行されるわけです。
樋渡市長はブログで「議会の決めたことを誠実に執行する義務が首長には課せられている」と仰いますが、そもそも議会が決めるのは首長の提案を承認するかしないかなのです。また、それを「執行権と言いますが、権利じゃ無く義務のような気がします。」と仰いますが、自分で提案したことを議会が承認して、それを執行することについて「権利じゃ無く義務のような気がします」というのは地方自治の二元代表制に照らしても矛盾しています。

一方で議会側も一旦自らが議決したことについては淡々と執行を見届けるのが当然ですので、当該エントリーに記載された「市民病院の民間委譲は「議決」されていたのに、一歩前に提案した私に対して、リコール。」との部分はもう少し詳細が説明されていたり、過去からこのブログの読者なら違う反応をするのかも知れませんが、このエントリーだけを読む限り上述したような想いを抱きます。

(追記 2012.5.31 8:10)
朝起きて読み直して、一部取り消し線で修正しておきます。確かに議会で議決された事は誠実に執行されなければならない訳で「権利じゃ無く義務のよう」という表現はある意味間違ってません。ただし執行する権利は首長にしかなく、やっぱりそれは「執行権」。つまり執行するのは権利であると同時に義務でもあり私の「二元代表制に照らして矛盾している」という言い方は正確では有りませんでした。単に「矛盾を感じる」と書くべきでしたね。関連した部分も取消し、お詫びして修正します。

政治学級二十日クラブと梅野家歴史資料館

先日はみやま市の政治学級二十日クラブにお招き頂き県政報告懇談会を行いました。
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これは福岡県で昭和41年に発足し、有権者の政治意識を高めるための政治学習を行う「まちの政治をみつめよう学級」の一つです。特定のイデオロギーや既存政党等の背景はなく、市の選挙管理委員会と生涯学習課が所管しています。メンバーは現役を引退された先輩方を中心に15名。月一回の定例会以外に街作りの事業を含め活発に活動されており、正直議員歴の浅い私にしてみれば「手強い相手」?心して準備をし当日に臨みました。

その模様は政治学級二十日クラブのブログで詳しくご紹介頂いておりますのでそちらをご覧下さい。しかし普段から高い意識で地元の政治を勉強されていらっしゃるだけあり、ご熱心に私の講演に耳を傾けて頂き、また質疑応答もポンポン飛び出し、10時から13時まで約3時間喋りっぱなしの盛り上がりに盛り上がった懇談会となりました。
質問の内容も非常に前向きで、意見交換をする中で私も多くのヒントを頂きました。

議員は有権者の鏡です。この様に地元の政治に目を向ける方々が増えて、有権者と議員がお互いに切磋琢磨するような環境が整えばきっと地域は良い方向に進んでいくと思います。今回は貴重な機会を頂き本当に有り難うございました、また是非やりましょう!

懇談会の後は、会場となった梅野家歴史資料館をご主人の梅野様よりご案内頂きました。
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国指定遺跡である女山神護石が裏山にある梅野様が地域の歴史的資料を個人で管理・保管されています。
DSC00625DSC00626DSC00631DSC00628中にはこんな素晴らしい庭園も(↓クリックすると大きな画像が見れます)。
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しかしながら個人で資料の管理から裏山の整備、そして庭園の手入れをするのは本当に大変だそうで、それでも地域の歴史を大切にしたいという梅野様の情熱には頭が下がります。

政治学級二十日クラブの懇談会でも申し上げましたが、やはり住民が自分の住んでいる地域を愛していることが地域活性化には重要だと思います。そして地域を愛する気持ちを育むには、その地域の歴史を知ることが土台になるのではないでしょうか?その為に草の根で頑張っておられる皆様に敬意を表しますと共に、どのような形でお手伝いできるか考えていきたいと思います。

地方分権改革シンポジウム参加(後編)

昨日のブログの続きです。
地方分権改革シンポジウムの第二部は基調講演を行った片山善博前総務大臣がコーディネーターとなり「国出先機関の移管実現と地域の自立」をテーマにパネルディスカッション。パネラーは神野直彦東京大学名誉教授、井戸敏三兵庫県知事、嘉田由紀子滋賀県知事、古川康佐賀県知事、村上仁志関経連地方分権委員長、松尾新吾九経連会長とこれまた錚々たるメンバー。
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以下、備忘録↓

神野教授:
○出先機関改革は諸刃の剣。デザイン次第では強烈に国の権限を強くする場合もある。
○今回のアクションプランにも機関委任事務(法的にはあくまで委任した「国の事務」であって、「地方公共団体の事務」とは観念されない事務)的コンセプトを持ち込まれようとしてた。最終的には消えたが、これをやられると折角の権限委譲は骨抜きになる。今後も注意が必要。

井戸知事:
○関西広域連合設立の背景は、関西全体で取り組むべき観光や防災など多くの課題について関西として取り組む主体が無かった。そこで国の対応を待たずにとにかく受け皿を用意して国を動かす為に関西広域連合を作った。
○関西広域連合の委員会は知事、議会は各県議会議員で構成される。つまり住民の意思が反映されやすい仕組みになっている。

嘉田知事:
日本は成長社会から成熟社会へ移行している。成長社会は富の分配を政治は考えれば良かったが、成熟社会ではリスク・負担の分配を考えなければならない。現状のような決定機関が現場に無い仕組みではタイムリーな判断が出来ない。

古川知事:
JR九州とNEXCO、DoCoMo九州とNTT西日本、どちらに親しみがあるか?私は地元九州に本社があるJR九州・DoCoMo九州に親しみを感じるし、地元の感覚に近い判断が出来るのは大きなメリット。

片山氏:
東京は国が乗り出して地域全体のデザインをやっている。関西は誰がやる?近畿整備局?これが進歩の違い。

神野教授:
将来的に財源の問題が立ちはだかる。
フランスの広域連合は課税権がある
スウェーデンは現在道州制の実験中だが、課税権もあるし財政高権もある
EUは通貨高権はあるが財政高権は無い
日本はアクションプランに財源関連の記述はたった一行しかない。

以上、まとめ終り。
雑駁な備忘録ですが、興味の有る方は別途質問して下さい。分かる範囲でお答えします。

ところで大きく話は変わりますが、この動画面白い

橋下徹大阪市長とMBSの女性記者の5月8日登庁時市長囲み取材における「君が代問題」に関するやりとりです。
このインタビューを元にこんな新聞記事が出来上がります

大阪市の橋下徹市長(42)は8日、登庁時の記者団のぶら下がり取材で、大阪府が施行した君が代起立条例に関して“逆質問”を繰り返し、30分近く、まくしたてた。「ここは議会とは違う。対等の立場」「質問に答えなければ回答はしません」「答えられなければここへ来るな」などとヒートアップ。登庁時ぶら下がり取材の全時間、キレ続けた。また同日夕、府市統合本部の会議後に開いた会見でも、終了間際に橋下氏自らこの件を切り出し、約20分にわたり持論を展開した。(以下略)

橋下市長が記者に30分の「公開口撃」 2012年5月9日9時25分 日刊スポーツ

自分は、正直な話、橋下市長について首をかしげる部分も多いのですがこういう訳の分からないマスメディアの取材姿勢と印象操作のカラクリが見えてしまうと多くのまっとうな国民は橋下市長擁護に回るだろうなぁと思います。
このオリジナルのやり取りを元にMBSがどんな編集映像を造り出し「報道」するのか興味津々です。5月11日毎日放送で夕方放送のVOICEで特集されるとのこと。

昔ならテレビに出た画像、新聞の記事、それが我々一般人に伝わる事実となっていましたが、今は一次情報に直接アクセス出来るのが良いですね。取材される側もすべての情報ソースを公開する事により自分を守る事が出来ると思います。