【総務企画地域振興委員会管内視察 糟屋郡・太宰府市】

【総務企画地域振興委員会管内視察 糟屋郡・太宰府市】
私が委員長を務める総務企画地域振興委員会にて糟屋郡新宮町と太宰府市を視察しました。備忘録代わりに纏めておきます。

糟屋郡新宮町「新宮中央駅を活用したまちづくりについて」
新宮町福田副町長よりご説明を頂きました。新宮町は戦後、工業地帯として開発が進み、その結果町の中心部は市街化調整区域となり開発が遅れていました。また平成11年に下水処理場(浄化センター)をその地区に建設することで住民と合意。これを機に都市計画マスタープランを変更し、この地域を中心ゾーンとして位置付け。浄化センターにありがちな迷惑施設のイメージを払拭し「環境共生の核」とし、更にJR新宮中央駅を誘致。コンパクトシティーの核として位置付け、市街化調整区域を市街化区域へ編入することで住宅系及び商業系の土地利用に成功。今では毎年約1000人人口が増えていると言われる程の凄い街並みになっていました。
私自身、6年ほど前にJR新宮中央駅を利用した経験があったのですが、その時はなーんにもないガラーンとした空地状態。それが今じゃIKEA、カインズ、ユニクロ、ABCマート、コスモス、スシロー、スターバックスなどなど有名店舗が建ち並び、その周辺に大きな公園とマンションが林立。浄化センターも全くそれと思えない外観で街並みに溶け込んでいました。北九州と福岡の中間点にあるという立地条件もさることながら、これだけスピード感をもってマスタープランから市街地整備事業が行われ、更に成功しているのはただただ圧倒されます。

「IKEA福岡新宮の省エネ、再エネ等への取り組みについて」
同じく新宮町新宮中央駅前のIKEA。2012年の営業開始から早4年ですが、今でも土日は大混雑の盛況ぶり。買物に行かれたことがある方も多いのでは。私は初めてのIKEA体験でしたが、決して買物行ったのではなくIKEAが取り組み地中熱や太陽光などを利用した省エネ・再エネへの取り組みを視察してまいりました。
IKEAは開業当初から太陽光パネル4840枚、発電容量750kwの太陽光発電と、熱交換器を地中100mに70本埋設し冷却能力527kw、加熱能力530kwの地中熱利用を行っています。太陽光発電は全て売電していますが、地中熱利用については店内空調への活用をすることによって消費電力量を従来のシステムから38%削減しました。
単に地中熱を利用するだけでなく、そのオペレーションにノウハウがあり、例えば夜間も冷房する事によって蓄熱し効率を高めるなどきめ細やかな運用改善で環境に優しい独創性と普及性がある省エネを実現。省エネ大賞2015で審査委員会特別賞を受賞するなど、様々な賞を受賞しています。

太宰府市文化ふれあい館「日本遺産認定までの取り組みと今後の活用」「観世音寺地区歴史的風致維持向上地区計画」
世界遺産は皆さんご存じでしょうが、文化庁が進める「日本遺産」というのがあります。日本遺産とは我が国の文化・伝統を語るストーリーを認定するもので、ストーリーの中核に地域の魅力として発信する明確なテーマを設定。従来の文化財行政が個々の遺産を「点」として指定・保存していたのと違い、点在する遺産を「面」として活用・発信、地域のブランド化やアイデンティティの再確認を促進するものです。
太宰府市は地域に点在する天満宮や太宰府政庁跡などの文化財をストーリー化し平成27年4月に「古代日本の『西の都』〜東アジアとの交流拠点〜」として日本遺産に認定されました。認定されるには単に物語を羅列するのでなく、今までに無いストーリーで新たな魅力付けに苦労をされたそうです。
認定されたストーリーは此方で読むことが出来ます↓
http://www.dazaifu-japan-heritage.jp/nihon_isan/index2.php
また、太宰府市は歴史的文化遺産が数多く存在し、史跡や建物を含めた街並み景観の保全を図ってきましたが、「歴史的資源を活かした地域の活性化」が今後の課題とされるなか、朱雀大通り・政庁通り周辺の観世音寺地区の新たな地区計画を進めているところです。
ここでも新宮町同様「都市計画」がキーワードになってきます。
太宰府市では住環境を護り、同時に文化遺産を活かし、来訪者の回遊性を高める為に新たなルール作りを行い、それを「歴まち地区計画」と呼んでいます。今まで都市計画の中でも一番厳し第一種低層住宅専用地域だったのを、現状の用途地域を変えること無く、歴史的風致にふさわしい建築物に限って用途を緩和出来るようにしたのが特徴です。「住環境維持」「文化遺産活用」「来訪者の回遊性向上」という3つの相反する課題を一気に解決することは大変難しいですが、都市計画によって10年後20年後により良い形で穏やかな変化を目指していらっしゃいます。
また、こういう用途制限は地元住民の皆さんにとっては不自由な部分もあり、反発などがつきものですが、太宰府市民の皆さんはきちんと折り合いを付けながら歴史的財産を大切にされている事に感動しました。

日帰りの慌ただしい視察でしたが、ご対応頂いた皆様大変有り難うございました。
今後の総務企画地域振興行政の参考として大いに活用させて頂きます。