平成28年決算特別委員会「中学校の学力向上における定期考査などの役割について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 ことし三月に行われた予算特別委員会で、私は全国学力調査の小学校六年生と中学校三年生の追跡調査の結果、中学校における学力の伸び悩みと、その伸び悩み方も地域間で特徴があることを指摘しました。この流れの中で、本日は中学生の学力向上における定期考査などの役割について質問します。
 さて、中学校における定期考査の目的は何でしょうか。

◯井上忠敏委員長 相原義務教育課長。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の目的は主に二つ、一つは生徒の学習状況、知識、理解や思考力、判断力、表現力等の観点から評価することでございます。もう一つは、評価した生徒の学習状況をもとに、授業での指導のあり方を改善したり、補充学習で重点的に取り扱う学習内容を決定したりする際の資料として活用するなど、学習指導に生かすことでございます。

◯板橋 聡委員 定期考査前の生徒は、授業を理解したかが問われるからこそ一生懸命机に向かいます。私もそうでした。相原課長御自身はいかがでしたか。

◯相原教育庁義務教育課長 私も、定期考査の前は特に一夜漬けといいますか、そのような面もあったかと思いますが、特に定期考査の前に学習に向かう、そのような姿勢で取り組んでおったように記憶しております。

◯板橋 聡委員 特に中学一年生の一学期は、小学校を卒業して初めての中間考査に臨むということで、中学校での学習のリズムが確立される、生徒の学習習慣づくりという意味合いもあります。そのような視点から、定期考査の意義をどう認識されていますか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査までの学習内容を振り返り、理解を深めるとともに、その結果を通して習得状況をみずから確認し、自主学習や補充学習に臨むなど、定期考査を通して主体的な学習課程を経験すること、これが生徒の学習習慣の形成に大きく寄与するものと考えます。

◯板橋 聡委員 ここで、中学校における定期考査の実施状況に関する資料を要求いたします。委員長、お取り計らいのほどお願いします。

◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯相原教育庁義務教育課長 直ちに提出いたします。

◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。

◯相原教育庁義務教育課長 お手元の資料1は中学校における定期考査の実施回数を、資料の2はその違いに応じた全国学力調査の正答率について、各教育事務所の別にまとめたものでございます。

◯板橋 聡委員 私は、定期考査というのは一学期に二回、二学期に二回、三学期に一回、年五回行うのが当たり前と思っていましたが、時代は変わったのでしょうか。実際は定期考査の年間実施回数が四回と五回の学校がおよそ半分ずつあります。典型的な定期考査の時期はどうなっていますか。また、年四回の実施になっている理由は何でしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 まず、二学期制が近年採用されてございます。この二学期制の学校では、各学期の中間と期末で行う考えのもとに、全体で計四回となっています。
 次に三学期制の学校でございますが、二学期の中間と期末、三学期の学年末で行われております一方で、一学期は期末のみで行われる場合と、中間と期末で行われる場合とがございまして、四割の学校で計四回、六割の学校で計五回となっております。この一学期の中間で実施されない理由としては、四月から中間まで、そして中間から期末までの期間がともに短く、学習内容が少ないことが考えられます。

◯板橋 聡委員 定期考査が年四回の学校と年五回の学校とで、学力調査の結果に違いはありますか。

◯相原教育庁義務教育課長 資料の2でございますが、正答率を見ますと、福岡、北九州及び北筑後の各地区では年五回の学校のほうが若干高く、南筑後、筑豊及び京築の各地区では年五回の学校のほうが若干低いという傾向が見られます。県全体としては、両者に有意な差があるとまでは言えないと考えております。

◯板橋 聡委員 実は今回の質問に当たり、私は先入観を裏切られたんですね。年五回やっている学校のほうが確実にいいだろうと。年四回というのは何だと、授業を進めるのがちょっと怠慢じゃないかとか、そのようなことを言おうと思っていたらこういう結果で、やはりデータをしっかり読み解くことは大事だと感じました。
 とはいえ、得るものもありました。塾などの学校外の教育環境が整っております都市近郊の福岡地区、北九州地区、久留米を含む北筑後地区と、余りそういった塾などの学習環境が整っていない南筑後、筑豊、京築のような郊外の地区とで、きれいに真逆の傾向が見られます。また、特に南筑後地区においては、定期考査回数が年四回と年五回では有意な差が発生しているという特徴が見られます。定期考査は年に五回が昔の定番ではありましたけれども、回数や出題の形式の変遷、生徒の学習状況への影響をどういった手段により把握し、今まで認識をされてきたのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の実施状況につきましては、今回お配りしたこの資料が恐らく初めて調査したものでございます。県としてこれまで継続的に調査したものはなく、全国的なデータもございませんことから、詳細な分析はできてございません。

◯板橋 聡委員 学生時代の自分にとって定期考査というのは物すごく重いものでしたけれども、教育委員会側の目線ではきちんとした調査分析が全国レベルでなされていなかったということに、ちょっと驚きました。
 この点については別の視点からも後ほど述べるとして、まずは地域ごとの実情分析を行って、その上で生徒の学習状況の評価や学習習慣、意欲の向上を図るという定期考査の目的が達成されるように、各学校において、学校の都合ではなく生徒の目線から、定期考査やそれにかわる指導、家庭学習のあり方を総合的にデザインするべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査にあわせましての部活動の休養期間や家庭学習の推進期間、あるいは補充学習の機会を設けたり、あるいは日常的にレポートや小テストの活用、家庭学習の指導等を充実したりするなど、学ぶ意欲の向上や学習習慣の形成に資する取り組みを総合的に充実する必要があると認識しております。

◯板橋 聡委員 二〇一五年の国勢調査において、福岡市を除いた県全体の人口は約五万人減となりました。私も議会で何度もお話ししておりますけれども、人口減少社会が避けられない中、これまで以上に個人個人が、基礎的知識ではなく、みずから問題を発見し解決する能力を備えなければ、福岡の地方創生を支えることはできません。
 その意味で、定期考査を生徒の総合的な学習向上と授業の改善につなげるためには、思考力、判断力を問う全国学力調査の中にもある、すぐれた過去問を積極的に授業と定期考査に取り入れるなど、質の高い定期考査に変革していくことが必要ではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査におきまして、思考力、判断力、表現力等を適切に評価していくためには、明確な評価基準を設けて、また記述式を導入したりするなど、質の高い問題を作成するための工夫と努力が不可欠でございます。今後、各中学校において、全国学力調査や県作成の教材集等が授業や考査問題作成に一層積極的に活用されるよう、管理職の研修会を通じて指導を行ってまいります。

◯板橋 聡委員 定期考査以外にも中学校ではさまざまな実力テストがありますが、実施状況はどうなっているでしょうか。
 また、小学校の違いとして、全国学力調査よりも民間のテストを重視する傾向も一部にあると聞きますが、それで果たしてよろしいのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 中学校では、第三学年の全国学力調査のほか、県におきまして第二学年で県学力調査、各学年で年二回、主に活用力を問う診断テストを実施しております。
 また全市町村におきまして、さまざまな教科、学年で、民間の学力検査等が独自に導入され、第一学年、第二学年では年一・五回、第三学年では年三・四回程度実施されております。この民間検査は、市町村の選択によってその趣旨や問題形式、時期等が異なっており、あくまで生徒の学力実態をきめ細かに把握したり、進路指導の参考資料に用いたりする、そういった利点を生かすものと考えます。

◯板橋 聡委員 以前も指摘しましたけれども、これまでの全国学力調査の状況から考えると、特に中学校については市町村教育委員会や学校の目標管理が甘く、県教育委員会が求めている検証・改善サイクル、いわゆるPDCA──プラン(計画)・ドゥ(実行)・チェック(評価)・アクション(改善)、これが機能していないとしか考えられません。県教育委員会としてどのような対策を講じているのか、御披瀝ください。

◯相原教育庁義務教育課長 各中学校に作成をお願いしております学力向上プランにつきましては、今年度から検証・改善サイクルをより意識した様式に改めたところです。また、各教育事務所での研修会、指導主事の学校訪問の実施に当たりまして、今年度、特に学力向上プランの具体的な改善例を事務所に提示したり、目標の適切な設定や全校的な取り組みの具体化などの助言を強化するよう指示したりし、PDCAを重視した取り組みを進めております。

◯板橋 聡委員 中学校の検証・改善、つまりPDCAサイクルを強化する前提として、チェック、つまり評価・分析に不安があります。市町村が時期も業者もばらばらで行う民間検査に依存せず、小六の四月から中三の四月まで、どのような段階でどのように学力が低下しているのか、これは私が三月の予算特別委員会でも質問させていただきましたけれども、小六の四月から中三の三月に向けて、県内ではがくっと中学生の学力が落ちているわけですね。そういう意味で、全国学力調査と同じ観点から継続して学力の推移を把握するシステムを、県の責任においてつくるべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 昨年度から県学力調査を、国と同じ教科で、そして全学年で実施いたしておるところでございますけれども、その県学力調査と全国学力調査の結果から、同じ集団の学力変化を分析したり、県学力調査の結果をもとに翌年の全国学力調査の目標を設定したりする取り組みについて、各市町村中学校に周知を図りたいと思います。また、生徒の入学時からの学力状況を把握していく観点から、今後、県学力調査や診断テストのあり方の見直しを検討したいと考えております。

◯板橋 聡委員 県では平成二十七年度から、県学力調査を小学校五年と中学校二年生で行うようになりました。小五から小六、中二から中三の成績の変遷は、これによってある程度把握できるようになりました。しかし、いわゆる中一ギャップが問題視される中、中一においては学力調査がありません。
 もちろん学力調査を行えば、教育委員会にとっては、目標達成できない場合は、本日の午前中の我が会派の質問のように活を入れられるわけで、大変厳しいのは理解できます。しかし、きちんとした基準を持って具体的な成果を評価・分析できれば、何が効果があって、何が効果がなくて、あるいは成功事例や失敗事例を学び、適切な改善活動を行えるほうが、現場の教師にとっても教育委員会にとっても、暗闇の中で禅問答をしているよりも、精神的にも時間的にもよほど生産性が高く、生徒にとってもよい効果が期待できるのではないでしょうか。
 そのことを踏まえて、地域ごとの学校や生徒の特徴に合った形で、定期考査の改善や学力調査の継続的な実施を初めとする具体的な方法論を伴う施策が展開されることを期待して、改善の兆しが見えない中学校の学力向上に向けての教育長の決意を問います。

◯井上忠敏委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 本県では、小学校に比べまして中学校の学力状況に大きな課題があるわけでございます。この改善を図ることが、県民の教育への信頼を回復させる一つの重要な課題であると考えております。中学校の学力向上につきましては、私自身、各学校の組織的な取り組みが十分に行われていないのではないかと考えておりまして、教員の意識改革の面、それから授業力・指導力の向上の面、学校や生徒を取り巻く環境の面、こういった観点から見直しを進めているところでございます。
 今後は特に成果を出している学校につきまして、定期考査あるいは小テスト等の実施や過去問の活用の工夫、そういった具体的な取り組みを詳細に把握した上で、地域の実情を踏まえた分析と、関係者との意見交換を行いながら、実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 義務教育を主管する相原課長、そして教育現場のトップである城戸教育長から力強い答弁をいただきました。今回の決特の中で、住んでいるだけで健康寿命が延びる足立区というフレーズを私は非常に気に入っているんですけど、住んでいるだけで成績が伸びる、人間力を育てる福岡県にしていただきたい。
 しかしながら、若干不安がございます。私は大河ドラマ真田丸が大好きなんですけれども、昨晩は徳川軍との戦いに備え、軍議を開くシーンでした。真田幸村を初めとする武将たちが議論を重ね、豊臣秀頼公が打って出ると力強く決断するんですね。それを淀殿に報告すると、籠城とあっさりひっくり返されるわけです。学力調査等は予算を伴います。小川知事が豊臣家を滅亡に向かわせる淀殿なのか、雄県福岡県の礎を築いた黒田長政なのか、ぜひ確かめてみたい。知事保留をさせていただきたく、お取り計らいをお願いします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成28年決算特別委員会「市町村合併に伴う商工会のありかたについて」

◯板橋 聡委員 自民党福岡県議団の板橋聡です。
 福岡県には約十四万社の中小企業が存在しており、全雇用の八割を担っております。まさに、本県の地域経済を支えているのは中小企業ということで、安倍政権が掲げます一億総活躍社会あるいは地方創生を推し進めるためには、中小企業が元気になることが不可欠だと私は思っております。
 そして、地域で中小企業を支えているのが商工会です。原則として市町村単位で設置されている商工会は、十年前の平成の大合併を契機に各地で合併が進んで、組織の拡充や経営の効率化が図られておると聞いておりますが、一方で新たな問題も発生しております。
 本日は、その観点から、市町村合併に伴う商工会のあり方について質問をしたいと思います。
 商工会は、商工会法により、地区内の商工業の総合的な改善・発達を主目的に、経営指導あるいは講習会などを実施すると規定をされておりますけれども、県として商工会をどのように評価されているか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 古川中小企業振興課長。

◯古川中小企業振興課長 商工会は、個々の中小企業の活動に対する支援のほか、まちおこし事業など地域活性化を図っていくための取り組みも行っております。
 県といたしましては、商工会は地域の中小企業と地域経済の両者を支える重要な存在であると考えております。

◯板橋 聡委員 課長に答弁いただいたとおり、まさに商工会は中小企業を支える大切な団体です。また、経済を初めとする地域活性化を含め、重要な役割を果たしていると私も思っております。
 その中で、前述のとおり、商工会は市町村単位で設置されておるわけですけれども、平成の大合併が行われたことを契機に、商工会の合併も進んだと聞いております。具体的には、何件の合併が行われたのでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、市町村合併に伴い、商工会の合併も進んでおります。平成十八年からこれまでに十七件の合併が成立いたしまして、平成十七年当時、八十一あった商工会は、平成二十五年度までに五十二商工会となって、現在に至っております。

◯板橋 聡委員 市町村合併の結果、商工会の合併は進んでおるようですけれども、一方で、商工会を持った町と商工会議所があった市が合併した場合は、そのまま商工会と商工会議所が新しい市において、そのまま併存しているケースがあります。
 県は、この状況をどのようにお考えでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 市町村と商工会、商工会議所は、密接に連携して地域の商工業の振興を図る必要がございますので、そのためには、両者の区域が一致することが望ましいと考えております。
 しかし、商工会は商工会法、商工会議所は商工会議所法に基づいて設置をされておりまして、商工会同士あるいは商工会議所同士の合併については、それぞれの法律に規定がございますけれども、商工会と商工会議所の合併に関しては規定がない状況にございます。
 このため、両者が合併しようとする場合、一方が解散する吸収合併以外に道がないという問題に加えまして、両組織の成り立ちや実態的に組織運営等に違いがあるため、県といたしましては、商工会と商工会議所の合併は当事者間の話し合いに委ねることとしております。

◯板橋 聡委員 これは非常に難しい問題で、御答弁のとおり、当事者間の意向を尊重する姿勢というのは理解いたします。しかしながら、人口減とか、あるいは経済環境の変化など、将来的に先送りしているだけで、当事者間で、なかなか話が前に進まなくなる可能性というのもゼロではございません。
 そういう意味では、県の関与が必要になってくる可能性は十分にあると思いますので、これは今後の課題として、しっかりと把握をしていただき、注視を続けていただきたいなと思っております。
 商工会の合併によって、スケールメリットとか、あるいは組織力、財政力の向上が期待をされております。一方で、会員支援力の向上が会員や地域活性化において最も大切な効果と私は考えております。
 商工会が合併したとしても、企業の数は一気に減ったりするわけではございません。財政力の向上を追求する余り、経営指導員を削減するといった無理なコストカットがあっては、本末転倒となります。指導員の数が減ると一人当たりの負担がふえて、結果として商工会のかなめである経営指導に支障が出ることを危惧しておりますけれども、その点、現状はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 合併によりまして、商工会の運営や小規模事業者の支援に支障が生じないよう、商工会の職員の配置につきましては、例えば、通常、小規模事業者数三百以下の場合の定数が一であるところを、合併商工会については二百以下を一にするなどの特例措置を設けて対応いたしました。
 また、このような措置によっても定数が減少する商工会につきましては、職員が退職するまでは過員として配置をしておくことができるようにしまして、商工会の職員数が減らないように配慮したところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、それは退職者が出るまでは人員はしっかり確保できると。一方で、退職しても新規採用ができないということを意味しております。職員数の維持という点では、確かに意味があると思うんですけれども、いずれ皆さん年を重ねて定年退職をすると。そうすると指導員の新陳代謝が起こるわけでして、経営指導員の年齢構成が逆三角形、頭でっかちのような状態になりますと、若い指導員を育成するという面で問題があるなと感じております。
 経営指導員の指導力向上、すなわち会員支援力の向上は、先ほど申しましたとおり、地域活性化の肝であると思っております。県として、こういった指導力、あるいは会員支援力の向上に対してどのような対応が考えられますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 委員御指摘のとおり、特に規模の小さな商工会におきましては、指導者の年齢構成に隔たりが生じやすいという実態がございます。
 そこで、平成二十二年度から商工会の組織体制の強化と人事異動による職員能力向上を図るため、商工会職員の採用や人事異動、人事配置を福岡県商工会連合会で一括して行うように改善を行っており、現在、毎年十五名程度を採用しております。また、指導員の経験や年齢構成等を考慮いたしまして、商工会間の人事異動も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 これは、教育の問題でも同じだと思いますけれども、今、非常に先生の指導力が落ちてくると、学生あるいは児童の学力に影響が出てくるというのが非常に取り沙汰されております。
 そういった意味では、地域の中小企業というのは、なかなか、そういった経営に関する知識、知見あるいは経験というのが得にくい環境にありますので、やはり、こういった部分で指導力をしっかりと高めていくというのが地域経済の活性化には絶対必要だと思いますので、この点、しっかりやっていただきたいと思っております。
 ちょっと視点を変えまして、次に、商工会が所有する施設について質問をいたします。
 合併した商工会の所有施設については、支所として継続して活用されているところもあれば、施設の統合によって効率化を図るために廃止をするところもあると思いますけれども、県内の状況はどうなっておりますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 平成十八年度以降これまでに、四十六の商工会が合併で再編をされました。このうち、現在も支所として維持しているのは、十一商工会、十九支所となっております。
 また、施設の廃止につきましては、合併時期に合わせて廃止したものは三件、合併後、一定期間、支所を維持した後に廃止したものは、ことし九月末をもって支所を廃止しました、みやま市商工会など七件となっております。

◯板橋 聡委員 商工会が、財政力の向上という観点から合併の効果を上げるために支所を廃止しようとしても、過去に国、県の補助金を活用して建設された建物の場合、その用途あるいは売却など制約が非常に多いと聞いております。
 例えば、私の地元みやま市の商工会は、市町村合併と同時に三つの町の商工会が合併して誕生しております。昨今、支所の用途を変更して研修センターにしたいという計画が持ち上がっているのですけれども、建設に補助金を利用していたために、いろいろと制約があって難航しておるという相談を受けております。
 このような合併効果を上げるために商工会館の用途変更といったことをする場合の活用について、県としてもうちょっと柔軟に対応するべきところもあるかと思いますけれども、御意見いただけますでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国、県の補助要綱では、建設費補助の対象となる施設は、商工会の指導施設及び原則として指導施設に接合した研修センター、特産品展示などのための施設に限定をされております。県としましては、現要綱をできるだけ柔軟に解釈することで、商工会館の効率的な運用、活用を図っていただきたいと考えております。
 ただ、商工会館の建設に当たっては国も補助を行っておりますので、要綱の解釈につきましても国との協議が必要となってまいります。例えば、先ほど御指摘のみやま市商工会の場合は、支所廃止後の旧山川町の商工会館を商工会の研修センターとして活用したいという御意向でございますので、県といたしましても、この方向で国と協議を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 環境の変化に対応するため、合併したにもかかわらず、過去の補助金の制約等により前向きな改革が遮られることがないように、みやま市のみならず、福岡県下全てで柔軟な対応をお願いしたいと思います。
 一方、合併した商工会の多くは、今でも複数の商工会館を保有しております。今後、効率的な商工会運営のために支所を廃止したいとか、そういったケースもふえてくるのではないかと予想をされます。
 抜本的な対応策として、商工会館の処分に際して、例えば、補助金の返還基準とか他の施設への転用の要件について、大幅に見直すことが必要なのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯古川中小企業振興課長 国庫補助を受けて建設した商工会館の処分につきましては、国において要件や手続を定めておりまして、その原則に従って行われる必要がございます。
 事業者数が減少する中、今後、商工会の職員定数も減っていくものと考えられ、小規模事業者への巡回指導などの支援機能を維持、強化するため、支所を廃止して職員を一カ所に統合し、不要となった商工会館の処分を望む商工会も将来的には出てくるものと想定されます。
 このため、こういった地域の実情を踏まえまして、商工会館処分の際の補助金の返納基準あるいは他の施設への転用要件の見直しにつきまして、国に要請してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、福岡県として国に対する要請、力を込めてやっていただければなと思っております。
 地域の中小企業、地域経済を支える商工会の役割、それについて合併に伴い、どういう効果があるかというのを今、いろいろお話をさせていただきました。やはり、商工会の支援機能の維持、強化のためには、経営指導員の資質向上、こういったものが非常に大事でございますし、それを実現するために、施設の運用等々で財政面でも強くなる、あるいはスケールメリットがとれるような運営をしていくことが非常に大事だと考えております。
 県が今後、商工会に対して、その取り組みに対して部長としてどう考えるか、最後、御意見いただけますでしょうか。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から冒頭にお話ございましたように、福岡県の中小企業でございますけれども、県内企業の九九・八%、それから雇用の面でいきますと約八割を担っていただいておりまして、県経済の発展、まさに活力の原動力となっております。こうした地域の活性化を図っていくためには、中小企業の成長、発展が不可欠だと考えております。
 この中小企業の成長、発展を図るため、私どもでは昨年度、中小企業振興条例、それから基本計画を策定して、成長段階に応じてきめ細かく支援をしていくことに取り組んでまいっております。きめ細かく対応していくためには、まさに、中小企業の一番身近な存在でございます商工会の経営指導員の皆さんの質の向上が何よりも大切であると考えております。
 私どもは、そういう意味で、先ほど課長が申し上げましたように、経営指導員の資質向上を図るために、まず、入って間もない若手指導員の研修につきまして、資質を向上させるための新しい取り組みでありますとか、あるいは一定程度、経験を積んだ指導員に対しましても、意欲を高めることにつながるような方策についてしっかり取り組んでまいりたいと考えております。
 もう一つ、施設運用などの問題、商工会合併に伴うさまざまな問題につきましては、まず県で対応できることについては速やかに対応するとともに、制度改革といったような国の改革が必要なものにつきましては、地域の実情をしっかり踏まえて、国に改正を求めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさに、部長がおっしゃったとおり、地域の中小企業が元気になって、そして地域経済に活性化をもたらすためには、商工会、こういったところがしっかりと指導していくというのが非常に大事だというのは間違いないと思うんですね。
 きょう、ずっと塩川委員から筑豊のお話なんかも出ておりましたけれども、やはり地方の中小企業までになかなかアベノミクスの恩恵が届いていないことに関しては、やっぱり商工会なんかがちゃんとそれをドライブしていくような役回りが必要なのではないかと思っております。
 県の政策におきましては、毎年、プレミアム商品券の補助とか、あるいは昨年度つくりました中小企業振興条例とか、いろいろと頑張っているところはありますけれども、どうもお話を聞いていると、県知事からのお話は、今まで中小企業への直接的な支援だとかが非常に多かったのかなという気がして、経産省御出身の県知事におかれましては、商工会議所、商工会とは非常に密な関係を持っていらっしゃると聞いておりますけれども、なかなか商工会のてこ入れ自体に関して、私は余り知事からお話を聞いたことがございません。そういった意味では、そういった商工会に対するてこ入れも含め、どのように県として考えていくかを県知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)