平成25年度予算特別委員会 知事保留質問「水害を解消する防災減災対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 水害を解消する防災減災対策について、知事に質問いたします。
 まず、災害に強いため池整備事業、いわゆるクリーク防災事業についてお伺いします。昨年七月の九州北部豪雨災害後、九月議会における私の一般質問でも、知事はクリーク防災事業について貯留、排水といったポケットとしての防災機能を強化し、生活の安全を確保するためにも必要と評価されており、被災地の住民としては大変心強く思った次第です。
 一方で、平成二十五年度のクリーク防災事業の県単独予算では、約二十三億円から約十二億円と大きく減額されております。平成二十五年度は緊急経済対策もあり、国の予算がふえたが、これがいつまでも続くわけではないと私は思っております。それゆえ、防災減災に資する事業は国頼みではなく、県も独自に予算あるいは計画を立て、確保し、推進していく必要があると考えますが、知事の所見をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 小川知事。

◯小川知事 防災減災対策予算の確保でございますが、ため池整備などの防災減災対策を計画的に実施していきますことは、委員御指摘のとおり農業生産の安定につながるのみならず、農村の防災機能を強化するためにも重要なことでございます。これらの予算は、国の予算に大きく依存しておりますけれども、平成二十二年度、国の予算が大幅に削減されたことから、必要な防災対策を進めるため、三カ年の県単独事業を創設いたしまして、計画的な整備に努めてきているところでございます。最終三年目になりますが、まずはこうした県の予算と、国の平成二十五年度の予算、これらに基づきまして、必要な事業を着実に前進させることが大事であると考えております。
 それから先、今後とも計画的にこれらを整備していくためには、まず国の予算がしっかり措置されることが不可欠であると私も考えておりまして、国に対しては、引き続き、必要な予算の確保の働きかけをしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひよろしくお願いします。
 そもそもクリーク防災事業は平成十一年から開始されたと聞いております。その当時から比べて、頻発するゲリラ豪雨など、気象条件も大きく変わってきております。また、福岡県は施設園芸導入を施策として推進しておりまして、水田がハウスにとってかわってきております。水田ならば、少々浸水しても被害は起こりませんし、それ自体にポケットとしての防災機能がございます。しかしながら、ハウス作物の場合は、少々の浸水でも甚大な被害になります。その点でも湛水被害の原因調査を徹底して行うべきと考えますけれども、知事の所見をお尋ねします。

◯小川知事 湛水被害の原因究明についてでございます。本県の筑後川下流域などは湛水被害の常襲地域であったために、地域ごとに降水量から計画排水量を算定いたしまして、それに基づく規模の排水量あるいは排水ポンプの整備を進めてまいりました。しかしながら、委員御指摘のとおり、近年想定を超えるような局地的な集中豪雨が多発しておりまして、海岸や河川に近い農地におきまして、農産園芸、施設園芸や、大豆などの転作作物に湛水被害が発生しているところでございます。このため、近年の気象データの収集、分析、そして土地の開発によります排水量の変化などを調査いたしまして、整備した排水施設の能力の妥当性を検証していくなど、その地域の実態に即した原因究明にこれから努めてまいります。

◯板橋 聡委員 ぜひ徹底した原因究明を行っていただきたいと思いますが、原因を究明するに当たり、一つ私としては心配なことがございます。水害というのは、河川管理、湛水防除、高潮対策など、さまざまな対策が必要です。しかしながら、これらは管理する法律も違えば所管する部署も農林水産部、県土整備部に点在しております。災害訓練など、ソフト対策を統括する窓口として防災危機管理局が新たに創設されましたけれども、水害におけるハード面の防災減災を統括する窓口を設けるべきではないかと考えますけれども、知事の所見をお聞かせください。

◯小川知事 水害にかかわる防災減災対策のいわゆるハード面での窓口の一本化だと思いますが、県としましては、災害時の対応はもとより、防災減災を進めるためには関係各部局、被害の発生原因と対応策、そして具体的な対応を連携して行っていくことが必要であると考えております。このため、河川や農地など、それぞれの所管部が連携をとりながらこれまで対策を講じてきたところではございますが、今回、非常な被害、災害に見舞われたわけでございます。今回の教訓も生かしながら、私も先月でございますけれども、朝倉地域に参りました際、関係部局の所長に集まってもらって、農林事務所と県土整備事務所に対し、横の連携をよくして県として一体となって現場で対応していくように改めて指示をしたところでございます。現在、農林事務所と県土整備事務所との間で公共事業を円滑に進めていくための連絡調整会議というものを農林事務所ごとに設置させていただいております。今後は、全県的にそれらの情報を収集し、連絡調整に必要な体制を強化していくために、農林水産部の農山漁村振興課にこの会議をしっかり統括させまして、県土整備部とも連携を密にしていきたいと思っております。
 また、現在各地に置かれております連絡調整会議につきましても、新たに防災減災対策が必要な地域の情報でありますとか、対策の内容について認識を共有していく、それを強化する、そういったことを通じて、事務所単位でも的確に対応していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 前向きな御答弁、ありがとうございました。
 知事に三回も私の地元にも御視察いただきました。七月十四日の大水害で沖端川が決壊しまして、町の半分が水につかってしまいました本郷地区にも三回来ていただきました。そちらに、中原巌区長という方がいらっしゃいました。御自身が被災していたにもかかわらず、地元の取りまとめ役として水害直後から現地対策本部で陣頭指揮をとられ、私のもとに被災住民から多種多様な要望が届いて右往左往しておりますと、「県はちゃんとやってくれとると信じとるけん、地元はこっちでしっかりまとめるけん、任せとかんね」と非常に心強いお言葉をいただき、励ましていただきました。こういう方がいるから地方自治は成り立っているんだなと感動した次第です。その後、難航していた決壊箇所の復旧の用地交渉では、地元の協力体制を築いていただき、何とか年度内に復旧工事を発注できるようにこぎつけていただきました。そして、それを見届けるように中原区長は三日前にお亡くなりになりました。これから復旧する安全、安心な沖端川を中原区長に見せることができなかったことが本当に残念です。
 今回、連絡調整会議の機能拡充をお約束いただきましたが、知事、県を信じ、地域を支えるこういう方々の信頼に応え、県民の安全、安心、安定をさらに高める努力を今後も継続していただきたいと要望して、質問を終わります。(拍手)