平成25年度予算特別委員会質問「園芸施設へのチップボイラーの推進・農地の湛水被害を解消する防災減災対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。本日最後の質問になります。執行部の皆様、簡潔明瞭なお答えをお願いいたします。
 大きく二点について質問いたします。
 まず、園芸施設へのチップボイラーの推進について質問します。県はこれまでも重油の高騰に対応し、省エネルギー化施設などの導入を進めてきましたが、どのような対策を行ってきましたでしょうか。

◯原口剣生委員長 岡本園芸振興課長。

◯岡本園芸振興課長 重油使用量を減らし、コストを削減するため、平成十九年度に高収益型園芸事業に省エネルギー化推進メニューを創設しました。具体的には、ハウス内の保温性を高める内張りカーテンや温度むらをなくす循環扇など、施設整備を支援してきたところでございます。

◯板橋 聡委員 農家の方はいろいろな省エネ対策に取り組んで、できることはやりつくしたぐらいの認識だと思いますけれども、今年度予算の主要事項に上げられています園芸施設ハイブリッド暖房システム(福岡方式)モデル事業費について、簡単に御説明ください。

◯岡本園芸振興課長 木質チップボイラーと既存の重油ボイラーを併用した暖房システムであります。恒常的な加温部分は木質チップボイラーを、急激に温度が低下したときの加温は既存の重油ボイラーを用いるシステムでございます。なお、チップボイラーは複数のハウスで共同で導入し、各ハウスに温湯を供給するセントラル方式をとることといたしておるところでございます。

◯板橋 聡委員 この事業により現地で実施する具体的な内容もあわせてお願いします。

◯岡本園芸振興課長 現地実証につきましては、一ヘクタール程度の複数のハウスがまとまった団地で実証し、各ハウスに合った温度管理方法やコスト削減効果を実証する計画です。また、未利用になっている間伐材などを低コストで供給するための効率的な収集方法や乾燥方法等も実証します。システムを初年度に導入し、現地実証は三カ年間実施するところでございます。

◯板橋 聡委員 この実験に対して、施設設置に五千万円も要するということですけど、採算が合うのかちょっと疑問でございます。事業実施に当たって、どの程度のコスト削減を見込んでいるかお答えください。

◯岡本園芸振興課長 実際の導入に当たりましては、導入費を抑えるため、ボイラーの規模や各ハウスでの熱交換器の配置などを検証することが必要だと思っています。現段階でのコスト削減の見込みでございますが、トマトなど管理温度が十二度程度になる作物で、重油価格が一リットル当たり九十円、チップ価格が一キログラム当たり十円の場合、十アール当たり燃料費は重油暖房の二分の一に当たる約四十五万円程度が削減の見込みでございます。また、暖房機の償却費も含めた十アール当たりのコスト削減の見込みは、三十万円程度と見込んでいるところでございます。

◯板橋 聡委員 効果はかなり期待できるのかなと思います。昨年の衆議院解散直後から、金融政策の見直しの期待によって円安傾向が続いております。ことし一月の平均原油価格は九十二・九円、近いうちに百円を超えるとか百二十円まで行くとかという予想もございます。園芸農家は本当にコストに耐えられない、限界に来ている状況でございますので、実証実験に三年と先ほど申されましたけれども、一年目に結果を出すぐらいの意気込みでやっていただく。そして、結果を出したらスムーズにこれを普及させるためにもいろいろな段取りというのも必要になってくると思いますので、そういうものをあらかじめ支援する体制を整えるぐらいの意気込みでぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 ぜひ谷部長の見解をお聞かせ願います。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 重油が高どまりしている状況の中で、やはり農家経営が安定するためには、重油の量を削減していくということが喫緊の課題でございます。そういった意味では一年でも早く現場に普及していくというのは、私も同じ気持ちでございます。しかしながら、先ほど委員の御質問がございましたように、そんな多額の投資をしてペイするのかということでございます。これは私どもペイすると思っているわけでございますけれども、実証効果がきちんと証明されていない段階で農家に普及するというのは、農家経営に対するリスクが大きいと考えております。また、技術的に解決しなければいけない問題も残っております。そういったリスクを解決した上で農家に普及を図っていくというのが、私どもとしては先にやることではないかと思っているところでございます。

◯板橋 聡委員 そういったリスクの部分もしっかり検証しなければなりませんけれども、その段取りというか、オーケーだというゴーサインが出たらば、なるべく速やかに普及できるように、ぜひその答弁ぐらいのスピードでやっていただきたいと思います。
 続きまして、湛水被害を解消する防災、減災対策について質問させていただきます。通告に基づき、国・県の農業関連公共予算の推移、農林水産部当初予算前年比、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算推移の提出を、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。関農村森林整備課長。

◯関農村森林整備課長 直ちに提出させていただきます。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では最初に、簡潔に説明をお願いいたします。

◯関農村森林整備課長 資料について御説明いたします。一枚目の国・県の農業関連公共予算の推移についてでございます。これは平成二十年度から平成二十五年度までの国及び県の農業農村整備予算の推移をあらわしたものでございます。グラフの実線が国の予算で、目盛りは左側でございますが、平成二十二年度に前年の五千七百七十二億円から、対前年比約三七%の二千百二十九億円に激減いたしまして、交付金と合わせても対前年比で約半分の二千九百九十九億円になっております。その後、若干の増減はございましたが、今回、平成二十五年度の数字であらわしておりますのは、平成二十四年度の経済補正対策と平成二十五年度当初予算を合わせた十五カ月予算でございまして、交付金と合わせて五千九百二億円となっております。削減前の平成二十一年度の水準を上回る大幅な増額となっております。
 一方、県の予算は、グラフの一点鎖線であらわしております。国の予算の減額に伴いまして、平成二十二年度は対前年比七七%の百二十億円余に減額し、その後、平成二十四年度まではほぼ同水準で推移しております。今回、国の予算増額に伴いまして、平成二十四年度補正と平成二十五年度当初を合わせた十四カ月予算で百六十九億円余の予算をお願いしているところでございます。
 それから、二枚目の上の表は、農林水産部の平成二十五年度当初予算でございます。平成二十五年度の当初予算は区分のAと書いているところで、総額が六百七億六千五百万円余、対前年比一〇三・四%でございます。平成二十四年度の経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、表の右のほうの区分A足すCという欄になり、七百十九億六千九百万円余で対前年比一二二・四%となっております。
 このうち農業農村整備事業費は、公共事業費のうち網かけをした「農地関係」と記載した欄でございます。平成二十五年度の当初予算は、国庫補助百十二億六千九百万円余と県単公共十七億三千三百万円余を合計いたしました百三十億二百万円余、対前年比一〇四・三%でございます。これも経済補正対策と合わせた十四カ月予算で見ますと、国庫補助が対前年比一五八・三%の百五十一億八千九百万円余と大きく伸びておりまして、県単予算と合わせた農業農村整備事業費全体では、対前年比一三五・八%の百六十九億二千三百万円余としております。
 同じページの下の表が、農業農村整備事業に係る県単公共事業予算額の推移でございます。農業農村整備関係の県単公共事業費全体は十七億三千三百万円余、対前年比は六〇・四%となっております。これは、防災事業費関係がここ二年ほど県単事業を用意していただきまして、それを国庫補助の減額の補填に充てておりましたけれども、今回、国の予算が大幅に増額いたしましたので、これを国庫補助事業費のほうにシフトいたしましたために、県単公共事業費の中の災害に強いため池等整備事業費を対前年比五一・三%の十一億九千六百万円余としたことにより、県単事業費全体が少し少なくなっているということでございます。
 説明は以上でございます。

◯板橋 聡委員 丁寧な御説明ありがとうございます。
 過去三年、非常に国庫補助事業が減っていて、県内のいろいろな経済的な影響を最低限にするために、県単事業などで平成二十三年、二十四年補っていたという大前提があり、政権交代によって国庫補助事業が増額したことで県単独事業、とりわけ二枚目の下段の県単公共事業費というのは二十三年、二十四年にがっとふえて、これが福岡県のいろいろな経済対策とみなされていたわけですが、二十五年になって減らされていたということでございます。この事業は特に防災、減災に資する事業ですので、やはりこれは国頼みではなく、県独自に推進していく必要があると思うんですけれども、見解をお聞かせください。

◯関農村森林整備課長 防災、減災事業の推進についてでございます。
 災害に強い安全、安心な農業農村をつくるため、防災、減災にかかわる事業を計画どおりに実施できるよう、必要な予算を確保することとしております。平成二十二年度に国の予算が大幅に削減されましたことから、国の予算に左右されずに、必要な防災対策を計画的に進めるため、県単独事業である災害に強いため池等整備事業を創設していただき、平成二十三年度から三カ年計画で予算を確保して、着実に実施しておるところでございます。
 今回、先ほど御説明いたしましたように、平成二十四年度補正及び平成二十五年度当初予算を合わせて、国の農業農村整備事業費が対前年比約二倍と大幅に増額され、さらに農山漁村地域整備交付金と合わせて平成二十一年度並みの予算が確保されたところでございます。県もこれを最大限活用いたしまして国庫補助事業を大幅に増額したところから、県単事業を減額したものでございます。
 災害に強いため池等整備事業費だけを見ますと、対前年比五一・三%でありますけれども、先ほど説明いたしましたとおり、農業農村整備事業費全体では対前年比一三六%、そのうち防災事業全体では、対前年比一三一%の予算を確保しておりまして、ため池やクリーク整備の計画的な推進には十分対応できると考えております。

◯板橋 聡委員 県の農業・農村振興基本計画において、集中豪雨などで被災しやすい地域は排水対策を計画的に実施することとしております。本年度に各農林事務所で湛水被害の調査を実施していると聞きますけど、調査内容とその結果を教えてください。

◯原口剣生委員長 安河内農山漁村振興課長。

◯安河内農山漁村振興課長 本年度、各農林事務所において市町村に聞き取りを行っております。農業振興地域の農用地を対象とした湛水常襲地域の箇所やその範囲を調査いたしております。その結果、県全体では二十九市町、百四十カ所、約四千ヘクタール程度の湛水常襲地域がございました。

◯板橋 聡委員 湛水常襲地域が確認できたのはいいと思うんですけれども、例えば、県土整備部では今回の水害を受けて、河川計画の見直し等含め、徹底した原因究明を行って、それにあわせて復旧計画や今後の対策を立て、住民説明などを行っております。そもそも県は施設園芸を強力に推進しており、先ほどの月形委員の質問の資料にもありましたとおり、ここ二十年で園芸作物の産出割合は四七%から五七%と大幅に伸びているわけで、水田がどんどんハウスにかわっていっているような状況です。湛水防除という意味では非常に大きな役割をする水田が変化する環境の中で、適切な湛水防除を行うためには、農林水産部で徹底した原因究明を行う、そして対策を立てて事業を進める、これがなければ、内水面被害に対して住民の安全、安心は図れないと思うのですけれども、見解をお聞かせください。

◯安河内農山漁村振興課長 今回、調査しました主な湛水の原因は、海岸や河川に近い水田地帯に湛水常襲地域が多く、排水先でございます河川の増水などが排水不良と考えられるところでございます。しかしながら、施設園芸の導入等も進んでいることもございまして、地域によっては状況が異なりますので、さらに原因を明らかにしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 水が原因となる災害、いわゆる水害はさまざまな要因があります。河川の治水や湛水防除、高潮対策などなどです。しかし、それぞれは管理する法律も違えば部署も違います。県土整備部、農林水産部、水産局、ざっと挙げただけで三つの部局が絡んでおります。これらを一本化した窓口が存在しておりません。防災危機管理局がひょっとしたらこういう窓口かなと思って確認したんですけれども、防災危機管理局は県民に対する災害訓練などソフト対策が目的とのことです。つまり、水害におけるハード面の防災、減災を統括する窓口は存在しないというわけでございます。
 これでは真の水害対策は進みませんし、市町村や団体はこれをどう管理して、把握してやっていくのかわからず、大変困っている。河川の問題なのか、湛水の問題なのか、どっちが原因かわからないところが非常に多いということです。ですから、水害対策に関して、ぜひ一本化した窓口が必要だと思うのですけれども、谷部長の見解をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 谷農林水産部長。

◯谷農林水産部長 御指摘のように、河川管理につきましては県土整備部、農地については農林水産部がそれぞれ所管しておるわけでございまして、昨年のような災害が起こった場合は、お互い連携しながら工事等の進捗管理も行っているところでございます。しかしながら、災害時はもとより、先ほどからの御指摘でございます湛水被害の常襲地の解消につきましては、やはり日ごろから私どもはその原因をお互いが共有しながら解決していくことは必要でございますし、それぞれやっていかなければならないと思っているところでございます。今後とも、そういった観点で被害防除に向けました情報の共有、あるいは被害対策の共通実施といったものにつきまして、県土整備部ともしっかり連携してやっていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 連携するのは当然かなと思っております。何が原因で、どうしていけばいいのかというところで、法律あるいは部署の垣根を越えて、しっかりと総合的な対策をとっていただきたいということでございますが、そこまで部長に今求めるのは非常に酷かなと思います。この件は複数の部署にまたがりますし、常日ごろ豪雨災害からの復旧、復興、あるいは県民の安定、安心、安全を掲げてある知事に直接お伺いしたいと思いますので、知事保留質疑のお取り計らいをお願いいたします。

◯原口剣生委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十六日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)

平成25年度予算特別委員会質問「子育て支援・県と企業の包括協定について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。私ごとではありますが、私は子育て真っ最中で、本日は長男、長女の幼稚園の卒園式でございます。議員というのは因果な仕事で、私はここにこうしているわけでございますけれども、かくなる上は、県民のためにしっかりと仕事をいたしますので、執行部の皆さん、心して御答弁ください。
 まずは、子育て支援についてお尋ねをします。
 県が推進する子育て応援の店というものがあります。私の地元のある美容院も子育て応援の店に加盟しております。そこは、店舗の二階にキッズコーナーを設け、地元の子育てサークルと連携したりして保育士を配置し、充実した託児サービスを行っています。子育てで忙しい女性も安心して来店し、ゆっくりとサービスを受けて心身ともにリフレッシュすることができて、大変好評です。また、我が家も親子で何度もお世話になりました。
 子育て応援の店はいろいろな形態があると聞いておりますが、このような特徴ある事例をもっと他社に参考にしてもらったり、努力、工夫をしている店へのインセンティブとして積極的に県民に対し広報したらいかがでしょうか。

◯原口剣生委員長 大田子育て支援課長。

◯大田子育て支援課長 子育て応援の店では、ミルクのお湯の提供や託児サービスなどの「やさしいサービス」や、キッズスペースの設置などの「便利な設備」、商品の割引などの「おトクなサービス」など、それぞれの店舗が取り組むことができるサービスの提供を通じて子育て家庭を応援していただいております。これらの取り組みは、子育て応援の店のホームページで紹介をしており、また、県の広報番組や子育て情報誌などを活用した広報にも取り組んでおります。今後、子育て応援の店の登録や利用のさらなる拡大を図るため、特徴的な取り組みなどについて、子育て応援の店のホームページを初め、県のさまざまな広報媒体を活用して紹介をしてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 県の施策を見ていますと、就労を軸とした女性の社会参加支援が充実しているように感じます。しかしながら、育児などのために家庭に入ることを選択した女性にもさまざまな形での社会参加があります。例えばPTAや自治会の会合に出席したり、公民館活動のお手伝いをしたり、勉強会や講演会に参加することも立派な社会参加です。その際、未就学児がいると、専業主婦であるがゆえに、逆に託児の問題が発生します。未就学児を子育て中の就労していない女性を支援する制度にはどのようなものがあるかをお教えください。

◯大田子育て支援課長 働いている、働いていないにかかわらず、子育て家庭を支援していくことは重要な課題であると認識をいたしております。子供を一時的に預かる事業といたしましては、保育所や子育て支援センターなどで子供を一時的に預かる一時預かり事業がありまして、今年度、四十八の市や町で実施されております。また、子育てのサポートを受けたい人とサポートをしたい人が会員となって相互に託児などを行うファミリー・サポート・センター事業につきましては、二十八の市や町でサービスが提供されているところでございます。

◯板橋 聡委員 一時預かりやファミリー・サポート・センターは、都市部では実施箇所も多く利用しやすいでしょうが、みやま市や八女市のような田舎には余りないですよね。子育てしやすい社会づくりのために、文化行事やセミナーなど、子育て家庭が参加する行事の場に託児コーナーを設置することが必要ではないかと思います。最初から全ての講習会、講演会でとは言いませんけれども、ここはまず県が率先して実施してみてはいかがでしょうか。県主催の講演会などでの託児コーナーの設置状況はどうなっていますか。また、今後の方策をお答えください。

◯大田子育て支援課長 今年度は、福岡県子育て応援宣言企業四千社突破!大会、あるいは青少年アンビシャス運動シンポジウムなど、県主催の九つのイベントなどにおいて託児コーナーが設置されております。今後とも、子育て家庭からたくさんの参加者が見込まれる県主催のイベントなどについては、担当部局に対して託児サービスの実施について働きかけてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 また、逆の視点で、民間を含め各種団体が子育て世代の母親向けに勉強会、イベントを行おうとしても、託児の問題が横たわって開催に大変苦労されているのです。例えばPTAの勉強会のような地域の会合における託児コーナーの設置促進について、県として何とか取り組みができないのでしょうか。

◯大田子育て支援課長 先ほどお答えいたしました福岡県子育て応援宣言企業四千社突破!大会など県のイベントでの託児の取り組み事例について、まずは市町村に対して積極的に紹介をしてまいりたいと考えております。
 また、県では、高齢者がその豊かな経験や知識を生かして地域の子育て支援の現場で活躍していただく仕組みとして、今年度、ふくおか子育てマイスター制度を創設し、現在二百七十七名を認定しているところでございます。イベントなどにおける託児サービスの提供に当たっては、ぜひマイスターを活用していただくよう市町村を含め関係団体などに働きかけるとともに、マイスターが地域で活動しやすい仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 就労、未就労にかかわらず、全県的に子育てしやすい社会をつくることは地方の少子化問題の解決策にもなると思いますので、市町村への働きかけ、そしてマイスター制度、これは新しくできた制度ですけれども、この仕組みづくりも含め、これからしっかり子育て支援課には頑張っていただきたい。
 高橋部長、部としてもしっかりサポートしていかないといけないと思いますので、決意をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 高橋福祉労働部長。

◯高橋福祉労働部長 仕事と子育ての両立支援、あるいは地域において子育て支援を一体的にやっていくということは、委員が御指摘のように、少子高齢化が進展する我が国におきまして、市町村はもとより県といたしましても、そういうことを進めていくことが大変重要な課題であると認識しております。そういった点を十分に踏まえまして、これまでも子育て応援の店ですとか子育て応援宣言企業の拡大をやってまいりましたし、さまざまなイベントにおいて託児サービスの導入を働きかけてまいりました。それから、今年度から実施しておりますマイスター養成、ぜひいろいろな市町村だけではなく民間企業にも、このマイスターさんを活用していただく、そういうことをこれからも積極的に進めながら、子育てを支援できるような地域社会をつくってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 次に、ローソンとの包括協定についてお伺いいたします。
 先日、ローソンと福岡県が包括協定を締結したとのプレスリリースがありました。私は、昨年六月議会及び決算特別委員会にて県と企業の包括協定についてさまざまな角度から問題点を指摘いたしました。にもかかわらずこれでは、二元代表制の一翼を担う議会を軽視しているように感じます。ローソンとの協定締結の経緯を御説明ください。

◯原口剣生委員長 重松社会活動推進課長。

◯重松社会活動推進課長 経緯でございます。昨年六月にローソンから包括協定の提案を受けましたが、議会でちょうど議論の最中でありましたことから凍結をしておりました。その後、十一月下旬に庁内での協議を始めまして、三月十三日に協定の調印に至ったところでございます。

◯板橋 聡委員 十一月下旬に庁内協議を開始されたということですから、私が六月議会及び決算特別委員会で問題点を指摘した後の協定締結と理解いたしますけれども、どう反映されたのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 今回の提携の協議に当たりましては、コンビニの特徴でもあります地域に密着した数多くの店舗があること、二十四時間の営業をされていること、若者の来店者が多いこと、こういった特徴を県として最大限に活用できるような提案を行いまして、県民サービスの向上あるいは本県の特性を生かしました地域の振興に資するような協議を進めてきたところでございます。

◯板橋 聡委員 イオンのときと余り変わらないことを言われているように聞こえるんです。ずばり、イオンのときのような、個別の電子マネーカード会員に加入させて、その売り上げに限る寄附などという、県の私企業に対する公平性、公正性を損なうような内容は入っているのでしょうか、いないのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 そのような寄附はございません。

◯板橋 聡委員 少なくともその点は改善が見られることがわかりました。
 一方で、ローソンは三大コンビニチェーンの一つです。小川知事は、活力ある経済と雇用創出のためには中小企業の活性化が必要とおっしゃっています。県内企業の九割を占めるのは中小企業です。にもかかわらず、県が包括協定を締結するのはイオン、ローソンという地元商店街を圧迫している大企業ばかりです。中小企業に対しての配慮はないのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 コンビニチェーンの基本的な業態はフランチャイズでございます。県内のローソンの店舗の大半は、それぞれが地域に密着して活動しておられる小売店の経営者さんでございます。今回の協定はコンビニチェーンの運営会社でありますローソンと締結をするものですけれども、協定に基づく具体的な取り組みにつきましては、地域での社会貢献に資するよう、主に各店舗が取り組んでいかれるものであると認識しております。

◯板橋 聡委員 ちょっとピントがずれているような気がするんです。地域に根差した地場の企業に対してどういう配慮があるのかということをお答えください。

◯重松社会活動推進課長 県内の中小企業の皆さんが社会貢献活動に取り組みやすくなるように、企業向けに社会貢献の活動事例を紹介いたしましたメールマガジンを開始したいと思っております。また、業種、事業所の規模の大小にかかわらず、企業が社会貢献に取り組めるようにという思いから、現在、NPOと企業との協働のさまざまな取り組み事例を県内外から情報を収集しているところでございます。社会貢献活動に関心を持っていただいています企業さんに対しまして、こういった情報を積極的に提供してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 私はメールマガジンが余り好きではないんです。なぜかといえば、これは一方的な情報の垂れ流しのような気がするからです。それだけで中小企業にも配慮していますとはとても言えないのではないかと思います。もっと県として地域に出ていって中小企業と膝を突き合わせて情報交換を行うとか、そういった汗のかき方もあるのではないかと思いますけれども、いかがでしょう。

◯重松社会活動推進課長 中小企業家同友会におきまして新しく研修会を開催しようと思っております。この同友会の中に、平成二十三年、NPO交流・ソーシャルビジネス特別委員会という部会が設置されまして、ここで社会貢献等についてさまざまな勉強を行われるとお聞きいたしておりますので、そこに出かけていこうと思っておりますのが一つです。
 それから、県内各地に出向きまして、社会貢献活動に対する地場企業の皆さん方の理解を深める取り組みを行い、企業による社会貢献活動の裾野を広げていきたいと思っております。まずは、福岡県商店街振興組合連合会の協力を得まして、県内各地で社会貢献活動の意義や方法について御説明申し上げようと思っております。

◯板橋 聡委員 中小企業に対する情報提供の働きかけ、取り組みを頑張っていこうという気持ちはよくわかりました。ただ、これは抜本的な中小企業に対する対応にはなかなかできないのかなと。これはぜひ継続して努力をして、中小企業の方に福岡県は頑張っているなと思っていただけるようにしていただきたいと思います。
 ところで、視点を変えまして、福岡県はよく支店経済都市と呼ばれておりまして、大企業の支社、支店が多数存在しております。私自身も、議員になる前は某企業の九州支社で転勤族として勤務しておりました。そのときに漠然と感じたのは、大手企業に勤務していると、会社に対する帰属意識は物すごく強いのですけれども、居住地に対する帰属意識は薄い場合が多いということです。事実、私の周りの社員、特に転勤した方は、地元自治会や公民館の活動に興味が余りなかったんです。地域振興より会社の業績なのです。当たり前といえば当たり前ですけれども、それでは行政としては寂しい部分もございます。
 地方自治の最小単位は地域の行政区です。その中において、昨今の住民の自治会離れは、議会などでも議題になっておりましたけれども、大きな行政課題だと認識しております。例えば、ローソン社員の自治会加入を促すことを協定に盛り込んだらいかがでしょう。

◯重松社会活動推進課長 この協定は、県とローソンが互いの業務について連携をするものでありますので、社員個人の取り組みにつきましては協定に盛り込むことは考えておりません。

◯板橋 聡委員 ただ、包括協定を結ぶときに、全庁的にローソンと取り組むときに何ができるかをヒアリングされたということも聞いております。直接的には自治会の加入とかに関してはそちらの部署の所轄ではないかもしれませんけれども、こういった提案はほかの部署から出てこなかったのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 庁内からそのような提案はございませんでした。

◯板橋 聡委員 今回の包括協定について、最初に重松課長が地域の振興に資するように協議してきたと言われております。もっと積極的に取り組むべきだと思うのですけれども、長谷川部長、いかがでしょう。

◯原口剣生委員長 長谷川新社会推進部長。

◯長谷川新社会推進部長 御指摘のとおり、町内会といった地域のコミュニティーにつきましては、防犯あるいは防災を初め、地域が抱える課題に対応していくためには大変重要な存在であると認識しているところでございます。私たちも、先ほどローソンの社員に対する御指摘がございましたけれども、こうした皆さんにも、こういう思いを持っていただいて、地域コミュニティーの活動に積極的に参加していただきたいという思いはございます。こうしたことから、ローソンに対しましても投げかけを行っていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 ローソンに限らず、これから新たに包括協定を大企業と結ばれるかもしれませんけれども、そのときや、あるいは協定の更新の際に同様の投げかけを行っていただけませんでしょうか。

◯長谷川新社会推進部長 機会を捉えまして同様の投げかけを行いたいと思います。

◯板橋 聡委員 一歩踏み込んだ回答をいただきました。もちろん、企業に対して強制できるものではないということは私もわかっております。ただ、このような働きかけにより、大企業の社員の方も自治会活動を通じて地域に根づいた中小企業の方と同じ目線で地域活性化への意識を持ってもらえるとするならば、これは真に地域の活性化に資する包括協定になると思います。我々議会としても、ぜひ応援したいと思います。
 逆に言うと、そんなことも理解せずに包括協定による地域の活性化とか言う企業はおためごかしです。だから、新規の包括協定なり既存協定の延長の際は、先ほどの答弁にもありましたとおり、ここをしっかり見きわめて、今後とも新社会推進部は真に地域の活性化に資する共助社会づくりを目指していただきたいと思います。
 最後に、長谷川部長の決意をお聞かせください。

◯長谷川新社会推進部長 少子高齢化の中で、あるいは人口が減少していく将来像を考えますと、地域におきまして、行政だけではなくて、いろいろな主体が共助社会づくりを推進していただくということが極めて重要であると私は思っております。そういう意味では、最終的な目的である地域振興のために、地場の中小企業等にも十分に意を用いながら、幅広い企業や団体が行政やNPO、ボランティアなどと連携してまちづくりを進めていく、こういうことにしっかり取り組んでまいりたいと思います。今後とも、社会貢献活動に幅広い企業や団体の参画を求めまして、さまざまな取り組みを着実にやっていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)