【みやまのセルリーがパワーアップします!】

 3月31日、国の産地パワーアップ事業を活用して建設された、JAみなみ筑後のセルリー等集出荷貯蔵施設竣工式が行われました。


 狭小で老朽化していた旧施設を更新し、最新の真空予冷装置などを備え、鮮度品質向上に寄与することが期待されます。


 みやまのセルリーは日本第三位の出荷量を誇りますが、ほんのり甘みを帯びた瑞々しい食感や見た目を含め品質は日本一だと思っています。平均年齢49歳の若く活気のあるセルリー部会の皆さんが、これを期に更に美味しいセルリー生産に励んで頂く事を心より期待しております。


 竣工式には古賀誠先生やJA福岡中央会の乗富会長もお越しでした。


↑写真は博多駅前で行われた物産展にて、セルリーマンと一緒に!

令和4年度予算特別委員会 知事保留質疑「まん延防止等重点措置の効果、コロナ禍における学校文化の継承、ウイズコロナ期の観光施策」

◯板橋 聡委員 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。今回の予算特別委員会では、まん延防止等重点措置の効果、コロナ禍における学校文化の継承、ウイズコロナ期の観光施策と三つの知事保留質疑をお願いしましたが、全て新型コロナに関わる知事のリーダーシップに関連しますので、まとめて簡潔に質問してまいります。
 第六波のまん延防止等重点措置において、服部知事が東京、大阪に追随せず、独自の判断で三月六日をもって国に解除要請されたことを高く評価します。一方で、新型コロナウイルスが発生してから三年目、当初はえたいの知れない恐怖のウイルスは、繰り返される感染の波を経て、徐々にその感染傾向が判明してまいりました。保健医療介護部によると、オミクロン株による第六波の県内新規陽性者数は六十歳未満が八五%と大半を占めますが、重症者や死亡者はその逆で、六十歳以上の方が重症者の八五%、死亡者では九七%を占めます。その結果、六十歳未満の重症化率は〇・〇〇七%、致死率は〇・〇〇九%です。平成二十九年の内閣官房の資料によりますと、季節性インフルエンザの致死率は〇・一%以下とあり、それよりはるかに低い状況です。
 また、若者は重症化しないけれども、軽症や無症状の若者が同居している高齢者に感染させることが若者に行動制限を強いる理由として語られていました。昨今の核家族化で高齢者と同居している若者は減っている気がしますが、今回の知事保留質疑において正確性を期すため、福岡県で死因や経緯を把握している第六波における死亡者二百十名を分析してみました。すると、既に別の病気や高齢のために入院や施設に入所中の方が院内、施設内感染された後、亡くなったケースが七七%と約八割を占め、死亡後の検案や他の要因で入院する際に検査で陽性が判明した方が一三%、合わせて約九割の方は家庭内感染に起因した死亡ではありませんでした。つまり、若者に限らず、同居している家族が感染して家庭内感染により高齢者が亡くなるというロジックそのものが成り立たない現状が明らかになりました。その一方で、新型コロナ発生以降、福岡県の自殺者数は増加に転じ、特に女性、若年層の増加が顕著と評価されています。
 そこで、知事に質問です。人類が根絶できた感染症は天然痘ただ一つです。それも、ジェンナーが種痘を行ってから二百年かかりました。新型コロナがゼロになる日は、我々が生きているうちには訪れないと思われます。一方で、ワクチン、経口治療薬、治療法など、人類は新型コロナと闘う武器を着々と手に入れ、先ほど申しましたとおり、新型コロナで亡くなる方の傾向も分かってきました。新型コロナ対策の要諦が、命を守り、救える命を救うことであるならば、死亡リスクが極めて低い六十歳未満まで含めた県民一律の行動抑制ではなく、コロナから身を守るべき方々には感染対策を徹底し、感染してもリスクが低い人はどんどん社会経済を回すような、コロナと共存するウイズコロナ政策へかじを切るべきではないでしょうか。知事の御所見を御披瀝ください。
◯吉松源昭委員長 服部知事。
◯服部知事 おはようございます。御答弁を申し上げます。
 本県では、新型コロナの第四波の経験を踏まえまして、私も、先般お亡くなりになってしまいましたが、県医師会松田会長をはじめ専門家の皆様とも協議を重ねました。そして、本県独自のトリアージ基準の設定、また、県民の皆様に対策のロードマップとして示すための福岡コロナ警報の設定など、福岡県方式と呼ばれる独自の対策を第五波、第六波においても取ってまいりました。第六波のまん延防止等重点措置につきましては、新規陽性者の数が減少傾向を続けており、また、重症病床使用率は一〇%を上回ることなく、病床使用率も三月中旬には五〇%を切ると本県の推計を行っていたところでございます。また、高齢者のワクチン接種率も七〇%に達する見込みでございました。こういったことから、飲食店の時短等の措置を続けることの効果と、そして、そのことの社会経済に与える影響を勘案いたしまして、私から山際大臣に対し、まん延防止等重点措置の解除を要請したところでございます。
 あわせまして、気候もよくなりまして人の動きも活発になるこの時期に、早期のリバウンドを防ぐことから、四月七日までの一か月間を本県独自の感染再拡大防止対策期間と設定をいたしまして、県民、事業者、高齢者施設等に対し、感染防止対策の徹底を要請しているところでございます。
 オミクロン株の特性を踏まえまして、ウイズコロナに向けた歩みを進めていくためには、ワクチン接種率の向上、そして治療薬の確保、また、医療提供体制の強化、検査体制の充実、さらに、飲食店における感染防止対策の徹底、こういったことが必要であると考えております。本県においては、これらは着実に進んでおるものと考えております。そして何より最大の対策は、私たち自身が基本的な感染防止対策を徹底し、慎重に行動することであると思っております。私といたしましては、こういったことをさらに徹底をして、ウイズコロナ、すなわち感染防止対策と社会経済活動との両立を図っていかなければならないと考えております。
 国におきましても、イベントにおける人数制限が緩和され、ワクチンと検査を活用した新たな行動制限緩和策について検討が進められておるところでございます。このような中で県が取るべき措置は、国の基本的な対処方針に定められておるところでございます。この基本的対処方針が、ウイルスの特徴や感染状況に応じて柔軟かつ機動的に対応できるものになるよう、引き続き、全国知事会を通じ、国に対し提言を行ってまいりたいと考えております。また、県が定めております福岡コロナ警報につきましても、先ほど申しましたように、デルタ株からオミクロン株へとウイルスの特性が大きく変化いたしました。これまでとは異なる運用が必要になってきております。このため、福岡コロナ警報につきましても、こういった特徴、また、感染状況の変化に応じて機動的に対応できるよう見直しを行ってまいる考えでございます。
◯板橋 聡委員 続きまして、本予算委員会において、私の教育長への質問で、学校文化がコロナ対策の名の下にないがしろにされている現状が明らかになりました。
 そこで、知事に対して質問させていただきます。県立高校九十三校のうち三十四校、約四割弱で卒業式に校歌斉唱が行われていないというアンケート結果を御覧になられて、知事はどう感じられますでしょうか。率直にお答えください。
◯服部知事 県立高校の入学式、また卒業式においての校歌斉唱、また、声を出しての校歌の練習、こういったことを行う学校が減っております。これは、文部科学省のガイドラインあるいは県のコロナ対策本部の方針を踏まえました県教育委員会の指導に基づきまして、各学校における感染者の発生状況、あるいは実施をする場所の広さなどの実情に応じまして感染防止対策を行った結果であると考えております。
 しかし、校歌や伝統行事など学校文化の継承は、生徒の愛校心、連帯感の醸成につながるものでございまして、教育的にも意義あるものと考えております。このため、生徒の健康を守るための感染防止対策を徹底しつつ、どうすれば学校文化を継承することができるのか、各学校が生徒、また、保護者の皆さんと共に考え、創意工夫を凝らしていくことが重要であると考えております。
◯板橋 聡委員 学校現場には、文科省や県コロナ本部からコロナ対策のガイドラインや方針が下りてきますけれども、そこには防止策ばかりが書いてあり、現場は過剰に受け止めて、リスクがある活動を全て中止したり必要以上に縮小している現実があります。県教育庁の合屋企画監がコロナ発生直後に校長を務めていた福岡高校では、県から降ってくるガイドラインの中で、どうやったら何ができるか生徒会と教師が徹底的に話し合い、文化祭、体育祭、修学旅行をはじめとするほとんどの学校行事を開催にこぎ着けたそうです。しかし、これは特殊な例で、生徒の自主性を重んじる校風、リスクを受け止め、生徒と向き合う教師の情熱、学校と信頼関係で結ばれた保護者の理解といったものがなければ、なかなかまねできるものではありません。
 そこで、知事に質問です。成長期にある子供たちの一年一年は、我々大人と違い、はるかに貴重で尊いものです。コロナ禍も三年目に入り、このままでは中学、高校の三年間を丸々新型コロナに台なしにされ、卒業してしまう世代が生まれてしまいます。感染防止のガイドラインや方針を教育現場に伝えることは今後も必要かもしれませんが、防止策だけではなく、学校文化を守るためにも、知事として、学校活動、特に授業以外の活動をどう後押ししていくのか真剣に考えるべき時期が来ていると思います。人材育成を重要施策として掲げる知事が率先して何らかのアクションを起こすべきではないでしょうか、お答えください。
◯服部知事 私も、県立高校の生徒さんたち、また、先生方も御一緒に、いろいろなスポーツあるいは各種の活動を御披瀝願う表敬訪問を数多く受けております。そういった中で生徒さんたちとも言葉を交わす中で、今、県立学校に在籍していらっしゃるほとんどの生徒さんは、コロナ禍の中で入学をし、以来、授業や部活動にいろいろな制約を受けている。また、学校行事も多く中止になる。こういった形で、高校生活を十分な形で経験することができずに日々を送っているとお聞きしております。
 こうした生徒さんたちを励ますためにも、コロナ禍にあっても困難を乗り越えようとする努力、また創意工夫は、今後生徒さんたち自身が大きく成長していくためにも貴重な体験となり得るものである、ぜひ頑張ってほしいというメッセージを適切な機会を捉えまして発出していくことにつきまして、教育委員会とも検討してまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 続いて、ウイズコロナ期になれば、観光で社会経済を回していくことが重要です。福岡県の重要施策であるワンヘルスを観光素材と捉え、修学旅行や大人の視察をテーマに据えていただき、来訪者を増やし、ワンヘルスの理念を学んでいただき、全国に広めていくことは極めて意義深いと考えます。
 そこで、知事に質問です。ワンヘルス先進県として、ワンヘルスの視点で修学旅行や大人の視察旅行の誘致に力を入れることは商工部から力強い賛同をいただきましたが、ワンヘルスに関わる部署は、農林水産部、保健医療介護部、環境部、教育庁など多岐にわたります。知事がリーダーシップを取り、横串で連携をさせて、ワンヘルスに関連する観光素材を開発し、PRすべきと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
◯服部知事 人と動物の健康、そして環境の健全性は一つであると考えるワンヘルスの理念は、人獣共通感染症対策あるいは環境保護、そして、人と動物の共生社会づくりなど、修学旅行をはじめとする教育旅行におきまして学びのテーマとなり得るものであると考えております。こういった旅行を通じまして、ワンヘルスの理念を県内外にも広めることができるものであるとも思います。
 このワンヘルスの理念を分かりやすく楽しみながら理解をしていただくためには、ガイドの育成など、受入れ環境を整備するとともに、ワンヘルス関連の観光素材を開発することが必要でございます。県では、来年度、四王寺県民の森をワンヘルスの森として、人と動物と、そして森の関わりを解説いたしますパネルなどを設置いたしますとともに、ワンヘルスガイドの育成を行っていきたいと思います。こういった受入れ環境の整備を行いまして、ワンヘルスの森へのツアーを行っていきたいと思っております。
 また、観光振興を所管しております商工部など知事部局のみならず、教育委員会も含めました全庁的な連携を図りまして、例えば、ドッグランなど動物と触れ合える公園の整備、あるいは、新たに創設いたしますワンヘルス認証制度によって認証されました農林水産物を使った食事の提供、こういった観光素材の開発に努めていきたいと思っております。さらに、こうした施設あるいは観光素材の開発の後には、福岡県観光連盟とも連携をいたしまして、旅行商品の造成の働きかけ、また、情報の発信に努めていきたいと思っております。
◯板橋 聡委員 本日いただいた全ての答弁を通じ、ウイズコロナに向かっていくんだという知事の力強い決意を感じました。保健行政の最前線にいるのは、間違いなく保健所を所管している県です。新型コロナによって、県知事ってこんなに大事な存在なんだと県民は改めて、いや、初めて認識していると思います。服部知事におかれましては、その立場を十分に御理解いただき、新型コロナ対策最前線の長として存分にリーダーシップを発揮し、国から下りてくる全国一律の対処方針に翻弄されるのではなく、実情やデータに基づいた政策で感染防止と社会経済活動の両立を実現していただけるよう切にお願いして質問を終わります。(拍手)

令和4年度予算特別委員会「コロナ禍における学校文化の継承について」

◯板橋 聡委員 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。
 本日は、コロナ禍における学校文化の継承について質問をいたします。
 修学旅行、クラスマッチ、文化祭、応援合戦、合唱コンクールなど、それぞれの学校には伝統と特色のある行事が継承されており、それは全ての在校生と卒業生が育んだ学校文化であります。その中でも、全ての学校に存在し、在校生、卒業生に歌い継がれる校歌は、学校文化の中でもひときわ象徴的なものではないでしょうか。入学式、卒業式、学校行事の節目節目、卒業してからは同窓会、様々な場で声をそろえて、時には肩を組み校歌を歌うことは、愛校心を高め、ひいては郷土愛を高めることにつながります。
 その校歌について、法令等の根拠や県教委の指導の状況はどうなっているのでしょうか、お答えください。
◯吉松源昭委員長 井手高校教育課長。
◯井手教育庁高校教育課長 校歌に関する法令の規定はなく、県教育委員会としても校歌の取扱い等について指導は行っておりません。
◯板橋 聡委員 法令などの根拠がなくても、各学校では入学式、卒業式や体育祭などの行事で校歌が歌われており、現実には、学校にはなくてはならない学校文化の一つとして歌い継がれているのは揺るぎのない事実だと思います。
 ところで、コロナ禍において校歌を歌う機会が激減しているようです。実は先日、母校の創立記念式典にお招きいただき、生徒への挨拶の際に、今日は皆さんと一緒に校歌を歌うことを楽しみにしていますと張り切って言ったのですが、実際行われたのは校歌斉唱ではなく黙唱でした。校長先生が非常に気まずそうだったんですけれども、後ほど話を伺うと、コロナになって全校生徒で校歌を歌えていないと悩んでいらっしゃいました。家に帰って中学校三年生の子供に、全校集会とか、そういった集まりで校歌を歌っているかと聞いたところ、いや、コロナになってから歌ってないなあと答えます。じゃあ、歌詞を見ないでおまえは空で歌えるかと尋ねると、うーん、無理かもと言われて、中学校三年生ですよ、愕然としました。
 ここで、通告していた県立高校における校歌斉唱の状況の資料を要求いたします。お取り計らいのほどお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。
◯井手教育庁高校教育課長 直ちに提出いたします。
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 では、資料に基づき、コロナ禍前とコロナ禍後、県立高校や公立中学校における校歌斉唱の状況はどうなっているか御説明ください。
◯井手教育庁高校教育課長 まず、資料に基づき、県立高校の状況を御説明します。
 この資料は、本県全日制県立高校九十三校の校歌斉唱の状況を示したもので、コロナ禍前である平成三十年度と今年度との比較となっております。入学式において斉唱をした学校は、右端の合計欄ですが、コロナ禍前七十四校であったのが今年度は十五校に、卒業式では同じく九十三校から五十九校にそれぞれ減少しております。また、声を出して校歌の練習をした学校は、コロナ禍前の九十三校から今年度は七十三校に減少しております。
◯吉松源昭委員長 塚田義務教育課長。
◯塚田教育庁義務教育課長 公立中学校の状況につきましては、県内各地の公立中学校に聞き取りを行っております。その結果、児童生徒が全員集合して声を出して校歌を歌うことはできなくなっているが、音楽科の授業の中で指導したり、先輩が歌っている姿の録画を見せたりしているということでございました。
◯板橋 聡委員 四割弱の県立高校で卒業生が校歌を歌うこともできず卒業していくことに衝撃を受けましたし、全県下で、卒業式のみならず、校歌をみんなで歌う機会が減っていることが分かりました。これでは校歌を歌えない生徒が増えて当然ですし、校歌が歌えないまま卒業する人が増えれば、連綿として歌い継がれてきた校歌という学校文化が途絶えることを意味します。
 県教委は、校歌が果たしている役割や校歌が持つ力について、どう認識をされているのでしょうか。
◯井手教育庁高校教育課長 校歌は、建学の精神や理想とする校風などを表し、その学校の一員であるという自覚や学校への連帯感、一体感を高めることができると考えております。また、校歌には歌詞に地域の情景を盛り込んだものも多いことから、愛校心だけでなく郷土愛を育むことにもつながると考えております。
◯板橋 聡委員 新型コロナは発生当初から変化をしており、オミクロン株による第六波では、若者にとってインフルエンザ並みのリスクであることが明らかになっている中、感染防止策も発生当初とは変えるべきと本予算特別委員会において保健医療介護部に申し上げました。
 教育庁においても、感染数だけをあげつらい、感染拡大を防止しろとだけ学校に通達するのではなく、こういう形式なら歌えるよという基準を学校に対して示さないと、現場は真面目ですから、ゼロリスクを求めて四角四面のがちがちな対応を取りがちです。工夫を凝らして校歌を歌う機会を確保するように、学校の背中を押すような基準をお示しできないでしょうか。
◯井手教育庁高校教育課長 生徒が密にならないよう屋外での校歌の練習をしたり、全校や学年全体で集合できなくても、リモートで斉唱を行うなどの感染対策を講じれば問題はありません。また、室内であっても、対面を避けたり、生徒同士の距離を取った上で換気を十分に行うことで校歌斉唱ができると考えております。
◯板橋 聡委員 もう、出た、リモートという感じなんですけれども、コロナの最新状況や現場の実態を無視した頑迷なゼロコロナ信仰に基づく見事な官僚答弁だと思います。教育庁がそんな考え方だから、各学校は感染対策の徹底に努めるあまり、校歌を歌う機会をはじめ、あらゆる学校行事を過剰に自粛しているのではないでしょうか。
 日本におけるコロナ騒動は、二〇二〇年二月二十七日、全国の小中学校に一斉休校が要請されたことから始まりました。それから三年目、この重みを理解されていますか。あのときの中学・高校の新入生が今年三年生になるんだと。これが四月です。この調子でいけば、中学・高校時代の貴重な三年間、表情が見えないマスクをして、給食は全員前を向いて黙食、体育祭、修学旅行、合唱コンクール、楽しみにしていた行事は中止、縮小、みんなで校歌を歌うことも許されずに卒業する世代が生じることに非常に胸が痛みます。コロナ禍であっても授業時間の確保や教科書を終えることについては行政や学校も注意を払っているでしょうけれども、校歌の斉唱に代表されるような法令等の根拠のない、しかし、学校生活に彩りを添える学校文化についてはほとんど意識されていないなと感じます。
 コロナ禍も三年目に入り、ワクチンの接種や治療薬の開発も進み、若年者が重症化することはほとんどないことも明らかになってきています。そろそろ以前の学校生活に戻せないものでしょうか。
◯井手教育庁高校教育課長 現在、各県立高校におきましては、校歌斉唱の機会が減っているという事実がございます。また、校歌だけでなく、その他の様々な学校文化が継承されなくなっているおそれもあり、非常に危惧するところではございますが、現状としては、文部科学省の示すガイドラインや県のコロナ対策本部の方針に沿って、可能な限り感染拡大防止と教育活動の両立に努めているところでございます。
◯板橋 聡委員 文科省や県コロナ対策本部のガイドラインに沿って感染拡大防止と教育活動の両立に努めていると申されますけれども、ガイドラインには防止するほうばかりが書いてあって、県教委として教育活動、特に授業以外の活動を具体的に後押しするようなことは行っていらっしゃらないと思います。だから、文部科学省やコロナ対策本部の方針を受けた県教育委員会の指導を学校現場は過度に受け止めて、リスクがある活動を全部やめてしまったり、学校行事を必要以上に縮小しているのではと懸念しております。学校や教員の責任回避や負担軽減のために子供たちの貴重な経験や成長の機会が失われているとすれば、ゆゆしき事態です。こんな姿勢では学校文化の継承はできないし、教育者として無責任ではないでしょうか。
 県教育委員会として、文部科学省や県コロナ対策本部に学校現場の実情や実感をしっかり伝えて、子供たちへの悪影響を認識してもらうべきではないでしょうか。
◯井手教育庁高校教育課長 学校行事につきましては、時代の変化に応じて不断の見直しが必要である一方で、学校の文化、伝統としてゆるがせにしてはいけない活動も多くあると考えております。
 コロナ禍において、校歌をはじめとする文化、伝統の継承に影響が生じているという実情につきましては県のコロナ対策本部にも伝え、今後の感染症対策の参考情報としていただくとともに、文部科学省に対しましては今回の校歌斉唱に関する調査結果を示すなどして学校現場の状況に理解を求めていきたいと考えております。
◯板橋 聡委員 本日は校歌斉唱を切り口にして、コロナ禍の中で見落とされがちな学校文化の継承について取り上げました。授業時間や教科指導については国も事細かに指示してくるとは思いますけれど、学校文化の継承については頓着していないことが明らかになりました。そのような活動の取扱いについては、学校現場の実情に通じた県教育委員会が方針を示し、生徒たちが伸び伸びと学校生活を行い、愛校心や愛郷心を健全に育むことができるようにすべきと思います。
 最後に副教育長に、学校文化の大切さやコロナ禍においてどう継承していくべきか、考えをお聞かせください。
◯吉松源昭委員長 寺崎副教育長。
◯寺崎教育庁副教育長 学校文化の継承についてでございますが、学校にはその歴史の中で育まれてきました文化あるいは伝統があり、重要な財産として末永く継承されることが大切でございます。各県立高校では、これまでそのような文化や伝統を大切に守ってまいりましたが、コロナ禍のために校歌斉唱の機会が減少したり、体育祭、修学旅行などの行事が中止となったりしており、その継承が危ぶまれている状況にございます。また、そのような状況に置かれている生徒の気持ちを考えますと、非常に心苦しく思っておるところでございます。
 いまだ感染症の影響は収まっておりませんけれども、すぐに全てを元に戻すということは非常に困難な状況でございますが、学校文化の継承が途絶えかねないという危機感を持って、例えば、県立校長会との会合の場で、現状から一歩前に進む工夫、あるいは努力の必要性について共有をしますなど、学校文化が幾代にも引き継がれていきますように努めてまいります。
◯板橋 聡委員 副教育長、いまだ感染症の影響は収まっておらずと述べられましたけれども、この間も言いましたけれども、人類が根絶した感染症というのは天然痘のみです。しかも、ジェンナーが種痘を行って何と二百年かかりました。新型コロナの影響は我々が生きている間になくなることは決してないと私は思っています。その考え方は改めていただきたい。
 ただ、その中で、副教育長が苦悶に満ちた顔で、先ほど大変心苦しく思っていると申されたことはよく分かりました。学校や教育庁は感染症対策のプロではございませんから、上から下りてくるガイドラインに忠実に従って、その結果、子供たちが振り回されているんだなとよく分かりました。これは、県コロナ対策本部のトップである知事に学校の実情をしっかり伝え、そして、知っていただき、直接考えをただしたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は三月二十二日火曜日に行う予定でありますので御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

令和4年度予算特別委員会「アフターコロナ期の観光施策」

◯板橋 聡委員 皆さん、おはようございます。本日の質問予定表を見ると、各会派、ウイズコロナ期を見据え、観光施策を前向きに進めていくような質問が並び、大変よい傾向だなと感じます。では、前座を務めさせていただく自民党県議団の板橋聡でございます。
 保健費の審査でもお話ししましたが、新型コロナの発生から三年目に入り、人類はワクチン、治療薬、治療法を開発し、ウイルスの実態が徐々に解明されていく中、今後は感染症の波と上手に付き合いながら、観光で経済を回すことが重要です。
 私は、コロナ発生直後の令和二年六月議会一般質問で、感染拡大防止の名の下に修学旅行が中止に追い込まれることを危惧し、県内の学校が県内を目的地とする修学旅行を提案して、当時の小川知事から、身近な県内で修学旅行を行い、県内の魅力を再発見することは意義があると賛同をいただき、前向きに修学旅行支援事業に取り組んでいただいたと認識しております。
 この修学旅行支援事業の実績について資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。酒見観光振興課長。
◯酒見観光振興課長 はい、直ちに提出できます。
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 資料に基づき、コロナ禍における修学旅行支援事業の実績について、御説明をお願いします。
◯酒見観光振興課長 県の修学旅行支援事業の実績についてでございます。県外の学校を対象にしていました修学旅行支援金の対象を、昨年度、県内の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校などに拡大いたしました。また、三十のモデルコースと百九十施設の素材リストを作成し、県内の対象となる全ての学校、旅行会社へ提案をいたしました。
 その結果、令和二年度は、百七十八校の一万四千四百八十五人、令和三年度は二百九十六校の二万五千六百三十四人となっております。令和二年度及び令和三年度の合計は、四百七十四校、四万百十九人、バス千九百四十八台となっており、その内訳は、県内四百六十校、県外十四校、宿泊が一万九千四百二十五人、日帰りが二万六百九十四人の支援となっております。
◯板橋 聡委員 新たな取組により、約四万人の児童生徒が、学校生活の集大成であり一生の思い出となる修学旅行を経験できたことは大変喜ばしいことだと思います。また、学生だけでなく、コロナとの戦いが長期化し、甚大な影響を県内観光業が受けている中、今回の取組は一定の支援につながったと考えますが、修学旅行支援事業の経済効果はどれぐらいでしたか。
◯酒見観光振興課長 経済効果を求めるための修学旅行に関する適切な統計資料がございませんでしたので、観光庁の旅行・観光消費動向調査を基に試算をしました結果、約十三億円の効果があったと推計されます。長期化するコロナの影響を受けた宿泊施設や地域の観光業の支援につながったものと考えております。
◯板橋 聡委員 県内学校が県内を目的地とする修学旅行では、訪問先にどんな特徴があったでしょうか。
◯酒見観光振興課長 支援事業を活用した学校では、平和の大切さを学ぶ大刀洗平和記念館や、学問の神様菅原道真公を祭る太宰府天満宮、近代化の歴史を学ぶ門司港レトロなどが人気の訪問先となっているほか、柳川市の海苔作り体験や八女市の手すき和紙体験など体験型の施設も選ばれております。
◯板橋 聡委員 修学旅行の定番である観光型の施設だけでなく、体験型の施設が新たな訪問先として開拓されたことが分かりました。
 このように、新たな目的地を開発し、県内から県内への観光需要を掘り起こした修学旅行支援事業ですが、今後、ウイズコロナの考え方で社会が回っていけば、コロナ前のように、県内の学校は県外に修学旅行に向かうことが想定されます。つまり、今後は、全国から福岡県を修学旅行先として選んでもらう魅力の創出が必要となります。
 定番の観光型施設では、なかなか京都や長崎など先進県には太刀打ちできませんので、例えば、SDGsの学びの場をテーマにするのはいかがでしょうか。県内には北九州エコタウンや動物福祉に熱心な大牟田市動物園、私の地元みやま市の生ごみを活用したバイオマスセンタールフランなど、SDGsの学びができる施設が多数あります。それらにスポットを当てて集中的にルートを開発したり、グリーンツーリズムを融合させるなどして、県としてSDGsの学びがあらゆる市町村でできるよう、体制整備を行ったらいかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 SDGsの修学旅行に取り組んでいる北九州市では、SDGsの理解を深め、探求的な学びにつなげるための事前学習や自己学習のワークシート等の準備、フィールドワークに必要な現地ガイド等の体制の整備を進めております。
 県内の市町村でSDGsの学習ができますよう、取組を進める市町村に対してSDGsの学びに関する情報提供やアドバイスを行い、受入れ体制の整備を働きかけてまいりたいと思います。
 また、委員から御提案のありましたグリーンツーリズムにつきましても、コロナ感染症の終息を見据え、SDGSsの修学旅行に組み込めるよう、庁内の関係部署と連携し、検討してまいります。
◯板橋 聡委員 さらに、他県と差別化できる福岡県の特徴として、服部知事が主要施策の一つとして掲げるワンヘルスがあります。次年度予算ではワンヘルスの森などが整備される予算が計上されており、昨日の井上順吾先生の質問にありましたとおり、今年秋に福岡で開催されますアジア獣医師会連合(FAVA)大会においては、ワンヘルスの森ツアーが組まれるということで、今後、修学旅行の魅力的な目的地となる可能性も高いです。
 また、県が推進するワンヘルス教育を修学旅行に組み込むことで、県外の学生にもワンヘルス教育を発信することが可能となります。福岡県がワンヘルス先進県として、ワンヘルスの視点で修学旅行誘致に力を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 委員がおっしゃるとおり、ワンヘルスは他県に先駆けて県議会とともに取り組んでおります政策課題であります。ワンヘルスを組み込んだ修学旅行は、本県ならではの価値の高い修学旅行になるものと考えております。
 そのため、ワンヘルスの森や今後整備を目指すとされておりますワンヘルスセンターといったワンヘルス関連施設につきましても、修学旅行のモデルコースに組み込めるよう、庁内の関係部署と連携をするとともに、関東圏や関西圏の旅行者や学校関係者を招聘したモニターツアーの開催を検討してまいります。
◯板橋 聡委員 ワンヘルスやSDGsが学べる観光素材は、修学旅行だけではなく大人の社会学習にも活用することが可能と考えます。例えば、行政視察や議会視察などで誘客できる可能性も高いのではないでしょうか。
 FAVA大会の開催等で全国的な注目が高まるであろうワンヘルスを修学旅行用の素材だけでPRするのはもったいないと感じます。ぜひ、大人の視察向け観光素材としてPRすべきと思いますが、いかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 ワンヘルスやSDGsが学べる本県の特徴的な観光素材は、大人向けにも有意義であるものと考えられます。そのため、県の観光サイト、クロスロード福岡において、一般の方にも興味を持ってもらえるよう、ワンヘルスやSDGsの関連施設やモデルコースを広く紹介してまいります。
◯板橋 聡委員 今回の質問で、課長から、修学旅行などの誘致に向け、ワンヘルスやSDGsの視点を取り入れる決意をいただきました。これまで申し上げたとおり、コロナ終息後、全国から福岡県を修学旅行先として選んでもらうためには、従来型の訪問先だけではない、特徴的な魅力あるものをつくり上げていく必要があります。歴史学習といえば京都が有名ですけれども、ワンヘルス学習、SDGs学習といえば福岡県と言われる心積もりで、強力に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、ウイズコロナ期の観光施策について、部長の決意をお聞かせください。
◯吉松源昭委員長 松本商工部長。
◯松本商工部長 修学旅行の誘致につきましては、コロナ禍で深刻な影響を受けていらっしゃいます観光産業に対する誘客支援という点でも、また、子供たちが県の魅力を再発見するという点でも、大変有意義であることと考えております。
 委員御指摘のとおり、全国から本県を修学旅行先として選んでいただくためには、他県との差別化、特徴的なものを取り入れていくという視点が大事だと考えております。このため、バス代の助成といった直接的な支援だけではなく、モデルコースの造成、とりわけ今後の需要が高まるSDGsの学びができる修学旅行のコースづくりに取り組むことを考えております。また、大人向けにも、こういう魅力の発信というのも重要だと考えております。そして、今後はワンヘルスの取組という他県にはない新たなPRポイントも生まれます。多くの学校、また、大人も含めまして、多くの方々に来ていただきますよう、関係部署と連携いたし、受入れ環境の整備、そして福岡県の魅力のアピール等にしっかりと取り組んでまいります。
◯板橋 聡委員 特にワンヘルス関連の観光素材開発については、農林水産部、保健医療介護部など庁内の横串連携が重要ですので、ぜひ知事に直接ただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は、三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

令和4年度予算特別委員会 「まん延防止措置の効果について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 新型コロナウイルス感染症が発生してから三年目となりました。当初、えたいの知れない恐怖のウイルスだったものが、徐々にその特徴などが解明され、我々人類も、ワクチン、経口治療薬、抗体カクテル療法など、コロナと闘う武器を手に入れてきました。そんな中、本日は、新型コロナ対策で何度となく発出された緊急事態宣言、蔓延防止措置などの行動抑制の効果について質問いたします。
 まず、新型コロナウイルス感染症の発生状況及び福岡県の自殺者数について、資料要求をいたします。委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。田中がん感染症疾病対策課長。
◯田中がん感染症疾病対策課長 直ちに提出させていただきます。
◯吉松源昭委員長 野田こころの健康づくり推進室長。
◯野田こころの健康づくり推進室長 直ちに提出いたします。
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 デルタ株による第五波とオミクロン株による第六波の比較について、特徴なども含めて資料の説明をお願いします。
◯田中がん感染症疾病対策課長 新型コロナウイルス感染症発生状況の一枚目でございます。
 資料の一─一は、年代別の新規陽性者数、重症者数、死亡者数について、第五波と第六波を比較したものでございます。
 特徴的なものといたしましては、新規陽性者数では、第六波は十歳未満の割合が一五・八%に急増し、十代を合わせますと全体の三一%を占めています。
 重症者数では、第五波は比較的幅広い世代で重症化してまいりましたが、第六波では七十代と八十代で約六五%を占めており、計の欄にありますように総数も少なくなっています。
 死亡者数では、第六波は、八十代と九十代以上で約七五%を占めるなど、高齢者に集中しています。これは、第五波までは高齢者による肺炎が重症化し、亡くなられる方が多い状況でございましたが、第六波では、高齢者施設や病院に入院している方が陽性となり、基礎疾患が悪化して亡くなるケースが多いためと思われます。
 二枚目、資料の一─二は、年代別の重症化率、死亡率を第五波と第六波で比較したものでございます。
 恐れ入ります。三枚目、資料一─三は、第四波から第六波までの本県と大阪府、奈良県の直近一週間、人口十万人当たりの新規陽性者数の推移を比較したものでございます。
◯野田こころの健康づくり推進室長 四枚目、資料二は、福岡県の自殺者総数及び男女別、年代別を、平成二十一年からの状況を示したものでございます。
◯板橋 聡委員 田中課長、先ほど第五波の死者の傾向について、高齢者による肺炎が重症化して亡くなると言いましたけれども、これはコロナによる肺炎が重症化して亡くなっている方が多くて、五十代の方とかでもそういう可能性があるということで理解してよろしいですか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 そのとおりでございます。
◯板橋 聡委員 服部知事のリーダーシップにより、福岡県が三月六日まででまん延防止等重点措置を解除したことは高く評価します。一方で、知事は三月七日の追加議案説明にて、まん延防止等重点措置が感染拡大期において急ブレーキとしての役割を果たしたと発言されていますが、具体的にはどのような効果があったのでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の起点となっていました飲食店の営業時間の短縮やテレワークの活用等による出勤者数の削減などの要請を行ってまいりました。県全体では、九七・五%の飲食店に時短要請に御協力いただき、飲食店でのクラスターの発生が抑えられたものと考えております。
 また、人流は、まん延防止等重点措置期間中の最も減少した週、一月三十一日の週ですけれども、それでは、年明けの週に比べまして、博多駅で、昼間で二三ポイント減少、夜間で二八・一ポイント減少し、人と人との接触機会を減らすことに効果があったものと考えております。
◯板橋 聡委員 人流抑制に対しての効果があったのは理解しますが、では、まん延防止等重点措置によりどの程度感染拡大を抑制したのか、具体的な数値やデータなど科学に基づいた根拠はあるのでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 本県では、まん延防止等重点措置を実施しない場合の陽性者数の試算、シミュレーションは行っておりません。このため、どの程度の感染拡大を抑制できたか、具体的な数値は把握しておりません。
◯板橋 聡委員 今回のまん延防止等重点措置でどれくらい感染を抑えたのか、データはないとのことですが、例えば奈良県は、第四波の際に、医療崩壊状態だったと言われる大阪府の隣県であるにもかかわらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を効果が見られないと評価し、一貫して適用をしていません。にもかかわらず、資料の一─三のグラフにあるように、大阪府とほぼ同じタイミングで感染は増加し、そしてほぼ同じタイミングでピークアウトして、減少し、波が収まっています。福岡県のグラフも載せていますが、ほぼ似たような傾向です。
 緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を適用している大阪府、福岡県と、適用していない奈良県で、感染の増減の波が同じであるならば、まん延防止等重点措置は、人流は抑えるというデータはお持ちなんですけれども、結局、感染拡大防止の観点では意味をなしてないんじゃないかと感じますが、いかがでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の動向は、人口規模や密集状況、繁華街の有無や飲食店の数、県内の人の動きなどに影響を受けるものと考えられます。また、隣接する都道府県同士では、通勤や通学などの往来が互いに影響し合うこともあります。そのような観点から、奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったものではないかと考えております。
 本県では、第六波の当初の感染拡大は、飲食店を起点としていたことから、まん延防止等重点措置を適用して、感染拡大の防止に努めてきたところでございます。
◯板橋 聡委員 まん延防止等重点措置を実施していない奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったのではとの回答ですが、ならば、逆に言うと、大阪府の影響を受けるから、奈良県がまん延防止等重点措置を実施してもしなくても、感染動向には影響はないということになります。
 それならば、そもそも日本全国、人の流れを県境で遮断することは不可能ですので、福岡県も、タイムラグこそあれ、東京、大阪の感染動向の影響を受けるでしょうし、九州で唯一、まん延防止等重点措置を延長した熊本県で陽性者数が再度増加に転じたり、ますますまん延防止等重点措置って一体何なのという思いに駆られてしまいます。
 コロナ対策の真の目的は、本来であれば助かるはずの命が、適切な医療が受けられないことによって失われるのを避けるためではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 御指摘のとおり、命を守る、救える命を救うことと考えております。
◯板橋 聡委員 資料一─二に記載されている重症化率、死亡率、これは致死率のことですけれども、御覧のとおり、第六波における六十歳未満の重症化率は、第五波のときと比較して約四十分の一に減り、六十歳以上と比較すると、約三十分の一となりました。また、第六波における六十歳未満の致死率は、第五波と比較して約四分の一に減り、六十歳以上と比較すると、僅か百六十分の一になりました。
 六十歳以上の高齢者と六十歳未満の現役世代の間には、重症化率、致死率に顕著な違いが見てとれます。年齢問わず一律の行動抑制は、重症化リスクが低い現役世代に対して、意味がないどころか、経済的に深刻なダメージを与えます。
 資料二によると、県内自殺者数は、本県において減少傾向でしたが、コロナ発生後の令和二年度は、全国同様、増加に転じ、県こころの健康づくり推進室は、特に女性及び若年層の増加が顕著と評価しています。また、子供たちにとっては、休校や各種学校行事、部活動の中止により、学校生活で培われるはずの心や体を成長させる機会が損なわれています。婚姻数や出生数も、令和三年に入り激減しています。
 救える命を救うことが感染拡大防止対策の要諦であるなら、めり張りのない一律の行動抑制で、社会経済活動に深刻なハレーションを起こすことを避け、真に対策が必要な方へピンポイントで感染防止措置や医療体制の確保を行うべきではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 第六波は、年末年始、成人式を含む三連休などでの飲食の場を起点といたしました感染拡大から始まりました。一月二十四日から、飲食店への時短などの県独自措置やまん延防止等重点措置により取り組んできたところでございます。
 その中で二月四日、国の専門家会議におきまして、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止対策について提言がなされました。これを受け、本県では、国の基本的対処方針の変更を待つことなく、二月七日に県対策本部会議を開催いたしまして、高齢者等施設、学校、保育所、事業所等に対しまして、国の専門家会議の提言を踏まえた感染防止対策の徹底を要請いたしました。
 いずれにいたしましても、県が取るべき感染防止対策の措置は、国の基本的対処方針を基本として行うこととしておりまして、この方針に沿って対応しているところでございます。
◯板橋 聡委員 御答弁ありましたとおり、いずれにしても、県が取るべき対策は国の対処方針によって決められており、従わざるを得ないというのは、分かることは分かるんですけれども、保健行政の最前線にいるのは、間違いなく保健所を所管している県です。霞が関の机の上で練られた対処方針のピントがずれていたら、福岡県は、新型コロナの実態を最前線で把握している立場でリーダーシップを執り、科学的データとともに、国に適時的確な対策を提言していく必要があるのではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 国に対しましては、全国知事会を通じまして、現場の状況を伝えています。また、変異株の特性に応じた全般的な対応方針を明確に示すことや、感染の実態に即した実効的な対応が可能となるよう、基本的対処方針を見直すよう、国に対し繰り返し提言をしているところでございます。さらに、オミクロン株だけでなく、今後の変異株にも対応できるよう、社会経済活動と感染防止対策の両立に向けた出口戦略を早急に示すよう国に提言しています。
 そういった中、措置内容ではございませんが、国から、地方からの提言を受け、濃厚接触者の待機期間の短縮などについて見直しが行われました。
 委員御指摘のように、国に対し必要な提言を引き続き行ってまいります。
◯板橋 聡委員 やはり国に提言をしていくしかないというのが県の実情なのかもしれませんけれども、福岡県はコロナ警報というのを定めており、指標が基準に達した場合には、時短要請等を行うことにしています。こちらは県独自の基準です。
 今回のオミクロン株のように、感染傾向が大きく変化することが分かった以上、一律に指標だけを基準にするのではなく、変異株の特徴に応じて、高齢者や基礎疾患のある方など注意すべき方と重症化リスクが低い方々とで濃淡をつけるなど、具体的で効果的な注意喚起をできるよう、県としてもっと研究すべきではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 福岡コロナ警報は、県民、事業者に対する協力要請を行う基準として策定し、感染状況に応じ、今後どのような措置を要請するのかを分かりやすく示すことで、県民、事業者の皆様にあらかじめの準備と注意喚起を行うものでございます。
 委員御指摘のとおり、今回のオミクロン株はこれまでと特徴が大きく異なっておりまして、コロナ警報で定めた指標や措置とは異なる運用を行ってまいりました。コロナ警報につきましては、感染状況に応じ柔軟な対応ができるよう見直しが必要と考えており、今後検討してまいりたいと考えております。また、変異株の特徴を踏まえ、県民に分かりやすい注意点等を情報発信することが重要であると考えております。
 委員からは、以前から情報発信に関しまして様々な御指摘、御指導をいただいておりまして、これまで改善してきたところでございますけれども、県といたしましては、今後とも、今、何に注意すべきかなど、ポイントを絞った、分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 人類史上、根絶できた感染症は、唯一、天然痘だけです。エドワード・ジェンナーが種痘を行ってから二百年もかかりました。我々は、新型コロナの早期根絶を夢見るのではなく、共生する道を探らなければなりません。発生から三年目に入り、人類はワクチン、治療薬、治療法など武器を手に入れ、ウイルスの特徴、重症化する方の傾向を徐々に解明してきました。これからは、新型コロナから身を守るグループと社会経済をしっかり回していくグループ、この双方が両立できる施策を速やかに行わなければ、社会も人々の心も崩壊しかねません。ウイズコロナの時代に向けて、部長の決意をお聞かせください。
◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
◯白石保健医療介護部長 委員のおっしゃるとおり、コロナ対策の要諦、これは県民の命を守る、こういったことのための対策でございます。このために、医療の逼迫を回避するための検査体制や医療提供体制の確保、それから県民、事業者の御協力を得ながら、経済的影響などに配慮した社会全体での感染拡大防止、こういった観点で対策に努めているところでございます。
 オミクロン株による第六波は、陽性者が圧倒的に多く、若年層の重症化は少ないものの、陽性者が増えたことにより、高齢者や基礎疾患を有する方の入院が増え、病床使用率は一時八五%を超える状況になりました。また、肺炎よりも、基礎疾患を有する高齢者が新型コロナの罹患によって死亡されることが起きております。県では、高齢者施設での対応の強化や、市町村と連携した高齢者のワクチン接種の促進に取り組んでいるところでございます。
 まん延防止等重点措置においては、三月七日の解除を国に要請し、同日から飲食店への営業時間の短縮を解除するとともに、四月七日までを感染再拡大防止対策期間として、感染が再拡大しないよう対策に取り組んでいるところでございます。県といたしましては、感染の特性に応じ対応ができるよう、引き続き国に対し現場の実情を伝え、基本的対処方針の見直しやウイズコロナに向けた今後の取組の提示を求めてまいります。
 さらに、今後に備え、感染の特性を素早く捉え、その特性に応じた柔軟な対応ができるよう、福岡コロナ警報を見直すとともに、引き続き県民への分かりやすい情報発信に努めてまいります。
◯板橋 聡委員 第六波における死者に関しましては、先ほど部長おっしゃられたとおり、基礎疾患をお持ちの高齢者、あるいはもう既に入院されている高齢者の方が、入院された後に陽性と判明して亡くなられている場合が非常に多うございます。そういった特性もちゃんと踏まえていただいて、何せとにかく飲食店を抑えれば感染が収まるんだという考え方が本当に正しいのかというのを改めて見直していただきたいと強く要望いたしますし、まん延防止等重点措置も緊急事態宣言も、要請するのは知事の腹一つでございます。服部知事に直接お考えをただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は、三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)