◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
新型コロナウイルス感染症が発生してから三年目となりました。当初、えたいの知れない恐怖のウイルスだったものが、徐々にその特徴などが解明され、我々人類も、ワクチン、経口治療薬、抗体カクテル療法など、コロナと闘う武器を手に入れてきました。そんな中、本日は、新型コロナ対策で何度となく発出された緊急事態宣言、蔓延防止措置などの行動抑制の効果について質問いたします。
まず、新型コロナウイルス感染症の発生状況及び福岡県の自殺者数について、資料要求をいたします。委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。田中がん感染症疾病対策課長。
◯田中がん感染症疾病対策課長 直ちに提出させていただきます。
◯吉松源昭委員長 野田こころの健康づくり推進室長。
◯野田こころの健康づくり推進室長 直ちに提出いたします。
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 デルタ株による第五波とオミクロン株による第六波の比較について、特徴なども含めて資料の説明をお願いします。
◯田中がん感染症疾病対策課長 新型コロナウイルス感染症発生状況の一枚目でございます。
資料の一─一は、年代別の新規陽性者数、重症者数、死亡者数について、第五波と第六波を比較したものでございます。
特徴的なものといたしましては、新規陽性者数では、第六波は十歳未満の割合が一五・八%に急増し、十代を合わせますと全体の三一%を占めています。
重症者数では、第五波は比較的幅広い世代で重症化してまいりましたが、第六波では七十代と八十代で約六五%を占めており、計の欄にありますように総数も少なくなっています。
死亡者数では、第六波は、八十代と九十代以上で約七五%を占めるなど、高齢者に集中しています。これは、第五波までは高齢者による肺炎が重症化し、亡くなられる方が多い状況でございましたが、第六波では、高齢者施設や病院に入院している方が陽性となり、基礎疾患が悪化して亡くなるケースが多いためと思われます。
二枚目、資料の一─二は、年代別の重症化率、死亡率を第五波と第六波で比較したものでございます。
恐れ入ります。三枚目、資料一─三は、第四波から第六波までの本県と大阪府、奈良県の直近一週間、人口十万人当たりの新規陽性者数の推移を比較したものでございます。
◯野田こころの健康づくり推進室長 四枚目、資料二は、福岡県の自殺者総数及び男女別、年代別を、平成二十一年からの状況を示したものでございます。
◯板橋 聡委員 田中課長、先ほど第五波の死者の傾向について、高齢者による肺炎が重症化して亡くなると言いましたけれども、これはコロナによる肺炎が重症化して亡くなっている方が多くて、五十代の方とかでもそういう可能性があるということで理解してよろしいですか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 そのとおりでございます。
◯板橋 聡委員 服部知事のリーダーシップにより、福岡県が三月六日まででまん延防止等重点措置を解除したことは高く評価します。一方で、知事は三月七日の追加議案説明にて、まん延防止等重点措置が感染拡大期において急ブレーキとしての役割を果たしたと発言されていますが、具体的にはどのような効果があったのでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の起点となっていました飲食店の営業時間の短縮やテレワークの活用等による出勤者数の削減などの要請を行ってまいりました。県全体では、九七・五%の飲食店に時短要請に御協力いただき、飲食店でのクラスターの発生が抑えられたものと考えております。
また、人流は、まん延防止等重点措置期間中の最も減少した週、一月三十一日の週ですけれども、それでは、年明けの週に比べまして、博多駅で、昼間で二三ポイント減少、夜間で二八・一ポイント減少し、人と人との接触機会を減らすことに効果があったものと考えております。
◯板橋 聡委員 人流抑制に対しての効果があったのは理解しますが、では、まん延防止等重点措置によりどの程度感染拡大を抑制したのか、具体的な数値やデータなど科学に基づいた根拠はあるのでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 本県では、まん延防止等重点措置を実施しない場合の陽性者数の試算、シミュレーションは行っておりません。このため、どの程度の感染拡大を抑制できたか、具体的な数値は把握しておりません。
◯板橋 聡委員 今回のまん延防止等重点措置でどれくらい感染を抑えたのか、データはないとのことですが、例えば奈良県は、第四波の際に、医療崩壊状態だったと言われる大阪府の隣県であるにもかかわらず、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を効果が見られないと評価し、一貫して適用をしていません。にもかかわらず、資料の一─三のグラフにあるように、大阪府とほぼ同じタイミングで感染は増加し、そしてほぼ同じタイミングでピークアウトして、減少し、波が収まっています。福岡県のグラフも載せていますが、ほぼ似たような傾向です。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を適用している大阪府、福岡県と、適用していない奈良県で、感染の増減の波が同じであるならば、まん延防止等重点措置は、人流は抑えるというデータはお持ちなんですけれども、結局、感染拡大防止の観点では意味をなしてないんじゃないかと感じますが、いかがでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 感染の動向は、人口規模や密集状況、繁華街の有無や飲食店の数、県内の人の動きなどに影響を受けるものと考えられます。また、隣接する都道府県同士では、通勤や通学などの往来が互いに影響し合うこともあります。そのような観点から、奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったものではないかと考えております。
本県では、第六波の当初の感染拡大は、飲食店を起点としていたことから、まん延防止等重点措置を適用して、感染拡大の防止に努めてきたところでございます。
◯板橋 聡委員 まん延防止等重点措置を実施していない奈良県の感染動向は、まん延防止等重点措置を実施する大阪府の感染動向の影響があったのではとの回答ですが、ならば、逆に言うと、大阪府の影響を受けるから、奈良県がまん延防止等重点措置を実施してもしなくても、感染動向には影響はないということになります。
それならば、そもそも日本全国、人の流れを県境で遮断することは不可能ですので、福岡県も、タイムラグこそあれ、東京、大阪の感染動向の影響を受けるでしょうし、九州で唯一、まん延防止等重点措置を延長した熊本県で陽性者数が再度増加に転じたり、ますますまん延防止等重点措置って一体何なのという思いに駆られてしまいます。
コロナ対策の真の目的は、本来であれば助かるはずの命が、適切な医療が受けられないことによって失われるのを避けるためではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 御指摘のとおり、命を守る、救える命を救うことと考えております。
◯板橋 聡委員 資料一─二に記載されている重症化率、死亡率、これは致死率のことですけれども、御覧のとおり、第六波における六十歳未満の重症化率は、第五波のときと比較して約四十分の一に減り、六十歳以上と比較すると、約三十分の一となりました。また、第六波における六十歳未満の致死率は、第五波と比較して約四分の一に減り、六十歳以上と比較すると、僅か百六十分の一になりました。
六十歳以上の高齢者と六十歳未満の現役世代の間には、重症化率、致死率に顕著な違いが見てとれます。年齢問わず一律の行動抑制は、重症化リスクが低い現役世代に対して、意味がないどころか、経済的に深刻なダメージを与えます。
資料二によると、県内自殺者数は、本県において減少傾向でしたが、コロナ発生後の令和二年度は、全国同様、増加に転じ、県こころの健康づくり推進室は、特に女性及び若年層の増加が顕著と評価しています。また、子供たちにとっては、休校や各種学校行事、部活動の中止により、学校生活で培われるはずの心や体を成長させる機会が損なわれています。婚姻数や出生数も、令和三年に入り激減しています。
救える命を救うことが感染拡大防止対策の要諦であるなら、めり張りのない一律の行動抑制で、社会経済活動に深刻なハレーションを起こすことを避け、真に対策が必要な方へピンポイントで感染防止措置や医療体制の確保を行うべきではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 第六波は、年末年始、成人式を含む三連休などでの飲食の場を起点といたしました感染拡大から始まりました。一月二十四日から、飲食店への時短などの県独自措置やまん延防止等重点措置により取り組んできたところでございます。
その中で二月四日、国の専門家会議におきまして、オミクロン株の特徴を踏まえた感染防止対策について提言がなされました。これを受け、本県では、国の基本的対処方針の変更を待つことなく、二月七日に県対策本部会議を開催いたしまして、高齢者等施設、学校、保育所、事業所等に対しまして、国の専門家会議の提言を踏まえた感染防止対策の徹底を要請いたしました。
いずれにいたしましても、県が取るべき感染防止対策の措置は、国の基本的対処方針を基本として行うこととしておりまして、この方針に沿って対応しているところでございます。
◯板橋 聡委員 御答弁ありましたとおり、いずれにしても、県が取るべき対策は国の対処方針によって決められており、従わざるを得ないというのは、分かることは分かるんですけれども、保健行政の最前線にいるのは、間違いなく保健所を所管している県です。霞が関の机の上で練られた対処方針のピントがずれていたら、福岡県は、新型コロナの実態を最前線で把握している立場でリーダーシップを執り、科学的データとともに、国に適時的確な対策を提言していく必要があるのではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 国に対しましては、全国知事会を通じまして、現場の状況を伝えています。また、変異株の特性に応じた全般的な対応方針を明確に示すことや、感染の実態に即した実効的な対応が可能となるよう、基本的対処方針を見直すよう、国に対し繰り返し提言をしているところでございます。さらに、オミクロン株だけでなく、今後の変異株にも対応できるよう、社会経済活動と感染防止対策の両立に向けた出口戦略を早急に示すよう国に提言しています。
そういった中、措置内容ではございませんが、国から、地方からの提言を受け、濃厚接触者の待機期間の短縮などについて見直しが行われました。
委員御指摘のように、国に対し必要な提言を引き続き行ってまいります。
◯板橋 聡委員 やはり国に提言をしていくしかないというのが県の実情なのかもしれませんけれども、福岡県はコロナ警報というのを定めており、指標が基準に達した場合には、時短要請等を行うことにしています。こちらは県独自の基準です。
今回のオミクロン株のように、感染傾向が大きく変化することが分かった以上、一律に指標だけを基準にするのではなく、変異株の特徴に応じて、高齢者や基礎疾患のある方など注意すべき方と重症化リスクが低い方々とで濃淡をつけるなど、具体的で効果的な注意喚起をできるよう、県としてもっと研究すべきではないでしょうか。
◯田中がん感染症疾病対策課長 福岡コロナ警報は、県民、事業者に対する協力要請を行う基準として策定し、感染状況に応じ、今後どのような措置を要請するのかを分かりやすく示すことで、県民、事業者の皆様にあらかじめの準備と注意喚起を行うものでございます。
委員御指摘のとおり、今回のオミクロン株はこれまでと特徴が大きく異なっておりまして、コロナ警報で定めた指標や措置とは異なる運用を行ってまいりました。コロナ警報につきましては、感染状況に応じ柔軟な対応ができるよう見直しが必要と考えており、今後検討してまいりたいと考えております。また、変異株の特徴を踏まえ、県民に分かりやすい注意点等を情報発信することが重要であると考えております。
委員からは、以前から情報発信に関しまして様々な御指摘、御指導をいただいておりまして、これまで改善してきたところでございますけれども、県といたしましては、今後とも、今、何に注意すべきかなど、ポイントを絞った、分かりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 人類史上、根絶できた感染症は、唯一、天然痘だけです。エドワード・ジェンナーが種痘を行ってから二百年もかかりました。我々は、新型コロナの早期根絶を夢見るのではなく、共生する道を探らなければなりません。発生から三年目に入り、人類はワクチン、治療薬、治療法など武器を手に入れ、ウイルスの特徴、重症化する方の傾向を徐々に解明してきました。これからは、新型コロナから身を守るグループと社会経済をしっかり回していくグループ、この双方が両立できる施策を速やかに行わなければ、社会も人々の心も崩壊しかねません。ウイズコロナの時代に向けて、部長の決意をお聞かせください。
◯吉松源昭委員長 白石保健医療介護部長。
◯白石保健医療介護部長 委員のおっしゃるとおり、コロナ対策の要諦、これは県民の命を守る、こういったことのための対策でございます。このために、医療の逼迫を回避するための検査体制や医療提供体制の確保、それから県民、事業者の御協力を得ながら、経済的影響などに配慮した社会全体での感染拡大防止、こういった観点で対策に努めているところでございます。
オミクロン株による第六波は、陽性者が圧倒的に多く、若年層の重症化は少ないものの、陽性者が増えたことにより、高齢者や基礎疾患を有する方の入院が増え、病床使用率は一時八五%を超える状況になりました。また、肺炎よりも、基礎疾患を有する高齢者が新型コロナの罹患によって死亡されることが起きております。県では、高齢者施設での対応の強化や、市町村と連携した高齢者のワクチン接種の促進に取り組んでいるところでございます。
まん延防止等重点措置においては、三月七日の解除を国に要請し、同日から飲食店への営業時間の短縮を解除するとともに、四月七日までを感染再拡大防止対策期間として、感染が再拡大しないよう対策に取り組んでいるところでございます。県といたしましては、感染の特性に応じ対応ができるよう、引き続き国に対し現場の実情を伝え、基本的対処方針の見直しやウイズコロナに向けた今後の取組の提示を求めてまいります。
さらに、今後に備え、感染の特性を素早く捉え、その特性に応じた柔軟な対応ができるよう、福岡コロナ警報を見直すとともに、引き続き県民への分かりやすい情報発信に努めてまいります。
◯板橋 聡委員 第六波における死者に関しましては、先ほど部長おっしゃられたとおり、基礎疾患をお持ちの高齢者、あるいはもう既に入院されている高齢者の方が、入院された後に陽性と判明して亡くなられている場合が非常に多うございます。そういった特性もちゃんと踏まえていただいて、何せとにかく飲食店を抑えれば感染が収まるんだという考え方が本当に正しいのかというのを改めて見直していただきたいと強く要望いたしますし、まん延防止等重点措置も緊急事態宣言も、要請するのは知事の腹一つでございます。服部知事に直接お考えをただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は、三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)