令和4年度予算特別委員会「アフターコロナ期の観光施策」

◯板橋 聡委員 皆さん、おはようございます。本日の質問予定表を見ると、各会派、ウイズコロナ期を見据え、観光施策を前向きに進めていくような質問が並び、大変よい傾向だなと感じます。では、前座を務めさせていただく自民党県議団の板橋聡でございます。
 保健費の審査でもお話ししましたが、新型コロナの発生から三年目に入り、人類はワクチン、治療薬、治療法を開発し、ウイルスの実態が徐々に解明されていく中、今後は感染症の波と上手に付き合いながら、観光で経済を回すことが重要です。
 私は、コロナ発生直後の令和二年六月議会一般質問で、感染拡大防止の名の下に修学旅行が中止に追い込まれることを危惧し、県内の学校が県内を目的地とする修学旅行を提案して、当時の小川知事から、身近な県内で修学旅行を行い、県内の魅力を再発見することは意義があると賛同をいただき、前向きに修学旅行支援事業に取り組んでいただいたと認識しております。
 この修学旅行支援事業の実績について資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいのほどよろしくお願いします。
◯吉松源昭委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯吉松源昭委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。酒見観光振興課長。
◯酒見観光振興課長 はい、直ちに提出できます。
◯吉松源昭委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕
◯吉松源昭委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕
◯吉松源昭委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 資料に基づき、コロナ禍における修学旅行支援事業の実績について、御説明をお願いします。
◯酒見観光振興課長 県の修学旅行支援事業の実績についてでございます。県外の学校を対象にしていました修学旅行支援金の対象を、昨年度、県内の小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校などに拡大いたしました。また、三十のモデルコースと百九十施設の素材リストを作成し、県内の対象となる全ての学校、旅行会社へ提案をいたしました。
 その結果、令和二年度は、百七十八校の一万四千四百八十五人、令和三年度は二百九十六校の二万五千六百三十四人となっております。令和二年度及び令和三年度の合計は、四百七十四校、四万百十九人、バス千九百四十八台となっており、その内訳は、県内四百六十校、県外十四校、宿泊が一万九千四百二十五人、日帰りが二万六百九十四人の支援となっております。
◯板橋 聡委員 新たな取組により、約四万人の児童生徒が、学校生活の集大成であり一生の思い出となる修学旅行を経験できたことは大変喜ばしいことだと思います。また、学生だけでなく、コロナとの戦いが長期化し、甚大な影響を県内観光業が受けている中、今回の取組は一定の支援につながったと考えますが、修学旅行支援事業の経済効果はどれぐらいでしたか。
◯酒見観光振興課長 経済効果を求めるための修学旅行に関する適切な統計資料がございませんでしたので、観光庁の旅行・観光消費動向調査を基に試算をしました結果、約十三億円の効果があったと推計されます。長期化するコロナの影響を受けた宿泊施設や地域の観光業の支援につながったものと考えております。
◯板橋 聡委員 県内学校が県内を目的地とする修学旅行では、訪問先にどんな特徴があったでしょうか。
◯酒見観光振興課長 支援事業を活用した学校では、平和の大切さを学ぶ大刀洗平和記念館や、学問の神様菅原道真公を祭る太宰府天満宮、近代化の歴史を学ぶ門司港レトロなどが人気の訪問先となっているほか、柳川市の海苔作り体験や八女市の手すき和紙体験など体験型の施設も選ばれております。
◯板橋 聡委員 修学旅行の定番である観光型の施設だけでなく、体験型の施設が新たな訪問先として開拓されたことが分かりました。
 このように、新たな目的地を開発し、県内から県内への観光需要を掘り起こした修学旅行支援事業ですが、今後、ウイズコロナの考え方で社会が回っていけば、コロナ前のように、県内の学校は県外に修学旅行に向かうことが想定されます。つまり、今後は、全国から福岡県を修学旅行先として選んでもらう魅力の創出が必要となります。
 定番の観光型施設では、なかなか京都や長崎など先進県には太刀打ちできませんので、例えば、SDGsの学びの場をテーマにするのはいかがでしょうか。県内には北九州エコタウンや動物福祉に熱心な大牟田市動物園、私の地元みやま市の生ごみを活用したバイオマスセンタールフランなど、SDGsの学びができる施設が多数あります。それらにスポットを当てて集中的にルートを開発したり、グリーンツーリズムを融合させるなどして、県としてSDGsの学びがあらゆる市町村でできるよう、体制整備を行ったらいかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 SDGsの修学旅行に取り組んでいる北九州市では、SDGsの理解を深め、探求的な学びにつなげるための事前学習や自己学習のワークシート等の準備、フィールドワークに必要な現地ガイド等の体制の整備を進めております。
 県内の市町村でSDGsの学習ができますよう、取組を進める市町村に対してSDGsの学びに関する情報提供やアドバイスを行い、受入れ体制の整備を働きかけてまいりたいと思います。
 また、委員から御提案のありましたグリーンツーリズムにつきましても、コロナ感染症の終息を見据え、SDGSsの修学旅行に組み込めるよう、庁内の関係部署と連携し、検討してまいります。
◯板橋 聡委員 さらに、他県と差別化できる福岡県の特徴として、服部知事が主要施策の一つとして掲げるワンヘルスがあります。次年度予算ではワンヘルスの森などが整備される予算が計上されており、昨日の井上順吾先生の質問にありましたとおり、今年秋に福岡で開催されますアジア獣医師会連合(FAVA)大会においては、ワンヘルスの森ツアーが組まれるということで、今後、修学旅行の魅力的な目的地となる可能性も高いです。
 また、県が推進するワンヘルス教育を修学旅行に組み込むことで、県外の学生にもワンヘルス教育を発信することが可能となります。福岡県がワンヘルス先進県として、ワンヘルスの視点で修学旅行誘致に力を入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 委員がおっしゃるとおり、ワンヘルスは他県に先駆けて県議会とともに取り組んでおります政策課題であります。ワンヘルスを組み込んだ修学旅行は、本県ならではの価値の高い修学旅行になるものと考えております。
 そのため、ワンヘルスの森や今後整備を目指すとされておりますワンヘルスセンターといったワンヘルス関連施設につきましても、修学旅行のモデルコースに組み込めるよう、庁内の関係部署と連携をするとともに、関東圏や関西圏の旅行者や学校関係者を招聘したモニターツアーの開催を検討してまいります。
◯板橋 聡委員 ワンヘルスやSDGsが学べる観光素材は、修学旅行だけではなく大人の社会学習にも活用することが可能と考えます。例えば、行政視察や議会視察などで誘客できる可能性も高いのではないでしょうか。
 FAVA大会の開催等で全国的な注目が高まるであろうワンヘルスを修学旅行用の素材だけでPRするのはもったいないと感じます。ぜひ、大人の視察向け観光素材としてPRすべきと思いますが、いかがでしょうか。
◯酒見観光振興課長 ワンヘルスやSDGsが学べる本県の特徴的な観光素材は、大人向けにも有意義であるものと考えられます。そのため、県の観光サイト、クロスロード福岡において、一般の方にも興味を持ってもらえるよう、ワンヘルスやSDGsの関連施設やモデルコースを広く紹介してまいります。
◯板橋 聡委員 今回の質問で、課長から、修学旅行などの誘致に向け、ワンヘルスやSDGsの視点を取り入れる決意をいただきました。これまで申し上げたとおり、コロナ終息後、全国から福岡県を修学旅行先として選んでもらうためには、従来型の訪問先だけではない、特徴的な魅力あるものをつくり上げていく必要があります。歴史学習といえば京都が有名ですけれども、ワンヘルス学習、SDGs学習といえば福岡県と言われる心積もりで、強力に取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、ウイズコロナ期の観光施策について、部長の決意をお聞かせください。
◯吉松源昭委員長 松本商工部長。
◯松本商工部長 修学旅行の誘致につきましては、コロナ禍で深刻な影響を受けていらっしゃいます観光産業に対する誘客支援という点でも、また、子供たちが県の魅力を再発見するという点でも、大変有意義であることと考えております。
 委員御指摘のとおり、全国から本県を修学旅行先として選んでいただくためには、他県との差別化、特徴的なものを取り入れていくという視点が大事だと考えております。このため、バス代の助成といった直接的な支援だけではなく、モデルコースの造成、とりわけ今後の需要が高まるSDGsの学びができる修学旅行のコースづくりに取り組むことを考えております。また、大人向けにも、こういう魅力の発信というのも重要だと考えております。そして、今後はワンヘルスの取組という他県にはない新たなPRポイントも生まれます。多くの学校、また、大人も含めまして、多くの方々に来ていただきますよう、関係部署と連携いたし、受入れ環境の整備、そして福岡県の魅力のアピール等にしっかりと取り組んでまいります。
◯板橋 聡委員 特にワンヘルス関連の観光素材開発については、農林水産部、保健医療介護部など庁内の横串連携が重要ですので、ぜひ知事に直接ただしたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。
◯吉松源昭委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は、三月二十二日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)