◯栗原 渉委員長 ほかに質疑はありませんか。板橋聡委員。
◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。本日は、県立高校入試の合格発表日であります。今年度の中学校三年生は、未曽有のコロナ禍に見舞われる中、焦りやプレッシャーを感じながら中学校生活の最後の一年を過ごし、受験に取り組んできたことでしょう。その努力が実り、四月からの新しい高校生活が充実したものとなることを願っております。
さて、今回は、新型コロナウイルスの影響で社会が根本から大きく変化している状況において、県立高校入試制度がこのままでよいのか、課題を整理し共有をしていきたいと思います。
まず、県立高校入試で志願者が感染症や不慮の事故で受験ができない場合には、どのような救済策があるのでしょうか。
◯栗原 渉委員長 井手高校教育課長。
◯井手教育庁高校教育課長 受検者が新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの罹患、検査場に向かう途中の事故など、真にやむを得ない理由により学力検査を受検できない場合は、追検査を後日行うこととしております。
◯板橋 聡委員 先週の三月十日の学力検査で、その救済策の対象となった志願者はどれぐらいいたんでしょうか。
◯井手教育庁高校教育課長 追検査の対象者は四人ございました。うち三人は、入試直前または当日に発熱等の症状が生じて受検できなかった者、他の一人はその他の疾病による者でございます。
◯板橋 聡委員 結果として、入試の実施自体には新型コロナウイルスの影響はほとんどなかったということで、ほっとする次第であります。
一方で、今年の一月、新型コロナに感染した東京都内在住の三十代主婦が自殺をされたとのニュースがありました。この女性は、夫と娘も感染し、療養しておりましたが、「自分のせいで娘と学校に迷惑をかけてしまった、申し訳ない」とメモを残して命を絶ったとのことでした。受験生をお持ちの親御さんは、この女性の気持ちが痛いほど分かるのではないでしょうか。新型コロナ感染者だけでなく、濃厚接触でも約二週間の療養や自宅待機を強いられ、人生の大きな節目である受験、そのためにずっと重ねてきた努力が、どんなに健康管理に気をつけていようと水の泡となるリスクがあります。私も来年高校を受験する子供がおり、想像するだけでもぞっとします。
これまでも、受験時期は季節性インフルエンザの流行期でもある冬場であります。今年は、特に新型コロナで顕著だったと思いますが、不慮の病気、事故に対するプレッシャーやリスクを低減させるために、少しでも早く進路を決めて安心したい生徒や親御さんの気持ちは否定できません。
そこで、県立高校入試の日程を確認したいので、執行部に資料をお願いしております。福岡県立高等学校入学者選抜の選抜方法別日程及び入学者割合について資料を要求したいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いします。
◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については、提出できますか。
◯井手教育庁高校教育課長 直ちに提出いたします。
◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 資料について簡潔に説明してください。
◯井手教育庁高校教育課長 この資料は、県立高校入試の選抜方法別の日程と入学者割合について示したものでございます。本年度は、特色化選抜を一月二十七日に実施、二月一日に内定通知、推薦入試は二月九日に実施、二月十六日に内定通知、一般入試の学力検査は三月十日に実施、三月十八日に合格発表。昨年度の入試でございますが、入学者全体に対して特色化選抜の入学者が約三%、推薦入試の入学者が約二五%、一般入試の入学者が約七〇%となっております。
◯板橋 聡委員 この資料によりますと、最も入学者の多い一般入試の合格発表が三月中旬となっており、早めに進路が決まらないと不安だ、プレッシャーに耐えられない、リスクをなるべく避けたいという受験生は、県立高校の一般入試を進路の選択肢から外してしまうのではないでしょうか。これが、今年の県立高校の志願倍率の低さに対する要因の一つだと私は推察いたします。
今後、新型コロナウイルスが終息しても、また新たな感染症が発生するかもしれません。受験生の不安を払拭し、県立高校にチャレンジしたいと思ってもらうには、長らく固定化されてきた入試日程を抜本的に見直す時期に来ているのではないかと思いますけれども、入試日程の抜本的な見直しを行う考えはありますか。
◯井手教育庁高校教育課長 県立高校の入試日程につきましては、県立高校と私立高校の円滑な入試や中学校における教育活動への影響などを考慮して、公私間で協議して適切な時期に設定しております。したがって、すぐに入試日程を大幅に変更することは困難ではございますが、感染症のリスクが中学生、保護者の進路選択に影響を及ぼしているとすれば、対策を検討する必要があると考えます。このため、今後、中学生、保護者、中学校などの意見を聞き、実態を把握したいと考えております。
◯板橋 聡委員 これまでの経緯や様々な配慮で入試日程の抜本的な見直しは簡単ではないとのことですが、まずは実態把握から始めていただけるとのことですので、よろしくお願いしたいと思います。
さて、先ほどの資料によると、県立高校の特色化選抜は一月下旬に実施をされております。特色化選抜は聞き慣れませんけれども、どういう制度なのか、実施状況と併せて教えてください。
◯井手教育庁高校教育課長 特色化選抜とは、学校の特色にふさわしい生徒の入学を一層促進するために平成三十一年度入試から導入したものでございます。推薦入試と異なりまして中学校長の推薦は不要で、出願資格をより明確化し、これを内定基準の目安としております。実施校は、平成三十一年度が十校、令和二年度が十一校、令和三年度が十二校、志願者数は、平成三十一年度が七百十一人、令和二年度が七百五人、令和三年度が千二百十三人となっております。
◯板橋 聡委員 実施した結果、どのような成果があったのでしょうか、お教えください。
◯井手教育庁高校教育課長 実施した学校からは、学校が求める生徒像に合致した入学者が増加した、学習意欲が高く、学校行事にも積極的に参加する生徒が増えたなどの成果があったと聞いており、学校の特色化、活性化に寄与しているものと認識しております。
◯板橋 聡委員 特色化選抜の制度導入後の三年間で実施校や志願者が増えてきており、一定の成果もあるとのことです。
先ほど、日程をすぐに見直すことが難しいとおっしゃっていました。この特色化選抜は、まだ入学者の割合というのは僅か三%であります。この実施時期が早い特色化選抜を積極的に活用していくという対応が可能なのではないかと思っております。
そこで質問です。進路を早く決めて不安を解消したいという受験生のニーズに応えるとともに、高校の特色にふさわしい生徒の入学を促進するため、この特色化選抜を拡大していくという考えはありますか。
◯井手教育庁高校教育課長 特色化選抜は、学校の活性化に効果があり、受験生のニーズもあると考えております。
内定基準の目安を示すことが困難であるなど特色化選抜になじみにくい高校もありますため、一律の導入はできませんが、中学生、保護者をはじめ、市町村教育委員会や中学校、高校等に対して制度の意義を周知し、その理解を得ながら特色化選抜の拡大に努めてまいります。また、このことを通して進学先の決定時期に対する中学生、保護者の不安軽減につなげてまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 特色化選抜の実施校が増加するよう努力するとのことですので、ぜひ積極的な取組をお願いします。
ただ、現在、特色化選抜、推薦入試、一般入試という三種類の入試が行われており、受験生や中学校、高校にとっても複雑な制度になっている感は拭えません。入試制度の変更は、学校現場や受験生に多大な影響を及ぼすものであり、一朝一夕にはいかないのは理解しておりますけれども、県民の皆さんに分かりやすく、中学校、高校にとって望ましい入試制度の在り方を模索すべきと考えています。今回のやり取りが、今後、抜本的な見直しにつながることを心より期待しております。
受験生本位の高校入試への見直しは当然必要なことだと思っておりますが、仮にそれが実現したとしても、受験生や保護者にきちんとその意図、狙いが伝わらなければ意味がありません。同様に、それぞれの県立高校においても学校の魅力向上のために様々な努力をしていると仄聞しておりますが、それをしっかりと中学生、保護者、中学校、こういったところに伝える広報機能が県立高校には欠如していると感じております。特に今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、体験入学など、中学生が直接進路情報を得る機会が大きく失われたそうです。こうしたことも踏まえて、それぞれの高校が、自校の特色を分かりやすく、中学生、保護者、中学校に広報する必要性を改めて再認識した次第です。そのためにも、県立高校の魅力を発信する、言わば営業活動、これを担う人材を配置するなど、広報活動に力を入れていく必要があるのではないでしょうか。
今後、県立高校の広報活動をどう充実させていくのか、課長の所見を御披瀝ください。
◯井手教育庁高校教育課長 中学生、保護者や中学校に高校の魅力を理解していただくには、中学校を訪問しての丁寧な説明や体験入学などの取組の充実、知りたい情報が手軽に入手できる仕組みの構築が重要であると考えております。このため、特に支援が必要な学校につきましては、広報活動の充実のための人的措置や経費的支援を重点的に行いますとともに、事務室と一体となった広報担当組織を設けるなど、広報体制を強化します。併せて、感染拡大のおそれがある場合でも中学生が進路情報を入手できるよう、オンラインを活用した学校情報の発信に努めてまいります。
◯板橋 聡委員 最後に、感染症等の影響を踏まえた県立高校入試制度や広報活動の在り方について、三月末で定年退職を迎える木原副教育長にとって最後の答弁になるかと思いますが、言いっ放しではなく、これからの県立高校運営にしっかりと引き継がれる県教育委員会、県教育庁としての決意を議事録に刻んでいただければと思いますので、よろしくお願いします。
◯栗原 渉委員長 木原副教育長。
◯木原教育庁副教育長 高校入試制度につきましては、その重要性に鑑み、社会の変化に対応するとともに、受験者のニーズに応えられるものであることが必要であると考えております。このため、まずは特色化選抜について、これまでの成果を踏まえ、今後、拡大に努めてまいります。
また、委員御指摘のとおり、今般のコロナ禍が、中学生、保護者の高校選択に一定の影響を及ぼした可能性があると考えられますので、中学生、保護者、中学校、その他の関係者の意見を十分に聞きまして、高校選択の実態や実情をよく把握し、未知の感染症の発生も見据えた入試制度や日程の在り方について研究をしてまいります。
なお、県立高校の広報活動について、さらなる充実強化が必要であると考えております。このため、特に必要な学校につきましては、人的、経費的措置の重点化や校内体制の強化に取り組むとともに、高校、中学校双方の意見を聞き、現在の中学校への訪問や説明の在り方について問題点を洗い出し、県立高校の魅力や特色を中学生にしっかりと伝えることができるよう、広報活動の改善を図ってまいります。
◯板橋 聡委員 しっかりと頑張っていただきたいと思います。終わります。(拍手)