◯板橋 聡委員 私は昨年六月定例会において、ウィズコロナ期の観光戦略として、マイクロツーリズムを取り入れた事業方策に関する知事の所見をお聞きしたところであります。県では昨年、福岡県スポーツコミッションを設立したと聞いておりますけれども、このスポーツコミッションにおいても、ポストコロナを見据え、スポーツを契機とした事業を通じて地域活性化の一翼を担っていただけるよう、通告に従い、福岡県スポーツコミッションとスポーツツーリズムについて質問をいたします。
まず、福岡県スポーツコミッションの設立経緯について御説明ください。
◯仁戸田元氣副委員長 坂田スポーツ企画課長。
◯坂田スポーツ企画課長 平成三十年度に、スポーツ立県福岡の実現に向け策定しました福岡県スポーツ推進計画では、スポーツの関連消費を高めるとともに、スポーツによる地域振興を推進するため、地域スポーツコミッションを設置することとしております。令和元年度には、産学官の有識者で構成する設立準備会議を設置し、その基本方針や主要事業、組織体制、関係機関との連携などについて協議を行ってまいりました。これを踏まえ、福岡県の自然や歴史、文化を大切にしながら、スポーツを通じて本県の魅力を県内外に広く発信し、社会に新たな価値を生み出すことで、交流人口を拡大し、地域の発展を目指すことを目的として、昨年十一月にスポーツ企画課が事務局となりまして、福岡県スポーツコミッションを設立したところでございます。
◯板橋 聡委員 では、その基本方針や主な事業内容について簡潔にお聞かせください。
◯坂田スポーツ企画課長 本スポーツコミッションの基本方針として、スポーツ資源に景観、環境、文化などの資源を戦略的に掛け合わせ、魅力的なコンテンツとして磨き上げ、本県の新たな価値を創出するとともに、県内各地への来訪を促進すること、また、スポーツ資源の市町村域を越えた連携、活用による周遊エリアの拡大と宿泊施設の組合せによる消費額の拡大を図ること、そして、これらの取組を通じた地域に対する愛情や誇りなどのシビックプライドの醸成を図ることの三点を定めたところでございます。
これらの基本方針に基づき、主な事業として、本県の強みや経験、ノウハウを生かした誘客施策を推進するため、先ほど質問にございましたが、体操、新体操のような大規模スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致、スポーツツーリズムの推進に取り組んでいるところでございます。
◯板橋 聡委員 大規模スポーツ大会やスポーツ合宿の誘致などが主な事業とのことですが、スポーツ合宿の誘致についてはどのような活動を計画されているのでしょうか。
◯坂田スポーツ企画課長 スポーツ合宿につきましては、スポーツ大会に比べ長期間の滞在が見込まれることから、宿泊をはじめとした地域の経済効果や、市町村が取り組むスポーツを通じたまちづくりの考え方を県内外に広くPRする効果などが期待できます。また、トップアスリートの合宿においては、その力強さや技のすごさを直接感じることができ、後に続く子供たちに夢や希望を与える機会ともなると考えております。このようなことから、宿泊による一定の経済効果や市町村のPR効果、さらには子供たちに夢や希望を与えることが期待される、各国代表や実業団を対象とした誘致活動を検討しているところでございます。
◯板橋 聡委員 各国の代表クラスや実業団のようなトップアスリートの合宿をターゲットとするということで、それはどんどんやっていただければと思います。
一方で、学生やスポーツ愛好家の方々により、ごりごりの体育会系から親睦を目的とするカジュアルなものまで幅広いスポーツ合宿が行われており、そのマーケットやポテンシャルはトップアスリートの合宿よりはるかに巨大です。スポーツツーリズムを推進し、県内に新たな合宿市場を創出するためには、こういったレベルを問わず幅広くスポーツ合宿の誘致を進めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、スポーツ合宿を通じて、各地域で整備が進んでいる、県や市町村が所有します競技施設などの活用を進めるとともに、本県の観光や食といった地域資源に触れていただくことが重要であると認識しております。そのため、委員の御提案を踏まえ、市町村などの関係者と意見交換をしながら、多くの方々にスポーツ合宿に来ていただけるよう、誘致活動を行ってまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 もう一つの主たる事業である大規模スポーツ大会の誘致、これも強力に進めていただければと思います。
その一方で、私の地元には、清水山ロードレース、みやま旗争奪少年剣道大会、レインボー九州少年ソフトボール大会など、地域に根づいたスポーツ大会があり、筑後エリアにとどまらず、九州、全国から参加者が集います。参加者の規模は数百人程度でありますけれども、このような地域スポーツイベントは、スポーツツーリズムの推進に資する大切な地域資源であり、福岡県としても、成功事例などを共有することで、県全体のスポーツイベントの底上げをすることが大変重要ではないかと考えますけれども、所見をお聞かせください。
◯坂田スポーツ企画課長 本県においても、マラソンやサイクリングといった参加型のスポーツイベントが数多く開催されております。参加者を抽せんするような人気のイベントがある一方、集客に苦労しているイベントがあると聞いております。県内外で大変にぎわっているイベントは、コースが魅力的であったり、郷土料理の提供や参加賞に特産品を活用するなどの工夫を行っております。県としましては、委員の御提案を踏まえ、県内外で成功事例となるスポーツイベントの特徴を収集、整理し、県内市町村などと共有してまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 スポーツツーリズムとは、まさにスポーツをきっかけとして人の移動が発生することです。今回の質問では、スポーツ合宿やイベントの県内市場を拡大し、ブラッシュアップを強くお願いしてまいりましたけれども、同時に、スポーツツーリズムによる来訪者に対して、地域を周遊してもらうオプションを開発、提供して、もう一か所、もう一食、もう一泊を促す取組が特に重要と感じます。
スポーツ企画課は、観光のプロである観光局などと連携して、スポーツツーリズムを観光振興にもつなげて、その効果を県内全域で享受するためにも、例えばパイロットモデルを設定して、その手法や効果などを検証してみてはいかがでしょうか。
◯坂田スポーツ企画課長 委員御指摘のとおり、既存のスポーツイベントや合宿に、本県の観光や食などの様々な地域資源を結びつけた新しいスポーツツーリズムとして魅力を向上させ、県内外から多くの方々に参加していただければ、成功事例となり、他の地域への波及といった相乗効果も期待されます。そのため県といたしましては、パイロットモデルの設定に向けまして、まずは福岡県スポーツコミッション委員の意見を踏まえた上で、スポーツ体験や観光、食といった地域資源の活用について、観光局をはじめとした関係部局との協議のほか、市町村や地域の観光協会などの関係者との意見交換を行ってまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 新型コロナの状況が一進一退を繰り返す中、インバウンド観光客がコロナ前の状況に戻るにはまだまだ時間がかかりそうです。そんな中、福岡県に根づいていなかったスポーツツーリズムを推進することで、新たな観光市場を創出し、ウィズコロナ期を乗り切ることができれば、その市場はそのままポストコロナ期の観光戦略のロケットダッシュを可能にすると信じています。ぜひ今回の質問を踏まえて、県のスポーツツーリズムへの取組を実効性の高いものにしていただきたいと思っております。
最後に、スポーツ局長として、福岡県スポーツコミッションとスポーツツーリズムを地域振興にどうつなげていくのか、その決意を中平局長にお尋ねします。
◯仁戸田元氣副委員長 中平スポーツ局長。
◯中平スポーツ局長 県内各地でスポーツ合宿が行われることやにぎわいのあるスポーツイベントを行っていくことは、地域の皆さんが育まれた伝統や文化、食といった地域資源を生かした観光振興につながります。また、このような取組を推進することは、県内各地域にあります、県や市町村が所有する競技施設などを最大限に活用することにもなります。このため県といたしましては、専門家の皆さんにアドバイスをいただきながら、庁内の関係の部局はもちろん、市町村や観光協会など関係の皆さんとも十分に意見交換を行いまして、各国代表や実業団などのキャンプのみならず、県内各地でスポーツ合宿やスポーツイベントを活用したスポーツツーリズムを推進していくとともに、これを市町村域を越えた周囲にもつなげるなど、スポーツを通じた地域の活性化に取り組んでまいります。
◯板橋 聡委員 スポーツ立県福岡県の実現のためにもぜひ頑張ってください。終わります。(拍手)