平成29年予算特別委員会・知事保留質疑「観光協会のDMO化に向けた支援について」「出会い結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。まずは、観光協会のDMO化に向けた支援についてお尋ねします。今回の商工部観光政策課とのやりとりの中で、観光協会のDMO化に向けて支援の道筋を表明していただきました。しかしながら、観光協会が収益を上げるには、腰を据えた継続的な支援が必要と考えますが、知事の決意のほどをお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小川知事。

◯小川知事 県といたしましては、各地域の観光協会がDMOとしての収益を上げ、また地域における観光振興の司令塔としての役割を十分果たしていくことができるよう、県の観光連盟と一体となりまして各地の観光協会のDMO化実現のために継続的な支援に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 観光という視点で未来への質問をしましたけれども、続いて、今そこに横たわってる危機について質問させていただきたいと思います。ただ、その前に、本日の読売新聞に、福岡県は知事の顔写真つきで就職支援事業の全面広告を出されています。まだ来年度の予算も通過していない、事業も確定していない今日、きょう、県の事業について全面広告を出すというのは予算特別委員会をちょっと軽視している感じがしますけれども、予特の審議をどういうふうにお考えですか。

◯小川知事 予算を御提案申し上げ、その内容を説明させていただいて、予算をお認めいただいて、事業を遂行している、それが本来の姿だと思います。今回、全面広告が出ておりますけれども、新規の予算がどこまで入っていたかは、私はちょっと定かに今見ておりません。確認をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、議会での御議論を踏まえて事業をしっかり遂行させていただきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 最高責任者として知事がそこを把握されてないというのはちょっと不思議に思いますけれども、続けます。ふくおか子ども・子育て応援総合プランの予算措置状況について持ち込み資料のお願いをしております。お取り計らいをお願いたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については理事会において確認しております。
 お諮りいたします。板橋委員申し出の資料を配付することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 それでは、ただいまより板橋委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 これは執行部につくっていただいた資料なんですけれども、去年とことしの子ども・子育て応援プランに関する予算の比較と増減でございます。これについて、知事どういうふうに思われますか。

◯小川知事 私自身といたしましては、子ども・子育ての支援は大事な課題だと思っておりまして、一個一個の項目について精査をし、伸ばすべき点は伸ばす、そして全体としての額の確保に努めたつもりでございます。

◯板橋 聡委員 確かに全体として額はふえてるんですけれども、これはほとんど、見ていただければわかりますとおり、子供ができてからの支援なんですね。これはこれで大事だとは思います。しかしながら、少子化という意味では一丁目一番地、小川知事もよく言われております、若者が結婚したい、家庭を持ちたいと思って出会いがあり、結婚するということじゃないかと思っております。この予算では、一丁目一番地に当たる次代の親の育成と結婚応援の推進がばっさり削られておると。これでは、水道の蛇口を閉めてるのに、お水がたまらないと悩んでいるようなもんだと私は思うんですね。
 県はこれまで、若者の出会いの場を提供することを目的に、あかい糸メールとかさまざまな出会いイベントを実施してきています。その成果として、これまで八千六百組のカップルが誕生したと言いますけれども、その先の結婚については、結婚が個人の価値観によるものだからといった理由で、出会い後の成婚に向けた取り組み、その実績については明確な目標もなく、腰が引けているように感じます。本気で少子化問題に向き合うためには、職員はもとより知事自身が出会い後の成婚数について責任を持って取り組んでいくという気概が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯小川知事 確かに御指摘のとおりでございまして、県民意識調査によりますと、結婚する意思を持ちながら若者で結婚されない理由は、適当な相手にめぐり会えないからということが非常に多うございます。このため、成婚数をふやすためには、まず若者たちに出会いの場を提供する、カップリングによる結婚へのきっかけづくりを行うことが最も重要であると考えまして、これまで出会い・結婚応援事業に取り組んでまいりました。
 そのため、まずは出会いの場を提供しよう、また、カップルの成立に主眼を置いた取り組みを進めてきたわけでございますが、今、御指摘ございました、今後はボランティアで若者の結婚を応援していただいております福岡結婚応援サポーターによります、イベント後、出会いの場、これを実施した後のアフターフォロー、そういったことなど、成婚も念頭に入れたフォローアップに力を入れてまいりたいと思っております。また、これに加えまして、来年度は、デートにどう誘えばいいかわからない、会話が続かないといった声も寄せられておりますので、新たにコミュニケーションスキルアップやマナーアップ講座など、交際の発展をサポートするセミナーを開催をいたしまして、カップルとなった方々がより成婚につながっていくよう支援をしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 では、成婚数に関する目標は掲げないということですか。

◯小川知事 結婚というのは個人の価値観に物すごくかかわるところでございます。そのために、成婚数それ自身に関する目標は今掲げておりません。しかしながら、二十七年度に策定をいたしました福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略におきましては、県民の皆さんが理想とするお子さんの数と実際に持つつもりの数の差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制というものを目標に掲げ、施策の展開をさせていただいております。まず、それらの施策、目標の達成に向けて、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

◯板橋 聡委員 人口ビジョン・地方創生総合戦略の二つの目標を先ほど言っていただきました。これは県の少子化対策で行っているさまざまな施策をもって達成を目指す最終の数値目標じゃないか、そして、そのさまざまな施策の中の一端を担うのが出会い・結婚応援事業じゃないかと私は感じております。だとするなら、出会い・結婚応援事業においても、イベントの参加者数とかいう途中経過的な状況に目標を立てるのではなく、成婚数について具体的な数値目標、成果指標を設定すべきじゃないかと思うんです。そうじゃなければ、知事として少子化対策の成果目標に対して腰が引けてるんじゃないかと。実際、このあかい糸めーるというのは、結婚したいなという人が出会いを求めてやるものですから、個人のどうのこうのとは関係ないんじゃないかと思うんですけど、そこら辺に関してはどういうふうに思われますか。

◯小川知事 よく結婚応援宣言、あるいは結婚を応援していただく企業の経営者へのお声かけを私自身もやっておるんですけれども、セクハラとかパワハラと言われることがあるとおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう意味では、個人がどう思われるかということにかかわってくる部分もございますので、行政として成婚数を目標値に設定することにつきましては、私自身は慎重に考えなければならないかなと思っております。一方で、先ほど申し上げました目標。いろいろな施策を糾合した結果、達成されるべき目標でございますが、それを今やらせていただきながら、来年度はフォローアップ、アフターフォローに力を入れてまいりますので、そういった事業の取り組みの進捗状況も踏まえて、どのようなことができるか、成婚を念頭に置いたフォローアップ、その目標についてどういうことができるかを考えていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 でも、結婚応援推進事業の予算が減らされてるんですよね。だから、こんな話になってると。
 続けます。市町村が行う出会い応援事業に対する補助事業について聞きます。地域少子化対策重点交付金は昨年に比べて七千万ぐらい、こんな大きな金額が減少してるわけです。上村子育て支援課長の答弁で、国の採択が厳しくて市町村からの申請が減少したことが原因との説明を受けました。そうであれば、なおのこと県が申請に向けた具体的な助言、指導をすべきじゃないかと思いますけれども、県として、国の予算を取り込んで全力で少子化対策をするという意欲が感じられません。この点についてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 御指摘のとおり、市町村が取り組んでおります地域少子化対策重点交付金でございますけれども、今年度、御提案させていただいています予算は、昨年度、国の採択状況が非常に厳しかったということがありまして、現段階では市町村の要望額を計上させていただけるわけであります。県としましては、この掲げさせていただいております額、この採択に向け、責任を持ってしっかり支援をしていきたいと思っております。
 なお、この交付金でございますけれども、今年度を見ていきますと四回追加募集が行われております。二十九年度は国の予算額が増額されておりますから、追加募集が行われる可能性が高いと考えております。このため、県におきましては、この情報収集に努めながら追加募集に速やかに対応できるように、市町村に対しましてその要望を行うよう、引き続き働きかけを今続けているところでございます。
 今後の採択に向けましては、先進事例についての情報提供、また事業構築への助言を私どもから行わせていただきまして、県としてもしっかりこういった市町村の取り組みを支援し、一つでも多くの交付金の活用が進むよう、懸命に取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 これから頑張るということなんでしょうけど、二十九年度予算を見る限り、がっかりな数字なんですね。市町村は、先ほどの観光DMOの話でも言いましたけど、人も知恵も足りない部分があります。県がしっかり汗をかいて、知恵を出して市町村の支援をすべきだったんじゃないかと指摘をしておきます。
 昨年の予算委員会で、私は、子育てに理解のある子育て応援宣言企業へ働きかけることが結婚応援宣言企業をふやしていくことに有効ではないかと提案して、前部長と前課長に、両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと約束をいただきました。にもかかわらず、そのような取り組みのもと努力しているとは到底思えないような成果、実績になっております。これは一体どういうことでしょうか。

◯小川知事 前部長、前課長が、子育て応援宣言企業と結婚応援宣言企業、この両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと議会でお約束をし、引き継いでいたにもかかわりませず、今、御指摘のあったような結果になりました。非常に遺憾でございますし、申しわけなく思います。私自身は、前から申し上げておりますように、若者の結婚したい、あるいは子供を生み育てたいという御希望をかなえていくことは、県にとって重要な課題だと思っております。引き続き、結婚応援宣言企業の呼びかけ・協力について、子育て応援宣言企業を中心にしっかり働きかけを続けていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 知事の答弁では、昨年、部長がお約束してくれた両課の連携にほとんど触れてないんですね。一つ指摘させていただきますけど、山口新雇用開発課長から聞いた話なのですが、子育て応援宣言企業というのがどこがすごいかと。これは二年に一回更新作業があって、そのたびにきっちりと宣言企業とコンタクトをとる、この仕組みがすばらしいんだと。ということは、昨年一年間で、単純計算すると六千社中の三千社が更新作業を行ってるんですね。その更新作業をしている三千社にはどういうアプローチをしたんだろうかと。三百社ほど訪問はされたと思いますけど、三千社にどうアプローチしたかがすごく気になるんです。これは、新雇用開発課は全く結婚応援宣言企業の開拓の手助けをしていないという理解でよろしいんでしょうか。

◯小川知事 これまでもそれなりの努力はしてきたわけでございます。結果としては出てないという意味では非常に遺憾であります。これからしっかりやりたいと思うわけでございますけれども、子育て応援宣言企業を拡大させてきたという山口新雇用開発課長のところの今までの取り組みとノウハウがございますので、今まで以上にそのノウハウを活用したい、連携を深めたいと。その上で、加えて、県と包括連携協定を結んでおります企業、また、地元企業が多数参加をいただいております就職フェア、説明会をやっておりますが、それに参加をされている企業、また、子育て応援宣言企業で二年間に一回の登録更新時期を迎えている企業、そういった企業に対しまして重点的に結婚応援宣言の働きかけを続けていきたいと思います。また、県や市町村における広報媒体を通じての呼びかけに加えまして、経済団体が持っておられます機関誌、メルマガを活用した情報発信や、それぞれの会合等の機会を使い呼びかけをやらせていただくことによりまして、地域と企業の理解を深めていって、結婚応援宣言企業の拡大に真剣に取り組んでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 微妙に外してあるんですよね。ずばり聞きますよ。六千社が二年に一回更新作業すると、年に一回、三千社ぐらいが更新作業をしに行くのは新雇用開発課ですよね。その三千社に対してアプローチをするというなら、新雇用開発課はしっかりと結婚応援宣言企業をふやすための努力をすると答えていただけるんですね。

◯小川知事 今申し上げましたように、これから重点的に取り組む企業の一つに、登録更新時期を迎えた子育て応援宣言企業ということを申し上げたわけであります。したがいまして、新雇用開発課、彼らが更新時期に一緒になって働きかけをしていくということでございます。

◯板橋 聡委員 しっかりお願いします。
 繰り返しますけれども、出会い・結婚応援事業を含めて、少子化対策については前部長、前課長からしっかりと前向きな答弁をいただいてるにもかかわらず、予算は減っている、新規事業や交付金の獲得の努力も足りてなかった、少子化対策の具体的な数値目標にも、先ほど知事おっしゃいましたけど腰が引けてる。縦割り行政で関連する事業をやってる課の横串連携もとれてなかった。知事、執行部のこの対応を最高責任者としてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 常々、縦割りの弊害を除去したい、少なくしていきたい、連携を強化していきたいと考えておりますけれども、今御指摘のありましたように、今回の事業につきましてはなかなか思うように進展してないところがございました。非常に遺憾に思っております。これから関係課の連携を深め、いろいろな機会を使って呼びかけをし、結婚応援宣言企業の輪を広げていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 知事の遺憾の意はわかりましたけれども、少子化対策は県の将来、地域の活性化のために最も重要な課題です。一年対策がおくれれば十年効果がおくれると言われてるんですね。今回、今の知事のお話でも明らかになりましたけど、執行部の怠慢によって本年一年間おくれてるわけですよ。この出おくれをどう取り戻すか。そのやり方については、人をふやすとか、事業をふやすとか、予算を修正するとか、ことし出おくれた分、来年の予算を倍増させるとか、きっちりリカバリーするために知恵を出し、汗をかくのが執行部の役目だと思っています。
 知事、福岡県の少子化対策の一年間の出おくれをどう取り戻すか、お考えをお聞かせください。

◯小川知事 子ども・子育て支援全体の予算はふやしておりますけれども、事業それ自身においては進捗に差があります。おくれたところはそれを取り戻す。一年のおくれは将来もっと長いおくれになるという御指摘もありました。そこを肝に銘じまして、今、御提案をしております事業に魂を入れていくといいますか、しっかりやっていく。その状況も見ながら、来年度の対策はどう打つかについて、しっかり全庁挙げて、また連携をとりながら知恵を出す、汗をかく、それを基本に、今後の対応を急いでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 今、知事、魂をかけてとおっしゃいましたね。

◯小川知事 魂を入れる。

◯板橋 聡委員 魂を入れて。かけるわけではないですね。わかりました。魂を入れてもいいんですけど、私は、部長と課長から少子化対策頑張ると言われて十二カ月放置されていたんですね。その上、予算も減額された。今回、予特の質問の中で野原議員の質問で明らかになりましたけど、知事は、私が委員長を務めてる総務委員会に答弁に来て、知事の危機管理については万全を期すと私に言っておきながら三カ月放置しているわけですね。二度あることは三度あるのか、それとも三度目の正直なのか。仏の顔は三度までと言いますけども、二度かもしれません。知事が予算特別委員会の答弁を踏まえて、どうこれから少子化対策を頑張っていくのか議会としてしっかりと注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「地域に根付く県立高校づくりについて」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。地域に根づく県立高校づくりについて質問します。
 公共交通機関が充実していないみやま市のような郊外において、基本的に高校生は自転車やバイクで通学をしています。雨が降ったら、小中学生なら傘や雨がっぱでしのぐわけですけれども、高校になると通学区域が広範囲になるため、雨天時などは保護者が生徒を自家用車で県立高校まで一斉に送迎することになります。そのため、周囲の道路で渋滞や違法駐車を引き起こし、近隣住民に迷惑をかけている実態があると耳にしました。県教育委員会として、把握はされていますか。

◯井上忠敏委員長 中島高校教育課長。

◯中島教育庁高校教育課長 学校周辺の道路での渋滞や迷惑駐車でございますけれども、全日制の県立高校に調査をした結果、九十二校中約六割に当たる五十九校で渋滞や迷惑駐車の状況が生じているという回答がございました。

◯板橋 聡委員 最近の保護者の意識からすれば、登下校の安全確保といった観点から、雨天時の自家用車による送迎も時代の流れと感じます。一方、周辺住民にとってみれば、渋滞や迷惑駐車は事故などにつながりかねず、不安の種となっています。施設面で改善を図るなど、何らか対応はできませんか。

◯井上忠敏委員長 平川施設課長。

◯平川教育庁施設課長 自家用車送迎によって生じる問題につきましては、比較的最近になって顕在化した問題であるため、多くの学校では施設上対応ができていないのが現状であります。しかしながら、最近、全面改築等を行った学校では、乗降スペースなどを設けることとした結果、渋滞の緩和につながったところもございます。このようなことから、今後、学校施設の改修の際には、学校の実態も踏まえながら、自家用車送迎にも配慮した施設整備が必要であると考えております。

◯板橋 聡委員 放置すれば学校が迷惑施設になりかねないどころか、不慮の事故などにつながる可能性がある点で、本県の対応には耐震補強工事並みに迅速性が問われると思いますけれども、例えば八年間以内で全ての対応はできますか。

◯平川教育庁施設課長 一斉に整備することはなかなか困難でございますけども、学校の実情を踏まえながら、計画的に迷惑施設となっている実態の解消に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 なぜ八年以内か。先ほど塩川委員の指摘でも、学力向上も目標をつくってから八年たってやっと対策ができ上がったと。生徒、地域の安全安心に資することでございますので、今後とも注視をさせていただきます。
 このような質問に至った理由は、地元に愛される高校でなければ、地域の小中学生があの高校に入りたいと、そのような気持ちにはならないからです。交通網の発達などにより高校選択の幅が広がり、地方の高校は特に生徒募集などで苦労をしている印象を受けます。県立高校が地域と密着した取り組みを充実させ、学校への理解者をふやし、協力を得ながら地方の県立高校ならではの特色ある学校づくりが進めば、おのずとその学校で学びたいという意欲を持った生徒の入学を促進することにつながるはずだと思います。地域との連携において、現在、県立高校でどのようなことが行われ、今後どうしていくつもりかお答えください。

◯中島教育庁高校教育課長 地域との連携でございますけれども、県立高校では教員や生徒たちによる地域の清掃活動、祭りなどへの協力、地域の人材や保護者を活用した授業づくりなど、地域と連携した取り組みが行われております。今後とも、こうした取り組みの充実を図ることが必要であると考えており、地域との連携で成果を上げている取り組み事例の普及や未来を切り拓く人材育成事業などの経費的な支援策を通して、地域と連携した取り組みを一層支援したいと考えております。

◯板橋 聡委員 地域との連携で言えば、何よりも地元の身近な小学校、中学校との連携、そして高校の財産であり応援団とも言うべき地元で活躍する同窓生なども巻き込んだ取り組みを強化すべきと考えます。特に、小中学生が高校生と接したり、活動をともにしたりすることで、自身の高校生活や将来像などをイメージでき、高校生にとっても小中学生との交流の中で自尊感情を高めるような、育めるような活躍の機会を設定できればよいと思うが、課長の見解をお聞かせください。

◯中島教育庁高校教育課長 小中学校への高校からの出前授業、あるいは中高連絡会等による学校間の意見交換等、さらに同窓会と共同での学校行事の実施など、小中学校や同窓会と連携した取り組みを実施し、教育活動の活性化に成果を上げている県立高校は少なくございません。今後、こうしたすぐれた実践について積極的に普及を図りたいと思っております。また、高校生が小中学生の見本となりながらともに活動できるようなスポーツや文化の行事は、双方にとって教育的な意義も大きく、こうした活動に加え、同窓会や地元自治体などと連携した地域行事への積極的な参加についても促進をしてまいりたいと思います。

◯板橋 聡委員 例えば、大川市の中学校では弓道が盛んだそうですが、弓道場がなく、市内の遠方まで練習に通っているそうです。もし市内中心にある県立高校に弓道場があり、弓道場を開放したり、一緒に練習すれば、おのずとその高校への関心や好感度が高まると思います。このような地域と連携したさまざまな活動が人と人とのきずなづくりや地域の魅力づくりにつながり、地方創生の原動力になり得ると考えますが、いかがでしょうか。

◯平川教育庁施設課長 県立学校につきましては、県立学校は地域の中にございます。地域とともに発展していくためには、その地域の特色を生かす取り組みやそのための施設が必要となってまいります。御指摘の大川市につきましては、非常に弓道が盛んということで、しかしながら高校には弓道をする場がないということもございます。今後、老朽化対策も非常に重要な課題ではございますが、学校が元気になるため、地域が元気になるための施設整備についても計画的に進める必要があると考えております。

◯板橋 聡委員 ちゃんと努力はしていただけますか。

◯平川教育庁施設課長 最大限予算獲得に努力してまいります。

◯板橋 聡委員 地方創生に向けた取り組みが国や地方で進められている中、学校が地域の歴史、文化、環境や人材を生かしながら特色ある教育活動を行うことは、学校の魅力向上だけではなく、地域の魅力の向上や人口流出防止にも大いにつながっていくのではないかと考えます。県立高校は地域の財産であり、それぞれ地域の県立高校が発展するか衰退するかは地域の今後にも大きな影響を与えるということ十分認識をいただきたいと思います。
 地方の県立高校が地域に密着した学校づくりを行い、学校の魅力を高め、特に地元の子供が地元の高校に憧れ、進学したくなるような学校づくりに向けた教育長の決意をお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 先ほど御説明いたしましたような未来を切り拓く人材育成事業などを通しまして、各県立学校の地域に密着した教育活動を進めておるわけでございますけれども、県立高校は今後も地域の信頼を受け続ける、あるいは活力を維持し続けるためには、こうした地域の根差した教育活動を継続して支援していく必要があると考えております。
 また、今後におきましては、小中学校や地元で活躍されている同窓生、こういった方々の意見を学校運営に反映させたり、あるいは連携して教育活動を行うなど、地元の子供が地元の高校に進学をしたくなるような学校づくりを推進してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「DMOと観光の終焉について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 本日の観光局の質問の終えんに、私からはDMOと観光の終えんについてというテーマで質問させていただきます。
 執行部の皆さん、熱が入って非常に一生懸命答えられるのはいいんですけれども、ちょっと答弁が長い、わかりにくいところがありますから、なるべく簡潔に、わかりやすい言葉でお願いしたいと思います。
 まず、我が会派の十中大雅議員が、今議会の一般質問においてDMOに関して質問をされました。答弁の内容は、県内市町においては、地域観光振興の中核である観光協会がDMOの役割を担っていくという答えでしたけれども、私も観光協会の現状を知っていますので、全ての観光協会が一足飛びにDMOの役割を果たせるとは思っておりません。
 そこで、地域の観光協会が現在どういう状況にあって、どういう課題があると認識されているのか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 中島観光政策課長。

◯中島観光政策課長 現在、観光協会は四十三市町村の中に三十四設置されております。そのうち二十七、率にしまして八割が職員数三人以下、このような状況で頑張っているところでございます。また、ほとんどの観光協会がプロモーションやイベント中心の事業を実施しておりまして、一年を通じて観光客を呼び込む、そのような取り組みになかなかつながっていかないというのが課題でございます。

◯板橋 聡委員 DMOの役割を担えと言っても、市町村の観光協会には人も足りない、ノウハウもない。だからこそ県がどういう役割を果たすのかが問題です。
 十中議員の一般質問では、県の支援策について、体験型観光資源の開発とか、ほかの先進的な取り組みに対する助成や観光地づくりに関する専門家による助言、指導などを挙げておられましたけれども、どうもいま一つぴんと来ないんですね。助言とか指導をするといっても、どういうふうにするのか。場当たり的にやっていてもなかなか成果が出ないのではないかと思います。もっと具体性のある方針や進め方が必要だと思いますけれども、県の立場における観光協会のDMO化の道筋について、説明をお願いします。

◯中島観光政策課長 県といたしましては、県観光連盟と連携しまして、観光協会の実情に応じた支援をしていきたいと思っております。具体的には、一つには、DMOの重要性を認識してもらうための啓発、そして、もう一つは、県観光連盟によります観光協会の事業計画策定等に対する助言、そして、全国的に有名な観光地づくりの専門家を招きまして観光協会の事業改善の指導を行っていく、あるいは県の助成金を活用して新たな事業展開を支援していく、さらに、官公庁が進めております日本版DMO候補法人、この登録を目指す観光協会への取り組み支援、そして、国の助成金活用に対する助言、このようなことを通じまして、観光協会がDMOとして収益を上げ、また地域に観光消費を生み出す司令塔となれるようにしっかりと支援してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 道筋をお示しいただきましたけれども、DMOのコンセプトもまだまだ浸透していない中、地域観光協会のDMO化には、道筋と同時に道しるべも必要だと思います。明確で具体的な目標を設定して、地域観光協会と県とで共有をして、ベクトルをそろえて進めていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

◯中島観光政策課長 現在、県観光振興に関する基本方針の中で議論を進めているところでございます。今後、専門家を初めいろいろな意見を聞きました上で、DMOに関する目標についても盛り込む方向で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 さらに、一、二年やったからといって、すぐに地域の観光協会でDMO化が達成できるとは私も思っていません。やはり物になるまで継続的な取り組みが必要と考えますけれども、所見をお聞かせください。

◯中島観光政策課長 観光協会のDMO化につきましては、御指摘のとおり、長期的な視点で考える必要があると考えております。各観光協会の事業目標の達成に向けまして、今後の事業の進め方も含めまして、専門家の意見を聞きながら、継続的な支援に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ちょっと視点を変えまして、二〇一七年二月、デンマークのコペンハーゲン市が新しい観光戦略を打ち出しました。その戦略はジ・エンド・オブ・ツーリズム、日本語に訳すと観光の終えんとショッキングなタイトルがつけられて、その内容は、観光地の美しい写真で観光をマーケティングしたり、マスメディアによるPRによって大量の観光客が押し寄せて地域住民に負担になるようではだめですと。観光客を大量に誘客し、大量消費してもらう時代は終わりました。これからは観光客を一時的な住民として捉え、地域のコミュニティーの一員となる、地域も誘客のために背伸びしない観光振興に取り組むという趣旨でした。この観光戦略を、課長、率直にどういうふうに評価されますか。

◯中島観光政策課長 この戦略は、委員の御指摘を受けて初めて知りまして、英語で書かれておりましたので非常に苦労したんですけれども、コペンハーゲンの観光戦略は、地域住民や企業、さらには観光客も一緒に観光をつくり上げていき、住む人の生活の質も向上させていくという、このような考え方でございまして、観光振興に取り組むに当たって非常に重要なテーマを掲げていると考えております。

◯板橋 聡委員 そうですよね。しかしながら、過去の福岡県の観光施策でいうと、よしもと芸人と行くバスツアーなどはエンド・オブ・ツーリズムの中で指摘されている終わりゆく観光の典型例ではないかと。テレビの有名人という飛び道具を使って客寄せしても、一時的には誘客につながっているかもしれませんけれども、持続的なものとはなっていないと感じますけれど、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 このツアーにつきましては、参加者から県内にも魅力的なスポットがあるということを再発見できたというような声がありましたし、県の行いましたアンケートにおきましても、旅行先に福岡県を選んだ理由として、以前来てよかったというような回答がふえてきておりまして、一定の成果があったものと考えております。
 しかしながら、近年の観光客の動向は団体旅行から個人旅行へ、また見物周遊的な観光から体験交流型へと変わってきております。持続的に誘客していくためには、こうした市場ニーズに合った取り組みを進めていく必要がありまして、県の施策も変わっていく必要があるということで、現在、少しずつ見直しを行っているところでございます。
 二十九年度予算では、例えば都市部と農山漁村が近接している強みを生かしたサイクリングやオルレなどのトレッキングと、旅館、農家民泊等を組み合わせた地域の観光協会、商工会など、その分野の専門家とともに協議、検討を進めてまいる考えでおります。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、マスメディアの力に頼って大量誘客しても、一過性で地域は疲弊するだけです。何も残りません。他県でもやっているからとか、テレビで紹介されていたからとか、はやりものに乗っからないで、もっと地域の本質的な魅力を打ち出すべきではないかと思いますけれども、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 県としましては、徹底したマーケティングを行いまして、こうしたデータに裏打ちされた取り組みが必要と考えております。そして、旅行ニーズを捉えた個人に届く情報発信、それから結果の分析、これを次への展開へとつなげていくことが必要だと考えております。このため、個人に届くような県独自の観光情報の発信というものに取り組んでまいる考えでございます。
 また、国内はもとより、海外からのリピーターをふやす必要がありますので、体験したり、交流しながら時間をかけて滞在していただけるような観光資源の開発を地域の皆さんとともに進めたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさにそのようなことをしっかりやってかなければならないんですけれども、先ほど申し上げたコペンハーゲン市の観光戦略は、観光客も住民として、コミュニティーの一員となって、将来的には移り住んでもらおうという大きな話でもあるんですね。これは我が国においても平成二十七年十一月に発表した「日本版DMO」形成・確立に係る手引に、地域住民の自らの地域への誇りと愛着を醸成する住んでよし、訪れてよしの豊かな地域づくりにより、地域住民の地域外への流出を防ぎ、ひいては地域を訪れた観光客の定住の促進につなげていくことも地方創生の実現における観光の重要な役割と、こういうふうに明記してあります。
 本日のDMOに関する質問の最後ですけれども、県としてこのエンド・オブ・ツーリズム的な考え方を生かした福岡県版DMOづくりにじっくりと取り組んでいくべきだと考えますけれども、最後ですから、部長のお考えと決意をあわせてお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から御指摘のありましたエンド・オブ・ツーリズムはコペンハーゲンでございますけれども、ヨーロッパはもともと長期休暇がございますので、日本にそのまま当てはまるかどうかという問題はもちろん若干ありますけれども、体験型観光が今、非常にブームになってきている。その体験といいますのは、その地域にございます歴史や文化、あるいは食や産業、そういった訪問地の日常を体験する、旅行客の方にとっては非日常ですけれども、その地域の方にとっては日常の部分を体験するということでございまして、流行に流されずに観光客のニーズを的確に捉えて持続可能な観光地づくりを進めようとするこういったコペンハーゲンの考え方というのは、県にとっても見習うべき点が大変多いものだと考えてございます。
 県としては、こういった基本的な考え方のもとで、またこういった観光を進めていく上に当たっては、先ほど来、出ております地域の観光協会、こういったとこが、みずから収益を上げ、地域に観光消費を生み出していくための司令塔、つまりDMOとなれるようにしていく必要がございますので、県観光連盟との連携もしっかり強化いたしまして、こういった取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、こういった考え方につきましては、先ほど来御説明申し上げております県の観光振興の基本方針の内容についても、この中で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 突然決意を聞くと、かなりどぎまぎしながらしゃべられていたみたいですけれども、部課長の意気込みは感じるんですよ。しかし、私、一般質問のときの知事の答弁を聞いている限り、部課長を初めとする現場の熱意と何となく温度差を感じるんですね。県全体の観光戦略でございますので、ここはぜひ、先日、福岡アジアコレクションカワイイ大使の女性八人に囲まれて満面の笑みを新聞で披露されておった小川知事に直接聞いていきたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「出会い・結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 午前中の松下委員の少子化対策についてと質問がかぶってしまいました。重複する部分もあるかと思いますけれども、出会い・結婚応援事業について質問いたします。
 県では、少子化の要因である未婚化、晩婚化に対する取り組みとして、平成十七年度から出会い・結婚応援事業を行っております。私も、議会や委員会の中で再三にわたり、少子化対策の一丁目一番地は、若者が結婚して家族づくりのスタートラインに立つことと指摘をしております。その出会い・結婚応援事業の中でも出会いイベントの成否の鍵を握る「あかい糸めーる」、こちらの利用状況はどうなっていますか。

◯井上忠敏委員長 上村子育て支援課長。

◯上村子育て支援課長 「あかい糸めーる」は平成二十年度から運用を開始しております。初年度のメルマガ会員数は千百二十人でございました。これを市町村にも広報紙等で呼びかけていただきまして、平成二十七年度末で五千五百七十九人となっております。また、利用を促進するため、本年度スマートフォンへの対応及び希望する配信時間、対象年齢等の設定が行えるようにしております。システム改修を行いまして、利便性の向上を図ったところでございます。さらに、県境を越えた出会いを応援するために、福岡県が中心となりまして、二十八年九月から九州、山口各県共同の使用を開始しております。

◯井上忠敏委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔、簡明にお願いします。

◯板橋 聡委員 きょうは質問数が多いですから、利用状況を聞いただけなので。
 メルマガ会員数は二十年から増えていると。しかしながら、携帯をかえたり、メールアドレスを変更して、同一人物が二重に登録している、あるいは今現在使用されていないメールアドレスも含まれていると想像しますけれども、アクティブユーザー数をきちんと把握しておりますか。

◯上村子育て支援課長 この事業は委託をしておりまして、委託されている事務局のほうで把握はしております。

◯板橋 聡委員 では、課長のほうでは把握していないと。事業の正確な分析はできていないと思います。
 一方で、事業効果を高めるための取り組みはどうなっていますか。

◯上村子育て支援課長 先ほど言いましたように、スマートフォンへの対応等、そういうものの改修によりまして利便性を高めたところでございます。

◯板橋 聡委員 利用促進の取り組みを聞いたのではなくて、事業効果のことを問うたんですね。課長、この事業の目的とは一体何なんですか。

◯上村子育て支援課長 出会い応援イベントを広く発信することでございます。

◯板橋 聡委員 違います。出会いを提供し、若者が家族をつくり、スタートラインに立つことが最終目的ではないのでしょうか。事業目的の把握が曖昧で事業効果を高めるのは難しいと思いますけれども、進みます。
 その観点から見れば、カップル成立組数と成婚報告数の割合が著しく低い。婚活イベントで、平成十七年度から累計で八千六百五組。婚活イベントですよ。みんな、結婚するために相手を探したいと、そういうところのイベントで八千六百五組カップルが成立しているのに、成婚報告数は三百七十八組、約四%、これは成婚数を高める努力とかしておるのでしょうか。過去の追跡調査とか、カップルが成立した方たちへ背中を押すような、もう一手間入れるような目的達成のための分析や努力をされておりますか。

◯上村子育て支援課長 委員御指摘のように、今まで八千六百組のカップルは成立しております。それに比べまして、結婚の御報告をいただいたのが三百七十八組でございます。この結婚の報告につきましては、任意で報告をしていただくようにしております。そういうことから、これが全ての数ではないと思っております。
 それから、フォローについては、相談窓口を設置しておりまして、そこでカップリング後の悩みであるとか、そういうことの相談を受けております。

◯板橋 聡委員 これは聞く限り、ここでもちょっと事業の現状分析とか努力が若干足りないのではないかと思います。
 ここで、出会い・結婚応援事業を含む子育て応援社会づくり推進費の資料を要求しておりますので、お取り計らいのほどよろしくお願いします。

◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯上村子育て支援課長 直ちに提出いたします。

◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕

◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 資料の説明を簡潔にお願いします。

◯上村子育て支援課長 この資料は、県の出会い・結婚応援に係る施策の予算事項であります子育て応援社会づくり推進費の、事業ごとの予算を記載したものでございます。予算額欄ですけれども、1)として二十八年度の予算額を記載しております。これには経済対策としまして二十七年度二月補正予算を組んでおりますけども、それを繰り越した分も含んでおります。2)に二十九年度の当初予算の額を記載しております。右のほうに主な増減理由を記載しております。
 以上です。

◯板橋 聡委員 平成二十九年度の子育て応援社会づくり推進費は一億七千七百万円となっており、補正分を含めた平成二十八年度予算と比較し、約八千二百万円の大幅減となっております。出会い・結婚応援事業の減額理由が右側に書いてありまして、出会い・結婚応援宣言大会が終わった、結婚・子育て動画配信事業が終了した、だから予算が減ったというのはわかりますけど、事業が一段落しようが、福岡県の命運を左右する少子化対策という大きな目標がある以上、新たに事業を投入するなど継続的な予算獲得の努力があってしかるべきではないですか。塩川財政課長の査定は厳しいかもしれませんが、頑張らないと。
 また、予算減の最大の要因である地域少子化対策重点推進交付金の落ち込みの理由は何かお答えください。

◯上村子育て支援課長 先ほど委員が申されました交付金の減でございますけども、国の採択条件のほうが非常に厳しくございます。国の審査で不採択となる可能性が非常に高いということで、交付金を活用し事業に取り組むという市町村が減ったためでございます。この減が非常に大きいところでございます。県としましては、国の採択の方針等に沿って、企業、団体、学校など地域における多様な主体の参画、そういうものが求められておりますので、県の企業を取り込んだ事業の内容等について市町村に積極的に情報提供しまして、国の追加採択に向けた申請を引き続き働きかけてまいります。

◯板橋 聡委員 国からの交付金である地域少子化対策重点推進交付金の減少理由について、国の採択条件が厳しいとか、それを理由に、市町村がこの交付金を利用して少子化対策事業に取り組もうとしなかったとか、まるで国と市町村に問題があったかのような話ですけど、こういうときに県はしっかり知恵出して、汗かいて、市町村の申請が採択されるよう努力するのが役割と理解していますよ。農林水産部なんか必死にやっていますよ、これは。本県については、県の役割が特にことしの最初の採択についてはほとんど機能していないように感じますが、どうですか、課長。

◯上村子育て支援課長 委員おっしゃるとおり、相当の減になっております。これは非常に厳しいものですが、追加の採択がございます。この追加の採択に向けて、県としましても最大限努力をしてまいります。

◯板橋 聡委員 しかし、問われるのは結果ですから。地域少子化対策重点推進交付金事業の予算は半減した、これが結果ですね。
 さらに指摘しておきたいのは、平成二十八年度の地域少子化対策重点推進交付金ですけれども、この資料には予算額一億五千七百万と書いてありますが、採択額というのが結局は七千万円ぐらいしかないと、事業採択されていなかったと聞いております。残りの九千万円というのはどこに消えたのですか。

◯上村子育て支援課長 これは補正予算で繰り越しており、減額等できませんので、そのまま残として残っております。

◯板橋 聡委員 そうすると、平成二十八年度のこの予算額で書いていますけど、この数字自体意味をなさない。そんな数字をもとに議論とかできませんね。
 私は、ちょうど一年前の予算特別委員会で、企業をもっと出会い・結婚応援事業に巻き込んで、社会全体として結婚を応援する機運を高めるように要請して、当時の野田子育て支援課長から、まずは子育て応援宣言企業のトップに働きかけて、結婚応援宣言をしていただけるよう取り組んでまいると力強いお言葉をいただきました。今まで出会い応援団体に参加していなかった子育て応援宣言企業の中から、新たに結婚応援宣言をしてくれた企業は何社ですか。

◯上村子育て支援課長 何社かということはちょっと正確には今、手元にありません。

◯板橋 聡委員 本当に知りませんか。

◯上村子育て支援課長 私が現在把握しておるのでは三企業でございます。三企業、三社です。

◯板橋 聡委員 平成二十八年十二月末、子育て応援宣言企業は何社ありますか。

◯上村子育て支援課長 五百五十六でございます。

◯板橋 聡委員 間違っています。子育て応援宣言企業です。

◯上村子育て支援課長 六千三社でございます。

◯板橋 聡委員 微妙に間違っています。六千二社。六千二社のうち、一年間でたった三社、パーセンテージにすると〇・〇五%。昨年、私、予算特別委員会で質問をしたと申しましたけど、そのとき高橋前福祉労働部長は私の問いかけにこうおっしゃられました。幸いなことに、子育て応援宣言企業を所管する新雇用開発課と結婚応援事業を実施する子育て支援課は、いずれも福祉労働部で所管しており、まずは仕事と家庭の両立支援に理解のある子育て宣言企業に働きかける、さらに両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう、福祉労働部長として責任持って対応してまいる、こうおっしゃられました。
 高橋前部長は退職し、野田前課長は昇進し、この場にはいません。あれだけ前向きで力強い答弁にもかかわらず、一年かけて六千二社中三社しか新たに結婚応援に協力してくれなかった。子育て支援課の不作為か、新雇用開発課が非協力的だったのか、福祉労働部長がちゃんと対応しなかったのか、結果責任はこの三者のどこにあるのか。唯一、去年とことし続けてこの答弁の場にいる山口課長、三択で答えてください。

◯井上忠敏委員長 山口新雇用開発課長。

◯山口新雇用開発課長 私、子育て応援宣言を所管しておりますけれども、昨年、予算特別委員会で委員のほうから御指摘いただきまして、私どもで子育て応援宣言に対してメールマガジンを配信しております。その企業に対する結婚応援宣言のお知らせ、それから二月一日に六千社大会を開催させていただきまして、その際にも結婚応援宣言についてのパネルの掲示などをさせていただいたところでございます。

◯板橋 聡委員 答えてください。

◯山口新雇用開発課長 お答えが十分でなくて申しわけございません。先ほど申し上げましたように、福祉労働部として同じ結婚応援宣言、それから子育て応援宣言、同じ部内でやっておりますので、双方で情報交換をしながら、私どもとしましては、先ほどを申し上げたような連携をしているところです。結婚応援宣言大会におきましても、子育て応援宣言の情報提供ということで、双方で連携して行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 答えていませんよね。
 両課長の答弁からわかったことは、事業の正確な現状分析ができていない。事業目的をきちんと把握していない。国や市町村に責任転嫁して、新たな予算獲得や交付金獲得のための県として適切な努力もしていない。さらに、その予算も一体どこまでが子育て応援社会づくり推進に関連しているかわからない数字が載って、そしてとどめに、部長と課長が責任持ってやる、頑張ると答弁したにもかかわらず、一年間ほとんど全く成果を出してない。これは議会に対する背信行為ですよ。執行部がこんな状態で、議会は一体どうやって、何を頼りに予算特別委員会にふさわしい少子化対策の質疑を行えばよいのか、県民の負託に応えればよいのか、部長、謝罪や言いわけは不要ですから、的確にお答えください。

◯井上忠敏委員長 小山福祉労働部長。

◯小山福祉労働部長 昨年の予算特別委員会で、今、委員御指摘があったような発言を前部長がしたことを私もきちんと把握しておりますし、引き継ぎを受けております。そのような中で、結果としてまだ子育て応援宣言企業から十分、結婚応援団体が出てきていないということは、私どもの努力不足であると認識をいたしております。

◯板橋 聡委員 質問に答えていないんです。朝、松下委員の少子化対策の質問でも随分、やりますよと頑張っていましたね。今、言いましたようなこと、もう一回言いましょうか。一年間ほとんど成果出していない、議会に対する背信行為だと。執行部がこんな状態で、議会は一体何を信用して、何を頼りに予算特別委員会で少子化対策の話をすればいいんですか。謝罪とか言いわけは要らないですから、答えてください。

◯小山福祉労働部長 平成二十九年度当初予算に新たに子育て応援、出会い・結婚応援事業に関する予算を計上させていただいております。この予算を御審議いただいて議決をいただいて、二十九年度しっかりと取り組んでまいりたいと考えておりますので、ぜひとも御審議を賜りたいと思っております。
     〔発言する者がある〕

◯井上忠敏委員長 理事の方は委員長席のところにお集まり願います。委員各位はそのままお待ち願います。
     〔理事集合〕
     〔理事協議〕

◯井上忠敏委員長 議事の都合により、この際、しばらく休憩します。再開は放送をもってお知らせいたします。
   午 後 三 時 二 十 一 分 休 憩
   午 後 六 時 四 十 分 再 開

◯井上忠敏委員長 ただいまから委員会を再開いたします。
 この際、委員各位に申し上げます。本日の審査は午後五時までを予定しておりましたが、議事の都合により、このまま続行させていただきます。よろしくお願いいたします。
 休憩前に引き続き、議事を進めます。

◯小山福祉労働部長 私どもの不適切な答弁によりまして、委員会に多大な御迷惑をおかけいたしましたことをまずもっておわび申し上げます。申しわけございませんでした。
 県の将来にとりまして極めて重要な少子化問題の取り組みといたしまして今年度からスタートさせました結婚応援宣言企業の取り組みに対しましては、一年前のこの予算特別委員会におきまして、委員から、結婚応援宣言企業をふやしていくためには子育て応援宣言企業が力強い応援団になっていただける可能性が強いとの御指摘をいただき、それに対し、前部長、前課長が同様の認識のもと、同事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと、この委員会の場でお約束したにもかかわらず、そういう結果になっていないということは、議会との信頼関係を損なうことであり、心からおわび申し上げます。
 人がかわりましょうと、所管がかわりましょうと、お約束したことにつきましては、今後このようなことがないよう、信頼関係を損なうことのないよう、しっかりと取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 謝罪の文言はよろしいかと思います。
 しかしながら、同じように一年前の予算特別委員会のときに部長から非常に力強いお言葉をいただいて、一年間ほたっておかれたわけです、私は。そういう意味では、小山部長とまだちゃんとした信頼関係が私はございません。ぜひこれは知事に直接質問させていただきたく、知事保留のお取り計らいをお願いします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成29年2月議会「九州オルレを活用した広域地域振興について」

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨
一、九州オルレの広域地域振興への活用について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。
 けさは、県下各地で雪がちらつくなど冷え込みましたけれども、熱のこもった質疑で、議場を暖めたいと思いますので、皆さん、よろしくお願いいたします。
 早速、九州オルレを活用した広域地域振興について質問をいたします。オルレは、韓国済州島の言葉で、もともとは家に帰る細い道を意味しますが、そこから社団法人済州オルレがコース認定をしたトレッキングコースの総称として済州オルレの呼び名がつきました。二〇〇七年九月にスタートした済州オルレは、韓国のトレッキング愛好者の間でブームとなり、今では年間約二百万人が済州島を訪れる体験型観光の成功事例となっています。オルレの魅力は、子供から高齢者まで歩くことを楽しめる高低差の少ないトレッキングであり、自分なりのペースでゆっくりと歩きながら、その地域でしか見られない景色、経験できないものを楽しめるところであります。社団法人済州オルレ理事長のソ・ミュンスクさんは、オルレは、物語性のあるスローな旅の魅力を伝え観光のパラダイムを変えました、有名な観光地でなくてもチャンスが生まれますと、その観光資源としてのポテンシャルを語っていらっしゃいます。
 九州では、全国に先駆け、九州観光推進機構、県、地元自治体が連携して九州オルレをスタート、その結果、二〇一二年に第一次コースが認定され、ことし二月の第六次認定で、私の地元みやま市と鹿児島県出水市のコースが追加、全十九コースとなりました。みやま・清水山コースと名づけられたコースは、国指定文化財女山神籠石など古代の魅力と、清水寺三重塔や五百羅漢など歴史文化を楽しむことができ、済州オルレ関係者の皆さんからも絶賛していただいております。
 県内では、世界遺産候補である「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の中にあり、山と海の自然を楽しめる宗像・大島コース、広大な茶畑や岩戸山古墳など筑紫君一族の古墳をめぐる八女コース、高良大社と周辺の竹林や筑紫平野の絶景を楽しむ久留米・高良山コースの三コースが存在していましたが、今回みやま・清水山コースの認定により、本県は九州最多の四コースを抱えるオルレ先進県となりました。今注目を集めているオルレを軸として、観光振興はもとより、広域の地域活性化を県としても目指すべきと考え、以下四点を質問いたします。
 人口約五十五万人の済州島は、オルレによって年間二百万人を韓国本土から呼び込むことに成功しております。九州オルレを福岡県として最大限活用するには、この本場韓国のオルレファンをどれだけ取り込めるかが第一歩となります。
 そこで知事に質問です。現在九州には年間約百四十万人の韓国人観光客が訪れていますが、そのうち九州オルレに訪れた方はどれぐらいいらっしゃいますか。また、どのようにして九州オルレに訪れる韓国からの観光客をふやしていくのか、知事の所見をお聞かせください。
 全国にハイキングやトレッキングコースはあまた存在しますが、オルレに認定されることで露出がふえ、コースのイメージも湧きやすく、初心者でもちょっとやってみようかと気軽に参加できるのがメリットの一つだと考えます。日本は山国であり、数年前には山ガールが流行語大賞にノミネートされるなど、山登りは身近なレジャーです。レジャー白書によると、一年に一回以上登山、トレッキング、ハイキングを行う人は年間八百万人前後で推移をしております。一方で、九州オルレに参加した日本人は、二〇一二年から累計で約八万人と言われておりますが、この数はコース内に取りつけられたセンサーで自動計測をしているらしく、ひょっとすると八女コースあたりはイノシシの往来でセンサーを誤作動させているのではないかと危惧いたしますが、まだまだ伸び代がある市場であることは間違いなく、オルレの魅力を日本国内でもしっかりと伝え、国内観光客の誘客につなげるべきと考えます。
 そこで知事に質問です。面積の七〇%以上を山や丘陵地が占める山国日本において、既存の登山、トレッキング愛好家をオルレに向かわせるような仕掛けをするとか、興味はあっても山登りに触れるきっかけがなかったビギナーを開拓するなど、韓国のみならず日本国内の誘客を加速させることで、九州オルレの価値はより一層向上すると考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 二月十八日にオープンしたみやま・清水山コース、初日には社団法人済州オルレ理事長や韓国のテレビ、新聞等メディアや旅行代理店関係者、そして多くの韓国のオルレファンが訪れ、ボランティアが用意した五百杯のぜんざいはあっという間に完売するほどの盛況だったそうです。しかし、記念式典の御挨拶の中で、九州観光推進機構の高橋専務理事は、オルレはコース認定されてからが本当に大変なんです、コースを美しくメンテナンスし続けるには地元の皆さんの理解と多大な努力が必要になりますとくぎを刺されました。
 そこで知事に質問です。オルレはコース認定されて終わりではなく、認定後にいかにコースの魅力を守り高めていくかが問われています。直接的には地元自治体や観光協会などがかかわるわけですけれども、県としてどのようなサポートができるのか、知事の所見を御披瀝ください。
 今回みやま・清水山コースがオープンされ、筑後地域では久留米、八女とともに、それぞれ特徴のある三コースが楽しめることになりました。本家済州オルレでは、宿泊滞在型で複数のコースを楽しむ、そういうスタイルが定着しており、福岡においてもオルレに訪れて、帰りに筑後広域公園の恋ぼたる温泉館で汗を流して、柳川のウナギを食べるとか、あるいはその逆に、大牟田の世界遺産を観光して、大川のエツに舌鼓を打って、翌日はオルレを楽しむなど、地域の魅力に厚みが増し、周遊ルートの幅が広がるのではと期待が膨らみます。これはまさに、知事が観光戦略として常々語られている、福岡でもう一カ所、もう一食、もう一泊の、いわゆるワンモア福岡の実現であります。
 そこで知事に質問です。三つのオルレコースを擁する県南地域にて、オルレを活用することで周辺観光地も巻き込んだ新しい広域の観光振興を目指しませんか。知事の所見をお伺いいたします。
 以上、知事の真摯で前向きな答弁を期待して質問を終わります。(拍手)

◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、九州オルレを活用した韓国からの誘客でございます。九州オルレの誘客につきましては、本県を初め九州各県、地元市町村、そして九州観光推進機構が連携をいたしまして取り組んでいるところでございます。現在、韓国からの誘客を図っていくため、韓国のマスコミ、それからブロガーなどをオルレコースに招請をいたしまして、現地メディアやSNSで情報発信をするなど、韓国の皆様に対し積極的にPRを行っているところでございます。また、韓国旅行会社との商談会や説明会におきましても、九州オルレを組み込んだ旅行商品の企画というものを働きかけているところでございます。こうした取り組みの結果、九州オルレを訪れられた韓国人の観光客は、平成二十四年、四コーススタートしたわけでございますが、一万七千人でございました。それが平成二十七年度、これは十七コースのときですが、約六万人と、着実に伸びてきておりますけれども、その割合は、九州を訪れられた韓国人の観光客の五%程度でございますことから、一層の増加というものが期待されるところでございます。今後、個人旅行者に九州オルレの魅力を知っていただくために、例えば、オルレ参加者にインスタグラムでオルレ写真を投稿していただくなど、新たなプロモーションにも取り組んでいきたいと考えております。
 また、九州オルレを活用した国内からの誘客でございます。現在九州各県、地元市町村、そして九州観光推進機構におきましては、国内からの誘客も図っていくために、九州オルレフェアやオルレセミナーを開催をするとともに、各コースの魅力やアクセス方法などを紹介いたします小冊子を観光案内所などで配布するなど、積極的に国内向けのPRも行っております。今後は、新たにトレッキングやウオーキングの団体を通じ、九州オルレをPRをしてまいります。また、登山用品店やスポーツ用品店に対しまして、店舗における情報の発信、またオルレイベントへの協力についても働きかけるなど、国内観光客の一層の誘客に努めてまいります。
 次に、認定後のコース整備を含めた魅力の向上のための取り組みについてお尋ねがございました。現在、県におきましては、県の観光連盟とともに、年に数回、県内のコースの整備状況を確認をいたしまして、当該市町村に対しまして標識の設置、コースの草刈り、ごみ拾いを行うことを助言するなど、市町村と連携をいたしまして認定後のコースの整備にも努めているところでございます。加えて、今後コース周辺の飲食店、土産店に対しまして、一般的なメニューの多言語表記の一覧表を御提供し、その多言語表記が進むよう支援をしてまいります。さらに、県、県観光連盟、県内コース所在地の市町村で構成をしております地域連絡会におきまして、各地のすぐれたおもてなしについて、その情報を共有するなど、各コースの魅力の一層の向上に取り組んでまいります。
 次に、九州オルレを活用した筑後地域の広域連携による観光振興についてでございます。韓国では、議員も御指摘になりましたが、済州オルレの複数のコースを、宿泊し数日間かけて楽しむ観光客が多いことから、八女、久留米・高良山、みやま・清水山の三コースを有しております筑後地域におきまして、そうした宿泊滞在型の観光客を取り込んでいくことが期待されます。また、筑後地域には吉井や八女福島の町並みなどの歴史、柳川のウナギや大川のエツなどの食、ホークスベースボールパークなどのスポーツ施設、外国人に大人気でございます観光農園、宮原坑跡を初めとする明治日本の産業革命遺産など、さまざまな観光資源がございます。県といたしましては、筑後地域の各市町村と連携をいたしまして、三つのオルレコースやその周辺の観光資源というものをつないでいき、国内外で開催される旅行博、あるいは旅行会社との商談会におきまして、この宿泊滞在型の観光ルートとして一体的にPRをしてまいります。さらに、県内観光施設の周遊を促すふくおかよかとこパスポート事業の対象に、来年度から新たに、この九州オルレを組み込むことによりまして、一層の誘客につなげていきたいと、このように考えております。

【聡政会県政セミナー 山口覚先生「新しい価値観による新しい街づくり」】

昨日は私をサポートして頂いている聡政会主催の県政セミナーを開催しました。

今年の講師は福津市津屋崎にて津屋崎ブランチを立ち上げ、移住者支援・古民家再生や起業支援などを通じまちづくりに尽力してある山口覚先生。演題は「新しい時代の 新しい街づくり」

北九州出身で大手ゼネコン鹿島建設で勤務されていましたが、東京から地方のまちづくりに関わる事に疑問を持ち福津市に移住し津屋崎ブランチを立ち上げまちづくりをされています。

2009年から5年間で34組108名の移住者を呼び込み、その後(山口先生曰く)面倒臭くなって数えてはいませんが国勢調査によると10年間で津屋崎エリアの人口は902名増加しています。

昨年8月、私が委員長を務める総務企画地域振興委員会で視察をした際に津屋崎千軒のまちづくりについてご説明を頂き、その発想と情熱に感動し是非これを地元の皆さんと共有したいと思い立ち、今回の講師依頼に繋がりました。

つい先日の徳島県神山町のまちづくりでも感じましたが、今必要とされるのはメディアや中央官庁ベースで喧伝される「地方創生の成功事例」の逆をいく発想。

今回の山口先生の講演でもそのような目から鱗のお話しを沢山聞けました、例えば

「合併したから昔の町名で呼ばずに、新市の名前で呼んで欲しい」→「一括りにする事で旧町の個性が消えるから、敢えて昔の名前で呼ぼう」
「東京(或いは福岡市)にあって津屋崎に無い物を持ってこよう」→「それでは勝てない。同じ土俵で勝負しない」
「田舎に住みたい」→「でも時々は都会に行きたいのが移住者の心情」
「移住者ツアーは人数を多く集めると盛り上がっているように見える」→「あえて少人数(5名程度)のツアーにしてその代わり参加者には手厚いサポートをする方が実は効果が高い」
「単身者は身軽なので移住しやすい」→「しかし単身者はすぐに転居も出来る。だから敢えてターゲットは30代夫婦+1〜4歳の子持ち」
「誰でもいいから来て下さい」→「地元の文化を大切にして街の担い手になる心意気の有る方を呼ぶ」
「挨拶をしない100人」→「挨拶をしあう50人の方が地域力は強い」

それ以外では
「起業と言っても都会の論理でやるのでは無く、3万円とか5万円のお小遣い程度のプチ起業を目指す。自分の好きなことを活かしお小遣いを稼いで、それが街づくりに繋がる流れを作る」
「田舎で月30万円稼ぐのは大変厳しい。しかし月10万円の仕事を3つ作るという発想ならハードルは低い。しかも月10万円しか稼げない仕事は、誰もやり手がいない仕事になっている」
「金銭的な部分を追い求めるのではなく、誰と生きていくか?どういう暮らしが出来るか?という視点が住民にとって大切になる」
という発想も凄い。

また空き家対策についても「空き家対策の問題点は、大家さんが空き家をリフォームしたり清掃したり初期投資をしないと貸せない状況がネック。大家さんに金銭的な負担を一切させないスキーム作りが大切」と看破されました。

産み出されたスキームは
寄附方式:リフォーム費用が600万円かかるなら、50万円の権利を12口売り出し、それを原資に旅館を作った。権利者は7年間自由に泊まる権利を与える。7年後に物件は大家の手元に戻る。
家賃前払い方式:12年分の家賃を先に貰ってリフォーム&改築。13年目に大家は出て行って貰うか継続して住むか判断する。
自主改修方式:オーナーは津屋崎生まれだが北海道に嫁ぎ二度と津屋崎に戻ってくる予定は無い。しかし自分が津屋崎にルーツがあることを証明するのはその空き家の登記簿だけだから絶対に他人に渡したくない。だったら月々5000円程度の超低価格で貸して、改修は借り主の好きにさせて、管理までして貰う。
などなど。これには多くの社長さんがヒントを得ていたように見えました。

山口先生の刺激的な講演のお陰で、その後の懇親会は話題が途切れず最後まで残って頂ける方が多く大盛況でした。
みなさんのハートに地方創生の火が付いた瞬間だと思います。私も県政の立場からしっかりと盛り上げて参ります。

山口先生、ご参加頂いた皆様本当に有り難うございました。