平成27年度9月議会 自民党県議団代表質問

録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
⇒板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨
一、知事の政治姿勢について
 1.本県の総合戦略計画の策定状況
 2.政府機関や企業の本社機能の本県誘致など
一、新社会推進部の組織改編について
一、乳幼児医療費支給制度の拡充について
一、耕作放棄地対策について
一、「全国豊かな海づくり大会」の開催について
一、教育問題について
 1.学力向上対策など
一、その他県政一般について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡であります。この九月定例県議会で代表質問をする機会を与えられましたことを光栄に思っております。県議団会長を初め、御配慮いただいた議員各位に心から感謝するところであります。
 さて、九州では三十六年ぶりに阿蘇山が噴火し、関東、東北では五十年ぶりと言われる大変な豪雨により鬼怒川が氾濫するなど、各地で被害を出しているようです。被災された方々に心からお見舞いを申し上げる次第であります。
 暗いニュースに包まれがちな中、明るい話題もございます。私どもの福岡では、地元球団のソフトバンクホークスが、パ・リーグ史上最速となる九月十七日に二年連続優勝を決め、地元ファンは日本シリーズ連覇に向け応援に一層熱がこもってくるところです。
 また、イングランドで開催中のラグビーワールドカップにおいては、五郎丸選手を初めとする福岡ゆかりの選手たちが、日本代表チームの躍進に貢献しています。特に、宗像サニックスブルース所属のヘスケス選手が、南アフリカ戦で決めた逆転トライは、日本のみならず世界中のラグビーファンを熱狂させたことでしょう。ラグビーファンを公言される知事は、寝不足の日々が続いているとお察ししますが、私どももスポーツが与えてくれる活力を背に、福岡県勢の振興と発展に努めていきたいものです。
 それでは、早速質問に入らせていただきます。
 さて、昨今都道府県、市町村を問わず、全国の自治体が人口減少問題に真摯に取り組み、地方創生の戦略策定に汗を流しているようです。本県においても同様であり、近く福岡県版の地方創生総合戦略が発表されるはずであり、その内容に大いに期待し、かつ関心を抱いているところであります。
 そこで、まず総合戦略計画の策定についてであります。本県の地方創生総合戦略については、現在のところ、本年六月に魅力ある雇用の場をつくるなど、四つの基本目標を設定した基本フレーム策定にとどまっているようですが、市町村の戦略策定への連携、支援の観点からも、誰もが早期に策定すべきと考えているところです。計画の基本に、地域の振興と発展のためには、いわば一丁目一番地の方策と言うべき雇用の場づくりを据えていること自体は評価するとして、課題は、それを実現するための、いわば実践論であります。
 そこで質問です。私どもが長年にわたり制定を促してきた福岡県中小企業振興条例案が今議会に提案され、この条例を雇用の場づくりの柱に据えるとされているようですが、既に、中小企業振興条例は、多くの他県で制定を見ているところであります。他県の例を見てもわかるように、この条例制定だけで簡単に雇用の場が広がり、雇用拡大に役立っていくとは到底思われません。雇用の場づくりにどのように生かしていくのか、そのため、一見他県とは変わらないような本県条例には、他県には見られぬ、いわば隠し味的なものが織り込まれているのか、具体的にお示し願います。
 次に、計画づくりについては、県下一律、どこの地域を見ても同じという、いわば金太郎あめのような創生計画にならないように心がけていただかなければなりません。それぞれの地域の現状分析を徹底させ、地域事情に即した地域の特色を生かした創生計画を策定すべきであります。例えば、私たちでつくる九州の自立を考える会が行った政策提言では、スポーツによる地域振興を柱の一つに挙げています。これまでにラグビーワールドカップ二〇一九の試合会場を本県誘致したほか、今後、ラグビーワールドカップや二〇二〇東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地誘致に全力で取り組むこととしているところでもあります。また、福岡ソフトバンクホークスファーム球場も、来年県南筑後で開業予定であります。
 そこで質問です。このようなスポーツ振興は、地域創生と地方活性化につなげていく重要な方策と考えられるところです。この点についても見解をお示しいただくとともに、きょうまでにまとまっている計画の概要と、今後の策定スケジュールについて、具体的に伺います。
 現在、県では人口ビジョンも策定しており、これは地方創生総合戦略と一体となり人口減少社会の諸課題に対処するためのものと理解します。冒頭に述べたとおり、総合戦略は四つの基本目標を設定しており、その下に具体的な政策パッケージがひもついていますが、その多くは雇用問題、景気対策、子育て支援、周産期医療、人材育成、地域振興など、従前から存在する施策です。総合戦略策定に当たり、さらに踏み込んだ施策の遂行をお願いすると同時に、人口減少対策については、まず、若者が結婚したい、家庭を持とうという意識づけが非常に重要だと考えます。日本創成会議も指摘しているように、人口減少の大きな課題は、非婚化、晩婚化であり、未婚率が上昇して、家庭を持たない人がふえてしまえば、多くの施策が絵に描いた餅になってしまいます。
 そこで質問です。待ったなしの人口減少問題に対し、総合戦略が単に既存政策の並べかえにならないよう、教育庁と綿密な連携をとり、若者が家庭を持ちたいと自然と希望できるような、保護者や地域を巻き込んだ意識啓発の新たな施策をもっと組み込むべきと考えますが、知事の所見を御披瀝ください。
 次に、政府関係機関の地方移転についてであります。地方創生の一環として国が検討している政府関係機関の地方移転について、本県は国立産業技術研究所の特定部門を初め五つの機関の県内誘致を内閣府に提案しているようですが、本県が提案している政府機関には、教育研究の一機関を除き、ある種の偏りが見られ、前知事時代からの政策残滓とも言うべきものが感じられるところです。
 そこで質問です。このように、いわば経済産業行政に特化した機関の誘致では、たとえ実現したとしても、果たして地方創生にかなった政策果実が期待できるのでしょうか。いささか疑問を感じるところです。知事の見解をお示しください。
 ところで、この政府機関の地方分散は、政府が地方振興を打ち上げるたびに、いつも提唱されているような気がします。また、ほとんど実現していないと聞いているところでもあります。かつて福岡県は、当時の石炭鉱害事業団本部組織の福岡誘致を唱えたと聞いています。この石炭鉱害事業団は、今日の石油天然ガス・金属鉱物資源機構の前身組織の一つに当たるところのようです。
 そこで質問です。今回の五つの機関について改めてお聞きしますが、仮に実現した場合、どのような県勢振興、あるいは地域発展が図られると模索されているのか、その誘致実現のための具体的方策とあわせてお示し願います。
 次に、本社機能の移転を促進する施策の充実について質問します。本年六月、地方再生法が改正され、東京二十三区から本社機能を移転する企業に対する税制の優遇措置が創設されています。このような中、本県への本社機能誘致を促進するためには、本県独自の税制優遇措置などの支援制度を早急に整備する必要が、もろちんあると考えますが、知事はどのような抱負をお持ちなのか、所見を披瀝願います。
 さて、地方創生、地方振興のいずれを図るにも、その基盤となるのは、本県の財政力であります。そこで次に、本県の強い財政づくり、とりわけ財政改革プランの取り組みについて、改めてただします。
 我が自民党県議団が、さきの六月県議会の代表質問において、財政改革推進プランを今後どのように充実させるのかただしたところ、知事は、まずは現在のプランの目標達成に全力で取り組むとともに、さらなる財政健全化に向けた方策についても検討していくと、その旨答弁されたところであります。現在のプランの目標は、平成二十六年度から二十八年度までの三年間を改革期間とし、通常債残高を改革期間終了までに五百五十億円程度縮減と、財政調整基金、減債基金、公共施設整備基金の、いわゆる三基金のいずれの取り崩しにも依存しない予算編成と財政運営という二つであり、既に改革期間の三年目に入った今日、その目標の達成に向けた財政運営が進められているものと認識しています。プラン最終年の平成二十八年度当初予算において、県民との約束をたがえることなく、プランの目標を達成し、財政の健全化が前進することを期待しております。しかしながら、今や一般会計予算の二倍に当たる三兆四千億円を超える県債残高を抱えていることを考えれば、このたびの財政改革プランが終了する平成二十九年度以降も、引き続き具体的な財政健全化目標を立て、その目標達成に向け、県庁一丸となって取り組む必要があることは当然です。
 政府は、去る六月三十日、経済財政運営と改革の基本方針二〇一五、いわゆる骨太の方針を閣議決定しました。その中で、経済再生なくして財政健全化なしを基本方針とした、今後五年間を対象とする経済・財政再生計画が示され、二〇二〇年度に国、地方をあわせたプライマリーバランス、要は基礎的財政収支を黒字化するという具体的な財政健全化目標が掲げられています。言うまでもなく、この基礎的財政収支とは、必要な政策的経費を新たな借金に頼らずに、その年度の税収などで賄えているかどうかを示す指標でありますが、近年の我が国のこの数値は大幅な赤字となっており、黒字化を図るということは、到底容易なことではありません。この黒字化を財政健全化の目標にするということは、子や孫の世代に負担を先送りすることなく、一千兆円を超える我が国の債務残高の累増を何とか抑制したいという強い意欲のあらわれであると考えます。
 そこで知事に三点お尋ねします。本県における平成二十九年度以降の新たな財政健全化目標については、三兆四千億円を超える県債残高を抱えている財政状況を踏まえれば、新たな借金に頼らずに財政運営を行うことを目指すべきであり、その点において、国が目標とする基礎的財政収支の黒字化を、本県においても新たな財政改革目標とし、早期に実現を図るべきであります。
 そこで、現在の本県のプライマリーバランスの状況について克明に説明を求めるとともに、新たな財政健全化目標に関する現時点における知事の考えについてお尋ねします。
 また、この際ですから、県債残高において、臨時財政対策債の占める割合について説明を求めます。通常債の発行が抑えられているため膨大に膨らんでいますが、これは全国いずれも同じ傾向にあるのか説明を求めます。
 さらに、財政当局から平成二十六年度決算見込みの概要について公表されました。今後、本議会に決算議案が上程された後、決算特別委員会でも議論されることとなると思いますが、二十六年度決算にはどのような特徴があるのか、プランの目標の達成状況も含めて、知事にあわせてお尋ねします。
 次に、新社会推進部の組織改編についてお尋ねします。この問題に関しましても、我が会派は、前知事時代から何度もただしてきたところであります。小川知事は、六月定例会における我が会派の代表質問に対する答弁で、部制条例の改正議案を十二月議会で提案すると見解を示されました。平成二十八年度には、県庁の組織が、県民の皆さんにとってわかりやすいものとなることを大いに期待しているところであります。
 そこで改めて、まず原点に戻り、知事にお伺いしておきます。四年半前、小川知事が初めて福岡県知事に就任され、県の組織機構について説明を受けられたとき、新社会推進部なる部の名称について、どのような感想をお持ちだったでしょうか。改めて当時の率直なお気持ちをお聞かせください。
 さて、新しいコンセプトが人づくりであることは、六月議会の知事答弁で明らかになりました。離合集散される局や課、所管業務の構成などについても、少しずつ形が示されているようです。そこで気になっているのが、男女共同参画推進課であります。安倍内閣は、女性の活躍推進を内閣の最重要課題の一つとして進めています。女性の活躍は、当事者である女性だけでなく、日本社会のあり方を変えるものでもあります。女性の力の発揮は、企業活動、行政、地域社会などの現場に多様な視点や創意工夫をもたらすとともに、社会のさまざまな課題の解決を主導する人材の層を厚くし、女性のみならず、全ての人にとって暮らしやすい社会づくりにつながるという認識のもと、本年六月二十六日には、安倍総理を本部長とする、すべての女性が輝く社会づくり本部において、女性活躍加速のための重点方針二〇一五が決定されたところであります。こうした国の本気の姿勢に呼応するように、幾つかの自治体では、これまでのしゃちこばった表現とも言うべき男女共同参画行政を推進する組織を見直し、女性の活躍推進を中心に据えた機構改革に着手するところが出てきているやに聞いております。例えば、北九州市は、既に女性の輝く社会推進室を設置しており、その出先として、女性活躍推進センターなるワンストップ支援窓口をAIMビル内に開設する方向で、ハローワークや県の関係部局とも協議中であると聞くところです。
 片や、本県の男女共同参画推進課は、現在検討されている新社会推進部の機構見直し作業の中で、主管課である社会活動推進課とともに、そのまま新しい部に組織させるやに仄聞しています。去る八月二十八日に成立した女性活躍推進法も、恐らくこの男女課が所管することになるのではないかと思われますが、今回の機構改革において、男女共同参画推進課については、何か見直しが行われることになるのでしょうか。現行の男女課は、参画推進係と女性支援係の二係体制で、課長を含め十二名の職員ということで、本庁の課としてはかなり小さな世帯の組織になっております。新しい男女課は、本県における女性の活躍推進の司令塔になっていただくべきだと考えます。その意味で、今の二係体制で大丈夫なのか、いささか心もとなく感じます。もちろん、今後どのような業務を担わせるのかによって、課の陣容も変わってくると思います。
 そこで小川知事の考えをお伺いします。新たな男女共同参画推進課は、どのような機能、業務を所管することになるのかお答えください。また、仮に、女性の活躍関係業務も所管するのであれば、この際課の名称も、先ほど指摘しましたように、しゃちこばった、率直に申し上げて、既に手あかにまみれた感がある男女共同参画推進課から、新たな業務にふさわしいものに変えることを提案します。知事の考えをお聞かせ願います。
 思えば戦後、男女平等、男女同権から始まり、女性の地位向上、そして、たどり着いた男女共同参画社会の推進と実現ですが、もっとソフトな、いわばふだん着を着たやわらかくて、当たり前といったイメージのネーミングが求められていると言えます。
 この項の最後に、青少年アンビシャス推進室についてお伺いします。かつて我が会派が県下での読書運動の一斉展開を提案したのに対し、前知事が、この奇策とも言うべきアンビシャス運動やアンビシャス広場を突然打ち出したという経緯があります。そのことについての言及は避けますが、今回の機構改革により、アンビシャス運動を推進するためにつくった組織を廃止するのであれば、運動そのものも見直す絶好のチャンスではないかと思われます。
 そこで知事に質問です。聞くところによると、今やアンビシャス広場事業は、十数年前に前知事が始めた県単独事業のほかに、文科省の補助事業を活用した広場事業、また類似事業としての教育庁の社会教育課が実施している放課後教室事業などが、まさに入り乱れ、非常にわかりにくくなっていると言われています。今回の機構改革に合わせ、この各種の広場事業についても整理されてはいかがでしょうか。時限事業として開始した県単のアンビシャス広場事業の思い切った廃止、転換も含め、知事の明確な答弁を求めます。
 次に、乳幼児医療費支給制度の拡充についてただします。この問題について、我が会派は、昨年の十二月定例会以降毎議会代表質問でただしてきました。小川知事の答弁内容も回を追うごとに具体性が増し、我が会派の政策提案が着実に姿、形となり、近い将来県民福祉の向上につながることに大きな手応えを感じているところであります。
 さて、八月の厚生労働環境委員会において、執行部から新たな乳幼児医療費支給制度案の内容が報告されました。六月議会における秋田政審会長の代表質問に対する知事答弁どおり、入、通院ともに小学六年生まで対象を引き上げるなど、制度設計が明らかになりました。そこで気がかりなことは、実施時期であります。
 知事にお尋ねします。これまでに明らかにされたところでは、平成二十八年十月実施予定とされていました。これから各市町村と協議を行う時間が必要であることは十二分に理解するところではありますが、そのことを差し引いても、県、市町村とともに、来年度の当初予算に新たな制度に伴う必要となる予算を積算し、計上する時間があるのではないかと考えます。とすれば、四月の年度当初から実施が可能ではないでしょうか。なぜ十月開始なのか、その理由についてお聞きいたします。
 次に、今回引き上げられることになった通院の自己負担額についてであります。三歳未満の完全無料化はそのまま継続されました。しかしながら、三歳以上については、これまでどおり児童手当準拠による所得制限のもとに、就学前までの子供は月六百円から八百円に引き上げ、小学生は新たに月千二百円と設定されているようです。ほぼ十年前と聞いていますが、当時、この乳幼児医療費支給制度で、三歳未満児の自己負担無料化の導入など大幅な制度見直しが検討された際、当時、医師出身の副知事が、少子化対策と銘打つ以上、所得制限を導入するのはおかしいと論陣を展開されたと聞いています。確かに少子化を社会全体の問題として捉え、政策を講じる上では、経済的弱者の救済という色彩が強まる公的扶助という手法によるのは適当でない、あくまで普遍的給付である社会手当の手法によるべきであると考えることは、まさに正論だと判断するところです。しかしながら、そのためには十分な財源を必要とするところから、平成二十年度に所得制限が導入されたのは、そうした事情によるものでしょう。ただし、今回就学前児童を持つ児童手当支給対象家庭では、月二百円とはいえ、負担が増大します。
 そこで質問です。子育て支援を拡大しながら、一部であっても負担額を引き上げることについて、知事はどう考えているのか、見解をお聞かせください。
 さて、乳幼児医療に対する我が会派のかねてからの主張は、住んでいる都道府県や市町村によって制度内容に格差が生じるのは適切でない、国が責任を持って全国一律に実施すべきであると主張してまいりました。福岡県だけでなく、全国知事会などにおいても同様の制度要望を毎年行っていることも承知しております。国は過去、保険診療に係る自己負担を三割から二割に引き下げるまでの見直しは行ったものの、その後は全くナシのつぶてであり、社会保障と税の一体改革に伴い、消費税率は引き上げられましたが、各県が単独事業として実施してきた乳幼児医療費に関しては、地方交付税の基準財政需要額への算入すら行われていないと聞いております。また、乳幼児医療費支給を実施した市町村に対しては、国の国民健康保険国庫負担金が減額されると仄聞していますが、いかがでしょう。これでは、今後も財政力格差が乳幼児医療の格差に直結することは避けられません。
 そこで質問です。一体なぜ、国はこのように乳幼児医療費の公費負担について冷淡なのでしょうか。そのよって来る原因を、知事はどのように把握されているのか、県としてこれまで国にどのように働きかけられてきたのか、見解をお示しください。
 我が会派としては、せめて県内においては、全ての市町村が、少なくとも今回の県の見直し案の水準まで制度拡充をしていただきたいと願うものであります。新制度導入に向け、現在、市町村との協議を行っていると伺っていますが、各市町村の受けとめ方はいかがでしょうか、お答え願います。
 次に、耕作放棄地対策についてお尋ねします。我が国の食料自給率は三九%まで減少しており、主要先進国の中で最も低い水準となっているのは周知の事実であります。今後、国際的な食料事情が一層不安定化することが予測されている中で、優良農地の確保、つまり生産基盤の整備と、その有効活用を進めることが喫緊の課題であります。しかしながら、優良農地は減少傾向にあり、その理由として耕作放棄によるものが過半数を占めています。全国の耕作放棄地面積は、昭和六十年まではおよそ十三万ヘクタールで横ばい状態だったようですが、平成二年以降増加に転じ、平成二十二年には滋賀県の面積に匹敵する三十九・六万ヘクタール、本県では、ほぼ行橋市の面積と同じ七千百八十九ヘクタールと聞いているところです。私の地元みやま市においても、県や国の増加率より高い水準で耕作放棄地が増加しており、現在二百六十七ヘクタールと、五年前に比べて八%も増加し、この増加率は、県や国が二から三%にとどまっている中では高い増加率になっていて、非常に憂慮しているところであります。
 耕作放棄地は、病害虫や鳥獣被害の発生、雑草の繁茂、用排水施設の管理への支障といった周辺地域の営農環境への悪い影響を及ぼします。さらに、土砂やごみの無断投棄、火災発生の原因となるなど、地域住民の生活環境へも悪い影響を及ぼすおそれがあります。また、中山間地域など上流地域で発生した耕作放棄地は、下流地域の国土保全機能を低下させることも危惧されます。そして、一度耕作をやめて数年が経過すれば、農地は原形を失うほどに荒れてしまうため、耕作を再開するには大変な労力と予算が必要となります。ますます耕作放棄地が広がってしまうという負の連鎖に陥ってしまいます。
 先人たちが営々と守り、そして育んできた農地は、我々にとって欠かすことのできない食料を供給してきました。また、美しい農村の原風景は日本の文化の源でもあります。つまり、農地を私たちの共有の財産として次の世代にしっかりと継承していくことこそ、我々の重要な使命であります。私は、こうした現状を踏まえますと、耕作放棄地の解消と発生防止のためには、優良農地を確保するというハード的な施策と、耕作放棄地を解消していくというソフト的な施策を両輪でしっかり取り組まないと、いつまでたっても現状を打破することは困難な状況にあると考えます。本県は、生産基盤の整備もかなり進んでいるやに聞いていますが、農地を維持するにはさまざまな用排水路やため池などの基盤が必要です。そういった基盤を維持していく予算をしっかり確保していくことも非常に重要なことであります。
 ところで、国は来年度の税制改革に向け、農地の利用集積を進めるために、耕作放棄地の課税強化を打ち出してきましたが、果たして、そういった小手先だけの措置で耕作放棄地が解消されるのか、いささか疑問の念を抱くところではあります。
 そこで知事の所見を問います。農地は一度荒れると、除草や整地に人手やコストがかかり、農業を再開するのも容易ではありません。また景観上も多くの問題を生じさせることから、全国各地でさまざまなアイデアで耕作放棄されて荒れ果てた土地を農地に戻そうという試みがなされているようです。知事も御承知のとおり、人口減少社会の抑止がマスコミや全国の自治体で声高にうたわれています。耕作放棄対策は、減少する農家対策にもなるでしょう。こうした各県の取り組みを参考にして、本県でも耕作放棄対策のソフト的な取り組みを検討されてはいかがでしょうか。知事の誠意ある前向きな答弁を求めます。
 次に、水産業振興に大きくつながると期待されています、全国豊かな海づくり大会の本県開催についてお尋ねします。ことし二月の我が会派の代表質問を契機として、本年三月、平成二十九年度の第三十七回全国豊かな海づくり大会が福岡県で開催されることが決定しています。その後六月議会でも、我が会派議員が、本県開催を受け、その取り組みについてただしたところ、知事から、今後、県議会や水産関係団体の御意見を伺いながら、この福岡県にふさわしい大会となるよう、しっかり準備し、取り組んでいきたいと、大会開催に向けて、その抱負と決意が示されたところでもあります。
 こうした流れの中で、去る九月十一日には、知事、県議会議長、そして農林水産、商工、観光、交通などの幅広い関係団体で構成される第三十七回全国豊かな海づくり大会福岡県実行委員会が開催され、この中で、本県での大会開催意義や基本理念、開催地など、大会の大枠を定めた基本構想が決定され、開催地については、式典行事の会場が宗像ユリックスに、放流行事の会場が同じく宗像市の鐘崎漁港に決定したと聞いています。会場となる宗像市の鐘崎地区は、海女発祥の地とも言われ、また、本県を代表する漁船漁業の盛んな地域であり、まことに会場にふさわしい地域とされているようです。また、海とのかかわりの点では、時あたかも、さきに国の文化審議会でユネスコの世界文化遺産推薦候補に決定した「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群がある地域でもあり、何か因縁めいたものを感じるところであります。
 ところで、過去に開催されました、これまでの海づくり大会を見てみますと、言うまでもなく、各県それぞれの特色を生かした大会となっているようです。一昨年の熊本大会では水俣湾の環境復元をアピールし、また昨年の海のない奈良大会では、奈良県南部地域の森林資源や河川環境の重要性に光を当て、山で生まれて育てられた清らかな河川の水が豊かな海を育てるという、そのメカニズムを示すことが大きな眼目となっていたと聞いています。もとより奈良県には海はありませんが、言うまでもなく、この大会は豊かな海づくりをコンセプトとしており、海のあるなしは問われないこととなっています。奈良県大会は、実にそのコンセプトにふさわしい、奈良県らしい大会となったと聞き及んでおります。
 そこで質問です。福岡大会においても当然のことですが、福岡県らしさというものを打ち出した大会にしなければならないと考えますが、その点をどのように考えておられるのでしょうか、知事の見解を求めます。
 また、大会の運営上、全国から来賓の方々が出席される式典会場、放流会場は、これまでの例から見ても一カ所にならざるを得ないと思いますが、皆さん御承知のように、本県は三面を海で囲まれた大変恵まれた県であります。会場の鐘崎地区が面した筑前海のほかに、例えば、私の地元には、全国一の産出額を誇るノリ養殖を初めとし豊穣の海とたたえられる有明海があります。また豊前海もあります。さらには内水面もあります。大会を開催するに当たっては、この効果を広く全県に波及させるべきであると考えます。
 そこで知事に御提案ですが、例えば、一例を挙げさせていただくならば、例年天皇、皇后両陛下出席のもと行われるメーン行事の放流会場の式典進行に合わせ、有明海、豊前海、そして内水面においても、地元を中心に同時進行で放流行事を行うようなことも一考ではないでしょうか。大会の意義を全県に伝えるものになると考えるところです。イベントは、たとえ大がかりなものであっても、ややもすると、開催地だけしか盛り上がらないものになってしまう傾向にあります。そうしたことを避ける意味からも、この点について、知事の抱負をお伺いします。
 次に、教育問題についてお聞きします。
 まず一点目として、新たな学習指導要領のあり方についてです。現在、国の中央教育審議会においては、学習指導要領の改訂に向けた基本的な方向性が検討されていると知るところです。そして、この新たな学習指導要領は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成三十二年から約十年間の教育目標や指導すべき内容を示すものであり、まさに初等、中等教育の今後のあり方を方向づける指針となるものと判断しています。
 東京オリンピック・パラリンピック後の我が国は、恐らく現在とは比較にならないほどグローバル化が進展し、急速な情報化や技術革新などにより、将来の変化を予測することが困難な時代になるものと思われます。このような時代にあっては、児童生徒にみずからの人生を切り開いていこうとする意欲と生涯を生き抜く力を身につけさせることが必要であり、学校教育の役割は、今以上に重要になってくると考えます。特に、選挙権年齢が引き下げられ、成人年齢の引き下げも本格的に議論される中、名実ともに大人になるための準備期間となる高校段階での教育のあり方は、その後の人生に大きな影響を与えるものであります。
 先日示された中教審の取りまとめ素案によると、これからの時代に求められる資質、能力について、国家社会の形成者として、知識や思考力などを基盤に選択、判断し、課題を解決するために必要な力を育む必要があるとされております。また、グローバル化する社会の中で日本人としての美徳やよさを備えつつ、グローバルな視点で活躍するために必要な資質、能力の育成が求められるとし、日本のこととグローバルなことの双方を相互的に捉えながら、社会の中でみずから問題を発見し、解決していくことができるよう、日本と世界の歴史の展開を広い視野から考える力を身につける必要があるとされているなど、新たな時代にふさわしい次期学習指導要領のあり方を示しているとして、各方面から評価されているようです。
 しかし、こうした学習指導要領改訂をめぐる状況の中で、高等学校における地理歴史科の新たな必履修科目として、世界史と日本史を融合し、近現代史を中心に学ぶ歴史総合を設置するとされていることには疑問を抱かざるを得ません。真にグローバル人材たり得るには、我が国の伝統や文化に対する深い理解に基づく日本人としてのアイデンティティーが基盤となることは言うまでもなく、そうした自覚と態度を養うためには、我が国の歴史を通史として体系的に学習すべきであり、近現代史のみでは不十分であると考えます。例えば、我が国の伝統文化についてですが、その多くは中世、室町時代までに形成され、その後の歴史とともに発展、定着、または変容を遂げてきたものであり、伝統文化に対する深い理解のためには、近現代におけるあり方のみならず、それぞれの時代背景とともに考察する必要があることは、あらゆる方面から指摘されていることであります。したがって、歴史は近現代史を学ばせて済むことではありません。日本通史として学習させるべきであります。
 そこで教育長にただします。新たな科目である歴史総合の設置について、どう評価されるのかお答えください。
 また、公民科の新たな必履修科目として設置が予定されている公共については、具体性がつかみにくいとして、学校現場に懸念の声が多いとも伝えられています。今、文科省はマスコミを通じて、高校生の政治活動を学校外に限定して容認する方針を明らかにし、生徒の政治活動を厳しく禁じた四十六年前の通知を見直す方針を伝えているようですが、こうした方針も含んだ公共科目の創設となるのでしょうか。私どもとしては、十八歳選挙を過大視しているような気がしてなりません。いかがでしょうか。
 教育長にお尋ねします。公共とは一体どのような内容か、また公共科目の設置に至った経緯についても、あわせてお答えください。
 次に、本県の児童生徒の学力向上施策についてです。平成二十七年度の全国学力・学習状況調査の結果が、このほど公表されました。県教育委員会のこれまでの見通しとその説明に反して、全ての教科区分で全国平均を上回るという目標は、今回もまた小学校、中学校、いずれについても達成できていないようです。まことに遺憾、残念なことであります。県立高校生徒の文武両道の活躍、また全国からも注目される大学進学の輝かしい実績を見れば、決して本県における教育が他県に比べて課題を抱え、劣っていると悲観する状況にはないと指摘する声もありますが、そのような甘い見方や判断で済まされることではありません。学力向上に向けては、本県の義務教育には幾多の課題が残され、子供たちの学力を伸ばすためには、県教育委員会と学校現場は全力で学力向上に取り組まなければいけないのであります。
 一方、報道によりますと、地域間格差は少し改善されているとのことでありました。このことは、まずは県全体で全国平均に並ぶという、はたから見れば、本当にささやかとしか思えない目標ではありますが、わずかであっても一歩近づいたと言えるものではあります。したがって、この目標をいち早く達成し、県民の信頼と安心感を取り戻すことが、まずもって必要であります。県教育委員会、市町村教育委員会、そして学校現場が総力を挙げて取り組んでもらわなければいけないのであります。そして目標達成に向けて、今まさに正念場を迎えているのではないでしょうか。そこで、なぜ目標に届かないのか、本県には何が足りないのか、また、これまで県教育委員会が学力向上に向けて講じてきたさまざまな施策が、果たして有効であったのかどうか、いま一度真摯に総括すべきと考えるところであります。
 そこで、次の点について具体的に教育長の見解を求めます。まず、目標を達成できなかったという今回の結果とその要因について、教育長はどう総括、分析されているのか。
 次に、学力向上に向けたこれまでの諸施策がもたらした成果と課題をどう認識されているのかをお答えください。
 また、本県の児童生徒の学力向上に向けては、中長期的な視点に基づく取り組みと、すぐにでも実行すべき取り組みの双方が必要であると考えます。県教育委員会としては、今後、それぞれどのように取り組んでいかれるのか、明確にお示しいただきたい。
 いずれにしましても、この本県の児童生徒の学力に改善が見られない原因の一端は、学力向上県民運動を教育力向上県民運動などという違う概念にすりかえて、県民の目を糊塗しようとしたことにもあるという見解を、私ども自民党県議団は抱いているところであります。それだけに、答弁については総括、分析、認識も含め、具体的にお願い申し上げまして、自民党県議団の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

◯議長(井上 忠敏君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 まず初めに、中小企業振興条例についてでございます。中小企業の振興を図るためには、中小企業の成長、発展段階に応じて、的確な支援を行うことが何よりも重要でございます。このため、本条例案におきましてはアンケート調査、ヒアリング調査により把握をいたしました県内中小企業の課題、そしてニーズを踏まえ、企業の創業段階から経営基盤の強化、さらには新たな事業展開といった中小企業の成長段階に応じて施策を効果的に講ずることといたしております。また、小規模企業につきましては、提供する商品やサービスが、その地域の消費に依存しているため、事業の持続的な発展を図る観点から、域外への販路開拓など、それらにつきまして事業計画の策定、生産性の向上にかかわる支援施策を講ずることといたしております。
 さらに、これらの施策の推進に当たっては、県内四カ所の中小企業振興事務所を核に、地域ごとに支援体制を整備し、県、中小企業支援団体、金融機関、市町村など関係機関が緊密に連携をし、地域の力を結集してこれを行うことといたしております。
 また、条例の実効性を確保するため、おおむね三年を期間とする基本計画を策定し、毎年県内中小企業の動向や施策の実施状況を検証し、これを公表することといたします。このように、個々の中小企業の成長段階に応じた施策を講じていくこと、小規模企業の事業の持続的な発展を図る施策を講じていくこと、そして施策の推進に当たっては、地域ごとに関係機関が緊密に連携して支援することなど、これらが本県条例の特徴であると、このように考えております。ぜひ御賛同いただき、この条例に基づき、今後、中小企業者一社一社に対し、それぞれの実態を踏まえ、よりきめ細かく総合的に支援することによりまして、我が福岡県の中小企業の事業の継続、成長発展、そして雇用の拡大を図ってまいります。
 次に、スポーツの振興による地方創生と地方活性化についてお尋ねがございました。ラグビーのワールドカップ、そして東京オリンピック・パラリンピックのキャンプが県内で開催をされることは、県民の皆様が世界のトップアスリートのプレーを直接見たり、選手と交流したりする機会となります。特に、お子さんたちにとりましては、スポーツへの夢や目標を持つことにつながるなど、スポーツの振興を図る上で大変意義があります。キャンプ地として決定されれば、まず本県はもとより、その自治体の内外における知名度が向上し、キャンプ終了後も観光振興など、さまざまな形で地域の活性化に寄与するものと考えています。
 また先週、工事の進捗状況が報じられておりましたけれども、ホークスファーム本拠地が、来年の三月、筑後市に開業する予定でございます。これによって、県南地域においても身近にプロの選手に接することができるようになり、スポーツへの関心が高まることが期待されます。さらに、県営筑後広域公園にも隣接しておりますことから、この地がスポーツの拠点として発展することも期待されます。さらに、この地域には自然、歴史、文化、産業、食、そういった魅力がたくさんありますことから、試合観戦や練習の応援に訪れられる方々にそれらを楽しんでいただけるよう、筑後七国ということで観光協会、商工会議所などが中心となりまして、県や市町村も助言を行いながら、広域的な観光振興に向けた取り組みを、今進められておるところであります。
 このようにスポーツの振興は、心身の健康や青少年の健全育成のほか、地域の活性化にも資するため、県では、現在策定中の地方創生総合戦略におきましても、その重要な切り口の一つとして、これを盛り込むことといたしているところでございます。
 次に、総合戦略の概要と策定スケジュールについてでございます。当面、人口が減少することが避けられない中で、活力ある地域社会を維持していくためには、若者が地域で職を得て、県外に転出することなく、生まれ育った地域で活躍し、大都市圏からも安心して戻ってくることができるようにすることが何よりも重要でございます。その上で、若い世代の結婚、出産、子育ての希望をかなえ、将来的に人口減少に歯どめをかけ、誰もが生涯住みなれたところで安心して暮らしていける、そういった地域をつくっていく必要がございます。こうした観点から、県の総合戦略におきましては、今まで二〇六〇年までの将来展望を踏まえた人口ビジョン、それから雇用、結婚・出産・子育て、人材育成、地域づくり、この四つの基本目標とこれを進めるための具体的な施策、そして県内十五の広域地域振興圏ございますが、その振興圏ごとの人口構造、人口動態、産業構造に関する分析結果、それらにつきまして外部有識者の御意見や市町村の考え方をお聞きしながら、その概略を取りまとめたところでございます。今後、さらに検討を進め、施策の数値目標と十五圏域ごとの施策の方向性などを盛り込んだ福岡県人口ビジョン・総合戦略の素案を、本議会中に所管の常任委員会に報告をさせていただき、御意見をいただきたいと考えております。その上で十二月議会に議案として提出をさせていただきたいと、このように考えております。
 次に、若者の結婚、家族形成のための意識づけでございます。未婚、晩婚化の流れを変えていくためには、若者に結婚したい、家庭を持ちたい、そう思ってもらえるような機運を、社会全体で高めていくことが重要でございます。本県では、毎年十一月をふくおか・みんなで家族月間といたしまして、県民お一人お一人が結婚や家族、子育てに関心を持っていただけるよう、県内各地でキャンペーンを実施いたしております。今年度は、結婚、子育ての楽しさやすばらしさというものを体験できる、ラブフク、ハッピーの福とかけておりますけれども、ラブフクハッピー家族フォーラム、これを開催をいたします。また、こうした取り組みとあわせ、新たに大学生を含めた独身男女に対しまして、結婚のすばらしさ、仕事と家庭を両立する生活というものを具体的にイメージしてもらうライフデザインセミナー、これを大学や企業等において七十回実施することといたしております。現在、高等学校におきましては、主に家庭科の必修科目におきまして、男女が協力して家庭を築き、生活を営むことの重要性、子供を産み育てることの意義等を学ぶ授業を実施しております。
 今後は、今まで以上に、若者に家族形成に対するポジティブな意識を持ってもらうために、まず教育現場と連携をいたしまして、映像、リーフレット等を活用しながら、結婚、子育ての楽しさ、家族づくりの大切さというものを、それぞれみずから考えていただくライフプラン教育の充実に取り組んでまいります。また、家族月間を初めさまざまな機会を捉えまして、家庭、地域全体を巻き込んでの意識の醸成を進めてまいります。御指摘をいただきました、こうした取り組みをしっかり総合戦略に盛り込みまして、若者の結婚、家族形成に対する意識の醸成の強化を図ってまいります。
 政府関係機関の地方移転についてでございます。本県は、例えば水素エネルギーの分野におきまして、水素材料先端科学研究センターなど三つの研究センターを擁し、世界最先端の研究開発を行っております九州大学、それに世界最高水準の設備を備えた水素エネルギー製品研究試験センター(HyTReC)を有しているところであります。また、自動車、ロボット、環境といった先端産業の集積も着実に進んでまいっております。こうした本県の強みであります研究開発、試験機能、そして先端産業の集積、それに加えまして、移転される政府関係機関、これらが一体となって活動を行うことによりまして、当該分野における、この日本の国の研究開発や産業化というものをより一層進展させることができると考え、今回の提案にかかわる機関を選定したものでございます。また本県にとりましても、県の将来を支える成長産業の育成につながるものと考えております。
 移転が実現した場合の県勢振興、地域振興、それと移転実現のための施策についてお尋ねでございます。今回、当県から誘致を提案をいたしました政府関係機関には、本県の有する研究開発、試験機能、先端産業の集積を生かすことができる三つの研究機関のほか、環境国際協力分野における本県の豊富な実績を生かすことができます国際環境研修を行う環境調査研究所、障害種別ごとの専門教員を擁し、特別支援教育に関する豊富な実践的な研究実績を有しておられます福岡教育大学との連携を図ることができる国立特別支援教育総合研究所といった機関が含まれております。こうした政府関係機関の移転が実現した場合には、先ほどお答えしましたとおり、県経済を支える新たな成長産業創出のきっかけになりますほか、政府関係機関それ自身の職員の移住に加え、海外を含む研修生の拡大による交流人口の増加にもつながるものと考えております。これまで申し上げました本県の強みに加え、地震を初めとする大規模災害リスクの少なさ、空港、港湾、新幹線といった発達した交通インフラ、豊富な人材と充実した都市機能といった地域の総合力を関係市と一体となって、あらゆる機会を通じ国のほうに対してアピールをし、その移転実現に向けしっかり働きかけを行ってまいります。
 次に、本県への本社機能の誘致についてでございます。本県に企業経営の統括や企画、研究開発等の経営の根幹にかかわる、いわゆる本社機能を集積していくことは、本県の産業競争力の強化、高度な人材の雇用の創出につながるものと考えております。県では、これまで本県の災害リスクの低さや充実した交通インフラ、豊富な人材などの立地環境を立地セミナー等の場でPRするなど、本社機能の誘致に、これまで取り組んでまいりました。その結果、生命保険会社の総務、人事業務の一部移転、自動車メーカーの設計開発部門の設置などが実現したところでございます。
 このような中、本社機能の地方移転を促進する観点から、地域再生法と租税特別措置法が改正をされました。これによりまして、自治体が作成した地域再生計画を国が承認した場合には、移転企業の投資に対する特別償却、また新たな雇用者数に応じた税額控除、これが適用されることになりました。さらには、地方自治体が地方税の軽減措置を行った場合の減収補填制度も創設をされたところでございます。このため県では、現在この地域再生計画に記載する移転促進区域、誘致の取り組みについて検討を今進め、国との協議を行っているところでございます。また、八月末に国の減収補填制度の概要というものが明らかになりました。それを踏まえまして、事業税や不動産取得税にかかわる県独自の軽減措置につきましても検討を進めているところでございます。こうした優遇措置を活用しながら、本県への本社機能の誘致に積極的に取り組んでまいります。
 本県の基礎的財政収支の状況についてでございます。基礎的財政収支は、御指摘のとおり、政策的経費を新たな借金に頼らず、その年度の税収等で賄えているかどうかを示すものでございます。本県の状況でございますが、平成二十七年度当初予算では百九十一億円の赤字でございます。この赤字幅でございますけれども、主に県税の増収によりまして、五年連続で縮小してきております。二十七年度は二十六年度の三百七十七億円から百八十六億円の赤字が改善したところであります。引き続き、税源の涵養を図ってまいりたいと考えております。
 次に、基礎的財政収支の黒字化を財政改革の目標にすることについての私の考えでございます。基礎的財政収支の黒字化、これは現在の行政サービスにかかわる費用は、将来の世代に先送りすることなく現在の税収等で賄うという、いわば世代間の公平を図るものでございます。また、財政の中長期的な持続可能性の回復を図るものでございます。そういったことから重要であると、このように認識をいたしております。引き続き、現在の財政改革推進プランの目標達成に全力で取り組んでまいりますとともに、さらなる財政健全化に向け、御指摘の点も十分踏まえて、新たな目標について検討をしてまいります。
 県債残高に占める臨時財政対策債の割合についてお尋ねがございました。我が福岡県の割合は、発行当初の平成十三年度では一%でございました。しかしながら、リーマンショック後、国税が大幅な減収となったこともございまして、多額の臨時財政対策債の発行を余儀なくされ、二十三年度には、これが二五%となりました。その後、二十四年度二八%、二十五年度三一%、二十六年度で三四%となっておりまして、その割合は年々高まってきております。これを全国と比較いたしますと、各都道府県合計の全国の割合でございますが、平成十三年度一%、二十三年度二四%、二十四年度二八%、直近でデータがとれます二十五年度というのが三一%となっておりまして、その割合は、我が福岡県と同様の状況となってございます。
 平成二十六年度の決算についてでございます。歳入につきましては、堅調な法人二税、地方消費税率の引き上げなどによりまして県税収入が増加する一方で、それに伴い地方交付税、臨時財政対策債が減少をいたしました。また国の補助金、交付金を最大限活用いたしまして、通常債の発行額を極力抑制をいたしました。歳出につきましては、消費税率の引き上げに伴う景気の腰折れを回避するために、景気回復と雇用の確保に取り組む一方、人件費、公債費、社会保障関係費が増加する中で、財政改革推進プランに基づき、歳出抑制にも努めたわけでございます。この結果、実質収支が三十九年連続の黒字となるとともに、平成二十六年度末の財政調整等三基金は、五年連続で増加をし、プラン計画額を五十七億円上回る四百六十七億円を確保しました。また、二十六年度末の通常債残高の前年度末からの減少額は、過去最大の四百二億円でございます。これは、二十四年度末残高に比べ、残高を七百二十七億円圧縮するものでございまして、五百五十億円圧縮という現在の財政改革プランの目標を前倒しで達成することができました。
 新社会推進部の名称についてでございます。この部は、各分野で行政とNPOなど多様な主体との協働を進め、県民の意識啓発、県民運動を通じた仕組みづくりに取り組む部といたしまして設置されたものと承知をいたしております。このような設置目的を踏まえ、新社会推進部という名称になったものと認識をいたしておりますが、お尋ねにありました、所管事項の説明を受けたとき、私は、新社会という概念が捉えづらいと、そういう印象を持ちました。現在、新社会推進部の見直しの検討を行っているところでございますが、この部の名称につきましては、新しい部が担う役割を、わかりやすくあらわすことを基本にしたいと考えております。
 男女共同参画推進課が担う機能、業務、その名称についてでございます。女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が成立をいたしまして、女性が働く環境の整備や管理職として活躍する女性リーダーの育成、企業に対する情報提供や助言など、活躍を望んでおられる女性の支援に向けた、さらなる取り組みが求められております。このため、男女共同参画推進課が今後担うべき役割や機能の充実について検討をいたしているところでございます。
 また、女性の活躍を一層推進していくためには、その根幹となります意識改革、DV防止対策といった困難な立場にある女性の支援を初め、男女がその個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会の実現というものが重要でございまして、それに向けた取り組みも強力に進めていかなければなりません。したがいまして、この課の名称につきましては、こうした点を踏まえて検討していく必要があるというふうに考えております。
 今後のアンビシャス広場事業についてでございます。県におきましては、放課後における児童の活動を支援する事業として、アンビシャス広場事業と放課後学習活動支援事業を展開しているところであります。広場事業は、児童が放課後を安全、安心に過ごし、多様な体験活動ができる子供の居場所を提供するものでございます。一方、放課後学習活動支援事業は、学力向上を目的に各教科の補充学習を行うものでございます。
 広場事業につきましては、平成十三年度から各地域における放課後の居場所づくりを、県単独で進めてまいりました。平成十九年度からは、福岡県の取り組みを参考にして、国が創設をいたしました放課後子供教室の制度、この制度を活用しながら、市町村が主体となって放課後居場所づくりを進めているところでございます。いずれの広場も、地域ぐるみで子供を育てる拠点として、地域の中で定着をしてきているわけであります。しかしながら、市町村が主体となった広場につきましては、安定した運営が進む一方で、ボランティアを主体とした県単独で開設してきた広場の中には、担い手が不足するなど、その運営が厳しい広場も出てまいっております。また、国におきましては、今後全ての就学児童が放課後等を安全、安心に過ごし、多様な体験活動を行うことができるよう総合的な放課後対策に取り組むことといたしております。こうした状況を踏まえまして、市町村や広場運営に携わっておられる方々の御意見をよくお聞きし、調整を図りながら、放課後における児童の体験活動や学習活動がより充実したものとなるよう検討を進めてまいります。
 次に、乳幼児医療費支給制度についてお尋ねがございました。まず、その改正時期でございます。この制度は、県内の全ての市町村で、子供に対する一定水準の医療費助成が実施されるよう、市町村に対し補助を行うものでございます。市町村が県制度の改正を踏まえた見直しを行う場合、必要な予算の計上に加えまして、住民及び医療機関への周知、電算システムの改修並びに医療証の発給などを行う必要がございます。このような手続に要する期間、これを考慮いたしまして、制度改正の実施時期を十月としたものでございます。
 乳幼児医療費支給制度の自己負担額の設定についてでございます。本制度におきましては、制度の安定的運営及び受益と負担の公平性を図る観点から、一定の自己負担を設けているところでございます。対象年齢を小学六年生まで拡大することは、一方で県及び市町村に大きな財政負担を生じることになります。この制度を将来にわたって持続可能なものにするため、今回、他県と比較して半額程度になっております通院の自己負担額を引き上げることとしたものでございます。なお、今回の改正により、就学前の児童については負担がふえることにはなりますけれども、出生から小学校卒業までの、この全期間を通じた累計を見ますと大幅な負担減となり、子育て家庭の経済的負担を軽減させることになると、このように考えております。
 乳幼児医療公費負担に対する国の考え方についてお尋ねがございました。国は、医療費については、受診者に一定の自己負担を求めることが原則であり、乳幼児医療費については厳しい財政状況の中、自己負担のさらなる軽減というものは、医療提供体制の確保や他の少子化関連施策との均衡、バランスなどを勘案すると課題が多いと、このようにしております。また国では、乳幼児医療費助成により窓口負担の軽減を行うことで、医療機関の受診回数がふえ、医療費の増大につながると、このようにしております。こうしたことから、窓口負担の軽減を行っていない市町村との間で不均衡をもたらすという理由で、国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置というものを講じておるわけであります。県、そして全国知事会では、少子化対策の観点から、この乳幼児医療費助成制度が、全ての自治体で地方単独事業として実施されている実態、これを踏まえ、国に対し助成制度の創設、国民健康保険の国庫負担金の減額調整措置の廃止等について提言、要望を行ってきたところでございます。こうした中、ことし九月でございますけれども、厚生労働省において、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会というのが設置をされました。国庫負担金の減額調整措置等についての検討が開始されたところでございます。県といたしましては、こうした国の動きも見きわめながら、乳幼児医療費助成にかかわる制度の創設、国保の国庫負担金減額調整措置の廃止等につきまして、引き続き国に働きかけてまいります。
 次に、乳幼児医療費支給制度改正にかかわる市町村との協議状況についてでございます。今回の改正は、市長会、町村会からの助成対象拡大の要望も踏まえて実施するものでございます。市町村に対する具体的な改正案の詳細や今後のスケジュールの説明に当たっては、六月のこの定例会の終了後から八月にかけまして、首長の直接訪問や、九月には担当課長説明会、その開催も行ったところでございます。大多数の市町村におきましては、今回の改正案の大きな柱でございます対象年齢の拡大及び自己負担の見直しに対する理解は深まってきていると、このように思っております。来年十月の実施を目指し、引き続き丁寧な説明を行い、理解を得てまいります。
 次に、耕作放棄地再生への取り組みについてでございます。耕作放棄地は、中山間地域の傾斜地や不整形な農地で多く発生をしており、農地の有効利用や洪水防止、そういった多面的機能発揮の観点から、その再生に努めていく必要があると考えております。県では、市町村や農業委員会との連携を図りながら、毎年耕作放棄地の発生状況、再生利用の可否など、その実態を把握をしておりまして、平成二十六年の耕作放棄地面積は四千五百二十八ヘクタールで、このうち農地への再生が可能なものは、約半数の二千二百四十二ヘクタールとなっております。この再生可能な耕作放棄地につきましては、各市町村の農業委員会が、近隣の農家を対象に耕作者を募っておるところであります。また、県では、市町村と連携をいたしまして、耕作放棄地の再生に取り組む耕作者に対し、その土地条件に適した作物の選定や栽培指導を行っているところであります。さらに、関係機関と福岡県耕作放棄地対策協議会、これを立ち上げ、雑草や雑木の除去、整地などの再生を行う活動を支援をしているところであります。
 これらの取り組みによりまして、営農を再開した耕作放棄地は、過去五年間の平均で約百ヘクタールとなっておりますけれども、一方、この間も新たに発生した耕作放棄地もありますことから、耕作放棄地の面積、全体はほぼ横ばいの状況で推移をいたしております。この面積の耕地面積に占める割合は五・六%と全国平均を下回っており、九州でも六番目で低い水準となっております。しかしながら、いまだに耕作放棄地が残っております。県といたしましては、今後より広く耕作者を募り、その確保を図るなど、他県の取り組み事例も参考にしながら、さらなる再生利用を進めてまいります。
 次に、全国豊かな海づくり大会を福岡県らしい大会にすることについてでございます。今月十一日、県議会や農林水産団体など幅広い関係団体で構成をいたしております福岡県実行委員会を開催いたしまして、その委員会におきまして、大会の開催意義、基本理念などを盛り込んだ基本構想が決定をされたところであります。この基本構想におきましては、特色ある水産業など多様な福岡県の魅力の発信を初め、大会の基本となる方針を掲げているところでございます。本県の特色の一つに、議員も御指摘がありましたけれども、対馬暖流の影響を受ける外海性の筑前海、日本一の干満の差のある広大な干潟を持つ有明海、穏やかな内海の豊前海、この三つの海と、筑後川、矢部川、そういった内水面があることが挙げられます。この各水域におきましては、それぞれ特徴を生かした多種多様な漁業が営まれておりまして、天然トラフグ、マダイ、養殖ノリなど、全国に誇れる多くの水産物があるわけでございます。また、本県は古くから大陸との国際交流の窓口として発展をしてきたという特色がございます。特に、古代からの交流の象徴であり、海や漁業とも深いかかわり合いを持っております「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、大会が開催をされます平成二十九年度のユネスコ世界文化遺産への登録というものを、我々は今目指しているところでございます。県といたしましては、こうした本県の特色ある漁業、水産物やすぐれた伝統文化などさまざまな魅力というものをアピールし、この大会が福岡県らしいものとなるようしっかり準備をし、開催をさせていただきます。
 県を挙げた大会とするための取り組みについてでございます。この大会の目的は、水産資源の保護、管理、海、河川、ひいては水源地域の環境保全などを進めることで、広く福岡県全体の水産業と、それが営まれております各地域の振興発展を図るものでございます。このため、この大会を契機に、本県のさまざまな魅力について県の内外の方々の関心を高めていくことといたしております。加えて、県といたしましては県議会、水産団体を初め関係団体の御意見を伺いながら、御質問にありましたとおり、開催場所である筑前海だけではなく、有明海、豊前海、内水面におきましても、地元を中心に放流を行うなど県内各地でそれぞれの特色を生かした福岡県らしい行事、これを展開することといたしておりまして、大会の効果が県全体に波及するように取り組んでまいります。

◯議長(井上 忠敏君) 城戸教育長。
*教育長答弁

◯教育長(城戸 秀明君)登壇 まず、新たな科目、歴史総合についてでございます。この新たな歴史科目につきましては、世界史のみを必履修科目としてきた高校の地理歴史科を見直し、日本の動向を世界の歴史と関連づけて捉え、現代的な諸課題を歴史的に考察させることを目的として設置されるものでございます。現在、本県では四割以上の生徒が、高校において日本史を学習することなく卒業している状況であり、今回の見直しにより、全ての高校生が、中学校での歴史教育の上に我が国の伝統文化と現在に至る歴史を学習するようになることは、グローバル社会において主体的に生きる国民を育成する観点から望ましい方向性であると考えております。
 新たな科目、公共についてでございます。この新科目の設置は、これからの時代に求められる資質として、権利や自由とともに義務や責任をしっかりと認識し、選挙や社会保障、地域貢献など公共的な事柄に、みずから参画しようとする意欲や態度を育成することが重要との考えから検討されたものでございます。その内容として、社会的、職業的な自立に向けて必要な力を育むキャリア教育の推進とともに、政治的中立を厳正に確保しつつ、現実の政治課題や政策等を教材に取り入れた主権者教育の充実が図られるものと考えております。
 次に、全国学力・学習状況調査の目標を達成できなかった結果と原因についてでございます。まず、本年度も目標を達成できなかったという結果については、極めて残念であり、本県教育に責任を負う者として大変重く受けとめております。今回の結果の要因については、現在詳細な分析を行っているところですが、学力調査と同時に行われるアンケート調査から、現時点では、例えば全職員による組織的な取り組みをよく行った学校や、授業において考えを深める話し合い活動等をよく行った学校が全国と比べて少ないこと、またメールやインターネットを一日に二時間以上使用している児童生徒が全国と比べて多いことなどが明らかになっております。これらのことから、学力向上に向けて組織的に協働する教員の意識の面、基礎、基本を徹底しつつ、深い学びを引き出す教員の指導力の面、家庭の経済的な状況など児童生徒を取り巻く環境の面のそれぞれにおいて改善すべき課題があると認識しております。特に、中学校については、全国と比べて学力の低位層の割合や、学習規律が確保できていない学校の割合が高くなっており、学校の組織的取り組みや授業方法の改善などが小学校に比べておくれているのではないかと考えております。
 学力向上に向けたこれまでの施策の成果と課題についてでございます。まず成果としては、小学校の全国との差が改善傾向にあること、また地区間の差が全教科区分において縮小していることが挙げられます。これは、全国調査や診断テスト等により学力の実態を把握して、教育指導の改善に生かす検証、改善サイクルの確立が進んできたことによるものと考えます。さらに、筑豊地区においては、小中学校の全ての教科区分で、昨年度よりも全国との差が縮小いたしました。これは、学力向上支援チームの派遣や非常勤講師の重点的配置などの施策を生かした、各教育委員会と学校の取り組みの成果があらわれたものと考えています。
 一方、現行施策の課題については、現在、市町村や校長会に緊急アンケートを実施するなど、現場の意見を聞きつつ検証を進めているところです。現時点では、まず小学校においてはこれまでの取り組みを一層徹底していくことが重要であり、特に読解力と基礎的な計算能力の定着指導を強化する必要があると考えております。中学校においては、全国との差がやや拡大しており、例えば南筑後地区ではここ数年、小学校は全国をおおむね上回るものの中学校は下回っているなどの状況も見られます。その要因として、例えば中学校では県で作成した教材集が授業で積極的に活用されていないこと、あるいは生徒指導等の問題から学力向上の取り組みに専念できない中学校が少なくないことなどの課題もあると考えております。
 学力向上に向けた今後の取り組みについてでございます。まず、中長期的には日常の学習指導、すなわち授業の改善と補充学習の充実が基本であります。その中で、基礎、基本の徹底と課題の発見、解決に向けて、主体的、協働的に学ぶ、いわゆるアクティブラーニングの実践等両立する教員の指導力の向上に取り組んでまいります。また、各学校において教員が授業や教材研究、研修などに一層専念しやすい学校運営体制を構築していく必要があると考えております。短期的な取り組みとしては、学力調査の結果や、これを踏まえた目標と今後の方策を各学校が速やかに保護者や地域に説明し、協力を求める取り組みを全県的に徹底いたします。また、その取り組みの一環として、携帯電話、スマートフォンの使用のルールづくり等が、市町村や学校、PTAなどで一層進められるよう関係者に要請してまいります。次に、各学校の学力向上担当教員による実践交流会を通じた教員の意識改革を推進します。さらに、新たな県独自の学力調査を活用したきめ細かな指導を全県的に充実するとともに、課題のある学校の学校運営や授業改善に対する指導主事の指導、助言を充実強化してまいります。