平成25年9月議会一般質問「ワンモア福岡の取り組みについて」

福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます。
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質問要旨
「ワンモア福岡の取り組みについて」
 1.観光協会との取り組み強化
 2.歴史観光政策
 3.MICE戦略都市等との連携
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。けさもNHKで「あまちゃん」を見て、爽やかな気分で質問の場に立っております。知事はごらんになっていらっしゃいますでしょうか。このドラマは東北の地方都市のまちおこしがモチーフとなっており、海女漁やローカル鉄道など地域観光資源を活用して、地元観光協会を初めとする住民たちがまちおこしに奮闘する姿に共感を覚えた方もこの議場の中にたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そこで本日は、知事が就任以降、観光政策として強調される福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食、いわゆるワンモア福岡、福岡プラスワン戦略の取り組みについて質問をいたします。
 まず、観光協会との取り組み強化についてです。過去の答弁で、観光振興について知事はたびたび市町村の観光協会との連携強化について言及されています。市町村に属する観光協会は、福岡県内に三十二団体存在します。地域のさまざまな職種の会員で構成され、会員の皆さんは地域の観光資源、歴史、景勝地に造詣が深く、そして何より地域に対する誇りや愛情を抱き、観光を通じた地域振興を願っていらっしゃいます。つまり、観光協会は地域観光に関する人、情報、情熱が詰まっているのですが、一方で、刻々と変化し多様化する観光を取り巻く状況に対し何をどうしたらいいかさっぱりわからない、地元の観光協会の総会に出ても、かんかんがくがくというよりは、けんけんごうごうな議論で、会員の皆様のせっかくの情熱が空回りしていることに危惧を抱きました。本年度より、魅力ある観光地づくり事業として県が主導で、女性モニターツアーや、それと連動したワークショップが一部地域で開催されておりますが、何より屋台骨である県内市町村の観光協会に対して、もっと広くあまねく働きかけ、どうやったらうまくいくのか情報を提供し、モチベーションを高める仕掛けが観光地福岡県としての魅力向上に必須だと考えます。
 そこで質問です。観光協会にかかわっている県の部署としては、商工部国際経済観光課と企画・地域振興部広域地域振興課の二つがあります。また、県が補助金を出している団体として、観光連盟と観光推進協議会があり、それぞれ県内十九の市町村観光協会が加入しています。県と観光協会の連携以前に、これら県側の組織の連携がどうなっているか疑問です。これらの役割分担やすみ分け、部署間の連携について知事はどう考えていらっしゃいますか、お答えください。
 また、県内三十二ある観光協会のうち十九団体しか観光連盟、観光推進協議会に加入していないという現状をどうお考えですか、お答えください。
 もとより、観光地はそれぞれ互いに競争相手で、情報交換をしたり、交流をするのがなかなか難しいという側面があります。それゆえ、市町村観光協会がよきライバルとして切磋琢磨すると同時に互いに情報交換して、県全体の観光振興につながる場を県がつくるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、そのためには県や九州観光推進機構のような広域の団体が市町村観光協会の取り組みを評価するコンペティションを創設し、成功事例を周知する機会があれば、市町村観光協会のモチベーションを高め、おのずと活動の活性化が図れると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 続きまして、歴史観光政策についてです。出張で福岡を訪れる関東、関西在住の友人が私に電話をして聞くんです。翌日帰りの飛行機まで時間があるんだけど、昼間にどこかおもしろいところあるかと。男女、年齢を問わず、グルメを初めとする夜のエンターテインメント、これは私がアドバイスしなくても、みずからいろいろと情報を集めて勝手にエンジョイしているようですが、昼の福岡観光については積極的な関心が高くないと実感する次第です。
 福岡は地政学上、古来より大陸との外交、時には国防のかなめであり、金印、卑弥呼、大野城・水城、平家伝説、大宰府、元寇、近代化を支えた産業などなど歴史、文化の題材が豊富です。また、来年の大河ドラマの主人公である黒田官兵衛のほかにも、福岡藩初代城主長政、立花の義を貫き、豊臣秀吉、徳川家康から西国無双とたたえられた立花宗茂は、次に福岡ゆかりの大河ドラマ主人公となるべき武士中の武士ですし、幕末の尊王攘夷派の精神的支柱だった真木和泉守は、歴史の歯車が一つ違っていたら、別の形で明治維新の立て役者になっていたかもしれません。ほかにも、高橋紹運、後藤又兵衛、菅原道真などなど興味深い物語を持った福岡ゆかりの多くの偉人がおり、京都、奈良、鎌倉などと遜色ない素材を福岡県は抱えていると自負しております。しかしながら、福岡の歴史、文化、偉人という素材は、それぞれの魅力を持ち一つ一つは点として輝いていても、歴史観光地としていま一つ認知されていないのは、点を線から面にする仕掛けが足りないからと感じております。
 そこで知事に質問です。知事は過去に、観光ふくおかの魅力創造事業ということで、地域の素材をつないでストーリー性のある体験型観光モデルコースを設定すると答弁されていますが、ぜひ歴史観光の面でも、県内各地に点在する一つ一つの歴史観光資源を紡ぎ、大きな物語にして回遊性、リピーター性を高める取り組みを、県がリーダーシップをとって市町村の観光協会と連携して行うべきではないでしょうか。知事の所見をお聞かせください。
 また、教育長に質問です。歴史観光を盛り上げる条件として、受け入れる住民側にも語り部としての知見が必要となります。そのためには、福岡に住んでいる私たちが幼少のころから地域の歴史について触れ、親しむ機会を多く持つべきと思います。これは同時に郷土愛や自己肯定感を育むことにも有用だと思いますが、どのような取り組みを小中学校で行うべきか、御所見をお聞かせください。
 続きまして、MICE戦略都市などとの提携についてです。MICEとはミーティング(会議、研修、セミナー)、インセンティブツアー(報奨、招待旅行)、コンベンション(大会、学会、国際会議)、エキシビション(展示会)の頭文字をとった造語です。本年六月二十八日に福岡市を含めた五都市が、観光庁が選定するグローバルMICE戦略都市に決定しました。これにより国際的なMICE誘致競争を勝ち抜くべく、国から集中的な支援が行われます。
 そこで質問です。会議場や宿泊施設、空港からのアクセスが充実した福岡市が世界トップレベルのMICE都市となるよう福岡県としても支援すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、MICEの特徴として、一般観光客より参加者の消費額が多いことが挙げられます。県としても福岡市のMICEの傾向、分野、規模、参加者の国籍、年齢、性別、職業、家族同伴かどうか、滞在日数は、などのデータを分析し、福岡市に集まったMICE参加者が、福岡市以外の地域にも足を延ばし、まさに知事がおっしゃる福岡プラスワン、福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食していただけるように、MICEに特化した具体的で戦略的な取り組みが必要と考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 最後に、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。全世界のアスリートや観光客がオリンピック・パラリンピックのために東京に集結するわけです。世界中から東京を訪れた人々に対して、福岡で、もう一泊ではなく、東京から福岡に、もう一泊していただく準備、取り組みをしなければ、オリンピック特需に対する国内の観光客誘致競争を勝ち抜けないと考えます。まだ七年先だと漫然と指をくわえていてはいけません。早急にタスクフォースなりプロジェクトチームなりを立ち上げ、二〇二〇年の東京の盛り上がりを福岡の活力に結びつけると同時に、次世代観光政策の礎を築く七年間にすべきと考えますが、知事の御所見を披露願います。
 以上、県民がじぇじぇじぇ、と感嘆するような熱い答弁を期待して、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 観光振興における県庁の中での広域地域振興課と国際経済観光課の連携強化でございますが、県では、広域地域振興課におきましては、各地域の観光素材を発掘し、これを磨き、また国際経済観光課では、これらの新たな観光資源と温泉、食といった県内さまざまな観光資源とをつなぎ合わせて新しい観光商品としてこれを売っていくと、そういうことによりまして県の観光振興を図っているところでございます。こうした基本的な役割、両課にあるわけでございますが、こうした役割分担を県内の市町村観光協会の方々にも十分お伝えをしていき、あわせて両課の連携をより一層強化をいたしまして、本県の観光の推進体制というものを強化していきたいと考えております。
 次に、市町村観光協会の県観光連盟への入会についてでございます。県の観光連盟は、民間の観光関連事業者が参画をいたしております本県の観光振興施策の中核的実施機関でございます。具体的には、県内の観光情報を旅行会社等へつないでいく営業活動でありますとか、市町村観光協会やボランティアにかかわる人材の育成、それから観光情報の発信等をこの連盟は行っているところでございます。近年の観光市場というのは体験型の個人旅行というのが主流になってございます。また、外国からのお客様もふえております。このような中で、県全体を結ぶストーリー性がある観光ルートをつくっていく、また多言語での情報発信というのが求められているわけでございますが、それを個々の市町村単位での取り組みは限界があると思っております。このため、県観光連盟を軸にいたしまして、県内各地の観光協会の力を結集していく必要があると考えております。そのために、より多くの観光協会が県観光連盟に参画をし、連携を強化していくことが望ましいと、このように考えております。
 市町村観光協会に対する取り組み強化でございます。県ではこれまで、市町村、県の観光連盟、また県内の観光協会とともに産業観光の推進、ボランティアガイドの育成、プロモーション活動などに取り組んでまいりました。また、市町村観光協会が提案をされました地域の観光振興策の中から先進的なものを選定させていただいて、これを支援をする観光地づくりモデル事業というものに取り組んでいるところでございますが、この事業は、地域間の競争を促し、互いに切磋琢磨をいたしまして創意工夫を生み出す源泉になる、そういう工夫を生み出すことにつながっていくものだというふうに考えております。今後は、これらの取り組みに加えまして、県内外の成功事例を紹介する機会というものをつくっていきたいと思っております。そういうことを通じまして、市町村観光協会のさらなる育成強化を図ってまいります。
 歴史や文化などの素材を生かした観光振興についてお尋ねがございました。一人でも多くの方に福岡県を訪れていただくためには、私どもの地域に眠っております歴史や文化などを掘り起こして、人々の心に訴えかけるようなストーリーをつくり、本県ならではの魅力ある観光資源として磨き上げていくことが大事だと思っております。県では現在、来年のNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」をテーマにいたしまして、NHK、官兵衛ゆかりの地の市町、企業、団体と連携をいたしまして、「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会というものを設立しているところでございますが、そこの協議会を通じまして、ゆかりの史跡、史料の発掘、これらをつないだ観光コースの旅行会社への提案、統一的なロゴ、キャラクターを活用した土産品の商品開発、さらには全県的なPR活動を行っているところでございます。県内にはこのほか、炭鉱関連の歴史や文化、菅原道真、立花宗茂などの歴史的な人物、さらには世界文化遺産登録としてユネスコに推薦されることになりました明治日本の産業革命遺産など数多くの観光資源がございます。県といたしましては、県内の市町村や観光協会と協力をいたしまして、こうした歴史、文化に関する観光資源の発掘をさらに進めまして、それらをストーリーでつないで、点から線そして面へとつないでいくことによりまして、議員御指摘の回遊性のある、またリピーターをつくれる新たな観光振興策に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、MICEを活用した観光振興でございます。MICEは、議員が言われましたように、会議、報奨旅行、大会、展示会、それぞれの英語の頭文字をとったものでございますが、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称でございます。福岡市は国際会議件数国内第二位、東京に次いで第二位でございます。外国人を含めて九万人近くの参加者が訪れております。また、ことしの六月に福岡市は観光庁からグローバルMICE戦略都市に選定をされまして、国からの集中的な支援を受けることとなりました。今後一層の集客が期待されているところでございます。
 県では、これまでも福岡市内のMICE開催に際しまして、主催者の方々に対し観光パンフの提供や旅行会社への県内周遊プランの提案を行うなど、市と連携した取り組みを進めてまいりました。今後は、こうした取り組みに加えまして、県が現在開発中でございますスマートフォン向けの観光情報を福岡市のWiFiに乗せられるようにして、WiFiを通じて私どもが開発しますスマートフォン向けの観光情報を訪れられた方々に提供するということを年内に開始をしたいと思っております。このような形で市との連携を一層強化してまいります。
 このたび、二〇二〇年の夏季のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになりました。オリンピック開催時には、御指摘ありましたように、選手や競技関係者だけではなく、大変多くの観戦者という方がこの日本を訪れられると思います。県としましても、九州観光推進機構と連携いたしまして、九州が一丸となって誘客を行っていくことが、この機会は大事だと思っております。今後、東京にはない九州の自然、温泉、食などを生かした観光ルートを開発するとともに、今、特区で、留学生を活用した特区ガイドというものを来年春からスタートさせますが、そういった特区ガイドでありますとか地元のボランティアガイドの養成を今からやっていきまして、受け入れ態勢のほうも十分整備をして、オリンピックの機会を活用して本県への、また九州への外国人観光客の誘客拡大に努めてまいります。

◯副議長(長 裕海君) 杉光教育長。
*教育長答弁

◯教育長(杉光 誠君)登壇 小中学校における郷土の歴史や伝統文化、偉人に関する教育についてでございますが、児童生徒が郷土の歴史を学ぶことは、郷土に誇りを持ち、ふるさとを愛する心を育み、我が国の伝統や文化の理解を深める上で重要であると考えております。このため、各小中学校におきましては、市町村が独自に作成をしました郷土資料などをもとに、郷土の伝統文化や偉人などを取り上げた学習をしております。また、児童生徒がその成果を観光客用のリーフレットの作成であるとか、観光客の案内などに生かしている学校もございます。また、地域から県へと視野を広げていくことも必要であり、県教育委員会では、県内の文化財や地域行事、郷土芸能、偉人等を掲載した「ふくおか郷土資料」を作成いたしまして、自分の地域と他地域との歴史的つながりを学習できるようにしております。こういうことで各学校における積極的な活用を促進してまいります。さらに本年度から、発達段階に応じた郷土の歴史や伝統文化等への理解を深めるカリキュラムや指導方法の調査研究を始めたところでございます。今後は、その成果を各小中学校に普及させまして、児童生徒の郷土の歴史についての理解や伝統文化を尊重する心を育む教育を充実させてまいります。