平成23年度予算特別委員会知事保留質問「中小企業海外展開支援について」

◯板橋 聡委員 自由民主党県議団の板橋聡でございます。本日もさわやかに、そして軽やかに質問させていただきたいと思います。
 中小企業海外展開支援について質問をさせていただきました。さきの予算特別委員会においての私と商工部のやりとりというのは十分御承知のことだと思いますので、前回なかなか聞けなかった知事としての見解を教えていただければと思っております。
 まず、単刀直入に聞きますけれども、中小企業海外展開ワンストップ支援センターは、知事として必要だと思われますか、そうでないと思われますか。

◯今林 久委員長 小川知事。

◯小川 洋知事 必要であると考えております。

◯板橋 聡委員 ありがとうございます。
 ほかに、実は今年度暫定予算の中に組み込まれていた新規事業というところで、センターの設立とか協議会設立という人を置いたり事務所を置いたり、こういった固定費という形で年々年々ずっとコストがかかってくるようなものが幾つかございました。ばっと並べてみますと、認知症医療センター、アジア医療サポートセンター、認知症施策推進協議会、七十歳現役社会推進協議会、七十歳現役応援センター、先ほど言いました中小企業海外展開ワンストップ支援センター、アジア自治体間環境協力会議、次世代社会システム総合研究所、自動車先端人材育成センター、こういったものがあったわけです。
 こういったものに関して、恐らくいろいろな議員の方が一つ一つ照らし合わせて、必要ですかと聞けば、一体どんな回答が執行部から上がってくると知事は考えられますか。

◯小川 洋知事 それぞれの政策分野で事業、あるいは必要な政策を展開していく上で、そういう核となるセンター、あるいは協議会──協議会の場合は、いろいろな関係者が多い場合、その中でいろいろな調整をして、より効果的な成果を上げるといった目的で、それぞれの必要性、目的があって設立されているものと私は理解しております。

◯板橋 聡委員 そのとおりだと思います。福岡のためにこれが必要と。この間もいろいろと商工部の皆さんと議論させていただきましたけれども、いろいろ詰まっていない部分はあれ、熱意を持ってあるということは間違いないですし、福岡県のためを考えているということは間違いないと思っておりますので、先ほど小川知事が言われたとおりの答えが執行部から返ってくると私も思います。
 一方、先ほど民主党の畑中委員への答弁の中で、右肩上がりの成長というのを求めているわけではありませんということを知事はおっしゃいました。ならば、これは知事の、これから先人口増というのがなかなか期待しづらい中での本当の心中で、そういった中でどういうふうにこれからやりくりしていくのかというところも含めてのお答えだったと思いますけれども、こういった右肩上がりの成長を求めないと言われる中、県のこういった関連組織だけがこのままふえ続けるということはあり得ますでしょうか。

◯小川 洋知事 先ほど申しましたように、それぞれの協議会、あるいはセンターは目的があってつくられているわけでございます。その政策環境も大きく変わってきますし、その施策を展開することによって効果が上がっていって、目的を達成する場合もあろうかと思います。そういうことで、節目節目で見直さないといかんわけですけれども、毎年度、事務事業については不断の見直しをしていく。その一環でそれぞれのセンター、協議会がどういう活動をしているか、それから、本来、そもそもどういう目的でそれがつくられたかという原点に返って毎年毎年見直していくということは、それぞれの部局がやった上で予算要求なりをしていると私は理解しております。

◯板橋 聡委員 ただ、一番問題なのは、それぞれの部局では、人を置いて場所を置いてしまうと、これを見直すというときに、どうしても物、人をそのまま継続させてしまうのが優先課題になってしまいがちであると。それが一〇〇%とは言いません。
 これが、例えば民間企業とかの場合は、非常にわかりやすい。それは収益を上げているかいないかという一つの物差しで見れますから。ただし、県、こういった自治体の場合は、収益を上げるためだけの団体ではございませんので、一番問題になってくるのが、本当にそれが今の時代にマッチして必要なのかどうかと。この質問をし始めますと、いやいやそれぞれの部局でという話になって、堂々めぐりになってしまうものなんだと思います。
 そこで、やはりこういったときに見直し、今後、次期行政改革大綱等がこれから考えられるということですけれども、やり方としては二つあるのかなと。
 一つは、これはちょっと乱暴な言い方ですけれども、一つつくったら一つつぶすという総量規制的なやり方で、大なたを振るうような、そうすることによって全体的には人口もふえない中、県の組織としてもある程度一定の規模を保っていくというやり方にするのか。これはやはり知事のトップダウンでやらないと、なかなか部局から上がってきたという中では、こういった大なたは振るいにくいと私は思っております。
 もう一つは、つくる際にどういう基準を設けるか。この間もちょっと申し上げましたけれども、三年後、五年後、当時の課長や部長がかわって、ある程度時代の環境が変わったとしても、何年後かに見直したときに言いわけができないような、この基準まで行っていなかったらすぱっとやめてしまいますよという確実な指標、数字も含めた指標を持つべきなんじゃないかと思いますけれども、そういった件に関して、知事の所見をお伺いできますでしょうか。

◯小川 洋知事 委員にいろいろサジェスチョンしていただいてありがとうございます。二つ御提案というか、アイデアが出されたと思います。非常にいい考え方であると一方で思いますが、一つは行政改革というんですか、スクラップ・アンド・ビルドということでいくと、本当に必要なときにできない、ないしは必要でなくなったものが残るという事態が出てくる可能性があります。むしろ、つくるときにいろいろなことを考えて、本当に必要なものをつくるほうが実効性が上がるのかなと今この場で思ったところでございます。今後どうするかというのは別としまして、そう思いました。
 ただ、前段のところのスクラップ・アンド・ビルドというときに、それとは違いますけれども、財政が非常に厳しい中での予算編成をやっているわけです。その予算の中で、我々は事務的に、事業、事務の優先配分といいますか、優先度をつけているわけですね。その中で、団体、センター、協議会をどうつくるのか、つくるのかつくらないのかと。その中で、今はスクリーニングがされているという理解をしております。

◯板橋 聡委員 そのとおりなんですけれども、そこになってくると、やはり先ほど阿部委員が質問された財政規律のところに話が戻ってくるのかなと思います。今、非常に財政規律が問われている中、本当に大事なのか大事じゃないのか、このまま一度設立してしまうと、固定費という形で何年もこれが続き、それが幾つも幾つもふえてくると、これは本当に大きなおもしになっていくということを知事にはしっかりと理解された上で考えていただきたいと。
 特に、この中小企業海外展開ワンストップ支援センターに関しては、民間もやっています、国もやっている、外郭団体もやっていると。今回、私もこういった件に関しては、非常に自分自身興味があった件なので、殊さらこの件に関して問わせていただきましたけれども、そういった事業が、いろいろな予算の中にも眠っているものがいっぱいあると思います。そういった部分では、知事がしっかりと決意を表して、各部局の担当者もちゃんと鉢巻きを締めて、じっくりと財政規律の部分と今後の県の発展をあわせて、事業をどういうふうに取捨選択していくかというのをぜひ考えていただきたいと思います。
 その上で、中小企業海外展開ワンストップ支援センターに関して、知事として、この間の質疑を見ていただいた上でどのようにお考えかというのを教えていただけますか。

◯小川 洋知事 こういったセンター、協議会をどうつくっていくか、つくるつくらない、その点につきましては、いわゆる行政手段として本当にそれが必要かどうかという観点、それから財政の制約とかいろいろな観点から我々は今後ともチェックしていきたいと思っております。
 その上で、中小企業海外展開ワンストップ支援センターの件でございますけれども、暫定予算で組んでいただいたわけでございますけれども、その後、震災が起こっておりまして、積極的であった企業も復興需要がふえたりして、外に向くより今は内向き対応に頑張りたいという企業も一部出てきたりしております。そういう状況がありますが、一方で、これからの日本は、やっぱりグローバル化していかないと企業はやっていけないだろう。それは中小企業、大企業限らないと思います。人口は減っていくわけでございます。パイが小さくなって、どんどん海外からの輸入も入ってくるという中では、打って出る人が一社でも多く出たほうがこの国のためにはいいと、私はそう思っております。
 そういう状況は変わりがないし、アジアでの地の利があるという状況の中で、当面、中小企業というのはいろいろなノウハウが足りない。かつ、ほかの団体、国、いろいろな機関がやっているだろうというお話は確かにあります。けれども、それぞれの分野、それぞれの役割ないしは得意なところでやっておられて、今までの経験から、私自身は帯たすきのところがあろうかと思っております。
 そういう意味で、そういった機関をネットワークでつないで連携を強化させる。その中心にこのセンターがいれば、お困りの中小企業がそこに行って、こういうことに困っているんだ、こういう力添え、支えがないだろうかといったときに、どうやって連携をしていくのかと。そういう意味でのネットワーク、連携強化、その中心のセンターという意味で役に立ちたい。そういう必要性、重要性は変わってないと思います。
 しかしながら、先ほど言いましたように、中小企業自身が国内に向かっているところもありますから、予算は通していただいておりますが、当面は中小企業の海外展開、その意識、あるいはその必要性、重要性というのをより多くの企業に認識していただくための作業、セミナーや企業訪問活動といったものに力を注ぎたい。その成果を踏まえて、他の機関が実施しておりますいろいろな事業、国際見本市とかもありますが、そういった事業との調整を十分しながらこのセンターの事業を考え、支援していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 つまり、今まで出しておられた暫定予算のとおりの内容で進めていくということでしょうか。

◯小川 洋知事 基本的に進めていくということでございますが、スピード感覚と、当初いろいろ考えていたことが状況が変わったり、それぞれの役割分担の調整の結果、ダブりがありそうだったら、そこはお互いに仕分けをしてやっていくということはあり得るという前提でございます。

◯板橋 聡委員 そのときに具体的な見直しの条件といったものは設けられるんでしょうか。

◯小川 洋知事 ちょっと、今の御質問の見直しの条件というのはよくわかりませんが、要するに、重複があったりした場合に、完全に重複するんだったら、どちらがどうするかという話をしていくことになろうと思いますし、お互いに補完し合うんだったら、役割分担をうまく発揮して、一足す一が二以上になるような調整をすればいいと思っています。

◯板橋 聡委員 済みません、ちょっと私の言い方が悪かったみたいで。見直しというのは、例えば知事が先ほど言われたような効果が中小企業海外展開ワンストップ支援センターでなかなか見えづらい、あるいは今までのように民間にやらせておいたほうかよかった、県でやるほどのことでもなかった、あるいは県以外でやったほうがうまくいくのではなかろうかという事象が起こった場合、あるいは見受けられた場合に、どういうふうな時点でそういった判断ができるんでしょうかという質問です。

◯小川 洋知事 実際に予算の執行をして、関係者と協議会をつくって、これからどういう連携をしていくかということが詰まっていくわけでございます。あらあら事業の計画はあるわけでございますが、そういう中で申し上げたいことは、民間がやっているからこれは要らないだろうということにならないだろうと私は思っているわけです。
 先ほど言いましたように、私の経験からいくと、民間は銀行や商社などいろいろありますけれども、それぞれの御立場、なりわいから、ある一定の範囲、エリア、分野についてのいろいろな御支援をされているというところでございますから、そこはそれとして、その役割とこちらの役割が補完し合って連携強化を図っていくというニーズは変わらないだろうと思っております。

◯板橋 聡委員 済みません、これ以上やって細かいところに行ってしまうと、知事にわざわざ御質問することではないと思いますので。ぜひ見直しというか、常にその意識を持って、どの条件でどういうふうに見直すか、その時々の執行権者や課長、部長によって判断が変わるといったことがないような形でやっていただきたいと思っております。
 最後にもう一つ質問させていただきたいんですけれども、私自身、代表質問、一般質問、そして今回の予算特別委員会、本日の予算特別委員会を見るつけ、実は個人的には小川知事には好感を持っております。さまざまな質問にも真摯に耳を傾けて礼儀正しく、時折笑顔を見せ、やじにも反応するいい人だと。逆に言うと、人がいいとかいう言い方になるかもしれませんけれども、私が一有権者なら「知事ばそげんいじめんで」と思うかもしれませんが、ただ、議会に身を置く立場としては、逆に心配になります。
 というのは、先ほど申しましたとおり、これだけ暫定予算に政策的事業が、それも新規の政策事業というのが多数含まれております。数えましたところ五十四事業ございました。先ほど知事がおっしゃいましたとおり、暫定予算というのはもともとつなぎ予算のはずで、当面必要な経費とか緊要な施策をなすための予算が入るということなんですけれども、新しく知事もかわった、その上、三月十一日の大震災があって国内の状況も大きく変わってしまった中、こういうふうな多くの暫定予算があるということは、知事の構想だとか思いといったものを縛るものではないでしょうか。お考えをお聞かせください。

◯小川 洋知事 なかなか難しい御質問でございますが、厳しい財政状況、環境ではございましたけれども、私は私なりにめり張りのついた予算を出させてもらったと思っております。
 一つは県民幸福度日本一を実現するために、県民生活の安定・安全・安心を高めるための施策をちりばめたつもりでございます。それから、元気を西からと申し上げて、これからの東日本の復興とその間のこの国の国力の維持のために福岡県が貢献をしたいという思いで、まず福岡県を元気にしたい、経済を活性化したいと申し上げたわけでございます。
 そういう形で、その他いろいろ本会議、あるいは委員会の質疑で答弁させていただいたわけでございますけれども、そういった形で、自分としての思いは込めることができた予算だと思っております。
 その上で、暫定予算についてでございますけれども、議会で二月に成立をしていただいたわけでございます。これについては、私もいろいろ見ました。精査をしました。行政の継続性というのがございまして、中小企業、農林水産業の振興、子育て支援とか教育、さまざまな分野で継続すべき事業について私は継続したつもりでございますし、拡充強化すべきところは足したつもりでおります。そういう意味で、暫定予算が全部私の手を縛った、足を縛ったという思いはしておりません。

◯板橋 聡委員 思いは非常によくわかりました。とはいえ、まだ今回は暫定予算、しかも知事になられて一年目ということでございます。来年度はぜひこれぞ小川カラーと思えるようなオリジナリティーと力強さにあふれた予算、事業を立てていただいて、福岡県のために頑張っていただきたいというエールを送って私の質問を終わらせていただきたいと思います。(拍手)