平成23年度予算特別委員会質問「県立高校の魅力向上について」

◯板橋 聡委員 皆さん、こんにちは。自由民主党県議団の板橋聡でございます。
 きょうは県立高校の施設整備と魅力づくりというテーマで質問させていただきたいと思います。同じようなテーマで、先ほど古川先生、伊豆先生と質問されておりますけれども、ちょっと違った切り口でいきますので、ゴール間近ではございますけれども、聞き流すことなくよろしくお願いいたします。
 私は昭和六十一年に、地元の福岡県立山門高校を卒業いたしました。入学したときの校長は、新高教組、現福岡教育連盟初代委員長の永田校長先生でした。鍛えて育てるをモットーに、先生方は早朝、放課後、夏休み、冬休み、春休み、補習授業を行っていただき、塾や予備校なんかが少ない田舎ではございましたけれども、しっかりと鍛えていただきました。今の私があるのも県立山門高校のおかげだと、心から感謝しております。
 一方で、昨今の少子化のために、今後、高等教育は大きな岐路に立っており、その視点で今回、県立高校の施設整備と魅力づくりをテーマに質問させていただきたいと。
 まず、一番大切な安心・安全ですけれども、県立高校の耐震化について質問させていただきます。今年度、耐震調査費と建設費で約五十九億円余りが計上されていますけれども、耐震化に関する今後のスケジュールをお示しください。

◯新村雅彦副委員長 辰田施設課長。

◯辰田教育庁施設課長 耐震化につきましては、平成十九年三月に県有施設全体につきましての耐震対策計画が策定されております。その中で、平成十九年度から二十三年度までの五カ年間で耐震診断の実施を終えまして、その後、平成二十七年度までに県立学校全体の耐震化を完了する目標で現在取り組んでいるところでございます。

◯板橋 聡委員 ありがとうございます。二十七年度までにこれをすべて完了させていただくということで、耐震化は順調に予算化され進んでいるということでございますので、安全・安心という最低限の部分はしっかり守られているのかなと感じました。
 一方で、こういったところに予算をしっかりかけて進めておられるので、逆に施設整備などによる学校の質的向上だとか、あるいは魅力の向上などを図られるような事業に、予算が不足して困っているという点はございませんか。

◯辰田教育庁施設課長 委員御指摘のとおり、本県は福岡県西方沖地震等もございましたので、現在は耐震化に特化して重点を置いて取り組んでいるところでございますが、それとともに施設の劣化も進んでいるところでございます。したがいまして、耐震補強工事または改築等を行う中で、そういった老朽化した建物の整備についても可能な限り対応しているところでございます。

◯板橋 聡委員 老朽化は安全・安心のところなので、それよりも一歩進んだ学校の魅力づくりだとか教育の質的向上を図るための設備の充実、こういった事業に対しての予算が不足するというか、なかなかそういったところまで回らないのではないでしょうかという質問です。

◯辰田教育庁施設課長 学校のいろいろな改修工事等を行う際、また整備する際には、毎年ヒアリング等を行いまして、学校の要望を踏まえながら進めているところでございます。委員御指摘のとおり、学校の要望をすべて満たすというわけにはまいりませんけれども、できるだけその中でプライオリティーをつけまして、必要とする、整備すべきものは整備するという方針で臨んでいるところでございます。

◯板橋 聡委員 わかりました。というのも、今後、少子化のために中学校の卒業者数がどんどん減っていくわけですね。これから十年、全県下で約五%、私が住んでおります筑後地域で一五%、卒業した学校でございます県立山門高校が含まれる第十学区においては一九%、約二〇%も中学校卒業生が減少すると。この状態を見て、何が問題だと考えられますでしょうか。教育長、お答えください。

◯新村雅彦副委員長 杉光教育長。

◯杉光教育長 例えばの話で、委員が住んでいらっしゃるところの十学区は、相当な率で少子化が進むと。そういう中で学校が小規模になっていく。小規模化した場合、いろいろ教育活動に支障が出ると。そういう中でどういうふうにして学校の特色を出していくかというのが、今から非常に重要になるんじゃないかと考えております。

◯板橋 聡委員 それはちょっと違うと思うんですね。子供が減るということは、今までより高い質の教育が施されなければ、つまり少数精鋭で鍛えていかないと、これを目指さないと、国ならば国体と言うんでしょうけど、県体という言い方をさせていただきますと、県体の維持が難しくなると。つまり、県の活力が失われるということが一番問題になってくると思います。
 そこで、県立高校の役割というのは何ですか。

◯新村雅彦副委員長 千々岩企画調整課長。

◯千々岩教育庁企画調整課長 まず高等学校教育の役割でございますが、こちらは国の学校教育法等々に規定がございまして、義務教育の基礎に立って、豊かな人間性、創造性及び健やかな体を養い、国家及び社会の形成者として必要な資質を養っていくこと、これがまず高校教育の目的という形で求められておるところでございます。
 それを踏まえまして、県立学校の役割ということでございますが、こちらは県内において教育の機会均等を図っていくということが大きな使命でございまして、これによりまして本県及び各地域の将来を担っていく人材を養成していく、これが大事と考えているところでございます。

◯板橋 聡委員 まさに、本県及び各地域の将来を担う青少年の育成を図るということだと思います。
 県立高校と私立高校の役割や期待されている内容についての相違を教えていただけますか。

◯千々岩教育庁企画調整課長 私立学校につきましては、それぞれの建学の精神に基づきまして、独自の教育内容、方法を工夫した教育活動を行っておるところでございます。
 一方、県立高校におきましては、地域や県民のニーズを踏まえ、進学希望者の幅広い学校選択が可能となるよう、さまざまなタイプの学校を設置しておるところでございます。また、県内各地に広く県立高校というものは設置されておるところでございますので、長年にわたり、それぞれの地域の精神的な支柱の一つとして、あるいは地域コミュニティーの各地域の活力の源としての役割を果たしていると認識しております。

◯板橋 聡委員 本当に私もそう思います。それぞれの地域の中で、長いこと県立高校がその地域に根づいてやっている、その地域の精神的支柱だったりコミュニティーの核、地域の活力源としての役割、こういったものだということがやはりなければいけないと。
 一つちょっと聞いてみたいのが、こういった考え方というか、県立高校とは何ぞやということに関する理解は、どのくらい現場のほうに浸透しておりますでしょうか。そういったことが行われているかどうかも含めて教えていただけますか。

◯新村雅彦副委員長 吉田高校教育課長。

◯吉田教育庁高校教育課長 県立高校の基本的役割という話でございますけれども、県立高校に採用される教員すべてに対して、初任者研修を一年間継続的にやっております。その中身を確認しましたけれども、そういったものはちょっと見当たらなかったと。それから教育委員会においては、毎年県の教育方針、目標を定めた福岡県の教育施策を作成し、これを全校、それから全教育委員会に配っておりますけれども、その中にはそうしたことについて言及した部分は見当たらないという状況でございました。

◯板橋 聡委員 正直なお答えありがとうございます。私は思うんですけれども、先ほど言っていただきました県立高校何ぞやというところ、これこそが県立高校に携わるすべての人々、もちろん教育庁の皆さんもそうですけれども、現場の先生なんかも共有すべき、県立高校の綱領であり理念であり哲学だと僕は思うんですね。
 今までいろいろな質問の中で、こういうふうな教育はできないか、もっとユニークな特色のあるなんていう中で、こういうカリキュラムがありますよ、こういうプログラムがありますよというような存在はよく理解できました。ただ、これは自動車メーカーに例えればセールスマンが持っているセールスマニュアルみたいなもので、メーカーとしてどういった理念で社会貢献をして、モータリゼーションが文化の中でとかいう、そもそも何でそこに我々がいるのか、我々が教育を施しているのか、やっているのかという社是みたいなものがなければ、県立高校全体の本当の発展というのはあり得ないんじゃないかと私は非常に強く思っております。
 こういった理念とか綱領、哲学があった上に、それぞれの学校で校訓などがつくられて、学校の特色が出て、それぞれの教育者においてはそこに個性があって、多様化する教育に対応することができると思いますけれども、まずはこの県立高校において、県立高校とは何ぞやという理念、哲学、こういったものを徹底させるような仕組みを検討できないでしょうか。教育長、お答えください。

◯杉光教育長 県立高校の理念ということについて、福岡県というものがやはり基盤にあるわけですから、各学校は福岡県の特色を生かして、それぞれの地域での県立高校の目指すべき生徒、そういうものをもとに校訓をつくっております。ただ、委員が先ほど言われましたように、校訓のもととなる県立学校の校是といいますか、言われてみれば、そういう明確なものは何なのかと問われたときに、やはり我々が考えるのは、あくまでも教育四法なり学校教育基本法なり、その中で高等学校の教育目標として掲げられているものの総称にしかすぎないんじゃないかというようなこともありまして、やはり福岡県としての県立学校校是みたいなものを、いま一度立ちどまって考える、それを例えば教育施策の中にうたい込んで、それを各学校のほうに教職員を含めて周知していただくという方策も必要ではなかろうかと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、これは県の税金を使ってやっていることなので、こういうことを前向きにしっかりやっていただきたいと思います。お願いします。
 先ほど申していただきましたとおり、県立高校が地域の各コミュニティーの活力源となるために、やはり地域に溶け込むような施策も必要なんじゃないかと。県立高校はここ何年か、百周年を迎える高校が非常に多うございます。私の出身高校も来年百周年を迎えますし、近隣の高校でも百周年を迎えた高校、これから迎える高校がたくさんございます。そういったときに、やはり地域に溶け込むためのハード的な整備、魅力づけをするような手だてをぜひ考えていただきたい。例えば今でも、学校の発展につながるように地域の方にグラウンドを貸したり、あるいはうちの高校なんかは、花火大会のときには観客席にグラウンドを開放したりとか、いろいろなことをやっております。
 そういったコミュニティーを形成する中で、例えばクラブハウスのようなものをつくるとか、施設を利用しやすくなるような設備を、これは県からの押しつけというわけではなく、学校それぞれの事情というのがあると思います。その事情の中でも非常に大きな役割として、県立高校が地域のために根づいていくんだということがあれば、ぜひこういった地域のコミュニティーセンターとしてのハード機能を持たせるような方策を検討していただければと思いますけれども、所見を伺えますか。

◯辰田教育庁施設課長 学校の改築や大規模改造等の工事を行うに当たりましては、各学校の教育活動や特色、そういう生徒の実態等を考慮しつつ進めていく必要があろうかと思います。その際、各学校の教育活動が快適かつ効率的に行われるよう、最大限に配慮すべきものと考えております。
 なお、委員御指摘のとおり、現在においても各学校の判断によりまして、教育活動に支障の生じない範囲で地域への開放を行うなど、施設の有効活用が図られているところであります。

◯板橋 聡委員 その中で、ぜひこういった部分も検討して、前向きにやっていただきたいと思っておりますけれども、教育長、コメントいただけますでしょうか。

◯杉光教育長 県立高校もそうなんですけど、学校施設の最大の目的というのは、生徒たちの安全・安心、あと教育活動が最大限発揮できることで、そのために学校施設の整備をやるというのが第一の目的でございます。しかしながら、教育活動をする中において、やはり地域との連携といいますか、地域と一緒になっていろいろな活動をやっていくというのも教育活動の一環でございますので、そういう形での施設整備というのも今後は出てくるかと思います。まずは耐震化に向けて安全・安心を確立した後にそういった検討もしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 プライオリティーは十分私も理解しております。ただ、古くからある藩校と呼ばれる学校は、非常に地域の信頼も厚い。地域の方もその学校を愛していらっしゃる。県立高校も百年たっております。百年もたてば同じような信頼を得て、地域の方から愛され、一緒に育っていくようなものをぜひ目指していただければということで、そういった施設をつくったりして、地域の方が使いやすくすることは、税金の使い方として目的にかなっておると私は思いますので、ぜひ今後、優先順位を考えながら、前向きに進めていただければと。
 そして最後ですけれども、先ほど申し上げましたとおり、これから少子化が進んでいくと、私立学校も含めてもともと学校数が少ない地域において県立高校というのが存続するには非常に大変な努力をしないと、魅力を持ってやっていかないと大変だと。万々が一、県立高校がその地域からなくなって、田舎のほうにだんだんそういった教育施設がなくなると、これは先ほどの県立高校の役割、県立高校とは何ぞやという大前提、理念、これに立って考えれば、その地域の知の砂漠化が起こってくるということだと私は考えております。そういった意味では、県としての活力を維持するためにも、そういった都会である、地方であることと関係なく、知の砂漠地帯をつくってはいけないと考えております。この思いを教育長、共有していただけますでしょうか。

◯杉光教育長 県立学校はそれぞれ長い歴史を持った学校であります。地元の県立高校を卒業した方々がその地域のリーダーとして活躍されています。そういう意味においても、地域人材を県立学校から今後とも生み出していくという意味においても、県立学校の存続のための個々の学校の活性化は、ぜひ県の教育委員会としても全面的に支援をしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ありがとうございます。しっかり共有させていただいたと思っておりますので、地域と育つ県立高校、そしてその生徒、ハード、そしてソフト、この両方をしっかり充実してぜひ頑張っていただきたいと思いますので、最後にその意気込みをもう一度聞かせていただけますか。

◯杉光教育長 学校教育、公教育と言われる中にも、私立学校もあります。公立学校もあります。私立学校はそれぞれの学校の建学の精神に基づいていろいろ特色化等に励んでおられますけど、やっぱり県立学校は公がつくる学校として、公の人間を育てていくということが課せられた使命じゃないかと思いますので、今後とも県立学校の活性化につきましては精いっぱい頑張っていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ありがとうございました。ぜひ頑張ってください。
 これできょうの私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

平成23年度予算特別委員会質問「有明海高潮対策について」

◯板橋 聡委員 おはようございます。自由民主党県議団の板橋でございます。本日もさわやかに質問させていただきたいと思います。
 有明の高潮対策事業に関して質問させていただきたいと思います。
 昨日、我が会派の後藤議員が、海抜ゼロメートル地帯の道路整備ということで、社会資本整備と防災に絡めて質問されておりました。私も似たような関連の質問でございます。
 三月十一日に東日本大震災が起こりました。そのときの津波の映像、そして、真っ赤に縁取られた大津波警報が全国に引かれました日本地図がテレビの右下には流れておりまして、私自身は有明海にほど近いみやま市というところに住んでおります。その地域は余り災害もなくて、のどかなところではあるんですけれども、きのう後藤議員が要求された資料の中でも、海抜三メートル以下のエリア、この資料でもおわかりになられるとおり、この青い部分というのはほとんど半分ぐらいが有明海の沿岸のほうに集中しておりまして、この青いところから毎日、福岡市内まで通っておるわけでございます。
 そういった意味で、津波ということを考えたときに、有明海というのは一体どんなことが起こるんだろうということを改めて考えさせられ、また有権者の方々も、有明海はどうなんだろうかと非常に今不安に思っていらっしゃるということがこれからの質問の前段にあるということをどうぞお踏まえの上、お答えいただければと思います。
 そこで、まず質問させていただきます。有明海におきまして、今、高潮対策事業というのが行われております。こちらに関して教えていただければと思いますが、その前に委員長、有明海の県内の高潮対策事業に関する説明資料を要求させていただければと思いますので、お取り計らいをお願いいたします。

◯今林 久委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯今林 久委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。池永河川課長。

◯池永河川課長 直ちに提出できます。

◯今林 久委員長 正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯今林 久委員長 委員席に配付を願います。
    〔資料配付〕

◯今林 久委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、この資料に基づきまして、有明海におきます県内の高潮対策事業、どういったことが行われているか御説明お願いいたします。

◯池永河川課長 資料について御説明申し上げます。
 まず、有明海沿岸における高潮対策事業でございますけど、この沿岸におきましては、県と国等の管理者で対策事業を行っております。具体的には、この資料のほうをごらんいただきまして、資料の右端のほうに凡例を書かせていただいております。赤いラインが福岡県の河川事業、黄色が福岡県の海岸事業、あと緑が国土交通省の河川事業、ダイダイ色が農水省の海岸事業で、高潮対策事業をやっております。
 具体的に、まず福岡県の河川事業でございますけど、図面の左端のほうになりますが、沖端川、それからそのすぐ右の塩塚川という河川で高潮対策事業を実施しております。それから福岡県の海岸事業でございますけど、今申し上げました沖端川と塩塚川のすぐ海岸端と申しますか、そこの柳川海岸、そのすぐ右横の大和海岸、一つ川を越えたところの高田海岸というところでやっております。それから、国土交通省におかれましては、一番左側の筑後川と書いています、ここに緑のラインがございますが、そこと、あと真ん中ぐらいに矢部川というところがございます。そちらで高潮対策事業をやっております。それからあと、農林水産省の所管事業でございますけど、左のほうから筑後川の河口付近で、昭代工区と書いてございますが、昭代干拓海岸、それから一つ川を飛んで大和干拓海岸、それからその対岸の三池干拓海岸というところで事業を実施しております。事業の中身につきましてはそれぞれ同様の中身でございまして、堤防の高さをかさ上げしたり補強する内容となっております。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、堤防の高さをかさ上げすることで、基本的には高潮対策ではございますけれども、これは津波等々に関しましても何らかの防災効果が見込めるという理解でよろしいでしょうか。

◯今林 久委員長 田沼港湾課長。

◯田沼港湾課長 現行のアセスメント調査では、有明海沿岸におきましては、波高、波の高さでございますが、一・五九メーターの津波を想定しております。その高さは、現在実施しています高潮対策事業の計画天端高七・五メーターよりかなり低い想定となっているところでございます。

◯板橋 聡委員 有明海におきましては、過去の大きな津波というのは、一七九二年に普賢岳が噴火した際、眉山という山が崩壊して、その崩壊した土砂のせいで熊本のほうに高さ約十メートルの津波が起きて、一万人の方が亡くなったという記録がございます。そういう中で、それ以外に有明海のほうで過去大きな津波というのは記録としてございますでしょうか。

◯今林 久委員長 山野総務部長。

◯山野総務部長 津波の想定ということですので、私のほうから答えさせていただきます。御指摘のとおり、眉山崩落で十メートルというのが熊本で観測されたことがありますが、一九六〇年のチリ沖地震のときに阿久根市で、先ほど港湾課長からありましたように一・五九メートルが来ておるわけでございます。それ以外につきましては、近年で大きなというのは、ちょっと私ども把握しておりません。東北地方沖地震のときも阿久根市で五十センチ程度ということでございまして、その程度の津波だと考えています。

◯板橋 聡委員 記録としては余り残っていないということですけれども、実は私の祖母の実家が、柳川の両開というところにございます。これは旧柳川村の六十丁、今でいう大浜町というところでございますけれども、ここが昔、明治のころに払い下げられた堤防をもとに高台をつくって、高台の上に家を建てているそうなんですね。ですから民間伝承レベルでは、有明海の沿岸というのは津波警戒地域であると言ってもよろしいのではないかと考えております。
 そういった中で、一・五九メートルが津波としての想定だということで、私自身、これは単純に質問なんですけれども、有明海は、地震が起こったときの津波という意味では内海でございます。津波というのは、波が波形をつくることによってできてくるわけなんですけれども、こういった内海における津波というのは、物すごい高さの津波になってしまうんじゃないかだとか、いろいろな見解があると思いますけれども、そういったことに関して、今、県としての情報はお持ちでしょうか。見解はお持ちでしょうか。

◯山野総務部長 今回の東北の大地震におきましても、リアス式海岸ということで、相当波が内海に入った後、高くなっているという現象が生じていることは承知しております。ただ、有明海でどのような波の流れになるのか、震源がどの辺にあってどのような動きになるのかということについて、詳細を私どもでは把握してございません。

◯板橋 聡委員 詳細は把握されておらないということなんですけれども、今後その詳細というのを把握される予定はあるんでしょうか。

◯山野総務部長 実を言いますと、平成十八年に西方沖地震のときにアセスメント調査をやりました。その際には、ちょっと読ませていただきますと、「有明海一帯における津波の危険区域は、堤防施設が十分に高く、津波が入りにくいこともあって、災害予測結果からは危険区域は生じないとされる」ということが、そのときのアセスメント調査の結果でございました。
 これにつきましては、本議会、予算委員会でも御質問がありましてお答えいたしましたが、実際どのような想定で津波が起きるのかということについて、改めてアセスメント調査をやる必要があるだろうと思っております。その際にさまざまな想定が出てくると思いますので、その知見を得ていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 そういった意味では、ぜひお願いをしたいんですけれども、最悪のシナリオと、まあ想定内・想定外というのに関してきのうも議論がございましたけれども、いろいろなシナリオが考えられると思うんですね。その中で、例えば最悪のシナリオという意味では、有明海は非常に潮の干満の差があると。高潮もあると。地震の津波がそこに起こって、さらにそこに普賢岳が噴火して山体が崩壊したらとか、そういうことを考えたら、一体何メートルの津波が起きるのかなんていうところは、なかなか想定しづらい部分もあるのかなとは思いますけれども、単に地震だけではなく、そういった過去の事例も含めてしっかりと、防災計画の見直しの際には考えをめぐらせていただきたいと思っております。
 というのは、こういったことをどこまで公共事業でカバーできるのかという難しい判断があると思いますが、ちょっと私の思いではあるんですけれども、去年、実は母が心臓のバイパス手術を受けましてね、生死の境をさまよったと。その際、執刀医の先生に質問を、「一体この手術の成功率はどのぐらいですか」と聞いたら、その先生は「言いたくない」と。なぜかと。それは九九%成功するとしても、残りの一%にその人が当たってしまえば、その人の一生はそれまでなんだと、だから、そういったことは私は言いたくないんですと。それを聞いたときに、母含め私の家族も、ぜひここで手術を受けようと、これでだめだったらしようがないじゃないかとあきらめがつくという決心を家族でしたという記憶がございます。
 そういった意味では、県民の命を預かるという立場に皆さんいらっしゃるわけで、千年に一度、一万年に一度の災害であっても、そのときに起こったらそれがすべてになってしまうということはしっかりと胸に刻んでいただきたいと。そういう意味で、防災計画の見直しをどのようにやられるか、その覚悟を山野部長、お願いいたします。

◯山野総務部長 想定内、想定外のいろいろな災害、被害に対してどういうふうに対応していくかと。これは実は本県でも非常に悩みでもございますし、国家的にこのような災害が起きた中でどういう対応をしていくのが一番いいのかというのが、国レベルでも議論されております。
 中央防災会議の中間報告が六月末に出ておりますけれども、この中では、ハード・ソフト両方を組み合わせて総合的な対策を打っていこうという中間報告が出ております。本県の防災計画の見直しに当たっても、そういったことを踏まえて、ソフト・ハード、これはどちらが欠けてもいかんと思っておりますので、どのように総合的に組み合わせながら効果的な防災対策がとれるのか、これを防災計画の見直しの中でしっかりと検討していきたいと思います。

◯板橋 聡委員 また、その防災計画の見直しを受けまして、技術的なところで実際の防災の対策を打たれる、これが県土整備部の役割になってくると思います。今既に高潮対策で大きな県費が有明にはつぎ込まれているという現状もございますが、今まであった高潮対策を生かしながら、津波対策も含めた予算をしっかり組んでいただいて、私どもが安心して、ここまで県がやってるんだったら安心して住めると、これで何かあったときはしようがないねと思えるぐらいの対策をしっかりと立てていただきたいと住民一同思っている次第ではございますが、増田部長、ぜひ今後の有明海沿岸の高潮を含めた災害対策、ここを防災計画の見直しを受けて、どのような覚悟で挑まれるかというところをお示しいただけますでしょうか。

◯今林 久委員長 増田県土整備部長。

◯増田県土整備部長 津波・高潮対策でございますけれども、先ほど総務部長からも答弁ございましたように、まず施設整備をする側としてはどのように想定をするのかというのは非常に大事なことでございます。その上で、ハードでどこまで対応する、それからソフトをどう組み合わせるということをしっかりと内部で議論して、ハードで対応する部分についてはしっかりとした対策を立てたいと思いますし、御指摘のありました高潮対策の事業で既に施設がある程度できていますので、そういうものの活用については、当然その中の選択肢として検討すべき課題だと思っております。

◯板橋 聡委員 この地域は非常に海抜も低く、あの映像を見た住民たちは非常に不安に思っておりますので、今後の高潮対策を含め、津波対策という部分も加味して、しっかりと予算を立てて、県民の安全・安心を守るよう努力していただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。(拍手)