◯板橋 聡委員 おはようございます。自由民主党県議団の板橋でございます。本日もさわやかに質問させていただきたいと思います。
有明の高潮対策事業に関して質問させていただきたいと思います。
昨日、我が会派の後藤議員が、海抜ゼロメートル地帯の道路整備ということで、社会資本整備と防災に絡めて質問されておりました。私も似たような関連の質問でございます。
三月十一日に東日本大震災が起こりました。そのときの津波の映像、そして、真っ赤に縁取られた大津波警報が全国に引かれました日本地図がテレビの右下には流れておりまして、私自身は有明海にほど近いみやま市というところに住んでおります。その地域は余り災害もなくて、のどかなところではあるんですけれども、きのう後藤議員が要求された資料の中でも、海抜三メートル以下のエリア、この資料でもおわかりになられるとおり、この青い部分というのはほとんど半分ぐらいが有明海の沿岸のほうに集中しておりまして、この青いところから毎日、福岡市内まで通っておるわけでございます。
そういった意味で、津波ということを考えたときに、有明海というのは一体どんなことが起こるんだろうということを改めて考えさせられ、また有権者の方々も、有明海はどうなんだろうかと非常に今不安に思っていらっしゃるということがこれからの質問の前段にあるということをどうぞお踏まえの上、お答えいただければと思います。
そこで、まず質問させていただきます。有明海におきまして、今、高潮対策事業というのが行われております。こちらに関して教えていただければと思いますが、その前に委員長、有明海の県内の高潮対策事業に関する説明資料を要求させていただければと思いますので、お取り計らいをお願いいたします。
◯今林 久委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯今林 久委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。池永河川課長。
◯池永河川課長 直ちに提出できます。
◯今林 久委員長 正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
◯今林 久委員長 委員席に配付を願います。
〔資料配付〕
◯今林 久委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 では、この資料に基づきまして、有明海におきます県内の高潮対策事業、どういったことが行われているか御説明お願いいたします。
◯池永河川課長 資料について御説明申し上げます。
まず、有明海沿岸における高潮対策事業でございますけど、この沿岸におきましては、県と国等の管理者で対策事業を行っております。具体的には、この資料のほうをごらんいただきまして、資料の右端のほうに凡例を書かせていただいております。赤いラインが福岡県の河川事業、黄色が福岡県の海岸事業、あと緑が国土交通省の河川事業、ダイダイ色が農水省の海岸事業で、高潮対策事業をやっております。
具体的に、まず福岡県の河川事業でございますけど、図面の左端のほうになりますが、沖端川、それからそのすぐ右の塩塚川という河川で高潮対策事業を実施しております。それから福岡県の海岸事業でございますけど、今申し上げました沖端川と塩塚川のすぐ海岸端と申しますか、そこの柳川海岸、そのすぐ右横の大和海岸、一つ川を越えたところの高田海岸というところでやっております。それから、国土交通省におかれましては、一番左側の筑後川と書いています、ここに緑のラインがございますが、そこと、あと真ん中ぐらいに矢部川というところがございます。そちらで高潮対策事業をやっております。それからあと、農林水産省の所管事業でございますけど、左のほうから筑後川の河口付近で、昭代工区と書いてございますが、昭代干拓海岸、それから一つ川を飛んで大和干拓海岸、それからその対岸の三池干拓海岸というところで事業を実施しております。事業の中身につきましてはそれぞれ同様の中身でございまして、堤防の高さをかさ上げしたり補強する内容となっております。
◯板橋 聡委員 そういう意味では、堤防の高さをかさ上げすることで、基本的には高潮対策ではございますけれども、これは津波等々に関しましても何らかの防災効果が見込めるという理解でよろしいでしょうか。
◯今林 久委員長 田沼港湾課長。
◯田沼港湾課長 現行のアセスメント調査では、有明海沿岸におきましては、波高、波の高さでございますが、一・五九メーターの津波を想定しております。その高さは、現在実施しています高潮対策事業の計画天端高七・五メーターよりかなり低い想定となっているところでございます。
◯板橋 聡委員 有明海におきましては、過去の大きな津波というのは、一七九二年に普賢岳が噴火した際、眉山という山が崩壊して、その崩壊した土砂のせいで熊本のほうに高さ約十メートルの津波が起きて、一万人の方が亡くなったという記録がございます。そういう中で、それ以外に有明海のほうで過去大きな津波というのは記録としてございますでしょうか。
◯今林 久委員長 山野総務部長。
◯山野総務部長 津波の想定ということですので、私のほうから答えさせていただきます。御指摘のとおり、眉山崩落で十メートルというのが熊本で観測されたことがありますが、一九六〇年のチリ沖地震のときに阿久根市で、先ほど港湾課長からありましたように一・五九メートルが来ておるわけでございます。それ以外につきましては、近年で大きなというのは、ちょっと私ども把握しておりません。東北地方沖地震のときも阿久根市で五十センチ程度ということでございまして、その程度の津波だと考えています。
◯板橋 聡委員 記録としては余り残っていないということですけれども、実は私の祖母の実家が、柳川の両開というところにございます。これは旧柳川村の六十丁、今でいう大浜町というところでございますけれども、ここが昔、明治のころに払い下げられた堤防をもとに高台をつくって、高台の上に家を建てているそうなんですね。ですから民間伝承レベルでは、有明海の沿岸というのは津波警戒地域であると言ってもよろしいのではないかと考えております。
そういった中で、一・五九メートルが津波としての想定だということで、私自身、これは単純に質問なんですけれども、有明海は、地震が起こったときの津波という意味では内海でございます。津波というのは、波が波形をつくることによってできてくるわけなんですけれども、こういった内海における津波というのは、物すごい高さの津波になってしまうんじゃないかだとか、いろいろな見解があると思いますけれども、そういったことに関して、今、県としての情報はお持ちでしょうか。見解はお持ちでしょうか。
◯山野総務部長 今回の東北の大地震におきましても、リアス式海岸ということで、相当波が内海に入った後、高くなっているという現象が生じていることは承知しております。ただ、有明海でどのような波の流れになるのか、震源がどの辺にあってどのような動きになるのかということについて、詳細を私どもでは把握してございません。
◯板橋 聡委員 詳細は把握されておらないということなんですけれども、今後その詳細というのを把握される予定はあるんでしょうか。
◯山野総務部長 実を言いますと、平成十八年に西方沖地震のときにアセスメント調査をやりました。その際には、ちょっと読ませていただきますと、「有明海一帯における津波の危険区域は、堤防施設が十分に高く、津波が入りにくいこともあって、災害予測結果からは危険区域は生じないとされる」ということが、そのときのアセスメント調査の結果でございました。
これにつきましては、本議会、予算委員会でも御質問がありましてお答えいたしましたが、実際どのような想定で津波が起きるのかということについて、改めてアセスメント調査をやる必要があるだろうと思っております。その際にさまざまな想定が出てくると思いますので、その知見を得ていきたいと思っております。
◯板橋 聡委員 そういった意味では、ぜひお願いをしたいんですけれども、最悪のシナリオと、まあ想定内・想定外というのに関してきのうも議論がございましたけれども、いろいろなシナリオが考えられると思うんですね。その中で、例えば最悪のシナリオという意味では、有明海は非常に潮の干満の差があると。高潮もあると。地震の津波がそこに起こって、さらにそこに普賢岳が噴火して山体が崩壊したらとか、そういうことを考えたら、一体何メートルの津波が起きるのかなんていうところは、なかなか想定しづらい部分もあるのかなとは思いますけれども、単に地震だけではなく、そういった過去の事例も含めてしっかりと、防災計画の見直しの際には考えをめぐらせていただきたいと思っております。
というのは、こういったことをどこまで公共事業でカバーできるのかという難しい判断があると思いますが、ちょっと私の思いではあるんですけれども、去年、実は母が心臓のバイパス手術を受けましてね、生死の境をさまよったと。その際、執刀医の先生に質問を、「一体この手術の成功率はどのぐらいですか」と聞いたら、その先生は「言いたくない」と。なぜかと。それは九九%成功するとしても、残りの一%にその人が当たってしまえば、その人の一生はそれまでなんだと、だから、そういったことは私は言いたくないんですと。それを聞いたときに、母含め私の家族も、ぜひここで手術を受けようと、これでだめだったらしようがないじゃないかとあきらめがつくという決心を家族でしたという記憶がございます。
そういった意味では、県民の命を預かるという立場に皆さんいらっしゃるわけで、千年に一度、一万年に一度の災害であっても、そのときに起こったらそれがすべてになってしまうということはしっかりと胸に刻んでいただきたいと。そういう意味で、防災計画の見直しをどのようにやられるか、その覚悟を山野部長、お願いいたします。
◯山野総務部長 想定内、想定外のいろいろな災害、被害に対してどういうふうに対応していくかと。これは実は本県でも非常に悩みでもございますし、国家的にこのような災害が起きた中でどういう対応をしていくのが一番いいのかというのが、国レベルでも議論されております。
中央防災会議の中間報告が六月末に出ておりますけれども、この中では、ハード・ソフト両方を組み合わせて総合的な対策を打っていこうという中間報告が出ております。本県の防災計画の見直しに当たっても、そういったことを踏まえて、ソフト・ハード、これはどちらが欠けてもいかんと思っておりますので、どのように総合的に組み合わせながら効果的な防災対策がとれるのか、これを防災計画の見直しの中でしっかりと検討していきたいと思います。
◯板橋 聡委員 また、その防災計画の見直しを受けまして、技術的なところで実際の防災の対策を打たれる、これが県土整備部の役割になってくると思います。今既に高潮対策で大きな県費が有明にはつぎ込まれているという現状もございますが、今まであった高潮対策を生かしながら、津波対策も含めた予算をしっかり組んでいただいて、私どもが安心して、ここまで県がやってるんだったら安心して住めると、これで何かあったときはしようがないねと思えるぐらいの対策をしっかりと立てていただきたいと住民一同思っている次第ではございますが、増田部長、ぜひ今後の有明海沿岸の高潮を含めた災害対策、ここを防災計画の見直しを受けて、どのような覚悟で挑まれるかというところをお示しいただけますでしょうか。
◯今林 久委員長 増田県土整備部長。
◯増田県土整備部長 津波・高潮対策でございますけれども、先ほど総務部長からも答弁ございましたように、まず施設整備をする側としてはどのように想定をするのかというのは非常に大事なことでございます。その上で、ハードでどこまで対応する、それからソフトをどう組み合わせるということをしっかりと内部で議論して、ハードで対応する部分についてはしっかりとした対策を立てたいと思いますし、御指摘のありました高潮対策の事業で既に施設がある程度できていますので、そういうものの活用については、当然その中の選択肢として検討すべき課題だと思っております。
◯板橋 聡委員 この地域は非常に海抜も低く、あの映像を見た住民たちは非常に不安に思っておりますので、今後の高潮対策を含め、津波対策という部分も加味して、しっかりと予算を立てて、県民の安全・安心を守るよう努力していただきたいと思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。(拍手)