平成23年度予算特別委員会質問「地域自殺対策緊急強化事業費について」

◯板橋 聡委員 皆さん、こんにちは。第三款第二項五目の地域自殺対策緊急強化事業費に関して質問させていただきたいと思います。
 資料を要求させていただければと思います。国と県の過去の自殺者数推移及び七月四日開催の政府自殺対策タスクフォースの資料及びWHO「自殺予防 メディア関係者のための手引き」の抜粋、この三点を要求させていただきたいと思いますので、お取り計らいをお願いします。

◯新村雅彦副委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯新村雅彦副委員長 御異議ございませんので、委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げますが、ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。白石健康増進課長。

◯白石健康増進課長 直ちに提出できます。

◯新村雅彦副委員長 それでは、資料の確認を。
    〔資料確認〕

◯新村雅彦副委員長 それでは、事務局、資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯新村雅彦副委員長 それでは、資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 政権交代前、当時国会におきましては、与党は年間自殺者数が三万人前後で推移しているということで随分攻撃されていた記憶がございます。一番最初の自殺者数の推移の資料をごらんになられましても、平成二十二年も三万人前後で推移しており、今年度も非常に高い数で自殺者数が推移していると。なかなか特効薬が見えない大変な分野だと思います。これはぜひ国会においては与野党の枠を超えて対策に頑張っていただくべき事業だと思います。また県においても、議会各会派と執行部が一体となって自殺対策に取り組むべきと思い、質問させていただきます。
 まず、自殺対策ということで、何かこれはと、これがあれば完璧だという特効薬は存在してますでしょうか。

◯白石健康増進課長 自殺につきましては、多様かつ複合的な原因及び背景を有しておりまして、その対策につきましても総合的に対応したほうがいいと言われておりますので、これがといったものについてはちょっと思い浮かびません。

◯板橋 聡委員 そういった試行錯誤の中、一生懸命頑張ってらっしゃると思います。県としては、予算の問題はあれど積極的にあらゆる有効な対策を研究し、そしてその対策を打ち、自殺対策を進めるというこの覚悟はございますでしょうか。部長のほうからお答えください。

◯新村雅彦副委員長 山下保健医療介護部長。

◯山下保健医療介護部長 自殺対策につきましては、私どももまず基本法、それから県独自に協議会をつくって意見もいただきながら対策を講じておりますけれども、今課長が言いましたように、幅広く総合的な対策を実施しているところでございます。

◯板橋 聡委員 ちょっと質問の趣旨があれなんですが、幅広く有効な対策を研究し、これからもどんどんやっていくという覚悟をお持ちかどうか教えてください。

◯山下保健医療介護部長 そのような気持ちで頑張りたいと思っております。

◯板橋 聡委員 自殺対策費というのは、これは県の単独の事業でしょうか。国、市町村との連携はございますでしょうか。

◯白石健康増進課長 自殺対策費につきましては基金がございまして、その基金を活用して県が執行しているところでございます。その中で、市町村に対しましては、地域の特性に応じてさまざまな取り組みをしていただきたいということで、市町村に対しても取り組みのための費用を助成しているところでございます。

◯板橋 聡委員 この事業概要の中で一番から八番までいろいろ対策がありまして、これがそれぞれ予算が配分されておりますけれども、この軽重といいますか、どういった内容でこの予算配分が決められたのか教えてください。

◯白石健康増進課長 福岡県といたしましては、平成二十年三月に福岡県自殺対策連絡協議会のもとで報告書を作成いたしまして、その報告書に基づきまして、冒頭申し上げましたように、総合的な取り組みとしてさまざまな事業を行っているというところでございます。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、福岡県自殺対策推進協議会というのがこういった施策を進めるに当たって重要な役割を果たしているということでよろしいでしょうか。

◯白石健康増進課長 はい、そのとおりでございます。

◯板橋 聡委員 自殺対策強化基金というのは、平成二十一年から二十三年の三年間ということで国から百億ついて、その中で運用されていると認識しておりますけれども、ことしが平成二十三年でございますので、今後はどういった形になるか教えていただけますか。

◯白石健康増進課長 今後についてはまだ検討はしておりませんけれども、適正に執行して来年度へつなげていきたい。特に、基金がなくなっても継続してやっていけるような事業に取り組んでいきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 非常にその意気込みはすばらしいと思います。あと、市町村のほうとの連携をとられているということですけれども、きょう、百二十三の市町村の参加で自殺のない社会づくり市町村会というのがつくられるのは御存じでしょうか。

◯白石健康増進課長 私は承知しておりません。

◯板橋 聡委員 では、県として、他県だとか国、福岡県の自治体ではなく他の自治体との連携というのはいかがでしょうか。

◯白石健康増進課長 福岡県が福岡県以外の自治体と連携をとっているかということでございますが、特に県としてとって事業を進めているというものはございません。

◯板橋 聡委員 ちなみに、御存じかどうかわからないんですけれども、自殺対策の先進県、いわゆる国内でも非常におもしろい対策、おもしろいと言ったら失礼なんですけれども、ユニークな対策をとってそれなりに効果を上げているとか力を入れている、こういった県はどちらでございましょう。

◯白石健康増進課長 特に東北のほうにそういう県が多いと聞いております。

◯板橋 聡委員 知事がよく言われてますアンテナを高く張って情報を収集してと、そういう意味では、その東北のいろいろな県と連携をしたり、効果的な実際の対策を福岡県に導入したり、そういったことは今やられてますでしょうか。やられてないんでしたら、今後やるおつもりはありますでしょうか。

◯白石健康増進課長 今のところやっておりませんが、今後は他県、東北も含めてですけれども、先進県につきましてうちの事業に参考になるようなものがございましたら研究してまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 それはどういった形で研究されるか。というのは、やはりこれはコストという意味では、これから基金がなくなってその先の計画がないという意味では非常に大事なことだと思いますけれども、情報をしっかり収集してコストを有効に使っていくということでは、やり方も含めてもうちょっと具体的に教えていただければと思います。

◯白石健康増進課長 先ほど申し上げましたように、基金がなくなっても続けられるようにということでございますので、そういった観点で先進的にそういう取り組みをしているようなところ、そしてまたその効果が見える、見えつつあるようなところに研究をしてみたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひ福岡県としても、そういったところをイニシアチブをとって、対策先進県と連携をとっていただきたいと思いますが、部長の覚悟はいかがでしょう。

◯山下保健医療介護部長 端的に言いますと、よその県、あるいはよその市町村でそういう先進的で有効な対策をとられておって、結果として非常に効果が上がっているということであれば、それはぜひやっていきたいという気持ちはございます。

◯板橋 聡委員 ぜひお願いします。
 次に話題というか次のテーマに行きたいんですけれども、一つ資料でお配りさせておりますWHOが出しております「自殺予防 メディア関係者のための手引き(二〇〇八年改訂版日本語版)」ということで、自殺報道に関してのガイドラインを世界保健機構のほうが出しているということでございます。これ、実は二〇〇八年版ということでフルのものがございまして、こちらはもちろんよくごらんになっていらっしゃいますよね。

◯白石健康増進課長 私が持って確認しているのは、「自殺予防 メディア関係者のための手引き」の日本語版について読んでおります。

◯板橋 聡委員 しっかり参考にしていただければと思うんですけれども、このガイドラインの中で、メディアが大変自殺対策という観点での重要な役割を果たすことについて書いてございます。ちょっと読み上げさせていただきますと、六ページ目の「初めに」というところで、「自殺とその予防に関与する因子は複雑で、まだ十分には解明されていない。しかし、メディアがそこに重要な役割を果たすということについて根拠が記されている」。つまり、いろいろな研究によって、メディアの関与というのが、自殺数等に関して実際有意に関係しているということが研究で述べられているわけです。それをもとに、七月四日に政府の自殺対策タスクフォースというのが開催されておりますけれども、その内容に関しては御承知でしょうか。

◯白石健康増進課長 承知しております。

◯板橋 聡委員 折れ線グラフの資料が二つ、皆様のお手元にあると思います。一枚目、赤がことしで、点線が昨年、その前と二年間のもの。これで、五月の自殺者数が優位にふえていると。前年比で大体二〇%ぐらいふえております。
 二ページ目は、これを日ごとの折れ線グラフにしているということでございます。五月を見ていただきますと、この青線が二〇一一年、ことしなんですけれども、いきなり山ができてふえていると。これは何のときかというと、五月の十二日に女性の有名なタレントさんが自殺されたんですね。そのとき以降、かなり人数がふえて、今まで大体平均一日八十人ぐらいの自殺者数だったものが、この五月十二日以降は大体百二十人ぐらいの状態がしばらく続いて、一・五倍にふえたということでございます。そういったことを内閣府の自殺対策タスクフォースの中で述べられていたということでございます。
 福岡のほうでも二〇〇六年に筑前町のほうでしたか、残念な事件が起こりまして、その後、後追いのいろいろな中高生の悲しい自殺が続いたと思いますけれども、一月で何件ぐらいあったか御記憶ございますか。

◯白石健康増進課長 ちょっと記憶にはございません。

◯板橋 聡委員 これは大体十件。その後、二十三日、十一月九日、十一月十日、十一月十二日、十一月十三日、十一月十四日と、一日の中で複数起こっている日にちもございましたけれども、そういって自殺が相次いだということでございます。やはりこうやってメディアで繰り返し報道が行われることで、硫化水素自殺だとか練炭自殺なんかもそうだと思います。非常に自殺の方法などを詳しく報道することによって自殺を誘発する可能性があるということで、このガイドラインがWHOのほうで出されているということでございます。これはぜひ参考にして、対策の一つとして考えていただければと思うんですけれども、その中で、先ほどお話ししました「メディア関係者のための手引き」の十二ページで、メディアのネガティブなところばかり言いましたけれども、非常にいい部分もあるわけですね。ちょっと読み上げさせていただきます。
 エッツァ・ドルファーと共同研究者により実施された研究では、ウィーンの地下鉄における自殺の報道に関して報道ガイドラインを導入し、センセーショナルな自殺報道を減らすことで、結果的に地下鉄における自殺率を七五%減少させたと。七五%も減少したと。そして、ウィーンすべての自殺を二〇%減少させたと。さらに重要なこととして、繰り返しこのガイドラインを国全体に周知することで、オーストリアの自殺率の推移に変化をもたらしたのであると。この好ましい影響は、メディアがしっかりと協力をした地域に顕著で、長い期間広範に維持されたということが書いてございますけれども、これは県は御承知されていますでしょうか。

◯白石健康増進課長 この文言を承知かということでございますか。承知しております。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、先ほど部長のほうからも覚悟をいただきましたけれども、やはりちゃんとした結果として、有意な結果で非常に自殺対策にいい効果が見られるものに関しては、ぜひ考えていきたいということでした。
 今、福岡県の自殺対策事業の予算配分等々の中で非常に大きな影響を及ぼしていらっしゃるのがこの福岡自殺対策推進協議会ということでございます。平成二十二年度の名簿をいただきまして、いろいろ見させていただきました。学識経験者、医療従事者、経済労働関係、あるいは民間団体、地域、県、こういったところから皆さんいらっしゃいますけれども、そのメディアという意味では、西日本新聞社が一社だけウエブ企画室の方が参加されていると。このWHOのこういったガイドラインも含めて考えてみましても、もうちょっと一生懸命こういったことに関して協議をするような場があってもいいんじゃないかと思いますけれどもいかがでしょう。

◯白石健康増進課長 私どもとしては、先ほど申し上げたように、この自殺対策推進協議会の報告書にもございますように、メディアの役割というのは誘発自殺を起こす原因にもなるということでこの報告書にも記載しております。そういったことで、この協議会の場でそういった議論をしていくように位置づけております。

◯板橋 聡委員 ただ、事業の中身というのは非常に多岐にわたっておりますし、今、原因自体がなかなかわかりづらいということで、協議会という形でメディアは一社だけということですと、どうしてもガイドラインをいろいろ各社で検討してみたらどうだとかいう呼びかけなんかはなかなかしづらいんじゃないかと思います。例えば、報道に関するガイドラインに関して、福岡として一生懸命やりましょうよという呼びかけを県のほうからして、福岡県の中ではテレビ局も含め、新聞社も含めいっぱいございます。そういったところを集めて新たにそういった協議会、報道のあり方の協議会、こういったものを立ち上げて、これは国のほうでも七月四日に動きがございますので、ぜひ福岡県からもそういった声を出しながら、全国的にそういうガイドラインをつくるというふうなことはいかがでしょう。これは私の御提案でございます。

◯白石健康増進課長 マスメディアによる報道のあり方につきましては、国が平成二十年四月に内閣府の記者クラブ、厚生労働省記者クラブに対しまして、先ほど委員から御紹介いただきましたWHOの自殺予防のメディア関係者のための手引きを配布しております。また、その場で自殺報道への配慮を要請しているということでございます。
 そういうことで、私どもは全国的な取り組みも必要であろうということで、国の動向も踏まえながら今後どう対応していくか考えていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 いや、これは今福岡県のお話をしていますので。先ほど、非常にそれは有効であるんじゃなかろうかと言われたWHOのガイドラインの中に、メディアがしっかりと協力をした地域に顕著に効果があらわれたと書いてあるんですよ、地域に。福岡県としてその地域になるおつもりがあるのかないのか、覚悟を最初に聞いたんですけれども、部長、どうでしょう。

◯山下保健医療介護部長 マスコミの話になりますと、テレビにしろ新聞にしろ基本的に全国的なネットワークのところが非常多うございまして、地方、県なりでやって、果たしてどんな効果が上がるのか、そこら辺がよくわからないという面が一つございます。
 もう一つは、今課長が言いましたように、委員から御紹介がありましたガイドライン、こういったものを既に国において配布して、そしてそういう取り組みの要請をしているという状況でございますので、私どもとしては、この件についてはどういう状況になるのか、国の取り組みなりをぜひ注視していきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 要するに、福岡県としては見てますということでしょうか。

◯山下保健医療介護部長 要するに、私どもとしては国が既にそういう取り組みをしてるということでございますので、国の取り組みの成果なり何なりがどうなっていくのか、そういったことについてよく情報収集なりをしながら対応していきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 これは幸福度日本一なんかと非常にかかわってくるんだと思うんですよね。自殺が多い県が幸福な県だと思われますか。

◯山下保健医療介護部長 もちろん自殺が多いところが幸福だということにはならないと思いますけどね。

◯板橋 聡委員 小川知事のほうから幸福度日本一という中で、自殺対策だとかそういった保健、医療、介護の中でも、特にその自殺というところに関しては、今まで一度も所信等々で何も述べられてないと思います。部長、幸福度日本一という政策の中で、小川知事は自殺対策の位置づけをどう考えていらっしゃるのかぜひ教えていただきたい。

◯山下保健医療介護部長 幸福度につきましては、今、企画振興部のほうを中心に委員会をつくって議論がなされている最中でございまして、まだそれと自殺との関係をどう考えていくのか、詳細については私としてはまだお答えする状況にございません。

◯板橋 聡委員 確かに部長にお伺いしてもなかなかわからないことだと思いますので、今の件に関しまして知事保留をお願いしたいと思いますけれども、お取り計らいをお願いします。

◯新村雅彦副委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることといたします。なお、知事保留質疑は七月十五日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 どうもありがとうございました。(拍手)