平成25年決算特別委員会質問「鳥獣害対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。本日最後の質問になりますので、よろしくおつき合いのほど、お願いいたします。
 まず、執行部に、鳥獣被害に関する被害額推移、捕獲数の推移、対策費の実施状況に関する資料を要求したいと思いますので、お取り計らいのほど、お願いいたします。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。今村畜産課長。

◯今村畜産課長 直ちに提出します。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、まず簡潔に資料の説明をお願いします。

◯今村畜産課長 資料を説明させていただきます。
 資料の一は、農林水産物の被害額の推移です。被害額は、平成二十二年度までは増加していましたが、その後、減少傾向に転じ、平成二十五年度は十二億四千万円余となり、前年度と比べ約一億九千万円の減となりました。
 二は、鳥獣捕獲数の推移です。鹿、猿で増加傾向にあります。二十五年度については、イノシシが約二万三千頭、鹿が六千五百頭捕獲されました。
 三は、有害鳥獣被害対策費の推移です。平成二十四年度から大幅に拡充されております。
 四は、平成二十五年度の鳥獣対策実施状況です。侵入防止柵の整備、捕獲機材の導入の支援などを行ってまいりました。

◯板橋 聡委員 この資料を見る限り、有害鳥獣被害対策予算は過去五年、大幅に増額され、その一方で被害額は減少傾向にあり、捕獲数はふえておると。
 私自身、平成二十三年六月議会、議員になって初めての一般質問がこの鳥獣被害対策でした。その当時の担当課長からしっかりした回答をいただきまして、こういった結果が出ておるということで、地元で胸を張って報告したところ、各地で、「それは県議、現実ばわかっとらっしゃれんばい。むしろ悪うなりよる」と言われてしまったわけでございます。
 それを踏まえて今回、質問をさせていただきます。
 まず、カラス等の鳥類の被害対策について、平成二十三年六月議会で質問したところ、当時はまだ有効な対策というのがなく、知事も他の取り組み事例を参考にして有効な方法を探求したいという回答でございました。
 そこで、三年が経過し、現在、県としてカラスなど鳥類の被害対策としてどう取り組んでいるのか、その情報をまたどういうふうに伝えているのか、お示しください。

◯今村畜産課長 防鳥ネットや爆音器による追い払い、銃による捕獲などを推進してきた結果、県全体としては鳥類の被害額は減少してきていますが、今なお被害が多数発生しております。
 このような中、うきは市は、県の支援により、カラスを効果的に捕獲できる大型の箱わなを設置しました。この情報を県内の市町村などに提供することにより、県内地区において同様の大型の箱わなを導入しました。また、国が、鳥類の被害防除に高い効果を有する釣り糸を空中に張り、外周部を防鳥ネットで囲む方法を開発しました。これらの情報を県は市町村に提供するとともに、ホームページに掲示しております。さらに、今年度はカラス被害防除の専門家による現地研修会を県内二地区で開催する予定です。

◯板橋 聡委員 鳥類関係の被害がふえておるという話も聞きますので、これは継続して、ぜひ拡充をしていただきたいと思います。
 続きまして、鳥獣捕獲のために狩猟者が地域において活動してもらう必要があると思います。ところが、狩猟者は非常に高齢化して、そして減少傾向にあると聞いております。鳥獣被害に対する最終防衛組織とも言える捕獲を行う担い手の確保をどのようにされているかということを教えてください。

◯今村畜産課長 県では、狩猟免許試験について、平成二十三年度までは狩猟期に入る前の夏場に二回開催していましたが、農林業者が受験しやすいように、平成二十四年度から農閑期の一月に、また、さらに今年度から九月を加え、現在、年四回にふやして実施しております。また、県のホームページやイベントなどで、狩猟の社会的役割や魅力について広く県民にアピールし、積極的に狩猟の啓発を行っているところでございます。
 また、銃猟免許取得にかかわる経費助成を平成二十五年度から行い、銃猟免許取得者の確保を図っております。この結果、銃猟者の年間合格者は平成二十三年度の二十九名から二十五年度の八十一名に増加しました。

◯板橋 聡委員 結果としては非常にふえておるようですけれども、恐らくこれは地域に偏りがあるのではないかと思います。みやま市、八女市などは非常に広大な面積の中、こういった地域ごとの変化、狩猟人数の変化というのにも今後ぜひ注意を払って、対策を打っていただきたいと思っております。
 続きまして、実際に被害に遭った住民が最初に相談するのは市町村の窓口となると思いますけれども、市町村における鳥獣被害対策の取り組み状況はどうなっていますでしょうか。

◯今村畜産課長 市町村は、現場における鳥獣の生息状況や農業被害の把握、地域での捕獲の支援などを担っております。具体的には、鳥獣被害が発生している市町村では、被害防止計画を策定し、猟友会やJAなど関係機関と連携しながら、侵入防止柵や箱わなの設置、捕獲などを実施していただいております。
 また、鳥獣の捕獲や集落における指導助言を行う鳥獣被害対策実施隊が各市町村に組織されています。この実施隊員は、法に基づき、市町村長が市町村職員や民間の方から任命し、鳥獣被害対策における重要な役割を担っていただいております。国も県も、市町村へのこの実施隊の設置を働きかけていますが、全国市町村の平均設置割合が約六割に対し、本県では被害防止計画を策定している市町村の九五%に当たる五十四市町村で設置するなど、積極的に実施隊を設置していただいております。

◯板橋 聡委員 そうなんですよ。すばらしくいいんですよ、福岡県は。ところが、我々が現場でいろいろな有権者の話を聞く、あるいは山合いに住んでいらっしゃる方のお話を聞くと、非常にそこら辺が困っている、なかなか市町村が対応してくれないという話を聞きます。現実問題として、市町村の鳥獣被害対策は、実際、市町村職員の人員配置が満足に行われていなかったり、担当になられた方の知識・経験が不足していたりして、被害を受けた住民に対する対応が不十分ではないかという感じが否めません。
 そういった中、やはり県の適切な関与や指導が必要と考えますけれども、現在、県としてはどのようにして市町村を支援しているのか、教えてください。

◯今村畜産課長 県は、市町村が行う被害防止計画の作成や防除処理設備の整備、また、捕獲従事者の育成を支援しているところでございます。特に県の出先機関であります農林事務所が、平成二十四年度から保健福祉環境事務所が所管していました鳥獣捕獲も加え、一元的に市町村の取り組みを支援しているところです。また、農林事務所ごとに鳥獣被害対策広域協議会を設置し、市町村を超えた広域的な連携も支援しているところです。

◯板橋 聡委員 三年前に質問して以降、県内、県庁のいろいろな部署に散らばっていた鳥獣被害対策の部署が一元化されて、今、畜産課のほうに集められたと。これはすばらしい改善だと思いますし、また、広域協議会というものをつくっていただいて、鳥獣被害に対する情報交換をされておるということではございます。ところが、まだなかなかその実感がいま一つ現場では湧いていないと。
 先ほど鳥獣被害対策広域協議会の話が出ましたけれども、これは私、県と市町村、地域をつなぐ重要な鳥獣被害に対する対策組織だと考えておりますけれども、これは一体どのような体制で、内容としてはどのような協議がされているか、教えてください。

◯今村畜産課長 鳥獣被害防止対策協議会には、農林事務所ごとの広域協議会と、おおむね市町村域の地域協議会がございます。まず、広域協議会では、市町村をまたがる捕獲計画の策定や市町村職員の技能向上を図るための侵入防止柵の設置方法などの現地研修会を開催しております。また、市町村の地域協議会には、市町村や地元JA、猟友会などがメンバーとなり、実際に被害防止に向けた侵入防止や捕獲計画の策定と実行の評価について協議していただいております。

◯板橋 聡委員 回答いただけばいただくほどだんだんわからなくなるんですけど、このように予算もばっちりついておる、体制もよく整備されておる、そして捕獲される鳥獣の数も伸びている。ところが、この中で、いろいろな中山間地をお持ちの議員の先生もいらっしゃると思いますけど、地元で声を聞くと、体感的に被害が減少しているというのは全く聞こえてこないんですね。むしろ被害が昔よりひどくなっているのではないかという悲鳴が聞こえてくるような状況なんです。
 これは、もし一人からというお話でしたら、何か極端な事例とか、何かトラブルがあっているのかなと考えられますけれども、実際私の地元でも複数人、複数の地域から同時にいろいろな声が聞こえてくるんですね。だから、これは国、県の体制があって、市町村の体制がある、この中でどこかで何かがちゃんと機能していないのではないか、何かがおかしいのではないかと推察しておるんですけれども、県としてこのような状況をどうやって解消するのか、どうやって克服するのか、お考えをお示しください。

◯今村畜産課長 今、委員御指摘のありました集落のレベルアップというようなことでございますが、国及び県の施策が十分に市町村や集落に届くよう、各レベルの協議会において情報提供を行うとともに、集落や地域によって取り組みが滞っているところに対しましては、重点的に指導してまいりたいと考えております。また、各種研修会を開催し、市町村職員や鳥獣被害対策実施隊の技術向上を図り、集落において的確に助言指導ができる人材の育成に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 最後に部長にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、国、県レベルでは予算、体制はしっかりと整えて、対応している。このような事業というのはなかなか少ないと思います。しかしながら、住民の皆様にその効果がよく感じられていないとするならば、それは非常にもったいない、残念なことだと思います。
 先ほど課長から、県から市町村への指導体制の強化や、集落ごとの事情に柔軟に対応できる指導者育成をするということに言及がございました。まさにこれは、事件は会議室で起こっているのではない、現場で起こっているのだという、僕の年齢がわかるようなことをちょっと言ってしまいますけれども、これが機能して、住民の皆さんが体感できるレベルで鳥獣被害を減らすために、部長、これから何を変えて、どういうふうにやっていくのか、ぜひ決意のほどをお聞かせください。

◯松尾統章委員長 小寺農林水産部長。

◯小寺農林水産部長 有害鳥獣駆除につきましては、市町村の方が実際の現場で今、一生懸命やっていただいているところでありまして、先ほどから市町村の支援、活動については課長のほうが説明しましたけど、中でも全国平均を上回る割合で鳥獣被害対策実施隊を設置しているということで、市町村のほうにおかれましては積極的な対策をとっていただいているところでございます。この流れが途切れないように、今後もしっかり市町村のほうには支援をしてまいりたいと思っております。
 ただ、今、委員から御指摘がありましたように、地域によっていろいろ異なった課題が、人員の問題とか知識、そういう問題があるということでございます。今回の御質問を踏まえまして、地域の課題、そういうニーズ、これをよく聞いて、さらにきめ細やかな対応ができないか、そういうものを今後もやっていきたいと思っております。
 有害鳥獣対策につきましては、いろいろな機関が一緒になってやっていくことが重要でございますので、今後とも市町村、猟友会、関係団体、そういうものと一緒になって総合的に鳥獣対策を進めていくことで被害の軽減に努めてまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 相手がけもの──動物の話でございますので、なかなか思うとおりにはいかないとは思いますけれども、私も井上委員と一緒に、四年後ぐらいにはまたこれをレビューさせていただきたいと思いますので、ぜひいい結果が出るように、今後とも引き続き努力をしていただきたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)