平成25年決算特別委員会総括質疑「少子化時代のスポーツ環境について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。三時近くなってまいりました。しっかり質問させていただきます。
 私の中学校のころは、中学校に上がると全員部活動に参加するというのが当然でございました。当たり前だろうなと思っていたら、実は、そのころ筑後地区では全員部活という運動が行われていまして、これを通じて、勉学以外の生徒指導を進めようとか、そういう意図があったとのことでした。今、中学校の運動会なんかに行くと、私の母校でも、昔七クラスあったのに、今は四クラスしかないとか、かなり生徒数が減ってきて、そういった部活動なんかの運営も大変ではないかなということで、きょうは少子化時代の子供のスポーツ環境についてというテーマで質問をさせていただきます。
 少子化に伴う生徒数の減少や生徒の価値観の多様化によって、中学校の部活動への参加生徒が少なくなっているのではないかという懸念がございます。また、特に小規模校においては、部活動数、要するに部の数、これ自体が少なく、生徒のニーズに対応できていないのではないかということが想像できます。実際私の知り合いでも、中学校に入ると四つか五つぐらいしか選択肢がないんだよと。だから、自分がやりたい部活がないから、しようがないから部活やめるとか、あるいは意に沿わない部活動に入って幽霊部員になってしまうとか、そういうことをよく耳にします。
 そこで、中学校における運動部活動の加入率及び一校当たりの運動部活動数の推移、平成二十六年度の学校規模別部活動数、一部当たりの部員数の推移について、資料をお願いしたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については、提出できますか。日高体育スポーツ健康課長。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に資料の説明をお願いいたします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 それでは説明させていただきます。
 本資料は、本県の中学校体育連盟が調査いたしました中学校の運動部活動の状況をグラフ化したものでございます。
 1)といたしまして、昭和六十年度から平成二十六年度までの中学校一校当たりに設置されている部活動数の推移を棒グラフで、中学生の運動部活動への加入率の推移を折れ線グラフであらわしております。設置数につきましては、おおむね十五から十六部、また加入率につきましては、おおむね六〇%台で推移しておりまして、いずれもほぼ横ばいの状態となっております。
 次に、2)としてあらわしておりますのは、平成二十六年におけます学校規模別の部活動の平均設置数でございます。生徒数三百人以下では一一・三部、三百一人から六百人までの学校においては一八・九部、六百一人以上の学校におきましては二三・一部となっております。
 最後に、3)としてあらわしておりますものは、昭和六十年度から平成二十六年度までの各運動部活動一部当たりの平均部員数の推移でございます。昭和六十年度は一部当たり二十六・四人の部員数があったものが、徐々に減少いたしまして、平成二十六年度においては十三・七人となっており、昭和六十年度当時と比較いたしますと約半分の状況となっております。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 予想に反して、部活動の加入数とか、一校当たりの部の数というのはそんなに変わっていないんですね。御説明のとおり、変化しておるのは、少子化に伴って一部当たりの部員の数がどんどんどんどん減っておるということでございます。つまり部員数が少ないという部においては十分に活動できない、これは十三・七人ということになっていますけれども、これじゃ野球の紅白戦もできんわけですね。そういう意味で、活動がちゃんとできなかったり、例えば試合も、ちゃんと人数がそろわずに試合に出られないとか、そういったことが起きているのではないかと思いますけれども、こういったことに関してはどのように対応をされているのでしょうか。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 部員が少ない部への対応でございますけれども、本県の中学校体育連盟におきましては、部員数の不足する学校に対応するために、サッカーであるとかバスケットボールであるとかいった個人戦を行えない団体競技につきましては、原則として同一市町村内の二校による合同チームでの大会参加を認めております。なお、平成二十五年度におきます合同チームの出場数は、総合体育大会と言われます夏の大会で二十一チーム、秋から冬にかけて行われます新人大会で二十九チームとなっております。また、試合には単独で出場する学校におきましても、練習に際しては複数校で合同で練習を行うとか、こういった工夫を行っていると聞いております。

◯板橋 聡委員 そういう対応はされているそうですけれども、実際、運動部の活動の指導の多くというのは、学校の先生が監督とか、そういう形で行っていらっしゃいます。専門的に指導できる教員にはもちろん限界があると思いますし、生徒数が減っていますから、各学校の教員の数は間違いなく、これも減っておるわけです、比例して。ところが、部活の数が変わらないということは、その分何かに負荷がかかっておると、指導者が足りないということに間違いなく反映されているのであろうというふうに想像します。
 そのために、地域の指導者を活用するなどの方策が必要と考えますけれども、中学校における運動部活動の充実について、どのようにその点、指導者の部分では取り組んでいらっしゃるか、説明をお願いします。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 近年、運動部活動におきましては、教員の数の減少などに伴いまして、従来多くの学校で設置されておりました陸上競技であるとか、バレーボールといった部が減少しております。また一方で、生徒のニーズに応じて、新体操とか、硬式テニスといった新たな種目が入ってきている状況がございまして、多様化してきております。こういうことは教員の負担を増している、一つ要因になっているのではないかと考えております。
 このような状況を踏まえまして、運動部活動の適切な運営を図るために、本年三月、福岡県運動部活動運営の指針を策定いたしまして、その中で各学校に対しまして、外部との連携を図ることを指導しておるところでございます。
 また、本年度から運動部活動推進事業といたしまして、学校を指定して、地域の外部指導者を活用した指導体制の実践研究を行っております。あわせまして、教員、それから外部指導者を対象にいたしました両者が連携した指導体制の構築に関する研修会も行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 指導体制はそうやって頑張っていらっしゃいますけれども、肝心の生徒が少なければ、やはり先ほど言いましたとおり、紅白戦もままならないということになります。そういう意味では、今、同一市内で二つ、三つの中学校が一緒になって練習をしておったりするということであれば、逆に子供のスポーツ環境を充実させるという観点で、学校だけでスポーツ部活動を抱え込まずに、地域のスポーツクラブが受け皿になったほうが、これはいいんじゃないかというふうに考えます。
 県では、地域住民が主体となって、誰でも、いつでも、どこでも活動できる総合型地域スポーツクラブというものの設立が進んでおるというふうに聞きます。平成七年に全国でも初となる総合型地域スポーツクラブが福岡県内で設立されて、今、県内では四十七市町村七十五クラブが設立されておると、そしてさらに二市六クラブが設立の予定であるというふうに聞いております。
 子供のスポーツ環境を充実させるには、この総合型スポーツクラブと部活動、要するに学校と学校外の地域のクラブを連携させるということも一つの方策だと考えますが、このような事例はございますか。

◯松尾統章委員長 清水県民文化スポーツ課長。

◯清水県民文化スポーツ課長 県内では、この総合型スポーツクラブと部活動が連携して活動している事例はまだ少ない状況でございますけれども、その中でも、部活動の生徒が総合型クラブの練習に参加し、専門的な指導を受けている例がございます。また、総合型クラブの指導者が部活動の実技指導を行ったり、専門のトレーナーを派遣いたしまして、テーピングやマッサージなどのけがの予防、トレーニングの指導などを行ったりする例がございます。

◯板橋 聡委員 なかなか事例がないという状況だというお話ですけれども、総合型クラブと部活動の連携が進まない理由というのは一体どこにあるのか、また、どのように連携を進めればいいのか、お考えをお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 その理由の一つとしまして、総合型クラブの理念やクラブと学校が連携することのメリットなどの情報が学校職員に十分に行き渡っていないということが考えられるというふうに思っております。県では、これまで県体育協会や市町村と協力をいたしまして、教員向けパンフレットの作成など周知に努めてきたところでございますけれども、今後はさらに総合型クラブと連携をいたしまして、学校関係者に対する説明会を開催するなど、総合型クラブに対する理解促進を図ってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 これは、私が六月の一般質問で質問させていただいた放課後児童クラブと学校の連携と、物すごく似ているんですよね。学校は学校で一生懸命生徒指導をするあまり、放課後児童クラブとうまいぐあいに連携がとれていない。直接に親御さんとの関係も深くて、子供の状態、親御さんの状態、いろんな情報が集まる放課後児童クラブと学校の連携がいま一つとれてないがために、そういった有用な情報を生活指導なんかにうまく使えてないのはもったいないじゃないかという質問をさせていただいて、それは連携を深めていきましょうという話になりました。
 部活動も同じように、スポーツを学校が抱えよう抱えようとして、どうしても外に出したがらない、そこで総合型スポーツクラブとの連携もはかどらないんじゃないかと。
 例えば、小学校、公民館の運動会なんかだと、小学生向けの総合型スポーツクラブのクラブ紹介がばっとあるわけですね。小学生はバスケット部がある、バレー部がある、じゃあ入ろうかななんていうふうに思うわけですけれども、これが中学校の運動会でそんなことをやっているのは見たことがありません。そういう意味では、もっと中学校の中でも総合型クラブと合同練習するなど連携を図ることが子供のスポーツ活動の充実につながるというふうに思いますけれども、このような課題に対して、今後どのように取り組んでいくか、お考えをお聞かせください。

◯日高教育庁体育スポーツ健康課長 先ほど委員から御指摘がございましたように、部活動は学校の教育活動の一環であるということから、教員の中には学校で責任を持って指導しなければならないという意識が強いということがございます。また、組織として総合型クラブなどの外部との連携図る体制が学校側にはまだ十分整っていない状況もございます。今後は、部活動の練習の場として活用することも想定しながら、各種の研修会などさまざま機会を捉えまして、各学校がそれぞれの地域の総合型クラブの活動状況を正しく理解できるように努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 一方で、総合型クラブには中学生の参加がなかなか少ないと。小学校までは結構多くの子供たちが参加しているんですけれども、中学校の加入は、百人を超えるクラブもありますけれども、平均すると加入者全体のわずか五・九%程度なんですね。全国調査でも六・六%ぐらいということで、非常に中学生の参加が少ないのですが、この理由は何だというふうにお考えですか。

◯清水県民文化スポーツ課長 中学生は一般的に、県大会とか全国大会に出場したいといった競技志向が強い傾向がございます。本来、総合型スポーツクラブはこうした競技志向を持つ方々のニーズに対応できることを目指しておりますけれども、現状では指導者等の確保等の問題からなかなか対応が難しい状況でございます。それが理由の一つだというふうに考えております。

◯板橋 聡委員 私も、体育会というか、運動部に入っていたことがありますけれども、地区大会に出たい、県大会に出たい、あわよくば全国大会、これがやっぱりモチベーションになって、厳しい指導、練習にも頑張れた。そして、大会に出られた、あるいは負けたとしてもその達成感というのが非常に、運動部をやるいい理由になっておったと思います。
 そういう意味では、総合型クラブでも参加できるような大会、目標となるような大会、こういったものがあれば、今の総合型クラブに対する魅力の低さというのが解決するのではないかと思いますし、このことは総合型クラブの会員数確保にもつながって、活性化にもつながっていくと思いますけれども、この件についてどうお考えになられますか。

◯清水県民文化スポーツ課長 総合型クラブにおきまして競技志向に対応した活動を行うことは、県民のスポーツ活動の推進、ひいてはクラブの活性化を図る上で重要であるというふうに認識しております。このため、各クラブに対しまして、競技志向への対応など多様な運営が行えるよう、専門のノウハウを有するアドバイザーを派遣するなどして支援を行っている状況でございます。
 総合型クラブの大会につきましては、現状としましては、クラブによって種目が異なっているというような状況から、特定の種目で大会を行うことは難しいと考えております。今後、クラブの活動状況を踏まえながら検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 なかなか難しい部分ではありますけれども、これはぜひ学校とうまいぐあいに協力をしながらやっていくと。今、市の中で二つ、三つの中学校が一緒に大会にも出ておるということであるならば、そういう形で総合型クラブに変化していくことも可能だと思いますので、ぜひこれは連携をとっていただきたいというふうに思っております。
 総合型クラブは、放課後の中学生の居場所としての役割を持つものでもあると思います。自分のやりたい種目が学校の部活動にない場合の活動の場であったり、あるいは学校になじめない生徒が異なる年齢の人々とスポーツを楽しめる場であると考えます。例えば、いじめの問題なんかにも非常に有効だと思います。私がやっぱりいじめが一番かわいそうだなと思うのは、学校しか自分の世界がなくて、その中で行き場がなくなると本当に落ち込んでしまって、いじめも深刻になってしまうと。そこで、例えば学校外の総合型クラブなんかで知り合った、同じスポーツの目標を持つ仲間たちと一緒にいることで閉塞感を解消できるとか、あるいは、小学校の高学年から中学校三年まで一緒にスポーツをやることで、中一ギャップなどの問題の解決策の一つとなるのではないかと思います。
 こういった総合型クラブと学校が連携することは、学校が抱える教育問題を解決する上でも意義があると考えますけれども、教育長の認識を問います。その上で、中学校と総合型クラブの連携について、今後どのように取り組まれていくのか、教育長にお考えをお聞きしたいと思います。

◯松尾統章委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 総合型スポーツクラブは、子供たちが生涯にわたりましてスポーツを楽しむ、そのことによって、健康を維持する習慣を身につけるという効果があると考えます。また、学校で指導できない競技種目を行ったりするという面で、学校と総合型クラブというのはお互いに補完し合う関係になり得るのではないかというふうに思っております。委員御指摘のように、総合型スポーツクラブでは異年齢集団の中でスポーツを行うわけでありますので、その交流を通して人間的な成長も期待できるという面もございます。したがいまして、学校と総合型クラブが連携を進めるという点につきましては、我々が抱えておるさまざまな教育課題の解決につながる可能性を持っていると考えておるところでございます。
 現状を見ます限りにおいては、まずは総合型クラブの充実が先決であろうとは考えておりますけれども、県教育委員会といたしましても、県下の総合型クラブの状況把握にまずは努めまして、学校にその情報を提供するなどいたしまして、連携が進むように働きかけてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 大曲部長、今、教育長から学校側の歩み寄りをお約束いただきました。続いては、今度は受け入れる地域の総合型スポーツクラブの魅力が向上しないと、せっかくのこの歩み寄り、連携もうまくいかないというふうに思います。
 最後に大曲部長に、今後、地域と一緒になった子供のスポーツ環境の充実にどのように取り組むのか、所感をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 大曲新社会推進部長。

◯大曲新社会推進部長 この総合型クラブでございますけれども、委員御指摘のように、地域において子供たちのスポーツの機会、この充実を図っていくためには大変有効な方策であると考えております。そして、委員おっしゃいましたように、別の学校に通う子供たち、そういった子供たちが学校の枠を越えて参加ができる形態を有しているこの総合型クラブでございますので、新たな交流を生み出す機会にもなるというふうに考えております。
 県では福岡県スポーツ推進計画、これをことしの三月に策定いたしました。この中には、子供のスポーツ機会の充実を施策の柱の一つに掲げております。その中では、学校と地域、家庭、関係機関や団体等が連携して、子供がスポーツに親しむ、そういった環境を充実させていくための方策を示しているところでございます。この計画に基づきまして、学校と地域、そして地域のスポーツクラブの情報交換の機会を設けるということで合同の会議をまず開催し、これらの連携を一層推進してまいりたいというふうに思っております。
 また、教育長もおっしゃいましたが、学校とまず連携をするということで、中学生に対しまして、総合型クラブと地域のスポーツクラブへの参加を働きかける、そしてクラブに対しましても、やはり魅力のあるものとするために、学校の部活動にない、そういった種目の実施ができるように働きかけを行ってまいります。
 こういったことによりまして、子供たちが県内各地域におきまして、自分に合ったマイスポーツ、これを見つけて、これを継続して、そして実践していく、そういったことが子供たちの夢、そして希望につながっていくと思います。また、こういったことを通じて体力の向上、そして心身の健康といったものにつながっていくとも考えておりますので、こういったことを通じて今後もしっかり取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 よろしくお願いします。終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋です。きょう最後の質問になるかと思いますけれども、代々木ゼミナール小倉校の撤退問題について質問させていただきます。
 八月二十三日、代々木ゼミナール小倉校──以下小倉校と呼びますけれども、これが閉鎖されるとの報道がございました。この件に関して質問いたします。
 小倉校は当初、各種学校を経て、現在専修学校という立場になっておりますけれども、私立の専修学校や各種学校の設立はどちらが認可するのでしょうか。

◯松尾統章委員長 安永私学振興課長。

◯安永私学振興課長 私立の専修学校や各種学校の設立に係る認可でございますが、学校教育法により都道府県知事が行うこととなっております。

◯板橋 聡委員 予備校は必ず各種学校や専修学校でないと経営できないというわけではないと思いますけれども、私塾という形で成り立っている学校もたくさんございます。専修学校や各種学校になるメリットは何でしょうか、教えてください。

◯安永私学振興課長 メリットでございますが、専修学校や各種学校の設置の認可を受けました学校法人につきましては、まず校地や校舎に係る登録免許税、それに不動産取得税、それから固定資産税等が非課税となります。これがまず一点でございます。また、生徒の学割定期券の適用がございます。さらには、認可を受けたことによる社会的信用の付与等が考えられるところでございます。

◯板橋 聡委員 小倉校については、各種学校としての設立のときにすんなり認可されなかったと聞いております。
 ここで委員長にお願いします。代々木ゼミナール小倉校認可の経緯について、資料要求をさせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯安永私学振興課長 直ちに提出いたします。

◯松尾統章委員長 それでは資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に説明をお願いいたします。

◯安永私学振興課長 資料の説明をいたします。この資料は、代々木ゼミナール小倉校の設置認可に至る経過を記したものでございます。
 まず、六十二年の七月三十一日でございますが、学校法人高宮学園から県に対しまして、各種学校として大学受験予備校を配置したいということで、各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置認可の申請があったところでございます。この申請に対しまして審査しました結果、翌年の昭和六十三年三月三十一日、県は不認可の決定を行い、高宮学園に通知したところでございます。理由としましては、既存の県内の大学受験教育を行う専修学校、各種学校の状況や、今後の入学予定者の推当からして適当でないという理由でございました。
 これに対し、五月二十七日に高宮学園のほうで、この県の不認可処分を取り消すようにということで取り消し訴訟が提訴されたところでございます。翌平成元年の三月二十二日に福岡地方裁判所のほうから、不認可処分は取り消せという判決が出されたところでございます。県の敗訴でございました。この判決を不服としまして四月に県は控訴したところでございます。この後、十一月二十一日に控訴審でございます福岡高等裁判所による和解勧告が出され、これを両者受け、同年十二月に高宮学園は当初よりも定員を減員した形で設置認可を再申請し、同月の二十五日に県は各種学校代々木ゼミナール小倉校の設置を認可したところでございます。
 以上でございます。

◯板橋 聡委員 県は、高宮学園から最初に申請が行われたとき不認可を決定したということで、先ほど軽く触れられましたけれども、もう少し詳しく、どのような理由で県はこの申請を不認可としたか。その判断に立った理由を教えてください。

◯安永私学振興課長 不認可とした理由でございます。
 まず、先ほど述べましたが、既存の県内にあります専修学校、それから各種学校の形をとっている大学受験予備校の状況、それから今後の入学予定者数を勘案すると、これ以上の新設は必要ないだろうと考えたのが一点でございます。また、二点目としましては、過度の競争が行われているような状況におきまして、これ以上の新設を行った場合、競争の一層の激化を招き、県下の大手受験予備校の健全な発展を脅かすとともに、教育内容に悪影響を及ぼし、ひいては受験生への期待に応えられない結果を招くおそれがあるのではないかと考えたこと、これが二点目ございます。また、三点目といたしましては、この申請者であります高宮学園でございますが、既に県内に大学受験予備校を設置しておりました。既設校はこの新設予定地域から通学圏内にあると認められること、以上を理由として不認可としたものでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、過当な競争による県内のそういった予備校事情の混乱を避け、生徒たちを保護するという行政指導だったのかなと理解をします。その県の不認可決定に対して裁判が起こされたわけですけれども、その第一審の判決内容を教えてください。

◯安永私学振興課長 福岡地裁による第一審判決の内容でございます。
 まず一点は、各種学校の設置認可を受けるための要件というのは、原則として省令であります各種学校規程に定められた基準を満たすものであることをもって足りるというのが一点目でございました。また、知事の裁量権は、今申しました各種学校規程の定める要件を満たすか否かの判断をする際におきまして、各種学校に学ぶ生徒の教育を受ける権利を実質的に保障するとの観点に基づくものに限られる、それ以外の事情を考慮することは許されないという内容でございました。
 そういう前提を踏まえまして県が不認可とした理由というのは、当該各種学校規程に根拠を持っておらず、適正配置を理由とする不認可は他事考慮として違法であるという判決内容でございました。

◯板橋 聡委員 今の説明をお聞きしますと、裁判所の判断は、基準を満たしていれば現場がどのような混乱状態になっても、そういうことが想定できたとしても、県は設立認可をしなくてはならないということですか。

◯安永私学振興課長 県の裁量幅が小さく、基準を満たしておれば認可せざるを得ないものであります。

◯板橋 聡委員 県の裁量権が小さいとはいえ、県が当初懸念していたことが今回現実のものとなったわけです。裁判を起こしてまで進出して、地元の中小同業者に影響を与え、年度中途の閉鎖報道で受験生に不安を与えたのではないかと思います。
 実は私も浪人経験がございまして、浪人生にとって正念場である夏から九月の時期にこんな発表をされて、しかも学校にいる教職員の方というのは、自分たちは今度解雇されるかもしれないという可能性におびえていらっしゃると。受験生に動揺するなというのが無理な話で、自分の立場に置きかえたらぞっとします。無責任きわまりないのではないかと思います。
 先ほど、各種学校や専修学校に認可された学校法人は、固定資産税が非課税になるとの説明がございました。ちなみにこの小倉校は小倉北区の馬借という場所にあって、同校の建物構造とか近隣の路線単価からすれば、課税された場合の固定資産税は建物、土地を合わせて年間三千万円は下らないだろうと言われております。このようなメリット、税的な恩恵等、あるいはブランドネームの向上等のメリットを受けて、私塾であればともかく、各種学校なり専修学校であれば、これは社会的存在であると思われます。社会的存在であるということは、当然のことながら相応の社会的責任を負うべきであると思うんですけれども、各種学校などの設立の認可を与えた県として、このことについてどう考えますか。

◯安永私学振興課長 少子化に伴う受験人口の減少や現役志向の高まりに伴う浪人生の減少といったことを理由として、今回、小倉校が撤退されると。今回の撤退という結果になったことはまことに残念であると考えております。
 小倉校につきましては、平成二十六年度いっぱいは現在の校舎での授業と在校生の指導を継続するということでございますので、在校生の不安、動揺を抑えて合格達成に向けて熱心に指導すること、それと、この学校の教職員の今後の身の振り方についても親身に対応するように指導しているところございます。また、この指導は今後とも継続してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 この指導に対して、どういう反応が相手方から返ってきているか教えていただけますか。

◯安永私学振興課長 それこそ現在いる受験生についてはしっかり熱心に指導してまいりたいと、教職員については早期退職の制度を導入したりとか、近隣校へ振りかえだとか、そういうところは丁寧に説明して対応していきたいと回答をいただいております。

◯板橋 聡委員 学校側の説明としてはそう答えざるを得ないところでしょうけれども、まさにそこに生身の受験生がいて、一年間の浪人生活でこれから後の人生が決まるのではないかというときにこんなことを起こしたということ、それを考えると非常に難しい。県がどれぐらい強制力を持っているかというのは別として、やはりこれはしっかり引き続き指導していただかなければ困ると思います。
 そして、今回のような案件というか事案は、恐らく再び起こり得るでしょう。予備校問題ではなくて、これから生徒数も減ってくる中で、いろいろなほかの「これはもうかりそうだ」とか、「ここにビジネスチャンスがあるな」というときに、こういう事案が再び起こり得るんではないことが容易に推測されるのではないかと思います。今回のような事態が再発しないように、重要な社会的存在である専修学校などの設立に認可を与える県として、今後どのように対応していくのか、お教えください。

◯安永私学振興課長 認可を受け、設立されました学校につきましては、法令に基づき適正に指導助言を行ってまいります。また、設置申請があった場合には、私立学校の適正な運営に向け、厳正かつ適正に審査を行うとともに、必要な行政指導を行ってまいります。行政指導につきましては、相手方のその協力が前提で、強制力がないといった制限はございますが、粘り強く対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 やはり強制力がないというのが一番ネックかなと思うんですけれども、それは県がこういった私企業とどう向かい合っていくかというところにかかわってくるんではないかと思うんですね。ところが昨今、中央の大手企業が地方に進出してくるとなると、自治体はもろ手を挙げて大歓迎する風潮があるんですよ。しかしながら、今回のように裁判まで起こして強引に進出し、もうかるときはしっかりもうけて、しかしながらうまくいかなくなったら社会的責任を放棄して撤退すると。関係者や地元に混乱を生じさせるような事案が再発してはならないと私は思います。
 私自身、一昨年、県と私企業の関係をテーマに執行部とは徹底した議論をさせていただきました。雄県福岡県は、私立学校においても、設立、また、その後の運営について、今回のような轍を踏まないよう、しっかりと指導、審査などに当たってもらわなければならないと考えますが、このことについて私学学事振興局長の決意をお聞かせください。

◯松尾統章委員長 伊藤私学学事振興局長。

◯伊藤私学学事振興局長 私立学校法は、その目的を、私立学校の特性に鑑み、その自主性を重んじ、公共性を高めることによって私立学校の健全な発達を図ることと定めております。この法律、その私立学校の自主性を重んじるというところに非常に重点が置かれた法律でございます。このようなことから、私立学校所轄庁の権限というのが国公立の学校に比べて限定をされております。今まで私立学校に対してなかなか踏み込んだ指導ができなかったという事情がございます。
 ただ、ことしの四月に私立学校法が改正をされまして、学校法人が法令に違反した場合だけではなくて、その運営が著しく適正を欠く場合につきましても必要な措置を命じることができるようになっております。それから学校法人に対しまして、業務、財産の状況について報告を求め、また、学校法人の事務所等に立入検査できるようにもなっております。今後は、認可申請時の厳正な審査はもとより、認可後におきましても私立学校法の改正の趣旨を十分に踏まえて適切な指導に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 法律改正に伴い随分権限的なものも大きくなったと思いますので、しっかり今回のようなことがないよう、今後とも指導を行っていただきたいんですが、実際この許認可の張本人は知事でございます。ぜひ小川知事の見解を問いたく、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯松尾統章委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月七日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「伝統産業の維持振興について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡でございます。日をまたいで連続で質問させていただくということで、緊張感を途切れさせず、服装も同じで頑張りたいと思っております。
 福岡県内には、長い歴史を持ち、希少価値の高い産品をつくるさまざまな伝統産業が存在します。私は平成二十五年二月議会において、その維持の必要性と、観光、教育、農林水産など多角的な視点での振興、活用について質問をさせていただきました。それから一年半以上がたち、また、どのような状況になっているか、さまざまな問題点が見えてまいりましたので、ここで再度質問をさせていただきます。
 まず、現在、国や県が指定をした伝統的な産品はどのようなものがあるか、御説明をください。

◯松尾統章委員長 武濤観光・物産振興課長。

◯武濤観光・物産振興課長 現在、国が指定をしております経済産業大臣指定伝統的工芸品として、博多織、博多人形、久留米絣、上野焼、小石原焼、八女福島仏壇、八女提灯の七品目がございます。また、県が指定する福岡県知事指定特産民工芸品には、博多独楽、木うそ、孫次凧、英彦山がらがら、大川総桐タンス、大川組子、掛川、きじ車、八女手漉和紙など、合計三十品目がございます。

◯板橋 聡委員 大変多くの指定を受けた伝統的な産品があることはよくわかりました。しかしながら、県内には指定されたもの以外にも、非常に長い歴史と伝統を持った貴重な産品あるいはその作り手がいらっしゃいます。先ほど申しましたとおり、二十五年二月議会において、これら産品をつくる伝統産業を維持することの必要性を問い、知事から「指定制度の周知徹底と新たな指定品目の掘り起こし、貴重性の高い伝統的な産品の実情把握に努める」との知事答弁を得ておりますけれども、その後どのように進捗をしているか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 平成二十五年度に、福岡県知事指定特産民工芸品指定制度の周知徹底を図るとともに、指定要件を満たす地場産品の掘り起こしや、それに準じます産品の有無について、市町村、商工会議所、商工会に対して調査を実施いたしました。その結果、八市町村にある十四品目の情報提供を受けまして、それら品目の伝統性、希少性などについて聞き取り調査を行っているところでございます。

◯板橋 聡委員 このような調査結果を踏まえて、どんどん進めていきたいと思いますけれども、実際にこういう制度があるというのを知らない作り手さんも多いと思います。さらに、アンケートだとかこういったものを資料提出してくれというお願いをいっぱいされる中で、なかなか本業が大変で、そういったところまで手が回らないという方もいらっしゃると思います。そういうことも含めて、どのように今後進めていくか、お教えください。

◯武濤観光・物産振興課長 周知につきましては、さらに周知徹底、皆さんにお知らせをしてまいりたいと思います。
 また、こういった調査を通じまして、県内にまだ指定されていない伝統や希少性を持つすばらしい産品があることがわかりました。現在、県知事指定に必要な伝統的な技法あるいは原材料などの要件を満たす産品について、指定に向けた検討を行っております。また、指定要件に必要な資料が現在不足している産品につきましては、作り手や関係者に対しまして、伝統性や希少性が証明できる文献あるいは証言などが得られないかなど、指定に向けたアドバイスを行っているところであります。
 また、事業戦略やマーケティングのアドバイスを行う県の人材育成事業がありますけれども、こういったものの受講の勧奨、県の物産紹介パンフレットやホームページへの掲載、アクロスの二階に匠ギャラリーがございますが、そういったところや、県庁十一階の展示室を活用しましたPR、販売促進などを通じまして、伝統的な産品の販路開拓や売り上げ拡大を一層図ってまいります。

◯板橋 聡委員 このような伝統産業は一度途絶えてしまうと、もう一度復活させるというのは物すごく難しいです。ぜひ商業的な部分で事業が盛り上がっていくように、商工部としても引き続きこういった援助をしていただきたいと思っております。
 続きまして、伝統工芸品の振興におきまして、観光の視点から振興していくことも非常に重要だと考えます。これら産品の作り手は地域に点在しております。より広くその存在を知ってもらい、売り上げ拡大につなげるためには、観光客の誘致と誘客も有用だと考えております。
 例えばみやま市には、全国的にも珍しい伝統的製法でつくられる天然しょうのう、あるいは、もうほとんど中国に作り手が移ってしまい、日本の中では唯一と言える線香花火、こういったものが伝統産業としてございます。全国でも珍しいこれらの生産者は、商品包装のデザイン改良を行ってメディアに取り上げられたことで注目されて、観光客が訪れるようになりました。例えば線香花火に至っては、地元の和ろうそくとセットで販売して、きれいなキリの箱に入れて、四十本何と一万円で販売をされて、それが品薄になったりするぐらいの人気を得ているということでございます。その線香花火の製造所は、この春、線香花火作成を体験できる施設、暗室を整備して、観光客の受け入れを始めております。
 商工部は今年度、組織を改編して、観光・物産振興課というものを新設しております。ぜひ物産と観光をセットにして、観光振興の面からもより積極的に取り組むべきだと思いますが、御意見をお聞かせください。

◯武濤観光・物産振興課長 御指摘のとおり、近年、学習や体験型の観光に対します人気が高まっておりまして、伝統的な産品の生産現場は、それ自体が大変有力な観光資源となります。県では、県内の魅力的な物産と観光を組み合わせた体験型・着地型観光ルートをつくるなど、物産と観光を一体的に推進しております。例えば、筑後田園都市推進協議会が実施します観光体験ツアーへの線香花火づくり体験などを取り入れまして、また、国内外での旅行博やウエブサイトでの和紙づくり、人形絵つけなど、体験型観光資源のPR、情報発信を行っております。

◯板橋 聡委員 県としてもルートづくりに具体的に取り組み始めていることはよくわかりました。
 しかしながら、このような伝統産業をやっております事業所は、規模が非常に小さい、弱小なんですね。それでも、この伝統産業の意義をぜひ多くの方に広めていきたいという情熱、熱意だけで、一生懸命受け入れ体制をとって、観光客が来られたらいろいろなガイド役を自分で買って、頑張っていらっしゃるというところがほとんどでございます。そういう意味でも、観光資源としてのPRも行いながら、本業の事業性を継続させて、さらに売り上げを図るという意味では、余り事業者さんに負担がかかるというのがあっては、逆に本末転倒になってしまうと思います。ですから、そういう意味では、実情に合った、きめ細やかな支援が必要だと思いますけれども、それに関してどのような支援が考えられるか、お答えください。

◯武濤観光・物産振興課長 私どもも、伝統的な産品の作り手の方々にいろいろお話をお聞きしております。その中で、皆さん、自分たちがつくられます産品を多くの方々に知ってほしいとの思いから、仕事の合間に観光客の受け入れをしておられるとお聞きしております。ただ、確かに御指摘のとおり、現場の方々の負担を考えますと、観光客の誘致を進める場合には、現地の案内や産品を説明する資料など、受け入れ体制をきちんと整備していくことが必要であります。
 このため、県が今後、産地の紹介パネルやパンフレットなど、いろいろな観光展や物産展などで産地と協力してつくっておりますけれども、こういったものを今後つくるに当たりましては、地域のそういった実情にも応じまして、単に展示会とかだけで活用するだけではなくて、後に現場でも個別に使えますように、その盛り込む情報、デザインであるとかをしっかり工夫してまいりたいと考えております。
 また、個別の産品の希少性、価値を伝えるボランティアガイド、あるいはずっと添乗していかれるガイド、そういったガイドを育成しまして、観光客を受け入れられるように支援してまいります。さらに、地域が行う観光資源の磨き上げや、環境整備などを支援する県の事業として、「地域の魅力を磨く観光地づくりモデル事業」等がございますけれども、そういった事業の活用を、地元市町村や観光協会等に対しまして、しっかり働きかけてまいります。

◯板橋 聡委員 やはり、こういったところは県の知恵が必要だと思います。市町村でどれだけやろうとしても、事業者でやろうとしても、人もいなければ知恵もなかなか少ないと。ここはやはり県でしっかりと支えていくことが大事だと思いますし、そのためには必要なお金も投入していただかなければいけないと。この両方をしっかりやっていただきたいと思います。
 知事は、この質問を最初させていただいたときは、中小企業振興課のほうで一元的な、伝統工芸の対応をワンストップの窓口にするということで言われておりましたけれども、今年度から観光・物産振興課という形で、まさに名前と事業が一体となるような組織ができたと私は思っております。ぜひ、これが福岡県の物産・観光の振興の目玉になるようなおもしろい取り組みを今後やっていっていただきたいと思いますけれども、そこに向けて、ぜひ部長の決意を聞かせていただきたいと思います。

◯松尾統章委員長 今村商工部長。

◯今村商工部長 先ほど委員から御指摘いただきましたとおり、こういう地域で受け継がれてきた伝統的な産品といいますのは、やはり一度途絶えてしまうと、その復活は非常に困難であると認識しております。そういうことで、今現在、指定の品目にまだなっていないところも、広く制度の周知を図って、ぜひとも指定の拡大に向けて検討していきたいと思っております。
 伝統工芸品につきましては、従来からいろいろな、我々、販路拡大の取り組み等々を行っておりますけれども、やはり、それだけでは限界がございますので、そういう点では観光と一体となった振興を進めていきたいと思っております。県の観光のパンフレットにもどんどん載せていきたいと思っていますし、いろいろな施設を活用した展示もやっていきたいと思っています。何より、やはり地域の観光ルートなどに組み込んでいくことによって、より一層、地域の取り組みが盛り上がり、また実際、なりわいとされてある事業者の皆さんの、少しなりとも収益の拡大につながっていくような取り組みを行っていくことが大事だと考えております。そういった取り組みを進めまして、本県に今残っております、本当に貴重な伝統的な産品の振興をしっかり進めていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 これは商工部だけではなく、社会科見学で教育庁のほうとかかわったり、あるいは原材料で農林水産部とかかわったり、いろいろな部署とかかわりがございます。ぜひ、その司令塔としての役割を果たして、ますます伝統産業の振興、維持に努めていただきたいと思います。
 終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「鳥獣害対策について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋でございます。本日最後の質問になりますので、よろしくおつき合いのほど、お願いいたします。
 まず、執行部に、鳥獣被害に関する被害額推移、捕獲数の推移、対策費の実施状況に関する資料を要求したいと思いますので、お取り計らいのほど、お願いいたします。

◯松尾統章委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を、委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯松尾統章委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。今村畜産課長。

◯今村畜産課長 直ちに提出します。

◯松尾統章委員長 それでは、資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯松尾統章委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯松尾統章委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、まず簡潔に資料の説明をお願いします。

◯今村畜産課長 資料を説明させていただきます。
 資料の一は、農林水産物の被害額の推移です。被害額は、平成二十二年度までは増加していましたが、その後、減少傾向に転じ、平成二十五年度は十二億四千万円余となり、前年度と比べ約一億九千万円の減となりました。
 二は、鳥獣捕獲数の推移です。鹿、猿で増加傾向にあります。二十五年度については、イノシシが約二万三千頭、鹿が六千五百頭捕獲されました。
 三は、有害鳥獣被害対策費の推移です。平成二十四年度から大幅に拡充されております。
 四は、平成二十五年度の鳥獣対策実施状況です。侵入防止柵の整備、捕獲機材の導入の支援などを行ってまいりました。

◯板橋 聡委員 この資料を見る限り、有害鳥獣被害対策予算は過去五年、大幅に増額され、その一方で被害額は減少傾向にあり、捕獲数はふえておると。
 私自身、平成二十三年六月議会、議員になって初めての一般質問がこの鳥獣被害対策でした。その当時の担当課長からしっかりした回答をいただきまして、こういった結果が出ておるということで、地元で胸を張って報告したところ、各地で、「それは県議、現実ばわかっとらっしゃれんばい。むしろ悪うなりよる」と言われてしまったわけでございます。
 それを踏まえて今回、質問をさせていただきます。
 まず、カラス等の鳥類の被害対策について、平成二十三年六月議会で質問したところ、当時はまだ有効な対策というのがなく、知事も他の取り組み事例を参考にして有効な方法を探求したいという回答でございました。
 そこで、三年が経過し、現在、県としてカラスなど鳥類の被害対策としてどう取り組んでいるのか、その情報をまたどういうふうに伝えているのか、お示しください。

◯今村畜産課長 防鳥ネットや爆音器による追い払い、銃による捕獲などを推進してきた結果、県全体としては鳥類の被害額は減少してきていますが、今なお被害が多数発生しております。
 このような中、うきは市は、県の支援により、カラスを効果的に捕獲できる大型の箱わなを設置しました。この情報を県内の市町村などに提供することにより、県内地区において同様の大型の箱わなを導入しました。また、国が、鳥類の被害防除に高い効果を有する釣り糸を空中に張り、外周部を防鳥ネットで囲む方法を開発しました。これらの情報を県は市町村に提供するとともに、ホームページに掲示しております。さらに、今年度はカラス被害防除の専門家による現地研修会を県内二地区で開催する予定です。

◯板橋 聡委員 鳥類関係の被害がふえておるという話も聞きますので、これは継続して、ぜひ拡充をしていただきたいと思います。
 続きまして、鳥獣捕獲のために狩猟者が地域において活動してもらう必要があると思います。ところが、狩猟者は非常に高齢化して、そして減少傾向にあると聞いております。鳥獣被害に対する最終防衛組織とも言える捕獲を行う担い手の確保をどのようにされているかということを教えてください。

◯今村畜産課長 県では、狩猟免許試験について、平成二十三年度までは狩猟期に入る前の夏場に二回開催していましたが、農林業者が受験しやすいように、平成二十四年度から農閑期の一月に、また、さらに今年度から九月を加え、現在、年四回にふやして実施しております。また、県のホームページやイベントなどで、狩猟の社会的役割や魅力について広く県民にアピールし、積極的に狩猟の啓発を行っているところでございます。
 また、銃猟免許取得にかかわる経費助成を平成二十五年度から行い、銃猟免許取得者の確保を図っております。この結果、銃猟者の年間合格者は平成二十三年度の二十九名から二十五年度の八十一名に増加しました。

◯板橋 聡委員 結果としては非常にふえておるようですけれども、恐らくこれは地域に偏りがあるのではないかと思います。みやま市、八女市などは非常に広大な面積の中、こういった地域ごとの変化、狩猟人数の変化というのにも今後ぜひ注意を払って、対策を打っていただきたいと思っております。
 続きまして、実際に被害に遭った住民が最初に相談するのは市町村の窓口となると思いますけれども、市町村における鳥獣被害対策の取り組み状況はどうなっていますでしょうか。

◯今村畜産課長 市町村は、現場における鳥獣の生息状況や農業被害の把握、地域での捕獲の支援などを担っております。具体的には、鳥獣被害が発生している市町村では、被害防止計画を策定し、猟友会やJAなど関係機関と連携しながら、侵入防止柵や箱わなの設置、捕獲などを実施していただいております。
 また、鳥獣の捕獲や集落における指導助言を行う鳥獣被害対策実施隊が各市町村に組織されています。この実施隊員は、法に基づき、市町村長が市町村職員や民間の方から任命し、鳥獣被害対策における重要な役割を担っていただいております。国も県も、市町村へのこの実施隊の設置を働きかけていますが、全国市町村の平均設置割合が約六割に対し、本県では被害防止計画を策定している市町村の九五%に当たる五十四市町村で設置するなど、積極的に実施隊を設置していただいております。

◯板橋 聡委員 そうなんですよ。すばらしくいいんですよ、福岡県は。ところが、我々が現場でいろいろな有権者の話を聞く、あるいは山合いに住んでいらっしゃる方のお話を聞くと、非常にそこら辺が困っている、なかなか市町村が対応してくれないという話を聞きます。現実問題として、市町村の鳥獣被害対策は、実際、市町村職員の人員配置が満足に行われていなかったり、担当になられた方の知識・経験が不足していたりして、被害を受けた住民に対する対応が不十分ではないかという感じが否めません。
 そういった中、やはり県の適切な関与や指導が必要と考えますけれども、現在、県としてはどのようにして市町村を支援しているのか、教えてください。

◯今村畜産課長 県は、市町村が行う被害防止計画の作成や防除処理設備の整備、また、捕獲従事者の育成を支援しているところでございます。特に県の出先機関であります農林事務所が、平成二十四年度から保健福祉環境事務所が所管していました鳥獣捕獲も加え、一元的に市町村の取り組みを支援しているところです。また、農林事務所ごとに鳥獣被害対策広域協議会を設置し、市町村を超えた広域的な連携も支援しているところです。

◯板橋 聡委員 三年前に質問して以降、県内、県庁のいろいろな部署に散らばっていた鳥獣被害対策の部署が一元化されて、今、畜産課のほうに集められたと。これはすばらしい改善だと思いますし、また、広域協議会というものをつくっていただいて、鳥獣被害に対する情報交換をされておるということではございます。ところが、まだなかなかその実感がいま一つ現場では湧いていないと。
 先ほど鳥獣被害対策広域協議会の話が出ましたけれども、これは私、県と市町村、地域をつなぐ重要な鳥獣被害に対する対策組織だと考えておりますけれども、これは一体どのような体制で、内容としてはどのような協議がされているか、教えてください。

◯今村畜産課長 鳥獣被害防止対策協議会には、農林事務所ごとの広域協議会と、おおむね市町村域の地域協議会がございます。まず、広域協議会では、市町村をまたがる捕獲計画の策定や市町村職員の技能向上を図るための侵入防止柵の設置方法などの現地研修会を開催しております。また、市町村の地域協議会には、市町村や地元JA、猟友会などがメンバーとなり、実際に被害防止に向けた侵入防止や捕獲計画の策定と実行の評価について協議していただいております。

◯板橋 聡委員 回答いただけばいただくほどだんだんわからなくなるんですけど、このように予算もばっちりついておる、体制もよく整備されておる、そして捕獲される鳥獣の数も伸びている。ところが、この中で、いろいろな中山間地をお持ちの議員の先生もいらっしゃると思いますけど、地元で声を聞くと、体感的に被害が減少しているというのは全く聞こえてこないんですね。むしろ被害が昔よりひどくなっているのではないかという悲鳴が聞こえてくるような状況なんです。
 これは、もし一人からというお話でしたら、何か極端な事例とか、何かトラブルがあっているのかなと考えられますけれども、実際私の地元でも複数人、複数の地域から同時にいろいろな声が聞こえてくるんですね。だから、これは国、県の体制があって、市町村の体制がある、この中でどこかで何かがちゃんと機能していないのではないか、何かがおかしいのではないかと推察しておるんですけれども、県としてこのような状況をどうやって解消するのか、どうやって克服するのか、お考えをお示しください。

◯今村畜産課長 今、委員御指摘のありました集落のレベルアップというようなことでございますが、国及び県の施策が十分に市町村や集落に届くよう、各レベルの協議会において情報提供を行うとともに、集落や地域によって取り組みが滞っているところに対しましては、重点的に指導してまいりたいと考えております。また、各種研修会を開催し、市町村職員や鳥獣被害対策実施隊の技術向上を図り、集落において的確に助言指導ができる人材の育成に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 最後に部長にちょっとお伺いしたいと思いますけれども、国、県レベルでは予算、体制はしっかりと整えて、対応している。このような事業というのはなかなか少ないと思います。しかしながら、住民の皆様にその効果がよく感じられていないとするならば、それは非常にもったいない、残念なことだと思います。
 先ほど課長から、県から市町村への指導体制の強化や、集落ごとの事情に柔軟に対応できる指導者育成をするということに言及がございました。まさにこれは、事件は会議室で起こっているのではない、現場で起こっているのだという、僕の年齢がわかるようなことをちょっと言ってしまいますけれども、これが機能して、住民の皆さんが体感できるレベルで鳥獣被害を減らすために、部長、これから何を変えて、どういうふうにやっていくのか、ぜひ決意のほどをお聞かせください。

◯松尾統章委員長 小寺農林水産部長。

◯小寺農林水産部長 有害鳥獣駆除につきましては、市町村の方が実際の現場で今、一生懸命やっていただいているところでありまして、先ほどから市町村の支援、活動については課長のほうが説明しましたけど、中でも全国平均を上回る割合で鳥獣被害対策実施隊を設置しているということで、市町村のほうにおかれましては積極的な対策をとっていただいているところでございます。この流れが途切れないように、今後もしっかり市町村のほうには支援をしてまいりたいと思っております。
 ただ、今、委員から御指摘がありましたように、地域によっていろいろ異なった課題が、人員の問題とか知識、そういう問題があるということでございます。今回の御質問を踏まえまして、地域の課題、そういうニーズ、これをよく聞いて、さらにきめ細やかな対応ができないか、そういうものを今後もやっていきたいと思っております。
 有害鳥獣対策につきましては、いろいろな機関が一緒になってやっていくことが重要でございますので、今後とも市町村、猟友会、関係団体、そういうものと一緒になって総合的に鳥獣対策を進めていくことで被害の軽減に努めてまいりたいと思っております。

◯板橋 聡委員 相手がけもの──動物の話でございますので、なかなか思うとおりにはいかないとは思いますけれども、私も井上委員と一緒に、四年後ぐらいにはまたこれをレビューさせていただきたいと思いますので、ぜひいい結果が出るように、今後とも引き続き努力をしていただきたいと思います。
 以上、終わります。(拍手)

平成25年決算特別委員会質問「オリンピック等のキャンプ地誘致について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 二〇一九年にラグビーワールドカップが日本で開催され、二〇二〇年に日本で二度目となる夏季オリンピック・パラリンピックが東京で開催されます。九月議会で、吉村議員、伊豆議員の一般質問において、小川知事はこの二つのスポーツの祭典において、その盛り上がりを福岡で活力にすべく、キャンプ地誘致に対して強い意気込みを御披瀝いただきました。本日は、もう少し具体的な話を伺いたいと思います。
 本県でキャンプ地誘致を行う意義は何か、これをちょっと、まずは部長からお答えいただければと思います。

◯松尾統章委員長 大曲新社会推進部長。

◯大曲新社会推進部長 この意義でございますけれども、まず、本県でキャンプが行われることは、県民の方が世界のトップアスリートのプレーを直接見ることにつながり、また、交流するということでもありますので、スポーツに対する関心が非常に高まる機会になると考えております。そして、見る、交流するということで、特に子供たちにとっては、スポーツへの夢、そして目標を持つことにもつながってくると思います。
 また、キャンプが行われることで、国内外からの観光客が大変多く訪れることが期待されます。その方たちに福岡のよさを知ってもらうことによりまして、大会後のリピーターとして観光客の確保にもつながっていくなど、地域の活性化といった効果も期待できるのではないかと考えます。

◯板橋 聡委員 一つ大事な視点が欠けているのかなと。キャンプ地誘致によって、スポーツをしない人も、福岡県にいながら、主体的にオリンピックに参加できること、これが大事な意義の一つかなと思いますが、この思いは共有していただけますでしょうか。

◯大曲新社会推進部長 委員がおっしゃられましたように、スポーツをしない人も、そういったことで非常に、一緒にスポーツを楽しむということで関心が高まってくると、それはもちろんでございます。

◯板橋 聡委員 現在、県内では、ラグビーワールドカップには十七、オリンピック・パラリンピックには二十六自治体が、キャンプ地誘致の意向を示していると聞きますが、その中にはスポーツ施設は保有しますが、それ以外のソフトやハード面での対応、例えば宿泊施設や通訳スタッフの確保、ボランティアが集まりにくいなど、キャンプ全体の受け入れに困難を抱えている自治体もあると考えますけれども、県の御認識はいかがでしょうか。

◯松尾統章委員長 清水県民文化スポーツ課長。

◯清水県民文化スポーツ課長 誘致を希望する自治体の中には、委員の御指摘のとおり、スポーツ施設を有するものの、宿泊施設が十分でなかったり、通訳等ボランティアの確保をすることが難しいという自治体があることは認識をしております。

◯板橋 聡委員 そのような自治体では、せっかくすばらしいスポーツ施設を持って、住民の機運が盛り上がっていたとしても、キャンプ地誘致が失敗したとなると、元も子もないと思います。
 私の地元みやま市も、どんなトップレベルのチームがやってきても胸を張って受け入れられるプール設備が、平成二十六年にでき上がります。しかしながら、宿泊施設が十分でなく、「外国人ってテレビでしか見たことなかばい」と。このような自治体に対して、県はどのように支援をしていただけるのでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 このような自治体におきましては、近隣の自治体と共同することによりまして、宿泊施設等、施設面の課題を解決することが可能ではないかと考えております。
 また、このように広域でキャンプ誘致を図ることは、キャンプ終了後も広域連携、地域全体の活性化につながることが期待できると考えております。
 通訳等ボランティアスタッフにつきましては、県といたしましても、その確保に努める必要があると考えておりまして、今後地域のボランティアの育成を含めまして、留学生サポートセンターや大学等と連携をするなど、具体的な取り組みについて考えていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 自治体によっては、地域内にある県所有のスポーツ施設を活用してキャンプ地誘致を行おうとするところもあると考えますけれども、このような場合、県はどのような立場で自治体との間にかかわるのでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 今月実施することが決定をいたしましたスウェーデンのオリンピック委員会のキャンプにつきましては、福岡市内にあります県有施設、県立のスポーツ施設も利用することとなっております。県といたしましても、福岡市とともに主体となって、視察や施設利用に当たっての折衝を行っておりまして、最終的には福岡市と連名で協定書の調印を行ったところであります。
 各自治体が、他の県有のスポーツ施設を利用する場合におきましても、この場合と同様に、県としては、主体的にかかわっていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ足並みをそろえて、リードするぐらいの気持ちでかかわっていっていただきたいと思っております。
 オリンピックのキャンプは、スウェーデンのように、選手団全体が福岡市一カ所で行う場合もあれば、単一種目でキャンプを行う場合もあると聞いております。規模の大きくない市町村がキャンプ地誘致を目指す場合、単一種目のキャンプを誘致することも有効と考えますが、その場合、日本水泳連盟とか日本テニス協会のような当該種目の中央競技団体の人的ネットワークを活用して、海外の競技団体へのアプローチが必要だと思われます。しかし、そのようなパイプを持っている自治体はほとんどございません。県内にはスポーツ強豪校と呼ばれる高校や大学など、国内外の競技団体と強いつながりを持つところもございます。こうした関係者と連携、協力して、誘致に取り組むことが必要ではないかと考えますけれども、御所見をお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 県内には柳川高校のテニス部や東福岡高校のラグビー部、さらには福岡大学等、海外とのネットワークを持つ高校や大学等が存在をしております。このような関係者の協力を得ることは、キャンプ地誘致を成功させるために大変重要なことだと考えております。
 今後、こうした学校関係者を初め、県体育協会、県競技団体にオブザーバーとして連絡会議に参加をしていただき、海外の競技団体の情報提供を含めたアドバイスや、関係者の有するネットワークの活用など、協力を求めていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ連絡会議は、行政主体の内輪の集まりになるのではなくて、外部の知恵だとか人的ネットワークを活用していただくことを期待しております。
 県は、これまでキャンプ地誘致を目指す自治体の連絡協議会を七月に立ち上げ、今後は情報提供やアドバイザーの派遣、または各自治体の保有施設など基礎資料を作成して、海外プロモーションをするということでございましたけれども、一番大事なのは、東京オリンピックを福岡県もキャンプ地誘致という役割で支えて、成功させようという県民の機運の醸成と考えます。この件について県はどのようにお考えでしょうか。

◯清水県民文化スポーツ課長 キャンプ地誘致に向けましては、委員御指摘のとおり、受け入れ地域の盛り上がり、機運の醸成が重要であると考えております。このため県では、来月十六日に開催いたします市町村対抗福岡駅伝をメーンとしますスポーツの総合祭典の中で、日本オリンピック委員会と協力をいたしまして、県民の皆様がオリンピックを身近に感じていただけるよう、元オリンピック選手六名と一緒にスポーツを楽しむイベントを予定しております。また、二月にはオリンピック・パラリンピックやラグビーワールドカップの試合会場誘致及びキャンプ地誘致に向けた機運を盛り上げるためのシンポジウムなどを開催する予定にしております。
 今後も、こうした取り組みを通しまして、機運の醸成を図り、通訳等ボランティアスタッフの確保を含め、キャンプ地誘致に向けて、さまざまな取り組みを行っていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 個々の事業はそれでいいと思います。ただ、県民全体が「福岡県はキャンプ地誘致で東京オリンピックを支えていく」という思いを共有して盛り上がれるような一大キャンペーンを行うべきじゃないかと、私は考えます。数年前から、東京に出張に行きますと、「二〇二〇年オリンピック・パラリンピックを日本で」「今日本にはこの夢の力が必要だ」「この感動を次は日本で」というポスター、広告、のぼり、テレビCMなどを、地下鉄だとか公共施設だとか至るところで目にしました。私は、その雰囲気にのまれて、いやが応でも気持ちが高ぶって、それがやはり二〇一三年九月七日のブエノスアイレスでの興奮、感動につながったんじゃないかと思っております。あの感動、あの昂揚感を東京だけでなく、ぜひ福岡県でもと、私は思いますけれども、そのためには、キャンプ地誘致の県として行う一大キャンペーン、こういったものが必要だと感じますが、御所見をお聞かせください。

◯清水県民文化スポーツ課長 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、キャンプ地の基準を示すガイドラインを本年中に公開する予定にしております。その後、国内各地でキャンプ地活動が本格化すると考えております。
 委員御指摘の県を挙げた誘致活動の機運の醸成につきましては、今後その内容について検討していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひ、今、六年前ですから、まだあまり熱というのは盛り上がっていませんけれども、そういうところにちゃんと火をつけていると、一年前、二年前にどかーんと盛り上がると思いますので、ぜひそういった仕掛けをして、県民みんなが一体になれるようなキャンペーンを、小川知事をリーダーとしてやっていただきたいと思っております。
 ちなみに、大曲部長はスポーツは自分でされるほうですか、それとも見て楽しむほうですか。どんなスポーツがお好きですか。

◯大曲新社会推進部長 私自身のことで恐縮でございますけれども、スポーツはするのも見るのも大好きですが、まず、するのは大好きです。ちなみに、済みません、私ごとですが、テニスはずっとしておるんですけれども、武道にも取り組みをしております。

◯板橋 聡委員 そういう理解のある部長で、ますますオリンピックキャンプ地誘致も進むのではないかと思っておりますが、スポーツは自分でする、そして見て応援する、楽しむ、そして裏方として支えるというさまざまな形で、いろいろな年代の方、男女問わず、ハンディキャップあるなし問わず、かかわることが可能だと思います。福岡県もキャンプ地誘致成功により県民がもっとオリンピックに主体的に参加できるよう、最後に部長の意気込みをお聞かせください。

◯大曲新社会推進部長 先ほど意義については申し述べましたので、今回、決意ということでお話をさせていただきます。
 委員も、東京に行くと、オリンピック・パラリンピックの熱が非常に熱いということをお話しされました。やはり、オリンピック・パラリンピックの成功に向けては、東京だけではなく日本全国でやるという意気込みが大切ではないかと思います。また、そういった中で、県内の自治体でキャンプ地を誘致していくことは、本県のスポーツの振興、また、地域活性化を図る上でも大変効果があるものだと思っております。
 このため、課長も先ほど申し上げましたが、誘致を希望する自治体への情報提供、また、アドバイザーの派遣、こういった支援を行いまして、関係機関としっかりとスクラムを組んで、あらゆる機会を通じまして海外に対するプロモーションを実施し、キャンプの誘致に取り組んでまいります。また、県内におきましても、二〇二〇年に向けて、機運をしっかりと醸成させていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 ぜひお願いいたします。終わります。(拍手)