◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。withコロナ期をテーマに今回、決算特別委員会で質問してまいりましたが、本日は第四弾として、withコロナ期における県政運営について質問をいたします。
福岡県では福岡コロナ警報が本日解除されるとの報道ですが、一方で、昨日の衆議院内閣委員会において、政府新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長は、感染がゼロになることは当分難しいと発言するなど、ワクチンや特効薬が開発されない限り、我々は新型コロナウイルスとうまく共生していくしかありません。
本日、新聞の一面には、全日空が年収三割削減案を労働組合に提案したとのことです。今までは様々な給付金や支援策で何とか経済活動を維持すべく、国、県、市町村は頑張ってきましたけれども、いよいよ新型コロナの悪影響が具体的に広がり始めたなと、背筋が寒くなる思いであります。
このwithコロナ期において、県政を進めるに当たり、財政課長として何が大切と考えられますでしょうか。
106◯栗原 渉委員長 石橋財政課長。
107◯石橋財政課長 新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、今後も新型コロナ感染症と長く向き合っていかなければならないと認識をしております。そのような中で、医療提供体制の維持確保を中心に据え、社会経済活動と感染防止対策を両立させていくことが大切であると考えております。
財政課長として申し上げますと、この両立を図るため効果的な事業を実施していくことが大切でございます。事務事業の見直しなどにしっかりと取り組みまして、必要な財源を確保していくことが重要であると考えております。
108◯板橋 聡委員 四月、六月補正において、既定予算の見直しを行っておりますけれども、それについて執行部に資料を要求しておりますので、委員長、お取り計らいをお願いいたします。
109◯栗原 渉委員長 お諮りいたします。
ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
110◯栗原 渉委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。
111◯石橋財政課長 直ちに提出します。
112◯栗原 渉委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
113◯栗原 渉委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
114◯栗原 渉委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
115◯板橋 聡委員 資料について簡潔に御説明をお願いします。
116◯石橋財政課長 本年四月及び六月におきまして、事業の見直し、減額補正を行いました。この資料は、見直し区分ごとに主な事業をお示ししたものでございます。
117◯板橋 聡委員 見直しとは、つまり中止、規模縮小、延期に伴う予算の減額が行われたわけですけれども、その目的を再確認させてください。
118◯石橋財政課長 新型コロナ対策予算の編成に当たりましては、医療機関の感染防止対策や患者受入れ医療機関に対する支援、宿泊事業者への緊急支援や中小企業の資金繰り対策、さらには福岡県持続化緊急支援金の創設など、県単独事業の実施に多額の予算措置が必要でございました。
当時、国の第一次補正予算でございますけど、そこで新設をされました新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金、全国枠で一兆円でございました。これから私ども推計をいたしました本県への配分額のみでは大幅な財源不足が生じる見込みでございました。これを少しでも補うために、特別職の給与減額も含めまして事業の見直しを行い、新型コロナ対策の財源として活用したものでございます。
119◯板橋 聡委員 減額見直しの内容について、改めて説明をお願いします。
120◯石橋財政課長 事業の見直しを検討いたしました当時は、感染が急拡大をしており、外出の自粛や緊急事態宣言に伴います休業要請などを行ってまいりました。このため、いわゆる三密状態を招きますイベント、大会、セミナーの実施や、県外、海外出張が計画どおりに実施できる状況ではございませんでした。そのような事業、経費を中心に、感染拡大防止の観点から減額を行ったものでございます。
121◯板橋 聡委員 では、その見直しの規模はどれぐらいだったのでしょうか。
122◯石橋財政課長 提出をいたしました資料の上段に記載をしておりますが、四月補正、六月補正を合わせまして、見直し額合計で十七億四千六百万円、うち一般財源で十二億三百万円の減額を行いました。
主な内容でございますが、大会、イベント等に関するものが八億一千八百万円、国際交流に関するものが一億二千六百万円、活動の自粛に関するものが三億三百万円、その他の見直しが四億九千九百万円となっております。
123◯板橋 聡委員 常日頃より財政規律を重んじる財政課としては、このような減額見直しには積極的に取り組みやすいのではないかと思いますけれども、一方で、この見直しによる事業への影響はどうだったのか、この資料の中から幾つかの部署に確認をさせていただきたいと思います。
まず、伝統工芸振興事業費について、見直しの影響、関係者の声などを説明してください。
124◯栗原 渉委員長 神代観光政策課長。
125◯神代観光政策課長 この事業は、本年開催予定でございました東京オリンピック・パラリンピック、この機会を捉えまして、海外から訪日される観戦者の方々に、小石原焼、久留米絣など本県の伝統的工芸品に触れていただき、その魅力を知っていただき、そして買っていただくことを目的といたしまして、アンテナレストラン福扇華など東京にございます福岡県ゆかりの店でイベントや販売会を行う予定としておりました。
新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、この機会が失われたわけでございますが、伝統的工芸品の産地の方々からは、こういった機会がなくなったことは非常に残念だ、感染症が落ち着き、来年、東京オリンピックが開かれる際には、ぜひ東京でのこうした販売会を行ってPRを行いたい、そうした御意見をいただいております。
126◯板橋 聡委員 次に、県産農林水産物輸出強化費について、見直しの影響、関係者の声などを説明してください。
127◯栗原 渉委員長 松尾輸出促進課長。
128◯松尾輸出促進課長 この事業は、販路開拓のため、海外シェフの招聘や海外で開催される商談会への出展等を計画していたものです。しかし、新型コロナウイルスの影響で出入国が制限されておりまして、海外との人の往来を含む事業は実施できておりません。一方で、日本産農林水産物のニーズは高く、量販店向けを中心に輸出自体は継続をしているところです。
事業者からは、コロナ禍で対面式の商談ができないので、売り込む機会をつくってほしいといった声が上がっております。
129◯板橋 聡委員 続いて、県育成果樹生産拡大・販売力強化費について、見直しの影響、関係者の声などを説明してください。
130◯栗原 渉委員長 中馬園芸振興課長。
131◯中馬園芸振興課長 この事業は、早味かんや秋王などの果実について、新規の市場や量販店との商談を行うとともに、首都圏でのリレー販売とこれによる一体的なPRを計画していたものでございます。しかし、対面での商談や量販店店頭での試食宣伝販売の実施を断念せざるを得ない状況となったところであります。
関係者からは、今年はやむを得ないが、状況が改善すれば、新たな販路開拓や一体的なPRの取組はぜひ実施したいとの意見をいただいているところでございます。
132◯板橋 聡委員 最後に、アジア自治体間環境協力推進費について、見直しの影響、関係者の声を説明してください。
133◯栗原 渉委員長 山口環境政策課長。
134◯山口環境政策課長 この事業は、友好提携地域でありますタイやベトナムなどの行政官を本県に招聘いたしまして、環境技術やノウハウに関する研修を行うものでありますが、新型コロナウイルスの影響で海外渡航が不可能となっているため、本年度は実施を見送らざるを得なかったものでございます。
この研修は、各国から、自国に必要な先進的な知見を学べるといった高い評価をいただいておりまして、実施の見送りについては非常に残念に思うとの声が寄せられているところでございます。
135◯板橋 聡委員 このように、各部において施策の拡大、発展のため準備していた事業が、この感染拡大によって実施できなくなるという状況に追い込まれたわけであり、関係者はもちろんですけれども、事業課の職員の皆さんにとってもつらく苦しい状況にあることがよく分かったと思います。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染は一旦収まるかと思えば、あっという間に再拡大したり、来年度においても必ず収束しているとは残念ながら断言できない現実もあります。先ほど感染拡大防止の観点から見直しを行ったとの答弁の趣旨からすれば、新型コロナが収束すると言い切れない、来年度もこの一覧にあるような減額した事業を実施しないと、そういうお考えがあるのでしょうか。
136◯石橋財政課長 事業の見直しを行いました年度当初と異なりまして、県としましても必要な事業を講じてまいりましたが、社会全体において、新型コロナウイルスに感染しにくい生活スタイルというものが定着しつつあると考えております。適切な感染防止対策がなされることが大事でございまして、一律にイベント、大会や国際交流事業などを実施しないという考えは持っておりません。
137◯板橋 聡委員 本当に県の対応が一歩間違えれば、県民や事業者を委縮させ、ひいては地域経済を冷え込ませ、活性化を難しくする、いわゆる官製不況を生み出すリスクもあると考えますが、課長の意見をお聞かせ願えますか。
138◯石橋財政課長 先ほどもお答えしましたとおり、感染拡大防止のために、一律に大会、イベント等を実施しないという考えは持ってございません。感染の収束状況に応じました防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていくことが重要でございます。このため、新しい生活様式への対応を推進し、地域経済、住民生活の支援につなげる事業を実施していくことが必要であると考えております。
139◯板橋 聡委員 御説明ありましたとおり、今回の減額は緊急時の対応と理解をしております。当時は他県においても、コロナ対策の財源に充てるため、不要不急の事業を減額したとの報道がなされていたと記憶をしております。不要不急とは非常に乱暴な言葉で、その事業とは直接関わりのない方にとっては不要不急に見えるかもしれません。しかし一方で、真にその事業を必要としている人、その事業でなりわいを維持している方々もいますし、将来の県勢振興につながる未来への投資も含まれております。
確かに人命を守るため、感染対策は大事ですけれども、人の生活も同じように大切ではないでしょうか。来年度の予算においても、感染防止一辺倒の削減がなされれば、コロナ禍で落ち込む地域経済の打撃は計り知れません。このようなことのないように、来年度予算に向けた部長の考えと決意をお聞かせください。
140◯栗原 渉委員長 奥田総務部長。
141◯奥田総務部長 財政課長が答弁申し上げましたとおり、今後も新型コロナウイルスと長く向き合っていかなければなりません。経済社会活動と感染防止対策を両立させていくということが重要であります。
来年度の予算編成に当たりましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策と地域経済の回復に取り組む必要がございます。このため、住民生活の支援に資する事業が確実に実施できるようにしていくほか、感染拡大に伴う生活の変化や行動変容を見据えた先駆的な施策について、県庁全体で知恵を絞ってまいりたいと考えております。
あわせまして、財源確保が重要でありますので、国に対しまして、地方創生臨時交付金や緊急包括支援交付金など、地方が必要となる財源を要望しておりまして、引き続き全国知事会を通じて働きかけてまいります。
142◯板橋 聡委員 出口の見えない新型コロナウイルス感染症と言われますけれども、同時に、あっという間にアフターコロナの状況に推移するかもしれません。この中途半端な状況を私はマニュアルトランスミッションの自動車での坂道発進に例えたいと思います。ブレーキ、アクセル、クラッチをバランスよく操作して、力強くこの困難なコロナウイルスの坂道を乗り切ってほしいという思いから、福岡県行政のドライバーである小川洋知事に直接問いたいと思いますので、委員長、知事保留のお取り計らいをお願いします。
143◯栗原 渉委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は、十月十二日月曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
144◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)