私が所属する総務企画地域振興委員会の管内視察で7月29-30日に嘉麻市と田川郡添田町を訪問しました。備忘録代わりに書き留めておきます:
○ 寒北斗酒造株式会社
1729年創業で遠賀川の伏流水を汲み上げ地域の地酒として高い評価を受けている嘉麻市の酒蔵、寒北斗酒造さんが取り組む、日本酒を通じた海外交流について杉田社長より直々にお話しをお伺いしました。
日本に留学経験があり、福岡県田川市出身の奥様を持つ、ニュージーランドのデービット・ジョールさん。約5年前に寒北斗酒造を見学に訪れ、同年代の杉田社長と意気投合し、お付き合いが始まる中で、ニュージーランドで日本酒を造りたいとの相談。杉田社長は当初「厳しいから絶対やめておけ」とアドバイスしましたが、デービットさんは酒造りを開始。当初は「マズい」日本酒でしたが改良や米の品種の検討を重ね、最終的には素晴らしい商品が出来、日本への逆輸入も開始されたとのこと。
そんな中ラグビーを愛するデービットさんが、2019年ラグビーワールドカップ日本開催を機に、ニュージーランド・ラグビー代表の愛称である「オールブラックス」を意味する「全黒」という商標で日本酒を作りたいと、寒北斗酒造さんへコラボを申し入れ、実現しました。
仕込みが一回でしたので量が少なく、既に完売したそうですが、オールブラックスとラグビーのイメージが見事に表現されたラベルを纏った、素晴らしい日本酒が出来上がりました。
また、一昨年は「日本の文化を日本酒を通じて学びたい」と電子メールで突然申し出た、スペイン出身のロセル・メンデスさんの長期研修を受け入れたとのこと。外国人研修生の募集も受入体勢も無い中、男社会でもある酒造りの現場ですが、ロセルさんの熱意に押されて承諾。約3ヶ月にわたり住み込みで酒造りを通じた日本文化に触れて頂き、今では発信者として福岡最大の酒イベントである「&SAKE FUKUOKA」などに来日されているそうです。
○ 嘉麻市足白地区観光拠点施設整備
嘉麻市は面積約135km2で人口三万八千人、人口減少が激しく、私の地元であるみやま市と同じ悩みを抱えた地域です。
そんな中、廃校となった小学校を九州最大級のボルダリング施設やレストラン・宿泊施設を含む観光拠点として整備して昨年より開設されました。ボルダリングセンター K-WALLは高さ4.5m、総延長46m、農泊施設 カホアルペは客室17室、レストラン60席で嘉麻市のウィークポイントである宿泊と食を充実強化させます。
全国各地の地方自治体が地方創生の努力をするなか、単に他地域の成功事例を追うだけでは金太郎アメになるだけです。そんな中2020年東京オリンピックでも採用されるボルダリングというまだまだ一般的では無いけど、「尖った」スポーツで誘客を目指すことは一つの見識と感じます。
ちなみに赤間市長は柳川高校の野球部出身との事で御縁を感じます。今後、市の魅力を高めて交流人口の増加と市内における滞在時間延長がどのように推移するか注目したいと思います。
○ 添田町「ヒシミツ」
添田町の醤油屋さんを改装した「ヒシミツ」というレストランにて、特産品のブランド化における地域おこしと観光戦略について寺西町長直々にご説明頂きました。
人口減少に伴う、町内事業者の減少や地域経済の衰退を懸念し新規創業者に対する最大150万円の補助、六次産業化ベンチャーへのマーケティングリサーチ・販路開拓支援、地域おこし協力隊を活用したジビエや商品流通の推進などテーマを明確にした支援を推進されています。
定住促進においても若者定住住宅として、夫婦共に45歳以下で小学生以下の子供がいる世帯を対象とした定住支援。空き家対策として、空き家を購入しリノベーションする場合にリノベーション費用の一部を支援し、更に町内建設業者利用や、多世帯同居、若者世帯へのかさ上げ補助など目的を明確にした施策を行っています。
駆け足になりましたが、今回の視察を今後の県政運営にしっかりと活かしていきたいと思います。