平成31年2月議会一般質問「児童生徒の学力向上について」

知事答弁も含めて、録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
板橋聡の議会質問録画中継

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質問要旨 一、児童生徒の学力向上について
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◯十九番(板橋 聡君)登壇 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。今任期最後の一般質問となりますが、通告に従い、今任期を通じて取り組んでまいりました児童生徒の学力向上について質問いたします。
 本県の小中学校における学力向上については、教育政策の重要課題として議会でもたびたび議論されてきたところです。都市部への人口一極集中をとめるためにも地域の魅力を高めることが必要で、その中で特に教育が果たす役割は、地味で時間がかかるものですが、一番重要だと考えます。私には小学生の三人の子供がおり、みやま市で子育て中ですけれども、県下どの地域に生まれても、義務教育段階で子供たちの将来の可能性を最大限に広げることができれば、地域の魅力は向上し、定住人口の確保を初めとする地方創生につながるし、またその逆もしかりと実感しております。
 その点を踏まえて、私は平成二十八年三月の予算特別委員会において、児童生徒の学力の状況とその向上策について、本県では特に中学生の学力が伸び悩んでいること、そして伸び悩み方も各地域によって特徴があることを指摘いたしました。例えば、私の地元南筑後地区では、全国学力・学習状況調査の結果を分析すると、小学校は全国平均を超え、福岡県全体の成績を牽引するような立場なのが、中学校になると全国平均を下回る成績に落ち込む傾向があります。このような地域の特徴をしっかりと捉えて、県の取り組みを市町村や学校に行き届かせることや、中学校に特化した取り組みの見直しなどを指摘したところです。さらに、同じく平成二十八年十月の決算特別委員会においては、中学校の学力向上に向け、定期考査のあり方や、市町村、学校におけるPDCAサイクルの徹底、小学校五年生から中学校三年生まで継続して学力推移を把握することの必要性などを指摘し、より具体的で実効性のある取り組みを求めたところであります。これらの指摘を受け、県教育委員会においては、各地区の教育事務所から、地域の特徴に応じた支援を行うチームを中学校に派遣したり、県立高校の入試問題を活用した中学校用教材を作成することとなりました。また、各学校で学力向上プランを策定してPDCAサイクルを確実に行うよう位置づけられた上で、県の学力調査の対象に中学校一年生を追加して、小学校五年生から中学校三年生まで切れ目なく学力の変化を分析する取り組みを進めていると理解しております。各地域の学力向上は、人づくり、福岡県全域の均衡ある振興発展にかかわる課題であります。子供が、県内のどの地域で育っても、将来の社会の担い手として活躍できる人材となるために、小中学校の段階で十分な学力を身につけられる環境を整えることこそが未来の福岡県をつくる基盤となると信じております。そのために、単に全国学力調査の点数の上下に一喜一憂するのではなく、課題がある地域に対して着実に取り組みを進め、県内の全ての地域の学力を一定水準に上げていくことこそ、本県教育の使命であり義務であります。
 そこで、子供の未来のために、県の学力向上の取り組みについて、教育長に以下三点質問いたします。まず一点目、本県児童生徒の学力の現状について、教育長はどのように総括しているのか御所見を御披瀝ください。
 そして二点目、学力向上に向けた県のこれまでの政策は効果があったのか、これまで幾度か質問に取り上げてきた南筑後の状況を含めて御説明ください。また、その課題についてどのように捉えているのかお答えください。
 最後に三点目、現在の課題を解消し、さらなる学力向上を図るため、今後、県としてどのように取り組むのか、県教育トップである城戸教育長の意気込みも含めてお聞かせください。
 以上、県下全域で子育て世帯の皆様が福岡で子育てしたい、福岡県に住み続けたいと思えるような力強い答弁を期待して、質問を終わります。(拍手)
32◯副議長(畑中 茂広君) 城戸教育長。
*教育長答弁
33◯教育長(城戸 秀明君)登壇 児童生徒の学力の現状についてでございます。平成三十年度全国学力調査の県全体の結果では、四教科区分の平均で見ると、小学校は、全国の値を上回っており、四年連続で向上し、調査開始以来最も高い値となっております。中学校は、三年連続で向上傾向にあるものの、依然として全国を下回っており、小学校で伸ばした学力を中学校段階で十分に伸ばすことができていないことが課題と考えております。また、特に中学校では、全ての教科区分で全国の値を超える地区がある一方で、全ての区分で下回っている地区もあり、いまだ地区間格差が解消されておりません。さらに、本県は、生徒の問題解決に向けた主体的な態度や、話し合いによる探究活動などの値が全国よりも低く、今後、小中学校九年間のつながりを意識しながら授業改善などの取り組みを行う学校の組織的マネジメントを徹底させることが必要であると考えております。
 学力向上に向けた施策の効果についてでございます。これまで県教育委員会では、学力向上推進強化市町村の指定による非常勤講師の配置や指導主事の重点的派遣を行い、学力実態の厳しい市町村への支援を継続して行ってまいりました。また、近年は、学校が学力調査結果を活用して全職員で課題を分析し授業改善に生かすための取り組みについて、モデル事例の紹介やすぐれた授業に学ぶ研修の実施、県立高校入試問題を活用した学習資料の提供などを通して意識改革を図ってまいりました。これらの取り組みが学力の検証改善に向けた教員の意識の向上や、筑豊地区小学校の学力向上などの効果を生んでいると考えております。南筑後地区の中学校では、昨年度まで、検証改善サイクルの確立が大きく立ちおくれていましたが、教育事務所による管理職支援訪問や中堅教員を集めた授業改善セミナー等の取り組みを通して、検証改善を行う学校がふえつつあります。しかしながら、思考力を育てる授業づくりに向けた教員の意識や、小学校、中学校間をつなぐ意識は、中学校においていまだ不足しており、その改革を図り、小学校で培われた学力を持続的に高めていくことが南筑後を初めとした本県の課題でございます。
 今後の学力向上の取り組みについてでございます。未来社会のつくり手としての学力を育むことの大切さについて、学校が地域、保護者と共通理解し、校区一体となった機運を高めることがまずは重要であり、このため、三月までに全ての小中学校が地域、保護者に対し、学力向上に係る丁寧な説明を行うよう、県として働きかけております。また、平成二十九年度から中学校一年生を県版学力調査の対象に追加し、小学校五年から中学校三年までの切れ目のない状況を把握できるようになりました。これをもとに、中学校段階での学力が伸び悩んでいる地域においては、小中を一貫させた視点から同一集団の経年変化を分析し、そのデータを踏まえた小中合同での研修を行うよう啓発を進めております。あわせまして、他地区のすぐれた取り組みを学ぶ地区間交流研修を充実させ、義務教育九年間をつないだ効果的なマネジメントの具体例を南筑後地区を初め県全体に浸透させ、意識改革を図ってまいります。