平成28年度予算特別委員会・知事保留質疑「中学校の学力向上について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 中学生の学力向上について質問いたします。もとより教育問題に関する質疑は教育長において完結すべきところではありますけれども、本件につきましては、現在、県が強力に推し進めています地方創生総合戦略や知事の公約でもある幸福度日本一に深くかかわりますので、財源の面も含め、知事の認識を問いたく、本日、直接質問させていただきます。
 私は、予算特別委員会第十款の審議で、全国学力・学習調査の結果を比較すると、地区により大きな特徴があることを指摘しました。
 具体的には、私の地元南筑後地区では、小学校六年生時点で全国平均からマイナス〇・三ポイントと、福岡地区と並んで県全体の成績を牽引する位置にあったのに、中学校三年生になると、全国平均からマイナス一六・二ポイントと大きく引き離されるという結果が出ています。南筑後の子供たちは、せっかく小学校で頑張っているのに、中学三年間でスポイルされてしまい、まるでスタミナ切れを起こしたマラソンランナーがずるずると後退するかのような印象さえ持ちます。
 我が会派の井上順吾議員が同様に予算特別委員会で明らかにしましたが、主たる学習塾が存在しているのは福岡地区と政令市がほとんどです。中学三年生の全国学力・学習調査の成績は、これに比例するかのごとく、福岡地区と政令市だけが辛うじて全国平均レベルを保ち、それ以外の地域は完全に低迷しています。このままでは、子を持つ親は学習環境のよい政令指定都市や福岡地区に集中し、地方創生が掲げる都市部への人口一極集中をとめるなんていうことはできないと思います。
 知事はこの結果を見てどのように思われますか。特に南筑後のように全国平均から中学三年間で大きく成績を落とすような地域があることについても、あわせて所見をお聞かせください。

◯加地邦雄委員長 小川知事。

◯小川知事 委員も今指摘されましたように、本県では、小学校から中学校に上がりますと、正答率の全国との差が全ての地区で広がる傾向にございます。特に、今、御指摘ありました南筑後、そして京築両地区でその傾向が顕著に見られるところであります。こういった実態は、全県的な学力向上を図る上で解決していかなければならない課題であると認識しております。

◯板橋 聡委員 中学校で学力が落ち込む傾向については、解決しなければならない問題と認識をしていただきました。これに関しては城戸教育長も同じ認識で、私の予算特別委員会の質疑において、教育長には、平成二十四年度に策定された総合計画が来年度最終年度を迎えることを踏まえて、地区の実情に応じた地区別の施策を含め、目標設定及びその達成に向けての方策から大胆な見直しをすることをお約束いただきました。
 新しい施策には新しい財源が必要となります。教育は地味で時間がかかりますが、最終的に一番効果がある地方創生施策と思っております。地方創生を教育の分野からしっかりと下支えするためには、現在の教育庁の予算の中でやりくりするだけではなかなか厳しいのではないでしょうか。私は教育庁の回し者ではございませんけれども、小学生と幼稚園の三人の子を持つ親としても、教育庁の本件に対する今後の新たな取り組みに、しっかりとした財源の裏づけにより知事部局側からのバックアップをお約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◯小川知事 学力向上につきましては、これまでも、強化市町村を指定するなど、地域の実情に合わせた形でいろいろな施策、支援をやってきたところでございます。
 今後の中学校対策でございますけれども、現在、教育委員会のほうで、例えば小学校で全国平均水準にあります福岡地区、あるいは南筑後地区というものを中学校でさらに伸ばしていく取り組みなど、各地域の状況を踏まえた具体策を今検討していただいているところでございまして、その検討結果を踏まえた上で、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 昨年十二月議会にて承認されました地方創生総合戦略に四つの基本目標を知事は盛り込まれましたね。知事は、教育問題はこの四つの基本目標のうち、どれに一番かかわりが深いと考えられますでしょうか。

◯小川知事 全てにかかわっていると思っております。その基本だと思っております。

◯板橋 聡委員 一つだけ選ぶなら。

◯小川知事 なかなか選びにくいと思いますけれども、いきいきとそれぞれが能力を発揮して、その地域で暮らしていける、それで魅力ある職場に就職できる、そういったものの基本をなすものだと思っております。

◯板橋 聡委員 決してこれは知事をどうこう言うわけでありませんけれども、基本目標の四つの中で一番文教問題に深くかかわっているのは、地方創生を担う人材の育成、これは三番目の目標ですね。
 それで、私が思うのは、子が親を選べないように、生まれてくる子供たちは、ふるさとを選べません。基本目標の四番に、誰もが住みなれた地域で暮らしていける活力ある地域づくりというのがございます。県内どこに生まれても、しっかりとした義務教育を受けることができることは、まさにこの目標に合致すると思います。このことを忘れず、幸福度日本一の福岡県を議会とともに目指しましょう。終わります。(拍手)