◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。きょうは中学生の学力向上について質問させていただきます。
資料として、平成二十四年度小学校六年生と平成二十七年度中学校三年生の全国学力学習状況調査の結果推移を要求しています。お取り計らいのほど、よろしくお願いします。
◯加地邦雄委員長 お諮りいたします。ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕
◯加地邦雄委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。相原義務教育課長。
◯相原教育庁義務教育課長 はい、直ちに提出いたします。
◯加地邦雄委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
〔資料確認〕
◯加地邦雄委員長 事務局は資料を配付してください。
〔資料配付〕
◯加地邦雄委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。
◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。
◯相原教育庁義務教育課長 御説明します。配付資料一のグラフは、全国学力・学習状況調査における本県公立小中学校の平均正答率の全国平均との差の推移を示したものです。
下段の二の表は、平成二十四年度の小学校六年生と平成二十七年度の中学校三年生の平均正答率の三年間の変化を、これも全国平均との差で示したものであります。なお、この平成二十四年度の小学六年生と平成二十七年度の中学校三年生は同じ集団であるということになります。以上です。
◯板橋 聡委員 では、この資料から読み取れることは何か、教えてください。
◯相原教育庁義務教育課長 配付資料の一のグラフになりますけれども、まず小学校は改善しつつありますけれども、中学校はやや下降傾向にあるということ、また二の表から、小中学校ともに地区間で格差が生じていることが挙げられると思います。
さらに、県立中学校や私立中学校等への進学者を除いて、ほぼ同じ母集団であるこの中学校三年生と小学校六年生とを比べたときに、小学校から中学校に進学すると全国との差が広がってしまうという傾向が、ほとんどの教科区分に見られる。また、地区別に見ますと、南筑後地区及び京築地区におきまして、その傾向が顕著でございます。
◯板橋 聡委員 中学校で学力を伸ばせない要因はどこにあると考えられますか。
◯相原教育庁義務教育課長 全国学力・学習状況調査によりますと、本県の中学校につきましては、学校全体の学力傾向や課題についての全職員での共有が弱い、さまざまな考えを引き出したり、思考を深めたりする発問や指導が弱い、授業中、私語などがなく、落ちついている学校が少ないという組織運営、授業改善、児童生徒のそれぞれに課題が見られ、これらが主な要因になっているものと考えております。
◯板橋 聡委員 これは、これまでずっと県教育委員会が言ってきたことを繰り返しお話をされていると思うんです。これは県教育委員会の分析結果とか、あるいは取り組みが、現場で小学校、中学校の教育をつかさどります市町村の教育委員会、あるいは学校に届いていないのではないかと感じますが、どうやったら意思疎通が徹底するのか教えてください。
◯相原教育庁義務教育課長 今年度から、学力向上に関する重要な事項につきましては、可能な限り義務教育課、本庁が各地区の学力向上推進委員会や校長会に出向いたり、教育事務所が実施する学校訪問に参加したりするなど、関係者に直接説明する機会を設ける取り組みを開始いたしました。
さらに、市町村教育委員会連絡協議会の会合にも参加するなど、市町村教育長との意見交換の機会もふやしております。
今後もこれらの取り組みを継続し、県教育委員会としての指導助言内容の統一と徹底を図りますとともに、各教育事務所における学校の実情に応じた支援機能の強化を行ってまいりたいと思います。
◯板橋 聡委員 ことしから県庁から直接学校訪問に行ったりするという、その意気込みはよくわかるんですけれども、逆に県教育委員会の意気込みが上滑りして取り組みが一方通行にならないか、もっと言えば面従腹背のような状況にならないか懸念いたします。そのためには、市町村や学校からのフィードバックも得ながら、県教育委員会の政策を深化、深堀りしていくような努力をするとか、県教育委員会と市町村の信頼関係の構築も必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
◯相原教育庁義務教育課長 学力向上施策、あるいは指導助言を徹底していく前提としまして、教育庁本庁におきましても、各教育事務所や市町村、学校の現場の状況を的確に把握しますとともに、さまざまな現場の関係者と緊密に県教育委員会の方針をめぐって議論し、フィードバックを受けて、それを企画立案段階から生かしていくことが大切であると認識しております。
県教育委員会の施策が一方通行にならないように、今年度は特に教育長がみずから市町村教育長と意見交換を行ったり、市町村教育長や各地区の校長会長に緊急にアンケートを実施しましたり、私自身も市町村教育委員会や学校を個別に訪問し、意見交換を行ったりするなど、双方向の意思疎通に努めてまいりました。引き続き、このような改善を重ねてまいりたいと思います。
◯板橋 聡委員 資料の全国の平均正答率との差の推移を一番で見てみると、大きな流れとして、小学校は改善傾向が見えつつあるのかなと。その一方で、先ほど御説明ありましたとおり、中学校は現状維持も怪しく、逆に下降しているように見えています。という意味では、中学校に特化した施策によるてこ入れも必要かと思いますけれどもいかがでしょうか。
◯相原教育庁義務教育課長 昨年十月に、県、両政令市及び市町村代表の四教育長が懇談いたしまして、中学校の学力向上を狙いの一つとします取り組みとして、一点目にノー部活デーの週一回の設定、二点目にスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフの活用により学校を支援する施策の強化、三点目に学校とPTAが連携した携帯、スマートフォンの使用ルールづくりの推進を協調して全県的に推進することを確認いたしました。
特に、二点目につきましては、当初予算案にチーム学校推進事業として必要経費を盛り込んだところであり、中学校における生徒指導や教育相談の体制強化を図りまして、生徒が学習に向かう環境づくりを進めてまいります。
◯板橋 聡委員 今のお話は、基本的には中学生が勉学に向き合うための環境を整えるという話だと思います。もちろん環境整備は大切です。しかし、結果を出すには、環境整備にとどまらず、中学校における学力が伸び悩んでいる現実を真摯に受けとめ、その要因の分析をしっかりと行い、中学校に特化した学力向上施策の具体的で大胆な見直しを図るべきではないでしょうか。
◯相原教育庁義務教育課長 全国学力・学習状況調査及び福岡県学力調査の結果から、課題が見られる学校に教育事務所の学力向上フォローアップチームを個別に派遣し、管理職に学校経営上の指導助言をきめ細かに行う学校訪問を本年度、試行的に導入いたしました。来年度から本格的に運用を開始し、全県的な意識改革と地域の実情を踏まえました支援の強化を推進してまいります。
また、例えば南筑後地区につきましては、前回の学習指導要領の改訂で明記された言語活動の学校全体での取り組み率、あるいは講師を招聘しての校内研修の実施率、このような指標を見ますと、小学校では県内六地区で最も高い、それに対して中学校では最も低い、このような状況も判明しつつあり、地区の実情をさらに掘り下げる必要もあると認識しております。
小中学校長の代表者を集めての六地区合同の学力推進協議会を、本年一月に初めて開催いたしました。今後もこれを継続し、四教育長懇談会で確認した学力向上の取り組みの推進状況等を協議するなど、学力向上の責任者たる校長に働きかけを強めていくとともに、各地区の実情の分析を踏まえた施策のあり方についても意見交換を行いまして、学力向上施策の刷新を図ってまいりたいと考えます。
◯板橋 聡委員 しっかり頑張っていただきたいんですけれども、先ほど相原課長のお話の中でも若干触れられましたけれども、小中学校を切り分けて学力向上施策について議論させていただきましたけど、さらに地区別に特徴があることを、もう一度指摘させていただきます。資料二番目の一番下の段を見ていただければわかりますが、各地域の小学校六年生が、中学校三年間、その地域でまた教育を受けて、中学校三年生になっての成績がどのように変化するかを地区ごとにあらわしている表なんですけれど、先ほど課長ご指摘のとおり、南筑後地区は、小学校六年生時点では全国平均からマイナス〇・三点ということで、県内では福岡地区に肉薄する成績なんです。これが中学三年生になるとマイナス一六・二と、先頭グループから脱落してしまうような状況なります。昔、子供のころ、学校の先生から私は、得意科目は予習をしてもっと伸ばす、苦手科目は復習をして基礎を身につけるということを教えていただきました。これは地区別の学力の状況を見ても、同じようなことが言えるんじゃないかと。学力向上において、やはり地区の特徴をしっかり捉えて、各地区の実績に即した取り組みをするべきじゃないかと思います。
今年度、筑豊地区への支援が強化されております。筑豊地区の底上げは県全体の学力向上に必須で、これは今後も継続しなければならないと思いますけれども、福岡地区、あるいは南筑後地区等では、小学校では全国平均レベルの成績であるわけですから、ここをもっと伸ばして県全体の成績を牽引するような立場であり続けると、そういうことにならなければいけないと思います。南筑後地区の中学校の段階でどういう取り組みをするか、ここをよく考えていただくことが必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。
◯相原教育庁義務教育課長 学力向上の大きな柱は、授業改善にあると考えております。全ての児童生徒がよくわかる授業が各学校の各教室で展開されることが大切であります。本年度からは、全ての小中学校の学力向上推進コーディネーターを対象に、各地区の実情を踏まえた研修を実施しまして、特に習熟度に応じたきめ細かな指導についての研修を深めてまいりました。
県全体としては、補充的な学習の充実が必要な地域がいまだ多いものの、学校の状況に応じまして積極的に発展的な学習を取り入れるなど、学力の高い児童生徒の能力をさらに伸ばす、個に応じた指導も推進してまいります。さらに、来年度からは、新たに各教育事務所に授業づくり支援チームを組織しまして、各地区の特徴を捉えまして、各学校の実情に応じた教員の授業力の向上を積極的に支援してまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 地方創生におきまして、都市部の人口一極集中をとめるためにも地域の魅力を高めることが必要ですけれど、その中で私は教育が果たす役割というのは一番重要だと考えております。県下どの地域に生まれても、義務教育段階で子供たちの将来の可能性を最大限に開かせることが重要だと考えております。しかしながら、中学校の現状は、全国学力調査で全国平均を超えるという県教育委員会の目標にはほど遠いんじゃないでしょうか。
実は、来年度は五年に一回の県の総合計画の見直しの時期に当たります。全国学力調査で全国平均を超える、これを大目標と言うのはちょっと恥ずかしい話ではありますが、それでも今は、これが福岡県においては大目標でございます。この大目標を夢ではなく、しっかりと現実のものとするには、大目標の実現に確実につながっていく中目標や小目標を立てるべきだと考えています。
例えば、我々も受験を経験しましたが、中学校二年生の終わりぐらいに志望校を決めて、夏休みまでにこのドリルを何冊やってとか、そういうことを決めて、そのためには中間テストまでにここまでやっておくように頑張って、そのためには今月何をやって、今週何をやるべきかということが決まる。こういうブレークダウンが大目標の実現には必要かと思います。ぜひ、次期目標設定からこういった手段を反映させるべきだと思いますけれどもいかがでしょうか。
◯相原教育庁義務教育課長 県教育委員会としましては、この全国平均を超えるという目標そのものは、県民の信頼を得る上でわかりやすいものであり、その達成を目指していく考えでございますけれども、目標を立てる以上は、その実現に向けて確実に目標管理を行い、その過程を検証、改善していくことが重要であると認識しております。課題の大きい中学はもとより、改善傾向が見えてまいりました小学校も含めまして、委員御指摘のとおり、全国平均という大目標の実現につながるような、より下位の目標を具体的に設定し、それらの実現を着実に積み上げていくことが求められている状況にあると認識しております。
県教育委員会としましては、県学力向上推進会議等の場におきまして、市町村や学校における目標の設定管理の好事例の収集、本年度から開始した福岡県学力調査の分析結果の活用方法の検討、地区や学力低位層への着目などを通じまして、正答率の向上につながる具体的な指標を検討し、これを平成二十九年度の目標設定から反映させてまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 課長に平成二十九年度の目標設定から反映させると宣言をしていただきました。私は毎週日曜日八時、NHKで「真田丸」を見るのが大好きなんですけれども、先週、上杉景勝のもとに単身乗り込んだ真田丸のりりしさを、今、課長の姿から感じとりました。
教育長、家臣ともいうべき部下にここまではっきり宣言をしていただきました。中学校の学力強化に向けた教育長の決意を聞かせてください。
◯加地邦雄委員長 城戸教育長。
◯城戸教育長 本県の中学校の学力でございます。これは、ここ数年来、大きな課題と受けとめておりまして、いずれもいまだ取り組みの成果は上げていない、改善すべき余地が多々あると基本的に認識しております。
低学力問題へのアプローチでございますけれども、三つの視点からのアプローチが基本と考えております。一つは、教員の意識の問題でございます。二点目は教員の指導力についての問題でございます。三点目は児童生徒の生育の環境を改善するという問題でございます。この三つの視点から分析し、対策を講じていくことになるわけですけれども、本県の中学校に焦点を当てますと、例えば意識の問題では、先生方が、高校入試に比べますと学力テストの成績を上げることについて若干熱意が低いと。それから、部活動で子供を鍛えることと比較いたしますと、学力で子供を鍛えることについては若干熱意が足りないという感覚を持っております。また、この意識が指導方法の問題につながるわけでございまして、学力テストで求められる思考力等を高めるための授業改善、特に学力テストを有効に活用した授業改善の取り組みが少し低い、進んでいないということでございます。
また、小学校とか高等学校に比べますと、補習とか宿題による学習の定着の取り組みが、若干中学校は低いのではないかと考えております。そのほか環境の面では、厳しい環境下にある子供の学習意欲の低下というのは、中学校で特に顕著にあらわれる傾向があります。あわせまして、県や市町村の施策、あるいは学校での組織的な取り組みがなかなか浸透しないという背景には、中学における教科制の問題に伴います学校の組織文化の問題もあるのではないかと思います。
◯加地邦雄委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。
◯城戸教育長 失礼しました。今後、これらの分析に基づきまして、その要因の核心に迫る取り組みを進めてまいりたいと考えております。その際、各学校の状況、地域の状況の把握に努めまして、各地区、学校における特徴的な状況にまで踏み込んできめ細かな対策を講じてまいりたいと考えております。
◯板橋 聡委員 この実現には、答弁の長さより、やはり充実した財源だと思っております。しっかり答弁していただきましたけれども、財源をしっかりと充てて、そして地方創生の中で都市部一極集中をとめ、地域間格差のない、幸福度日本一の福岡県を実現するためにも、ぜひこの問題について知事から直接聞かせていただきたいと思いますので、知事保留をよろしくお願いします。
◯加地邦雄委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
なお、知事保留質疑は三月十八日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。
◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)