平成28年度予算特別委員会「『子育て応援社会づくり』と『子育て応援宣言企業』について」

◯板橋 聡委員 おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。
 きょうは質問数、大変多いということなので、簡潔に質問させていただきたいと思います。
 一口に少子化対策と言っても、いろいろあるので難しいのですけれども、若者が結婚して、家族づくりのスタートラインに立たなければ、その先の展望は開けません。少子化対策の一丁目一番地は、結婚し、家族を持つことを希望する若者がふえ、その希望を実現できる社会にすることと、議会や委員会の中で訴えてきました。
 そんな中、今回、平成二十七年度二月補正予算で、子育て応援社会づくり推進事業に含まれる出会い・結婚応援事業への予算に、過去と比較して約三倍の額をつけていただいております。やっと県も少子対策の一丁目一番地に向き合おうという姿勢を感じられるという意味で、評価いたします。
 しかしながら、このような事業は継続性が不透明な補正予算ではなく、じっくりと腰を据えて取り組めるよう、当初予算として計上すべきと考えますが、執行部の見解をお聞かせください。

◯加地邦雄委員長 野田子育て支援課長。

◯野田子育て支援課長 今回の補正予算につきましては、国の経済対策に係る補正予算を最大限活用するものであり、平成二十八年度当初予算と一体となった、いわゆる十四カ月予算として提案をさせていただいたものでございます。
 出会い・結婚応援事業は、二月補正予算として二月二十三日に早期議決をいただき、現在、事業実施のための準備段階でございます。今後、事業の効果が最大限に上がるよう取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 十四カ月予算ということで、それはよくわかるのですけれども、本事業において財源は国からの交付金である地方創生加速化交付金や地域少子化対策重点推進交付金を活用しているとのことです。
 このような重要な少子化対策施策は、平成二十九年度以降、仮に国からの交付金がなくなったとしても、県の単独事業としてでも継続すべきと考えますが、執行部の見解を御披瀝ください。

◯野田子育て支援課長 今回実施いたしますあかい糸めーるを活用した出会いの場の提供、企業・団体同士での出会いイベントの実施、あかい糸めーるの機能強化などにつきましては、地方創生加速化交付金を活用しております。
 また、企業トップ等の結婚応援宣言による結婚応援機運の醸成、九州・山口地域共同事業の実施につきましては、地域少子化重点推進交付金を活用しております。
 これらの事業は、企業、団体、ひいては社会における結婚応援の機運を高め、また結婚を希望される独身男女に対して出会いの機会を提供するものとして、大変効果的な事業だと考えております。このため、出会い・結婚応援事業につきましては、さまざまな工夫を凝らして、今後も実施してまいる考えでございます。

◯板橋 聡委員 ぜひ継続的にお願いいたします。
 市町村においても独自に出会い・結婚応援事業をやっているところがございます。私の地元みやま市でも、柳川市、大牟田市と共同で、なかだっつぁん、これは仲人さんという意味の方言なんですけれども、なかだっつぁんという独自の結婚サポートセンター事業を行っています。
 県と市町村のそれぞれの事業が反目するのではなく、相互発展的に相乗効果を生むようにすべきと考えますが、課長の所見をお聞かせください。

◯野田子育て支援課長 市町村では現在、お見合い事業、出会いイベントやマナー講座の開催など、さまざまな事業が行われております。こういった中、県では地域の結婚応援関係者の活動の活性化を支援する交流会や研修会を開催しておりまして、市町村にも参加をいただいております。この交流会、研修会におきまして情報交換や出会いイベントでのカップル成立率向上のための講習会を実施するなど、支援を行っているところでございます。
 また、若者に結婚に対するポジティブな価値観を持っていただくため、独身男女を対象に、恋愛から子育てまでのライフプラン形成セミナーを市町村と共催で開催をしております。
 今後も、市町村と、出会い応援や結婚応援など、さまざまな事業を通じて連携をしてまいります。

◯板橋 聡委員 ぜひ市町村も巻き込んで、福岡県として強力に推し進めていただきたいと思います。
 福祉労働部子育て支援課で行っている子育て応援社会づくり推進事業とよく似た名称ですけれども、子育て応援宣言企業推進事業というのを労働局の新雇用開発課で行っています。
 子育て応援宣言企業とは、従業員の子育てを支援するために具体的取り組みを企業、事業所のトップに宣言してもらい、県に登録する制度です。平成十五年に事業開始しましたが、当初はまだまだ一般的でなかったワーク・ライフ・バランスという概念を企業とともに県内へ浸透させていった子育て支援事業ということで、全国でも先進的な事例であったそうです。今では似たような事業を行っている自治体もふえてきましたが、新雇用開発課の山口課長いわく、やっと時代が追いついたと豪語されていました。福岡県の面目躍如、喜ばしいことと思います。
 事業開始当初、登録企業は一年目でわずか二十社、二年たってもわずか五十三社という低調な滑り出しに、執行部は冷や汗ものだったと想像いたしますけれども、ワーク・ライフ・バランスの浸透とともに、加速度的に加盟企業がふえており、平成二十七年十二月で約五千三百社となりました。平成二十八年度中に登録六千社を目指そうというところまで来たそうです。
 これらの宣言企業は、従業員を使い潰すブラック企業ではなく、従業員のワーク・ライフ・バランスを保ちながら、持続可能な会社の成長を目指すホワイト、私のようなホワイトな企業であるとも言えます。
 この五千三百社のネットワークは、出会い・結婚応援事業にとっても力強い応援団になっていただける可能性が高いと思いますが、その点で子育て応援宣言企業推進事業を所管する新雇用開発課と、出会い・結婚応援事業を所管する子育て支援課の連携はどうなっているのか、また、今後どうするおつもりなのか、課長の見解をお聞かせください。

◯野田子育て支援課長 子育て応援宣言企業では、女性の従業員の育児休業取得率が一般企業に比べて高く、また、男性の育児に係る宣言が増加するなど、委員御指摘のとおり、仕事と家庭の両立支援に対する理解が深まっております。
 このため、社会全体として結婚を応援する機運が高まるよう、まずは子育て応援宣言企業のトップに働きかけ、結婚応援宣言をしていただけるよう取り組んでまいります。さらに、子育て応援宣言企業のイベントなど、さまざまな機会を捉え、企業の結婚応援宣言について情報発信をしてまいる考えでございます。
 このように、新雇用開発課で所管をしております子育て応援宣言企業登録制度としっかり連携をいたしまして、結婚応援の取り組みを推進してまいります。

◯板橋 聡委員 ぜひ強力に連携をしていただきたいと思います。
 子育て応援宣言企業推進事業も、山口課長のおっしゃるとおり──済みません、名前をいっぱい出して。時代が追いついてきた感があります。福岡県の少子化対策が時代に追い抜かれないように、そろそろこの事業もバージョンアップをする時期が来ているのではないかと思います。ワーク・ライフ・バランスにとどまらず、企業を巻き込んで、若者の出会い、結婚、出産を含めたライフプランの実現を応援する社会的な機運醸成を目指すべきと考えます。
 例えば、子育て応援宣言企業を結婚・子育て応援宣言企業に進化させることで、企業として出会い、結婚を応援するための具体的な取り組みを宣言していただくなど、少子化対策先進県福岡を目指したらどうでしょうか。

◯野田子育て支援課長 結婚応援宣言は、企業や団体に従業員や地域の独身者の結婚を応援してもらい、社会全体で結婚を応援する機運を高めるため、企業などのトップに結婚に必要な環境整備や支援に取り組むことを宣言いただくものと考えております。
 先ほども申し上げましたが、まずは仕事と家庭の両立支援に対する理解のある子育て応援宣言企業に働きかけるとともに、子育て応援企業のネットワークを生かしまして、結婚応援宣言の取り組みを広げてまいりたいと考えております。
 結婚応援宣言に当たりましては、結婚応援宣言書の団体内への掲示により宣言内容を明示していただいたり、県がホームページで公表するなど、子育て応援宣言企業登録制度のノウハウを活用することによりまして、社会全体で結婚を応援するための機運を高めてまいります。

◯板橋 聡委員 大変前向きな答弁、ありがとうございます。
 ただ、これは課をまたがる話ですので、部長としても、どういうふうに両課の連携を含めてやっていくか、ちょっと御所見を御披露ください。

◯加地邦雄委員長 高橋福祉労働部長。

◯高橋福祉労働部長 幸いなことに、子育て応援宣言企業を所管いたします新雇用開発課と、結婚応援事業を実施いたします子育て支援課、いずれも当部、福祉労働部で所管いたしております。先ほど課長が申し上げましたけれども、まずは仕事と家庭の両立支援に理解のある子育て応援宣言企業に働きかけることによりまして、出会いから結婚、子育てまで一貫した応援をしていただけるように働きかけていくと、これが一つあります。
 こういう形で、子育て応援宣言企業内での従業員のライフプランの実現に向けた取り組みが一層普及することになれば、委員おっしゃっております子育て応援企業のバージョンアップにもつながると思っております。そういう意味で、両事業が相乗効果を十二分に発揮できますように、福祉労働部長としても責任持って対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 よろしくお願いします。
 出会い・結婚応援事業は、子育て支援課で行っていますけれども、そもそも出会い・結婚とは、子育てに包含されるものではなく、全く別次元の事象だと考えます。県民に対しても、もっとわかりやすく、県の少子化対策への本気度を示すためにも、課名の変更や組織の見直しを含め、少子化対策を組織としてどう取り組むか、見直したらいかがでしょうか。
 また、結婚、出産、子育てなど、これからの世代のための施策を進めるときに、年齢的、肉体的、あるいは思想信条として、その網にかからない方々が出てくるのは避けられない面があります。先日も不妊治療の質問で同様のお話がありましたけれども、そういう方々に対する心のケアなどには十分な配慮をする必要があると考えます。
 その一方、同じ組織内で施策を進めることと同時に、そのケアまで対策を求めれば、これはまるでアクセルとブレーキを同時に踏むかのように自己矛盾に陥り、少子化対策という超喫緊の課題への対策に迷いやためらいが生じる危険性もあります。その点も踏まえ、少子化対策の組織をどう考えるか、これは組織の問題でございますので、部長、お考えをお聞かせください。

◯高橋福祉労働部長 子育て支援課では、主に少子化対策を総括してまいっております。独身男女に出会いの機会を提供することは、そうした出会いをきっかけに結婚され、子供を産み育てることにつながり、少子化の流れを変える効果が期待できると考えております。
 そういう意味で、子育て支援課で少子化対策を所管しております。平成二十三年度に、子育て支援課におきまして出会い・子育て応援係を設置しております。ここで、子育て支援課の出会い・結婚応援事業を実施していることをしっかり県民の皆さんや事業所の皆さんにわかりやすく明確にPRしているところでございます。そういう意味で、今のところ、子育て支援課という形で我々としては業務を実施していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 前段の件は回答いただきましたけれども、先ほど申しました自己矛盾をはらむような組織体制というのはいかがなのだろうかということを聞かせていただくつもりでおりました。その答弁はできますか。

◯高橋福祉労働部長 組織としてのこれからのありようにつきましては、私どもの部の中でも十分に議論をしていかなくてはいけない問題と考えております。よろしくお願いします。

◯板橋 聡委員 よろしくお願いされましたので、なかなか部長に聞いても難しい部分はあると思います。これはぜひ全体の問題として大事なお話でございますので、知事に直接お話を聞かせていただきたいと思います。ぜひ知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯加地邦雄委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月十八日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)