平成23年度決算特別委員会質問「県と私企業の協定について」

◯板橋 聡委員 皆さん、こんにちは。自民党県議団の板橋聡です。
 六月議会にて質問しました県とイオンとの包括協定について、知事から答弁をいただきましたが、県民に対して胸を張って説明できるような内容ではございませんでした。今回、一問一答形式で県と私企業の協定についてただしていきたいと思います。的を射た簡潔な答弁をお願いします。
 多くの企業が社会貢献を行っている中で、イオンとの包括協定の目的と意義を教えてください。

◯冨田徳二副委員長 重松社会活動推進課長。

◯重松社会活動推進課長 実は、イオンから県に対しまして、地域社会への貢献を進めたいということで、昨年の十一月に県に対しまして社会活動協働事業を行うための包括的な提携の申し入れがございました。イオンの場合、当時、既に三十七の都道府県と取り組んでいたことがございますものですから、中身を各部の関係課と協議をいたしまして調整をいたしましたところ、いずれの内容も個別に結んでいくことができる非常に幅広い内容だったということで、私ども、今回、包括的に協定を結ぶという状況となったところでございます。

◯板橋 聡委員 余り目的にも意義にもなっていないと思うんですけれども。個別の社会貢献について協定を結んでいなくてもいろいろと協力していただいている企業はたくさんございます。逆に言うと、どうして個別に社会貢献している企業とは協定を結ばないんですか。

◯重松社会活動推進課長 一つは、やはりこの社会貢献活動は企業さん方の自主的な活動でございますので、常日ごろから私どもの職務として社会貢献の活動に取り組んでいただきたいという促しはしておりますが。実際に私どもに提案があるという状況が、今回イオンから提案がございましたが、今後もしそのような申し出がありましたら、ぜひとも前向きに取り組んでいきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 イオンとの包括協定に関しては、提携事項として、地域防災の協力に関すること、地域の安全安心に関することとあります。同様に、イオン九州は福岡県と災害時の物資の供給に関する協定書を結んでいますけれども、七月十四日の九州北部豪雨の際に被災地に物資供給を行った会社はどこですか。藤山防災企画課長、教えてください。
    〔正副委員長交代〕

◯原口剣生委員長 藤山防災企画課長。

◯藤山防災企画課長 被災地からの要請を踏まえまして県のほうから要請をいたしましたのは、ローソンでありますとか、セブンイレブン・ジャパンといった企業でございます。

◯板橋 聡委員 全部ですか、それで。

◯藤山防災企画課長 東筑軒、それから、北九州駅弁当、クラウン製パン、中屋フーズ、リョーユーパン、大福、ローソン、セブンイレブン・ジャパン、ファミリーマートでございます。

◯板橋 聡委員 雨の日にイオンは傘を貸してくれましたでしょうか。
 次の問題点は、包括協定の期間です。このイオンとの包括協定の第四条を読みますと、双方から申し出がない限り協定は自動更新ということで、毎年更新されるようになっております。
 一方、七月十四日の九州北部豪雨以降、被災地の応急処置のために二十四時間体制で頑張り続けた建設業者の皆様と締結している風水害時の緊急対策工事などに関する協定、略して風水害協定、こちらの有効期間はどうなっておりますでしょうか。横枕課長、正確にお答えください。

◯原口剣生委員長 横枕企画交通課長。

◯横枕企画交通課長 風水害時の協定につきましては、例年、六月一日に協定を締結し、翌年五月末までの一年間としております。

◯板橋 聡委員 期間を一年間に限定して、毎年新しく協定を締結しなくてはならない理由は何でしょうか。

◯横枕企画交通課長 風水災害協定を締結する建設業者には、集中豪雨などの厳しい条件の中で安全かつ確実に工事を実施していただかなければなりません。このことから、直近の工事の実績や技術力を審査し、建設業者の施工能力を確認する必要がありますので、一年という期間を設定しております。

◯板橋 聡委員 福岡県民の多くが愛するソフトバンクホークスは過去はダイエーホークスと呼ばれていました。そのダイエーですら二〇〇四年に経営破綻して産業再生機構送りになっております。最近、再上場を果たしたJALは、国策企業だったにもかかわらず経営破綻、オリンパスは不正経理処理であわや上場廃止とささやかれました。超一流と言われる企業でも一寸先は闇。毎年協定を締結し直すことで、協定先が協定を結ぶに値するのかどうかと確認作業を行う県土整備部の姿勢は県として当然だと考えます。一方で、イオンとの包括協定は自動更新と。県の態度としてはちょっとこれは怠慢ではないか。また、これは企業によっての不公平感を物すごく感じます。
 続きまして、イオンとの包括協定の一環として発行された電子マネーカード「ふくおか共創WAON」カードについてお尋ねします。
 プレスリリースと新聞記事の資料要求をさせていただきたいと思いますので、委員長、お取り計らいをお願いします。

◯原口剣生委員長 お諮りします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料について提出できますか。

◯重松社会活動推進課長 はい、直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 事務局は資料の配付をお願いします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 では、簡潔に説明をお願いします。

◯重松社会活動推進課長 お手元に三枚の資料を置かせていただきました。
 まず、一枚目でございます。これは本年四月十八日に行われました知事の定例会見の要旨でございます。発表事項は福岡県とイオン株式会社との包括提携協定の締結についてで、その要旨でございます。
 続きまして、二枚目をごらんください。二枚目の資料は、四月二十日に行われました福岡県とイオン株式会社との包括提携協定の際のイオン株式会社から記者へ提供された資料でございます。
 次に、三枚目です。これはこの包括協定を行いました翌日の四月二十一日の朝刊に掲載をされました記事でございます。

◯板橋 聡委員 その三枚それぞれに電子マネーカード、ふくおか共創WAONカードについて説明がございます。
 一枚目の真ん中あたりに、小川知事は「イオン株式会社と包括提携協定を締結することに合意しました。特徴は二点です」ということで、第一点は新たな電子マネーを発行し、その利用金額の一部を寄附すると。二枚目のイオン株式会社のプレスリリースの三段落目に書いてありますけれども、本協定の取り組みの第一弾として、ふくおか共創WOANカードを発行すると。三枚目はそれをもとにして書かれた西日本新聞の記事ですけれども、最初の一段目の五行目ぐらいから、「協定の一環として二十一日からは買い物金額の〇・一%が福岡県に寄附される電子マネーカードが発行される」と書いてあります。
 小川知事みずから、この協定の特徴とおっしゃって、イオン側も取り組みの第一弾として、その位置づけで大々的に電子マネー、ふくおか共創WAONカードを宣伝しているわけですね。
 寄附の定義というのは、寄附者がみずからの意思に基づき金銭、財産を対象機関、施設へ無償で供与することです。なぜ協定で寄附の枠組みをつくらなければならないのでしょうか。そのリスクを検討されたことがありますか、重松課長。

◯重松社会活動推進課長 今回、包括提携の申し出がありましたときに多くの事項が協定の中で示されたわけですけれども、その中の一つとしまして、このICカードを使って、私どもが取り組んでおります共助社会づくりに向けた地域での社会貢献活動に支援をしたいという申し出がありましたものですから、協定事項の一つとして受けとめたところでございます。
 この仕組みなんですけれども、委員御承知のように、イオンが独自でつくった仕組みでございまして、その収益の中から一部を地域に寄附するという仕組みを提示されまして、私どもは、今現在も企業さんが地域に寄附という形で貢献されるという形が広く広がっているものですから、その一つとして受けとめたところでございます。

◯板橋 聡委員 先ほど課長のお話の中にもあったとおり、企業の売り上げに連動した寄附というのは既にございます。博多に工場を持つアサヒビールはスーパードライ関連の対象商品の売り上げ一本につき一円を福岡の自然景観保全活動のために寄附されていますが、これについて協定は結ばれていますか。

◯重松社会活動推進課長 アサヒビールにつきましては、協定という形では結んではございません。

◯板橋 聡委員 ちなみに、イオンの初年度目標募金金額は幾らですか。また、同様に、アサヒビールの商品売り上げ連動のことしの募金金額は幾らですか。

◯重松社会活動推進課長 金額につきましては承知をしておりません。

◯板橋 聡委員 先ほど配っていただいたこの資料の中に書いてございますけれども、資料を見てないんですか。そちらが出した資料ですけど。

◯重松社会活動推進課長 新聞の報道でございますけれども、これは会見が終わりました後に、直接、記者の方がイオンさんにインタビューをされて答えられた、そういう数字だと認識しております。

◯板橋 聡委員 ただ、そちらにつくっていただいた資料ですよね。出していただくときに中身ぐらいは見て提出していただきたいと思います。まあ、余りこれは言いません。二百万円と書いてありますね。ちなみに、アサヒビールの商品の売り上げ連動のことしの募金金額に関しては大体千四百万円ぐらいということを私は重松課長から教えていただきましたので、これは一応、念のために言っておきます。以上を考えても、わざわざイオンと包括協定を結んで、雄県福岡県の私企業に対する公平性、公正性をおとしめるような必要はないと思います。福岡県が一私企業と適切な関係性を維持するためには、少なくとも協定期間を一年ごとの満期にし、毎年締結し直し、かつ福岡県とふくおか共創WAONカードはかかわりがないことを誰から見ても誤解のないよう明示することを求めたいと思いますが、長谷川部長、見解をお聞かせください。

◯原口剣生委員長 長谷川新社会推進部長。

◯長谷川新社会推進部長 毎年の契約の問題でございます。先ほど委員御指摘のとおり、このイオンとの提携については、その内容で更新について一年とすると。それを基本として、お互い協定の有効期限の満了一カ月前までに特段の申し出をしないときは、という条件つきで一年間更新する取り扱いとしているところでございます。
 それから、もう一点、カード自体が県とかかわりのないということの宣言といいますか、表明ということにつきましては、基本的には、これは資料の中の知事の記者会見でもありますように、私企業でありますイオンが独自の考え方で仕組みをつくって寄附をしたいという申し出によって協定したということでございます。その協定先は当然、県でございますので、県としては、県とイオンとの関係で言えばカードというのは一つの項目でございまして、そのほか広範にわたる協定をしているいわば協定のパートナーでございますので、これについて全く関係ないというお話を差し上げるというのは逆に誤解を招くのではないかと考えております。

◯板橋 聡委員 では、視点を変えて、電子マネーの法的位置づけを再確認させていただきます。
 電子マネーは国が発行してその価値を保証する通貨ではありません。サービスを提供する会社による私製貨幣の一種です。ふくおか共創WAONカードは、最初に前払い金をイオンに支払い、その前払いされた金銭価値を支払いの際に相殺するという仕組みです。銀行預金に適用される預金保険もふくおか共創WAONカードには適用外です。
 平成二十一年に改正された資金決済に関する法律により前払い金額の二分の一は供託金として保全されておりますけれども、残りの二分の一は保護されません。イオンがもし経営破綻した場合、ふくおか共創WAONカードの利用者から未使用前払い金の返還訴訟が起こる可能性があります。ふくおか共創WAONカード一枚当たり前払い金額の上限は幾らですか、重松課長。

◯重松社会活動推進課長 五万円でございます。

◯板橋 聡委員 ふくおか共創WAONカードのことしの目標の発行枚数は、イオンのプレスリリースによると五万枚と書いてございます。保護されない前払い金額は、理論上、五万円掛ける五万枚、イコール二十五億円の半分ということで、十二・五億円となります。こういったリスクは協定締結前に検討されたのでしょうか。

◯重松社会活動推進課長 リスクにつきましては、約款であるとかの内容は検討しましたけれども、今委員がおっしゃいましたような数字を含めたところの検討はしておりませんでした。

◯板橋 聡委員 もちろん福岡県はWAONの事業者でも発行者でもございません。ところが、ここで知事の記者会見とかプレスリリースが物すごくきいてくるんですよ。ふくおか共創WAONカードは福岡県とイオンの包括協定の特徴であり、包括協定の第一弾であり、包括協定の一環として表現されておるんですね。
 これは弁護士に確認したところ、こういう知事の発言、イオンのプレス、あるいは新聞記事をもとに福岡県がかかわっているカードであると認識して信頼してWAONカードをつくった消費者の期待は保護されるべきで、福岡県に対しては商法上の名板貸責任も発生し得るとの見解を得ました。つまり、住民訴訟のリスクを福岡県自体も抱えるということです。そんなリスクをはらんだ協定ですけれども、議会側に事前に相談はありましたか、長谷川部長。

◯長谷川新社会推進部長 企業との協働を進めていくということにつきましては本来の私の仕事だという認識から、まずはこういった枠組みが締結できるものかどうかということを詰めてまいりました。そういう意味で、あらかじめ議会にお諮りしたということはございません。

◯板橋 聡委員 では、誰が協定内容に責任を持ち、万が一、訴訟なんかが起こった場合、対応するのはどちらの部署になりますか。これは行政経営企画課長のほうでお答えください。

◯原口剣生委員長 大西行政経営企画課長。

◯大西行政経営企画課長 訴訟についてでございますけれども、通常、訴訟につきましては、担当する各課で対応いたしまして、私ども行政経営企画課といたしましては、助言でありますとか、顧問弁護士の紹介といったことで支援をしておるところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、社会活動推進課ということだと理解します。
 そして、ふくおか共創WAONカードで万が一、返還騒動なんかが起こって、県の相談窓口というのは消費者保護行政を担当している生活安全課と認識しておりますが、山下課長、生活安全課の所属する部は何ですか。

◯原口剣生委員長 山下生活安全課長。

◯山下生活安全課長 新社会推進部でございます。

◯板橋 聡委員 だから、当初は商工部と社会活動推進課、新社会推進部の利益相反を問題視しておったんですけれども、イオンとの協定というのは新社会推進部内ですら利益相反を引き起こしておるということなんですね。先ほど幾つか挙げましたけれども、これらの幾つかの重大なリスクを事前にきちんと理解した上で知事はイオンとの包括協定に小川洋とサインされたのでしょうか、長谷川部長。

◯長谷川新社会推進部長 協定を締結するに当たり、考え得る全てのリスクを想定して検討したということまではございません。やはりまずは企業との取り組みを具体的に進めたいということが一点、それから、私どもが提携した時点では都道府県で三十八番目でございましたので、こういう取り組みについて、他県の例も踏まえて対応したところでございます。そういう意味で、知事に、先ほど言いました想定し得る最大限のリスクはこうですという説明までは私はいたしておりません。

◯板橋 聡委員 他県がやっているから福岡もいいだろうというのはちょっと理屈としてはおかしいのではないかと思いますし、それを検討されなかったということに関しては非常に問題だと思います。これを知事自身がどう認識しておられるかというのは今の質問もあわせて確認しないとわかりませんので、委員長、これはぜひ知事保留とさせていただきたいと思います。

◯原口剣生委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることといたします。
 なお、知事保留質疑は十一月八日木曜に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)