飲酒運転撲滅条例について

飲酒運転撲滅の条例制定に向け、県議会4会派の代表と関係委員会の委員長でつくる「飲酒運転撲滅条例調整会議」(座長・樋口明県議)の会合が31日あり、飲酒運転事故の被害遺族が出席して意見交換した。
 出席した遺族は、21歳の次女三弥子さんを亡くした糸島市の大庭茂彌(しげみ)さん(64)、31歳の長男和明さんを亡くした福岡市西区の松原道明さん(64)、16歳の長男寛大(かんた)さんを亡くした同市東区の山本美也子さん(43)。会合の冒頭、山本さんは「(違反者が)恐れおののき、絶対に飲酒運転をしないような条例をつくっていただきたい」などと要望した。
 樋口座長によると、この日の会合では、遺族が16日に県議会議長に提出した条例づくりに遺族の参加などを求める陳情書の内容について説明。学校で飲酒運転撲滅の教育を徹底することや、家族や地域住民が飲酒運転をさせないよう監視する取り組みなどについて、意見が出されたという。(後略)

引用元: 飲酒運転撲滅条例制定へ 県議会4会派 / 西日本新聞

2006年に福岡市職員が飲酒運転事故で子供三人を死亡させたことをうけ、2007年に道交法が改正され飲酒運転とひき逃げの厳罰化がなされました。また社会的にも飲酒運転撲滅の機運が高まりました。にも関わらず福岡県の飲酒運転の検挙率は全国でもワーストクラスであり、議会として飲酒運転撲滅のための条例を制定しようという話です。

私はこの会議体のメンバーではありませんが、たままた座長の樋口明県議、メンバーで現在福岡県議会警察常任委員長の鬼木誠県議とお話する機会に恵まれました。お二人とも若くして当選三回の気鋭の議員。飲酒運転撲滅の為に効果的な条例を作ろうという意欲に燃えておられ、引用した記事中にもある被害者家族と意見交換をさせて頂いた事により更にその思いを強くされているようです。

しかしながら、「条例」は憲法によって「法律の範囲内で制定される」と定められており、法令との矛盾や逸脱が有ってはならないため内容については慎重な議論が求められ、被害者御家族に納得頂きそして効果が高い条例にするにはどうすればよいか悩みも多いようです。分かりやすく言うと、法律で「酒酔い運転は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金」という罰則が定められている限り、条例で「酒酔い運転は死刑」に出来ないという事です。

せっかくの機会でしたので私からも飲酒運転撲滅について、条例の制限を踏まえて下記のような思いを伝えてみました:

(1)そもそも飲酒運転になってしまうような状況を生み出さないように出来ないか?(つまり明らかに酒を飲む為の場、例えば居酒屋や結婚式場、に車で行かないようにする。自分の車が無ければ物理的に飲酒運転出来ない)
(2)飲酒運転即懲戒解雇という重い社会的制裁を加える一般企業が増えている。それでも飲酒運転をしてしまうような人は社会的制裁が意味を成さない状況にいたり、アルコール依存症だったりして医学的治療が必要な場合も多いのでは?治療には周囲のサポートも必要だろう。飲酒運転者本人の家族や勤務先等に対して罰則を科すような罰則範囲の拡大をした場合、飲酒運転者をますます社会から孤立させ自暴自棄にさせてしまわないか?
(3)条例による罰則強化が難しいなら、逆の発想で例えばアルコール依存の治療を施すような事は出来ないだろうか?(予算の壁があるが)
(4)また、飲酒運転即懲戒解雇という一般企業が増えている一方で、公務員の飲酒運転即解雇については処罰が重すぎるとして裁判により処罰取消の判例が出ている。これはあまりにも官民間で不公平だし、そういう風潮が飲酒運転に対する認識を甘くするのではないか?

難しい課題ですが、調整会議の皆さんには頑張って頂き、撲滅条例によって飲酒運転の被害者が一人でも少なくなる事を願ってやみません。