録画中継にて知事答弁を含め視聴する事が可能です
⇒板橋聡の議会質問録画中継
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質問要旨
一、市町村の防災拠点の耐震化について
一、災害時における私立学校の活用について
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◯十八番(板橋 聡君)登壇 自民党県議団の板橋聡です。
平成二十八年熊本地震の前震から、きょうでちょうど二カ月となります。我が自民党県議団初め全ての会派の代表質問で、震災関連の内容が取り上げられましたが、私はその流れを踏まえ、市町村の防災拠点の耐震化と災害時における私立学校の活用の二点について質問をさせていただきます。
自民党県議団の代表質問において、県有施設の耐震化一〇〇%に向けての取り組みを知事にただしました。一方で、災害発生時に市町村は第一線で対応することとなり、その庁舎は、災害現場の司令塔として住民の生命、財産を守り、復旧、復興を一日も早く進めるためにフル稼働する必要があります。しかしながら、今回の熊本地震において、熊本県では五つの市町の庁舎が半壊などで使用不能となりました。既に支所や体育館などに機能の移転は終わったようですが、益城町、宇土市、八代市、大津町の四市町では、一連の地震で庁舎が損壊し、使用不能になりました。また、人吉市庁舎には目立った損傷はないものの、耐震性が十分でないことから、五月九日に他の市の施設に役場機能を移転しています。特に、宇土市役所は、十六日未明の本震で、五階建て庁舎の四階が押し潰された半壊状態の無残な姿が目に焼きついています。この庁舎は築五十年以上で、二〇〇三年に震度六強以上で倒壊のおそれがあると診断されたものの、財政難を理由に耐震改修工事を先送りし、その後建設費の積み立てを始め、ようやく事業化のめどが立ったやさきの出来事だったそうです。
市役所の機能不全が復旧、復興に支障を来す顕著な事例は、罹災証明書発行手続の遅延です。罹災証明書は、被災者の生活再建の第一歩となる大変重要なものですが、益城町などでは、庁舎が被災したため住民票データがとれず、手続が大幅に遅延をしています。また、役所機能は再開しても、支所など複数の施設に役割を分散して応急措置をとった場合、被災者はあちこちの窓口を訪ねて歩かねばならず、特に高齢者には大きな負担となっています。消防庁は、地震などの災害発生時に活動拠点となる公共施設の耐震化の状況を毎年調査していますが、平成二十七年度末で、福岡県内の防災拠点となる市町村庁舎の耐震化率は七二・六%にとどまっています。
そこで知事に質問です。防災拠点となる市町村庁舎の早急な耐震化は、今まで大地震とは縁遠いと考えられていたこの九州において、改めて喫緊の課題だと見直されておりますが、知事の認識を伺います。
次に、耐震化が進まない理由として、財源の確保が難しい、また耐震化を進める優先順位が、学校などと比較して低いとの一部報道がありました。まさに半壊した宇土市役所庁舎の事例がそうだったように、福岡県を含めほとんどの自治体は厳しい財政状況をやりくりして、さまざまな事業を行っているのが実情です。我が会派にもお医者さんがいらっしゃいますが、医者の不養生で、どうしても自分たちのことは後回しにせざるを得ない雰囲気が、市町村庁舎の耐震化に向けた取り組みをおくらせているような気がしてなりません。
そこで知事に質問です。防災拠点となる市町村庁舎の耐震化率の向上のために、これまで県ではどのような取り組みや働きかけを行ってきたのでしょうか、お示し願います。
市町村庁舎の耐震化が進まないのは、財源の問題も大きな要因ですが、一方で、平成の大合併で新たにできた市や町においては、施設の統廃合など再編計画を策定中であったり、建てかえをするのか、それとも改修をするのか施設整備方針自体が未確定のため、耐震化に向けての議論が進められない場合もあると聞いております。
そこで知事に質問です。県として、防災拠点となる市町村が所有する施設の耐震化を進めるに当たり、個別の状況を把握し対応することが重要と考えますが、熊本地震の被害及びその後の状況を踏まえると、市町村庁舎の耐震化は特に重要です。現在、防災拠点となる県下市町村庁舎の個々の耐震化の状況と、今後どのようにして耐震化を一〇〇%にしていくのか、知事の所見を御披瀝ください。
我が会派の代表質問において、指定避難所として指定されている公立学校等の耐震化率が質問されました。県内公立学校で避難所に指定されている幼稚園、小中高等学校は千百六校ございますが、片や私立学校で指定されているのはわずか八校です。一たび地震のような大規模で広域に被害を及ぼす災害が発生した場合、福岡都市圏を初めとする人口密集地においては、避難所が不足することが予想されます。また、指定避難所が遠くにあるため、最寄りの私立学校を避難所として利用できないのかとおっしゃる住民も少なくありません。
そこで知事に質問です。避難所の充実を目指す上で、県として私立学校も積極的に避難所に指定するよう働きかけるべきと思いますが、知事の所見を御披露ください。
一方で、私立学校を避難所として活用するためには、その施設が十分な耐震性を持っていることが必須です。今回の熊本地震においては、私立学校も、また多数被災しました。福岡県内においても、私立幼稚園、小中高等学校を合わせて三十の学校施設において、壁のひび割れなどの被害が出ました。災害がいつ、どこで起こってもおかしくない昨今、子供たちが安心して学べる環境を確保するためにも、私立学校の耐震化は喫緊の課題です。しかしながら、本県私立学校の耐震化率は、平成二十七年四月一日現在で七四・六%と、全国の私立学校の平均八三・五%、あるいは本県公立学校の九六・九%と比較しても、大きくおくれている状況であります。自民党県議団は、私立学校の皆様の要望を受け、児童生徒の生命を守り、安全を確保するため、私立学校においても学校施設の耐震化は重要な課題と捉え、県に対して働きかけを行ってまいりました。その結果、国が平成二十六年度から三年間、小中高等学校に対する耐震化補助制度を拡充することを踏まえ、福岡県独自の上乗せ補助を行っていることは評価いたしますが、しかしながら、全額公費で措置される公立学校とは異なり、まだまだ私立学校の耐震化率は低いのが実情です。また、国の補助も平成二十八年度が最終年度となっております。
そこで知事に質問です。私立学校を避難所として活用するならもちろんのこと、児童生徒が一日の大半を過ごす学校施設において、公立、私立、どちらであろうとひとしく生徒の安全、安心を確保するために耐震化は不可欠であり、福岡県としてどうやって私学の耐震化率を向上させ、公立高校並みにしていくのか、御所見を披露ください。
県民の皆様は、今回の熊本地震を経験し、震災リスクが他人事でないと、改めて実感していらっしゃいます。知事の主体的で真摯な答弁を期待して、質問を終わります。
◯副議長(佐々木 徹君) 小川知事。
*知事答弁
◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず、防災の拠点となります市町村庁舎の耐震化でございます。防災拠点は、地震など大規模な災害が発生した場合に、被災地におきまして被災者の救援や救護等の災害応急対策活動の拠点となる施設でございます。市町村庁舎は、防災拠点の中でも中心的な役割を担う施設でございまして、その耐震化を図ることが極めて重要でございます。
市町村庁舎の耐震化に向けたこれまでの取り組みでございます。市町村庁舎の耐震化に当たりましては、その所有者であります市町村が、みずからの責任でこれに取り組んでいくことが必要でございまして、市町村の耐震化への意識を高めていくことが重要であります。また、財源の確保や庁舎を利用しながらの耐震改修工事をいかに進めていくか、そういった課題もございます。このため、県におきましては、副市町村長会議などの機会を捉えまして、市町村に対し改めて庁舎の耐震化を促すとともに、緊急防災・減災事業債、公共施設等耐震化事業、耐震改修促進法による補助制度、それらの活用など、財源の確保に関する情報提供や助言を行っているところであります。また、耐震改修工事につきましては、さまざまな改修方法というのがございますために、市町村の求めに応じまして、それぞれのコストや工期、工事中の執務空間の確保策、そういったものについても情報提供をやらせていただいております。
あわせて、今回の熊本地震を受けまして、国に対しましても、庁舎等の耐震化に対する財政支援の拡充につきまして、全国知事会を通じ、六月三日に要請をしたことを申し添えさせていただきます。
次に、市町村庁舎の耐震化の状況と今後の促進でございます。総務省の調査によりますと、県内の防災拠点となります市町村庁舎は、平成二十六年度末時点で、全百六十一棟のうち二十七市町村、四十八棟が耐震化がなされておりません。この四十八棟のうち三市町、四棟につきましては、昨年度耐震化が完了をいたしまして、平成二十七年度末時点での耐震化率は、議員御指摘の七二・六%となっているところでございます。昨年度一年間で二・四ポイント上昇したわけでございます。残りの二十四市町村、四十四棟のうち、三市、四棟につきましては、既に建てかえや耐震改修に着手をしておりまして、七市町、十四棟につきましては、国の補助の割り増しが受けられるよう、我が福岡県の建築物耐震改修促進計画に、ことしの四月、それらを位置づけております。今後、速やかに耐震化に取り組むこととなってございます。また、それから残ります十四市町村、二十六棟につきましては、耐震化を図っていくのか、耐震化された他の施設を防災拠点として位置づけていくのか、それぞれの市町村で今検討中でございます。県といたしましては、今後、これまでの取り組みに加えまして、市町村に対し、耐震化の進捗状況について定期的にその報告を求めまして、その情報を庁内関係部局で共有をし、適宜必要な情報提供、助言というものを行うことによりまして、市町村の庁舎の耐震化、これを促進していきたいと考えております。
次に、災害発生時の避難所としての私立学校の活用についてお尋ねがございました。避難所につきましては、市町村が人口の分布あるいは地形といった、それぞれの地域の実情を踏まえまして、災害の影響が比較的少ない場所に立地する施設を避難所として指定をしているところでございます。県といたしましては、これまで市町村に対し、災害に備え、避難所を速やかに指定し、その際に公共施設以外にも私立学校、ホテル、旅館等の民間施設についても、避難所としての活用を検討するよう要請したところでございます。ことしの六月現在で、県全体で二千六百九十八カ所の避難所が指定されておりますけれども、そのうち私立学校は八カ所となってございます。今後、県といたしましては、熊本の今回の地震を踏まえまして、災害が起こった際に避難所が不足することがないよう、市町村を対象とした会議等の場を通じまして、私立学校を含めホテル、旅館といった民間施設を避難所として活用することを検討するように改めて要請をいたします。また、市町村の意向を十分踏まえていく必要がございますけれども、県としては、私立学校の活用について、私学団体を通じて、その協力をお願いしたいと考えております。
次に、私立学校における耐震化の促進についてでございます。学校は、議員も御指摘になりましたが、子供たちが一日の大半を過ごす施設でございまして、また災害時の避難所として指定されるものでありますことから、その耐震化の促進は喫緊の課題であると考えております。このため県におきましては、国が平成二十六年度から二十八年度の三年間、小中高等学校の耐震化に対する補助制度というものを拡充いたしたわけでございますが、そのことを踏まえ、県内の私立学校の耐震化を一層促進をしていこうと、そういう観点から、県独自の上乗せ補助を行っているところでございます。これまで私学団体の総会、あるいは私学助成の説明会を通じまして、耐震化の必要性、国、県の補助制度について、その内容の周知に努めてまいりました。この結果、私立学校の耐震化率は改善をしてきておりますけれども、補助制度を活用しても私立学校には一定の経費負担というものが残りますことから、先ほど御指摘がありました、公立学校と比較して耐震化におくれが生じている状況にあると、このように認識をいたしております。今後、避難所としての活用を含め、耐震化に向けた各学校の課題について個別に協議を進めていくとともに、国に対しても従来の補助制度の継続のみならず、その制度の拡充強化についても要望し、耐震化促進の取り組みというものを強化していきたいと考えております。