平成23年度決算特別委員会質問「福岡県の海外戦略」

◯板橋 聡委員 おはようございます。自民党県議団の板橋聡です。本日は、福岡県の海外戦略について質問させていただきます。
 福岡県の世界に対する橋頭堡というべき海外事務所の扱いについては、我が会派の代表質問を初め何度か質問をされております。過去の答弁を確認しましたが、私自身は知事の意見にうなずく部分も多々ございます。イノベーションの北米、EU、伸び行くアジア、福岡県の多様な産業構造を考えれば、両方大切です。
 一方で行政の無謬性というか、一度つくってしまったから事務所の存続や体制にこだわり過ぎると、世界経済の変化のスピードに追いついていけないと思いますが、課長の所見をお伺いいたします。

◯原口剣生委員長 武田国際経済観光課長。

◯武田国際経済観光課長 本県の海外事務所の役割といたしまして、県内企業の海外ビジネス展開支援、県産品の販路拡大・開拓支援、海外企業誘致、それから、県の先端産業のプロジェクト推進、海外からの観光客の誘致活動などがあります。これらを行う目的で平成十五年に香港、上海、ソウル、フランクフルト、サンフランシスコの五カ所に事務所を設置したところでございます。
 その後、ソウル事務所に関しましては、経済分野を中心に両地域で緊密なネットワークが築かれ、民間ベースでそれぞれ円滑な交流が行われており、総領事館等の関係機関との連携協力が進んだという判断で、平成二十二年三月に事務所を廃止し、情報収集などを行う交流プロモーターを設置したところでございます。また、安価で豊富な労働力や多くの人口を抱え成長著しい、消費市場としても有望であるという判断でASEANの重要性が増しているということで、平成二十二年十月にはバンコク事務所を新たに設置するなど、随時体制を見直してきたところでございます。海外事務所については、今後も随時見直しを行っていきたいと考えているところでございます。

◯板橋 聡委員 つまり、随時見直しを行っていくべきというお答えだと考えております。
 リーマンショックからギリシャ、スペイン、イタリアと一連の欧州債務危機が発生したりと、景気がいいニュースに事欠く欧州ですけれども、福岡県のフランクフルト事務所で、今、力を入れている事業とは何ですか。

◯武田国際経済観光課長 先ほど申し上げましたとおり、海外事務所の役割といたしましては、県内企業の海外ビジネス支援や県産品の販路拡大、あるいは海外企業誘致など、地域の特性に合わせてさまざま行っているところでございます。フランクフルト事務所においては、県内企業等から多くの要望がございます、また主に支援をしております県産品の販路拡大、あるいは欧州での県内企業のビジネス展開に関する支援、これらを中心に行っております。
 県産品の販路拡大に関しまして言えば、例えば八女茶や伝統工芸品である織物、これらの欧州各地での販売先を紹介するなどしておりまして、これが実際の取引につながっております。これらについては今後も支援要請があっております。
 また、欧州で事業展開を目指します県内企業について、取引先の企業紹介や市場動向の情報提供等の依頼がありまして、これも欧州進出につながっている事例があります。

◯板橋 聡委員 八女茶とか小倉織などのマーケットは、今伸びていくアジアではちょっとないのかなと個人的には思っております。やはり付加価値を認めて、日本文化に親しみを持ってくれている欧州をターゲットにするというのは、これは一つ正解だなと。これはまさに物ではなくて和の文化の輸出です。八女茶を小倉織のテーブルクロスで飲んで、大木町のイグサでつくった畳が欲しいとか、庭には八女の灯籠が欲しいとか、そういう広がりがある可能性がございます。
 文化の浸透というのは、非常に時間はかかりますけれども、広がりがあって競争力もあります。例えば液晶はシャープからサムソンにぱっと変えたりすることができますけれども、文化は互換性がなく、唯一無二のコンテンツとも言えるかなと思っております。そういう意味では、ひとり立ちして利益を出すまで非常に時間はかかりますけれども、これは行政としての大切な役割と考えますが、課長の所見はいかかでしょう。

◯武田国際経済観光課長 フランクフルトの事務所が行います活動の中でも、八女茶や、先ほど御指摘がありました小倉織などの工芸品、県産品販路拡大に関する支援は、申し上げましたとおり県内企業からも非常に要請があり、ニーズも高く、一定の成果を上げていると思っております。このようなお茶や工芸品の販路、販売促進が、日本や本県の文化もあわせて広く欧州に伝えていくことにつながっているという認識でおります。さらに、これが多くの県産品の販路拡大につながっていければと期待しているところでございます。こういった面も、今後とも県行政として支援していく必要があると考えているところでございます。

◯板橋 聡委員 欧州事務所が重要な役割を担っているということは理解しますし、県として必要な機能だという認識も共有できたと思っております。
 ここで、福岡県の海外拠点の資料を要求させていただきます。委員長、お取り計らいのほどをお願いいたします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料について提出できますか。

◯武田国際経済観光課長 直ちに提出いたします。

◯原口剣生委員長 資料を正副委員長に確認をさせてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 事務局は資料の配付をお願いいたします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 この資料にありますとおり、海外拠点は事務所を県単独で持つという形態以外にも、研修生としてCLAIRなどに派遣をしたり、あるいは海外在住のプロモーターに委託したりと、さまざまな形態がございます。コストや効果もそれぞれ違うと思いますけれども、県財政に厳しい制限がある中、世界経済の状況を踏まえて最大の効果が上がるよう、県が世界に持つ資産、これは決して人や事務所だけではなく、無形の人脈やノウハウ、情報を含み、これをポートフォリオとして管理する必要があると考えますけれども、過去、自民党県議団も何度もただしてきた中で、部長は、今の福岡県の海外戦略の中で欧州事務所の見直しを考えておられると思いますけれども、所見をお聞かせください。

◯馬場商工部長 海外事務所につきましては、世界におけます各地域の経済、あるいは産業の動向、それから、市場としての魅力、あるいは県内企業の進出動向、それに海外企業立地の可能性といういろいろな視点から検討を進めてきております。現在の世界経済の状況を見ますと、今のお手元の資料にもございますように、三極体制で行っているわけでございますけれども、この中でやっぱりヨーロッパが債務危機等の影響もございまして経済成長も低迷しているということで、地域としての重要性のウエートが低下してきているということが上げられます。そういう意味で、このような中で本県の人的な資源、あるいは予算といったものを適正に配分するという視点から、言ってみれば費用対効果という観点になるわけですけれども、こういう観点から欧州のフランクフルト事務所につきましては今年度をもって廃止したいと考えております。
 ただ、その際に、先ほど課長のほうからも答弁させていただきましたけれども、県内企業のニーズといたしまして欧州へのビジネス展開、あるいは八女茶を初めとします県産品の販路の拡大といったこの二つについては支援の要望が引き続きございますので、ぜひこの二つについてはヨーロッパにおきましても機能として残したいと考えております。
 具体的にこの機能をどういう形で残すかということでございますけれども、これは今、委員御指摘の、これまでフランクフルト事務所が現地で構築してきていますネットワークを含めた資産を残して有効に使うという視点が一つ。それと、この二つの機能を最も効率的に進めていくといった観点から、現地に在住しています方の中からそういった分野に造詣の深い、精通している、業界に詳しい方々に対して業務を委託するという方式でやっていきたいと考えているところでございます。

◯板橋 聡委員 踏み込んだ御答弁をいただきました。
 一つだけ念を押しておきたいのは、環境は常に変わり続けます。今、隆盛をきわめるアジア経済圏も将来失速する可能性はゼロではございません。同様に、欧州が経済危機を乗り越えて新たなるイノベーションとともに息を吹き返す日もそう遠くはないでしょう。経済の流れを的確に捉え、素早く人、事務所の配置を最適化させることが福岡県の海外戦略として重要と考えますが、部長の所見をお聞かせください。

◯馬場商工部長 世界経済情勢の変化に応じた対応ということでございます。これにつきましては、その状況に応じまして適切に対応してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 素早くは対応されないんでしょうか。

◯馬場商工部長 失礼しました。適切にというのは素早くということも含めてでございます。

◯板橋 聡委員 以上です。(拍手)