平成23年度決算特別委員会質問「自主防災組織の育成と災害時の情報収集」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡でございます。
 本日は、自主防災組織の育成と災害時の情報収集をテーマに質問させていただきます。
 まず、自主防災組織の組織率に関する資料を先日要求させていただいておりましたので、委員長、お取り計らいのほどお願いいたします。

◯原口剣生委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求のありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯原口剣生委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。増本消防防災指導課長。

◯増本消防防災指導課長 直ちに提出させていただきます。

◯原口剣生委員長 それでは、資料を正副委員長に確認をさせてください。
    〔資料確認〕

◯原口剣生委員長 事務局は資料の配付をお願いいたします。
    〔資料配付〕

◯原口剣生委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 昨年の予算特別委員会におきまして、避難活動コミュニティー助成事業について質問させていただきました。私の初めての特別委員会での質問でございました。これは自主防災組織の設立や避難活動の活性化のために、総額二億円を福岡県から市町村に対して助成した平成二十三年度の単年度事業でございます。それから一年三カ月がたちました。お約束どおり、事業の成果について御説明を、増本課長お願いいたします。

◯増本消防防災指導課長 事業の成果でございます。この事業につきましては、市町村に対して自主防災組織を新たに設立するよう、この事業を活用して実施してほしいということで取り組んだところでございます。その成果でございますが、この事業により自主防災組織が新たに設立されたところです。その成果を資料に基づきまして御説明したいと思います。説明する前に言いますと、これまで自主防災組織の組織率については、二十四年四月現在で取りまとめたもので説明してまいりましたが、このたび二十四年十月現在で精査しまして、最新の数字で御説明したいと考えております。
 組織率ですけれども、この組織率とは何かといいますと、右の欄のほうに世帯数が書いてありますが、組織世帯数ということで自主防災組織がカバーする世帯数を全世帯数で割ったものでございます。組織率につきましての推移ですが、二十三年四月一日、一番下に合計欄がありますけれども、六三・一%から、二十四年四月一日、七八・二%と大きく伸びているところでございます。組織数のほうの増減ですけれども、真ん中の増減の欄の一番下、千八十二の組織が新たにふえているところでございます。

◯板橋 聡委員 組織率が上がって、組織数もふえて、大変効果があったような御説明だったんですけれども、若干私はどうなんだろうという思いを持っております。例えば一番上の北九州市は、三千四十四組織で六六・四%の組織率。つまり全世帯数から組織世帯数を割ると六六・四%と。福岡市は人口は一・五倍ぐらいですけれども、ぐっと低くて百四十七組織で九八・五%の組織率と。私の地元のみやま市は、昨年度一団体なんですね。一団体で一〇〇%。同じく中間市も一団体で一〇〇%。粕屋町とか水巻町なんかも、一団体とか四団体でかなりの部分をカバーしておるということで、非常にここら辺、少数の団体で多くの世帯をカバーしているような数字だと読み取れるわけですけれども、その理由を教えていただけますか。

◯増本消防防災指導課長 この資料につきましては、総務省消防庁の統計によりまして毎年報告しているものでございます。総務省消防庁の統計では、婦人防火クラブというものがありまして、それにつきましては自主防災組織として位置づけられています。普通、自主防災組織というのは町内会、自治会とかが対象になるんですけれども、婦人防火クラブも対象となっているところです。
 みやま市の例をとりますと、みやま市は婦人防火クラブが一団体あるんですけれども、婦人防火クラブの対象活動範囲というのが全市域に及んでおりますため、統計上一〇〇%ということになっているところです。粕屋町は四団体で一〇〇%になっているんですけれども、ここは小学校区単位で自主防災組織が設置されておりまして、結果として小学校は四つしかないということで、一組織当たりの世帯数は多くなりますけれども、四組織で一〇〇%となっております。

◯板橋 聡委員 カバーする範囲が大きいからといって、その自主防災組織のよしあしなんてことを言うつもりは全くございません。ただ、こういった組織率が上がっているではないかと慢心されずに、気を抜かないで、自主防災組織の質をぜひ向上しないと、せっかくこの数字が上がって、お金も入れて、よくなっているようには見えるんですけれども、実態はどうなんだという気がするんですね。
 そこで質問なんですけれども、自主防災組織の質というのはどういったものだと思われますか。ちょっと御定義を、増本課長お願いします。

◯増本消防防災指導課長 まず、自主防災組織の質でございますけれども、平時におきましてきちんとした活動が行われていないといけないと思っております。例えば啓発普及の活動、それとか危険箇所の点検、あとは避難訓練が一番、毎年やらないといけないことと思っております。

◯板橋 聡委員 私も近い意見を持っております。やはり質というのは、地域におけるコミュニケーションレベルの向上と、あと継続性に限るなと。増本課長は避難訓練とか啓発とか危険箇所の点検とか、ちょっとかた苦しいことを言われましたけれども、やっぱりそれだけではなかなかモチベーションが上がりにくいのかなと。防災意識も災害から時間がたつと薄れてしまうのは、いたし方のないことでございます。根本的には、やはり地域のコミュニティーが活性化して、日ごろのコミュニケーションが高まっていることこそが自主防災を価値あるものに高めるのではないかと。
 実は今回の水害で被害を受けました、みやま市本郷地区というのは、行政地区のきずなというか、つながりが非常に深いところで、隣におばあちゃんがおって、おじいちゃんがおって、あそこはちょっと足を悪くしたお父さんがいてねとかいうことを非常に把握されているんですね。ですから、避難するときもやはり適切な避難をして、しかもふだんから顔を合わせて言葉を交わすような間柄ですから、スムーズに避難ができて大事に至らなかったということがございます。つくづくそういうのを前回の水害で思い知りました。
 そのためには、やはり自主防災組織もちゃんと魂を込めるような仕掛けが必要なのではないかと。例えば自主防災組織自体が互いに競い合うような場を設けるとか、消防団もポンプ車操法の大会とかありますけれども、県の総合防災訓練のときなんかに、自主防災組織がそれぞれやってきて、ふだんからいろいろ頑張っているんだけど披露しましょうと。それを目的に皆さん練習頑張りましょう、訓練頑張りましょう、終わったら一杯飲みましょうみたいなことがあってもいいのではないかなと。コミュニティーの活性化みたいなところにつながっていくんですけれども。そういったことに関して、県としてどういうふうな手だてができるか御見解をお聞かせください。

◯増本消防防災指導課長 自主防災組織が継続的に活動を行うためには、防災活動とその地域のほかのコミュニティー活動と一体となった取り組みが必要だと考えています。二十四年度新規事業として、地域の防災と、例えば高齢者支援、学校教育、防犯活動と組み合わせた取り組みというのを、模範自主防災組織育成事業ということで実施しているところです。具体的には、小学校と気象台でタイアップした防災マップづくり、あと県立大学の学生と連携し、防災活動を実施して、それを地域の高齢者の見守り活動につなげていくという取り組みを本年度実施するということで、八団体実施することにしております。また、地域の優良な取り組みにつきましては、毎年三月に防災賞ということで表彰しておりまして、今後とも優良な事例については積極的にPRしていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 模範自主防災組織育成事業というのが、気象庁だとか小学校と一緒に防災マップをつくったりだとか、コミュニティー活動と一体で実施しているようなところは評価できるのかなと。ただ、ちょっとこれは名称がですね、答弁された内容と比較すると若干イメージがしづらいような気がして、人々に浸透しにくい事業かなと思いますけど、増本課長、いかが思われますか。

◯増本消防防災指導課長 委員がおっしゃるならば、ちょっとわかりにくいのかなとは思いますが、自分たちとしては、他の自主防災組織の模範になるものということで、二十四年度、名称をつけたわけでございます。

◯板橋 聡委員 いや、決して変えろとか言っているわけじゃないですけど、まあ、つけられるときにもうちょっとわかりやすく、それを意識していただければということです。
 本当に先ほど言いましたとおり、地域のコミュニティー活動に資するような形で、ぜひ自主防災組織というのが盛り上がっていく仕掛けをしていただきたいと。この模範自主防災組織育成事業というのは、そういった意味では一つ面白いのかなとは思うんですけれども、一年間で八団体ぐらいと。これは県内の全ての自治体に広げていこうとすると七年ぐらいかかってしまうわけですね。これはもう少しペースアップしなければいけないのかなというのと、あと災害の記憶というのは非常に風化しやすいです。ことしは全県各地で災害に対する備えというのが非常に意識が高まっておりますけれども、やはりこういった機会を定期的に、もうちょっと頻繁なペースで提供するのが大切かなと思いますので、二十五年度以降この事業を拡充していくという方法もどうかと思いますけれども、その件に関して増本課長の御意見をお伺いしたいと思います。

◯増本消防防災指導課長 この事業は八つのモデル市町村を選んで、この事業が完了しましたら事例集をつくりまして、全市町村に広げていくということにしておりますが、委員の御指摘を踏まえて、この事業を含め自主防災組織の育成、充実に努めていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ぜひそういう形で拡充をしていって、各地域で自主防災組織の活性化に頑張っていただきたいと思います。
 続いて、ちょっと視点を変えまして、災害時の情報収集について問いたいと思います。
 私は七月の豪雨災害時に、みやま市の災害対策本部に詰めておりました。災害現場の状況を的確に把握するのが大変難しい。そのための避難指示だとか対応が大変難しいんだなということを、身にもって感じました。前議会で、沖端川に監視カメラを設置していただくことが知事答弁で確認はできましたけれども、それだけで全て解決するような問題ではないと思っております。
 そんな中、災害当日一番活躍したのはですね、一番頼りになったのは、災害現場に出向いていらっしゃる市あるいは県の職員、あるいは消防団員からの報告でした。昨今、携帯電話の存在から、口頭でリアルタイムでさまざまな情報が入ってきます。しかし、そうやってどんどんいろいろなところから携帯で手軽に電話がかけられるものですから、どこの場所で、一体どんな状況なのかというのが、言葉で説明してもなかなか伝わりづらいというか、逆に混乱してくるようなところもございます。
 この件も踏まえて一つ御提案したいのは、現在、スマートフォンが非常に普及しており、ほとんどの機種に今、GPS機能というのが附属しております。スマホを初めとするGPS機能がついた携帯電話で撮った写真というのは、ジオタグという位置情報が記録されるんですね。そこで各地の被害現場に点在されている、対応に走り回っていらっしゃる自治体の職員、あるいは消防団員、あるいは自主防災組織の方が、GPSつきの携帯で被害の状況をカメラで写して、それをサーバーなりに送信、アップロードすることによって、地図上に写真を自動的にマッピングするといったシステムを県が音頭をとって全県的に構築したらどうだろうと考えました。
 リアルタイムの被災情報を、市や県の災害対策本部、あるいは県土整備事務所、河川管理事務所などで、位置情報と画像、この山でこういうふうな土砂崩れが起こっていて道が寸断されている、川はもうここまで上がってきているね、ここから越水している、越流しているねということが、場所と一緒に目で確認できるような仕組みができれば、避難指示や復旧活動、復旧作業の初動対応に非常に効果があるのではと思うのですけれども、増本課長の御見解をお聞かせください。

◯増本消防防災指導課長 市町村におけます災害情報の収集や情報伝達の手段というのは、さまざまなやり方があろうかと思います。委員提案のGPS携帯つきの災害情報の収集でございますが、一つの有効な手段だと考えております。的確な避難勧告、指示だけではなく、災害の応急対策にも役立つのではないかということであります。
 実施する上での課題としては、全県的にやるということなんですが、どのようなシステムを構築していくのか、それとソフトの面で、誰が情報を送り、それを誰が受けてどのように処理するのか、処理されたものをどのように活用していくのか、そういう課題がありますので、市町村と連携しながら研究していきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 こういうシステムのニーズは、いろいろな自治体でも非常に高いと思われます。本県は「Ruby」というプログラム言語に非常に力を入れておりますし、こういった福岡オリジナルのシステムを福岡オリジナルの言語でつくって、場合によっては他の自治体に販売して税収の足しにするといった夢のある話になればいいのかなと思いますけれども、最後に山野部長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。

◯原口剣生委員長 山野総務部長。

◯山野総務部長 予算特別委員会のときに御質問いただきまして、今回また自主防災組織、それから情報伝達手段のことを御質問いただきました。今回の災害を踏まえまして、現地に入られた委員、さまざまな御意見をお持ちだと思います。一つ一つお聞きしておりまして、非常に貴重な御意見だと承りました。
 情報伝達手段について言いますと、この九月議会でも議論になりましたけれども、やはりそれぞれの地域が実情に合った情報収集、情報伝達をうまくやっていくことが一番重要であります。GPS携帯というのは一つの手段であります。現場を担うのは市町村でありますが、市町村でどういう活用の仕方があるのか、ただいま課長が答えましたように、市町村と一緒になっていろいろと勉強してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)