◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
福岡県の少子化対策について知事に質問させていただきます。
知事は令和六年度の予算編成を、将来を守るサステナブル社会への改新として、少子化進行への対応を大きな柱として掲げていらっしゃいます。一方で、昨年十二月に公表されたリクルートブライダル総研の調査によると、結婚したいと答える未婚女性の割合が初めて五〇%を下回るなど、そもそも結婚に対する意識が大きく変化しております。
昨今の少子化対策は子育て支援施策の充実による自治体間競争、すなわち人口の取り合いの様相を見せております。しかし、基本はそれぞれの地域において結婚をし、子供を産み育てたいという若者を増やすことが根源であり、これなくしては抜本的な少子化対策にはなり得ません。そのためには、知識や情報を提供するだけではなく、体験や経験をもって若者が結婚に対し前向きな感情を持てる、心に響く取組を充実させることが重要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。
11◯桐明和久委員長 服部知事。
12◯服部知事 皆さん、おはようございます。それでは、御答弁を申し上げます。
国立社会保障・人口問題研究所が実施をいたしました令和二年の出生動向基本調査がございます。この調査によりますと、結婚した御夫婦が最終的に持つ子供の数、いわゆる夫婦の完結出生児数、これは減少を続けておりまして、令和二年では一・九となっているところでございます。
この原因として考えられますのは、男性、女性ともに未婚率が上昇しておるということ、いわゆる未婚化が進行しているということですね。それから、結婚年齢が上がっている、いわゆる晩婚化が進行しておるということが挙げられておるところでございます。
県が実施をいたしました子育てに関する県民の皆様への意識調査がございますが、これでも平成二十年から三十年にかけての十年間で、結婚の希望を持っておられる方が六六%から五三・九%と一二・一ポイントも減少しているという状況にあるわけでございます。
こういったことから県では、若者の皆さん、県民の皆様に家族のすばらしさ、あるいは子供を持つということ、子育ての楽しさ、このことを伝える事業、あるいは男女の皆さんが出会える場の提供などに取り組んでいただいております企業、団体を出会い応援団体として登録をする事業、それから、就職後間もない若者の皆さんが結婚の具体的なイメージを持っていただくためのライフデザインセミナーなど、様々、若者に結婚、子育てに希望を持っていただくための事業に取り組んできたところでございます。
少子化に歯止めをかける、このことのためには、委員おっしゃいましたが、まずは若者の皆さんが将来結婚して子供を産み育てたいと心から思って、そのライフデザインをしっかり描ける、このような取組を進めていくことが重要であると考えております。
13◯板橋 聡委員 そんな中、私は福祉労働部への質問の中で、若者の心を直接揺さぶるような施策、今風に言えばエモい施策として、乳幼児との触れ合い体験を挙げさせていただきました。これは中高生への学習指導要領に盛り込まれており、また、市町村においては次世代育成支援対策推進法に基づき策定する行動計画に盛り込むことが国の指針で定められておりますが、県内で実行している市町村は三分の一程度で、実行している学校においてもリアルな体験ではなく、ビデオ視聴やロールプレイといった座学を行っている場合があることが明らかになりました。このような状況について、知事の率直な感想をお聞かせください。
14◯服部知事 昨年度の中学校の状況を見ますと、今おっしゃいましたように生徒が乳幼児と直接触れ合う体験ではなくて、視聴覚教材などを使った授業、これが多く行われていて、直接体験といいますか、直接触れ合う授業をやっていたのは二割を切るという状況にございました。このことにつきまして、県教育委員会にお伺いいたしますと、やはり新型コロナウイルスの感染防止、こういった観点から視聴覚教材を使ったと、こういうことが主な理由であるとお伺いしております。
このことから、今年度につきましては、乳幼児と直接触れ合う体験授業を計画しておられる学校は六割以上に上るということで、相当数増加するものと見ております。
中学校の学習指導要領の家庭分野では、家族・家庭と子供の成長に関しまして、幼稚園や保育所等の幼児との触れ合いができるよう留意することとされているところでございまして、今後、直接触れ合う体験を実施する学校が増えていくものと考えております。
また、市町村の次世代行動計画というものがございます。これは国の策定指針を踏まえまして、それぞれの自治体の状況に応じて策定されているものと考えるわけでございます。一方で、乳幼児との触れ合い体験というものは、この委員会で福祉労働部長が御答弁したとおり、子供、若者にとって、子供を産み育てることや家庭を持つことがイメージできる貴重な機会でございます。県内の市町村におかれましては、中学生が乳幼児と直接触れ合うことができる授業を実施していただくこと、そして、市町村長部局においても次世代行動計画に盛り込んでいただいて、教育委員会と連携して乳幼児との触れ合い体験に取り組んでいただくこと、このことが重要であると思います。
15◯板橋 聡委員 乳幼児との触れ合い体験の必要性を知事と共有できたと思います。しかし、この事業を実施するには、体験をする中学生、高校生、触れ合う対象となる乳幼児、その保護者、それぞれ所管する部署が違います。県においては知事部局と教育庁、また、市町村の首長、教育長がこの事業の意義を十分に理解し、縦割り行政の垣根を超えて連携することが必須です。福祉労働部長からはこの事業の推進に大変前向きな答弁をいただきましたが、ここは県民から直接選ばれた発信力のある知事による強力な後押しが必要です。乳幼児との触れ合い体験を県下津々浦々で御理解いただき、迅速に進めるため、県教育長や市町村の首長、教育長に対し、福岡県知事、服部誠太郎として働きかけを行うおつもりはございますか。お答えください。
16◯服部知事 子供と子育てを社会全体で応援する、この仕組みづくりを総合的に推進する体制でございますが、県といたしましては、今、私を本部長とし、そして副知事を副本部長に置き、各部の部長、それから教育長、それから県警本部長、企業管理者で構成をいたします子育て応援社会づくり推進本部という組織を持っておるところでございます。この場には、今申しましたように教育長、そしてまた私立学校を所管いたします人づくり・県民生活部長も加わっているわけでございます。乳幼児との触れ合い体験の実施に向けての市町村教育委員会への働きかけや県立高校、私立学校における取組の実施につきまして、この本部においても協議をしてまいりたいと思います。
また、先ほども申しましたように、やはり少子化に歯止めをかける、このことのためには、若者が結婚して子供を産み育てたいという希望が持てるようにするための取組が重要であると考えます。このことを市町村長がお集まりになる機会、いろんな市長会、あるいは町村長会等の会議がございます。私もそのような場でいろいろ御挨拶を申し上げたり御講演させていただいたりいたします。こういう機会を捉えまして、私自ら発信を行い、市町村長部局においても、教育委員会あるいは学校と連携をして、乳幼児との触れ合い体験、このことに積極的に取り組んでいただくことができますよう働きかけを行ってまいる考えでございます。
17◯板橋 聡委員 言ったことを成す、これは服部知事が最初の選挙で使われたフレーズであります。しっかり成し遂げていただくことを期待して質問を終わります。(拍手)
18◯桐明和久委員長 質疑を進めます。冨永芳行委員。

