令和6年度予算特別委員会 知事保留質疑「福岡県の少子化対策〜乳幼児との触れ合い体験について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 福岡県の少子化対策について知事に質問させていただきます。
 知事は令和六年度の予算編成を、将来を守るサステナブル社会への改新として、少子化進行への対応を大きな柱として掲げていらっしゃいます。一方で、昨年十二月に公表されたリクルートブライダル総研の調査によると、結婚したいと答える未婚女性の割合が初めて五〇%を下回るなど、そもそも結婚に対する意識が大きく変化しております。
 昨今の少子化対策は子育て支援施策の充実による自治体間競争、すなわち人口の取り合いの様相を見せております。しかし、基本はそれぞれの地域において結婚をし、子供を産み育てたいという若者を増やすことが根源であり、これなくしては抜本的な少子化対策にはなり得ません。そのためには、知識や情報を提供するだけではなく、体験や経験をもって若者が結婚に対し前向きな感情を持てる、心に響く取組を充実させることが重要だと考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

11◯桐明和久委員長 服部知事。

12◯服部知事 皆さん、おはようございます。それでは、御答弁を申し上げます。
 国立社会保障・人口問題研究所が実施をいたしました令和二年の出生動向基本調査がございます。この調査によりますと、結婚した御夫婦が最終的に持つ子供の数、いわゆる夫婦の完結出生児数、これは減少を続けておりまして、令和二年では一・九となっているところでございます。
 この原因として考えられますのは、男性、女性ともに未婚率が上昇しておるということ、いわゆる未婚化が進行しているということですね。それから、結婚年齢が上がっている、いわゆる晩婚化が進行しておるということが挙げられておるところでございます。
 県が実施をいたしました子育てに関する県民の皆様への意識調査がございますが、これでも平成二十年から三十年にかけての十年間で、結婚の希望を持っておられる方が六六%から五三・九%と一二・一ポイントも減少しているという状況にあるわけでございます。
 こういったことから県では、若者の皆さん、県民の皆様に家族のすばらしさ、あるいは子供を持つということ、子育ての楽しさ、このことを伝える事業、あるいは男女の皆さんが出会える場の提供などに取り組んでいただいております企業、団体を出会い応援団体として登録をする事業、それから、就職後間もない若者の皆さんが結婚の具体的なイメージを持っていただくためのライフデザインセミナーなど、様々、若者に結婚、子育てに希望を持っていただくための事業に取り組んできたところでございます。
 少子化に歯止めをかける、このことのためには、委員おっしゃいましたが、まずは若者の皆さんが将来結婚して子供を産み育てたいと心から思って、そのライフデザインをしっかり描ける、このような取組を進めていくことが重要であると考えております。

13◯板橋 聡委員 そんな中、私は福祉労働部への質問の中で、若者の心を直接揺さぶるような施策、今風に言えばエモい施策として、乳幼児との触れ合い体験を挙げさせていただきました。これは中高生への学習指導要領に盛り込まれており、また、市町村においては次世代育成支援対策推進法に基づき策定する行動計画に盛り込むことが国の指針で定められておりますが、県内で実行している市町村は三分の一程度で、実行している学校においてもリアルな体験ではなく、ビデオ視聴やロールプレイといった座学を行っている場合があることが明らかになりました。このような状況について、知事の率直な感想をお聞かせください。

14◯服部知事 昨年度の中学校の状況を見ますと、今おっしゃいましたように生徒が乳幼児と直接触れ合う体験ではなくて、視聴覚教材などを使った授業、これが多く行われていて、直接体験といいますか、直接触れ合う授業をやっていたのは二割を切るという状況にございました。このことにつきまして、県教育委員会にお伺いいたしますと、やはり新型コロナウイルスの感染防止、こういった観点から視聴覚教材を使ったと、こういうことが主な理由であるとお伺いしております。
 このことから、今年度につきましては、乳幼児と直接触れ合う体験授業を計画しておられる学校は六割以上に上るということで、相当数増加するものと見ております。
 中学校の学習指導要領の家庭分野では、家族・家庭と子供の成長に関しまして、幼稚園や保育所等の幼児との触れ合いができるよう留意することとされているところでございまして、今後、直接触れ合う体験を実施する学校が増えていくものと考えております。
 また、市町村の次世代行動計画というものがございます。これは国の策定指針を踏まえまして、それぞれの自治体の状況に応じて策定されているものと考えるわけでございます。一方で、乳幼児との触れ合い体験というものは、この委員会で福祉労働部長が御答弁したとおり、子供、若者にとって、子供を産み育てることや家庭を持つことがイメージできる貴重な機会でございます。県内の市町村におかれましては、中学生が乳幼児と直接触れ合うことができる授業を実施していただくこと、そして、市町村長部局においても次世代行動計画に盛り込んでいただいて、教育委員会と連携して乳幼児との触れ合い体験に取り組んでいただくこと、このことが重要であると思います。

15◯板橋 聡委員 乳幼児との触れ合い体験の必要性を知事と共有できたと思います。しかし、この事業を実施するには、体験をする中学生、高校生、触れ合う対象となる乳幼児、その保護者、それぞれ所管する部署が違います。県においては知事部局と教育庁、また、市町村の首長、教育長がこの事業の意義を十分に理解し、縦割り行政の垣根を超えて連携することが必須です。福祉労働部長からはこの事業の推進に大変前向きな答弁をいただきましたが、ここは県民から直接選ばれた発信力のある知事による強力な後押しが必要です。乳幼児との触れ合い体験を県下津々浦々で御理解いただき、迅速に進めるため、県教育長や市町村の首長、教育長に対し、福岡県知事、服部誠太郎として働きかけを行うおつもりはございますか。お答えください。

16◯服部知事 子供と子育てを社会全体で応援する、この仕組みづくりを総合的に推進する体制でございますが、県といたしましては、今、私を本部長とし、そして副知事を副本部長に置き、各部の部長、それから教育長、それから県警本部長、企業管理者で構成をいたします子育て応援社会づくり推進本部という組織を持っておるところでございます。この場には、今申しましたように教育長、そしてまた私立学校を所管いたします人づくり・県民生活部長も加わっているわけでございます。乳幼児との触れ合い体験の実施に向けての市町村教育委員会への働きかけや県立高校、私立学校における取組の実施につきまして、この本部においても協議をしてまいりたいと思います。
 また、先ほども申しましたように、やはり少子化に歯止めをかける、このことのためには、若者が結婚して子供を産み育てたいという希望が持てるようにするための取組が重要であると考えます。このことを市町村長がお集まりになる機会、いろんな市長会、あるいは町村長会等の会議がございます。私もそのような場でいろいろ御挨拶を申し上げたり御講演させていただいたりいたします。こういう機会を捉えまして、私自ら発信を行い、市町村長部局においても、教育委員会あるいは学校と連携をして、乳幼児との触れ合い体験、このことに積極的に取り組んでいただくことができますよう働きかけを行ってまいる考えでございます。

17◯板橋 聡委員 言ったことを成す、これは服部知事が最初の選挙で使われたフレーズであります。しっかり成し遂げていただくことを期待して質問を終わります。(拍手)

18◯桐明和久委員長 質疑を進めます。冨永芳行委員。

令和6年度予算特別委員会「給食時の窒息事故について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。先月二十六日、私の地元でありますみやま市の小学校で、一年生の男子児童が給食の食材を喉に詰まらせたと見られる事故により亡くなるという事案が発生しました。未来ある子供がこういった形で命を落としてしまったことが、大変残念でなりません。御家族をはじめ関係者の皆様方には心からお悔やみを申し上げます。本来であれば、給食の時間とは楽しく会食し、成長期に必要な栄養を取ることができる非常に有意義な時間であります。今回の事故はみやま市で発生しましたが、福岡県教育委員会に県内の公立学校における学校給食の状況や対応策について質問をしていきたいと思います。
 ここで、通告しておりました全国の窒息事故の発生件数に関する資料を要求をいたします。

124◯桐明和久委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

125◯桐明和久委員長 御異議がありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。中野体育スポーツ健康課長。

126◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 直ちに提出いたします。

127◯桐明和久委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
     〔資料確認〕

128◯桐明和久委員長 事務局は資料を配付してください。
     〔資料配付〕

129◯桐明和久委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

130◯板橋 聡委員 それでは、資料の説明を簡潔にお願いします。

131◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 独立行政法人日本スポーツ振興センターが公表しております学校の管理下における死亡見舞金の発生件数によりますと、平成二十五年度から令和四年度までの全国の学校管理下における死亡数の総数は五百三十八人となっております。このうち、給食時の窒息は八人であり、小学校が四人、特別支援学校小学部が二人、高等部が二人となっております。
 また、厚生労働省が公表している人口動態統計によりますと、平成二十五年から令和四年までの気道閉塞を生じた食物の誤嚥による死亡数は四万五千八百五人であり、このうち小学校低学年の児童が含まれる五歳から九歳の死亡数は十五人、小学校高学年の児童が含まれる十歳から十四歳の死亡数は十三人となっております。

132◯板橋 聡委員 提出していただいた資料によると、学校管理下において食べ物による窒息は発生しておりますが、学校において発生する死亡事故の中に占める割合としては、比較的少ない部類であるということが分かります。また、国内における食物の誤嚥による死亡数全体を見ても、小学校児童や中学校生徒の年齢層は少なく、ほとんどが小中学生以外、特に高齢者であること、また、食事が一日三食あることを考えると、学校管理下だけではなく、学校以外でも同じような確率で窒息事故が発生していることがよく分かりました。各家庭における食物による窒息のリスクは、子供だけでなく大人や高齢者にもありますので、窒息事故が発生した際に各家庭においても対応できるよう、PTA研修会等においても話題として取り上げることを検討していただきたいと思います。
 とはいえ、学校では、給食指導の中で箸の使い方や食事のマナーについて、児童生徒に体得させることが求められております。児童生徒にとっては、学校での指導で身につけた箸の使い方や食べ方を、家庭生活や学校卒業後の社会生活など生涯にわたって生かしていくことができます。給食の時間において望ましい食習慣や正しい食べ方を身につけさせ、子供たちにそしゃく力や嚥下力を高めてもらうためには、様々な食材に対する箸の使い方や食べ方について指導していくことが重要なのではないかと思いますが、新聞報道等によれば、今回のみやま市における事故発生を受け、特定の食材の使用を見送る自治体も出ているそうです。
 そこで、県内の指定都市以外の市町村における特定食材の使用を見送る動きはどのようになっているのか、お答えください。

133◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 ウズラの卵や白玉だんご、ミニトマト、ブドウなど、何らかの食材の使用を見送る判断をしている自治体は、三月七日現在、三十六市町村でございます。

134◯板橋 聡委員 今回の事故の影響を考えれば、特定の食材の使用を当面見送るという判断をする自治体が出てくることは一定の理解ができますが、今回の事故発生後に県教育委員会が出した通知の中で、特定食材の使用制限について触れているのでしょうか。

135◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 県教育委員会が発出した通知の中では、特定食材の使用制限を促してはおりません。文部科学省の食に関する指導の手引第二次改訂版などを参考に、改めて給食の時間の適切な指導と安全確保の徹底を求めたところでございます。

136◯板橋 聡委員 今課長がおっしゃられた適切な指導と安全確保の徹底とは、具体的にどういうものでしょうか。

137◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 給食指導におきましては、給食の準備、会食、片づけなどの一連の指導を実際の活動を通して毎日繰り返し行っており、この中で、食べ物を食べやすい大きさにしてよくかんで食べることや、早食いは危険であるといったことが、食べ方の指導として適切に行われる必要がございます。
 また、学校給食を原因とする窒息などのリスクにつきましては、校内マニュアル等を整備し、全教職員で共通理解を図った上で組織的に運営することで、事故の未然防止や適切で迅速な対応につながります。

138◯板橋 聡委員 では、ちょっと視点を変えまして、学校給食は児童生徒を対象としているため、安全性が担保された上で実施されることが重要です。そのためには、想定されるリスクを未然に防止するとともに、仮に事故が発生した際には迅速かつ適切な対応が取られる体制が各学校で整えられておく必要があります。
 今回の事故が発生した際にも、先生方が子供の背中をたたいたり、心臓マッサージや人工呼吸といった迅速な対応が取られたということですが、学校における事故発生を踏まえ、現在、県教育委員会としてどのような対応を取っているのか、また今後どのように対応されるおつもりでしょうか。

139◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 現在、教職経験一年目の全ての教諭及び養護教諭を対象とした研修会におきまして、心肺蘇生法に関する講義及び実技の研修を実施しております。また、例年、栄養教諭や学校栄養職員を対象とした研修会におきまして、窒息などの事故の未然防止の徹底と発生時の迅速な対応について体制を整えるよう、説明をしております。
 さらに、今後は学校全体でリスクマネジメントに取り組んでもらうために、管理職研修会等におきましても、給食の時間における適切な指導と安全確保の徹底を求めてまいります。
 また、救命処置は、その方法を紙面で確認するだけでは、背中をたたく際の力の入れ加減などの要領が分かりにくいため、事故発生時に適切で迅速な対応が行えるよう、救命処置に関する研修の開催につきましても、市町村教育委員会や学校に対し促してまいります。

140◯板橋 聡委員 事故発生時に適切な対応が取れる体制が各学校でも確実に整備されるよう、そして先ほども申し上げましたけれども、統計上、家庭でも、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんの世代でも起こる事案でございます。県教育委員会としてもしっかり取り組んでいただき、PTA等にも周知ができるようにしていただきたいと思います。
 今お聞きしたのは、学校における窒息による死亡事故を発生させないために整えておくべき体制整備についてですけれども、先ほど述べたように、学校では給食の時間において児童生徒に望ましい食習慣や正しい食べ方を身につけさせていく必要があります。各学校の先生方が事故防止に配慮しつつ、児童生徒に日常生活における食事について正しく理解させ、食事の際の箸の使い方や食べ方を身につけさせていただくためには、給食時に先生方が指導する時間、また児童生徒がよくかんで食べる時間が十分に確保される必要があります。
 それでは、適切な給食時間についてどのように示されているのか、お答えください。

141◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 給食時間をどの程度確保すべきか、具体的な時間は示されておりません。文部科学省の食に関する指導の手引第二次改訂版によりますと、給食の時間の設定に当たっては、指導の時間を含め、ゆとりを持って当番活動や会食ができるよう、時間の確保に努める必要があるとされております。各学校では、給食の時間に行われる食に関する指導に必要な時間等を勘案し、それぞれが置かれている状況に応じて給食時間の設定をしているのが実態でございます。

142◯板橋 聡委員 給食時間については各学校の置かれている状況に応じて設定されているということですけれども、県内の小学校が設定している給食時間が実際どの程度なのか、また、給食時間のうち給食を食べ始めてから食べ終わるまでの時間、いわゆる喫食時間が短いと早食いしなければいけなくなるわけですね。こういったものが小学校低学年ではどの程度取られているのかをお聞かせください。

143◯中野教育庁体育スポーツ健康課長 県内の公立学校を対象に当課が例年実施しております食に関する指導等の状況調査の結果によりますと、小学校の給食時間は四十五分が全体の七五・八%と最も多く、次いで四十分が全体の一九・九%となっております。
 また、喫食時間につきましては、小学校低学年では二十分以上が全体の七九・九%と最も多く、次いで十五分から二十分が全体の一八・六%となっております。

144◯板橋 聡委員 各学校における状況によって若干の差はあるようですけれども、小学校低学年の喫食時間は約八割の学校が二十分以上ということでありました。しかし、今回の事件が発生した後、私のところにいろんなお話が来まして聞き及んでいる限りでは、相当数の保護者あるいはお子さんから、給食時間がとにかく短いから慌てて食べなければいけないと、遊びに行きたいということもあったりするのかもしれませんけれども、そういう声が多かったです。県教育委員会のこの調査結果とは若干実態が乖離しているような感じがします。この点、聞き取りの仕方も含めて、実態をよく確認をしていただきたいなと思っております。よろしくお願いします。
 給食事故と給食時間の因果関係はまだよく分かっておりませんけれども、そしゃくや嚥下の能力がまだまだ低いと思われる低学年の児童、特に歯が抜けたりする時期でございます。しっかりとよくかんで給食を食べてもらうためにも、状況により十分な喫食時間の確保がもし見込めない場合には、配膳時のサポートを大人や違う方が行うなど、各学校の状況に応じて喫食時間の確保に取り組むよう、市町村教育委員会等に対して促していただきたいと思います。
 それでは最後に、安全・安心な学校給食の実施に向けた副教育長の決意をお聞かせください。

145◯桐明和久委員長 上田副教育長。

146◯上田教育庁副教育長 まず、このたびの事故によりまして貴い命が失われましたこと、大変残念に思います。お亡くなりになったお子様の御家族、そして関係の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
 ただいま御質問のありました安全・安心な学校給食を実施するためには、各学校において給食の際に想定されるリスクへの対策が十分に講じられている必要があります。このため、県教育委員会としましては、事故の未然防止や発生した際の対処といったリスクマネジメントを各学校がしっかりと行うこと、またそれと併せまして、ゆとりを持って落ち着いて給食を食べることができるよう、適切な給食時間の確保につきましても市町村教育委員会や学校に対して指導、助言を行ってまいります。
 また、学校給食において児童生徒が身につけました正しい食べ方は生涯にわたって生かされていくものでありまして、誤嚥防止にもつながると考えられます。今後、こういった観点につきましても、管理職研修会などにおいて周知を図ってまいります。

147◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

令和6年度予算特別委員会「福岡県の少子化対策〜乳幼児との触れ合い体験について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団、板橋聡です。
 福岡県の少子化対策について質問させていただきます。
 今から十年前、二〇一四年五月、日本創成会議が発表した人口減少による消滅可能性自治体は、衝撃的な内容でした。その後、国はじめ、自治体において人口減少問題が活発に議論されることとなりました。私も二〇一四年六月議会以降、県の少子化対策について質問し、今回は三年半ぶり七回目、甲子園の常連校のような質問となりますが、少子化対策の一丁目一番地は、結婚し、家庭を持つことを希望する若者が増え、その希望を実現できる社会にすることという認識を執行部の皆様と共有できているつもりでしたが、当年度当初予算の重点施策に関する資料を確認したところ、出会い・結婚応援事業が見当たりません。知事は、令和六年の予算編成について、将来を守るサステナブル社会への改新として、少子化進行への対応を大きな柱として掲げているにもかかわらずです。
 そこで、改めて問います。少子化対策の一丁目一番地は、結婚し、家族を持つことを希望する若者が増え、それを実現する社会づくりという認識は共有いただけているでしょうか。また、そのために県はどのような取組をされていますか。

9◯桐明和久委員長 山田こども未来課長。

10◯山田こども未来課長 少子化の要因とされる未婚化、晩婚化の流れを変えるためには、まず若者が将来結婚し、子供を産み育てたいという夢や希望を持つことができるようにすること、そして、こうした夢や希望をかなえられる社会にしていくことが重要であると考えております。
 このため県では、若者や県民に家族のすばらしさや子育ての楽しさを伝える啓発事業、出会いの場の提供などに取り組む企業や団体による出会い応援団体登録制度、就職後間もない若者が結婚の具体的なイメージを持つためのライフデザインセミナーなど、若者が結婚、子育てに希望を持つための事業に取り組んできたところでございます。

11◯板橋 聡委員 これまでの取組は分かりました。それを踏まえ、来年度予算には、プレコンセプションケア推進費という聞き慣れない言葉を含んだ事業が計上されていますが、どんな事業なのか、子育て支援課長、具体的にお示しください。

12◯桐明和久委員長 若藤子育て支援課長。

13◯若藤子育て支援課長 プレコンセプションケアとは、妊娠前の健康管理を意味しています。例えば、低体重児の出生等の要因としまして、痩せや肥満、喫煙、持病、高齢などがございます。これは妊娠に気づいてから対策を始めても遅いため、思春期等の若い世代の男女に対して、生活スタイルや妊娠に係る知識普及を行う必要がございます。このため、県ではプレコンセプションケアセンターを設置し、オンライン漫画や、大学、専門学校等への出前講座を実施し、若い時期から知っていただきたい情報の発信を行うとともに、不安や悩みを抱える若者からの相談に助産師や専門医師が対応していくこととしております。

14◯板橋 聡委員 今、説明をいただいたこれらの事業は、若者の将来の家庭づくり、家族計画について考えてもらうという点では意義はありますけれども、研修や講座、あるいは相談の受付といった形で、若者の知識、情報の提供にとどまっているように感じられます。私はそこに大きな視点が欠落していると思います。
 フランスの劇作家アルマン・サラクルーはこう言いました。結婚は判断力の欠如、離婚は忍耐力の欠如、再婚は記憶力の欠如。後ろの二つは置いておいて、結婚は判断力の欠如というのは私自身もうなずかざるを得ない、思い当たる節が多々あります。ちなみに、山田課長はいかがでしょうか。

15◯山田こども未来課長 私も結婚いたしておりますが、将来のことを心配していたら結婚はできなかったという感想を持っております。

16◯板橋 聡委員 ですよね。目先のタイムパフォーマンス、コストパフォーマンスを追求すれば私もそうでしたけれども、若いときは一人で気ままに暮らして、頂いたお給料を自分のためだけに使ったほうがいいに決まっています。それを乗り越えて結婚ということに向かうには、もう理性をぶっ壊す感情的、情緒的、エモーショナルな要素が不可欠だと思います。つまり、感情、情緒に訴えるような若者の心を直接揺さぶるようなエモーショナルな施策、今風に言えば、エモい施策が必要だと思います。
 そのヒントが、こども家庭庁により昨年十二月に策定されたこども大綱に記載をされています。それは、乳幼児との触れ合い機会の創出です。赤ちゃんを抱っこした経験がある方は共感していただけると思うんですけれども、自分の子供はもちろん、他人の赤ちゃんでも、見た目、手触り、匂い含め、その存在全てがいとおしく、もう抱っこした瞬間に理屈、理性を吹っ飛ばして、ドーパミンがどばどばあふれ出るような多幸感は忘れることができません。
 一方で、地域のコミュニティーのつながりが希薄化し、少子化が進む中で、日常生活において若い人たちはそもそも乳幼児と接する機会が激減し、出産や子育てを自分のこととしてイメージすることが困難になっています。若い人たち、特に中学生、高校生のような子供から大人に変貌する感受性の強い時期に乳幼児との触れ合い体験の機会をつくることは、親となって子供を育てるイメージを持ち、家庭づくり、家族計画について前向きに感じることにつながると大いに期待をしております。
 そこで、質問です。地方自治体は今後、こども家庭庁のこども大綱の内容を踏まえ子供施策を実施していくことになりますが、乳幼児との触れ合い体験について、福岡県がどういうふうに取り組むのかお答えください。

17◯山田こども未来課長 来年度の当初予算でお願いしておりますこどもまんなか社会づくり推進費では、社会全体で子供や子育て中の方々を応援する機運を醸成するため、子供、子育てに優しい取組を行う県民や事業者などを開拓し、新たに構築するホームページやSNSなどで紹介することとしております。
 乳幼児と中高生などの若者が触れ合う機会の創出につきましても、子供、子育てに優しい取組の一つであると考えております。このため、こうした取組を実施していただくよう県民や事業者の方へ働きかけてまいります。
 また、就職して間もない若者を対象に、出会いイベントの体験会やライフデザインセミナーを行う未来応援フェスを開催しておりまして、この中で乳幼児との触れ合い体験イベントを行うなど、出産や子育てが身近に感じられるよう実施内容を工夫してまいります。

18◯板橋 聡委員 一方で、この乳幼児の触れ合い体験は、中学生、高校生の学習指導要領にも盛り込まれており、市町村においては次世代育成支援対策推進法に基づき策定する行動計画に乳幼児との触れ合い体験を盛り込むことが既に国の策定指針で定められております。公立中学校は市町村の教育委員会が所管しており、乳幼児の触れ合い体験を県内隅々まで浸透させるには、市町村の理解と協力が不可欠と考えます。
 そこで、質問です。県内の市町村における次世代行動計画の策定状況と、どれだけの市町村が策定した計画の中で乳幼児との触れ合い体験を具体的な取組として記載しているかお尋ねします。

19◯山田こども未来課長 県内市町村における次世代行動計画の策定状況につきましては、令和六年三月八日現在で五十五の市町村が策定しておりまして、全体の九一・七%となっております。また、この計画の中で乳幼児との触れ合い体験の取組を記載している市町村は二十二団体で、全体の三六・七%となっております。

20◯板橋 聡委員 少子化対策強化のために整備された次世代育成支援対策推進法に定められているにもかかわらず、乳幼児との触れ合い体験の取組を計画に記載している自治体が全体の三分の一程度しかないことに驚いておりますが、では、それらの市町村では具体的にどのような乳幼児触れ合い体験を実施しているのか教えてください。

21◯山田こども未来課長 教育庁の義務教育課に確認いたしましたところ、昨年度、中学校で実施された乳幼児との触れ合い体験授業では、幼稚園や保育所等に生徒が出向いて直接乳幼児と触れ合う事業を実施している学校もあれば、幼稚園や保育所における保育者の映像ビデオを見る、または生徒が乳幼児や保育者などの役を演じ、ロールプレイングを行う学校もあるとのことでございます。

22◯板橋 聡委員 今の御説明によると、リアルな触れ合いを伴う真の乳幼児との触れ合い体験、これが実施されている市町村は計画に記載している三六・七%よりさらに少ないことが分かりました。県として、今後、未実施の市町村に対し、どのようにこの事業の働きかけを行っていくのかお答えください。

23◯山田こども未来課長 まず、市町村における乳幼児との触れ合い体験の実施の有無やその内容、実施している学校数など実態を調査した上で、各市町村の状況に応じた働きかけを行ってまいります。具体的には、市町村が今後策定する予定のこども計画に係る説明会ですとか、教育、保育の需要を見込み提供体制などをまとめた子ども・子育て支援事業計画の改定に係る個別ヒアリングにおいて、次世代行動計画の策定や乳幼児との触れ合い体験の実施を働きかけてまいります。その際、小中高生と乳幼児との触れ合い体験イベントといった首長部局の取組のほか、教育委員会と連携し、それぞれの中学校で乳幼児と直接触れ合う体験授業を行っていただくよう促してまいります。
 また、結婚や子育て支援などの少子化対策につきまして、複数市町村での広域的な取組の協議や各施策の課題を共有する場として、全ての市町村が参加する協議会を毎年開催しておりまして、その中で乳幼児との触れ合い体験に取り組んでいる市町村の事例を紹介し、実施を呼びかけてまいります。

24◯板橋 聡委員 さて、来年度は現行のふくおか子ども・子育て応援総合プランの最後の一年になります。私はこのプランにおいて、少子化対策に関わる政策目標として、理想の子供の数と実際に持つつもりの子供の数の増加とその差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制、合計特殊出生率の向上という具体的な数値に着目した目標が設定されたことを非常に高く評価しておりますが、残念ながら全ての数値において現状では目標達成は大変困難な状況だと伺っています。
 新型コロナによる世界的な混乱もあったため、この結果も致し方ない部分もあるかなと思いますし、また同時に、新型コロナが五類になり、世界中が自粛ムードから解き放たれて日常を取り戻すモードになっている今、若者の家庭づくり、家族計画に対する意識も併せて高揚させる大きなチャンスが訪れたと私は信じています。
 そこで、部長にお伺いします。
 乳幼児との触れ合い体験の取組を行うことの重要性について、部長はどう認識されているのか御披瀝ください。

25◯桐明和久委員長 徳永福祉労働部長。

26◯徳永福祉労働部長 先ほど委員からも御指摘ございましたように、少子化の進行、あるいは地域社会での人と人の結びつきは弱くなっていると。こういった状況から、ふだんの生活で乳幼児と触れ合う機会が大変減少しております。こういう状況の中、乳幼児との触れ合い体験は子供、若者にとりまして、子供を産み育てることや家族を持つことがイメージできる機会になるものと考えております。
 次の世代の親となる子供、若者たちが家族の大切さや子供、子育てについてビデオを見たり、人の話を聞くといった間接的に知識を得るだけではなく、実際に目の前に赤ちゃんがいて、それを見たり、触れて柔らかさとか滑らかさを感じる、あるいは安らぎを与えるような甘い匂い、そういったものを嗅ぐといった五感で感じることができる生の体験が大事だと考えております。このような体験を通しまして、小さな命のいとおしさやかけがえのなさといったことを感じ、自らも将来、子供が欲しいと思えるような乳幼児と触れ合う機会をつくるということは、若者が結婚や子育てに夢や希望を持ち、それをかなえる社会づくりを進める上で大切な取組であると考えております。

27◯板橋 聡委員 この事業は、事業の対象となる学生は教育庁が所管しており、一方で事業実施に必要な乳幼児は知事部局が所管しており、乳幼児との触れ合い体験の着実な実施には、縦割り行政の弊害を乗り越え、知事部局、教育庁が県のみならず市町村もしっかりタッグを組み、進めていくことが必須と考えます。先ほどの答弁で、乳幼児との触れ合い体験は若者が結婚、子育てに夢や希望を持ち、それをかなえる社会づくり、すなわち少子化対策の一丁目一番地にとって大切な取組とおっしゃった部長ですが、どうやってこの事業を前に進めていくつもりかお答えください。

28◯徳永福祉労働部長 それぞれの市町村でこの乳幼児との触れ合い体験に取り組んでいただくためには、この事業の大切さを市町村に理解していただく、それとともに児童館や保育所などを所管し、乳幼児やその保護者とのつながりが強い市町村の子育て支援担当部署がどう取り組んだらいいのか悩んでいる学校との橋渡しをするなど、首長部局と教育委員会、学校が連携して進めることが重要であると考えております。
 また、実施に当たりましては、乳幼児への関心を高め、関わり方を実体験として学べるよう、直接、乳幼児と触れ合う機会となることが肝要でございます。このため、副市町村長が集まる会議の場で、乳幼児との触れ合い体験の重要性、先ほども申しましたが、実際に見る、触れるといった生の体験によって、想像ではなく、心から子育てについて理解できるということについてしっかり説明いたしまして実施を働きかけますほか、先ほど課長が申し上げたとおり、こども計画の市町村説明会、あるいは子ども・子育て支援事業計画改定に係る個別ヒアリング、こういった場がございますので、そういう場においても、市町村の子育て支援担当部署に対し、教育委員会や学校との協力を呼びかけてまいります。
 また、庁内では教育庁ですとか私立学校を所管しております私学振興課とも連携いたしまして、公立学校につきましては県の教育事務所長や市町村の教育長、県立高校の校長が集まる場、そして私立学校につきましては、各学校の理事長や校長が集まる私学団体の会議、こういった場を活用させていただきまして、生徒が直接乳幼児と触れ合う機会となるよう効果的な事業の実施について働きかけてまいります。こうしました取組によって、子供、若者が乳幼児の育ちや子育てについて生の体験を通じて心の気づきが得られるよう、乳幼児との触れ合い体験の実施率向上を図ってまいります。

29◯板橋 聡委員 部長の決意のほどを聞かせていただきました。この体験は組織の垣根を越えて推進する必要がありますし、さらに市町村の首長、教育長の理解と協力が必要です。ここは、県民から直接選ばれた服部知事のお考えを伺いたく、委員長、知事保留質疑のお取り計らいをお願いします。

30◯桐明和久委員長 ただいま板橋委員から申出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は三月十九日火曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

31◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)