【総務企画地域振興委員会 久留米・三潴・田川視察】
2016年5月10-11日に私が委員長を務める総務企画地域振興委員会で管内視察をして参りました。備忘録をあげておきます。
◎ 久留米市「久留米シティプラザの概要と地域振興」
4月27日にオープンしたての久留米シティプラザ。久留米市は福岡県で3番目の人口を誇る中核市ですが、平成2年以降周辺市町村への相次ぐ大型店舗出店や、福岡市への商業集積により中心市街地はジリ貧の状態でした。空き店舗率も、平成初期はほぼ0だったのが、最高26.8%(平成21年)を経て現在は約20%で推移しています。
その状況を打破するため地権者を中心とした再開発組合が旧井筒屋があった8番街区、市が管理していた9番街区の二つを合築し久留米シティプラザとする事業が平成23年度にはじまりました。開館以僅か10日間で40,800人を動員するなど好調な滑り出しのようです。
スクール形式で最大300席を利用可能な大会議室、炭も使える炉を備えた3室の和室、ダンス・バンド・演劇などの練習でも防音・防振設計が完璧なスタジオ、そして大中小3つのホールは舞台客席が可変式のCボックス、
能舞台にもなる400席の久留米座、
オーケストラピットを備え秋にはウィーンフィルハーモニーが公演する1500席のグランドホールなど全てが至れり尽くせりの最先端設計。
聞けば、運営は市が行うが、職員は市だけで無く様々な組織からプロフェッショナルを招き寄せ行っているとの事。
文化施設を中心とした街の活性化を提唱する文化庁も大きな関心を寄せている久留米シティプラザが、今後周辺店舗と共にどう中心市街地の復権を目指すのか気になるところです。
◎ 三潴郡大木町「おおき循環センター『くるるん』 ~ 再生可能エネルギーへの取り組みについて」
御多用中、大木町の石川町長にもご出席頂き「おおき循環センター くるるん(以下、くるるん)」。ここは平成18年に設置された生ゴミ・し尿・浄化槽汚泥をバイオマス資源化する施設です。
このような施設は場合によっては「迷惑施設」とも呼ばれ、設置場所などに苦労することも少なくありませんが、大木町はくるるんを「環境・農業・食をつなぐ、まちづくりの拠点」と位置付け、町のど真ん中に設置。JAの農産物直売所や「健康地域応援レストラン デリ&ビュッフェくるるん」を併設させることで、町民の地域循環システムへの理解や協力を高め、地域の一体感を醸成する事に成功しています。
またゴミ焼却施設を作ると3-40億円掛かる、そして焼却施設に依存しなければならなくなる、そうすると生ゴミも簡単に燃やしてしまう。くるるんならばバイオマス施設として約5億円で出来る。その上生ゴミを液肥化して安価で地元農家に提供出来る。更に街づくりの為の農産物直売所と郷土料理レストランや交流広場まで含めた総工費でも焼却施設の1/3程度で済ませることが出来、相乗効果たるや計り知れません。
実際、くるるん設置後生ゴミ分別を開始してから燃やすゴミの量は約3000トンから1300トンに激減。またゴミのリサイクル率も14.9%から63.1%となり全国で4番目に高くなったそうです。
石川町長が仰る「大木町は身の丈にあった投資しかしない。そこで最大の効果を上げる」という信念が、町民にも浸透し、見事に結実した施設だと感じます。
施設の視察に留まらずトップリーダーのあり方を考えさせられました。
◎ 福太郎(株)めんべい製造添田工場
田川郡添田町にあるめんべい製造工場を訪問しました。この工場は成り立ちが面白い。
旧県立田川商業高校は「田川科学技術高校」に統合され、旧校舎の処分が必要となっていました。それを、地元住民雇用や地域活性化を目指して福太郎(株)が買取。
体育館を改修し、めんべいの新工場として操業開始したそうです。
ただ単に工場とするのではなく、見学しやすいようにガラス張りのコーナーを設けたり、直売所や研修施設を併設し工場見学を積極的に受入れ地域振興に貢献。
更に、今年から女子ソフトボールチームを設立。余っていたグラウンドをソフトボールの公式戦が出来るように改修し「福岡めんべいグラウンド」と命名、更に使っていなかった校舎を選手の寮に改築。
5月10日には地元添田町役場の男子ソフトボールチームとの練習試合をこけら落としとするそうです(この宣伝ポスターが最高に面白かった)
単なる企業誘致に終わらせず、「地域づくりの担い手としての企業」を体現している福太郎株式会社と添田町の協力体制に大変感銘を受けました。