早見和真「イノセント・デイズ」

「ひゃくはち」等で著名な作家・早見和真さんの新作「イノセント・デイズ」。新潮社より8月22日発売予定ですが、伊藤忠時代の友人である萬治君が早見さんの幼なじみという御縁で献本頂きました。
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発売前ということでゲラ刷りの状態。そのまま開くと
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見開き4ページになって結構読みにくいです(苦笑)

発売までに読み切れるかなと心配してましたが、プロローグにある判決理由を各章の見出しにして徐々に物語の全容が浮かび上がるテンポの良さと、一つ一つのエピソードが登場人物を通じて読者の心の古傷を抉る筆致にグイグイ引き込まれ一日で読了。

発売前なのでネタバレは出来ませんが、ちょっと感想。

人から「必要とされる事」だけを望む主人公田中幸乃。周囲の人々は幸乃に依存し、幸乃は「必要とされる事」に依存する。どこまでも空虚で無色透明、故に関わる人の本性を増幅させる狂言回しのような主人公。読者が抱く先入観を最後の最後に拒絶するような結末と合わせて、早く誰かと感想を語り合いたくなる物語です。

一方で『整形シンデレラ』というキーワード。本の帯にもデカデカと書いてあるし物語にも整形手術のエピソードを含め何度も出てきますが、そこまで重要なのか自分には理解出来なかった。これは女性の視点で感想を聞いてみたいですね。

そうそう、献本と一緒にこんな封筒が
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「読後にごらん下さい」、この中身が見たくてサクサク読み進めたのかもしれません。