平成26年9月議会一般質問「人口減少社会への対応について」

録画中継にて知事答弁を含めて視聴する事が可能です。
板橋聡の議会質問録画中継
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質問要旨 一、人口減少社会への対応について
     1.県における「まち・ひと・しごと創生」
    2.農村地域振興
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、ごきげんよう。自民党県議団の板橋聡です。本日は、人口減社会への対応について質問いたします。
 本年五月に発表された日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略、いわゆる消滅自治体リストは、今まで真っ正面からの議論にならなかった人口減少、東京一極集中の問題に警鐘を鳴らし、大きな波紋を呼びました。それに端を発し、七月二十五日に政府は、まち・ひと・しごと創生本部設立準備室を立ち上げ、九月の内閣改造では地方創生担当相を設置、第一回のまち・ひと・しごと創生本部会合が開催され、本日開会の通常国会にて関連法案を提出するなど矢継ぎ早に対策が打たれています。九月十二日に開催された、まち・ひと・しごと創生本部の第一回会合にて決定された基本方針では、地方が成長する活力を取り戻し、人口減少を克服するために、従来の延長線上にはない次元の異なる大胆な政策を、中長期的な観点から、確かな結果が出るまで断固として力強く実行していくとあり、政府の不退転の決意を感じます。今後は、地方から上がってくる施策について国が支援していくこととなりますが、石破地方創生担当大臣は九月十三日に行われた講演で、うちの町をよくするために、と地方から案を言ってくれれば人も出すし、お金も支援するが、やる気も知恵もないところはごめんなさいだ、と述べ、地方自治体の自発的な取り組みが支援の前提であることを明言しました。
 そこで質問です。本県では個性ある地域づくりのために筑後田園都市構想、京築アメニティ構想などの施策が存在しますが、国が、従来の延長線上にない次元の異なる大胆な政策を推進しようとする中、福岡県におけるまち・ひと・しごと創生の施策が既存施策の焼き直しになってはならないと考えます。知事のリーダーシップにより、福岡県が国のどぎもを抜くような、そして職員のみならず県民を奮い立たせるような、従来とは次元の異なる、斬新で目玉となる政策を打つことこそが、新たなステージに入った人口減少対策の一丁目一番地と考えますが、知事御自身の言葉で思いと決意をお聞かせください。
 日本創成会議のストップ少子化・地方元気戦略では、合計特殊出生率が一・一三と全国平均より際立って低い東京が地方の若者を吸い上げ、国全体の少子化を加速させていることを指摘し、少子化をストップさせ地方を元気にするための総合的な戦略が提言されております。福岡県の人口動態は、福岡市を中心とする福岡都市圏が県内のみならず九州全域から若者を吸い上げ、さながら日本の縮図です。ちなみに、過去五年間の福岡県全体の特殊出生率一・四三に対し、福岡市中央区の特殊出生率は何と〇・八七、博多区は一・一五でございます。現時点では九州一の活況を呈す福岡都市圏ですが、それに甘んじて地方から若者が大都市へ流出する人の流れを変えなければ、日本創成会議が指摘するように、人口減少に歯どめをかけられず、県全体の活力が失われるわけです。
 そこで質問です。人口減少対策については、地方からの人口流入による福岡都市圏の活力だけに頼るのではなく、北九州、筑豊、筑後それぞれの地域の人口を維持し県下全域の活力が失われないよう、細やかな施策を打ち、その効果を測定するために、地域ごとの数値目標を設定すべきと考えますが、知事の所見をお聞かせください。
 さて、これまで人口減少対策や定住人口の維持拡大について質問がありますと、知事は毎回、魅力ある雇用の場をつくっていくことが何よりも重要と答弁されております。肥沃な筑後平野に広がる、私の地元みやま市を含む県南地域は農村地帯で、農業こそが各地域が持つ特性や資源を生かす主要産業であり、雇用のベースだと考えます。その後継者が農業を継ぐ意思と誇りを持って就農し、地域を支えるようになるべきと考えます。しかしながら、福岡県では、活力ある高収益型園芸産地育成事業など特徴的な園芸農業支援を行っていますが、品目によっては担い手不足が深刻な状況です。
 ここで知事に質問です。担い手不足の問題は、売り上げが十分確保されていないからです。園芸農業において、売り上げが大きい魅力ある経営を行う生産者を育成しなければならないと考えますが、知事の認識を御披瀝ください。
 また、あまおうやとよみつひめなど、独自品種によりブランド化しやすく他品種よりも販売価格を高目に設定できる品目もありますが、ナス、アスパラガスなどの野菜は差別化が難しいです。これらの品目の販売価格を高め収入をふやす取り組みをどのように行うのか、知事の所見をお聞かせください。
 認定農業者の親御さんから、息子に農家の後を継がせきらん、継がせたくないという言葉をよく耳にします。詳しく話を伺うと、実家を離れて就職した息子さんに、会社をやめてまで実家の家業である農業を継がせることにちゅうちょする、その最大の理由は売り上げ、収入でした。サラリーマンとして家族を養い月に二十万円以上の給与を得ていたとしても、一度会社をやめて農業の世界に踏み込んだら、ずぶの素人。園芸農家として一人前になるには十年は必要とも言われます。息子が帰ってきたからといっても、ある程度の技術習得ができるまでは、作付面積を二倍にして息子たちのために売り上げ増を図ることもままなりません。つまり、子供が会社をやめて後継者として親元で農業をする場合、人員は倍になっても、技術習得に時間がかかり、すぐに規模を拡大することもできず、結果として一人当たりの所得が半減してしまうということです。これはまさに農家という経営体における事業承継の課題と捉えます。
 そこで質問です。経営リスクを負う新規就農者の経営が安定するまでの支援策として青年就農給付金がありますが、青年就農給付金は農業とは縁のない方が新規に就農される場合を想定して制度設計されております。親元で就農する農業後継者には使いにくい補助事業です。地方の人口が減少する中、農村地域の活力を失わないよう、県として親元で就農する農業後継者に対ししっかりした支援を行うべきと思いますが、知事の所見をお聞かせください。
 以上、知事の真摯な答弁を期待して、一般質問を終わります。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 県における、まち・ひと・しごと創生についてでございます。本県では、人口減少社会に対応するため、まず少子化につきましては、出会い、結婚、出産、子育て、就職支援といった人それぞれのライフステージに合わせた、きめ細かな施策を総合的に推進をしてきているところであります。また、社会増減について、各地域の定住人口、なかんずく若者の定住を維持、拡大をしていくためには、先ほど議員も御指摘ありましたが、地域に魅力ある雇用の場をつくることが何よりも重要であります。このため、各地域が持っております特性や地域の資源を最大限活用して、製造業の競争力の強化、企業誘致、観光の振興、それから農林水産業の経営力の強化など、産業振興を図ってまいりました。今般、国において、まち・ひと・しごと創生本部が設置をされました。今後、国の総合戦略が年内にも決定をされ、地方における取り組みに対し支援が行われる見込みでございます。これらを受けまして、本県としましては、これまで実施をしてきた取り組みを評価、検証しながら、さらにこれを充実させていきたい、また市町村初め広く関係者から御意見も伺いながら、県民のニーズに対応した新しい施策の企画、立案に努めてまいりたいと思っております。また、施策を具体化する際には、できる限り国の施策も活用してまいります。このようにして人口減少社会における諸問題、諸課題に全力で取り組んでまいります。
 次に、地域に配慮した人口減少対策についてお尋ねがございました。本県におきましても、福岡都市圏を中心に人口が増加をしております一方で、県内の多くの地域において人口減少というものが続いております。各地域の人口減少に歯どめをかけ、活力を維持するためには、それぞれの地域、その課題は異なりますことから、画一的な対応ではなく、地域の実情に即した施策を効果的に実施することが不可欠であると考えております。このため本県におきましては、今後とも、人口減少社会に対応できるよう、県民意識調査などの各種調査の結果、また市町村や関係団体の御意見などを踏まえて、各地域の特性、その地域資源を生かした、きめ細かな施策に取り組んでまいります。
 なお、地域ごとの人口に関する数値目標の設定につきましては、国が今後策定をいたします総合戦略の状況を十分踏まえた上で対応を検討してまいります。
 次に、園芸農業における魅力ある経営についてお尋ねがございました。本県農業の主力でございます園芸農業につきましても、高齢化の進展による産地規模の縮小が懸念をされているところであります。このため県では、雇用型経営の導入による規模の拡大を進めてきているところであります。具体的には、雇用型経営を志向する農家に対しまして、年間雇用を図るための品目の組み合わせ、規模拡大に伴うハウス施設や省力機械等の導入、それらの支援を行っているところであります。このような取り組みを進めた結果、雇用型経営体の数は、平成二十二年の千百八十三経営体から二百六増加をいたしまして、現在、千三百八十九経営体となってございます。また、県内の主要品目でありますイチゴやナス、これにおきましても経営規模が大きく、雇用を導入している農家では、その売り上げも増加し、こうした農家には後継者の方も育っているところであります。県としましては、このように雇用型経営は後継者の確保にもつながる魅力のある経営に資することから、さらにこれを進めていくことが必要であると考えております。
 販売価格を高める取り組みについてお尋ねがございました。ナスやアスパラガスといった日常的に消費をされます野菜は、品種による優位性が発揮しにくいことから、まず品質管理を徹底する、それから実需者のニーズに対応した販売面での取り組みというものが重要になっております。このため、ナスの産地におきましては、量販店のニーズに対応し、段ボール箱のばら出荷でありましたものを、二本から四本入りの小袋包装、これを導入することをやりました。そういった商品アイテムの多様化を進めた結果、販売価格が上昇しております。また、消費者への認知度向上を図っていくために、ナスの産地を持つ他県と共同いたしまして首都圏で消費拡大のイベント、また量販店における試食販売を行っているところであります。さらに、外食産業と連携をいたしまして、ナスやアスパラガスを初めとした県産の農林水産物を使った料理を提供していただく福岡フェアというものを開催をし、福岡県農林水産物の認知度の向上とあわせ、その販路の拡大にも取り組んでいるところであります。今後とも、こうしたPR、販売促進活動に取り組んでいきまして、販売価格の向上に努めてまいります。
 次に、農業後継者に対する支援でございます。農業後継者は新規就農者の約七割を占め、農村地域の担い手となる重要な人材であります。国では、親元で就農する農業後継者でありましても、就農時は経営が不安定なことから、その間の所得を確保するために、平成二十四年度から、一定の条件のもとに青年就農給付金を交付しております。また、本年度からは、親の農地だけで営農する場合にも、その給付金が交付されることになっております。県におきましても、農業大学校での養成や普及指導センターにおける就農講座の開催、個別現地巡回などを通じまして、農業後継者に対する技術面それから経営指導面、きめ細かく支援を実施しているところであります。さらに、初期投資を軽減するため、水田や園芸農業に必要な機械、施設の導入経費に対しまして、県単独の事業でその助成を行っているところであります。これからも、こうした国の制度や県の制度、取り組みを最大限活用しながら農業後継者の支援に努めてまいります。

◯議長(加地 邦雄君) 板橋聡君。

◯十一番(板橋 聡君)登壇 福岡県版まち・ひと・しごとに対する思いと決意について、私がちょっと聞き方が悪かったのか、答えていただいていないかなと思える部分がございましたので、質問の意図の説明を含めて再質問をいたします。
 一九八〇年代、日本のサッカーがプロ化をしようと、そういった機運が盛り上がっておりました。その後、バブルが崩壊して、そして慎重論が出てきたと。ある会議の中で、そのプロ化に対して抵抗する方々が、そんなことをやっても、もうちょっと景気が回復してやったらどうだと、時期尚早じゃないか、あるいは、まだプロスポーツなんて日本には野球しかない、そんな前例がないことをやって失敗したら誰が責任とるんだというネガティブな発言をされたと。そこにすっと立ち上がったのが川淵三郎、後の日本サッカー協会の会長でございます。その方は、時期尚早と言う人間は百年たっても時期尚早と言うんだ、前例がないと言う人間は二百年たっても前例がないと言うんだと。時期尚早というのは、やる気がないということの裏返し、前例がないということは、私はアイデアがありませんということの裏返し、恥ずかしくて言えないからそういう言葉を使うんだと。仕事は、できないことにチャレンジして、できるようにすることが仕事なんだと。この名演説により、日本のサッカーはプロ化の機運が再度高まり、御存じのとおり、一九九二年にJリーグが発足いたしました。ある評論家は、二十一世紀のリーダーシップの一つは、やけどするような熱い情熱、パッションが必要であるというふうに、この川淵三郎の言葉を言われております。評価されております。非常に格好いい話だなと、私は大好きなエピソードではございますが、こんなことが自分の身の回りで起きないような、そんな遠い話かなと思っておりました。しかしながら、そうではございませんでした。
 平成二十五年十二月議会、一般質問の答弁に立った樋口県警本部長の悲壮とも言える暴力団排除に対する決意表明。議場は、降壇する樋口本部長に対して、自然発生的に満場の拍手が起こりました。我々は、県警トップの退路を断った断固たる意志、これにある種、感銘を受け、本部長がそこまで言うなら議会は全力で応援するぞと、気持ちが、そういう気持ちが拍手にかわったのではというふうに思っております。そして、一番にその言葉が心に響き、意気に感じたのは県警職員だと想像します。九カ月後、工藤會ナンバーワン、ツーの逮捕につながったのは、樋口本部長のリーダーシップにより一致団結した福岡県警の実績であることは疑いのないところだと思います。
 出生率改善の五年のおくれは、将来の安定人口を三百万人減少させると言われております。もはや一刻の猶予も許されない福岡県の人口減少対策は、施策だけで解決するものではありません。県政トップの知事が退路を断ち、リスクをとって決断をし、職員一人一人が一丸となり立ち向かう意志を共有し、県民もその熱に突き動かされ、オール福岡で人口減少に立ち向かわせる、そんな熱いリーダーシップが必要と私は考えますが、その件について、知事の思いと決意をお聞かせください。
 以上、再質問です。(拍手)

◯議長(加地 邦雄君) 小川知事。

◯知事(小川 洋君)登壇 現在最重要の、また喫緊の課題であります人口減少社会、その到来に向けての対応でございますが、私自身、やけどするようなと言うかどうかわかりませんが、それに負けないぐらいの熱意でもって取り組んでいきたいということをお伝えをしたいと思います。そのために、私をトップとする本部もつくって、あらゆる角度から今までの取り組みを評価、検証し、それを充実をしていく、それから新しい施策、その必要性、またその内容について、いろんな方の意見も聞きながら、それを立案をしていきたいと、このように考えております。いずれにしましても、時間が余り残されていない課題であります。これは日本全体の問題でもあります。それぞれの地域がうまくいかなければ日本全体が沈むと、そういう強い意志でもって、この福岡県人口減少社会、諸課題に対応していきたいと思います。