昨日は高田町にある宝満神社で開催された「新開能」の奉納能を鑑賞してきました。
新開能の紀元として1640年に立花藩お抱えの能楽師が宝満神社に猿楽能を奉納した事が史料として残っています。当初は専門の能楽師が奉納しておりましたが、徐々に地元の農民の手に移っていき「農民能」として高田町の新開地区に伝えられる全国的にも貴重な伝統民俗芸能です。
約3ヶ月前から練習を開始し、この舞台も新開能狂言保存会の皆さんがこの日のために設営されるのだそうです。この舞台があるスペース、実は普段は参道なんです。
演目は嵐山(能)、萩大名(狂言)など全部で8つ。能と狂言を交互に演じて単調にならないようにしてあります。午後3時から始まった奉納能ですが、午後9時頃まで続くとのこと。昔は夜中1〜2時までやってたとか。凄いです。ただお客さんの雰囲気もお菓子や果物をつまみながらのんびり楽しんでいるお祖父ちゃんお婆ちゃんの集団がいたりして、地域と共に根付いている文化だと実感しました。
農民能とはいえ、直前は夜10時過ぎまでみっちり練習を積んだ成果でしょう鑑賞素人の私には十分素晴らしいものに思えました。
特に「萩大名」という狂言(上記写真右側)。記憶力の悪い田舎大名の笑い話なんですが、農民能ならではの絶妙のキャスティングがツボにはまってもの凄く面白かったです。
ただ心配もあります。生活様式が変化したこの時代にこの文化を残し続けるのは厳しいものがある。毎年10月17日に奉納だから曜日も関係なし。厳しい練習が3ヶ月も続く。相当なモチベーションを継続的に維持することが必要だし、企業を巻き込んだ地域の理解も必要。昨日はちょうど西原みやま市長と同席しておりましたが、これらの課題を行政・議会の立場からも考えていきたいと思います。