平成29年予算特別委員会・知事保留質疑「観光協会のDMO化に向けた支援について」「出会い結婚応援事業について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。まずは、観光協会のDMO化に向けた支援についてお尋ねします。今回の商工部観光政策課とのやりとりの中で、観光協会のDMO化に向けて支援の道筋を表明していただきました。しかしながら、観光協会が収益を上げるには、腰を据えた継続的な支援が必要と考えますが、知事の決意のほどをお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小川知事。

◯小川知事 県といたしましては、各地域の観光協会がDMOとしての収益を上げ、また地域における観光振興の司令塔としての役割を十分果たしていくことができるよう、県の観光連盟と一体となりまして各地の観光協会のDMO化実現のために継続的な支援に努めてまいります。

◯板橋 聡委員 観光という視点で未来への質問をしましたけれども、続いて、今そこに横たわってる危機について質問させていただきたいと思います。ただ、その前に、本日の読売新聞に、福岡県は知事の顔写真つきで就職支援事業の全面広告を出されています。まだ来年度の予算も通過していない、事業も確定していない今日、きょう、県の事業について全面広告を出すというのは予算特別委員会をちょっと軽視している感じがしますけれども、予特の審議をどういうふうにお考えですか。

◯小川知事 予算を御提案申し上げ、その内容を説明させていただいて、予算をお認めいただいて、事業を遂行している、それが本来の姿だと思います。今回、全面広告が出ておりますけれども、新規の予算がどこまで入っていたかは、私はちょっと定かに今見ておりません。確認をさせていただきたいと思いますけれども、いずれにしましても、議会での御議論を踏まえて事業をしっかり遂行させていただきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 最高責任者として知事がそこを把握されてないというのはちょっと不思議に思いますけれども、続けます。ふくおか子ども・子育て応援総合プランの予算措置状況について持ち込み資料のお願いをしております。お取り計らいをお願いたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出がありました資料の配付についてであります。資料の内容については理事会において確認しております。
 お諮りいたします。板橋委員申し出の資料を配付することに御異議ありませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 それでは、ただいまより板橋委員から提出のありました資料を事務局から配付させます。
     〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 これは執行部につくっていただいた資料なんですけれども、去年とことしの子ども・子育て応援プランに関する予算の比較と増減でございます。これについて、知事どういうふうに思われますか。

◯小川知事 私自身といたしましては、子ども・子育ての支援は大事な課題だと思っておりまして、一個一個の項目について精査をし、伸ばすべき点は伸ばす、そして全体としての額の確保に努めたつもりでございます。

◯板橋 聡委員 確かに全体として額はふえてるんですけれども、これはほとんど、見ていただければわかりますとおり、子供ができてからの支援なんですね。これはこれで大事だとは思います。しかしながら、少子化という意味では一丁目一番地、小川知事もよく言われております、若者が結婚したい、家庭を持ちたいと思って出会いがあり、結婚するということじゃないかと思っております。この予算では、一丁目一番地に当たる次代の親の育成と結婚応援の推進がばっさり削られておると。これでは、水道の蛇口を閉めてるのに、お水がたまらないと悩んでいるようなもんだと私は思うんですね。
 県はこれまで、若者の出会いの場を提供することを目的に、あかい糸メールとかさまざまな出会いイベントを実施してきています。その成果として、これまで八千六百組のカップルが誕生したと言いますけれども、その先の結婚については、結婚が個人の価値観によるものだからといった理由で、出会い後の成婚に向けた取り組み、その実績については明確な目標もなく、腰が引けているように感じます。本気で少子化問題に向き合うためには、職員はもとより知事自身が出会い後の成婚数について責任を持って取り組んでいくという気概が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯小川知事 確かに御指摘のとおりでございまして、県民意識調査によりますと、結婚する意思を持ちながら若者で結婚されない理由は、適当な相手にめぐり会えないからということが非常に多うございます。このため、成婚数をふやすためには、まず若者たちに出会いの場を提供する、カップリングによる結婚へのきっかけづくりを行うことが最も重要であると考えまして、これまで出会い・結婚応援事業に取り組んでまいりました。
 そのため、まずは出会いの場を提供しよう、また、カップルの成立に主眼を置いた取り組みを進めてきたわけでございますが、今、御指摘ございました、今後はボランティアで若者の結婚を応援していただいております福岡結婚応援サポーターによります、イベント後、出会いの場、これを実施した後のアフターフォロー、そういったことなど、成婚も念頭に入れたフォローアップに力を入れてまいりたいと思っております。また、これに加えまして、来年度は、デートにどう誘えばいいかわからない、会話が続かないといった声も寄せられておりますので、新たにコミュニケーションスキルアップやマナーアップ講座など、交際の発展をサポートするセミナーを開催をいたしまして、カップルとなった方々がより成婚につながっていくよう支援をしていきたいと思っております。

◯板橋 聡委員 では、成婚数に関する目標は掲げないということですか。

◯小川知事 結婚というのは個人の価値観に物すごくかかわるところでございます。そのために、成婚数それ自身に関する目標は今掲げておりません。しかしながら、二十七年度に策定をいたしました福岡県人口ビジョン・地方創生総合戦略におきましては、県民の皆さんが理想とするお子さんの数と実際に持つつもりの数の差の縮小、平均初婚年齢の上昇の抑制というものを目標に掲げ、施策の展開をさせていただいております。まず、それらの施策、目標の達成に向けて、しっかり取り組ませていただきたいと思います。

◯板橋 聡委員 人口ビジョン・地方創生総合戦略の二つの目標を先ほど言っていただきました。これは県の少子化対策で行っているさまざまな施策をもって達成を目指す最終の数値目標じゃないか、そして、そのさまざまな施策の中の一端を担うのが出会い・結婚応援事業じゃないかと私は感じております。だとするなら、出会い・結婚応援事業においても、イベントの参加者数とかいう途中経過的な状況に目標を立てるのではなく、成婚数について具体的な数値目標、成果指標を設定すべきじゃないかと思うんです。そうじゃなければ、知事として少子化対策の成果目標に対して腰が引けてるんじゃないかと。実際、このあかい糸めーるというのは、結婚したいなという人が出会いを求めてやるものですから、個人のどうのこうのとは関係ないんじゃないかと思うんですけど、そこら辺に関してはどういうふうに思われますか。

◯小川知事 よく結婚応援宣言、あるいは結婚を応援していただく企業の経営者へのお声かけを私自身もやっておるんですけれども、セクハラとかパワハラと言われることがあるとおっしゃる方もいらっしゃいます。そういう意味では、個人がどう思われるかということにかかわってくる部分もございますので、行政として成婚数を目標値に設定することにつきましては、私自身は慎重に考えなければならないかなと思っております。一方で、先ほど申し上げました目標。いろいろな施策を糾合した結果、達成されるべき目標でございますが、それを今やらせていただきながら、来年度はフォローアップ、アフターフォローに力を入れてまいりますので、そういった事業の取り組みの進捗状況も踏まえて、どのようなことができるか、成婚を念頭に置いたフォローアップ、その目標についてどういうことができるかを考えていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 でも、結婚応援推進事業の予算が減らされてるんですよね。だから、こんな話になってると。
 続けます。市町村が行う出会い応援事業に対する補助事業について聞きます。地域少子化対策重点交付金は昨年に比べて七千万ぐらい、こんな大きな金額が減少してるわけです。上村子育て支援課長の答弁で、国の採択が厳しくて市町村からの申請が減少したことが原因との説明を受けました。そうであれば、なおのこと県が申請に向けた具体的な助言、指導をすべきじゃないかと思いますけれども、県として、国の予算を取り込んで全力で少子化対策をするという意欲が感じられません。この点についてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 御指摘のとおり、市町村が取り組んでおります地域少子化対策重点交付金でございますけれども、今年度、御提案させていただいています予算は、昨年度、国の採択状況が非常に厳しかったということがありまして、現段階では市町村の要望額を計上させていただけるわけであります。県としましては、この掲げさせていただいております額、この採択に向け、責任を持ってしっかり支援をしていきたいと思っております。
 なお、この交付金でございますけれども、今年度を見ていきますと四回追加募集が行われております。二十九年度は国の予算額が増額されておりますから、追加募集が行われる可能性が高いと考えております。このため、県におきましては、この情報収集に努めながら追加募集に速やかに対応できるように、市町村に対しましてその要望を行うよう、引き続き働きかけを今続けているところでございます。
 今後の採択に向けましては、先進事例についての情報提供、また事業構築への助言を私どもから行わせていただきまして、県としてもしっかりこういった市町村の取り組みを支援し、一つでも多くの交付金の活用が進むよう、懸命に取り組んでまいります。

◯板橋 聡委員 これから頑張るということなんでしょうけど、二十九年度予算を見る限り、がっかりな数字なんですね。市町村は、先ほどの観光DMOの話でも言いましたけど、人も知恵も足りない部分があります。県がしっかり汗をかいて、知恵を出して市町村の支援をすべきだったんじゃないかと指摘をしておきます。
 昨年の予算委員会で、私は、子育てに理解のある子育て応援宣言企業へ働きかけることが結婚応援宣言企業をふやしていくことに有効ではないかと提案して、前部長と前課長に、両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと約束をいただきました。にもかかわらず、そのような取り組みのもと努力しているとは到底思えないような成果、実績になっております。これは一体どういうことでしょうか。

◯小川知事 前部長、前課長が、子育て応援宣言企業と結婚応援宣言企業、この両事業が相乗効果を十二分に発揮できるよう責任を持って取り組んでいくと議会でお約束をし、引き継いでいたにもかかわりませず、今、御指摘のあったような結果になりました。非常に遺憾でございますし、申しわけなく思います。私自身は、前から申し上げておりますように、若者の結婚したい、あるいは子供を生み育てたいという御希望をかなえていくことは、県にとって重要な課題だと思っております。引き続き、結婚応援宣言企業の呼びかけ・協力について、子育て応援宣言企業を中心にしっかり働きかけを続けていきたいと思います。

◯板橋 聡委員 知事の答弁では、昨年、部長がお約束してくれた両課の連携にほとんど触れてないんですね。一つ指摘させていただきますけど、山口新雇用開発課長から聞いた話なのですが、子育て応援宣言企業というのがどこがすごいかと。これは二年に一回更新作業があって、そのたびにきっちりと宣言企業とコンタクトをとる、この仕組みがすばらしいんだと。ということは、昨年一年間で、単純計算すると六千社中の三千社が更新作業を行ってるんですね。その更新作業をしている三千社にはどういうアプローチをしたんだろうかと。三百社ほど訪問はされたと思いますけど、三千社にどうアプローチしたかがすごく気になるんです。これは、新雇用開発課は全く結婚応援宣言企業の開拓の手助けをしていないという理解でよろしいんでしょうか。

◯小川知事 これまでもそれなりの努力はしてきたわけでございます。結果としては出てないという意味では非常に遺憾であります。これからしっかりやりたいと思うわけでございますけれども、子育て応援宣言企業を拡大させてきたという山口新雇用開発課長のところの今までの取り組みとノウハウがございますので、今まで以上にそのノウハウを活用したい、連携を深めたいと。その上で、加えて、県と包括連携協定を結んでおります企業、また、地元企業が多数参加をいただいております就職フェア、説明会をやっておりますが、それに参加をされている企業、また、子育て応援宣言企業で二年間に一回の登録更新時期を迎えている企業、そういった企業に対しまして重点的に結婚応援宣言の働きかけを続けていきたいと思います。また、県や市町村における広報媒体を通じての呼びかけに加えまして、経済団体が持っておられます機関誌、メルマガを活用した情報発信や、それぞれの会合等の機会を使い呼びかけをやらせていただくことによりまして、地域と企業の理解を深めていって、結婚応援宣言企業の拡大に真剣に取り組んでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 微妙に外してあるんですよね。ずばり聞きますよ。六千社が二年に一回更新作業すると、年に一回、三千社ぐらいが更新作業をしに行くのは新雇用開発課ですよね。その三千社に対してアプローチをするというなら、新雇用開発課はしっかりと結婚応援宣言企業をふやすための努力をすると答えていただけるんですね。

◯小川知事 今申し上げましたように、これから重点的に取り組む企業の一つに、登録更新時期を迎えた子育て応援宣言企業ということを申し上げたわけであります。したがいまして、新雇用開発課、彼らが更新時期に一緒になって働きかけをしていくということでございます。

◯板橋 聡委員 しっかりお願いします。
 繰り返しますけれども、出会い・結婚応援事業を含めて、少子化対策については前部長、前課長からしっかりと前向きな答弁をいただいてるにもかかわらず、予算は減っている、新規事業や交付金の獲得の努力も足りてなかった、少子化対策の具体的な数値目標にも、先ほど知事おっしゃいましたけど腰が引けてる。縦割り行政で関連する事業をやってる課の横串連携もとれてなかった。知事、執行部のこの対応を最高責任者としてどういうふうに思われますか。

◯小川知事 常々、縦割りの弊害を除去したい、少なくしていきたい、連携を強化していきたいと考えておりますけれども、今御指摘のありましたように、今回の事業につきましてはなかなか思うように進展してないところがございました。非常に遺憾に思っております。これから関係課の連携を深め、いろいろな機会を使って呼びかけをし、結婚応援宣言企業の輪を広げていきたいと考えております。

◯板橋 聡委員 知事の遺憾の意はわかりましたけれども、少子化対策は県の将来、地域の活性化のために最も重要な課題です。一年対策がおくれれば十年効果がおくれると言われてるんですね。今回、今の知事のお話でも明らかになりましたけど、執行部の怠慢によって本年一年間おくれてるわけですよ。この出おくれをどう取り戻すか。そのやり方については、人をふやすとか、事業をふやすとか、予算を修正するとか、ことし出おくれた分、来年の予算を倍増させるとか、きっちりリカバリーするために知恵を出し、汗をかくのが執行部の役目だと思っています。
 知事、福岡県の少子化対策の一年間の出おくれをどう取り戻すか、お考えをお聞かせください。

◯小川知事 子ども・子育て支援全体の予算はふやしておりますけれども、事業それ自身においては進捗に差があります。おくれたところはそれを取り戻す。一年のおくれは将来もっと長いおくれになるという御指摘もありました。そこを肝に銘じまして、今、御提案をしております事業に魂を入れていくといいますか、しっかりやっていく。その状況も見ながら、来年度の対策はどう打つかについて、しっかり全庁挙げて、また連携をとりながら知恵を出す、汗をかく、それを基本に、今後の対応を急いでいきたいと思います。

◯板橋 聡委員 今、知事、魂をかけてとおっしゃいましたね。

◯小川知事 魂を入れる。

◯板橋 聡委員 魂を入れて。かけるわけではないですね。わかりました。魂を入れてもいいんですけど、私は、部長と課長から少子化対策頑張ると言われて十二カ月放置されていたんですね。その上、予算も減額された。今回、予特の質問の中で野原議員の質問で明らかになりましたけど、知事は、私が委員長を務めてる総務委員会に答弁に来て、知事の危機管理については万全を期すと私に言っておきながら三カ月放置しているわけですね。二度あることは三度あるのか、それとも三度目の正直なのか。仏の顔は三度までと言いますけども、二度かもしれません。知事が予算特別委員会の答弁を踏まえて、どうこれから少子化対策を頑張っていくのか議会としてしっかりと注視してまいりますので、よろしくお願いいたします。終わります。(拍手)

平成29年予算特別委員会「DMOと観光の終焉について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 本日の観光局の質問の終えんに、私からはDMOと観光の終えんについてというテーマで質問させていただきます。
 執行部の皆さん、熱が入って非常に一生懸命答えられるのはいいんですけれども、ちょっと答弁が長い、わかりにくいところがありますから、なるべく簡潔に、わかりやすい言葉でお願いしたいと思います。
 まず、我が会派の十中大雅議員が、今議会の一般質問においてDMOに関して質問をされました。答弁の内容は、県内市町においては、地域観光振興の中核である観光協会がDMOの役割を担っていくという答えでしたけれども、私も観光協会の現状を知っていますので、全ての観光協会が一足飛びにDMOの役割を果たせるとは思っておりません。
 そこで、地域の観光協会が現在どういう状況にあって、どういう課題があると認識されているのか、お聞かせください。

◯井上忠敏委員長 中島観光政策課長。

◯中島観光政策課長 現在、観光協会は四十三市町村の中に三十四設置されております。そのうち二十七、率にしまして八割が職員数三人以下、このような状況で頑張っているところでございます。また、ほとんどの観光協会がプロモーションやイベント中心の事業を実施しておりまして、一年を通じて観光客を呼び込む、そのような取り組みになかなかつながっていかないというのが課題でございます。

◯板橋 聡委員 DMOの役割を担えと言っても、市町村の観光協会には人も足りない、ノウハウもない。だからこそ県がどういう役割を果たすのかが問題です。
 十中議員の一般質問では、県の支援策について、体験型観光資源の開発とか、ほかの先進的な取り組みに対する助成や観光地づくりに関する専門家による助言、指導などを挙げておられましたけれども、どうもいま一つぴんと来ないんですね。助言とか指導をするといっても、どういうふうにするのか。場当たり的にやっていてもなかなか成果が出ないのではないかと思います。もっと具体性のある方針や進め方が必要だと思いますけれども、県の立場における観光協会のDMO化の道筋について、説明をお願いします。

◯中島観光政策課長 県といたしましては、県観光連盟と連携しまして、観光協会の実情に応じた支援をしていきたいと思っております。具体的には、一つには、DMOの重要性を認識してもらうための啓発、そして、もう一つは、県観光連盟によります観光協会の事業計画策定等に対する助言、そして、全国的に有名な観光地づくりの専門家を招きまして観光協会の事業改善の指導を行っていく、あるいは県の助成金を活用して新たな事業展開を支援していく、さらに、官公庁が進めております日本版DMO候補法人、この登録を目指す観光協会への取り組み支援、そして、国の助成金活用に対する助言、このようなことを通じまして、観光協会がDMOとして収益を上げ、また地域に観光消費を生み出す司令塔となれるようにしっかりと支援してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 道筋をお示しいただきましたけれども、DMOのコンセプトもまだまだ浸透していない中、地域観光協会のDMO化には、道筋と同時に道しるべも必要だと思います。明確で具体的な目標を設定して、地域観光協会と県とで共有をして、ベクトルをそろえて進めていくべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

◯中島観光政策課長 現在、県観光振興に関する基本方針の中で議論を進めているところでございます。今後、専門家を初めいろいろな意見を聞きました上で、DMOに関する目標についても盛り込む方向で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 さらに、一、二年やったからといって、すぐに地域の観光協会でDMO化が達成できるとは私も思っていません。やはり物になるまで継続的な取り組みが必要と考えますけれども、所見をお聞かせください。

◯中島観光政策課長 観光協会のDMO化につきましては、御指摘のとおり、長期的な視点で考える必要があると考えております。各観光協会の事業目標の達成に向けまして、今後の事業の進め方も含めまして、専門家の意見を聞きながら、継続的な支援に努めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 ちょっと視点を変えまして、二〇一七年二月、デンマークのコペンハーゲン市が新しい観光戦略を打ち出しました。その戦略はジ・エンド・オブ・ツーリズム、日本語に訳すと観光の終えんとショッキングなタイトルがつけられて、その内容は、観光地の美しい写真で観光をマーケティングしたり、マスメディアによるPRによって大量の観光客が押し寄せて地域住民に負担になるようではだめですと。観光客を大量に誘客し、大量消費してもらう時代は終わりました。これからは観光客を一時的な住民として捉え、地域のコミュニティーの一員となる、地域も誘客のために背伸びしない観光振興に取り組むという趣旨でした。この観光戦略を、課長、率直にどういうふうに評価されますか。

◯中島観光政策課長 この戦略は、委員の御指摘を受けて初めて知りまして、英語で書かれておりましたので非常に苦労したんですけれども、コペンハーゲンの観光戦略は、地域住民や企業、さらには観光客も一緒に観光をつくり上げていき、住む人の生活の質も向上させていくという、このような考え方でございまして、観光振興に取り組むに当たって非常に重要なテーマを掲げていると考えております。

◯板橋 聡委員 そうですよね。しかしながら、過去の福岡県の観光施策でいうと、よしもと芸人と行くバスツアーなどはエンド・オブ・ツーリズムの中で指摘されている終わりゆく観光の典型例ではないかと。テレビの有名人という飛び道具を使って客寄せしても、一時的には誘客につながっているかもしれませんけれども、持続的なものとはなっていないと感じますけれど、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 このツアーにつきましては、参加者から県内にも魅力的なスポットがあるということを再発見できたというような声がありましたし、県の行いましたアンケートにおきましても、旅行先に福岡県を選んだ理由として、以前来てよかったというような回答がふえてきておりまして、一定の成果があったものと考えております。
 しかしながら、近年の観光客の動向は団体旅行から個人旅行へ、また見物周遊的な観光から体験交流型へと変わってきております。持続的に誘客していくためには、こうした市場ニーズに合った取り組みを進めていく必要がありまして、県の施策も変わっていく必要があるということで、現在、少しずつ見直しを行っているところでございます。
 二十九年度予算では、例えば都市部と農山漁村が近接している強みを生かしたサイクリングやオルレなどのトレッキングと、旅館、農家民泊等を組み合わせた地域の観光協会、商工会など、その分野の専門家とともに協議、検討を進めてまいる考えでおります。

◯板橋 聡委員 そういう意味では、マスメディアの力に頼って大量誘客しても、一過性で地域は疲弊するだけです。何も残りません。他県でもやっているからとか、テレビで紹介されていたからとか、はやりものに乗っからないで、もっと地域の本質的な魅力を打ち出すべきではないかと思いますけれども、課長、どう思われますか。

◯中島観光政策課長 県としましては、徹底したマーケティングを行いまして、こうしたデータに裏打ちされた取り組みが必要と考えております。そして、旅行ニーズを捉えた個人に届く情報発信、それから結果の分析、これを次への展開へとつなげていくことが必要だと考えております。このため、個人に届くような県独自の観光情報の発信というものに取り組んでまいる考えでございます。
 また、国内はもとより、海外からのリピーターをふやす必要がありますので、体験したり、交流しながら時間をかけて滞在していただけるような観光資源の開発を地域の皆さんとともに進めたいと考えております。

◯板橋 聡委員 まさにそのようなことをしっかりやってかなければならないんですけれども、先ほど申し上げたコペンハーゲン市の観光戦略は、観光客も住民として、コミュニティーの一員となって、将来的には移り住んでもらおうという大きな話でもあるんですね。これは我が国においても平成二十七年十一月に発表した「日本版DMO」形成・確立に係る手引に、地域住民の自らの地域への誇りと愛着を醸成する住んでよし、訪れてよしの豊かな地域づくりにより、地域住民の地域外への流出を防ぎ、ひいては地域を訪れた観光客の定住の促進につなげていくことも地方創生の実現における観光の重要な役割と、こういうふうに明記してあります。
 本日のDMOに関する質問の最後ですけれども、県としてこのエンド・オブ・ツーリズム的な考え方を生かした福岡県版DMOづくりにじっくりと取り組んでいくべきだと考えますけれども、最後ですから、部長のお考えと決意をあわせてお聞かせください。

◯井上忠敏委員長 小島商工部長。

◯小島商工部長 委員から御指摘のありましたエンド・オブ・ツーリズムはコペンハーゲンでございますけれども、ヨーロッパはもともと長期休暇がございますので、日本にそのまま当てはまるかどうかという問題はもちろん若干ありますけれども、体験型観光が今、非常にブームになってきている。その体験といいますのは、その地域にございます歴史や文化、あるいは食や産業、そういった訪問地の日常を体験する、旅行客の方にとっては非日常ですけれども、その地域の方にとっては日常の部分を体験するということでございまして、流行に流されずに観光客のニーズを的確に捉えて持続可能な観光地づくりを進めようとするこういったコペンハーゲンの考え方というのは、県にとっても見習うべき点が大変多いものだと考えてございます。
 県としては、こういった基本的な考え方のもとで、またこういった観光を進めていく上に当たっては、先ほど来、出ております地域の観光協会、こういったとこが、みずから収益を上げ、地域に観光消費を生み出していくための司令塔、つまりDMOとなれるようにしていく必要がございますので、県観光連盟との連携もしっかり強化いたしまして、こういった取り組みを支援してまいりたいと考えております。
 また、こういった考え方につきましては、先ほど来御説明申し上げております県の観光振興の基本方針の内容についても、この中で検討してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 突然決意を聞くと、かなりどぎまぎしながらしゃべられていたみたいですけれども、部課長の意気込みは感じるんですよ。しかし、私、一般質問のときの知事の答弁を聞いている限り、部課長を初めとする現場の熱意と何となく温度差を感じるんですね。県全体の観光戦略でございますので、ここはぜひ、先日、福岡アジアコレクションカワイイ大使の女性八人に囲まれて満面の笑みを新聞で披露されておった小川知事に直接聞いていきたいと思いますので、知事保留のお取り計らいをお願いいたします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。なお、知事保留質疑は三月二十四日金曜日に行う予定でありますので御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成25年9月議会一般質問「ワンモア福岡の取り組みについて」

福岡県議会 録画中継にて公式動画で質問と知事答弁が確認できます。
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質問要旨
「ワンモア福岡の取り組みについて」
 1.観光協会との取り組み強化
 2.歴史観光政策
 3.MICE戦略都市等との連携
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◯十一番(板橋 聡君)登壇 皆さん、おはようございます。自民党県議団の板橋聡でございます。けさもNHKで「あまちゃん」を見て、爽やかな気分で質問の場に立っております。知事はごらんになっていらっしゃいますでしょうか。このドラマは東北の地方都市のまちおこしがモチーフとなっており、海女漁やローカル鉄道など地域観光資源を活用して、地元観光協会を初めとする住民たちがまちおこしに奮闘する姿に共感を覚えた方もこの議場の中にたくさんいらっしゃるのではないかと思います。そこで本日は、知事が就任以降、観光政策として強調される福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食、いわゆるワンモア福岡、福岡プラスワン戦略の取り組みについて質問をいたします。
 まず、観光協会との取り組み強化についてです。過去の答弁で、観光振興について知事はたびたび市町村の観光協会との連携強化について言及されています。市町村に属する観光協会は、福岡県内に三十二団体存在します。地域のさまざまな職種の会員で構成され、会員の皆さんは地域の観光資源、歴史、景勝地に造詣が深く、そして何より地域に対する誇りや愛情を抱き、観光を通じた地域振興を願っていらっしゃいます。つまり、観光協会は地域観光に関する人、情報、情熱が詰まっているのですが、一方で、刻々と変化し多様化する観光を取り巻く状況に対し何をどうしたらいいかさっぱりわからない、地元の観光協会の総会に出ても、かんかんがくがくというよりは、けんけんごうごうな議論で、会員の皆様のせっかくの情熱が空回りしていることに危惧を抱きました。本年度より、魅力ある観光地づくり事業として県が主導で、女性モニターツアーや、それと連動したワークショップが一部地域で開催されておりますが、何より屋台骨である県内市町村の観光協会に対して、もっと広くあまねく働きかけ、どうやったらうまくいくのか情報を提供し、モチベーションを高める仕掛けが観光地福岡県としての魅力向上に必須だと考えます。
 そこで質問です。観光協会にかかわっている県の部署としては、商工部国際経済観光課と企画・地域振興部広域地域振興課の二つがあります。また、県が補助金を出している団体として、観光連盟と観光推進協議会があり、それぞれ県内十九の市町村観光協会が加入しています。県と観光協会の連携以前に、これら県側の組織の連携がどうなっているか疑問です。これらの役割分担やすみ分け、部署間の連携について知事はどう考えていらっしゃいますか、お答えください。
 また、県内三十二ある観光協会のうち十九団体しか観光連盟、観光推進協議会に加入していないという現状をどうお考えですか、お答えください。
 もとより、観光地はそれぞれ互いに競争相手で、情報交換をしたり、交流をするのがなかなか難しいという側面があります。それゆえ、市町村観光協会がよきライバルとして切磋琢磨すると同時に互いに情報交換して、県全体の観光振興につながる場を県がつくるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、そのためには県や九州観光推進機構のような広域の団体が市町村観光協会の取り組みを評価するコンペティションを創設し、成功事例を周知する機会があれば、市町村観光協会のモチベーションを高め、おのずと活動の活性化が図れると考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 続きまして、歴史観光政策についてです。出張で福岡を訪れる関東、関西在住の友人が私に電話をして聞くんです。翌日帰りの飛行機まで時間があるんだけど、昼間にどこかおもしろいところあるかと。男女、年齢を問わず、グルメを初めとする夜のエンターテインメント、これは私がアドバイスしなくても、みずからいろいろと情報を集めて勝手にエンジョイしているようですが、昼の福岡観光については積極的な関心が高くないと実感する次第です。
 福岡は地政学上、古来より大陸との外交、時には国防のかなめであり、金印、卑弥呼、大野城・水城、平家伝説、大宰府、元寇、近代化を支えた産業などなど歴史、文化の題材が豊富です。また、来年の大河ドラマの主人公である黒田官兵衛のほかにも、福岡藩初代城主長政、立花の義を貫き、豊臣秀吉、徳川家康から西国無双とたたえられた立花宗茂は、次に福岡ゆかりの大河ドラマ主人公となるべき武士中の武士ですし、幕末の尊王攘夷派の精神的支柱だった真木和泉守は、歴史の歯車が一つ違っていたら、別の形で明治維新の立て役者になっていたかもしれません。ほかにも、高橋紹運、後藤又兵衛、菅原道真などなど興味深い物語を持った福岡ゆかりの多くの偉人がおり、京都、奈良、鎌倉などと遜色ない素材を福岡県は抱えていると自負しております。しかしながら、福岡の歴史、文化、偉人という素材は、それぞれの魅力を持ち一つ一つは点として輝いていても、歴史観光地としていま一つ認知されていないのは、点を線から面にする仕掛けが足りないからと感じております。
 そこで知事に質問です。知事は過去に、観光ふくおかの魅力創造事業ということで、地域の素材をつないでストーリー性のある体験型観光モデルコースを設定すると答弁されていますが、ぜひ歴史観光の面でも、県内各地に点在する一つ一つの歴史観光資源を紡ぎ、大きな物語にして回遊性、リピーター性を高める取り組みを、県がリーダーシップをとって市町村の観光協会と連携して行うべきではないでしょうか。知事の所見をお聞かせください。
 また、教育長に質問です。歴史観光を盛り上げる条件として、受け入れる住民側にも語り部としての知見が必要となります。そのためには、福岡に住んでいる私たちが幼少のころから地域の歴史について触れ、親しむ機会を多く持つべきと思います。これは同時に郷土愛や自己肯定感を育むことにも有用だと思いますが、どのような取り組みを小中学校で行うべきか、御所見をお聞かせください。
 続きまして、MICE戦略都市などとの提携についてです。MICEとはミーティング(会議、研修、セミナー)、インセンティブツアー(報奨、招待旅行)、コンベンション(大会、学会、国際会議)、エキシビション(展示会)の頭文字をとった造語です。本年六月二十八日に福岡市を含めた五都市が、観光庁が選定するグローバルMICE戦略都市に決定しました。これにより国際的なMICE誘致競争を勝ち抜くべく、国から集中的な支援が行われます。
 そこで質問です。会議場や宿泊施設、空港からのアクセスが充実した福岡市が世界トップレベルのMICE都市となるよう福岡県としても支援すべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 また、MICEの特徴として、一般観光客より参加者の消費額が多いことが挙げられます。県としても福岡市のMICEの傾向、分野、規模、参加者の国籍、年齢、性別、職業、家族同伴かどうか、滞在日数は、などのデータを分析し、福岡市に集まったMICE参加者が、福岡市以外の地域にも足を延ばし、まさに知事がおっしゃる福岡プラスワン、福岡でもう一カ所、もう一泊、もう一食していただけるように、MICEに特化した具体的で戦略的な取り組みが必要と考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 最後に、二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックの開催が決まりました。全世界のアスリートや観光客がオリンピック・パラリンピックのために東京に集結するわけです。世界中から東京を訪れた人々に対して、福岡で、もう一泊ではなく、東京から福岡に、もう一泊していただく準備、取り組みをしなければ、オリンピック特需に対する国内の観光客誘致競争を勝ち抜けないと考えます。まだ七年先だと漫然と指をくわえていてはいけません。早急にタスクフォースなりプロジェクトチームなりを立ち上げ、二〇二〇年の東京の盛り上がりを福岡の活力に結びつけると同時に、次世代観光政策の礎を築く七年間にすべきと考えますが、知事の御所見を披露願います。
 以上、県民がじぇじぇじぇ、と感嘆するような熱い答弁を期待して、私の一般質問を終わります。(拍手)

◯副議長(長 裕海君) 小川知事。
*知事答弁

◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
 観光振興における県庁の中での広域地域振興課と国際経済観光課の連携強化でございますが、県では、広域地域振興課におきましては、各地域の観光素材を発掘し、これを磨き、また国際経済観光課では、これらの新たな観光資源と温泉、食といった県内さまざまな観光資源とをつなぎ合わせて新しい観光商品としてこれを売っていくと、そういうことによりまして県の観光振興を図っているところでございます。こうした基本的な役割、両課にあるわけでございますが、こうした役割分担を県内の市町村観光協会の方々にも十分お伝えをしていき、あわせて両課の連携をより一層強化をいたしまして、本県の観光の推進体制というものを強化していきたいと考えております。
 次に、市町村観光協会の県観光連盟への入会についてでございます。県の観光連盟は、民間の観光関連事業者が参画をいたしております本県の観光振興施策の中核的実施機関でございます。具体的には、県内の観光情報を旅行会社等へつないでいく営業活動でありますとか、市町村観光協会やボランティアにかかわる人材の育成、それから観光情報の発信等をこの連盟は行っているところでございます。近年の観光市場というのは体験型の個人旅行というのが主流になってございます。また、外国からのお客様もふえております。このような中で、県全体を結ぶストーリー性がある観光ルートをつくっていく、また多言語での情報発信というのが求められているわけでございますが、それを個々の市町村単位での取り組みは限界があると思っております。このため、県観光連盟を軸にいたしまして、県内各地の観光協会の力を結集していく必要があると考えております。そのために、より多くの観光協会が県観光連盟に参画をし、連携を強化していくことが望ましいと、このように考えております。
 市町村観光協会に対する取り組み強化でございます。県ではこれまで、市町村、県の観光連盟、また県内の観光協会とともに産業観光の推進、ボランティアガイドの育成、プロモーション活動などに取り組んでまいりました。また、市町村観光協会が提案をされました地域の観光振興策の中から先進的なものを選定させていただいて、これを支援をする観光地づくりモデル事業というものに取り組んでいるところでございますが、この事業は、地域間の競争を促し、互いに切磋琢磨をいたしまして創意工夫を生み出す源泉になる、そういう工夫を生み出すことにつながっていくものだというふうに考えております。今後は、これらの取り組みに加えまして、県内外の成功事例を紹介する機会というものをつくっていきたいと思っております。そういうことを通じまして、市町村観光協会のさらなる育成強化を図ってまいります。
 歴史や文化などの素材を生かした観光振興についてお尋ねがございました。一人でも多くの方に福岡県を訪れていただくためには、私どもの地域に眠っております歴史や文化などを掘り起こして、人々の心に訴えかけるようなストーリーをつくり、本県ならではの魅力ある観光資源として磨き上げていくことが大事だと思っております。県では現在、来年のNHKの大河ドラマ「軍師官兵衛」をテーマにいたしまして、NHK、官兵衛ゆかりの地の市町、企業、団体と連携をいたしまして、「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会というものを設立しているところでございますが、そこの協議会を通じまして、ゆかりの史跡、史料の発掘、これらをつないだ観光コースの旅行会社への提案、統一的なロゴ、キャラクターを活用した土産品の商品開発、さらには全県的なPR活動を行っているところでございます。県内にはこのほか、炭鉱関連の歴史や文化、菅原道真、立花宗茂などの歴史的な人物、さらには世界文化遺産登録としてユネスコに推薦されることになりました明治日本の産業革命遺産など数多くの観光資源がございます。県といたしましては、県内の市町村や観光協会と協力をいたしまして、こうした歴史、文化に関する観光資源の発掘をさらに進めまして、それらをストーリーでつないで、点から線そして面へとつないでいくことによりまして、議員御指摘の回遊性のある、またリピーターをつくれる新たな観光振興策に取り組んでまいりたいと思います。
 次に、MICEを活用した観光振興でございます。MICEは、議員が言われましたように、会議、報奨旅行、大会、展示会、それぞれの英語の頭文字をとったものでございますが、多くの集客交流が見込まれるビジネスイベントなどの総称でございます。福岡市は国際会議件数国内第二位、東京に次いで第二位でございます。外国人を含めて九万人近くの参加者が訪れております。また、ことしの六月に福岡市は観光庁からグローバルMICE戦略都市に選定をされまして、国からの集中的な支援を受けることとなりました。今後一層の集客が期待されているところでございます。
 県では、これまでも福岡市内のMICE開催に際しまして、主催者の方々に対し観光パンフの提供や旅行会社への県内周遊プランの提案を行うなど、市と連携した取り組みを進めてまいりました。今後は、こうした取り組みに加えまして、県が現在開発中でございますスマートフォン向けの観光情報を福岡市のWiFiに乗せられるようにして、WiFiを通じて私どもが開発しますスマートフォン向けの観光情報を訪れられた方々に提供するということを年内に開始をしたいと思っております。このような形で市との連携を一層強化してまいります。
 このたび、二〇二〇年の夏季のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになりました。オリンピック開催時には、御指摘ありましたように、選手や競技関係者だけではなく、大変多くの観戦者という方がこの日本を訪れられると思います。県としましても、九州観光推進機構と連携いたしまして、九州が一丸となって誘客を行っていくことが、この機会は大事だと思っております。今後、東京にはない九州の自然、温泉、食などを生かした観光ルートを開発するとともに、今、特区で、留学生を活用した特区ガイドというものを来年春からスタートさせますが、そういった特区ガイドでありますとか地元のボランティアガイドの養成を今からやっていきまして、受け入れ態勢のほうも十分整備をして、オリンピックの機会を活用して本県への、また九州への外国人観光客の誘客拡大に努めてまいります。

◯副議長(長 裕海君) 杉光教育長。
*教育長答弁

◯教育長(杉光 誠君)登壇 小中学校における郷土の歴史や伝統文化、偉人に関する教育についてでございますが、児童生徒が郷土の歴史を学ぶことは、郷土に誇りを持ち、ふるさとを愛する心を育み、我が国の伝統や文化の理解を深める上で重要であると考えております。このため、各小中学校におきましては、市町村が独自に作成をしました郷土資料などをもとに、郷土の伝統文化や偉人などを取り上げた学習をしております。また、児童生徒がその成果を観光客用のリーフレットの作成であるとか、観光客の案内などに生かしている学校もございます。また、地域から県へと視野を広げていくことも必要であり、県教育委員会では、県内の文化財や地域行事、郷土芸能、偉人等を掲載した「ふくおか郷土資料」を作成いたしまして、自分の地域と他地域との歴史的つながりを学習できるようにしております。こういうことで各学校における積極的な活用を促進してまいります。さらに本年度から、発達段階に応じた郷土の歴史や伝統文化等への理解を深めるカリキュラムや指導方法の調査研究を始めたところでございます。今後は、その成果を各小中学校に普及させまして、児童生徒の郷土の歴史についての理解や伝統文化を尊重する心を育む教育を充実させてまいります。