平成28年決算特別委員会「中学校の学力向上における定期考査などの役割について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 ことし三月に行われた予算特別委員会で、私は全国学力調査の小学校六年生と中学校三年生の追跡調査の結果、中学校における学力の伸び悩みと、その伸び悩み方も地域間で特徴があることを指摘しました。この流れの中で、本日は中学生の学力向上における定期考査などの役割について質問します。
 さて、中学校における定期考査の目的は何でしょうか。

◯井上忠敏委員長 相原義務教育課長。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の目的は主に二つ、一つは生徒の学習状況、知識、理解や思考力、判断力、表現力等の観点から評価することでございます。もう一つは、評価した生徒の学習状況をもとに、授業での指導のあり方を改善したり、補充学習で重点的に取り扱う学習内容を決定したりする際の資料として活用するなど、学習指導に生かすことでございます。

◯板橋 聡委員 定期考査前の生徒は、授業を理解したかが問われるからこそ一生懸命机に向かいます。私もそうでした。相原課長御自身はいかがでしたか。

◯相原教育庁義務教育課長 私も、定期考査の前は特に一夜漬けといいますか、そのような面もあったかと思いますが、特に定期考査の前に学習に向かう、そのような姿勢で取り組んでおったように記憶しております。

◯板橋 聡委員 特に中学一年生の一学期は、小学校を卒業して初めての中間考査に臨むということで、中学校での学習のリズムが確立される、生徒の学習習慣づくりという意味合いもあります。そのような視点から、定期考査の意義をどう認識されていますか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査までの学習内容を振り返り、理解を深めるとともに、その結果を通して習得状況をみずから確認し、自主学習や補充学習に臨むなど、定期考査を通して主体的な学習課程を経験すること、これが生徒の学習習慣の形成に大きく寄与するものと考えます。

◯板橋 聡委員 ここで、中学校における定期考査の実施状況に関する資料を要求いたします。委員長、お取り計らいのほどお願いします。

◯井上忠敏委員長 お諮りいたします。
 ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯井上忠敏委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。

◯相原教育庁義務教育課長 直ちに提出いたします。

◯井上忠敏委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯井上忠敏委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯井上忠敏委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。

◯相原教育庁義務教育課長 お手元の資料1は中学校における定期考査の実施回数を、資料の2はその違いに応じた全国学力調査の正答率について、各教育事務所の別にまとめたものでございます。

◯板橋 聡委員 私は、定期考査というのは一学期に二回、二学期に二回、三学期に一回、年五回行うのが当たり前と思っていましたが、時代は変わったのでしょうか。実際は定期考査の年間実施回数が四回と五回の学校がおよそ半分ずつあります。典型的な定期考査の時期はどうなっていますか。また、年四回の実施になっている理由は何でしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 まず、二学期制が近年採用されてございます。この二学期制の学校では、各学期の中間と期末で行う考えのもとに、全体で計四回となっています。
 次に三学期制の学校でございますが、二学期の中間と期末、三学期の学年末で行われております一方で、一学期は期末のみで行われる場合と、中間と期末で行われる場合とがございまして、四割の学校で計四回、六割の学校で計五回となっております。この一学期の中間で実施されない理由としては、四月から中間まで、そして中間から期末までの期間がともに短く、学習内容が少ないことが考えられます。

◯板橋 聡委員 定期考査が年四回の学校と年五回の学校とで、学力調査の結果に違いはありますか。

◯相原教育庁義務教育課長 資料の2でございますが、正答率を見ますと、福岡、北九州及び北筑後の各地区では年五回の学校のほうが若干高く、南筑後、筑豊及び京築の各地区では年五回の学校のほうが若干低いという傾向が見られます。県全体としては、両者に有意な差があるとまでは言えないと考えております。

◯板橋 聡委員 実は今回の質問に当たり、私は先入観を裏切られたんですね。年五回やっている学校のほうが確実にいいだろうと。年四回というのは何だと、授業を進めるのがちょっと怠慢じゃないかとか、そのようなことを言おうと思っていたらこういう結果で、やはりデータをしっかり読み解くことは大事だと感じました。
 とはいえ、得るものもありました。塾などの学校外の教育環境が整っております都市近郊の福岡地区、北九州地区、久留米を含む北筑後地区と、余りそういった塾などの学習環境が整っていない南筑後、筑豊、京築のような郊外の地区とで、きれいに真逆の傾向が見られます。また、特に南筑後地区においては、定期考査回数が年四回と年五回では有意な差が発生しているという特徴が見られます。定期考査は年に五回が昔の定番ではありましたけれども、回数や出題の形式の変遷、生徒の学習状況への影響をどういった手段により把握し、今まで認識をされてきたのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査の実施状況につきましては、今回お配りしたこの資料が恐らく初めて調査したものでございます。県としてこれまで継続的に調査したものはなく、全国的なデータもございませんことから、詳細な分析はできてございません。

◯板橋 聡委員 学生時代の自分にとって定期考査というのは物すごく重いものでしたけれども、教育委員会側の目線ではきちんとした調査分析が全国レベルでなされていなかったということに、ちょっと驚きました。
 この点については別の視点からも後ほど述べるとして、まずは地域ごとの実情分析を行って、その上で生徒の学習状況の評価や学習習慣、意欲の向上を図るという定期考査の目的が達成されるように、各学校において、学校の都合ではなく生徒の目線から、定期考査やそれにかわる指導、家庭学習のあり方を総合的にデザインするべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査にあわせましての部活動の休養期間や家庭学習の推進期間、あるいは補充学習の機会を設けたり、あるいは日常的にレポートや小テストの活用、家庭学習の指導等を充実したりするなど、学ぶ意欲の向上や学習習慣の形成に資する取り組みを総合的に充実する必要があると認識しております。

◯板橋 聡委員 二〇一五年の国勢調査において、福岡市を除いた県全体の人口は約五万人減となりました。私も議会で何度もお話ししておりますけれども、人口減少社会が避けられない中、これまで以上に個人個人が、基礎的知識ではなく、みずから問題を発見し解決する能力を備えなければ、福岡の地方創生を支えることはできません。
 その意味で、定期考査を生徒の総合的な学習向上と授業の改善につなげるためには、思考力、判断力を問う全国学力調査の中にもある、すぐれた過去問を積極的に授業と定期考査に取り入れるなど、質の高い定期考査に変革していくことが必要ではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 定期考査におきまして、思考力、判断力、表現力等を適切に評価していくためには、明確な評価基準を設けて、また記述式を導入したりするなど、質の高い問題を作成するための工夫と努力が不可欠でございます。今後、各中学校において、全国学力調査や県作成の教材集等が授業や考査問題作成に一層積極的に活用されるよう、管理職の研修会を通じて指導を行ってまいります。

◯板橋 聡委員 定期考査以外にも中学校ではさまざまな実力テストがありますが、実施状況はどうなっているでしょうか。
 また、小学校の違いとして、全国学力調査よりも民間のテストを重視する傾向も一部にあると聞きますが、それで果たしてよろしいのでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 中学校では、第三学年の全国学力調査のほか、県におきまして第二学年で県学力調査、各学年で年二回、主に活用力を問う診断テストを実施しております。
 また全市町村におきまして、さまざまな教科、学年で、民間の学力検査等が独自に導入され、第一学年、第二学年では年一・五回、第三学年では年三・四回程度実施されております。この民間検査は、市町村の選択によってその趣旨や問題形式、時期等が異なっており、あくまで生徒の学力実態をきめ細かに把握したり、進路指導の参考資料に用いたりする、そういった利点を生かすものと考えます。

◯板橋 聡委員 以前も指摘しましたけれども、これまでの全国学力調査の状況から考えると、特に中学校については市町村教育委員会や学校の目標管理が甘く、県教育委員会が求めている検証・改善サイクル、いわゆるPDCA──プラン(計画)・ドゥ(実行)・チェック(評価)・アクション(改善)、これが機能していないとしか考えられません。県教育委員会としてどのような対策を講じているのか、御披瀝ください。

◯相原教育庁義務教育課長 各中学校に作成をお願いしております学力向上プランにつきましては、今年度から検証・改善サイクルをより意識した様式に改めたところです。また、各教育事務所での研修会、指導主事の学校訪問の実施に当たりまして、今年度、特に学力向上プランの具体的な改善例を事務所に提示したり、目標の適切な設定や全校的な取り組みの具体化などの助言を強化するよう指示したりし、PDCAを重視した取り組みを進めております。

◯板橋 聡委員 中学校の検証・改善、つまりPDCAサイクルを強化する前提として、チェック、つまり評価・分析に不安があります。市町村が時期も業者もばらばらで行う民間検査に依存せず、小六の四月から中三の四月まで、どのような段階でどのように学力が低下しているのか、これは私が三月の予算特別委員会でも質問させていただきましたけれども、小六の四月から中三の三月に向けて、県内ではがくっと中学生の学力が落ちているわけですね。そういう意味で、全国学力調査と同じ観点から継続して学力の推移を把握するシステムを、県の責任においてつくるべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 昨年度から県学力調査を、国と同じ教科で、そして全学年で実施いたしておるところでございますけれども、その県学力調査と全国学力調査の結果から、同じ集団の学力変化を分析したり、県学力調査の結果をもとに翌年の全国学力調査の目標を設定したりする取り組みについて、各市町村中学校に周知を図りたいと思います。また、生徒の入学時からの学力状況を把握していく観点から、今後、県学力調査や診断テストのあり方の見直しを検討したいと考えております。

◯板橋 聡委員 県では平成二十七年度から、県学力調査を小学校五年と中学校二年生で行うようになりました。小五から小六、中二から中三の成績の変遷は、これによってある程度把握できるようになりました。しかし、いわゆる中一ギャップが問題視される中、中一においては学力調査がありません。
 もちろん学力調査を行えば、教育委員会にとっては、目標達成できない場合は、本日の午前中の我が会派の質問のように活を入れられるわけで、大変厳しいのは理解できます。しかし、きちんとした基準を持って具体的な成果を評価・分析できれば、何が効果があって、何が効果がなくて、あるいは成功事例や失敗事例を学び、適切な改善活動を行えるほうが、現場の教師にとっても教育委員会にとっても、暗闇の中で禅問答をしているよりも、精神的にも時間的にもよほど生産性が高く、生徒にとってもよい効果が期待できるのではないでしょうか。
 そのことを踏まえて、地域ごとの学校や生徒の特徴に合った形で、定期考査の改善や学力調査の継続的な実施を初めとする具体的な方法論を伴う施策が展開されることを期待して、改善の兆しが見えない中学校の学力向上に向けての教育長の決意を問います。

◯井上忠敏委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 本県では、小学校に比べまして中学校の学力状況に大きな課題があるわけでございます。この改善を図ることが、県民の教育への信頼を回復させる一つの重要な課題であると考えております。中学校の学力向上につきましては、私自身、各学校の組織的な取り組みが十分に行われていないのではないかと考えておりまして、教員の意識改革の面、それから授業力・指導力の向上の面、学校や生徒を取り巻く環境の面、こういった観点から見直しを進めているところでございます。
 今後は特に成果を出している学校につきまして、定期考査あるいは小テスト等の実施や過去問の活用の工夫、そういった具体的な取り組みを詳細に把握した上で、地域の実情を踏まえた分析と、関係者との意見交換を行いながら、実効性のある取り組みを進めてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 義務教育を主管する相原課長、そして教育現場のトップである城戸教育長から力強い答弁をいただきました。今回の決特の中で、住んでいるだけで健康寿命が延びる足立区というフレーズを私は非常に気に入っているんですけど、住んでいるだけで成績が伸びる、人間力を育てる福岡県にしていただきたい。
 しかしながら、若干不安がございます。私は大河ドラマ真田丸が大好きなんですけれども、昨晩は徳川軍との戦いに備え、軍議を開くシーンでした。真田幸村を初めとする武将たちが議論を重ね、豊臣秀頼公が打って出ると力強く決断するんですね。それを淀殿に報告すると、籠城とあっさりひっくり返されるわけです。学力調査等は予算を伴います。小川知事が豊臣家を滅亡に向かわせる淀殿なのか、雄県福岡県の礎を築いた黒田長政なのか、ぜひ確かめてみたい。知事保留をさせていただきたく、お取り計らいをお願いします。

◯井上忠敏委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は十一月四日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)

平成28年度予算特別委員会・知事保留質疑「中学校の学力向上について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。
 中学生の学力向上について質問いたします。もとより教育問題に関する質疑は教育長において完結すべきところではありますけれども、本件につきましては、現在、県が強力に推し進めています地方創生総合戦略や知事の公約でもある幸福度日本一に深くかかわりますので、財源の面も含め、知事の認識を問いたく、本日、直接質問させていただきます。
 私は、予算特別委員会第十款の審議で、全国学力・学習調査の結果を比較すると、地区により大きな特徴があることを指摘しました。
 具体的には、私の地元南筑後地区では、小学校六年生時点で全国平均からマイナス〇・三ポイントと、福岡地区と並んで県全体の成績を牽引する位置にあったのに、中学校三年生になると、全国平均からマイナス一六・二ポイントと大きく引き離されるという結果が出ています。南筑後の子供たちは、せっかく小学校で頑張っているのに、中学三年間でスポイルされてしまい、まるでスタミナ切れを起こしたマラソンランナーがずるずると後退するかのような印象さえ持ちます。
 我が会派の井上順吾議員が同様に予算特別委員会で明らかにしましたが、主たる学習塾が存在しているのは福岡地区と政令市がほとんどです。中学三年生の全国学力・学習調査の成績は、これに比例するかのごとく、福岡地区と政令市だけが辛うじて全国平均レベルを保ち、それ以外の地域は完全に低迷しています。このままでは、子を持つ親は学習環境のよい政令指定都市や福岡地区に集中し、地方創生が掲げる都市部への人口一極集中をとめるなんていうことはできないと思います。
 知事はこの結果を見てどのように思われますか。特に南筑後のように全国平均から中学三年間で大きく成績を落とすような地域があることについても、あわせて所見をお聞かせください。

◯加地邦雄委員長 小川知事。

◯小川知事 委員も今指摘されましたように、本県では、小学校から中学校に上がりますと、正答率の全国との差が全ての地区で広がる傾向にございます。特に、今、御指摘ありました南筑後、そして京築両地区でその傾向が顕著に見られるところであります。こういった実態は、全県的な学力向上を図る上で解決していかなければならない課題であると認識しております。

◯板橋 聡委員 中学校で学力が落ち込む傾向については、解決しなければならない問題と認識をしていただきました。これに関しては城戸教育長も同じ認識で、私の予算特別委員会の質疑において、教育長には、平成二十四年度に策定された総合計画が来年度最終年度を迎えることを踏まえて、地区の実情に応じた地区別の施策を含め、目標設定及びその達成に向けての方策から大胆な見直しをすることをお約束いただきました。
 新しい施策には新しい財源が必要となります。教育は地味で時間がかかりますが、最終的に一番効果がある地方創生施策と思っております。地方創生を教育の分野からしっかりと下支えするためには、現在の教育庁の予算の中でやりくりするだけではなかなか厳しいのではないでしょうか。私は教育庁の回し者ではございませんけれども、小学生と幼稚園の三人の子を持つ親としても、教育庁の本件に対する今後の新たな取り組みに、しっかりとした財源の裏づけにより知事部局側からのバックアップをお約束していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

◯小川知事 学力向上につきましては、これまでも、強化市町村を指定するなど、地域の実情に合わせた形でいろいろな施策、支援をやってきたところでございます。
 今後の中学校対策でございますけれども、現在、教育委員会のほうで、例えば小学校で全国平均水準にあります福岡地区、あるいは南筑後地区というものを中学校でさらに伸ばしていく取り組みなど、各地域の状況を踏まえた具体策を今検討していただいているところでございまして、その検討結果を踏まえた上で、必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 昨年十二月議会にて承認されました地方創生総合戦略に四つの基本目標を知事は盛り込まれましたね。知事は、教育問題はこの四つの基本目標のうち、どれに一番かかわりが深いと考えられますでしょうか。

◯小川知事 全てにかかわっていると思っております。その基本だと思っております。

◯板橋 聡委員 一つだけ選ぶなら。

◯小川知事 なかなか選びにくいと思いますけれども、いきいきとそれぞれが能力を発揮して、その地域で暮らしていける、それで魅力ある職場に就職できる、そういったものの基本をなすものだと思っております。

◯板橋 聡委員 決してこれは知事をどうこう言うわけでありませんけれども、基本目標の四つの中で一番文教問題に深くかかわっているのは、地方創生を担う人材の育成、これは三番目の目標ですね。
 それで、私が思うのは、子が親を選べないように、生まれてくる子供たちは、ふるさとを選べません。基本目標の四番に、誰もが住みなれた地域で暮らしていける活力ある地域づくりというのがございます。県内どこに生まれても、しっかりとした義務教育を受けることができることは、まさにこの目標に合致すると思います。このことを忘れず、幸福度日本一の福岡県を議会とともに目指しましょう。終わります。(拍手)

平成28年度予算特別委員会「中学校の学力向上について」

◯板橋 聡委員 自民党県議団の板橋聡です。きょうは中学生の学力向上について質問させていただきます。
 資料として、平成二十四年度小学校六年生と平成二十七年度中学校三年生の全国学力学習状況調査の結果推移を要求しています。お取り計らいのほど、よろしくお願いします。

◯加地邦雄委員長 お諮りいたします。ただいま板橋委員から要求がありました資料を委員会資料として要求することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者がある〕

◯加地邦雄委員長 御異議ありませんので、本委員会の要求資料といたします。
 執行部に申し上げます。ただいま板橋委員から要求がありました資料については提出できますか。相原義務教育課長。

◯相原教育庁義務教育課長 はい、直ちに提出いたします。

◯加地邦雄委員長 資料を正副委員長に確認させてください。
    〔資料確認〕

◯加地邦雄委員長 事務局は資料を配付してください。
    〔資料配付〕

◯加地邦雄委員長 資料が配付されましたので、板橋委員、質疑を行ってください。

◯板橋 聡委員 簡潔に資料の説明をお願いします。

◯相原教育庁義務教育課長 御説明します。配付資料一のグラフは、全国学力・学習状況調査における本県公立小中学校の平均正答率の全国平均との差の推移を示したものです。
 下段の二の表は、平成二十四年度の小学校六年生と平成二十七年度の中学校三年生の平均正答率の三年間の変化を、これも全国平均との差で示したものであります。なお、この平成二十四年度の小学六年生と平成二十七年度の中学校三年生は同じ集団であるということになります。以上です。

◯板橋 聡委員 では、この資料から読み取れることは何か、教えてください。

◯相原教育庁義務教育課長 配付資料の一のグラフになりますけれども、まず小学校は改善しつつありますけれども、中学校はやや下降傾向にあるということ、また二の表から、小中学校ともに地区間で格差が生じていることが挙げられると思います。
 さらに、県立中学校や私立中学校等への進学者を除いて、ほぼ同じ母集団であるこの中学校三年生と小学校六年生とを比べたときに、小学校から中学校に進学すると全国との差が広がってしまうという傾向が、ほとんどの教科区分に見られる。また、地区別に見ますと、南筑後地区及び京築地区におきまして、その傾向が顕著でございます。

◯板橋 聡委員 中学校で学力を伸ばせない要因はどこにあると考えられますか。

◯相原教育庁義務教育課長 全国学力・学習状況調査によりますと、本県の中学校につきましては、学校全体の学力傾向や課題についての全職員での共有が弱い、さまざまな考えを引き出したり、思考を深めたりする発問や指導が弱い、授業中、私語などがなく、落ちついている学校が少ないという組織運営、授業改善、児童生徒のそれぞれに課題が見られ、これらが主な要因になっているものと考えております。

◯板橋 聡委員 これは、これまでずっと県教育委員会が言ってきたことを繰り返しお話をされていると思うんです。これは県教育委員会の分析結果とか、あるいは取り組みが、現場で小学校、中学校の教育をつかさどります市町村の教育委員会、あるいは学校に届いていないのではないかと感じますが、どうやったら意思疎通が徹底するのか教えてください。

◯相原教育庁義務教育課長 今年度から、学力向上に関する重要な事項につきましては、可能な限り義務教育課、本庁が各地区の学力向上推進委員会や校長会に出向いたり、教育事務所が実施する学校訪問に参加したりするなど、関係者に直接説明する機会を設ける取り組みを開始いたしました。
 さらに、市町村教育委員会連絡協議会の会合にも参加するなど、市町村教育長との意見交換の機会もふやしております。
 今後もこれらの取り組みを継続し、県教育委員会としての指導助言内容の統一と徹底を図りますとともに、各教育事務所における学校の実情に応じた支援機能の強化を行ってまいりたいと思います。

◯板橋 聡委員 ことしから県庁から直接学校訪問に行ったりするという、その意気込みはよくわかるんですけれども、逆に県教育委員会の意気込みが上滑りして取り組みが一方通行にならないか、もっと言えば面従腹背のような状況にならないか懸念いたします。そのためには、市町村や学校からのフィードバックも得ながら、県教育委員会の政策を深化、深堀りしていくような努力をするとか、県教育委員会と市町村の信頼関係の構築も必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 学力向上施策、あるいは指導助言を徹底していく前提としまして、教育庁本庁におきましても、各教育事務所や市町村、学校の現場の状況を的確に把握しますとともに、さまざまな現場の関係者と緊密に県教育委員会の方針をめぐって議論し、フィードバックを受けて、それを企画立案段階から生かしていくことが大切であると認識しております。
 県教育委員会の施策が一方通行にならないように、今年度は特に教育長がみずから市町村教育長と意見交換を行ったり、市町村教育長や各地区の校長会長に緊急にアンケートを実施しましたり、私自身も市町村教育委員会や学校を個別に訪問し、意見交換を行ったりするなど、双方向の意思疎通に努めてまいりました。引き続き、このような改善を重ねてまいりたいと思います。

◯板橋 聡委員 資料の全国の平均正答率との差の推移を一番で見てみると、大きな流れとして、小学校は改善傾向が見えつつあるのかなと。その一方で、先ほど御説明ありましたとおり、中学校は現状維持も怪しく、逆に下降しているように見えています。という意味では、中学校に特化した施策によるてこ入れも必要かと思いますけれどもいかがでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 昨年十月に、県、両政令市及び市町村代表の四教育長が懇談いたしまして、中学校の学力向上を狙いの一つとします取り組みとして、一点目にノー部活デーの週一回の設定、二点目にスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフの活用により学校を支援する施策の強化、三点目に学校とPTAが連携した携帯、スマートフォンの使用ルールづくりの推進を協調して全県的に推進することを確認いたしました。
 特に、二点目につきましては、当初予算案にチーム学校推進事業として必要経費を盛り込んだところであり、中学校における生徒指導や教育相談の体制強化を図りまして、生徒が学習に向かう環境づくりを進めてまいります。

◯板橋 聡委員 今のお話は、基本的には中学生が勉学に向き合うための環境を整えるという話だと思います。もちろん環境整備は大切です。しかし、結果を出すには、環境整備にとどまらず、中学校における学力が伸び悩んでいる現実を真摯に受けとめ、その要因の分析をしっかりと行い、中学校に特化した学力向上施策の具体的で大胆な見直しを図るべきではないでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 全国学力・学習状況調査及び福岡県学力調査の結果から、課題が見られる学校に教育事務所の学力向上フォローアップチームを個別に派遣し、管理職に学校経営上の指導助言をきめ細かに行う学校訪問を本年度、試行的に導入いたしました。来年度から本格的に運用を開始し、全県的な意識改革と地域の実情を踏まえました支援の強化を推進してまいります。
 また、例えば南筑後地区につきましては、前回の学習指導要領の改訂で明記された言語活動の学校全体での取り組み率、あるいは講師を招聘しての校内研修の実施率、このような指標を見ますと、小学校では県内六地区で最も高い、それに対して中学校では最も低い、このような状況も判明しつつあり、地区の実情をさらに掘り下げる必要もあると認識しております。
 小中学校長の代表者を集めての六地区合同の学力推進協議会を、本年一月に初めて開催いたしました。今後もこれを継続し、四教育長懇談会で確認した学力向上の取り組みの推進状況等を協議するなど、学力向上の責任者たる校長に働きかけを強めていくとともに、各地区の実情の分析を踏まえた施策のあり方についても意見交換を行いまして、学力向上施策の刷新を図ってまいりたいと考えます。

◯板橋 聡委員 しっかり頑張っていただきたいんですけれども、先ほど相原課長のお話の中でも若干触れられましたけれども、小中学校を切り分けて学力向上施策について議論させていただきましたけど、さらに地区別に特徴があることを、もう一度指摘させていただきます。資料二番目の一番下の段を見ていただければわかりますが、各地域の小学校六年生が、中学校三年間、その地域でまた教育を受けて、中学校三年生になっての成績がどのように変化するかを地区ごとにあらわしている表なんですけれど、先ほど課長ご指摘のとおり、南筑後地区は、小学校六年生時点では全国平均からマイナス〇・三点ということで、県内では福岡地区に肉薄する成績なんです。これが中学三年生になるとマイナス一六・二と、先頭グループから脱落してしまうような状況なります。昔、子供のころ、学校の先生から私は、得意科目は予習をしてもっと伸ばす、苦手科目は復習をして基礎を身につけるということを教えていただきました。これは地区別の学力の状況を見ても、同じようなことが言えるんじゃないかと。学力向上において、やはり地区の特徴をしっかり捉えて、各地区の実績に即した取り組みをするべきじゃないかと思います。
 今年度、筑豊地区への支援が強化されております。筑豊地区の底上げは県全体の学力向上に必須で、これは今後も継続しなければならないと思いますけれども、福岡地区、あるいは南筑後地区等では、小学校では全国平均レベルの成績であるわけですから、ここをもっと伸ばして県全体の成績を牽引するような立場であり続けると、そういうことにならなければいけないと思います。南筑後地区の中学校の段階でどういう取り組みをするか、ここをよく考えていただくことが必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 学力向上の大きな柱は、授業改善にあると考えております。全ての児童生徒がよくわかる授業が各学校の各教室で展開されることが大切であります。本年度からは、全ての小中学校の学力向上推進コーディネーターを対象に、各地区の実情を踏まえた研修を実施しまして、特に習熟度に応じたきめ細かな指導についての研修を深めてまいりました。
 県全体としては、補充的な学習の充実が必要な地域がいまだ多いものの、学校の状況に応じまして積極的に発展的な学習を取り入れるなど、学力の高い児童生徒の能力をさらに伸ばす、個に応じた指導も推進してまいります。さらに、来年度からは、新たに各教育事務所に授業づくり支援チームを組織しまして、各地区の特徴を捉えまして、各学校の実情に応じた教員の授業力の向上を積極的に支援してまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 地方創生におきまして、都市部の人口一極集中をとめるためにも地域の魅力を高めることが必要ですけれど、その中で私は教育が果たす役割というのは一番重要だと考えております。県下どの地域に生まれても、義務教育段階で子供たちの将来の可能性を最大限に開かせることが重要だと考えております。しかしながら、中学校の現状は、全国学力調査で全国平均を超えるという県教育委員会の目標にはほど遠いんじゃないでしょうか。
 実は、来年度は五年に一回の県の総合計画の見直しの時期に当たります。全国学力調査で全国平均を超える、これを大目標と言うのはちょっと恥ずかしい話ではありますが、それでも今は、これが福岡県においては大目標でございます。この大目標を夢ではなく、しっかりと現実のものとするには、大目標の実現に確実につながっていく中目標や小目標を立てるべきだと考えています。
 例えば、我々も受験を経験しましたが、中学校二年生の終わりぐらいに志望校を決めて、夏休みまでにこのドリルを何冊やってとか、そういうことを決めて、そのためには中間テストまでにここまでやっておくように頑張って、そのためには今月何をやって、今週何をやるべきかということが決まる。こういうブレークダウンが大目標の実現には必要かと思います。ぜひ、次期目標設定からこういった手段を反映させるべきだと思いますけれどもいかがでしょうか。

◯相原教育庁義務教育課長 県教育委員会としましては、この全国平均を超えるという目標そのものは、県民の信頼を得る上でわかりやすいものであり、その達成を目指していく考えでございますけれども、目標を立てる以上は、その実現に向けて確実に目標管理を行い、その過程を検証、改善していくことが重要であると認識しております。課題の大きい中学はもとより、改善傾向が見えてまいりました小学校も含めまして、委員御指摘のとおり、全国平均という大目標の実現につながるような、より下位の目標を具体的に設定し、それらの実現を着実に積み上げていくことが求められている状況にあると認識しております。
 県教育委員会としましては、県学力向上推進会議等の場におきまして、市町村や学校における目標の設定管理の好事例の収集、本年度から開始した福岡県学力調査の分析結果の活用方法の検討、地区や学力低位層への着目などを通じまして、正答率の向上につながる具体的な指標を検討し、これを平成二十九年度の目標設定から反映させてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 課長に平成二十九年度の目標設定から反映させると宣言をしていただきました。私は毎週日曜日八時、NHKで「真田丸」を見るのが大好きなんですけれども、先週、上杉景勝のもとに単身乗り込んだ真田丸のりりしさを、今、課長の姿から感じとりました。
 教育長、家臣ともいうべき部下にここまではっきり宣言をしていただきました。中学校の学力強化に向けた教育長の決意を聞かせてください。

◯加地邦雄委員長 城戸教育長。

◯城戸教育長 本県の中学校の学力でございます。これは、ここ数年来、大きな課題と受けとめておりまして、いずれもいまだ取り組みの成果は上げていない、改善すべき余地が多々あると基本的に認識しております。
 低学力問題へのアプローチでございますけれども、三つの視点からのアプローチが基本と考えております。一つは、教員の意識の問題でございます。二点目は教員の指導力についての問題でございます。三点目は児童生徒の生育の環境を改善するという問題でございます。この三つの視点から分析し、対策を講じていくことになるわけですけれども、本県の中学校に焦点を当てますと、例えば意識の問題では、先生方が、高校入試に比べますと学力テストの成績を上げることについて若干熱意が低いと。それから、部活動で子供を鍛えることと比較いたしますと、学力で子供を鍛えることについては若干熱意が足りないという感覚を持っております。また、この意識が指導方法の問題につながるわけでございまして、学力テストで求められる思考力等を高めるための授業改善、特に学力テストを有効に活用した授業改善の取り組みが少し低い、進んでいないということでございます。
 また、小学校とか高等学校に比べますと、補習とか宿題による学習の定着の取り組みが、若干中学校は低いのではないかと考えております。そのほか環境の面では、厳しい環境下にある子供の学習意欲の低下というのは、中学校で特に顕著にあらわれる傾向があります。あわせまして、県や市町村の施策、あるいは学校での組織的な取り組みがなかなか浸透しないという背景には、中学における教科制の問題に伴います学校の組織文化の問題もあるのではないかと思います。

◯加地邦雄委員長 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にお願いします。

◯城戸教育長 失礼しました。今後、これらの分析に基づきまして、その要因の核心に迫る取り組みを進めてまいりたいと考えております。その際、各学校の状況、地域の状況の把握に努めまして、各地区、学校における特徴的な状況にまで踏み込んできめ細かな対策を講じてまいりたいと考えております。

◯板橋 聡委員 この実現には、答弁の長さより、やはり充実した財源だと思っております。しっかり答弁していただきましたけれども、財源をしっかりと充てて、そして地方創生の中で都市部一極集中をとめ、地域間格差のない、幸福度日本一の福岡県を実現するためにも、ぜひこの問題について知事から直接聞かせていただきたいと思いますので、知事保留をよろしくお願いします。

◯加地邦雄委員長 ただいま板橋委員から申し出のありました知事保留質疑を認めることにいたします。
 なお、知事保留質疑は三月十八日金曜日に行う予定でありますので、御了承願います。

◯板橋 聡委員 終わります。(拍手)